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日時計を作ろう

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日時計を作ろう
日時計を作ろう
~日時計の作製と視太陽の位置と時刻の関係~
1
はじめに
新科目「科学と人間生活」の地学分野である「エ 宇宙や地球の科学」の中で、
身近な天体と太陽系における地球について学ぶときに、地球の自転、公転による天
球の日周運動や太陽の年周運動、又は暦についての学習に使える汎用性のある教材
を考えた。
2
目標
(1)日時計を作製し、それを用いて太陽の運行を観察して、天球の日周運動や地球の
自転を体感する。
(2)季節による影の位置を観察して、太陽の天球上での運行を知り、太陽の年周変化
を知る。
(3)実際の太陽の運行と時刻の違いを観察する。均時差を観察し、時刻の決め方を知
る。
3
授業の展開案
地面に棒を立てるだけの極めて単純な道具から、太陽の動きを実感させる。太陽
の天球上の運行の周期性により、時間や暦が作られたことを学習する。
また、日時計から機械式時計への進歩が、地球の公転や自転が不変でないことの
発見につながったことを認識させる。
(1)恒星や惑星の運行を観測するときに必要な天球に関する学習(1時間)
(2)均時差についての学習(1時間)
(3)日時計を作製し、実際に観察する実験(2時間)
4
おわりに
地学を専門としない先生にとっては、地学分野はハードルの高い分野であり、実
験を考えたり行ったりすることは、腰が引けると考えるが、生徒の興味・関心を高
められるように「日時計を作製する。」、「天球と日時計の関係を考える。」、「均
時差について考える。」など、それぞれ目標を設定して学習をさせてほしい。
p2、3は生徒用のワークシートとして、p4に日時計の型紙を、p5~7は型紙
や均時差についての解説を載せた。
-1-
日時計を
日時計 を 作 ろう
1
事前学習
天球は大きな仮想的な球であり、これに比べて地球は小さいので点と考えてよい。
したがって、地球の中心で観測していると考えてよい。下図を見ながら、空欄を埋
め学習しよう。
n
(
北極
)
P
( 天の北極
)
abを通る地球上の大円
Aを通る天球上の大円
ZOに垂直でOを通る平面
N、Sを通る天球上の大円
∠ZOA
( 観測地点の緯度
∠NOP
(
北極高度
(
(
(
(
)
)
Z
PO
地球の赤道
天の赤道
水平面
水平線
(
(
)
)
)
)
天頂
地軸
天の北極の高度を求めると、
∠ZOA + ( ∠POZ )= 90°
∠NOP + ( ∠POZ )= 90°
∠POZは共通であるから、∠ZOA=∠NOPとなる。
したがって、天の北極の高度は、観測点の (
緯度
)
)
)と等しい。
あなたの住んでいる場所の緯度と経度を調べよう。
住所
磁針のずれ
(
)緯度(
)経度(
-2-
)
T
2
夏至の太陽(南中)
T’夏至の太陽(午前 9 時頃)
∠AOT=23.4°
作り方
文字盤は、太陽の(
南中
)を基準として 24 等分する。よって、1時間は
( 15 )°となる。 文字盤は天の赤道面に、針は地軸に対応させる。文字盤
と針は直角になるように作製する。
3
設
置
水平な( 日の当たる )場所に方位磁石を用いて南北を合わせて置く。ただし、
「磁石の指す北」と北極の方向には、ずれがあるため注意する。
4
観
察
現在の時刻は、天の赤道上を移動する仮想の太陽を基にした( 平均太陽時 )
を決めている。日本では、( 東経 135°)を基準にした日本標準時を用いている。
したがって、実際の太陽が南中するときが正午であるとは限らない。
あなたの住む地域での視太陽の南中時刻を予想しよう。
(例)岐阜県(東経137°)2月中旬の場合
均時差 -14分
経度によるずれ
2°→ 8分
したがって 12:06頃
均時差
=
視太陽時
-
平均太陽時
-3-
5
型
紙
-4-
6
解
説
(1)型紙について
針(軸)を天の北極に正確に向
けるためには、設置地点の正確な
緯度を知る必要があるが、紙で作
る工作の精度を考えれば、岐阜県
内では緯度 35.5°として作製して
も問題ないと考える。
偏角も同様に、7°とし、型紙を
作製した。
図 1 主な所の偏角と緯度、経度
関ヶ原町今須
海津市海津町油島
中津川市馬籠
郡上市八幡町
飛騨市神岡町谷
(2)均時差について
地軸の傾きと、地球の公転軌道の影響で、太陽が南中してから次に南中するま
での時間は 24 時間より長い日と短い日がある。そこで、天の赤道上を等速度(一
年で天の赤道を一周するときの平均速度)で移動する仮想の太陽(平均太陽)の
南中から南中までを一日(平均太陽日)とする。本物の太陽(視太陽)とのずれ
が均時差である。
●
視太陽
図2
-5-
●
平均太陽
均時差の(+)(-)
(3)地軸の傾きの影響
黄道上を一定の速さで移動している
と考えた太陽と、天の赤道上を移動す
る平均太陽の赤経の差が均時差とな
る。
黄道上を等速(等角度)で移動して
いても、赤道に対して 23.4°傾いてい
るため天球上では一定の角度では移動
しない。視太陽の運動は、赤道面に投
影した楕円軌道の運動と考えるとよ
い。視太陽と平均太陽の赤経の差が均
時差になる。赤経の差は徐々に大きく
なり、また小さくなりゼロになること
が分かる。(図3、4)
この期間での均時差は公転軌道の影
響を考えなければマイナスとなる。1
日のずれは十数秒ほどであるが、積み
重なり夏至と秋分の中間で最大 10 分
ほどになる。
図4
地軸の傾きによる
均時差
●
図3
視太陽
●
平均太陽
拡大図
(4)地球の公転軌道の影響
地球の公転軌道がだ円であるため、公転速度には違いがある。近日点(1月上
旬)では公転速度が大きくなり、遠日点(7月上旬)では小さくなる。
地軸の傾きを考えない場合、遠日点通過後の視太陽の公転速度は、平均太陽の
公転速度より遅く、均時差はプラスとなる。1日のずれは数秒である。
図5 遠日点通過後の太陽
(地軸の傾きを考えない場合)
A、B、Cの順に天球上を移動し、
平均太陽との差が広がっていく。
-6-
図6
地軸の傾きにより起こる均時差と公転軌道により起こる均時差の概略
横軸は月日、縦軸は視太陽と平均太陽の時間のずれ
1 地軸の傾きによる均時差
2 公転軌道による均時差
以上のように、地軸の傾きと公転軌道の影響を考え、均時差が求められる。
図6の1と2の波の合成が均時差のグラフになる。なお、このグラフは概数で
求めているので、正確な値は、理科年表などで調べること。
7
日時計の作り方
(1)準 備
・型紙を画用紙又はケント紙等に
印刷する。
・針棒(15 ㎝ほどの竹ひご等)
・のり、ハサミ、方位磁石
(2)作り方
①「文字盤 D北側」は各自数字を
記入する。
②文字盤2枚を貼り合わせ、中心に竹ひごを通す穴を開け、台に取り付ける。
③竹ひごを支える三角形を真ん中で二つ折りにして、台に取り付ける。
④文字盤に竹ひごを通し、支えの上部で竹ひごを包むように固定する。
⑤竹ひごと文字盤は直角になるように作製する。
(3)設 置
竹ひごは、天の北極の方向、文字盤は天
の赤道の方向に向くように設置する。
-7-
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