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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅

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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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藤月会論集第2号
京都大学経済学部藤井ゼミナール論文編集委員会
藤月会論集 (1993), 2
1993-02
http://hdl.handle.net/2433/24367
Right
Type
Textversion
Research Paper
publisher
Kyoto University
藤
月
会
論
集
第2号
京都 大学経済学 部
藤 井 ゼ ミナ ール論文集編 集委員会
目
次
刊 行 の こ とば
ダ イ ェ ー グ ル ー プ と イ トー ヨ ー カ堂 グ ル ー プ の 企 業 分 析
銀 行 業 界 と そ の財 務 に 関 す る分 析
1
53
放送業界の経営分薪
105
自動車業界 の分析
127
ゼ ミ生 の回想
148
住所録
170
編集後記
174
刊 行 の こ と ば
今 年 も ゼ ミ 論 文 集 を 刊 行 す る 季 節 を 迎 え ま し た 。1年
が 経 過 す るの は本 当 に速
いものです 。
本 年 度 は 、 わ た し の ゼ ミ ナ ー ル が 「発 足 」 し て2年
ナ ー ル と し て は や っ と1サ
目 の年 で し た。 こ れで ゼ ミ
イ ク ル が終 わ る こ とにな り ます 。
ま ず 第 一 に 、 本 年 度 、 ゼ ミ1期
生 を卒 業 生 と して 送 り出 し ま す 。 バ ブ ル経 済 の
崩 壊 に よ っ て 日本 経 済 は 深 刻 な 不 況 を 経 験 し っ っ あ り 、 学 生 の 就 職 戦 線 も 昨 年 は
ず い ぶ ん 厳 し い も の が あ り ま し た 。 しか し 、 幸 い に も 、 わ が ゼ ミ の4回
全 員 、 よ き 就 職 の 機 会 に 恵 ま れ ま し た 。 あ と は た だ 、4回
生諸 君 は
生 諸 君 が この 好 運 を無
に す る こ と の な い よ う 祈 る ば か りで す 。
第 二 に 、 共 同 研 究 の 発 表 の 場 と し て 、 奥 村 ゼ ミ(立
命 館 大 学 経 営 学 部)と
の研
究 交 流 シ ン ポ ジ ウ ム を 開 催 す る こ とが で き ま し た 。 こ の シ ン ポ ジ ウ ム を っ う じ て
皆 さ ん は 多 く の こ と を 学 ん だ は ず で す 。 し か し 、 そ う し た 成 果 も 、 昨 年 度(ゼ
1年 目)の
下 準 備 が あ っ て の こ と で す 。 今 年 の ゼ ミ 論 文 集 に 収 録 さ れ た2回
ミ
生の
研 究 論 文 は、 来 年 度 の 共 同 研 究 の ため の 下 準 備 とい う こ と にな り ます 。
第 三 に 、3回
生 の 惟 康 典 子 さ ん が 、 公 認 会 計 士 二 次 試 験 に合 格 し ま し た 。惟 康
さ ん は 、 わ が ゼ ミ 出 身 の 公 認 会 計 士(補)第
一 号 と い う こ とに な り ます 。ゼ ミの
指 導 教 官 と し て も 、 た い へ ん 嬉 し く思 い ます 。 し か し、 来 年 度 は 惟 康 さ ん に 続 い
て 、 ゼ ミ 生 の な か か ら公 認 会 計 士(補)が
さ らに新 た に誕 生 す る は ず で す 。期 待
して い ます 。
第 四 に 、 本 年 度 を も っ て 、3回
生 以 上 の 全 ゼ ミ生 が 日商 簿 記 検 定 合 格 者 とな り
ま し た 。 新 ゼ ミ 生 の 皆 さ ん も 、 こ の 「伝 統 」 を 引 継 ぎ 、 新 し い 課 題 に 積 極 的 に 挑
戦 して くだ さ い 。
1993年1月18日(経
藤井
済 学 部 の 研 究 室 に て)
秀樹
1992年 度 共 同 研 究 論 文
ダ イ ェ ー グ ル ー プ と イ トー
ヨー カ堂 グル ー プ の企 業 分 析
一1一
木村崇博
久保 幸司
惟康典子
澤江 由紀子
三浦 一郎
山ロ英孝
吉原 秀幸
次
目
は じめ に
第 ユ章
3
4
ダ イ エ ー グ ル ー プ と イ トー ヨ ー カ 堂 グ ル ー プ の 企 業 戦 略 分 析
1巨
大 流 通 グル ー プ各 社 の 近 況
4
II各
社の経営 戦略
4
皿1980年
第2章
代 の 各 社 の経 営 革 新 運 動
ダ イ エ ー と イ トー ヨ ー カ 堂 の 鳥 瞼 分 析
8
16
1
ダ ィェーの分析
16
皿
イ トー ヨ ー カ 堂 の 分 析
20
皿
ダ イ エ ー と イ トー ヨ ー カ 堂 の 比 較
23
第3章
ダ イ エ ー と イ トー ヨ ー カ 堂 の 経 営 指 標 分 析
28
1経
営指 標 分 析概 論
28
II成
長性指標
28
収 益性 指 標
30
IV安
定性 指 標
35
Vま
とめ
36
皿
第4章
ダ イ エ ー と イ トー ヨ ー カ 堂 の 資 金 分 析
1比
較貸 借 対 照 表 式 の 資 金 運 用 表 の分 析
1【 内 部 資 金 分 析(回
皿
第5章
転 差 資 金 と 内 部 留 保)
総 合的見地 か ら
38
38
41
44
ダ イ エ ー グ ル ー プ と イ トー ヨ ー カ 堂 グ ル 「 プ の 連 結 分 析
46
1ダ
イ エ ー グ ル ー プ と イ トー ヨ ー カ 堂 グ ル ー プ の 概 要
46
II決
算 数 値 に よ る連 単 分 析
46
おわ りに
50
一2一
はじめに
空 前 の 好 景 気 を 支 え た バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 に よ っ て 、 地 価 ・株 価 は 急 速
に 下 落 し、 日本 の 産 業 界 は 大 き な打 撃 を 受 け た 。 現 在 に 至 っ て も依 然 と
して 景 気 回 復 の 兆 しは見 られ ず 、 多 く の 業 界 で 減 収 ・減 益 が 記 録 さ れ て
い る 。 個 人 消 費 者 を 対 象 とす る ス ー パ ー 業 界 も例 に もれ ず 、1992年8月
中 間 期 実 績 で 売 上 高 、 経 常 利 益 共 に ほ ぼ横 ば い に な っ て い る 。 こ の よ う
な 状 況 の 中 で 大 手 ス ー パ ー 各 社 は 従 来 の戦 略 の 見 直 しを 迫 ら れ て い る 。
ス ー パ ー業 界 は 我 々 消 費 者 の 生 活 に 密 着 して お り、 景 気 低 迷 に よ る消
費 者 の 実 質 収 入 の 減 少 は 、 ス ー パ ー 業 界 の 売 上 高 の 減 少 に 直 接 に結 び つ
く と い う特 性 を も って い る 。 こ の よ う な特 性 に 着 目 しっ つ 、 ダ イ エ ー と
イ トー ヨ ー カ 堂(以
下IY)の
大 手2社
を 取 り上 げ て そ れ ぞ れ の 経 営 戦
略 を分 析 し、 ス ー パ ー業 界 の 体 質 を 明 ら か に して い く。 こ こで 上 記2社
を取 り上 げ る の は 、 両 社 が 売 上 高 、 知 名 度etc .に お い て 上 位 を 占 め る も
