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避難所運営と避難所としての学校

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避難所運営と避難所としての学校
●
避難所運営と避難所としての学校
1. 学校避難所の設置場所と期間
当市の震災時における対応については、小千谷市災害対策本部条例第5条の委任規定に基づく
「地震等災害時における処理マニュアル(平成13年 4 月制定)」に規定されている。マニュア
ルでは、基幹避難所として小学校 8 校、中学校 3 校、その他の避難所として小学校 6 校、中学校
2 校が指定されている。基幹避難所には管理運営責任者(市職員)が指定され、震度5強以上の
地震があった場合は管理運営責任者が避難所を開設することになっている。しかし、この度の震
災では、マニュアルでの想定以上の被害の発生、避難者が学校のグラウンドに自家用車等で殺到
したことなど、避難者の避難行動に相違が生じ、マニュアルどおりに管理運営責任者が開設でき
た避難所は少なく、電話等の不通や道路の崩壊等により交通が遮断されたため、多くの避難所は
学校又は地元住民で開設及び運営をせざるを得なかった。
表8
防災計画
による避
難所
学校名
小
千
今回の
設置状
況
避難所の設置状況
設置期間
始期
終了
避難者数
期日
谷
●
○
10/23
12/5
43
2,000
10/25
東 小 千 谷
●
○
10/23
12/6
44
483
10/27
池
ケ
原
○
塩
殿
○
○
10/23
11/7
15
250
10/27
吉
谷
●
○
10/23
11/21
29
281
10/27
10/28
山
谷
○
小 千
学 和
校 川
田
○
東
普通教室 特別教室 体育館
○
備 考
グラウンド
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
隣接施設を利用
○
被災により立入禁止
隣接校を利用
泉
○
○
10/23
11/6
14
10/23
100
∼10/25
井
●
○
10/24
11/11
18
189
山
●
10/28
○
○
○
○
○
○
被災により立入禁止
岩
沢
●
○
10/25
11/6
12
300
10/26
真
人
●
○
10/25
10/31
6
5
10/25
若
栃
●
○
10/24
11/7
14
270
10/24
片
貝
○
○
10/23
11/3
11
110
10/25
計
設置場所
ピーク時の避難者数
日数
○
○
○
○
○
○
10
平均→
(21)
○
○
10/23
12/5
43
540
10/26
○
東 小 千 谷
○
○
10/23
12/7
45
750
10/24
○
●
○
10/24
11/25
32
120
10/26
中 千
学
校
田
南
片
貝
計
合 計
○
5
○
10
○
14
千
5
1家族が避難
○
谷
小
3,988
○
○
8
○
●
隣接施設を利用
●
隣接校を利用
5
3
平均→
(40)
1,410
1
1
1
3
19
13
平均→
(25)
5,398
6
6
11
11
注) ●は基幹避難所
21
この度の震災では、市内小中学校 19 校のうち小学校 10 校(基幹避難所 7 校)
、中学校 3 校(基
幹避難所 1 校)において避難所を開設した(表8)。避難所として使用した場所は、施設の被災
状況により使用できる場所が限定されること等から、結果的に避難所として使用された場所は、
体育館及びグラウンドが最も多く 11 校、校舎(管理教室棟)が 6 校であった。また、地震発生
当初は大きな余震が続いたため、ほとんどの避難者は校舎内ではなく、グラウンドで自家用車内
等に避難した。
避難所は地震発生直後及びその翌日から設置された学校が多く、2 校では 25 日に設置された。
閉鎖された時期は、ガス・水道・道路等、地域のライフラインの復旧状況や応急仮設住宅の入居
開始時期によりかなり異なるが、13 校のうち 10 月中が 1 校、11 月中までが 8 校、最も遅かった
のは 12 月 7 日までで、設置期間は 6∼45 日間(平均 25 日間)であった。
2. 避難者数の推移と避難所の運営形態
当市では、避難所は 136 箇所(最大)が設置され、避難所及びその周辺への避難者数は最大 29,243
