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第11章 振動(6/29)
第11章 振動 振動と波動 車の振動 波 分子の振動 心臓の鼓動 波紋 振動の種類 単振動: ばねで重りを吊し、これを 引いて放すと正弦波様の往復運動 を始める。この運動や,柱時計よう な単振り子による運動を総じて単振 動という。 2A 減衰振動: ばねや単振り子の振動 A は復元力,摩擦力,空気の抵抗が 働くので次第に振幅が小さくなる。こ の振幅が小さくなる振動を減衰振動 0 という。 2A x Aebt x = Aebtsin(t + ) t Aebt 振動の種類 強制振動: 振動体が固有の振動数で 自由振動をするとき,外から周期的な力 を加えると2つの振動を重ね合わせたよ うな振動をする。自由振動は減衰する が,外からの力による振動はいつまでも 続く。これを強制振動という。 r/m=2b r:抵抗係数 m:質量 共鳴(共振): 強制振動における外力 の振動数を,振動体の固有振動数に近 づけると,振動体の振幅が極めて大きく なる。この現象を共振または共鳴という。 外力の振動数 p と振幅 C の 関係を示すと,p が 0 に近づ くにつれて振幅は急激に大きく なる。この現象を共振(共鳴)と いう。 強制振動 ブランコをこぐ 弦楽器を弾く ブランコを押す 鐘を鳴らす 共鳴 一方を動かすと他方も動く Aの音叉を鳴らすと,Bも鳴り始める パイプオルガンの音はなぜ響くか? Aの音叉を止めても,Bは鳴り続ける 正弦曲線,余弦曲線 x Asin dx Acos d d2x Asin x 2 d x Acos dx Asin d d2x Acos x 2 d ※2回微分す ると,符号が 逆で同じ形に なる。 t を代入して,tで微分すると d なので, dt x Asint dx A cost dt d2x 2 sin t 2 x A dt 2 x Acost dx A sint dt d2x 2 cost 2 x A dt 2 ※どちらも, d2x 2x dt 2 の形になる。 正弦波の一般式 周期T x 振幅A t 0 位相0 実際には,t = 0 のときに x = 0 とは限らない。t = 0 のときの初期値 x0 = Asin0 とすると,あたかも 0 から正弦波が始まっているように見える。こ の 0 を初期位相と言う。 正弦波の基本式 x Asin(t 0 ) なお,角速度 は周期 T,または振動数(周 波数) f を用いて, 2 / T 2f と表すことができる。 dx A cos(t 0 ) dt d2x 2 sin(t ) A 0 2 dt 2 x バネと波 フックの法則と単振動 バネなどの弾性体を,つり合いの位置からずらすと, 弾性限界以下の変位 x に対して,復元力 F は, F kx x つり合いの 位置 F m (変位xと復元力 F が逆方向成分なので,負になる)と なり,これをフックの法則という。なお,k はバネ定数 を示す。 質量 m の物体が原点Oから進行方向に x 軸をとり, 一定の加速度を a で動くとき,ニュートンの運動の第 2法則(F = ma)から次に運動方程式が得られる。 2x d m 2 ma dt これらの式から,ばねの先端につけられた質量 mの 物体が単振動の運動をするとき,その運動方程式は 次の式となる。 2x d m 2 kx dt フックの法則と単振動 + 前の式を変形すると, d2x dt 2 k x m となり,正弦波 x = Asin(t + 0) の2階微分と同じなのがわかる。 d 2 x k x 2 x dt 2 m より, 2 k m k m また,t = 0 のとき x0 = A とすると, Asin0 = A より,0 = /2となり, このバネの振動は, x Asin( k t ) Acos k t m 2 m と表せることがわかる。 v=0 a x 変位 b d e f a b c g h i t c v d e v=0 速度 b c d e f a i t i t g h f f g a b h i 弾性力 h c v=0 d e f g 単振動と回転 単振動も回転 運動も横から見 ると同じ周期的 な運動。 単振動の周期 T,角速度 と すると, T 2 なので, T 2 2 m k また,振動数(周 波数) f は, f 1 1 T 2 となる。 k m 振動のエネルギー 運動エネルギー 1 K mv 2 2 位置(弾性)エネルギー 1 U kx 2 2 振動の端 振動中心 にいるとき にいるとき ※振動の途中の状態でも,エネルギー 保存の法則は成り立つため,常にE = K + Uとなる。 変位 x xm(最大) 0 速度 v 0 vm(最大) E= K+U 1 2 kxm 2 1 2 mv m 2 エネルギー保存の法則より, 1 2 1 2 kxm mv m 2 2 練習問題 図のように 2[kg] の重りをつるすと 5[cm] 伸びるバネがある。このバネに 1[kg] の重りをつけて振動させると,その 周期はいくらになるか。ただし,重力加 速度を g = 10[m/s2] とする。 質量mの物体の単振動の周期 T は, T 2 m k で求められる。バネ定数 k は F = mg = kx より, となり, mg 2[kg]10[m/s 2 ] k 400[N/m] 2 x 510 [m] T 2 となる。 1 2 0.314[s] 400 20 5cm 2kg 練習問題 バネ定数がk1 のバネAと,バネ定数がk2 の バネBの間に,質量mの物体Cをつなぎ,(a)図 のように滑らかな水平面上におき,バネが自 然長の状態で壁に固定した。(b)図のように物 体Cを左方へ少しずらしてはなしたところ,物 体は振動をはじめた。その振動数を求めよ。 物体Cを釣合の位置から左方にxだけずらせ て放したとする。物体がxだけ左方にずれたと き,物体Cに働く力は -k1x ,-k2x であり,物体 Cの加速度を a とすると, ma k1 x k2 x (k1 k2 ) x したがって,角速度 は, (k1 k2 ) m よって,振動数 f は, となる。 1 (k1 k2 ) f 2 2 m C A A C B B (a) (b) x O A A k1x C C B B x k x 2 O (a) (b) 振り子の運動 図のように鉛直方向から角度 のとき,振り子の 振れる接線方向には質量 m のおもりに働く重力に より, Ft mg sin の力が働く。また,振り子の振れ幅 x はひもの長さを l とすると,x = l·sin となるので,Ft は x を用いて, mg x Ft l と表すことができる。これはばね定数 l T Ft mg k l mg のばねに対応するので,この振り子の周期 T は, T 2 m l 2 k g と求めることができる。これより,振り子の周期と振り 子の長さを測れば重力加速度の値を求めることがで きる。 x