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第26回 海外教育(特別)研究A 上越教育大学
平成 20 年度 第26回 海外教育(特別)研究A (2008 9.14~9.23) ウエストミンスター校 上越教育大学 平成20年度 海外教育(特別)研究A 実施日程 日次 月日(曜) 地 名 1 9月14日(日) 成田空港集合 18:00 各自 成田空港発 20:30 QF22便 2 9月15日(月) 現地時間 シドニー空港着 7:20 シドニー空港発 9:45 アデレード空港着 11:25 アデレード 12:00 (ウェストミンスター・ スクール ) (アパートメント) 13:00 交通機関 予 定 内 容 食事 成田空港に各自で集合,出席確認 カンタスにてシドニーへ (所要時間9時間50分) (機内:泊) 夕:機内 シドニー空港到着,入国手続き QF741便 カンタス航空にてアデレードへ アデレード到着 専用バス ウェストミンスター・スクール出迎え 朝:機内 昼:各自 夕:各自 歓迎会およびオリエンテーション 滞在先へ,ミーティング後自由時間 (アパートメント:Comfort Inn on Marion) 専用バス 3 9月16日(火) 4 9月17日(水) アデレード 5 9月18日(木) (ウエストミンスタース クール) 8:00~ 16:00 歓迎会,授業参観・実習(~19日) 動物園見学(17日・午後) パーティー(18日・夕食) アデレード市内見学(19日・放課後) (アパートメント:泊) 専用バス 6 9月19日(金) 7 9月20日(土) ホテル発 9:00 アデレード市内 9:20 アデレード空港発 14:55 アデレード空港着 17:15 ホテル着 18:20 専用バス アデレード市内見学(ワイナリー・工場見学) QF756便 カンタスにてシドニーへ (シドニーホテル:泊) 8 9月21日(日) 9 9月22日(月) 10 9月23日(火) シドニー市内文化探訪(自由行動) 8:00 シドニー市内着 16:00 シドニー市内 専用バス 21:55 成田空港着 6:55 朝・昼・ 夕:各自 シドニー近郊文化探訪:ブルーマウンテン シドニー市内自由行動 16:00~ 19:20 シドニー空港発 朝:各自 昼:各自 夕:各自 専用バス シドニー市内 ホテル発 朝:各自 昼:各自 (校内) 夕:各自 カンタスにて成田空港へ (所要時間9時間) (機内:泊) QF21便 入国手続き後 解散 -1- 朝:各自 昼:有 夕:各自 朝:機内 引率教員の報告 -2- 海外教育(特別)研究 A<オーストラリア>に参加して 理科分野 大場孝信 最初は不安をかかえながら出発した学生の皆さんが、成し遂げたという自信を持って無 事、元気に帰って来られたのが最大の成果だったと思います。 5 月、アイバン先生による英語のトレーニングが始まり、回をおう毎にオーストラリアで の各班の授業内容が組み立てられていきました。多少完成度は違いましたが、7 月の終わり にはほぼ各班 2 時間分の授業が完成していました。 事前の交渉は臼杵先生が、その後、授業内容については角谷先生と新井さんがウェスト ミンスタースクールの亀井先生と交渉していいただき、さらに新井さんには出発から帰国 までのスケジュールなどの諸手配をやっていただきました。心より感謝しています。私は 何をしていたかと言えば、学生の名前と顔が一致するよう努力していました。ただ心配だ ったのはシドニーの入国の審査で、日本から持っていく墨などが没収されるのではないか ということでした。実際は、心配と裏腹に、入国審査のため列の後で、入国手続きで手間 取っていた 2 人の学生をまっていたら、男性の審査官に口頭で審査され、さらに女性の審 査官に「come on」と呼ばれたので行ってみたら、裏ゲートから出ていいということでした。 彼は待てと言っているのですが彼女はさらに強い口調で「come on」と呼ばれ、彼女の迫力 でオーストラリアに全員無事入国することができました。 アデレード空港に着くと亀井先生と美術のウオーカー先生が待っていてくれ、途中昼食 を済ませた後、スクールバスでウェストミンスタースクールに着きました。日の丸が掲揚 してあり、歓迎してくれていると思いうれしくなり、いよいよだなーと言う実感がわいて きました。 オリエンテーションがあり、マクロクラン先生(副部長)のお話と教育実習の規則など プログラムが渡され説明がありました。6 限目の 3 年生の日本語授業参観で、子どもたちが 列を作って入室してきて、授業の前に我々それぞれにコアラの人形をプレゼントしてくれ ました。