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チョウゲンボウ新聞(第16号)[PDF:774KB]
十三崖チョウゲンボウ応援団ニュースレター チョウゲンボウ新聞 No.16 2013年(平成25年)1月18日(金)発行 チョウゲンボウはタカじゃない!? ●「日本鳥類目録」改訂第7版より 日本鳥学会は、平成24年9月15日に「日本鳥類目録」改訂第7 版を刊行しました。「日本鳥 類目録」は、日本国内で記録されたすべての鳥類を列挙し、それぞれの分類上の位置づけを 明らかにし、生息状況を記したものです。 この「日本鳥類目録」改訂第7 版で、注目すべき改訂が行われています。それは、これまで 「タカ目」に分類されていたチョウゲンボウが属する「ハヤブサ科」が、タカ目から独立して「ハヤ ブサ目」となり、そして、なんと「スズメ目」の直前に置かれたことです。近年、 DNA を用いた分 子系統学的研究によって、「ハヤブサ科」は他の「タカ目」との類縁は遠く、むしろ「スズメ目」や 「オウム目」に類縁が近いという証拠が出されました。今回の改訂は、この結果を取り入れたも のです。 チョウゲンボウを含む「ハヤブサ科」の鳥類は、以前より体の構造が「タカ目」の鳥類よりそれ 以外の種に近いと、海外の研究者によって報告されていました。生態においても、そのように 推測される部分があります。しかし、これで、日本鳥学会でも「ハヤブサ科」が「タカ目」との類 縁が遠いことを認めたことになります。もうチョウゲンボウはタカではありません。今後、チョウ ゲンボウがスズメ目やオウム目に近い種であるということから、新たな視点が生まれるかもし れません。 ハヤブサ目ハヤブサ科のチョウゲンボウ タカ目タカ科のハイタカ <目次> チョウゲンボウはタカじゃない!?・・・・・・・・・・1P 夜間瀬川河川改修工事 進行中・・・・・・・・2P 平成24年度 第2回潅木伐採作業 実施・・・・3P ジャパンバードフェスティバル2012 出展・・3P 平成24年度文化財保護研修会 事例発表・・4P 応援団の活動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4P 〔編集・発行〕 十三崖チョウゲンボウ応援団 事務局 〒389-2192 長野県中野市大字豊津2508 中野市教育委員会事務局 生涯学習課文化財係内 -1- ●夜間瀬川河川改修工事 進行中 「十三崖のチョウゲンボウ繁殖地」の前を流れる夜間瀬川で、河川改修工事が行われてい ます。最近、崖の上流側は改修により流路幅が広がりました。十三崖の地元である平岡地区 在住の方によると、40年ほど前は、夜間瀬川の河道は今の堤外地の高さにあり、川幅は崖の 近くまであったそうです。その後、川が直線化して幅が狭くなり、また河道も低くなりました。そし 改修前の堤外地 改修後の堤外地 て、従来、川の中であった場所が堤外地となりました。その後、その堤外地に、外来植物であ るニセアカシア(ハリエンジュ)やニワウルシなどが繁茂したそうです。そして、それらの外来植 物は崖へと分布を広げ、チョウゲンボウが営巣可能な崖面を狭くしていったと推測されます。 崖の近くから堤外地が姿を消すことは、崖における外来植物の繁茂の原因の一つが、削除さ れることになると考えられます。 また、チョウゲンボウの巣の位置と川までの距離を解析した結果では、川に近い位置ほど チョウゲンボウが多く営巣することがわかっています。実際、川と堤外地を横断する鉄橋に チョウゲンボウが営巣する場合、堤外地よりも川の上に営巣するつがいが多く見られます。 今回の河川改修は、十三崖の景観とチョウゲンボウの営巣環境を昔の状態に近づける工 事として期待されます。 川幅が広い頃の夜間瀬川 川幅が狭い頃の夜間瀬川 〔編集・発行〕 十三崖チョウゲンボウ応援団 事務局 〒389-2192 長野県中野市大字豊津2508 中野市教育委員会事務局 生涯学習課文化財係内 -2- ●平成24年度 第2回潅木伐採作業 実施 平成24年10月27日(土)に、十三崖一帯(夜間瀬川河川敷)において、平成24年度第2回潅木 伐採作業を実施しました。 