...

RITEにおけるCCS技術の現状と課題

by user

on
Category: Documents
29

views

Report

Comments

Transcript

RITEにおけるCCS技術の現状と課題
◆
CCSのあり方に向けた有識者会議
◆
(資料5)
RITEにおけるCCS技術の現状と課題
(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)
11
目
次
1.RITEにおける研究開発の概要
2.研究開発に係る取り組み
3.CCSの温暖化対策の位置付け
4.CCSのISO化
5.まとめと提言
2
1.RITEにおける研究開発の概要
RITEにおけるCCS関連の研究・調査事業
1. 低エネルギー/低コストCO2回収技術開発
• 吸収液、固体吸収剤、膜
2. CO2地中貯留技術開発
• 長岡での圧入試験、日本の貯留ポテンシャル算出、地中
貯留の安全性向上に関する技術開発
3. CCSの有効性評価
• コスト検討・モデル使用したわが国でのCCSの有効性検討
4. CCSのロードマップ作成・CO2貯留ポテンシャル
5. CCSのISO化
• CCSのISO化について、国内審議団体として対応
3
2.研究開発に係る取り組み
発生源に適したCO2回収技術
発生源の規模・CO2ガス圧により最適な回収技術の開発
火力発電所
国内CO2発生量
(億トン/年)
製鉄所(高炉等)
セメント工場
1.8
0.5
0.1
低圧
低圧
高圧、低圧
3.7
CO2ガス圧力 低圧、高圧(IGCC)
適用
方法
大規模
低圧・高圧
大~中・小規模
中・高圧
化学吸収法
膜分離法
製油所等
中規模
中・高圧
吸着法
4
2.研究開発に係る取り組み
RITEのCO2回収技術の成果は世界トップレベル
化学吸収法の技術開発において、世界トップ
の2.0Gj/t-CO2を達成(COURS50プロジェクト)
分子ゲート機能CO2分離膜の世界トップ
の分離性能
0.7 MPa
1段プロセス達成領域
COURSE50
アミン系固体吸収材として世界トップレベルの
吸収性能
RITE固体吸収材
5.78
2段プロセス達成領域
6.26
※ Various Temp.
H. Lin B. Freeman et al., Science, 311, 639-642
5
2.研究開発に係る取り組み
CO2貯留に関する技術課題への取り組み
6
2.研究開発に係る取り組み
貯留性能評価手法 貯留層の地質モデリング@長岡サイト
100 md100 md
1 md 1 md
圧入井(1本)
観測井(3本)
3次元貯留層モデル
浸透率分布
(10㎞ x 10㎞)
CO2流動シミュレーション
(CO2分布、圧力分布、etc)
7
長岡サイトのCO2貯留状態調査
2000
2001
2002
サイト選定、圧入井&
観測井(OB-2, -3)掘削
圧入終了後
圧入終了
5年9ヶ月後
観測井(OB-4)掘削
2003 CO2圧入開始
2004
2005 CO2圧入終了
(10,400 ton)
2010
2015
・坑井間弾性波トモグラフィ測定結果より、CO2は安全に貯留されていることを確認。
・中越地震(2004)や中越沖地震(2007)の影響も受けていない。
8
2.研究開発に係る取り組み
CO2挙動解析 常設海底ケーブル(OBC)システム開発
0
海域帯水層貯留に適した常設型OBC
1
3次元弾性波探査と微小振動観測
Two way time (ms)
600
3次元弾性波探査
37
XL
in
e
実海域性能評価試験
91
1
20
27
e
InLin
陸側
3000
XLine 方向
(No. 1-91)
苫小牧実証事業へ適用
圧縮空気を用いる
小型振源
沖側
微小振動&自然地震観測
観測システム概念図
発振船(50t程度)
InLine 方向
(No. 1-27)
観測小屋
海底ケーブル(約1.6km )
9
3.CCSの温暖化対策の位置付け
CCSの見通し
日本の技術別排出削減効果
CO2排出源と貯留層毎に分け、日本について詳細に
モデル化したエネルギー・温暖化対策モデルによる
試算。2050年60%減を想定したもの。費用最小化と
なるような対策を算定したもの。なお試算は、3.11
以前に行ったものであるため、原発は現行エネルギ
ー基本計画ベースで想定されている。
1500
CO2 emission & reduction (MtCO2/yr)
Baseline emission
Energy saving
1200
Fuel switching among fossil fuels
900
Fuel switching to nuclear power
日本国内でもCCSは相当の
排出削減への寄与が期待さ
れる。
また、世界では更に大きな
削減への寄与が見込まれる。
Fuel switching to renewables
600
Net CO2 emission
CO2 geological storage
300
Net CO2 emission
0
1990
2000
2010
2020
2030
