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論理的な思考力の向上を目的とした情報教育の実践

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論理的な思考力の向上を目的とした情報教育の実践
論理的な思考力の向上を目的とした情報教育の実践
-国語科教員による思考ツールを活用した「情報の時間」の取り組み-
Information Study for the Purpose of Logical Thinking Improvement
Japanese Teachers Use Thinking Tools in the Classes
安谷 元伸
Motonobu YASUTANI
北村 拓也
Takuya KITAMURA
滋賀大学教育学部附属中学校
滋賀大学教育学部附属中学校
<キーワード> 論理的 論理 思考ツール 三角ロジック ピラミッドストラクチャー
1.はじめに
充実させること,である。
滋賀大学教育学部附属中学校(以下,附属中学校)
このような目的を達成する上では、生徒が論理的に
では,「情報の時間」と称する学習の実践を8年間に渡
思考し、表現できる論理力は重要な能力となる。そこ
って継続している。
「情報の時間」は,情報のみかた,
で、中学校3年間をかけて論理的に思考、表現できる
考え方,扱い方を学ぶことに主点を置いた情報教育の
能力の育成と向上、定着を「情報の時間」の主たる学
実践である。その設立には、3つの目的が挙げられる。
習の目標に定めた。そして、「論理的」をキーワード
1つは,21世紀型能力を向上させるために情報活用の
とした内容から構成した単元を各学年に配置して、カ
実践力,情報の科学的な理解,情報社会に参画する態
リキュラムを設定している(表1)。
度を軸とした「情報活用能力」を中学生の発達段階に
3年生の単元「論理的に理解しよう」では、生徒が
即して育成すること。1つは,附属中学校で取り組み
それまで学習してきた論理的な考え方や表現の技法を
を進める過程で生徒達や授業実践の中に見られた問題
総括的に関連付け、発展させることを目指す。そして、
や課題の解決を模索すること。1つは,各教科の学習
今後も活用することとなる「論理力」を育成する要の
指導要領に示されている情報教育的内容や言語活動を
時間として位置づけている。
表1 2014 年度「情報の時間」カリキュラム
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実践センター紀要 第 23 巻 2015
2.
「論理的に理解しよう」
動詞である。その意味は、「論理に合うようす。すじ
2.1 単元の概要
道の通ったようす。ロジカル。」と説明される(1)。対
「論理的に理解しよう」は、3年生で学習する「情
義語としては「非論理的」がある。名詞として「論理」
報の時間」の単元である。昨年度から「情報の時間」
という語は、話の脈絡、構造を指す言葉である。形容
で は、30年 以 上 継 続 し て い る 総 合 学 習「BIWAKO
動詞として「論理的」という語は、様子、状態を表す。
TIME」の学習活動を充実させることも目的のひとつ
すなわち、
「論理的」とは「論理」が通っている状態、
として定めている。これは時数確保のためでもあった。
姿を指す言葉である。このことから、名詞である論理
2012年度まで、文部科学省から開発学校の指定を受
は主観的であるが、形容動詞である論理的は客観的だ
けて「情報の時間」の授業時数を設けていた。しかし、
と言える。話の脈絡、構造は個々のものであって人に
指定の終了以降も「情報の時間」を継続するため、総
よって異なる可能性を内包する。しかし、すじ道の通
合的な学習の時間を利用して学習時間を設けることと
った状態であるか否かは個々によって異なるものでは
なった。そして、時数の削減に伴って、学習内容の精
なく、客観的な事実である。以上のような辞書的意味
選、単元構成の再設定を行った。その課程で、総合学
からも二語の意味は異なっている。そして、「論理的
習の充実を主たる目的に加えたのである。その目的に
に理解しよう」が目指す生徒の姿は「論理的」な状態
おいて、「論理的に理解しよう」が担う役割は重要と
であり、生徒に付けたい能力は「すじ道が通った状態」
なった。学習する内容の多くが総合学習「BIWAKO