人(10 月 27 日)に及んだ。そのうち学校の避難所には、ピーク時(10 月 23∼28 日)には 5,398
人(約 18%)が避難した。
避難所数
学校避難所数
避難者数
学校避難者数
35,000
140
30,000
(
160
120
25,000
100
避
難
80
所
数
60
20,000
15,000
10,000
40
5,000
20
避
難
所
周
避辺
・
自
難宅
周
者辺
の
避
数難
者
を
含
む
)
0
10
/2
3
10
/2
6
10
/2
9
11
/1
11
/4
11
/7
11
/1
0
11
/1
3
11
/1
6
11
/1
9
11
/2
2
11
/2
5
11
/2
8
12
/1
12
/4
12
/7
12
/1
0
12
/1
3
12
/1
6
12
/1
9
0
日
図 19
付
避難所と避難者の推移
22
避難所と避難者の推移については、図 19 に示すように全体の避難者、学校避難所への避難者と
も 11 月 5∼8 日までの間に激減している。これは、市街地およびその周辺地域におけるガス、水
道、道路等のライフラインの復旧が進んだこと、11 月 8 日から学校及び保育園等の再開が決定し
たこと等によるものと考えられる。
避難所の運営形態は、全市の被害規模
が大きく、基幹避難所の管理責任者も支
援物資の配布や被害実態の把握などの
業務に従事せざるを得ない状況となっ
た。また、基幹避難所以外の学校避難所
についても、5 校を除き市職員を管理運
営責任者として派遣することができな
かったため、大半の学校は、学校職員と
地元町内会等の献身的なご努力により
開設及び運営していただいた(表9)。
学校を避難所として使用する場合は、使
用する施設や設備、運営主体等について
マニュアルでの明記がない中で、皆さん
から本当に頑張っていただいた。
図 20
千田中学校避難所に設置された自衛隊テント
また、4 校においては全国の県及び市
町村職員、連合北海道から避難所の運営について支援をいただいた。
3. 避難者への支援機関等の設置
学校避難所での避難者への支援機関については、避難所により設置された機関は異なるが、支
援機関の判断により日本赤十字社や県内の病院、大学病院、隣接保健所、他県などから派遣され
た医師、歯科医師、薬剤師、保健師又
は看護師、心のケア・チーム等、いず
れかの機関が常設され、献身的な負傷
者の診察、治療、相談、看護等が行わ
れた(表9)。
また、支援機関が常設されなかった
学校避難所においては、隣接避難所や
ボランティアセンターから派遣され
た医師、心のケア・チーム等による巡
回検診・相談が行われた(図 21)。
支援施設については、当市のほか自
衛隊や支援企業により仮設トイレ、風
呂及びシャワー、避難用テントが設置
された(図 20、表9)。また、学校施
図 21
和泉小学校避難所に設置された日本赤十字の救護所
23
設が支援物資保管場所や避難者の生
活物資保管場所としても利用
された。
避難所の運営と併行して、新
潟県により避難所閉鎖後の避
難者の生活の場として、17 箇所
870 戸の応急仮設住宅が建設さ
れた。その内、学校には小千谷
小学校 38 戸、吉谷小学校 11 戸、
小千谷中学校 26 戸、計 75 戸の
応急仮設住宅がグラウンドに
建設された(図 22)。
応急仮設住宅は最大 2 年間設
図 22
置される予定である。
小千谷中学校避難所に設置された応急仮設住宅
表9
避難所への支援機関・設備等の設置状況
運営形態
学校名
小
千
支援機関等
巡回検
市職員
学校 他市支 町内会
医師 心のケ ボラン 保健士
診・相
配置 教職員 援職員
等
薬剤師
ア
ティア 看護士
談
谷
○
○
○
○
○
○
東 小 千 谷
池
ケ
塩
○
○
殿
吉
谷
谷
小 千
学 和
校 川
田
東
山
岩
沢
真
人
○
○
○
○
○
○
○
○
若
栃
貝
計
谷
○
○
○
○
○
○
50
○
6
○
○
○
○
○
○
○
○
13
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
4
8
2
10
5
3
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
田
○
○
○
○
東 小 千 谷
○
○
○
