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抗真菌治療

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抗真菌治療
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カンサイダス点滴静注用70mg
第2部(モジュール2)
CTDの概要(サマリー)
2.2 緒言
MSD株式会社
カスポファンギン酢酸塩
2.2 緒言
注射剤
目次
頁
略号及び用語の定義..................................................................................................................................... 2
2.2 緒言..................................................................................................................................................... 3
2.2
-
緒言
1
-
カスポファンギン酢酸塩
2.2 緒言
注射剤
略号及び用語の定義
略号
AIDS
正式名称(英語)
Acquired Immune Deficiency Syndrome
2.2
-
緒言
2
-
正式名称(日本語)
後天性免疫不全症候群
カスポファンギン酢酸塩
2.2 緒言
2.2
注射剤
緒言
深在性真菌症は、生体表面から深い部位にある臓器・組織に主病巣がつくられる重篤な真菌感
染症であり、発症すると致命的な転帰をたどることが少なくない。その多くは、化学療法を受け
たがん患者や骨髄・臓器移植に伴う免疫抑制剤の投与を受けた患者、あるいは後天性免疫不全症候
群(Acquired Immune Deficiency Syndrome: AIDS)の患者など感染防御能の低下した患者に発症す
る日和見感染症である。
したがって、深在性真菌症は高度医療の普及と人口の高齢化に伴い増加し
ていくことが予想される。国内では、カンジダ属及びアスペルギルス属による深在性真菌症の発
症頻度が最も高い。深在性真菌症の治療には注射剤又は経口剤の抗真菌薬による全身療法が不可
欠であるが、現在国内では4クラスの合計9種の薬剤(ポリエン系:アムホテリシン B、アムホテ
リシン B リポソーム製剤、アゾール系:ミコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、
ボリコナゾール、イトラコナゾール、フルオロピリミジン系:フルシトシン、キャンディン系:
ミカファンギン)が深在性真菌症治療薬として承認されている。しかしながら、ポリエン系抗真
菌薬は抗真菌活性や抗真菌スペクトラムが優れているものの、臨床用量での腎機能障害の副作用
が問題となっている。また、アゾール系抗真菌薬は安全性や体内動態ではポリエン系抗真菌薬よ
りも優れているものの、その汎用によりカンジダ属の耐性化が問題となっている。さらに、ピリ
ミジン系抗真菌薬は耐性と毒性が出やすい特徴がある。これらの問題を背景に、より根本的な解
決策として、臨床的有用性のより高い新規抗真菌薬を開発し、治療の選択肢を増やすことが望ま
れている。
カスポファンギンは、世界で初めて承認されたキャンディン系(pneumocandin B0の誘導体)の
抗真菌薬である。その作用機序は、既存の抗真菌薬とは異なり、ヒトの細胞では産生されない真
菌細胞壁の主要成分である β-(1,3)-D-glucan の強力な合成阻害である。このため、カスポファンギ
ンは標的に選択的に作用して、より副作用が少なく、高い安全性を示すことが期待される。また、
カスポファンギンは、臨床的に重要な真菌であるカンジダ属又はアスペルギルス属に対して強い
抗真菌活性を示し、その特有の作用機序からフルコナゾール、フルシトシン及びアムホテリシン
B に耐性のカンジダ属の臨床分離株に対しても活性を有する。カスポファンギンは多くの播種性
カンジダ症及び播種性アスペルギルス症の動物モデルで優れた治療効果を示し、またヒト以外の
霊長類及びげっ歯類でも良好な薬物動態及び安全性プロファイルを示した。
ヒトにおけるカスポファンギンの有効性及び安全性は、多くの外国試験で既に確認されている。
カスポファンギンの有効性評価については、食道カンジダ症治療ではフルコナゾールに対する非
劣性が、侵襲性カンジダ症治療ではアムホテリシン B に対する非劣性が示された。また、真菌感
染が疑われる発熱性好中球減少症患者への経験的治療では、カスポファンギンはアムホテリシン
B リポソーム製剤に対して有効性が非劣性であることが示された。さらに、他の抗真菌薬治療が
無効又は不耐の侵襲性アスペルギルス症患者への救済治療に対してもカスポファンギンは有効性
を示した。一方、第Ⅰ相から第Ⅲ相試験の安全性評価では、カスポファンギンが良好な安全性プ
ロファイルを有し、概して忍容性は良好であることが確認された。これらの臨床試験成績から、
カスポファンギンは、2000年12月に他の治療法(アムホテリシン B、アムホテリシン B リポソー
ム製剤又はイトラコナゾール)が無効又は不耐の患者における侵襲性アスペルギルス症への治療
2.2
-
緒言
3
-
カスポファンギン酢酸塩
2.2 緒言
注射剤
の適応症がメキシコで承認されて以来、食道又は口腔咽頭カンジダ症、侵襲性カンジダ症(カン
ジダ血症及び腹腔内膿瘍、腹膜炎、胸膜腔内感染などのその他のカンジダ感染)への治療、真菌
感染が疑われる発熱性好中球減少症への経験的治療の適応症が外国で順次承認され、日本以外の
世界80ヵ国以上(2010年6月現在)で使用されている。
外国での臨床試験成績及び市販後使用経験を踏まえて実施した日本人対象の第Ⅰ相試験では、
カスポファンギンの安全性、忍容性及び薬物動態は外国試験での結果と類似していることが確認
された。また、カスポファンギンに対する主要病原真菌の感受性も日本人患者と外国試験の患者
からの臨床分離株で類似していた。続いて国内で実施されたカンジダ属又はアスペルギルス属に
よる深在性真菌症患者対象の第Ⅲ相試験では、日本人患者に対するカスポファンギンの安全性及
び有効性が示された。これらの国内試験成績並びに外国試験成績に基づき、本邦では以下の成人
における効能・効果についてカスポファンギンの製造販売承認申請を行うこととした。
【効能・効果】
1)
真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症
2)
カンジダ属又はアスペルギルス属による下記の真菌感染症
・
食道カンジダ症
・
侵襲性カンジダ症(カンジダ血症、腹腔内膿瘍、腹膜炎、胸腔内感染)
・
アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペ
ルギローマ)
2.2
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緒言
4
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