の思考であり、表現を行う力である。それらを「論理
TIME」と接続していると判断されたからである。加
力」として捉えている。それ故に、
「論理的」と「論理」
えて、各教科の学習活動においても、論理的な思考や
の違いを単元の第1時の段階で明確に理解を深めてい
表現は必要となる能力である。そこで、広く活用され
くことが「論理的に理解しよう」では必要な学習要素
る「論理力」を育成、定着させる題材と活動が「論理
となるのである。
的に理解しよう」の中心的な学習要素となった。
また、これまで1年生、2年生で積み重ねてきた論理
的な思考や論理的な表現の学習内容を接続していく意
2.2 単元設定の背景
図からも、この単元を3年生で最初に学ぶ単元として
「論理的」という語は、学習を進めていく中で多々
設定した。このような、
「論理」と比較して「論理的」
用いられる言葉である。しかし、
「論理的」の本来の
の意味の理解を深める学習展開や単元配置について
意味を具体的に解釈し、理解するための学習を行う機
は、
「情報の時間」(当時は「情報科」と呼称していた)
会は少ないことが指摘できる。また、1年生や2年生
を開始した2007年度から変更をしていない要素であ
の生徒では「論理」と「論理的」という二語に対して
る。
明確に差異を意識する姿は見られない。一方で、「論
理的」に思考し、表現する上で「論理的」とはどのよ
2.3 単元の目標
うな状態であるのか、その理解を欠かすことはできな
2014年度の「論理的に理解しよう」は、5時間の単
い。そこで、当単元では「論理的」を理解する内容を
元として昨年度同様に5月に開始した。単元の担当者
中心に構築を進めた。
は、国語科の教員である。全5時間の学習計画で展開
この単元では、
「論理」と「論理的」の違いを意識し、
する単元目標は,
『
「論理」の概念や「論理的」の意味
理解させることを重視する。この二語には、混同した
を理解し、論理的に考えたり、分析したり、表現する
使用も見られるが明確に異なる単語である。
「論理」
方法を身につけ、「論理力」を向上させる。』である。
は名詞であり、その意味は「議論や話のすじ道」と説
また、単元目標に加えて、本年度に当単元を担当する
明される。また、
「認識対象の間に存在する脈絡・構造」
国語科の教員は、授業内容の生徒理解を向上させるこ
としての説明も見られる。一方で、
「論理的」は形容
と、総合学習「BIWAKO TIME」の学習活動を支え
表2 2014 年度「論理的に理解しよう」評価の観点
学び方や問題解決方法
問題解決の見地からの
学び方や問題解決の
学び方や問題解決に
への関心・意欲・態度
思考・判断・表現
技能
ついての知識・理解
①・論理の概念や論理
②・論理的に考える活
③・論理的な見方をも
④・四分割表や樹形図
的な見方に関心をもち, 動を通して,受け取っ
とにして,問題の発見, などを使って情報を捉
日常生活の問題解決に
た情報や発信したい情
明確化,共有化,分析
え る と き に 必 要 な,
おいて,論理的な理解
報を整理している。(1
及び解決を図る四分割
MECEの考え方を理解し
表や樹形図の活用方法
ている。
を進めようとする。
を身に付けている。
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論理的な思考力の向上を目的とした情報教育の実践
る内容を充実させることも実践を進める上で目的とし
整理して記述、表現することができる「思考ツール」
た。これは、単元の担当者が国語科の教員であること、
である。具体的には、三角を描いてその頂点に自分の
本年度の総合学習「BIWAKO TIME」の主任を兼任
主張を記す。残りの2辺にそれぞれ、主張の理由とそ
していることから、目指されたものである。
のデータを記していく。主張、理由、データは一方通
これらのような目的を据えた「論理的に理解しよう」
行の流れではなく、相互に干渉し合う流動的な関係性
の評価の観点は、表に示す通り4つの観点全ての要素
を持つ。また、記述する順序は今回定めていない。主
を含む(表2)
。実際に行う評価については、ワーク
張からその理由づけを明らかにして、それから基のデ
シートなど生徒の提出物、授業態度や意欲、単元の最
ータを示す場合も、複数のデータから理由づけを示し、
後に行うマークシート形式のテストにて行っている。
主張を立てる場合も記述する順序としては考えられ
る。この2つのパターン以外でも、生徒は自由に各自
3.