大変感激しました。マクロクラン先生の運転で宿舎へ送ってもらい、荷物を置い た後、亀井先生に歩いて五分の所にある八百屋、肉屋、スーパーなどに案内してもらいま した。 8 時出発 4 時帰宅の実習生活が始まりました。1 日目の初めての授業は最初だったので、 かなり緊張していましたが、回を重ねるごとに前回の反省を踏まえて、だんだんと良くな っていきました。紙を見ないで、しゃべるようになり、子どもたちと仲良く話しながら作 業したり、授業でいっしょにゲームをしたり、授業の合間にサッカーをいっしょやったり して子どもたちと積極的に関わり合おうとしていました。教室から教室へ移動する時には 会う子どもたちが「こんにちわ」「おげんきですか」など積極的に声をかけて挨拶してくれ ました。亀井先生達の教育成果が十分にはっきされている結果ではなかったでしょうか。 ウェストミンスタースクールは幼稚園、初等部(~中1)、高等部(中2~高 3)の子ど もたちが 1000 名ほどおり、卒業生の 70%位が、大学に進学するそうです。オーストラリ アも最終学年で、全国一斉のテストがあり、卒業資格とその成績で大学を選ぶ権利を得る そうで、最終学年は大変だそうです。 -3- 最終日はマクロクラン先生の運転で、亀井先生、マクロクラン先生の娘さんと息子さん、 Mori 先生の夫の妹さんで、マクラーレンベールに学生の希望でチョコレート工場により、 ワイナリーに行きました。ブドウ畑の中にワイナリーがあり、なかなかすばらしい景色で した。もちろんワインを満喫しました。アデレード空港に向かうバスの中で、マクロクラ ン先生のお子さん達と学生たちは「あっち向いてほい」で最後までもりあがっていました。 特に、亀井先生には授業の内容にふさわしい学年を選んでいたり、不慣れな我々の面倒 を見ていただいたり、自宅でバーベキューパーテイーをしていただいたり、アデレード市 内を案内していただいたり、動物園や博物館を案内してくださったり・・・・と数限りあ りません。本当にありがとうございました。マクロクラン先生はンピューター授業をやっ ておられたり、低学年の授業をやっておられたりで、大変忙しかったのではないでしょう か。その忙しい中、毎日送り迎えをしていたき、色々な所へ連れて行っていただき心から 感謝申し上げます。また貴重な体験をする機会を与えていただきありがとうございました。 最後になりましたが、我々は「We love Australia」となりました。私の場合は again で すが、このような交流が今後とも続き、深まっていくことを心から願っています。 -4- 海外教育(特別)研究 A の引率者として参加して 学習臨床研究 角谷詩織 1.この授業と今年度の受講生 大学 1 年生も多く,教育実習さえしたことのない学生たちが,英語で教育実習をすると いうことが,この授業の大きな特徴だろうと思います。授業といっても,遊びの要素を組 み込みながら,子どもたちが日本の文化に親しむ機会を提供するというものですので,諸 教科の専門的な知識が必ずしも必要とはされません。その点で,大学 1 年生も参加可能な プログラムだと思います。 今年度は,学部生,大学院生ともに,主体性をもって非常に真面目に取り組んでいたと 振り返ることができます。事前準備の段階から,実に熱心に取り組んでいました。改善し たほうが良いのではないかという意見に対しては,改善の要望が出た点だけでなく,全体 の質が向上していて,こちらが驚くということが何度かありました。このようなメンバー の引率者としてプログラムにかかわることができたのは,本当に幸せだったと思います。 2.ウエストミンスタースクールで ウエストミンスタースクールでの実践は,もちろん,とても素晴らしい出来だったと思 います。具体的な素晴らしかった点,また,今後の日本での授業実践においても当てはま る留意点などは,毎日,授業後に行ったミーティングの記録を見返していただければと思 います。 授業以外の場面でも,学生たちに感心したことは多々ありましたが,その一つとして, ウエストミンスタースクールの子どもたちとの交流があります。学生,院生は,休み時間 に,辞書を片手に子どもと一緒に遊んでいました。翌日の授業の準備,セリフの暗記等で, 気分的には遊ぶモードになれないような時もあったかもしれませんが,子どもと関わるこ とを通して学びあうことを優先していた姿は,とても意味の深いものだと感じました。ま -5- た,挨拶もあまりできないような学生をときどき見かけますが,今回は,バスの運転をし てくださったマクロクラン先生には,常に主体的に元気な挨拶をかわしている姿を毎日目 にし,私自身も気持ち良く過ごすことができました。 