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高出力マグネトロン・スパッタリングを用いた ナノクラスター超原子の生成
KEIO UNIVERSITY CREST/さきがけ/ERATO新技術説明会 2016年2月1日 高出力マグネトロン・スパッタリングを用いた ナノクラスター超原子の生成技術 科学技術振興機構 ERATO研究総括 慶應義塾大学理工学部教授 中嶋 敦 慶應義塾大学理工学部専任講師 角山 寛規 (JST特別重点「中嶋ナノクラスター集積制御プロジェクト) 株式会社アヤボと共同 1/21 中嶋プロジェクトご紹介 使う ナノデバイス応用 作る p 精密大量合成 i n シリコンシングル ナノテクノロジー 1 1 1 0 0 1 ナノクラスター 集積物質科学の創出 ナノクラスターの特長: 電子構造が離散的(量子的) なので特異的な触媒活性点や 磁性が発現する. 表面原子の割合が高い: 正20面体構造の例 原子 第2層 第3層 観る ■ ■ 第1層 有機金属デバイス ナノクラスター バルク固体 バルク固体 物性機能計測 Ti@Si16 1cm 1 1 12 13 42 55 92 147 1 10,000,000 ∆E>>kT ∆E≒kT ∆E=0 ∆E:エネルギー準位の間隔、kT:熱エネルギー Wavelength (nm) 2/21 ナノクラスターの活用ポテンシャル 従来技術:レーザー蒸発法によるアブレーション法 :直流電源マグネトロンスパッタリング法 ・触媒の高効率化 ・高効率広帯域な太陽電池材料 ・極低消費電力の微小メモリ素子 ・単電子トランジスタ素子 3/21 ナノクラスターの気相合成・従来技術とその問題点 従来技術:レーザー蒸発法によるアブレーション法 :直流電源マグネトロンスパッタリング法 問題点 ・レーザー蒸発による生成量の激しい経時変化 ・生成源の温度上昇の制約によるスパッタ 効率の制約 ・クラスター成長とイオン量の限界 広く利用されるまでには至っていない。 4/21 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術のレーザー蒸発法の問題点である 生成量の激しい経時変化(ふらつき)を改良 • 従来はスパッタ率が上げられずイオン量に限界 →電源をパルス化することでスパッタ率が向上し、 ナノクラスターイオンの生成効率が向上 • 時間分割したイオン生成で標的ナノクラスターの 選択性が1桁以上向上。 5/21 新技術の概要 目的: ナノクラスターの生成効率と質量・構 造の選別精度を大幅に向上させた、 パルス・マグネトロンスパッタリング 装置を提供する。 装置 技術の概要; HiPIMS(高出力インパルス・マグネトロンス パッタリング)をナノクラスター生成装置に組み 込み、放電パルスの強度、間隔、デューティ比 放電パルスの強度、間隔、デューティ比 を調整し、これら電気的パラメータに応じた2 を調整し、これら電気的パラメータに応じた 種類の不活性ガス(プラズマガス及び冷却ガ ス)の導入量、分圧及び導入場所を変化させ ることに加え、イオンビーム取り出し口に設け ることに加え、イオンビーム取り出し口に設け たイオンゲートに放電パルスに遅延同期させ たパルス阻止電場を印加して、これらの相乗 効果によって上記目標を達成する。 特許「ナノクラスター生成装置」 2014年3月14日査定登録・P5493139 PCT/JP2014/063877 株式会社アヤボと共同 6/21 新技術によるナノクラスター これまで確認されている機能ナノクラスターの例 ・金属ナノクラスター Ag, Pt, Au, Cu, Pd, Ni, …. ・半導体ナノクラスター Si, Ge,…. ・シリコン複合ナノクラスター Ru, Rh, Pd, Ag, Co, Ni, Mo, W Ta, Nb, V, Ti, Lu - Si Ta@Si16 7/21 (実施例1 (実施例1) 銀 (Ag) ナノクラスターの質量スペクトル 本技術 2倍から10倍の イオン量を実現 従来技術 (直流マグネトロンスパッタリング) 直流マグネトロンスパッタリング) 8/21 (実施例2) (実施例 ) イオンゲート電場の遅延時間による質量スペクトルの変化 (時間分割されたAgナノクラスターの生成) 時間分割により 選択性を向上 異種元素混合 では顕在化 9/21 (実施例3)イオンゲート電場の遅延時間による (実施例 )イオンゲート電場の遅延時間による 質量スペクトルの変化(TaSi16ナノクラスター) 