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水ガラス - 日本大学理工学部

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水ガラス - 日本大学理工学部
平成 22 年度 日本大学理工学部 学術講演会論文集
N-21
バクテリアセルロースと
バクテリアセルロースとシリカの
シリカの複合化による
複合化による透明材料
による透明材料の
透明材料の調製
Preparation of Transparent Bacterial Cellulose and SiO2 Hybrid Material
○佐藤亜悠1, 星徹2, 萩原俊紀2, 矢野彰一郎2, 澤口孝志2
*Ayu Sato1, Toru Hoshi1, Toshiki Hagiwara2, Shoitiro Yano2, Takasi Sawaguti2
Abstract: Bacterial cellulose (BC) is prepared by Gluconacetobacter Xylinums and has extremely high modulus, high strength and
biodegradability. The sodium silicate solution reacts with acid and forms silica. As BC and the silica have the almost equivalent
refractive index, the BC/SiO2 hybrid is expected with that it becomes transparent material. In this study, the transparent BC/SiO2
hybrid is prepared by gelation with the sodium silicate solution and hydrochloric acid using neutralization reaction.
1.緒言
セルロースは,地球上で最も豊富に存在する高分子物質である.その
中でもバクテリアセルロース(BC)は,酢酸菌(Gluconacetodacter
Xylinums)を糖の存在下で培養させたときに生産され,リグニンやヘミ
セルロースを含まない高純度のセルロースである. 酢酸菌はグルコー
スを取り込み、代謝するときにエレメンタリーフィブリルというセルロ
H OH
(S)
O
HO
ース繊維を吐き出す.それが平行束となりミクロフィブリルを、さらに
H
HO
H O
O
(S)
(R) H
H
H
OH
OH
(S)
H
(S)
(S)
H
リボン状のフィブリルを形成する. BC の繊維の太さは植物セルロー
スに比べおよそ 1/100 であり,20~30nm という超極細の構造である.
(S)
H
H O
OH
n
Fig.1 Bacterial cellulose
その微細な繊維が多量の水素結合部位を形成し,それによってヤング率
は極めて高く外部から加わった力に対して変形を受けにくくなる.剛直性や生分解性に優れていることから新素材とし
て期待されている.
水ガラスは,ケイ酸ナトリウムの濃い水溶液で安価である.そのため接着剤,耐火塗料など工業的にも幅広く利用さ
れている.酸を加えるとシラノール基の間で縮合が進み三次元の不定形網目構造が発達しシリカを形成することが知ら
れている. BC とシリカは屈折率がほぼ同値であり, BC の空隙にシリカが充填されることで空気による光散乱を防ぐ
ことができ透明な複合材料の調製が期待できる.
本研究では,BC をシリカと複合化させることで BC の三次元網目構造が骨組みとなった割れても飛散しにくい透明
ガラスの調製を目的とする.複合化する際,透明なシリカの調製が重要となる. そこで水ガラスの中和反応によるシ
リカ調製の条件を検討した.
2.実験操作
【水ガラスと塩酸の中和反応によるシリカの調製】
シリカの濃度が 1 , 3 及び 5 wt%となるように純水で希釈した.そこへ 1 , 6 及び 12 M の塩酸をそれぞれ滴下し,30
分撹拌した.その後,室温で放置した.
【水ガラスと塩酸の中和反応によるシリカの調製~揮発法~】
水ガラスを純水で希釈した.つぎに 6 M の塩酸を滴下し 30 分撹拌した.その後 60 ℃の恒温槽で加熱し生成したシ
リカ濃度がそれぞれ 3 ,4 ,5 及び 10 wt%となるように溶媒を揮発させゲル化させた.
1:日大理工・院・応化 2:日大理工・教員・応化
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平成 22 年度 日本大学理工学部 学術講演会論文集
3.結果・考察
【水ガラスと塩酸の中和反応によるシリカの調製】
Table 1. Reaction condition and Results
concentration of SiO2,
wt%
concentration of HCl, M
1
6
12
1
-
×
△
3
○
-
-
5
-
○
-
○:ゲル化した,×:ゲル化しない,△:ゾル化した
Table 1 に水ガラスと塩酸の中和反応によりシリカを調製した際の反応条件とその結果を示す.濃度 1 wt%の水
ガラスに 12 M の塩酸を滴下し撹拌させると,徐々に白色となりゾル化した.濃度 3 wt%の水ガラスに 1 M の塩
酸を,
濃度 5 wt%の水ガラスに 6 M の塩酸を滴下すると塩酸を加えた部分からすぐにゲルが生じた.
これらより,
水ガラスの濃度が低すぎるとゲルを形成することができず,水ガラスの濃度が高すぎると塩酸と直ちに反応して
しまい均一なゲルは生成できないことがわかった.そこで初めは水ガラスの濃度を低い状態にし,徐々に溶媒を
揮発させ濃度を高くしゲル化を行った.その結果を次に示す.
【水ガラスと塩酸の中和反応によるシリカの調製~揮発法~】
ひび
ひび
収縮
収縮
(a) 3 wt%
(b) 4 wt%
(c) 5 wt%
Fig. 2 Photograph of SiO2 gel
Fig.2 に水ガラスと塩酸の中和反応により調製したシリカの写真を示す
(
(a)
シリカ濃度 3 wt%,
(b)
シリカ濃度 4 wt%,
(c)シリカ濃度 5 wt%)
.シリカ濃度 3 wt%のゲルは透明でシャーレの底/一面にゲルが生成された.一方で,シリカ
濃度 4 wt%とシリカ濃度 5wt%のゲルは,透明であったが収縮とひびが確認された.また,5 wt%の方が収縮率が高くひ
びの発生が激しかった.これは,水ガラスのゲル化速度が水の揮発速度より早いため,ゲル化が進行したのち水が揮発
し,水の毛管力によりゲルが収縮したと考えられる.またシリカ濃度 10 wt%のゲルは,シリカ濃度が 10 wt%になる前
にゲル化が進行し意図した濃度のゲルが得られなかった.
これらより水ガラスと塩酸の中和反応と溶媒を徐々に揮発させることでシリカ濃度 3 wt%, 4 wt%のゲルが調製でき
た.しかしどちらも脆く十分な硬さのゲルが得られなかった.これは,水の揮発と同時に塩酸の揮発も起こり十分にゾ
ル‐ゲル反応が進行せず,脆いゲルとなったと考えられる.そこで塩酸よりも沸点が高い酸である硫酸を用いてシリカ
の調製を行う.その結果については,当日報告する.
5.参考文献
[1] 片山 葉子:コンバーテック,P.6~7,(2001)
[2] M. Nogi, K. Handa, A.N. Nakagaito. H. Yano: Appl. Phys. Lett. 87,243110,(2005)
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