の で あ る と共 に 、 各 々 の経 営 方 針 が 非 常 に対 照 的 な た め で あ る。 具 体 的
に は景 気 低 迷 時 に い か に 消 費 者 の 購 買 意 欲 を 刺 激 し、 売 上 高 を 維 持 ・伸
長 さ せ る か 、 ま た 消 費 不 況 に耐 え 得 る よ うな 収 益 構 造 と財 務 体 質 を い か
に構 築 す る か と い う点 に つ い て 検 討 す る 。 そ の た め の 資 料 と してr有
証 券 報 告 書 総 覧 』 の デ ー タ を も と に ダ イ エ ー とIYの
価
経 営 ・財 務 指 標 を
概 括 的 に分 析 し、 更 に 両 社 の 資 金 状 況 に つ い て も考 察 す る。 ま た 両 社 が
企 業 集 団 と して 戦 略 を推 進 して い る こ と か ら、 グ ル ー プ 全 体 の状 況 を 総
括 的 に検 討 して い く た め に 連 結 分 析 を 行 う。 こ の論 文 は 通 常 身 近 に 利 用
し て い る ス ー パ ー に対 す る読 者 の認 識 を 新 た に す る も の で あ る と確 信 し
て い る。
一3一
第1章
1巨
ダィエーグループとイ トーヨーカ堂グループの企業戦略分析
大 流 通 グ ル ー プ各 社 の 近 況
流 通 業 界 各 社 は1980年 代 前 半 の 低 成 長 時 代 以 降 、 消 費 者 ニ ー ズ の 多 様 化 ・小 ロ
化 を 受 け て グ ル ー プ 展 開 に よ る総 合 生 活 産 業 を 目指 し1990年 代 に 入 っ て も基 本 的
に はそ の 路 線 を 歩 ん で い るが、 各 グ ル ー プ ご と に様 々 な違 い や 特 色 が 見 られ る。
ダ イ エ ー グ ル ー プ は 流 通 再 編 を 繰 り返 し、 球 団 買 収 や リ ク ル ー ト株 買 収 と い っ た
事 業 拡 大 路 線 を 遽 進 して い る 。 ま た セ ゾ ン グ ル ー プ は 百 貨 店 と ス ー パ ー を 軸 と し
な が ら も 、 金 融 や デ ィ ベ ロ ッ パ ー な ど様 々 な 分 野 に 進 出 して い る 。 ジ ャ ス コ を 中
核 と す る イ オ ン グ ル ー プ は 、 相 次 ぐ提 携 で 新 業 態 を 開 発 し小 売 業 の 多 層 的 な 展 開
と 拡 大 を 狙 い 、 ま た 国 際 的 企 業 へ の 飛 躍 を 目指 して い る 。 そ の 一 方 でIYグ
ルー
プ の よ う に 、 外 食 産 業 に 進 出 した り しな が ら も あ く ま で 小 売 業 に 徹 して 業 界No.1
の 高 収 益 性 を 維 持 し堅 実 経 営 を 押 し進 め る 企 業 も あ る。
ま た 本 業 の 小 売 業 に 限 っ て も 各 企 業 ご と に 違 い が 見 られ る 。 ダ イ エ ー は 店 舗 数
の 更 な る 拡 大 を 目指 し、 ス ケ ー ル メ リ ッ トを 追 求 し て い る 。 セ ゾ ン は パ ル コ や 西
武 っ か しん な ど に 見 ら れ る よ う に 、 お 洒 落 な 都 会 派 感 覚 に あ ふ れ 、 か つ 店 舗 全 体
が1っ
の 街 と して 機 能 す る よ うな シ ョ ッ ピ ン グ セ ン タ ー 中心 の 多 店 舗 展 開 を 行 っ
て い る 。 一 方 でIYは
ア(以
下CVS)業
東 日 本 、 特 に 首 都 圏 を か た め 、 ま た コ ン ビニ エ ン ス ・ス ト
界 で も セ ブ ン ・イ レ ブ ン に よ り優 位 性 を 保 っ て い る。
こ う し て み る と 、 ダ イ エ ー とIYは
売 上 高1位
、2位
を 占 め な が ら も対 照 的 な
企 業 ス タ イ ル を 確 立 し て お り、 そ の 中 身 を 比 較 す る こ と は 非 常 に 興 味 深 い 。 故 に
ダ イ エ ー とIYの2社
比 較 を 中 心 と し な が ら、 流 通 業 界 各 社 の 企 業 戦 略 を 見 て み
た い と 思 う。
II各
社 の経営 戦略
1出
店方式
ダ イ エ ー 、IYは
創 業 が そ れ ぞ れ1957年
成 長 期 に 入 っ て い た 。 地 価 上 昇 率 が2桁
、1958年
で あ り 、 当 時 日本 は 高 度 経 済
を 記 録 した1956年
か ら1973年 ま で の 「土
地 イ ン フ レ」 時 に あ っ て 、 多 く の 小 売 業 社 は 自社 所 有 の 土 地 と建 物 に よ る 店 舗 展
開 を 進 め て い た 。 これ は、 銀 行 借 入 を行 っ て土 地 を 購 入 し店 舗 を建 設 した の ち 、
地 価 上 昇 に よ り 含 み 益 が 大 き く な っ て 担 保 力 が 増 大 し、 更 に 借 入 を 行 い ま た 土 地
一4一
を 購 入 す る 、 と い う仕 組 み で あ る 。 ダ イ エ ー は こ の 出 店 方 式 を と り 、1973年
のオ
イ ル シ ョ ッ ク に よ る 「土 地 イ ン フ レ」 鎮 静 に よ り、 建 物 の み を リ ー ス し て そ こ に
テ ナ ン ト と し て 入 る リー ス 出 店 方 式 を 主 と し た が 、 そ れ ま で の 高 度 経 済 成 長 期 に
は 自 社 所 有 出 店 を 主 と し た 土 地 本 位 制 経 営 を 行 っ た 。 し か しそ れ と は 対 照 的 に 、
IYは
一 貫 して リ ー ス 出 店 を 進 め て き た 。 現 在 全 店 舗 の う ち 約8割
が リー ス で あ
り、 建 物 の 付 属 設 備 や 本 部 ビ ル 、 物 流 セ ン タ ー 、 独 身 寮 な ど も ほ と ん ど が リ ー ス
と な っ て い る。 し か し、IYが
で は な い 。 創 業 当 時 、IYは
地 価 下 落 を 見 越 して リ ー ス 方 式 に 徹 し て き た わ け
自 己 資 金 が 不 足 し銀 行 借 入 の 担 保 力 も弱 か っ た の で
リー ス に 甘 ん じ る し か な か っ た の で あ る 。 故 にIYの
れ た 戦 略 と言 え る 。 しか し こ れ に よ っ てIYは
リー ス 出店 は結 果 的 に生 ま
地 価 下 落 に よ る借 入 金 の 金 利 負 担
に 苦 し め ら れ る こ と は あ ま り な く、 財 務 の 健 全 性 を 高 め る こ と が で き た 。 ま た 自
己 資 金 不 足 と い う こ と に つ い て も、 社 債 、 外 債 、 国 内 転 換 社 債 と い っ た フ ァ イ ナ
ン ス を 実 施 し、 高 株 価 経 営 に よ る 効 率 の よ い 外 部 資 金 の 導 入 を 行 い 、 そ れ を 財 務
力 の 改 善 、 整 備 に投 入 した。 これ は他 社 が 外 部 資 金 を 、 店 舗 用 地 の 購 入 や 店 舗 開
設 と い っ た 設 備 拡 大 投 資 に あ て た の と正 反 対 で あ る 。 こ う し た 戦 略 は 、 有 形 固 定
資 産 合 計 が1986年
べ 、IY769億
でダイエ ー
一1274億 円 、 ジ ャ ス コ1088億 円 、 西 友935億
円に く ら
円 と い う事 実 に 結 果 と して 表 れ た 。 た だ し バ ブ ル 経 済 期 に お い て
各 社 と も 自 社 所 有 に よ る 新 規 大 型 出 店 を 押 し進 め た 結 果 、 現 在 で は 有 形 固 定 資 産