3.アデレード,シドニーで 非常に真面目なメンバーがそろっていたので,アデレードやシドニーでの課外活動時間 についても,問題なく過ごすことができました。アデレードでも,マーケットでの食料の 買出しからはじまり,無料の博物館見学,公共交通機関の利用等,わずかな時間ではあり ましたが,オーストラリアの文化,習慣を肌で実感したことと思います。シドニーでは, 実習もすべて終了したこともあり,のびのびした気持で現地の文化・習慣に触れることが できました。 私自身,オーストラリアは初めてでした。建築物,博物館,美術館は非常に興味深か ったです。しかし,ファッションにあまり惹かれるものがなく,購買意欲はまったく湧き ませんでした。換金したドルがだいぶ余ってしまいました…。 4.おわりに この授業を受講した学生,院生は,非常に貴重な体験ができたと思います。海外での実 習,海外での子どもたちや人々との交流を経験することによって,国の違い,文化の違い 等,違いを実感するとともに,国を超えた人間の特性,人間の発達に必要な教育の在り方 にも気付いたと思います。また,日本の教育の特徴などに対しても,具体的な比較対象が 増えたことによって,今まで以上に理解が深まったのではないでしょうか。この体験を, ぜひ,今後に生かしてください。 このプログラムに多大なるお力添えをいただきました,ウエストミンスタースクールの 亀井先生,マクロクラン先生,上越教育大学の大場先生,北條先生,臼杵先生,新井さん に心より感謝申し上げます。 -6- 各班の報告 1班 2班 3班 -7- 1班 プレゼン報告 「書道」「盆踊り」 水野 睦子 小野寺 金澤 智実 山下 光里 青栁 智美 雄己 ◇書道 私たちのグループでは、今でも生活の中に習慣として残っている日本文化を伝えようと いう考えの下、「書道」を計画した。学校の書写で書く字を書くのはどうかという意見が出 たが、ただ書くだけではつまらない。墨絵は竹や桔梗や風景など日本の自然を描いたもの が多く、オーストラリアの子どもたちにとってはあまりにもなじみがないので難しい。こ うして考えていく過程で、日本文化である筆、書道、書写、干支、年賀状等について改め て考え、それらの背景、由来について学ぶことができた。そこで、単元名は「筆を使って みよう」、ねらいは「筆を使って自分の名前と年賀状を書くことを通して、日本文化への理 解を深めてもらう」とした。 実際授業を組み立てる時には、まず3年生の書写の指導書を参考に、正しい筆の持ち方・ 書き方から勉強を始めた。日本文化として教えるのだから、正しい方法を伝える義務があ ると思ったからである。次に授業の導入では、どうしたら興味・関心を持ってもらえるか、 みんなでアイデアを出し合った。勉強している時に驚いたのが、筆の毛はいろいろな動物 から出来ている事である。そこで、模造紙の真ん中に筆、その周りに豚・鹿・狸・馬・兎・ 孔雀・白鳥・イタチのイラスト描いたもの を作成した。 次に展開は年賀状には干支が関係するの で、十二支についての説明も入れることに した。また、オーストラリアではクリスマ スカードが主流で、クリスマスカードに新 年の挨拶も入れると聞いたので、日本の年 -8- 賀状の意味や、「一年の計は元旦にあり」 という諺を通して、日本の新年に対する思 いについても取り入れた。また、子どもた ちは自分の名前をカタカナで書くことが できると聞いたので、年賀状のほかにカタ カナで自分の名前も書くことにした。授業 後に、書いてもらった年賀状と自分の名前 を書いた紙を色画用紙に貼り、それを記念として子どもたち一人ひとりにプレゼントしよ うということになった。 ○授業を実際にやってみて ~1回目の授業の反省~ 4年生が参加した。実際に授業をしてみて、私たちの予想外のことがたくさんあった。 1人1人名前の文字数が違うので早く書けてしまう子や丁寧にゆっくり書いている子など がいた。また、年賀状作成において「賀正」と「あけましておめでとうございます」のど ちらを書くべきか、迷っている子が多かった。授業の開始前に必要なものをすべて配って おいたので机の上がまとまっていなかった。さらに、予定より 10 分早く終わってしまい、 亀井先生が最後にその授業で勉強した十二支をもとにビンゴをしていただき、授業がさら に盛り上がったものになった。1回目の授業の反省点を踏まえ、2回目の授業における改 善点は以下の5点である。 ・作業がしやすく、机の上が整頓されているようにその都度、紙・道具を配布することと した。 ・時間の余裕があったので、名前の練習用紙を3枚から5枚に増やした。 ・「あけましておめでとうございます」を年賀状に書くとき、日本文化である右から書くよ うに指示をした。 -9- ・年賀状「賀正」と「あけましておめでとうございます」の両方を練習できるように練習 用紙を1枚から2枚に増やした。 ・作業が終わった後、年賀状に色つけ・メッセージ記入をする。 ~2回目の授業~ 5年生が参加した。1回目の授業の反省を生かして、授業を進めることができた。また、 「賀正」と「あけましておめでとうございます」の両方を練習して本番に臨む児童が多く、 年賀状に書く名前のバランスも考えて書くことができた。最後に、早く終わった子どもは 年賀状に書かれたネズミに色をつけたり、メッセージを書くなど各々が工夫したりする姿 があり、私たちが思っていた以上にかわいい年賀状が完成した。 ~感想~ 子どもたちにカタカナの名前をプレゼントすることができ、その名前を一生懸命練習し ている姿が印象的だった。干支については1回目の授業をした4年生は学習し終えていた ので十二支を全て日本語で表現してくれ、とても授業が盛り上がった。授業全体を通して、 私たちが計画していたよりもスムーズに進 んでしまったため1回目の授業は亀井先生 が便ゲームをしてくださった。筆の使い方も 説明通り上手に使い、立派な字を書く子が多 く、びっくりした。文字の練習などをしてい るなかで、コミュニケーションをとる機会が 持てた。 ◇盆踊り 実習の二つめは、「盆踊り」を行った。その理由として、子ども達と一緒に体を動かすこ とができるような活動であることと、尚かつ日本文化が分かるようなものであることとい - 10 - う案で考えた結果、盆踊りをやってみようということで決定した。 日本三大盆踊りに挙げられる、岐阜県 の郡上踊りを題材に、その中の一つであ る「かわさき」を用いて行った。準備と しては、少しでも盆踊りの雰囲気を味わ ってもらおうということで、浴衣や甚平、 はっぴを実際に着用したことと、映像を 用いて日本文化である祭りや盆踊りに ついての説明を行ったことである。具体的には、パソコンのスライドショーを利用して、 写真や音、動画などを用いながら春夏秋冬の祭りがあることや、祭りを行う理由などを説 明した。中でも夏祭りに焦点を置き、花火、やぐら、太鼓、盆踊りなど様々な写真や動画 を用いて祭りの紹介を行った。その後で、実際に踊りの練習を行い、子ども達が踊れた段 階で太鼓を囲んで大きな円を作り、音頭に合わせて踊りを踊った。 また、雰囲気作りのもう一つのアイディア として、うちわとはちまきを子ども達に配布 した。それらを身につけて一緒に踊ることで、 日本の盆踊りについてより本格的に味わって もらおうということを念頭に置いた。 授業実践を行ってみての反省点は、事前に 準備していたにもかかわらず、当日になって ノートパソコンでのトラブルが起きたことや、踊りの練習をするときの立ち位置や指示を 出すときの英文がとっさに出てこなかったということだ。空白を作らないように、亀井先 生に手助けしてもらってしまったなどといったことが起きてしまった。他にも、前日にな って踊りの練習を行った際に、音源と踊りが一致せず、協力してくれた他のグループの方 にも迷惑をかけてしまうなどといったことがあった。もう少し、グループ内で事前に集ま って踊りの練習をしたり、当日の授業の流れについてなどのリハーサルをしたりするなど - 11 - の、準備をより多く設けておくべきだったと 考えられる。 授業実践で良かった点は、子ども達と一緒 に円になって盆踊りを踊った際に、普通の音 源で踊るだけでなく、テンポを速めたものを 入れてゲーム感覚で楽しめるよう配慮した ことである。この点については子ども達自身 にも楽しんでもらえ、見ていた先生方からも好評であったので、導入して良かったと考え られる。他にも、スライドショーで写真を見せた際に、子ども達が飽きないようにオース トラリアでも人気の高いキャラクターの写真を用いた。その結果、子ども達の反応を見な がら授業を行うことができ、また、子ども達も楽しみながら授業を受けてくれたのではな いかと感じた。 実際に授業をしてみての感想は、授業の準備や教材作りなど事前の準備がたくさんあり 大変であったが、そんなことも忘れるくらい楽しく授業を行うことができたということだ った。自分たちの授業だけではなく、他のグループの授業に参加したりすることで、参加 したメンバーとの交流や親睦も深められ、よりチームワークを深めることができとても良 かったと思う。