「思考ツール」の活用
で判断、選択して記述していくことができる。このよ
「論理的に理解しよう」では、以前からマトリクス
うな思考過程に判断を求める「思考ツール」の利用方
やベン図、イメージマップ、分解の木などの思考ツー
法は、1年生の単元「アイデアを練ろう」から続ける、
ルを教員が活用して授業を進め、生徒が視覚的にも内
演繹的思考と帰納的思考を意識させる学習の流れでも
容が理解できる学習や活動に取り組んできた。しかし、
ある(2)。
昨年度までの生徒の聞き取りから、
「論理的に理解し
このような反省を受けて、今年度に当単元を担当す
よう」で扱う学習内容は中学生の学習として必要性が
ることになった国語科の教員は先述の目的を設定し、
高い内容としながらも、内容が難しい学習だったとの
「情報の時間」担当の教員と昨年度「論理的に理解し
意見を多く得ていた。特に、新聞記事の内容を分析し、
よう」の担当の教員から意見を聞き、論議を重ね、そ
自分の意見や考えや根拠を明らかにして文章作成する
の中で、当単元ではそれまで用いられて来なかった「思
学習や、すじ道を立てて情報の整理を行い表現してい
考ツール」の導入を着想した。
く活動などでは、題材を読み込むことができずにつま
今年度、新たに取り入れた「思考ツール」は、「三
ずく生徒が多く見られた。これは、ワークシートの内
角ロジック」と「ピラミッドストラクチャー」である。
容や指示が抽象的であったことも問題として考えられ
全5時間の学習内容は昨年度を踏襲しているが、上記
た。このように、昨年度の反省点としては、学習内容
の「思考ツール」を加え内容の構築を進めた。本年度
に難解な面があることも挙げられていた。
の各時間の主たる学習内容は表に示す通りで、下表の
網掛け部分が今年度から導入した新しい内容である
3.1 三角ロジック
(表3)
。昨年度、生徒達がつまずいた文章作成、題材
「三角ロジック」とは、思考から表現に至る過程を
から情報を整理する学習を中心にこれらの「思考ツー
表3 2014 年度「論理的に理解しよう」評価の観点
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実践センター紀要 第 23 巻 2015
ル」を利用する場面を設定し、授業実践を行った。ま
ことが期待された。そこで、第1時に「論理的」と「論
た、網掛けが無い時間もこれらの「思考ツール」の利
理」の違いを学習した後、「論理的」に思考し、表現
活用を進めた。
することを実行するためこのツールを用いた学習を設
定した(図3)。
図1 三角ロジック指導場面(本単元 第4時)
図3 ピラミッドストラクチャーの指導場面(本単元 第2時)
3.2 ピラミッドストラクチャー
「ピラミッドストラクチャー」は、三角ロジックと
4.考察
同様に、主張と理由・根拠の構造を視覚的に表現する
「情報の時間」では、各単元の最後にマークシート
「思考ツール」である。主張を頂点として理由・根拠
のテストを行っている。その下半分では単元の学習を
が下に配置される。下部であるほど構成要素が増加し、
振り返って生徒が評価するアンケートも実施してい
ピラミッド的に階段状の広がりを見せる。
「ピラミッ
る。アンケートは4件法で、マークの項目は、思う、
ドストラクチャー」の構成要素は、MECE(思考に漏
少しは思う、あまり思わない、全く思わない、である。
れがない状態)であることが求められる(3)。
設問の内容は下図に示す通りである(図4)。設問に
図2 ピラミッドストラクチャーの事例(生徒ワークシート)
「 ピ ラ ミ ッ ド ス ト ラ ク チ ャ ー」 は、 総 合 学 習
「BIWAKOTIME」でグループが研究題材を決定する
際に利用する「思考ツール」であるものの、活用して
目的を達するには難しい面があることも校内で議論さ
れていた。そこで、
「論理的に理解しよう」担当であ
る国語科の教員は、総合学習で本格的に利用していく
前に、事前学習として扱うことで、総合学習の学びを
充実させる展開を図ったのである。
すじ道を立てて、順を追って思考していく活動にお
いても、
「ピラミッドストラクチャー」は効果がある
図4 「論理的に理解しよう」評価テスト・アンケート