合 計 は あ ま り 差 が な くな っ て き て い る。
2出
店立地
出 店 立 地 に 関 し て は ダ イ エ ー とIYは
同 様 の戦 略 を と って お り、 そ れ に対 して
西 友 が 対 照 的 な 戦 略 を と っ た。 西 友 は 出 店 地 を駅 前 の 一 流 商 業 地 に こだ わ っだ 。
しか しIYは
、 二 流 地 で も道 路 立 地 の 良 い 場 所 に 出 店 し た 。 こ の 二 流 地 出 店 の メ
リ ッ ト と し て は 、 一・
流 商 業 地 に く らべ 地 価 が 安 い た め 売 場 面 積 の 広 い 大 型 店 が 可
能 に な る こ と 、 駐 車 場 ス ペ ー ス が 大 き く と れ モ ー タ リゼ ー シ ョ ン に 対 応 で き る こ
と 、 他 社 と の 競 合 が 避 け ら れ る こ と 、 な ど が 挙 げ られ る 。 こ う してIYは
舗 出 店 に よ り 、 二 流 地 を 一 流 商 業 地 に 変 え て い っ た 。 す な わ ちIYの
大型 店
店舗戦 略 は
リ ー ス 方 式 を べ 一 ス と し た 「立 地 創 造 型 」 と 言 え る の で あ る 。 ま た ダ イ エ ー は 、
地 域 内 で 最 大 の 面 積 を 持 つ 地 域1番
店 づ く り を 目指 し、 地 価 が 安 く面 積 も取 り や
す い 駅 裏 か 、 旧 商 店 街 と駅 の 間 の 空 白 地 帯 を ね ら っ て 出 店 し た 。 ダ イ エ ー やIY
は 百 貨 店 法(*1)の 盲 点 を 活 用 し た の で あ る 。
次 に 、 ド ミナ ン ト出 店 す な わ ち 地 域 集 中 出 店 か 、 ナ シ ョナ ル チ ェ ー ン 形 成 か に
つ い て 述 べ た い 。IYは
首 都 圏 へ の ド ミナ ン ト出 店 を 行 う こ と に よ り 、 物 流 や 宣
一5一
伝 の 合 理 化 ・効 率 化 を 推 進 し、 ス ケ ー ル メ リ ッ トを 追 求 した 。 現 在 は 東 日本 全 域
に 進 出 して い る が 、 な お 首 都 圏 に 店 舗 の 大 多 数 が あ り、 典 型 的 な ド ミ ナ ン ト出 店
で あ る。 そ れ に 対 し、 ダ イ エ ー は ナ シ ョ ナ ル チ ェ ー ン形 成 を 目 指 した 。 し か し、
各 地 域 に 集 中 的 に 多 くの 店 舗 を 出 店 し て 優 位 性 を 得 る 戦 略 を と っ て お り、 ド ミナ
ン ト出 店 を 全 国 各 地 域 で 行 う ナ シ ョ ナ ル チ ェ ー ン網 の 形 成 を 目 指 し て い る と言 え
る 。 故 に 当 然 の こ と な が ら、M&Aに
一 徳 ス ー パ ー・
のM&Aに
よ る 出 店 も多 く な る 。1964年
の東 京 進 出 も
よ る も の で あ り 、 九 州 で は ユ ニ ー ドを 買 収 し て ド ミ ナ ン
ト出 店 を 行 っ て い る 。 ま た 最 近 で は 秀 和 の 流 通 再 編 の 処 理 を 引 き 受 け 、 そ れ に よ
って 首 都 圏 全 域 に店 舗 を 持 っ 忠 実 屋 を グ ル ー プ傘 下 に 収 め 、 今 まで 手 薄 だ っ た首
都 圏 、 特 に 東 京 圏 で の ド ミ ナ ン ト形 成 に 乗 り 出 し た 。 ダ イ エ ー は な お ス ケ ー ル メ
リ ッ トを 目 指 し、 量 的 拡 大 に 湛 進 して い る の で あ る 。
3利
益管理
1980年 代 初 頭 の 「小 売 業 冬 の 時 代 」 に 入 る ま で 、 モ ノ は っ く れ ば 売 れ る と い う
状 況 で あ っ た の で 、 多 くの 小 売 業 社 は 売 上 高 に こだ わ って そ の 伸 び を 重 視 して き
た 。 そ ん な 中 でIYはROI(総
資 本 利 益 率=売
上 高 利 益 率 × 総 資 本 回 転 率)を
経 営 指 標 に し、 あ く ま で も 利 益 を 重 視 して き た 。 こ の よ う な 姿 勢 がIYの
収益 性
No.1を 実 現 さ せ て い る の で あ る 。 ま た ダ イ エ ー は 売 上 高 重 視 で あ っ た が 低 成 長 時
代 に 入 っ て 利 益 重 視 を 打 ち 出 し、 上 記 のROIの
交 差 主 義 比 率(=粗
利 益 率 × 商 品 回 転 率 ×100)の
年 代 に 入 っ て も ダ イ エ ー はIYに
他 、 商 品 回転 率 の 向 上 、 更 に は
向 上 を 目指 し た 。 しか し1990
く ら べ て 売 上 高 で 上 回 り な が ら経 常 利 益 に な る
と 大 き く 水 を あ け ら れ て お り 、 利 益 体 質 の 強 化 は あ ま り進 ん で な い と言 え る 。
4ダ
イ エ ー の プ ラ イ ベ ー ト ・ ブ ラ ン ド商 品
ダ イ エ ー の 経 営 戦 略 の 特 徴 と し て 、 プ ラ イ ベ ー ト ・ ブ ラ ン ド(*2)商
れ る 。1975年
品 が挙 げ ら
以 降 、 資 生 堂 、 カ ネ ボ ウ 、 花 王 、 森 永 な ど と の プ ラ イ ベ ー ト ・ブ ラ
ン ド商 品 を 開 発 し た 。 そ の 後 も 「品 質 は ナ シ ョ ナ ル ・ ブ ラ ン ド商 品 と 同 等 で 、 品
質 面 に 影 響 を 及 ぼ さ な い コ ス ト ダ ウ ン を 目 指 す 」 と い う コ ン セ プ トの も と に ノ ー
ブ ラ ン ド商 品 、 セ ー ビ ン グ 、 ニ ュ ー セ ー ビ ン グ な ど を 生 み 出 し た が 、1982年
ー ク に縮 小 傾 向 を た ど って い る
5CVS事
を ピ
。
業 の展開
IYは
セ ブ ン ・イ レ ブ ン 、 ダ イ エ ー は ロ ー ソ ン と サ ン チ ェ ー ン 、 西 友 は フ ァ ミ
リ ー マ ー ト と い うCVSを
展 開 し て い る が 、 中 で も注 目 す べ き は セ ブ ン ・イ レ ブ
一6一
ン で あ る 。 こ れ は1974年
のIYの
ウ ス ラ ン ド社 はCVSの
コ ン セ プ トを も っ て お り 、 そ れ は ス ー パ ー=売
利 益 率 に 対 し 、CVS=粗
米 国 サ ウ ス ラ ン ド社 と の 提 携 か ら始 ま っ た
。サ
上 高 ×粗
利 益 率 × 売 上 高 と い う も の で あ る 。 っ ま り 、CVSは
売 上 高 は ス ー パ ー に 勝 る こ と は で き な い の で 粗 利 益 率 を 高 くす る こ と に よ っ て 利
潤 を 追 求 す べ き だ 、 と い う も の で あ っ て こ れ を 受 け て ス ー パ ー と 競 合 しな い 商 品
に よ る高 い 粗 利 益 率 の 確 保 が 目 指 さ れ た 。 そ こ で 選 ば れ た の が フ ァ ー ス トフ ー ド
で あ り、 粗 利 益 率 は 生 鮮 食 品 や 雑 貨 品 や 加 工 食 品 が25%前
35%弱
後 で あ る の に く らべ
、
と高 水 準 で あ り 、 徹 底 した 商 品 開 発 の も と に 様 々 な フ ァ ー ス トフ ー ドが 戦
略 商 品 と な っ て い る。 セ ブ ン ・イ レ ブ ン は1992年2月29日
全 国 に4687(う
ち 自営 店3%)の