はちまきを配布した際には、知らないと思っていたはちまきを、子ども達 が知っていて、私たちが説明をする前に自ら頭に巻いたのでとても驚かされた。盆踊り事 態も知っている子が数人いて、自分たちが思 っている以上に日本文化のことを理解してい たことに感心した。盆踊りのテンポアップし たゲームを行った際も、簡単な踊りのため子 ども達がすぐに飽きてしまわないか心配して いたが、思った以上に盛り上がり、子ども達 からも「もう一回やりたい」といった声が出 ていたのでとても嬉しかった。 - 12 - また、他のグループの良いところを自分た ちの授業実践の際に取り入れたり、意見を聞 いて次の授業に生かそうとしたりするなど、 自分たちのグループの枠を超えて海外研修 に参加したメンバー全員の協力を得ること ができたことは、とても良かったと感じてい る。 特に、盆踊りは子ども達が楽しんでくれるのか、盛り上がるかどうかがとても不安であ った。そのため、他のグループのメンバーが協力してくれたことや、子ども達自身も積極 的に参加し、楽しんで授業を受けてくれたことがとても印象に残っている。準備不足では あったが、色々な人の協力のおかげで、こうして授業実践ができたことがとても嬉しく、 またよい勉強になったと思っている。 ◇プレゼン全体を通して プレゼン全体を通して、授業は準備がとても大切であることがわかった。これは日本で 行う授業も同じであると思う。また、ねらいをはっきりさせ、そのねらいを達成するため に、何を、どのように教えるかを考えていく。そのためにどのような工夫をすることが出 来るか、そこが重要なこともこの授業を通してわかった。 また、英語力を身に付ける必要性を実感した。オーストラリアでは英語で授業を行った が、授業中は亀井先生がフォローしてくださったので、私たちが思っていた内容を伝える ことができた。しかし、子どもたちと直接コミュニケーションをとり、理解し合うために はツールとして英語が必要である。もっと英語が出来れば自分の気持ちを伝えられるのに、 もっと詳しく説明出来たのに、と何度も悔しい思いをした。この悔しさを今後の原動力に し、英語の勉強に取り組んでいきたいと思っている。 - 13 - CHASEY and SUGOROKU 2班 太田雅彦 前田豪 瀧澤恵美 下田悠果 私たちのグループはオーストラリアの子どもたちに日本の伝統的な遊び、日本独特の遊 びを知ってもらおうと思い、鬼ごっことすごろくのプレゼンテーションをしました。鬼ご っこはオーストラリアでも遊んでいると思ったので、日本らしく特別なルールを加えて遊 ぶ、地蔵鬼と手つなぎ鬼をやろうと決めました。地蔵鬼では地蔵の紹介を加えながらルー ルを説明し、遊びだけでなく日本の神様についても知ってもらうことが出来ました。私た ちも子どもたちと一緒になって走り回り、地蔵鬼と手つなぎ鬼を楽しみました。すごろく は既製品では意味がないと思い、自分たちで日本地図のすごろくを作りました。日本の名 所や有名なものの絵や写真を多く取り入れ、 色を塗り、見た目も楽しめるようにしました。 また、子どもたちとコミュニケーションが取 れるように指示の中に私たちの名前を入れる などの工夫もしました。折り紙で折った鶴を 駒にし、また1位の子にポケモンのステッカ ーを配るなど日本らしさを十分に発揮させた すごろくが出来上がりました。 *①時間目-鬼ごっこ(地蔵鬼) 我らが2班の記念すべき初授業は,ウエストミンスターでの2日目,第三限におこなわ れました。対象は2年D組。内容は「地蔵鬼」。着替えを済ませ,準備万端(?)で子どもた ちを待ちます。会場は ForderCentre 体育室。前日の見学時,軽快な音楽とともに子どもた ちが運動をしていた場所です。広さが気になっていましたが,2年生が走り回る分には十 分なスペースで安心しました。 少しずつ緊張感が高まっているところに子どもたちが登場。2年生かわいい!所定の場 所に座ってもらっていざ授業の開始です。まずは「地蔵」の説明から開始。どの程度理解 - 14 - してくれたかは分かりませんが,事前のプレゼンのときよりバージョンアップした写真で おおまかなイメージくらいはつかんでくれたかな?と思います。お地蔵様に関しては,普 通に道端にいて,身近な存在であるこ とも強調したかったのですが,宗教上 の問題や説明が長くなりすぎてもいけ ないということで,簡単な説明にとど めました。これは正解だったと思いま す。続いて,鬼ごっこの説明。オース トラリアでは,鬼ごっこのことを”tag” ではなく”chasey”,鬼のことを”tagger”ではなく”it”と呼ぶことを事前に亀井先生からアド バイスしていただいたおかげでスムースにできました。