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【投資関連】 〜公共投資は先行きに不安、住宅投資は低調、設備投資は
【投資関連】 【投資関連】 〜公共投資は先行きに不安、住宅投資は低調、設備投資は持ち直し~ ここでは平成 27 年の和歌山県経済を、投資の観点から振り返る。 まず全国の動きをみると、国内景気は緩やかな回復基調とされる中、円安の強まりが企業 利益に寄与したこともあって、設備投資は前年を上回る動きとなった。 次に、住宅投資について新設住宅着工戸数の推移をみると、消費税増税前の駆け込み需要 による影響もあって平成25年の新設住宅着工戸数は高い数値を示したが、平成26年はその反 動減によって落ち込みをみせた。また、平成27年は、住宅ローン金利の低下など政府による 各種住宅支援策※によって消費を喚起するも、前年を下回る動きとなった。 ※各種住宅支援策:フラット 35S、省エネ住宅ポイント、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充など では、和歌山県内の投資動向はどうであったのか。まず、和歌山県内の動きを公共投資の 面からみると、平成 27 年は京奈和自動車道や近畿自動車道紀勢線の延伸に伴う工事などがな されているものの、大型工事の減少もあって、公共工事請負額は前年を下回った。これはこ こ数年、平成 23 年の台風被害の復旧工事や京奈和自動車道及び近畿自動車道紀勢線に伴う工 事などから継続して高い水準の動きをみせていたが、これらの大型工事が減少したことなど もあり、平成 27 年の公共工事請負額は昨年を下回ったと考えられる。(図Ⅱ-1) 図Ⅱ-1 公共工事請負金額の推移(実数) 百万円(和歌山) 和歌山県 全国 百万円(全国) 280,000 28,000 250,000 25,000 220,000 22,000 190,000 19,000 160,000 16,000 130,000 13,000 100,000 H23 H24 H25 H26 H27 10,000 出典:西日本建設業保証㈱「和歌山県の公共工事動向」 次に、住宅投資について新設住宅着工戸数の推移からみると、平成 25 年は消費税増税前の 駆け込み購入がみられ、その影響もあって平成 26 年の新設住宅着工戸数は落ち込みをみせた。 平成 27 年も平成 26 年同様に動きが鈍く前年を下回る結果となった。これを利用関係別にみ ると、貸家については 10-12 月期の好調が全体を押し上げたことで着工戸数は昨年を上回っ た。しかし、持家及び分譲については、前年を下回る動きとなり、特に分譲に関してはマン ション等の共同住宅の着工が低調であったことが響き、昨年に比べ 36.5%の減少となった。 (図Ⅱ-2) - 6 - 第 1 部 平成 27 年の和歌山県経済 持家 図Ⅱ-2 新設住宅着工戸数の対前年同期比の推移 【利用関係別】 分譲住宅 % 30.0 貸家 20.0 合計(給与住宅含む) 10.0 0.0 ▲ 10.0 H23 H24 H25 H26 H27 ▲ 20.0 ▲ 30.0 ▲ 40.0 出典:国土交通省「建築着工統計」 次に、企業の設備投資について着工建築物(全建築物計)をみると、居住専用住宅の減少に よって建築物の数は前年に比べ 3.5%の減少となった。一方、床面積合計及び工事費予定額 については、製造業用建築物が全体を押し上げたこともあり床面積合計では 2.7%の増加と なり、また工事費予定額でも 6.4%の増加となった。(図Ⅱ-3) 億円、千㎡ 工事費予定額 図Ⅱ-3 和歌山県の着工建築物(全建築物)の推移 棟 床面積 建築物の数 2,000 6,000 1,800 5,500 1,600 1,400 5,000 1,200 4,500 1,000 800 4,000 H23 H24 H25 H26 H27 出典:国土交通省「建築着工統計」 最後に、設備投資マインドを県内企業へのアンケート調査((一財)和歌山社会経済研究所) の結果からみると、平成 27 年の 1-3 月期は商業及び建設業が全体を押し下げるなど全産業 の設備投資マインドが低い水準となった。一方、4 月以降は製造業が高水準で推移するなど 全体を押し上げ、全産業の設備投資マインドが持ち直しの動きをみせた。(図Ⅱ-4) 45 図Ⅱ-4 設備投資マインドの推移 % 40 全業種 製造業 建設業 商業 サービス業 35 30 25 20 15 10 H25/1-3 H25/4-6 H25/7-9 H25/10-12 H26/1-3 H26/4-6 H26/7-9 H26/10-12 H27/1-3 H27/4-6 H27/7-9 H27/10-12 出典:(一財)和歌山社会経済研究所「景気動向調査」 - 7 - 【投資関連】 平成 27 年の県内経済を投資の観点から総括すると、公共投資については前年から継続して いる高規格道路等の大型工事が減少するなど、先行きに不安を残す状況となった。また住宅 投資については、分譲を中心に弱さがみられるなど全体的に低調な動きがみられた。最後に 設備投資については、製造業における設備投資意欲の高まりから全業種を牽引する動きとな った。 - 8 -