現 在 で 東 日本 を 中 心 に
店 舗 を 有 して い るが 、 半 数 以 上 は 首 都 圏 に 集 中
し て お り徹 底 した ド ミナ ン ト形 成 を す る こ と に よ っ て 、 物 流 や 宣 伝 の'合理 化 と ス
ケ ー ル メ リ ッ トを 追 求 して き た 。 セ ブ ン ・イ レ ブ ン は こ れ ま で 売 上 高 や 経 常 利 益
ま た 店 舗 数 な ど で 、 ほ ぼ 同 時 期 に ス タ ー ト した ダ イ エ ー 系 ロ ー ソ ンや 西 友 系 フ ァ
ミ リ ー マ ー トに 対 し圧 倒 的 優 位 性 を 保 っ て き た が 、 そ の 理 由 と して 他 社 と は 出 発
点 が 違 っ て い た こ と が 挙 げ られ る 。IYは
自社 の 出 店 に 反 対 す る 町 の 小 売 業 社 に
高 い 生 産 性 の ノ ウ ハ ウ を 提 供 して と も に ビ ジ ネ ス を す る 手 段 と し て フ ラ ン チ ャ イ
ズ ・チ ェ ー ン(*3)に 着 目 し、 こ の フ ラ ン チ ャ イ ズ ・チ ェ ー ン の シ ス テ ム を 学 ぶ た
め にCVSと
い う業 態 を 選 ん だ の で あ る 。 こ れ に よ っ て 大 規 模 な 資 本 投 下 を 行 う
こ と な く、 無 借 金 の 好 財 務 力 を 維 持 し な が ら多 店 舗 化 を 図 る こ と が で き た
に 対 し、 他 社 は 自 己 資 本 に よ るCVSの
。 これ
事 業 化 を 当 初 の 目的 と して お り、 近 年 に
な っ て フ ラ ン チ ャ イ ズ ・チ ェ ー ン を 導 入 した も の の 、 店 舗 数 で は セ ブ ン ・イ レ ブ
ン に ま だ 差 を っ け られ て い る の で あ る 。 ま た セ ブ ン ・イ レ ブ ン はIY同
か らPOSシ
ス テ ム(*4)、EOS(*5)、
グ ラ フ ィ ッ ク ・パ ソ コ ン ・ シ ス テ ム(*6)
を 導 入 し、 情 報 設 備 に 力 を 入 れ て き た 。 特 にPOSに
全 店 導 入(当
時 約2500店)を
様 はや く
関 して は1982年
にはや くも
実 現 さ せ た 。 セ ブ ン ・イ レ ブ ンが 行 っ たPOSやE
OS・
グ ラ フ ィ ッ ク ・パ ソ コ ン ・ シ ス テ ム 、 窓 ロ 問 屋 制(皿21Y「
照)の
導 入 に よ る 在 庫 ・仕 入 ・物 流 の 合 理 化 は 見 事 成 功 し、IYで1983年
わ れ た 業 務 改 革 の モ デ ル ケ ー ス と な っ た 。 そ し て1990年
に はIYは
業革 」参
か ら行
セ ブ ン ・イ レ
ブ ン の 本 家 で あ る サ ウ ス ラ ン ド社 の 買 収 を 決 定 し、 世 界22ヵ 国 に ま た が るCVS
チ ェ ー ン の 経 営 に 乗 り 出 し て い る 。 一 方 、 他 社 も セ ブ ン ・イ レ ブ ン追 撃 の 戦 略 を
打 ち 出 して い る 。 ダ イ エ ー は1989年3月1日
付 で ロ ー ソ ン ・ジ ャ パ ン と サ ン チ ェ
ー ンの 合 併 を実 現 し
、 ダ イ エ ー コ ン ビ ニ エ ン ス シ ス テ ム ズ(D-cvs)と
して再 ス
タ ー トを 切 っ た 。 こ れ に よ り店 舗 数 は1992年9月
ン を 合 わ せ て4188(う
ち 自 営 店3割)と
一7一
末 現 在 で ロー ソ ン とサ ン チ ェー
な っ て お り 、 セ ブ ン ・イ レ ブ ン に 肉 薄 し
て い る 。 ま た 、 フ ァ ミ リ ー マ ー ト も1992年2月29日
%)と
現 在 で2090店(う
ち 自 営 店5
な っ て お り 、 最 近 で は 西 日 本 に も 多 く 進 出 し て い る 。 こ う し てCVS業
界
の 競 争 は ま す ま す 白 熱 して い る 。
皿1980年
'1小
代 の各社 の経営革新 運動
売 業 冬 の 時代
流 通 業 界 は 第1次
オ イ ル シ ョ ッ ク 以 降 も 高 い 成 長 率 を 示 し、20%∼30%増
上 高 の 伸 び を 維 持 し て き た 。 し か し1980年 代 に 入 る と 、 第2次
の売
オ イ ル シ ョ ッ ク後
の 景 気 の 後 退 、 消 費 者 ニ ー ズ の 多様 化 、 大 店 法 に よ る 出店 規 制 な ど の原 因 に よ り
成 長 に も陰 り が 見 え 始 め て き た 。 こ う し て 「冬 の 時 代 」 へ と 突 入 し、 流 通 業 界 各
社 は 軒 並 み 大 幅 な 減 益 、 赤 字 を 記 録 し た 。 ダ イ エ ー は1983年 決 算 で 単 独 で 売 上 高
が 前 年 を 下 回 り 、 経 常 利 益 も64%減
計 上 し、1984年119億
IYも1983年2月
と な っ た 。 ま た 連 結 決 算 で も65億 円 の 赤 字 を
円 、1985年88億
円 と3期
連 続 の 連 結 赤 字 を記 録 した。 ま た
期 に 初 の 減 益 決 算 と な り 、 経 常 利 益 が 前 期 比 マ イ ナ ス9.3%と
な った 。 こ う した 中 で 各 社 と も生 産 性 向 上 と利 益 体 質 の 強 化 を 目指 した 経 営 革 新
運 動 を 展 開 し た 。 な か で もIYは
は や く か ら こ う した 経 営 方 針 を 打 ち だ し、1981
年 に 既 に 業 務 改 善 運 動 に 着 手 して い た 。 そ し て1983年
に は 「業 務 改 革 委 員 会 」 を
発 足 さ せ 、本 格 的 な 「業 務 改 革 」 す な わ ち 「業 革 」 を ス タ ー トさ せ た 。 ダ イ エ ー
は1983年
か ら 、V字
型 の 業 績 回 復 とVictoryを
象 徴 す る 「V革 」 運 動 に 着 手 し 、
西 友 は 「ア ク シ ョ ン25作 戦 」 、 ジ ャ ス コ は 「営 業 効 率 化 推 進 運 動 」 を ス タ ー トさ
せ た 。 以 下 、 各 社 の 改 革 運 動 に 先 鞭 を つ け たIYの
「業 革 」 と 、 肥 大 化 し た グ ル
ー プ 全 体 の 構 造 改 善 を 目指 し た ダ イ エ ー の 「V革 」 の 内 容 を 見 た い と 思 う
。
21Y「
業革」
業 革 の 第1ス
1984年2月
が566億
テ ッ プ は 「死 に 筋 商 品 の 売 場 か ら の 排 除 」 で あ る 。 こ れ に よ っ て
期 に は 棚 卸 資 産 が406億
円(同
マ イ ナ ス340億
円(前
円)、
粗 利 益 率22.6%(同
よ う に 、 財 務 状 況 は 好 転 し た 。 こ の 第1ス
上 昇 した 。 業 革 の 第2ス
あ る。 す な わ ち 第1ス
期 比 マ イ ナ ス54億 円)、
長短 期借入金
プ ラ ス1.5%)
.と い う
テ ッ プ に よ り粗 利 益 率 や 商 品 回 転 率 が
テ ッ プ は 「死 に 筋 を カ ッ ト し売 上 高 を 拡 大 す る 」 こ と で
テ ッ プ で は 売 上 高 拡 大 は 考 え ず 、 と に か く死 に 筋 商 品 の 排
除 を 目指 し た の に 対 し 、 第2ス
目 指 し た の で あ る 。 第1ス
テ ッ プ で は 死 に 筋 を カ ッ ト しっ つ も売 上 高 拡 大 を
テ ップ で は売 上 高 拡 大 を 考 え て い な か った た め 、 消 費