最後にもっとも重要なルールにつ いての説明。ここは言葉だけではうまく伝わらない部分なので,とにかく「やって見せる」 ということを基本に考えました。緊張感からかみんなの動きがかたく,どの程度伝わった のかは分かりませんが,亀井先生からのフォローもあり,無事にスタートすることができ ました。 いざはじまってみると子どもたちが積極的に活動してくれて,大いに盛り上がりました。 他の班の人たちもたくさん参加してくれて,とても楽しい授業になったと思います。 しかし,ここでトラブル発生! 1つ目は靴ひもがとれて,危険な子どもがたくさんいたこと。途中で先生からのアドバ イスがあり,気がついたところで結ばせたも のの,子どもたちの意識は鬼ごっこに夢中で 徹底できません。そうこうしているうちに, 同時に地蔵の足をくぐろうとした子ども同 士が頭をぶつけてしまう事故まで起きてし まい,課題と反省点が数多く残りました。時 間も早く終わってしまい,亀井先生が急遽ゲ - 15 - ームで時間を埋めてくださったおかげでなんとか無事に授業を終えることができた,とい うのが正直な感想です。1回目の授業を終えた時点で明らかになった課題としては… ① 靴ひも:開始前に徹底。ゲーム中も常に気にする。 ② くぐる方向:説明時に方向を統一(前から後ろへ)。危険性についても実際にやって 説明。 ③ 緊張感で声が小さくならないように。 ④ 身振り手振りを交えて分かりやすく説明をする。 これらの課題を改善して2回目の授業に臨みました。 *②時間目-すごろく 前日は夜遅くまでミーティングをし、何回も導入の部分のセリフあわせをしました。ぐ だぐだになってしまいそうだったデモンストレーションの内容は再度しっかり確認し、初 めの自己紹介の時の対応も子どもたちの反応によって変えられるように練習しました。ま た、1回目の授業、地蔵オニのときの反省、①英文はしっかり覚えておくこと、②緊張し ても説明が早口にならないようにすることを注意し、英文の練習も繰り返しましたが、「セ リフなんて所詮自分の言葉じゃないんだから、 覚えるのなんて無理。それよりも子どもたち に語りかけるように話すほうが大事だ。」とい う太田さんの名言を心にとめて、英文がとん でしまっても落ち着いて、子どもたちに語り かけるように授業しようと思いました。 授業開始時、予想外だったことがおきました。クラスの人数がすごく少なかったことで す。ただ、他の班の人たちに参加してもらうことは決めていたし、人数が減っても、使う 机が少なくなっただけだったので、その人たちに場所を移動してもらうだけで対応でき、 混乱することなく授業に入ることができてよかったです。また、自己紹介やデモストレー ションも昨夜の練習のおかげで前回よりは落ち着いてすることができたと思います。練習 - 16 - はやっぱり大事でした。 授業は、私たちが想像していた以上に盛り上がったので、びっくりしました。しかし、 子どもたちが楽しんでくれたようなの で、すごく嬉しかったです。また子ども たちから、私たちに質問したり教えてく れたりするマスもあったので、地蔵オニ の時はあまりできなかった、子どもたち と話す機会がもてたこともいい経験に なりました。他の班の人たちや先生方に 手伝っていただいたからこそ、盛り上がってゲームを進めることができたと思います。本 当に感謝です!また、すごろく自体も目で喜ばせられる教材になったという言葉をいただ き、出発前ギリギリまで色を塗っていた甲斐があったなぁと思いました。 ただ、反省点として、①ゲームの終わり方が統一されていなかったことや②賞品の渡し 方がバラバラになってしまったこと、そしてやはり、③はじめの自己紹介・導入のところ で、声が小さくなってしまったり英語の説明が早口になってしまったりしたことがありま した。予想以上のすごろくの盛り上がりに驚き、喜びながらも、わたしたちはこれらの点 を改善し、3回目の授業にさらなる向上を臨もうと心にきめました。 *③時間目-鬼ごっこ(地蔵鬼、手つなぎ鬼) 一回目の地蔵鬼で上がった課題を改善しようと決め、みんなで授業に望んだ。まず、1 つ目の課題は子どもたちが地蔵の股の間をくぐる際に、両方向から二人がくぐろうとする と頭同士をぶつかってしまうということだ。これを解決するために、前方向からのみ股を くぐるというルールにした。英語での説明中、実際にやってみせることにより子どもたち にしっかり伝わったようで、本番中に後ろからくぐる子どもはいなかった。それにより、 一回目の地蔵鬼で起こった、子ども同士が頭をぶつけるという事故も未然に防ぐことが出 来た。