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動作不能の原因と対策について

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動作不能の原因と対策について
添付資料
浜岡原子力発電所3号機 非常用ディーゼル発電機(A) 動作不能の原因と対策について
1.事象の概要について
(2)実証試験による調査結果
平成20年12月22日、月1回の定期試験として、浜岡3号機
(沸騰水型、定格電気出力1100MW)の非常用ディ-ゼル発電
機(以下、「D/G」という。)(A)の確認運転試験を行っていたと
ころ、定格出力(出力6.3MW)到達後からの出力降下操作中
(出力約4MW)に、コントロールスイッチによる出力操作ができ
なくなりました。
その後、出力操作が一旦可能となりましたが、出力降下操作
中(出力約2.5MW)に、再び操作ができなくなりました。
点検の結果、D/G(A)の出力制御機構に付属する電動機の
不調を確認したことから、当該電動機を含め出力制御機構の交
換を行いました。
発電機
ディーゼル機関
なり、その後、再現性がなくD/G(A)の動作状況が良好であったこと
から、出力制御機構の一過性の不良と判断しました。
その結果、予めブラシと整流子の間に異物を噛み込んだ状態で電動機を運転した場合に、噛み込んだ異物
の位置や大きさによっては、異物がブラシと整流子の間に留まり、その状態でも導通が確保されること、また、
整流子の回転によるブラシの傾きにより導通不良が発生することがあり、事象の再現性を確認しました。
出力制御機構
非常用ディーゼル発電機
電動機
調速機構
出力制御機構
出力制御機構
出力制御機構は、ディーゼル機関に供給され
る燃料を調整し、回転速度および出力を調節
するための装置で、ディーゼル機関に直結した
調速機構と電動機から構成されています。
約 15cm
約 5mm
ブラシと整流子の接触部
固定子
約 8cm
約 5mm
電動機 外観
ブラシホルダー
異物
ブラシ
増方向
減方向
減方向
ブラシホルダー
バネ
電動機ケース
【出力「増」操作時】
ブラシは整流子の回転により、
回転方向へ少し傾きます。
その結果、異物の噛み込みに
より、下部の接触が強くなりま
す。
【出力「減」操作時①】
ブラシの傾きが変わり、そ
の結果、ブラシ上部側の
接触が強くなります。
【出力「減」操作時②】
増減操作を実施するうちに、
接触部の摩耗が進み、その結
果、「減」操作時にブラシが浮
き上がり、導通不良が発生し
ました。
また、出力降下操作の可否が繰り返し発生したのは、当該電動機の運転やD/G運転時の振動の影響によ
り、ブラシの傾きが変化し、導通不良と復帰を繰り返したためと推定しました。
【電動機】
直流電動機
整流子
【ブラシ】
材質:カーボン
バネ
分解点検時の異物侵入防止管理を徹底するため、以下の対策についてメーカーに要求していきます。
○異物のないことを確認した専用のトレーを使用し、その中で点検作業を行う。
○部品の手入れおよび組み立て時にエアーブローを実施する。
○ブラシ取り付け時に、異物の噛み込みがないことを確認する。
また、電動機内部の配線に付着している電気絶縁用ワニスについては、容易に剥がれるものではありませ
んが、剥がれ落ちて異物とならないよう次のとおり管理していきます。
回転子
電動機 構造図
約 2cm
電気絶縁用ワニス
の剥がれかけた箇所
導通不良
4.対策について
光沢のない箇所
固定子
回転子
【異物の侵入経路】
電動機の分解点検時に、ブラシと
整流子の間に異物を噛み込んだ状
態で組み立ててしまいました。
当該電動機の内部を点検した結果、2本あるブラシのうち、1本のブラシで整流子との接触面に光沢がなく、
異物を噛み込んだと推定される接触状態の不均一な箇所があることを確認しました。また、固定子につながる
配線に付着していた電気絶縁用ワニスに、一部剥がれかかっている箇所があることを確認しました。その他に
は、異常はありませんでした。
【ブラシの接触面】
整流子と均一に接触している場合は、ブラシ
接触面(摺動部)の全面に光沢があります。
整流子
整流子
(1)電動機の点検結果
今回のブラシ
ブラシ
異物
2.点検・調査結果について
光沢のある接触面
3.推定原因について
当該電動機の分解点検はメーカー工場で実施していますが、その際に、外部から電動機内部に異物が侵入、
または電動機内部での電気絶縁用ワニスの剥がれにより、ブラシと整流子の間に微細な異物を噛み込み、そ
の状態で電動機を組み立て運転したものと推定しました。それに加え、運転に伴うブラシの傾きでブラシと整流
子の接触が不安定な状態となり、導通不良が発生したものと推定しました。
この事象に先立つ平成20年10月24日のD/G(A)の確認
運転試験時にも、出力降下操作中に、コントロールスイッチによ
る出力操作が一時的にできなくなる事象があったものの、当時
は再現性がなかった(※1)ことから、この事象も踏まえて、今回、
点検・調査等を実施することとしました。
※1 当時は、同スイッチの動作確認を行っていたところ、出力操作が可能と
点検した当該電動機の内部で、ブラシの接触面(摺動部)に不均一な箇所が認められたことから、実証試験
により、微細な異物の噛み込みによる電動機の導通不良の可能性について調査を行いました。
5.水平展開について
整流子
回転子
ブラシ
接触面
○剥がれかかっている電気絶縁用ワニスを除去する。その後、配線に電気絶縁用ワニスが残る場合は、定
期検査毎に分解点検を行い、運転中に剥がれや剥がれかけが生じていないことを確認する。
○電動機更新時には、電気絶縁用ワニスが剥がれ異物とならないよう、調達先に対策を要求する。
1~5号機の全てのD/Gには、当該電動機と同型のものが使用されており、これまでの点検方法も当該電
動機と同様であることから、分解点検時の異物侵入防止管理を徹底するとともに、至近の定期検査等で分解点
検を行い、異物の噛み込みが発生していないことを確認します。
以 上
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