者 の 求 あ る 商 品 が 店 に な い た め に売 る 機 会 を な く し 儲 け を 失 う、 と い う機 会 損 失
一g一
が 大 き く な っ て し ま っ て い た 。 よ っ て 問 屋 や メ ー カ ー や 客 な ど か ら情 報 を 収 集 し
売 れ 筋 商 品 を 追 求 ・発 見 し て 機 会 損 失 を な ぐ し、 売 上 高 拡 大 を 目指 した 。 ま た 、
売 れ 筋 商 品 で は な く死 に 筋 商 品 の 発 見 を 効 率 的 に 行 う た め にPOSシ
入 し、 商 品 の 単 品 管 理 を 押 し進 め た 。POSシ
品 目 や 価 格 の 情 報 を1品
ス テムを導
ス テ ム は 本 来 、 販 売 され た商 品 の
ご とに リア ル タ イ ム で 中央 の コ ン ピュ ー タ ー に伝 送 して
現 金 管 理 や在 庫 管 理 を行 うた め の もの で あ る が、 どん な 商 品 が 売 れ た か が わ か る
た め 、 世 間 一 般 に は 売 れ 筋 商 品 の 発 見 の た め の 装 置 と い う よ う に と らえ ら れ て い
る。 しか しIYは
、POSシ
ス テ ム を も って して も 自社 の 店 に な い 商 品 な らば そ
れ が 売 れ 筋 で あ っ て も 発 見 で き る は ず が な く、 結 局 今 世 間 で 何 が 売 れ て い る か を
っ き と め る こ と は 不 可 能 だ と い う 考 え か ら、POSシ
ス テ ムを あ く まで 自社 の 店
に 置 い て あ る 商 品 の 中 で 売 れ な い もの は 何 か 、 と い う死 に 筋 商 品 発 見 の た め に 導
入 し た の で あ る 。 ま たPOSシ
ス テ ム の フル 活 用 の た め に は問 屋 や メ ー カ ー との
関 係 を 見 直 す 必 要 が あ っ た 。 な ぜ な らPOSシ
ス テ ム に よ って 店 内 の 商 品 が い っ
入 っ て い っ 売 れ た か と い う動 き が わ か り 、 仕 入 の 小 口 化 や 在 庫 削 減 の た め に も そ
う し た 流 れ に 沿 っ た 商 品 の 納 入 が 求 め られ る の だ が 、 問 屋 や メ ー カ ー が 遅 納 ・未
納 す る と、 効 率 的 な 商 品 回 転 が な さ れ な い か ら で あ る 。 特 に ふ る く か ら取 引 して
き た 問 屋 や メ ー カ ー の 未 納 率 が 高 い こ と が 多 か っ た 。 よ っ て 、 遅 納 ・未 納 し た 場
合 に ペ ナ ル テ ィ 料 を も ら う、 オ ー ダ ー を 小 ロ 化 す る 、 と い っ た 契 約 改 正 を 実 施 し
た 。 こ れ に よ り 未 納 率 は60%か
ら2%以
に す る こ と が で き た 。 そ し て 業 革 の 第3ス
制"に
テ ッ プ は 「物 流 シ ス テ ム を"窓
よ り 合 理 化 す る 」 こ と で あ る 。 窓 ロ 問 屋 制 と はIYが1地
屋 の 中 か ら窓 ロ と な る 問 屋 を1っ
仕 入 は そ の 窓 ロ 問 屋1店
IYは
下 まで に改 善 さ れ、 また 機 会 損 失 を 最 小
ロ問 屋
域 内 の数 あ る問
選 び 、 他 の 問 屋 は 窓 口 問 屋 に 卸 売 を し 、IYの
か ら の み 行 う と い う仕 組 み の こ と で あ る 。 こ れ に よ っ そ
ガ ソ リ ン 代 ・人 件 費 な ど を カ ッ ト し、 物 流 コ ス トの 削 減 を 図 っ た 。 し か し
こ う した や り 方 で は 窓 口 問 屋 に 選 ば れ な か っ た 問 屋 か ら不 満 が で る 。 そ こ で 、A
地 区 で 窓 口 問 屋 に 選 ば れ な か っ た 問 屋 をB地
区 の 窓 口問 屋 とす る とい った 解 決 策
で、 そ う した 不 満 の 解 消 を 図 った。
こ う し て 見 て く る と業 革 の 中 心 は 、 情 報 や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン へ の 投 資 で あ っ
た こ と が わ か る 。 こ の 結 果 、 現 在 のIYの
経営の堅 実性、財務 の健全性 が確立 さ
れ た もの と 思 わ れ る。
3ダ
イ エ ー 「V革 」
(1)グ ル ー プ マ ネ ジ メ ン ト体 制 の 確 立
ま ず1983年
に 「地 域 事 業 本 部 制 」 が し か れ た 。 こ れ は ダ イ エ ー 本 部 か ら全 国 の
一g一
地 域 ご と に 設 置 さ れ て い た 地 域 事 業 本 部 に 対 し、 エ リア 内 の マ ー ケ ッ トと 店 舗 を
統 括 す る権 限 を委 譲 した もの で あ る。 しか しこ の よ う に本 部 権 限 を 下 部 組 織 に委
譲 した こ と に よ り、 各 事 業単 位 で の 経 営 責 任 を 明確 化 す る必 要 が で て きた 。 そ こ
で1984年
に 「事 業 本 部 制=経
BU)体
制 」 が し か れ た 。SBU体
わ ちSBUを
営 戦 略 事 業 単 位(StrategicBusinessUnit:以
制 は、 独 立 採 算 単 位 と して の 各 事 業 本 部 す な
設 置 して そ の も と に 関 係 会 社 を 置 き 、 各SBUご
確 化 し てSBU長
下S
と に利 益 責 任 を 明
が 関 係 会 社 を 含 め トー タ ル な 経 営 責 任 を 負 う こ と に よ っ て 、 全
社 的 利 益 管 理 を 追 求 す る も の で あ る。 故 にSBUは
独 立 採 算 的 な 「自 主 的 経 営 」
が 認 め られ る 一 方 で 、 本 部 の 決 定 し た 利 益 計 画 に 従 っ て 利 益 責 任 を や り遂 げ な く
て は な ら な く な っ た 。 そ して1985年
に は グ ル ー プ を リ テ イ ル ・サ ー ビ ス ・デ ィ ベ
ロ ッパ ー ・フ ァ イ ナ ン ス と い う4っ
の セ ク タ ー に 分 け る 「4セ ク タ ー ビ ジ ョ ン」
が 打 ち 出 さ れ た 。 「SBU体
制 」 と 「4セ ク タ ー ビ ジ ョ ン 」 は 現 在 の ダ イ エ ー の
組 織 機 構 を 支 え る 柱 と し て 機 能 し て い る 。 ま た1986年
に は、 グ ル ー プ戦 略 の 策 定
と決 定 を 行 う 「経 営 戦 略 会 議 」 が 設 置 さ れ た 。 そ し て1989年
に は現 在 の 組 織 の 編
成 が ほぼ 出来 上 が っ た。 こ こ で は、 これ ま で ダ イ エ ー本 体 の も と に置 か れ て い た
各SBUが
本 体 か ら切 り離 さ れ 、 グ ル ー プ 担 当 の ス タ ッ フ 部 門 を 持 っ11のSBU
と して 再 編 成 さ れ た 。 こ れ ら は リ テ イ ル ・サ ー ビ ス ・デ ィ ベ ロ ッ パ ー ・フ ァ イ ナ
ン ス の4っ
の 部 門 を カ バ ー して お り 、 ダ イ エ ー 本 体 もGMS事
業 の1っ
と して 位
置 づ け られ、 グ ル ー プ経 営 の 体 制 が 整 備 さ れ た 。
(2)リ テ イ ル 部 門 の 業 務 改 善 運 動
(1)で