2040
70
数か所でCCS実施
2050
世界排出量半減に向けた
世界の技術別排出削減効果
発電部門:CCS
CO2排出量・削減量 [GtCO2/yr]
60
50
40
12%
発電部門:再生可能
11%
発電部門:原子力
14%
発電部門:効率向上・化石燃料間転換
10%
発電以外のエネルギー転換部門
9%
民生部門
運輸部門
30
13%
20
15%
国際海運・国際航空
産業プロセス起源CO2
10
世界エネルギー・温暖化対策技術
DNE21+による試算例。費用最小化
となるような対策を算定したもの。
産業部門
土地利用起源CO2
0
2000
CO2排出量
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040
2045
2050
10
10
3.CCSの温暖化対策の位置付け
CO2固定化・有効利用分野 技術戦略マップ
2010
2020
2030
2040
2050
回収コスト:4200円/tCO2→2000円/tCO2台
コスト
ダウン
化学吸収
回
収
分離プロ
セス実現
更なるコストダウン・適用範囲拡大
分離膜の高圧ガス適用 1500円/tCO2→1000円/tCO2台
膜分離等
他の新回収技術
コストダウン・
大規模化
更なるコストダウン・適用範囲拡大
新方式適用研究
更なるコストダウン・適用範囲拡大
●技術確立 ●本格適用
貯
留
安全評価等要素技術
地中貯留
実適用先の拡大
統合プロセス実証
海洋隔離
実適用
要素技術検討・モデル海域実証
優良種選抜・土壌改良等
地
上
隔
離
単位面積当たりの 技術開発
実適用実証
CO2固定量拡大
不良環境地への 遺伝子組み換えを伴うもの
植生拡大等
技術開発
フィールド実証
バイオマスの革
新的利用による
植生拡大
革新的
変換技術開発
有用物質
生産技術開発
実適用の拡大とコストダウン
実適用実証
実用化検討
実適用の拡大とコストダウン
実適用検討とシステム構築
●セルロースエタノール
100円/l(稲わら)、
40円/l(資源作物)
●BTL
競争可能コストでの
有用物質実用化(水素、ポリマー、化成品)
11
3.CCSの温暖化対策の位置付け
国内帯水層エリアマップと貯留ポテンシャル
地質データ
カテゴリーB
カテゴリーA
(背斜構造への貯留)
油ガス田
坑井・震探
データが豊富
A1
35億t-CO2
基礎試錐
坑井・震探
データあり
A2
52億t-CO2
基礎物探
坑井データなし、
震探データあり
(層位トラップなどを有する
地質構造への貯留)
B1
275億t-CO2
A3
214億t-CO2坑井
B2
885億t-CO2
坑井
坑井
貯留概念図
小 計
合 計
301億t-CO2
1,160億t-CO2
1,461億t-CO2
*内陸盆地ならびに内湾(瀬戸内海、大阪湾、伊勢湾など)は対象とせず
*地下800m以深かつ、400m以浅が対象
12
4.CCSのISO化
ISO/TC265の活動について
2011年10月設立後、2回のTC265総会(2012年6月、2013年2月)を開催
1.これまでの活動成果
・TC265のビジネスプランの作成
・5つのWG(回収、輸送、貯留、Q&V、クロスカッティングイッシュー)を設立
・各WGのコンビーナと事務局の決定
・TC265での検討内容を記載したインターナルスコーピングドキュメントの作成
2.今後の活動予定
・各WGの議論へ参加する専門家(エキスパート)の募集
・各WGの新規作業項目の提案と承認
・規格化へ向けて技術検討開始。通常は作業原案(WD)の作成から開始
・国際規格書(IS)発行までは通常3年
RITEの役割について
RITEは、日本のISO/TC265国内審議委員会の事務局としてISO/TC265
との窓口となり、各種情報を国内審議委員会および国内関連部門へ発信。
また、日本の意見を集約誌ISO/TC265での議論へ反映することで、上記成
果へ貢献した。今後も引き続き国内審議団体として、CCSのISO化を先導する
活動を行っていく。
13
4.CCSのISO化
ISOの体制
WG1(回収)
コンビーナ:日本
事務局 :日本
WG2(輸送)
コンビーナ:ドイツ
事務局 :ドイツ
ISO/TC265
Carbon Dioxide Capture, Transportation and Geological Storage(CCS)
(二酸化炭素回収・輸送・地中貯留)
スコープ:
CCS分野における設計、建設、環境設計とマネジメント、リスクマネジメント、
定量化、モニタリングと検証及び関連活動の標準化
幹事国:カナダ、中国
参加メンバー: Pメンバー16カ国、Oメンバー10カ国、リエゾン6機関
WG3(貯留)
コンビーナ:カナダ、日本
事務局 :カナダ
WG4(Q&V)
コンビーナ:中国、フランス
事務局 :中国
WG5(クロスカッティングイッシュー)
コンビーナ:フランス、中国
事務局 :フランス
国内の体制
国内審議団体:RITE
ISO/TC265国内審議委員会
委員長:佐藤教授(東大)
経済産業省に設置されている
日本工業標準調査会(JISC)からの委託