また、子どもたちの前に学生が立って説明する際、子どもたちが見えやすいように - 17 - 学生の体を横向きにしたのもこ のルールの理解につながったと 思われる。2つ目の課題としてあ がったのが、靴ひもへの注意を徹 底しようということだ。最初の鬼 ごっこの授業では靴ひもへの呼 びかけがほとんど出来なかった ので、授業中何度も繰り返しこれ をやろうと決めた。本番では、他の班の学生の協力もあり子どもたちの靴ひもはいつもき ちんと結ばれていた。 危機管理以外の課題として、授業内容で改善しなければならないことも二点あった。一 点目として地蔵鬼だけをやるのでは、高学年の子どもは飽きるのではないかという問題だ。 予想は的中し、授業の半ばで子どもたちの中には、体力的にも疲れてきてもう続けられな い様子の子も中にはいた。そこで、もしも子どもが地蔵鬼に飽きてしまったときのために 準備をしてきた「手つなぎ鬼」を授業の後半にやってみることにした。手つなぎ鬼は地蔵 鬼と比べて動きが激しくないため、ばてていた子どもも楽しそうに参加していた。現場で 働いている亀井先生には、 「あそこで手つなぎ鬼に切り替えたのは子どもたちの気分転換に なり良かったです。」という言葉を談話会でいただいた。二点目の課題は学生が英語での説 明中にただ読むのではなく、子どもに語りかけるようにするということだ。これは一回目 の授業の反省会で引率の先生方に指摘された課題でもあり、出来るだけ子どもたちの目を 見て説明を進めようと決めた。班員全員がそのことを意識して授業に望んだ。子どもの目 をみることで、説明を受けている子どもがうなずくなどの反応をしてくれた。そして、本 番で多少のミスがあってもアドリブをするなどの余裕も出来た。子ども一人をよく見るこ とが、そのクラス全体を把握するために必要なことだと感じた。 - 18 - この授業で一番心に残ったことは、手つなぎ鬼をやっているときに起こった。それは鬼 が5~6人に増えて、鬼の動きがま とまらずそれ以上捕まえられずにい るときに、学生が「チームワーク!」 と呼びかけた。すると、男の子がそ の言葉を受け盛んに「Team work!」 と叫んで鬼の列をまとめようとした のだ。そこからは、一人に狙いを定 めて鬼たちが協力して次々に逃げる 人を捕まえていった。体を動かす活動は子どもたちとコミュニケーションが取りやすい。 この経験を通じてそのように強く思った。 最後に鬼ごっこがこんなにも盛り上がったわけは、他の班の学生も授業に参加して一緒 に鬼ごっこをしたということが大きい理由だと思う。オーストラリア組全員で作り、そし て学生も子どもたちと一緒に楽しんだ最高の授業であった。 準備段階では本当に間に合うのかと不安で焦りながら作業していたが、4人で協力し合 い、また他のグループの仲間の協力があってこそ授業ができたと思います。Westminster School の子どもたちともつたない英語でコミュニケーションをとりながら一緒になって本 当に楽しめました。子どもたちも日本の遊びを存分に楽しんでくれたと思います。簡単な ルールだったのでこれからも遊んでもらえたら嬉しいです。 授業を重ねる度に、良くなっていくのが実感でき、反省点を改善し子どもたちのことを 考え、工夫をしていくことが大切なのだと思いました。 独自に名札を作ったことで子どもたちが気軽に名 前を呼んでくれて、こういうことも工夫の一つだと感 じました。 - 19 - 「うちわ作り」と「こま作り」 3 班 Ⅰ プレゼンテーション1 大 澤 裕 美 佳 新 保 晴 香 山 田 あ か り 六 田 晶 子 ―うちわ作り― 1.ねらい (1)実際に自分たちの手で作ることで、日本の品物や日本文化に親しみを感じて ほしい。 (2)暑い季節に直ぐに冷房に頼るのではなく、まず出来る範囲で暑さを調節する ことを覚えてほしい。 2.授業の流れ (1)自己紹介 (2)うちわの作り方についての説明 (3)うちわの柄の作り方の説明 (4)うちわの柄作り (5)うちわの完成 (6)完成品の紹介 (7)終わりの挨拶 3.工夫点 (1)うちわの柄作りで、どのような物を作ればよいかイメージできるように、作 品例を紹介した。 (2)柄を作る時に、うちわの紙を破かないように、あらかじめ別の白い紙を用意 しておいた。そこへ絵を描いたり、折り紙を貼ったりしてもらった。 (3)あらかじめ紹介した折り紙の柄については、図入りの英文で書かれた折り方 - 20 - の紙を用意した。 4.授業の実際 授業は、小学3年生と5年生を対象に2回行いました。無地のうちわに折り紙、千 代紙、カラーペンなどで柄を作り、世界に一つだけのうちわにするというものです。 