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論理的な思考力の向上を目的とした情報教育の実践
あるBTは、
総合学習「BIWAKO TIME」の略称である。
容の理解と、総合学習「BIWAKOTIME」に活用でき
同じく、CTは学級劇を主体としてコミュニケーショ
る学習内容の実現に効果があったことが考えられる。
ンの学習を進める総合学習「COMMUNICATION
これらと関連性がある項目で、昨年度と比較して「思
TIME」を意味する。
う」と答えた生徒の割合が大きく増加していることも
マークシートで得た生徒の授業評価の5項目の平均
確認された(図6)。
値では(「楽しく学ぶことできた」は客観性を欠き除
数値が変化した結果には、「思考ツール」の利用以
外)
、
「自分に影響した」の項目以外で昨年度より高い
外の要素も考えられる。本年度であれば、
「相談タイム」
数値が確認された(図5)
。
などの生徒の交流や活動の時間を増加したことの影響
が指摘できる(図7)。
図5 アンケート結果の平均値の年度比較
「情報の時間」の授業は、各単元の担当である教科
の教員と「情報の時間」を専門として配置されている
図7 「相談タイム」の活動場面(本単元 第1時)
教員との協力体制で進める形態を採っている。ティー
ム・ティーチングの指導を行う単元もあれば、専門教
相談タイムとは、単元を担当した国語科の教員が自
員は完全にICT操作のために裏方に回る場合もある。
身の教科である「国語科」の指導で多用している活動
本年度の「論理的に理解しよう」では、全体的に国語
で、2分程の短い時間で席が近くの生徒と課題につい
科の教員が主体となって授業を進めた。専門の教員は
て交流する学習活動である。班学習のように議論を行
コンピュータや実物投影機の操作補助、評価分析など
う題材には不向きであるが、席の移動を伴わないため
で関わる。この形態は昨年度の「論理的に理解しよう」
軽い意見交流を短い時間で行うことができる。「思考
を踏襲している。
ツール」を用いた活動にも適する(4)。このような活
昨年度と同じ状況で展開した「論理的に理解しよう」
動も生徒の理解を助ける効果があったものと考えられ
の生徒の評価には、学習内容や授業展開の変化が影響
る。
していることが想定される。特に、本年度担当の国語
一方で、「問題解決に有用」と「自分に影響した」
科の教員が着想し、導入した「三角ロジック」と「ピ
という項目では、昨年度と比べ若干の数値低下が確認
ラミッドストラクチャー」が目標とした生徒の学習内
される。「思考ツール」による学習時間を増加させた
ことで、文章読解、文章作成の活動の時間を減少させ
たことなども影響したことが考えられる。
しかし、「思考ツール」を用いた学習に時間を割い
たことで、
「思考ツール」に対する生徒の理解は深まり、
活用する能力は高まったことが指摘できる。
「ピラミ
ッドストラクチャー」は、総合学習「BIWAKOTIME」
の課題決定の際に、3年生が必ず利用する「思考ツール」
である。総合学習が異学年合同の生徒主体のプロジェ
クト学習であるため、研究のグループを率いる3年生
には発想力が求められる。しかし、「論理的に理解し
よう」第2時の段階においては、生徒は「ピラミッド
ストラクチャー」の理由・根拠の構成要素を埋めるら
れない状況であった(図8)。しかし、このような「思
考ツール」を用いて試行錯誤する経験を経たことによ
図6 アンケート結果の項目別割合の年度比較
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実践センター紀要 第 23 巻 2015
り、総合学習「BIWAKO TIME」開始時には、多く
があること、などが問題選択の理由である。試験の問
の3年生がツールを活用する技能を向上させていた(図
題数は全2問で、解答は選択式に加えて、その根拠・
9)。
理由を記述式で応える欄を用意している。
図8 生徒のピラミッドストラクチャー事例(本単元 第2時)
図10 2014年度実施 論理的思考力確認テスト問題(全2問)
問題数は少ないが、実際に複数の教員で実際に問題
に挑み、でそれぞれ「論理的」な思考、表現が求めら
れることを確認している。第Ⅰ問よりも第Ⅱ問の方が、
