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いわき芸術文化交流館「アリオス」中劇場

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いわき芸術文化交流館「アリオス」中劇場
地域文化の創出を喚起するスペース創り
地域文化と人・もの・情報などを有機的に結びつけて、
地方発の文化を創出していこうとする活発な動きがある。
各地の文化施設は、地域住民がより頻繁に
福島県
より満足して使ってもらえるよう、施設計画に配慮を重ねてきた。
いわき芸術文化交流館
「アリオス」中劇場
目指す施設計画に応える空間の様々な利用形態を、
設計:清水建設(株)設計本部、
( 株)佐藤尚巳建築研究所
家具の特徴と共に紹介する。
幾通りもの形に舞台を転換する
画期的な劇場空間。
(株)佐藤尚巳建築研究所代表 佐藤尚巳氏
PROFILE
さとう なおみ
東京大学工学部建築学科卒業、ハーバード大学デザイン学
部大学院修了。
ラファエルヴィニオリ建築士事務所東京事
務所所長、1996年(株)佐藤尚巳建築研究所設立。東京
国際フォーラム、北青山プロジェクト等。
昨年春に大ホールと小劇場が先行オープンしたいわき芸術文化交流館「アリオス」に
中劇場が新たに加わり、今年5月に全館グランドオープンしました。部分開館以来4月まで
の1年間に53万人の来場者があり、施設に対する市民の期待の大きさがうかがわれま
す。
この中劇場の完成で東北地方でも最大規模の芸術文化交流施設となり、いわき市
ばかりでなく東北地方全域からの利用が見込まれています。
敷地北側の平中央公園から見て中劇場は施設の右ウイングを形成しています。全幅
140m、高さ18mの大きなファサードが出現し、改修された公園と一体となって市民に開
かれた憩いの場と芸術文化の環境を提供しています。
4層のバルコニーを通して内部の
活動が見通せ、夜ともなるとバルコニーは足元照明でライトアップされ、大きな行灯照明と
なって公園を照らし出します。
大ホールが音楽主目的の多目的ホールであるのに対して、
この中劇場は、演劇主目的
の多目的ホールとして位置づけられました。多様な用途・演出に対応するために、客席も
プロセニアムの額縁も照明ブリッジも移動可能な画期的な機構を備えています。
これに
よってプロセニアム形式、
スラストステージ形式、ポディウム形式、能舞台形式等の様々な
舞台設定が可能となりました
舞台は幅27m奥行27mの広さがあります。最前部の幅14.4m
(8間)、奥行10.8m
(6
間)
が2分割の昇降式床となっており、客席として利用することも可能です。舞台中央の幅
18m(10間)、奥行7.2m
(4間)
のエリアは束立式の床で構成し、解体可能となっています。
必要に応じて床レベルを変えたり、穴を開けたりでき、様々な演出をすることが可能です。
舞台内には、幅5.4m、奥行2.7m、高さ10mの2層の移動式客席ユニットと同規模の移
動式額縁ユニットが1組ずつあり、
それを移動し設定することで多様な舞台形式を実現でき
ます。舞台内でこれだけの規模のものを動かす機構は日本でも初めての試みでした。
エアー
キャスターで浮上移動させますが、10トンを超える櫓の移動ですから神経を使います。
劇場空間のデザインは、舞台に集中できるように全体的に濃灰色を基調とし、背景とな
ることに徹しました。客席は2層構成で、両翼のバルコニーが客席空間を包み込むように
配置され、移動客席ユニットに連結できる構成としました。客席と舞台がより近く、一体的
な関係を作ることができます。
中劇場(8間プロセニアム形式)/ATS-1305DR特注品(ハイバック席、背折れ席、可動席含む)計683席
客席は劇場空間のデザインのポイントとなっています。濃灰色と橙色の布地を千鳥に
張ることで賑わい感を出す配慮をしました。
ホワイエは大ホールと共通のコンセプトでデザインを纏めています。
4層バルコニーの基壇
部に劇場のボリュームが貫入していることを表現するために、大ホール同様黒い壁面に△断
面のリブ材をランダムに貼りつけ、手摺照明でライトアップしています。床のカーペットは雑木
林の落葉をイメージしてデザインし、大ホールの紅葉とは異なり、落ち着いた印象としました。
施設がグランドオープンしたことで市民の活発な活動の中からいわき発の新しい芸術が
劇場のボリュームが貫入している黒い壁面
09
SCENE
床のカーペットは雑木林の落葉をイメージ
発信されることを楽しみにしています。 (佐藤尚巳)
SCENE
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地域文化の創出を喚起するスペース創り
福島県
8間プロセニアム形式
いわき芸術文化交流館
「アリオス」中劇場
ポディウム形式
中劇場の標準設定。両翼のバルコ
舞 台 奥 に 客 席 ユニットと額 縁 ユ
ニー席の先に客席ユニットを連続さ
ニットを配置し、舞台を客席が挟む
せ、
その先に額縁ユニットを設置し
形 式 。観 客と演 者が一 体となった
ている。客席の奥行きを持たせ8間
演出が可能。客席数は565席。
の間口を確保した形式。客席数が
687席と最も多い。
6間プロセニアム形式
スラスト形式
客席ユニットを抜いて額縁ユニット
8間プロセニアム形式を基本として、
を手 前に移 動し、客 席の奥 行きを
前舞台を下げて客席内にスラストス
短くした形式。舞台の奥行きが深く
テージを設置する形式。
ステージを3
なるので、
それを活用した演出が可
方から囲む形なのでポディウム形式
能。
6間間口で各席数は500席と
同様に観客と演者が一体となった
手頃な規模である。
演出が可能。客席数は517席。
能舞台形式
花道形式
8間プロセニアム形式を基本として
8間プロセニアム形式を基本として
舞 台 上( 一 部 客 席 部 分に張り出
歌 舞 伎 、日本 舞 踊などの舞 台に、
し)に能舞台を設営した形式。客席
花道を設けた形式。
すっぽん迫りの
数は643席。組立式の能舞台は大
設置も可能。客席数は640席。
ホールと共用。
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SCENE
SCENE
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