質量スペクトルの変化( 10/21 HiPIMS法の適用範囲 HiPIMS法の適用範囲 ⽩⾦ ナノクラスター負イオン パラジウム ナノクラスター負イオン 種々の金属・半導体および複合ナノクラスターに適用可能 11/21 従来の気相生成法との比較 従来技術 本技術 pAオーダー オーダー nAオーダー オーダー 105以上 103~104 質量選択性 低 高 イオンゲートによる阻止電場遅延同期 ― 有 イオンゲートによる質量選択性の向上 ― 大 クラスター生成量(イオンビーム強度) クラスターサイズ制御範囲(m/z) ) クラスターサイズ制御範囲( 12/21 市販ナノ粒子との比較 既存「ナノ粒子」 との 粒径比較 「2011年 微粉体市場 の現状と将来展望(富 士キメラ総研)」を元に 作図 ★本技術によって既存商品よりも2~3桁小さい、1nmレベルのナノ 粒子が得られる。 ★しかも、その物性は既存製品には無い特異なものとなる可能性が 13/21 高い:「ナノ粒子」から「ナノクラスターへ」 応用展開のイメージ 1. リサーチツール 生成精度向上、収量増加によって ナノクラスターの応用研究を加速 「ナノクラスター分散液と その製造装置」(出願中) 2.ナノクラスター、 2.ナノクラスター、 ナノ粒子製造装置 改良 技術 生成したナノクラスターを液 中に捕集。 アプリケーション 質量・構造の選別精度を大幅に向上させた、 直流パルス・マグネトロンスパッタリング装置 凝集せず 長期間安定 3. 高精密触媒 ・デバイス ナノクラスターを固体上に担持 4. 製膜高度化のた めの基盤技術 前駆体としてのナノクラスター解析・制御 14/21 新技術の応用 • 機能ナノクラスターの選択的大量合成手法 • 製膜:界面の乱れを起こさない金属ナノクラスター 付着によって有機デバイスへの効率的な電極づけ M. Nakaya et. al., Adv. Func. Mater. 2013. • デバイス:MEMSによるナノ構造と金属ナノクラス ターの光学応答とを制御した光電変換センサー M. Nakaya et. al., Nanoscale 2014. Ta@Si16 M. Shibuta et al. J. Am. Chem. Soc. 2015. 15/21 想定される製品 • ナノクラスター、ナノ粒子製造装置 • ナノクラスター生成から 高精密触媒 ・ 製膜高度化 のための基盤技術に展開も可能。 16/21 実用化に向けた課題 既存商品よりも2~3桁小さい、 1 nmレベルのナノ粒子が得られる。 ・現在:ナノクラスターの生成手法 直径50 mmの円盤ターゲットで実施可能 ・課題:ユーザビリティの向上とコスト削減 ・今後:種々のナノクラスターの生成の実証 ユーザーフレンドリーな制御システムの構築 17/21 企業への期待 ・パルススパッタリング電源の技術 関連企業との共同研究を希望 →ナノクラスター生成の汎用化とコストダウン 各国電源の事情に合わせた電源技術の最適化 ・製膜技術を開発中の企業、触媒分野への展開 →ナノクラスターの機能を最大限化 用途開発に向けた共同研究を希望。 →製膜技術およびそれを基礎とした触媒分野 電子・光デバイス等への展開も探索 18/21 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 • 出願番号 • 登録番号 • 出願人 • 発明者 :ナノクラスター生成装置 :特願2013-112995 (2013年5月29日) :PCT/JP2014/063877 :特許5493139 (2014年3月14日) :国立研究開発法人 科学技術振興機構 株式会社 アヤボ :中嶋敦、角山寛規、張初航、赤塚 紘 己、塚本 恵三 19/21 産学連携 産学連携の経歴 の経歴 • 2009年-2016年 JST・ERATO事業に採択 • 2013年アヤボ社と共同開発実施 • 2015年-2017年 アヤボ社と共同研究実施 20/21 お問い合わせ先 お問い合わせ先 技術問合せ: 慶應義塾大学 先端科学技術研究センター(KLL) 研究員(産学連携担当) 田巻 一彦 TEL: 045-566-1708 FAX: 045-566-1697 e-mail: [email protected] ライセンス問合せ: 国立研究開発法人 科学技術振興機構 主任調査員 小澤 修二 TEL: 03-5214-8486 FAX: 03-5214-8417 e-mail: [email protected] 21/21