見 た よ う な 「自主 性 」 拡 大 の 中 で 、 ダ イ エ ー 本 体 を 中 心 と し た リテ イ ル
部 門 に お い て 、 ま ず 店 舗 レベ ル で の 収 益 構 造 の 改 善 運 動 が 展 開 さ れ た 。1983年
ら1985年 に か け て 全 店 舗 で 展 開 さ れ た 「3-4-5作
商 品 在 庫 を3割
、 ロ ス 率 を4割
、 売 価 変 更 率 を5割
か
戦 」 が そ れ で あ る。 こ れ は
削 減 す る とい う もの で 、 在 庫
削 減 を ベ ー ス と し た 商 品 回 転 率 と粗 利 益 率 の 向 上 が 目標 と な り 、 高 い 成 果 を 上 げ
た 。 こ れ を 受 け て 、 今 度 は 店 舗 レ ベ ル に と ど ま らず 、 物 流 シ ス テ ム の 整 備 やPO
Sシ ス テ ム の 導 入 な ど に よ る リ テ イ ル 部 門 全 体 レベ ル で の 業 務 改 善 運 動 が 展 開 さ
れ 、1985年
以 降 様 々 な 政 策 が 実 施 さ れ た が 、 そ の 内 容 は2っ
に 要 約 で き る 。1っ
は 各 店 で ソ フ トラ イ ン(衣
料 品 、 繊 維 な ど)の
強 化 、 ハ ー ドラ イ ン(オ
ー デ ィオ
機 器 な ど の 耐 久 消 費 財)の
圧 縮 効 率 化 が 進 め られ た こ と で あ る。 これ は、 ソ フ ト
ラ イ ン は粗 利 益 率 が 確 実 に取 れ、 配 送 費 や ア フ タ ー サ ー ビス 等 の 余 分 な経 費 が か
か らな い た め で あ る 。 フ ー ズ ラ イ ン が 主 だ と 粗 利 益 率 が 下 が り 商 圏 も狭 く な っ て
し ま うが 、 こ の よ う に ソ フ トラ イ ン を 強 く す る こ と に よ っ て 、 粗 利 益 率 を あ げ て
商 圏 も 広 く して 、 売 上 高 の バ ラ ン ス を と る こ と が で き た 。 も う1っ
一10一
は商 品 の 発 注
か ら 陳 列 ま で の トー タ ル ・コ ス トの 削 減 を 目 指 し た 、 ロ ー コ ス ト ・オ ペ レ ー シ ョ
ン ・ シ ス テ ム の 構 築 で あ る 。 そ の 第1段
階 は ダ イ エ ー 自前 の物 流 セ ンタ ーを 核 と
した 「セ ン タ ー 物 流 」 で あ る 。 ダ イ エ ー の 全 国 の 物 流 セ ン タ ー や 食 品 セ ン タ ー を
拠 点 と し、 こ こ に 問 屋 か ら の 商 品 を 集 荷 し、 ダ イ エ ー 自 身 の 配 送 手 段 を 使 っ て 各
セ ン タ ー か ら グ ル ー プ の 各 店 舗 に 商 品 を 配 送 す る の で あ る 。 し か し更 に 、 多 品 種
少 量 販 売 に 対 応 で き る よ う 「適 時 ・適 量 」 の 管 理 が 必 要 と な っ て き た 。 こ れ を 受
け て 第2段
階 と し て 、 情 報 シ ス テ ム と結 合 し た 「シ ス テ ム 物 流 」 の 確 立 が 目指 さ
れ た 。 販 売 面 で は 、1985年
に 衣 料 品POSシ
月 に は 全 店 ・全 部 門 のPOSシ
お り、 遅 れ る こ と4年
ン ラ イ ン 化 さ れ てEOSに
ス テ ム の 導 入 が 開 始 さ れ 、1989年3
ス テ ム 導 入 が 完 了 し た 。IYは1985年
に 完 了 して
で あ っ た 。 ま'た発 注 面 で は 、 取 引 先 と コ ン ピ ュ ー タ ー で オ
よ る コ ン ピ ュ ー タ ー 発 注 が 可 能 と な り 、1988年
に は電
話 に よ る 発 注 は 全 廃 し、 全 商 品 の 「シ ス テ ム 発 注 」 が 宋 了 し た 。 こ の よ う な 情 報
シ ス テ ム の 整 備 が よ り進 む と 、 物 流 セ ン タ ー は ホ ス トコ ン ピ ュ ー タ ー と オ ン ラ イ
ン で 直 結 さ れ 、 情 報 シ ス テ ム に よ り管 理 運 営 さ れ るRDC(RegionalDistributionCenter)と
な り、 シス テ ム物 流 は完 成 す るわ けで あ る。 そ して 現 在 そ の 実 現
が 急 ピ ッチ で 進 め られ て い る。
(3)人 事 制 度 の 改 革
V革 の 利 益 管 理 に よ り 、 権 限 を 委 譲 さ れ た 店 長 の 利 益 責 任 が 格 段 に 重 く な っ た
た め 、 実 際 に 出 た 利 益 を 受 け て の 業 績 評 価 シ ス テ ム が 必 要 と な っ た 。1984年
には
「ス パ ー ク プ ラ ン」 が 設 定 さ れ 、 数 字 に よ る 能 力 の 評 価 ・結 果 重 視 と い う姿 勢 が
明 確 に さ れ た 。 そ し て1990年4月
に は 、 限 定 勤 務 地 制 度 と社 員 区 分(ク
再 編 成 を 柱 と し た 「ス パ ー ク プ ラ ン2」
=全 国) 、 リ ー ジ ョ ナ ル(R=ブ
る 範 囲)の3っ
ゼ ネ ラ ル(総
合 職)、
が 設 定 さ れ た 。 勤 務 地 を ナ シ ョナ ル(N
ロ ッ ク 単 位)、
に わ け 、 社 員 区 分(ク
ル ー)の
ル ー)を
ホ ー ム(H=自
宅 か ら通 勤 で き
エ キ ス パ ー ト(事 務 ・販 売 職)、
マ ネ ジ メ ン ト(管 理 職)の3つ
に分 け た 。 そ して 各 ク ル ー
ご と に 教 育 ・評 価 ・処 遇 の 仕 組 み が 確 立 さ れ た 。 ま た 店 長 に っ い て は 「店 長 資 格
制 度 」 が 設 定 さ れ 、 こ れ に よ り業 績 評 価 を 細 分 化 し て1∼5段
階 の 等 級 に よ る格
差 が 設 け られ 、 内 部 評 価 の 結 果 が 公 表 さ れ る こ と と な っ た 。
(4)関 係 会 社 の 構 造 改 善 と営 業 効 率 の 向 上
ダ イ エ ー は1960年 代 後 半 か ら業 態 の 多 様 化 や 多 角 化 事 業 へ の 進 出 を 始 め 、1980
年 代 に 入 る と グ ル ー プ 経 営 の 展 開 は 急 ピ ッ チ で 進 ん だ 。 し か し1983年 か ら3年 連
続 で 連 結 赤 字 を 計 上 した よ う に、 関係 会 社 の 中 に は採 算 の とれ な い もの が 数 多 く
存 在 して い た 。 よ って グ ル ー プの 健 全 性 回 復 の た め に そ う した 会 社 を 清 算 せ ざ る
を 得 ず 、 莫 大 な 額 の 関 係 会 社 整 理 損 を1980年
一11一
代 中 期 に 計 上 す る羽 目 に な った 。 こ
れ は一 般 的 に は 高 い損 金 と して マ イ ナ ス に評 価 され が ち で あ る が、 実 際 に は ・ そ
れ ま で リ ス ク の と も な う赤 字 部 門 を 子 会 社 ・関 連 会 社 と し て 別 会 社 形 態 で 運 営 し
て きた こ とに よ る プ ラ ス の 側 面 も同 等 に 評 価 さ れ な け れ ば な らな い。 ダ イ エ ー は
1970年 代 中 盤 以 降 、 転 換 社 債 や ワ ラ ン ト債 の 発 行 に よ っ て 低 コ ス トの 資 金 を 多 く
獲 得 し た が 、 こ の 資 金 が グ ル ー プ の1980年
代 の 急 速 な 展 開 を 支 え た 。 こ う した 低
利 の 時 価 フ ァ イ ナ ン ス を 利 用 す る に は 本 体 の 株 価 を 高 く維 持 す るYと
