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品目分類:果樹,技術分類:品種 ナシ新品種「凜夏」(りんか)の特性 情報
品 目 分類 :果 樹 ,技 術分 類 :品 種 ナ シ新 品 種「 凜夏 」( りん か) の 特性 情 報 分類 普 及情 報 〔 要約 〕「 凜夏 」は 盆前 の 高単 価 期に 収穫 で き, 大果 で 食味 の よい 早生 品 種で ある 。「幸 水 」 に 比 べ 短 果枝 花 芽 の 着 生が 多 く , 秋 冬 季 が温 暖 な 年 でも 花 芽 の 枯 死 が 少な く 収 量が 多い こ と か ら, 早 生ナ シの 新 品種 とし て 有望 で ある 。 果 樹部 北 薩分 場 普 及対 象 地域 等 県 内全 域 のナ シ 栽培 農家 ( 37ha) 連 絡先 普及 見込 面 積等 0996-42-0049 10ha 〔 背 景・ ねら い 〕 本 県 で は, 盆 前 の 高 需 要 期に 出 荷 で き る主 力 品 種 と し て「 幸 水 」 が 最 も広 く 栽培 さ れて い る が , 果 実 が小 さ く , 生 産 安 定や 高 品 質 の 果実 生 産 に 必 要 な短 果 枝 の 着 生 が少 な いた め ,生 産 が 不 安 定な 面も あ る。また ,秋冬 季 が温 暖な 年 には 花芽 が 枯死 す る等,発芽 不良 の 症状 が 増加 し, 生 産 を 一 層不 安 定 に し て い る。 そ の た め ,盆 前 の 高 単 価 期に 収 穫 で き , 栽培 が 容易 で 安定 生 産 で き る優 良な 早 生品 種が 望 まれ て いる 。 〔 成 果の 内容 ・ 特徴 〕 1 「凜 夏」 の 収穫 盛期 は 8月 上 旬で 「幸 水 」と ほぼ 同 時期 で ある (表 1)。 2 糖度 は「 幸 水」 と同 程 度で , 果肉 が軟 ら かく 食味 は よい ( 表2)。 3 樹 冠 占 有 面 積 1 ㎡ 当 た り の 花 芽 数 は ,「 幸 水 」 に 比 べ て え き 花 芽 は 少 な い が , 短 果 枝 花 芽 は 多く ,合 計 の花 芽数 は 「幸 水 」の 約2 倍 であ る( 表 3)。 4 収穫 果実 の 1果 平均 重 は「 幸 水」 より 大 きく (表 4), 大 玉果 割 合が 高い ( 図1 )。 5 樹冠 占有 面 積1 ㎡当 た りの 着 果数 およ び 収量 は「 幸 水」 よ り多 い( 表 4)。 6 花 芽 の 枯 死 率 は ,「 幸 水 」 で は 短 果 枝 花 芽 で 18.9% , え き 花 芽 で 34.2% で あ る の に 対 し , 「 凜夏 」で は いず れも 5 %以 下 と低 い( 表 5)。 〔 成 果の 活用 面 ・留 意点 〕 1 県内 のナ シ 栽培 地域 に おけ る 早生 品種 と して 活用 で きる 。 2 常 温 にお け る 日 持 ち 性 は1 週 間 程 度 で「 幸 水 」 よ り 長く , み つ 症 や 芯腐 れ など の 生理 障 害 は 少な い。 3 「 凜 夏」 は 独 立 行 政 法 人農 業 ・ 食 品 産業 技 術 総 合 研 究機 構 果 樹 研 究 所に お いて 育 成さ れ , 平 成25年に 品 種登 録を 出 願し , 同年 11月 22日に 出願 公 表さ れ てい る。 4 交配 組み 合 わせ は, 269-21(「 豊水 」× 「お さ 二十 世紀 」) ×「 あき あ かり 」で あ る。 〔 具 体的 なデ ー タ〕 表 1 生態 特 性の 比較 (北 薩分 場 ,平 成 23~ 25年 ) 品 種名 表2 果 実 品質 の 比較 (北 薩 分場 ,平 成 23~ 25年 ) 樹勢 開花 盛期 収 穫 盛期 品種 名 糖度 果 肉 硬度 (lb) 凜 夏 中 4月 4日 8 月 10日 凜 夏 12.4± 0.2 4.10± 0.12 幸 水 中 4月 9日 8 月 9日 幸 水 12.0± 0.4 5.03± 0.35 注)平 成25年 での樹齢は,「凜夏」が高 接ぎ 7 年目樹,「幸水」が苗木17年生樹 表3 注)1.平均 値±標準誤差( 3カ年平均) 2.採取 日はいずれの年 も8月10日 3.果肉硬度の単 位(lb)はポンド 花芽 数 の比 較( 北 薩分 場 ,平 成23~ 25年 ) 品 種名 樹 冠占 有 面積 1 ㎡当 たり の 花芽 数 短果 枝 花芽 え き 花芽 合 計 凜 夏 86.1± 9.2 20.7±9.7 106.7± 18.6 幸 水 16.4± 6.2 38.5±7.5 55.0± 6.8 注)平 均値±標準誤差 (3 カ年平均) 表4 収量 性 の比 較( 北 薩分 場 ,平 成24~ 25年 ) 品 種名 1 果平 均重 樹 冠 占有 面 積1 ㎡当 た り 着 果数 収量 (個 /㎡ ) (kg/㎡ ) ( g) 凜 夏 436.4± 18.2 11.2 5.0 幸 水 349.1± 3.8 6.5 2.3 注 )1果平均重は収 穫果の平均値± 標準 誤差(2カ年平 均)で, 樹冠占有面積1㎡ 当たりの着果数 およ び収量は平成25年の み調査 35 表5 凜夏 30 幸水 25 花 芽の 枯 死率 の比 較 ( 北薩 分 場, 平成 23~25年 ) 品種名 ( 割 20 合 15 % 10 ) 5 0 ~250 ~300 ~350 ~400 ~450 ~500 ~550 ~600 階級区間(g) 図1 花芽 の 枯死 率( % ) 短果 枝 花芽 えき 花 芽 凜 夏 1.7± 1.7 5.0± 3.3 幸 水 18.9± 17.9 34.2± 15.9 注)平均 値±標準誤差(3 カ年 平均)で, 「幸水 」短果枝花芽は平 成24~ 25年 の 調査 階級 割 合の 比較 ( 北薩 分 場, 平成 24~25年) 〔 そ の他 〕 研 究 課題 名: 深 刻化 する 温 暖化 に 対応 した ナ シの 安定 生 産技 術 の開 発( 平 22~ 26年 ), 地 球温 暖化 を 利用 し た農 業生 産 技術 等の 研 究・ 開 発( 平25~ 29年 ) 予 算 区 分: 公 募型 ,県 単 研 究 期 間: 平 成25年度 ( 平成 22~26年度 , 平成 25~ 29年度 )