判断の根拠となる要素が多く複雑であるため、難易度
が高い。
「論理的思考力確認テスト」という名称で生徒には
伝達し、第1回目は6月下旬から7月上旬に全学年で実
施した。各問題の正解率は表に示す通りである(表5)
。
図9 生徒のピラミッドストラクチャー事例(BIWAKO TIME)
5.おわりに
表5 論理的思考力確認テスト 学年別正解率
単元の生徒評価の経年比較は、同じ生徒から得たデ
1年生
2年生
3年生
ータではないため、比較対象としては適切ではない要
第Ⅰ問 正解率
54%
66%
85%
素を含む。しかし、本年度「論理的に理解しよう」の
第Ⅱ問 正解率
18%
34%
55%
新たな取り組みの結果からは、
「思考ツール」の導入
や生徒交流の時間を増加させたことが、実践の目的に
第Ⅰ問、第Ⅱ問共に、学年が上がることで正解率も
加 え た 学 習 内 容 の 生 徒 理 解 の 向 上、 総 合 学 習
向上しているが、これだけでは「論理的に理解しよう」
「BIWAKOTIME」の学びの充実などに寄与できたと
の学習の成果とは言い難い。3年間の学習の成果、経
考える。
験の積み重ねなどによる多様な要因も考えられる。一
単元目標である 「論理力」の向上”
“
については現在、
方、第Ⅰ問、第Ⅱ問両方の問題に正解している生徒の
数値的な把握を行う取り組みを進めている。その研究
割合では、3年生の高さが抜きん出ている状況が見ら
のひとつとして、全学年で同じ問題から成る試験を実
施し、「論理的」思考や表現の学年ごとの差や回数に
よる変容の分析を進めている。
「論理力」を測る試験の問題については、情報オリ
ンピック日本委員会が主催するコンピュータ科学の理
解を問う問題などを中心として構成されたBebras
Contest (ビーバーコンテスト)の過去の問題として公
開されている設問(5)から、附属中学校の研究部で論
理的思考、表現を問う問題を探し、引用して作成した
(図10)
。1年生から3年生までがしっかりと思考でき
る問題であること、すじ道を立て思考していく必要性
図11 論理的思考力確認テスト 学年別 正誤表
22
論理的な思考力の向上を目的とした情報教育の実践
れている(図11)
。これは、3年間の学習の成果や経
験の積み重ねとしてのみ説明ができるものかどうか、
分析を要すると考える。
3年生のみ数値が高いことから、各学年の「情報の
時間」で行っている論理的学習要素の影響や3年生が
1学期に学習する「論理的に理解しよう」の影響も考
慮されるのである。また、記述による理由・根拠は、
問題が正解していても個々人により差が見られてい
る。それらの部分の論理的な表現力の部分も踏まえて
分析を進めることで、試験結果の「情報の時間」の学
習による影響の把握ができるものと考えている。
本年度の「論理的に理解しよう」は、担当した国語
科の教員の取り組みによって、昨年度と比べて生徒の
授業評価の改善に寄与したと判断できるデータが得ら
れた。
しかし、主観的な判断に依存する面も否めない状況
もあり、上記のような客観的な数値データの収集を重
ねて、
「情報の時間」やその単元である「論理的に理
解しよう」の学習による成果として「論理力」が向上
している実態を、生徒の文章読解や文章作成とその評
価を行うなど、国語的な分析も踏まえ明らかとしてい
きたい。
参考・引用文献
1)「 新 選 国 語 辞 典 第 九 版 < 2色 刷 り >」,小 学 館
,2011.
2)安谷元伸,菊谷愛「中学校1年生からキュレーショ
ンの力を育成する情報教育の実践の報告」,滋賀大
学附属教育実践総合センター紀要パイデイア第21
巻,31p-37p,2013.
3)田村学, 黒上晴夫, 滋賀大学教育学部附属中学校
「こうすれば考える力がつく! 中学校思考ツー
ル」
,小学館,2014.
4)北村拓也「シンキングツールを活用した国語授業
の実践例」,滋賀大学附属教育実践総合センター紀
要パイデイア第19巻,75p-79p,2011.
5) 情 報 オ リ ン ピ ッ ク 日 本 委 員 会 公 式Webサ イ ト
http://www.ioi-jp.org/
23
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