井
片
中 千
学
校
○
○
泉
千
○
風呂
支援物
仮設 自衛隊
その他
学習室
資保管
トイレ テント
原
山
小
○
設置された設備等
シャ
ワー
○
○
○
3
2
3
○
○
○
1
2
2
2
1
5
10
4
12
6
○
2
6
○
28
○
○
○
○
31
○
○
○
○
42
1
2
3
101
4
4
9
170
○
3
○
69
3
10
3
南
片
貝
計
合 計
3
3
6
2
3
2
3
12
3
4. 避難者に対する教職員の支援活動
各学校の避難所への対応はそれぞれ異なるが、地震発生当初は、校長及び教頭がリーダーシッ
24
プを発揮し、避難所運営に必要な学校のテントやブルーシート、机、毛布などの物品の搬出、給
表 10
避難者に対する教職員の支援活動
避難者に対する職員の活動
区分
避難所運 避難所支 外部問合 避難者生 避難所の
支援物資
学習指導
営
援・指導 せ対応
活支援
管理
管理
小学校
5
10
11
中学校
2
2
3
計
7
12
14
8
11
1
1
1
1
2
8
13
食用機器や食材の提供、体育館や教室が避難所として機能するよう整備、地域代表と打ち合わせ
て自治組織の結成、食料配達への協力等、様々な取組を行った。
避難している市民に対する教職員の
支援については、避難所としての学校
の管理や外部からの問い合わせに対す
る対応は全ての学校で行われていたほ
か、避難所の状況により避難所運営、
避難所運営の支援・指導、避難者の生
活支援等が行われた(表 10)。
また、全国から届けられた支援物資
の受け入れや管理、避難者への炊き出
し等には、対策本部からの要請により、
たくさんの学校管理員や調理員が参加
した。
図 23
避難所での自主学習会(真人小学校)
5. 避難所での児童生徒の活動
学校では、教職員が 10 月 25 日頃か
ら子どもたちの避難した場所を訪問し、
学校や避難所の様子、学校再開に向け
た準備、子どもの日記などを掲載した
学校だよりを配りながら、一人一人に
声をかけ、元気づけるなど、11 月 8 日
の学校再開まで各学校の実情に応じて
様々な取組を行った(図 23、図 24)。
特に山間部の学校では、児童生徒が
主に町内ごとに設置された避難所に分
散されていたため、学区内の各避難所
や町内集会所などに一時的な「分校」
を設け、教職員が交代で巡回して、そ
図 24
25
集会所での自主学習(塩殿小学校)
表 11
避難所での児童生徒の活動
活 動 内 容
小学校
中学校
合計
自主学習、学習会への参加(教職員の巡回指導)
9
2
11
清掃活動やゴミ拾い
7
7
炊き出し、配膳、片付け等の補助作業
3
3
保育園児・年寄りの世話、遊び相手
2
1
3
トイレの水汲み、水運び
2
1
3
支援物資搬入の手伝い
1
1
2
朝のラジオ体操
2
避難所内のお知らせ
2
1
1
れぞれの「分校」で、あいさつ
及び体操を実施した後、プリン
ト学習等を行った。
また、避難所では、児童生徒
は教職員の指導による自主学
習をはじめ、避難者への支援、
避難所運営に対する手伝いな
ど様々な活動を行った(図 25)。
報告された主な活動は表 11 の
とおりである。
図 25
炊き出しボランティアと小千谷中学校避難所での
生徒の活動
6. 避難所運営への全国の行政職員やボランティアによる支援
学校の避難所の運営については、主に避難所管理責任者、市職員、教職員や町内会等で行われ
たが、避難者が多い避難所や不特定の町内から避難者が集まった避難所等については、運営が困
難となった。このため、4 箇所の学校避難所については、10 月 27 日から 12 月 7 日までの間、災
害対策本部からの要請又は各機関からの申し出により、全国の県及び市町村職員、連合北海道か
ら延 172 人の方々からの支援をいただいた。
これらの方々には、主に避難所で避難者とともに生活していただき、避難所の管理・運営から
避難者の支援、災害対策本部との連絡等、様々な業務を行っていただき、避難所の運営には欠か
せない存在となった。
また、たくさんのボランティアの方々が避難所の支援に来ていただき、炊き出し、支援物資の
搬入・整理、清掃活動などのほか、子供たちに対してはレクレーション活動や自主学習の補助等
をしていただいた。
26
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