が重要 で あ
るが 、 ダ イ エ ー は リス ク の伴 う赤 字 部 門 を 人 為 的 に別 会 社 に切 り離 す こ と に よ っ
て グ ル ー プ 全 体 は と も か く ダ イ エ ー 本 体 の 公 表 利 益 を 確 保 し、 大 幅 な 株 価 の 下 落
を 防 い だ。 す な わ ち ダ イ エ ー は 子 会 社 を 決 算 の 計 算 単 位 と して、 意 識 的 に うま く
利 用 し た の で あ る 。 しか し1980年 代 中 盤 に 多 額 の 未 転 換 残 高 を 抱 え る よ う に な り
本 体 に大 きな 影 響 を 及 ぼす 赤 字 子 会 社 の 再 編 整 理 が 重 要 と な り、 清 算 さ れ る に至
った わ け で あ る。 故 に赤 字 子 会 社 の再 編 整 理 は 、 高 い損 金 とい う よ り もむ しろ、
低 コ ス トの 資 金 獲 得 の ツ ケ が 回 っ て き た と い うべ き な の で あ る 。 こ う し た ツ ケ の
精 算 に あ た っ て は 、 土 地 の 含 み 益 の 実 現 も利 用 さ れ た 。1980年
代 中 盤 、 リー スバ
ッ ク 方 式 、 す な わ ち 自 社 所 有 の 不 動 産 を 関 連 リ ー ス 会 社 に 売 却 し多 額 の 含 み 益 を
得 て 債 務 返 済 に あ て て 不 動 産 は そ の の ち も リー ス しっ づ け る、 と い う や り 方 を 利
用 し て 、 店 舗 の 営 業 は 継 続 さ せ な が ら も店 舗 を 売 却 し、 関 係 会 社 整 理 損 に 匹 敵 す
る 固 定 資 産 売 却 益 を 計 上 した の で あ る 。
ま た ダ イ エ ー の グ ル ー プ 経 営 に お い て 注 目 す べ き は 、 デ ィ ベ ロ ッパ ー 部 門 で あ
る 。 こ の 部 門 は 上 記 の 土 地 の 含 み 益 の 実 現 だ け で な く、 店 舗 物 件 の 開 発 と い う役
割 も果 た し、 グ ル ー プ 全 体 で の 土 地 資 産 の 蓄 積 を 図 っ て い る。 故 に4セ
クターの
中 で こ の 部 門 こ そ が 、 ス ー パ ー マ ー ケ ッ トの 生 命 線 を 握 る 経 営 戦 略 上 の 位 置 に あ
る に と ど ま らず 、 含 み を 重 視 す る土 地 本 位 制 経 営 と い う経 営 理 念 の 体 現 者 と し て
現 在 の ダ イ エ ー を 象 徴 し て い る の で あ る。
(5)ダ イ エ ー の 現 在 と 将 来
以 上 、V革
の4っ
の 柱 を 順 に 見 て き た が 、 そ の 目標 が す べ て 達 成 さ れ た わ け で
は な い 。 巨 大 化 し た グ ル ー プ が1っ
の 有 機 体 と して現 在 円滑 に機 能 して い る か、
い さ さ か 疑 問 が 残 る 。 ま た 「経 営 戦 略 会 議 」 は 中 内 社 長1人
が 引 っ張 る 経 営 か ら
仕 組 み で 動 く経 営 へ の 転 換 と し て 評 価 さ れ て い る も の の 、 長 男 潤 氏 へ の 皇 位 継 承
の 体 制 づ く り と も 呼 ば れ て お り、 現 在 急 激 な 世 代 交 代 へ の 不 安 、 摩 擦 が 生 じ て い
る 。 情 報 シ ス テ ム へ の 投 資 に っ い て もIYに
大 き く遅 れ を と っ て お り 、 利 益 体 質
を 確 立 す るに は ま だ 時 間 が か か りそ うで あ る。 ま た 最 近 で は流 通 再 編 問 題 に絡 ん
で 、TOB(*7)に
よ り マ ル エ ツ や 忠 実 屋 の 株 を 取 得 し、 首 都 圏 で の 優 位 性 を 得 よ
う と い う戦 略 に 出 た が 、 こ れ ら の 株 価 が 大 き く値 下 が り し1992年9月21日
一12一
現 在で
有 価 証 券 含 み 損 が100億4100万
円 に もの ぼ って しま った 。 首 都 圏 戦 略 は遅 々 と し
て 進 ま ず 、 前 途 多 難 で あ る。 更 に は リ ク ル ー トの 情 報 力 と 不 動 産 の 含 み を 目 的 に
リ ク ル ー ト株 を 買 収 し た が 、 確 た る戦 略 は な く リ ク ル ー トの 良 さ を 維 持 で き る か
疑 問 で あ る。
ダ イ エ ー は当 分 の 問 これ以 上 手 を拡 げ ず 、 本 体 と グ ル ー プ全 体 の 収 益 力 の 向上
に努 め、 財 務 の 健 全 性 を高 め るの に力 を 注 ぐべ きで あ る と思 わ れ る。
(*1)第1次
百 貨 店 法 は1937年 制 定 、1947年
廃 止 。 第2次
百 貨 店 法 は1956年 制 定 。
百 貨 店 の 営 業 活 動 を 調 整 し店 舗 の 新 設 や 増 設 を 許 可 制 と し て 中 小 小 売 業 者 の
保 護 を 狙 い とす る もの で あ っ た が 、1973年
の 大 店 法 制 定 に伴 い 廃 止 さ れ た 。
(*2)メ ー カ ー が っ け る ナ シ ョナ ル ・ブ ラ ン ドに 対 し、 小 売 業 者 や 卸 売 業 者 が っ け
る 商 標 。 製 品 を 企 画 ・生 産 す る段 階 か ら小 売 業 者 や 卸 売 業 者 の 意 図 が 盛 り 込
ま れ る。 ス トア ・ブ ラ ン ドと も い う 。
(*3)資 本 と経 営 ノ ウ ハ ウ を 持 っ た 本 部(フ
店(フ
ラ ン チ ャ イ ジ ー)を
ラ ン チ ャ イ ザ ー)が
主 体 と な り、 加 盟
募 集 して 多 店 舗 化 を 図 る シス テ ム。 本 部 は加 盟 店
に 対 し て 営 業 の 権 利 と ノ ウ ハ ウ を 与 え 、 加 盟 店 は 加 盟 料 な ど を 支 払 う。
(*4)PointofSalesSystem.販
売 時 点 情 報 管 理 シス テ ム。 販 売 され た 商 品 の 品 目
や 価 格 の 情 報 を 単 品 ご と に リ ア ル タ イ ム で 中 央 の コ ン ピ ュ ー タ ー に 伝 送 し現
金 管 理 、 在 庫 管 理 を 行 う。
(*5)ElectronicOrderingSystem.自
動 発 注 シ ス テ ム 。 各 店 舗 と物 流 セ ンタ ー ・
問 屋 をオ ン ラ イ ンで 結 び、 各 店 舗 に お い て 補 充 の 必 要 な 商 品 を 端 末 で 入 力 す
るだ け で、 商 品 の 発 注 業 務 を 行 う こ とが で き る。
(*6)コ
ン ピ ュ ー タ ー の デ ー タ を 自 動 的 に 図 表 や グ ラ フ に 表 し処 理 す る シ ス テ ム 。
(*7)Take-overBid.株
式 公 開 買 付 制 度 。 株 式 市 場 で 、 買 い付 け る側 が 買 い付 け価
格 を 提 示 して 買 取 りを 宣 言 し、 不 特 定 多 数 の 株 主 か ら 株 式 を 集 め る 方 法 。
一13一
図 表1-1ダ
イ エ ー の 経 営 組 織 図(1992年5月28日
取
締
役
現 在)
会
監査役
ル プ経営政策会鐵
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理
事
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レプ経宮政策会議剖理事長.