子どもたちの作る柄で多く見られたのは、男子はポケモン(特にピカチュー)、女子 は桜やハートでした。どの子もそれぞれ思い思いの柄を楽しそうに作っていました。 最初に行った3年生の授業では、折り紙や千代紙を好きな形に切ってうちわの面い っぱいに散りばめて貼り、折り紙を折って使う子どもが少なかったので、5年生の授 業では、私たちが折った鶴や浴衣などを各グループに配りました。結果、多くの子ど もがそれらの折り方に興味を示し、折り紙や千代紙を折って柄とするようになりまし た。 どちらの授業においても、各自が作ったうちわを見せ合う時間になると、どの子も 笑顔で元気よくうちわを掲げてくれたことが印象的でした。 <3年P組での授業風景> 5.感想 - 21 - ・ 色々な英語での説明を一生懸命聞いてくれているようだったが、きちんと私たち の言いたいことが伝わっているのかどうかが不安だった。 Ⅱ ・ 折り紙の折り方を聞かれた時に、上手く説明できないものがあり、残念だった。 ・ 完成したうちわをさっそく使ってくれる子が何人もいて、とても嬉しかった。 プレゼンテーション2 ―こま作り― 1.ねらい 日本のこまを実際に自分たちの手で作ることによって、さらに日本文化に親しみ を感じてもらう。 2.授業の流れ (1)自己紹介 (2)こまの歴史・種類の紹介 (3)こまの作り方の説明 (4)こま作り (5)こま回しの練習 (6)終わりの挨拶 3.工夫点 (1)一人ひとりスムーズに作業ができるように、あらかじめダンボールにこまの土台 となる円を描いておいた。 (2)自分の好きな絵を描きたい生徒と、見本で掲示した模様を描きたい生徒の両方に 対応出来るようにするために、こまの模様を描く紙は、白紙と塗り絵紙の両方を 用意した。 (3)好きな模様にチャレンジしてもらえるように、こまの模様の塗り絵紙は数種類用 意した。 - 22 - (4)こまが一度完成した後でも、数種類のこまの柄を楽しんでもらえるように、柄の 着せ替えが可能なこまにした。 4.授業の実際 授業は、7年生を対象に行いました。日本の文化である「こま」を実際に作り、遊 んでほしかったからです。事前にこちらでこまの形となる円をダンボールに描いてお き、それを子どもたちが切り取り、こまの模様を描いて完成です。 高学年であったため、作業が始まると黙々と手際よく作っていました。しかし、ダ ンボールに楊枝を刺す時の説明が足りなったためか、想像以上に楊枝が折れてしまい ました。そのため、予備の楊枝が足りなくなってしまう事態が起きましたが、テープ で張り付けるなどして各自対処してくれていました。こまの模様も、見本を参考にし ながらカラフルに色塗りをしていたり、用意された柄と白紙の紙を組み合わせて作っ ていたりと、一人ひとり工夫して作っていたので嬉しかったです。こまを回すのに苦 労していた子もいたようでしたが、楽しそうにこまを回していました。中には、とて も上手にこまを回している子もいました。 授業が終わった後も自分の作ったこまで遊んでくれている子や、見せ合いっこをし ている子がいてよかったです。 <7年M組での授業風景> - 23 - 5.感想 ・ みんな黙々と授業に取り組んでくれていてよかった。 ・ ダンボールを切る作業に予想以上に時間を取られてしまった。 ・ 楊枝にダンボールを刺す作業が説明通りにできていない生徒がいたので、こまの 説明をもう少しゆっくり読めばよかった。 ・ 楊枝が予想以上に折れてしまったので、もっと予備の楊枝をたくさん持っていけ ばよかった。 ・ こまの柄を描くとき用意した柄と白い紙を合わせて柄を作るなど、一人一人が工 夫し、作っていたのでよかった。 ・ Ⅲ とても上手にこまを回している子がいてびっくりした。 最後に 今回、「うちわ作り」と「こま作り」の2つの授業を行うにあたり、計画段階から実 行に至るまで、何度も試行錯誤を繰り返しながら準備をした結果、無事に授業を終える ことができました。これもグループのメンバー一人ひとりが力を出し合えたためだと思 います。グループメンバーに改めて感謝します。 また、授業についてご意見をくださり、現地でも行動を共にした1・2班の皆さん、 研修に向けて事務手続きを取りまとめてくださった国際交流チームの皆さん、英語の指 導をしてくださったブラウン先生、授業計画についてご指導やご助言をくださり、引率 でもお世話になった大場先生と角谷先生、現地でのサポートをしでくださったダレン先 生と亀井先生、本当にたくさんの方々のお力をお借りして、これらの授業を無事に終え ることができました。本当にありがとうございました。 - 24 - <5年H組の子どもたちとの記念撮影> - 25 -