回収WG
主査:東井氏(RITE)
輸送WG
主査:尾崎教授(東大)
貯留WG
主査:松岡教授(京大)
Q&V・クロスカッティングイッシューWG
主査:赤井氏(産総研)
14
5.まとめと提言
【RITEにおける研究概要】
• RITEにおいては、CCSのコスト削減、安全性の
評価に関する研究を推進し、世界的にもトップ
レベルの成果を創出。
• シミュレーションモデルを活用したシナリオ研究
によりCCSの導入効果等の検討、ロードマップ
の作成などを実施。
• CCSのISO化に関して、我が国がこれまで培っ
た技術、知見が適切に評価されるよう、RITEは
国内審議団体として対応。
15
5.まとめと提言
【CCSの課題と提言】
• CO2排出は、いわゆる外部不経済。その対策に特化さ
れた技術であるCCSは、市場原理だけでは普及しない。
• CCSの普及促進のためには、内部化する仕組み(制度
的枠組み、補助金・税制、仮想市場など)の確立が必須。
• CCSの導入を容易にさせるために、コスト削減が不可欠。
• CCSの安全性に対する社会的受容性の涵養が重要。
• コスト削減に向けた研究開発と安全研究の充実が重要。
• 貯留ポテンシャルの調査が必要。
• 政府の決断と支援の強化が不可欠。
16
参考
17
【参考】 CO2回収に関する取り組み
化学吸収法
COURSE50:環境調和型製鉄プロセス技術開発(H20FY~H24FY)
【目的】
高炉ガスから、低コストで、CO2分離回収を可能とする新化学吸収液の開発
(新日鐵住金-東京大学-RITE、NEDO事業共同実施)
【目標】
分離回収エネルギー低減 2.0GJ/t-CO2
CO2 濃度2%, CO, H2等
鉄鋼プロセス用燃料として利用
【成果】
世界トップレベル
1.プロジェクト目標2.0GJ/t-CO2達成
2.CO2再生温度の低温化
CO2
濃度99%
吸収塔
再生塔(CO2再生)
製鉄所
高炉ガス
110~120℃
CO2 濃度22%
CO, H2等を含む
化学吸収液
分 離 回 収 エ ネ ル ギ ー
100℃以下実現(低温排熱の活用可)
リボイラー加熱
↓
必要エネルギー
COURSE50
他 社 吸 収 液
18
【参考】 CO2回収に関する取り組み
膜分離法
二酸化炭素分離膜モジュール研究開発事業(H23FY~H26FY)
【目的】
圧力を有するガス源から、CO2を分離・回収する膜分離技術の確立を目指す。
(クラレ、日東電工、新日鐵住金エンジ、RITEで「技術研究組合」を作り実施)
【目標】
【成果】
分離回収コスト低減 1,500円/t- CO2 以下
分子ゲート機能CO2分離膜の
世界トップの分離性能
(IGCC)
原ガス
非透過ガス
原ガス
スペーサー
原ガス
透過
ガス
透過ガス
スペーサー
集ガス管
分子ゲート
スパイラル
19
【参考】 CO2回収に関する取り組み
固体吸収法
【成果】
【目的】
・ 新規固体吸収材開発
RITE固体吸収材
固体吸収材
細孔内に担持
5.78
6.26
アミン吸収剤
多孔質担体
・吸収液顕熱・蒸発潜熱の大幅低減
・アミン化学吸収液と類似の吸収特性
※ Various Temp.
【開発目標】
石炭火力発電所等の燃焼排ガスに対して
蒸発潜熱
2.5 GJ/t-CO2
顕熱
1.5 GJ/t-CO2
波及効果
(新規用途展開)
反応熱
高性能吸収液
(RITE液)
RITE固体吸収材: アミン系固体吸収材としてトップレベルの吸収性能
固体吸収材
(目標)
・新規固体CO2吸収材料(民間企業検討中)
・閉鎖空間用の再生型CO2吸着剤(試験中)
20
【参考】 CO2貯留に関する取り組み
CO2移行解析 QICSプロジェクト
実験スケジュール
12m
5m
360m
QICS: Quantifying and Monitoring Potential Ecosystem Impacts of Geological Carbon Storage
期 間: 3年間 2011年(研究計画)、2012年(現場実験)、2013年(とりまとめ)
研究目的:
•CCSの環境影響評価に資する情報の提供
•CCSの潜在的環境影響を最小にするための指針の提供
•様々な漏洩仮説を検証するためのモデルの提供
•漏洩の検出とモニタリング手法の指針
•利害関係者、規制当局、一般社会との知識共有
21
【参考】 CO2貯留に関する取り組み
CCS技術事例集作成
【目的】
1.技術的に安全かつ経済的なCCS事業の実施
・経済性、安全性、法令遵守(コンプライアンス)、合意形成の担保
・CCSの普及障壁の低減
2.日本の技術力の海外への発信・展開・普及の支援
・海外での事業展開、国際共同研究への参画
・国際標準化活動、国際機関との連携
【CCS技術事例集のイメージ】
◇誰が使うか
:CCS実施事業者
◇使われ方
:CCSを実施する際に技術的に参考とする手引書として
◇形態 :わが国が保有するCCS技術開発成果を集約。海外事例も参考。
第1編(RBP1)
CO2陸域地中貯留
第2編(RBP2)
CO2海域地中貯留
第3編(RBP3)
CO2分離・回収・輸送
22
Fly UP