伐採作業 集合写真 集合場所である夜間瀬川対岸河川下り口に9時に集合し、塚田喜久副会長の挨拶と事務 局による作業説明の後、崖下へ移動しました。9時15分から作業を開始し、10時に一旦休憩、 10時10分から作業再開、そして11時に終了しました。今回の作業では、いずれも外来植物で あるニワウルシとアレチウリの刈り取りを崖の近くで行いました。 閉会後、記念撮影と事務局で用意したチョウゲンボウしおりを配布しました。参加者は14名 (事務局を含む)でした。 ●ジャパンバードフェスティバル2012 出展 平成24年11月3日(土)から4日(日)にかけて、千葉県我孫子市手賀沼親水広場で開催された ジャパンバードフェスティバル2012に出展しまし た。ジャパンバードフェスティバルは、(財)山階 (やましな)鳥類研究所や我孫子市鳥の博物館な どが中心となり、毎年開催されています。十三 崖チョウゲンボウ応援団も、2005年から毎年出 展しています。 開催された2日間の天気は良く、多くの人が 出展テントブースに訪れました。今年は、応援 団から事務局3名が出張し、十三崖のチョウゲ ンボウと応援団の解説パネルの説明や、中野 市産のリンゴの販売を行いました。パネルには 今年の営巣状況を記載し、他に剥製や入会案 内、ニュースレターを置きました。 ブースには多くの来場者があり、十三崖が世 賑わう会場 〔編集・発行〕 十三崖チョウゲンボウ応援団 事務局 〒389-2192 長野県中野市大字豊津2508 中野市教育委員会事務局 生涯学習課文化財係内 -3- 界的に貴重であること、中野市を中心とする 地方自治体と市民の協働によって、徐々に 営巣数を増加させていたが、今年は昨年より 営巣数が減少し、1つがいのみが営巣したこ とをパネルを用いて説明しました。特に今年 は天敵であるハヤブサが営巣したことと、主 食のハタネズミの個体密度が低かったことが、 営巣数の減少に関係したと考えられることも 解説しました。ハタネズミの個体数密度は、 積雪量にも関係していると推察されます。「十 三崖のチョウゲンボウ繁殖地」の保全は、人 為的影響だけではなく、天候など自然の影響 にも左右される可能性があることを来場者に 伝えました。また来場者からは、剥製やパネ ルの写真を見て「チョウゲンボウは可愛い」と の声が聞かれました。 十三崖チョウゲンボウ応援団の出展テントブース ●平成24年度文化財保護研修会 事例発表 平成24年11月14日(水)に、長野県立歴史館講堂で開催された平成24年度文化財保護研修 会において、事務局が事例発表を行いました。これは、十三崖チョウゲンボウ応援団が、平成 24年度長野県文化財保護功労者表彰を受けたため、平成24年度文化財保護研修会での事 例発表を依頼され、今回発表したものです。 行った事例発表では、チョウゲンボウと集団営巣の希少性の紹介、世界で崖地の集団営巣 地が3ヶ所しかないこと、十三崖での営巣数の減少と考えられる原因、そして応援団の保全活 動とその後の営巣数の推移を説明しました。質疑討論の時間では、同じく崖地の集団営巣地 として有名であった、長野県上田市の岩鼻に状況についての質問が出されました。それにつ いて、現在の十三崖と同様に、ハヤブサが飛来してチョウゲンボウの営巣数が減少し、チョウ ゲンボウは岩鼻を放棄してしまったと回答しました。 総括の時間に、(社)長野県文化財保護協会 の長岡寿会長から、応援団を例にとり、文化財 の保護は地域の人々に支えられているとの講 評がありました。 応援団の活動 10月27日 11月 3日 ~4日 11月14日 第2回潅木伐採作業 ジャパンバードフェスティバ ル2012 出展 平成24年度文化財保護研 修会事例発表 会員数 1月18日現在 事例発表を行う事務局 192名 〔編集・発行〕 十三崖チョウゲンボウ応援団 事務局 〒389-2192 長野県中野市大字豊津2508 中野市教育委員会事務局 生涯学習課文化財係内 -4-