→耀 宮鑛辮 灘
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人
本
西
中
四
国
営
業
本
部
}
店舗企画
本
部
⊥
専
門
大
店
S
業
本
部
一
一
一
近
畿
S
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宮
業
本
部
店舗開 発
本
部
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ト
ポ
ス
s
業
本
部
FC
木
部
一
D
マ
i
ト
宮
業
本
部
一
一
版 、14ペ ー ジ よ り作 成 。
図 表1-2イ
店
店
舗
舗
企
画
.
店
トー ヨ ー カ 堂 の 経 営 組 織 図(1992年2月29日
総
舗
開
管
発
理
財
シ
務
テ
部
ム
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室
室
室
室
室
室
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籍
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務
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本
本
本
本
部
部
部
部
北
東
埼
北
海
千
東
神
り
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竃
蓋
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北
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道
東
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食
品
事
業
部
営 業 本 部
管 理 本 部
業務 推進部
経営開発 部
広
報 「 室
監
査
企 画 室
経齋 藤'
室
秘 書 室
経営政 策室
社
取
長
締
役
國
会
(注 記)
SCテ
(出 所)『
ナ ン ト管 理 部 … … シ ョ ッ ピ ン グ セ ン ター テ ナ ンF管 理 部
有 価 証 券 報 告 書 総 覧 』1992年
一15一
版 、12ペ ー ジ 。
第2章
1ダ
ダイエーとイ トーヨーカ堂の鳥瞼分析1987年 ∼1992年
イエ ー の分 析
1B/Sの
B/S合
分析
計 額 は1987年 か ら1992年 で100か
動 資 産 が100か
ら141.7で
ら143.9の
伸 び とな って い る。 資産 は流
あ る の に 対 し 固 定 資 産 は100か
ら145.2と
な って お り、資
産 の 伸 び は や や 固 定 資 産 に 重 き を 置 い た も の と見 受 け ら れ る 。 し か し 、 前 年 の1991年
ま で は 流 動 資 産 の 伸 び が100か
ら139.4と
固 定 資 産 の100か
ら120.1と
い う伸 び 率 を
上 回 っ て お り 、 しか も そ の 要 因 は 当座 資 産 合 計 が1990年 か ら1991年 に か け て 、112.9
か ら70.6へ 大 き く下 が っ た に も か か わ らず 、 そ の 他 流 動 資 産 合 計 が1990年 か ら1991年
に か け て112.3か
ら362.9へ
と爆 発 的 な 伸 び を 示 した と い う こ と で あ り、 か な り ア ン
バ ラ ン ス な 構 造 に な っ て い た 。 こ う した こ と か ら 、 こ こ2、3年
の 間 に ダ イエ ー を と
り ま く環 境 に さ ま ざ ま な 変 化 が あ っ た の で は な い か と思 わ れ る 。 よ っ て そ の 背 景 を 明
ら か に し な が ら 分 析 し て い き た い と思 う 。 ま ず 当 座 資 産 合 計 の う ち 受 取 勘 定 で あ る 受
取 手 形 と 売 掛 金 を 見 る と 、 受 取 手 形 は 構 成 比 が 小 さ い も の の 大 き く減 少 し て お り・ 売
掛 金 も100か
ら6年
間 で110.8とB/S合
計 の 伸 び をか な り下 回 っ て い る 。 よ っ て ①
あ ま り売 れ な か っ た 、 ② 回 収 の ス ピー ドが 速 い 、 と い う2っ が 考 え ら れ る がP/Lに
お い て 売 上 高 がB/Sと
ほ ぼ パ ラ レル な 伸 び を 示 して お り、 ま た 売 掛 金 の ほ と ん どが
関 係 会 社 に 対 す る も の で あ る の で ② が 原 因 と考 え て 良 い だ ろ う 。 こ れ は 貸 倒 引 当金 が
100か ら65.2と 減 少 し て い る こ と か ら も わ か る 。 とな る と 、 現 金 ・預 金 は 順 調 な 伸 び
を 示 し て よ さ そ う な も の だ が6年
年 に か け て は117.8か
た 有 価 証 券 も6年
ら77.5と な っ て お り特 に1990年 か ら1991
ら60.8と 大 き く下 が り、 金 額 に す る と580億
間 で100か
か ら69.4と な り100億
間 で100か
円 も 減 少 した 。 ま
ら64.4と な っ て お り1990年 か ら1991年 に か け て は131.4
円 近 く減 少 した 。 ダ イ エ ー は 有 価 証 券 の 評 価 に 原 価 法 を 採 用 し
て お り、 バ ブ ル 経 済 崩 壊 の 影 響 は 現 れ な い 。 そ こ で そ の 他 流 動 資 産 合 計 に 目 を転 じ る
と 、1990年 か ら1991年 に か け て112.3か
ら362.9と
大 き く増 加 し、 中 で も 短 期 貸 付 金
が60億 円 か ら1160億 円 程 に1100億 円 近 く も 一 気 に 増 え た 。 こ れ は 流 通 再 編 で 資 金 繰 り
に 困 っ た 秀 和 に 対 し1100億 円 の 短 期 貸 付 金 を 融 資 した た め で あ る 。 即 ち ダ イ エ ー は ・
1990年 か ら1991年 に か け て 定 期 預 金 か ら600億
円 ほ ど引 き 出 し 、 また 政 府 短 期 証 券 の
一 種 で あ る 外 国 為 替 資 金 証 券(第4498回
約100億
分)の
円 を売 る な ど して残 りは社 債
や 長 期 借 入 金 か ら 調 達 し 、 秀 和 へ の 融 資 額 を 捻 出 した と思 わ れ る 。1992年 に な っ て も
秀 和 へ の 短 期 貸 付 金 は800億
円 も 残 っ て お り 、 そ の 他 流 動 資 産 合 計 の 構 成 比 は15.O%
と相 変 わ ら ず 高 い 。 そ して 返 済 され た300億
一16一
円 は 現 金 ・預 金 や 建 物 の 補 充 、 拡 充 に 使
わ れ た の で は な い だ ろ う か 。 ま た 、 棚 卸 資 産 合 計 や 商 品 ・製 品 の 伸 び は100か
程 でP/Lの
売 上 高 の100か
ら140.1と
ら138
い う 伸 び と ほ ぼ パ ラ レル で あ り在 庫 の 削 減 は
あ ま り進 ん で い な い よ う で あ る 。 特 に1991年 か ら1992年 に か け て116程
か ら138ほ
ど
に 急 に 増 え て お り、 や や 気 に な る と こ ろ だ が 、 売 上 高 の伸 び を 大 き く上 回 っ て い る わ
け で は な い の で 不 良 在 庫 と い う わ け で は な い だ ろ う 。 こ れ ら の 背 景 に は新 規 大 型 出 店
が 多 か っ た こ と が 挙 げ ら れ る の で は な い だ ろ う か 。1990年 か ら1991年 に か け て は新 設
が3店
舗 、 譲 り受 け が1店
譲 り受 け が5店
舗 で あ っ た が 、1991年 か ら1992年 に か け て は新 設 が6店
舗
舗 も あ っ た 。 これ に よ っ て 棚 卸 資 産 は 当 然 の こ と な が ら 大 き く 増 加 し
た と思 わ れ る 。 貸 倒 引 当 金 に つ い て は1987年 か ら1988年 に か け て 急 に増 え た が1988年
か ら1989年 に か け て は3分
べ る が 、1988年
の1に
な り変 動 が 激 し い 。 こ れ は2のP/Lの
分 析 で も述
の 値 は 赤 字 の 関 係 会 社 の 整 理 に あ た っ て特 別 損 失 に 計 上 さ れ た133億
円 も の貸 倒 引 当金 を含 んで いる か らで あ る 。
次 に 固 定 資 産 に つ い て で あ る が 、特 に 注 目す べ き は 償 却 対 象 資 産 合 計(特
と投 資 有 価 証 券 合 計 の 高 い 伸 び で あ る 。 建 物 は100か
に 建 物)
ら154..3と な っ て い る が 、 こ れ
は 大 店 法 規 制 緩 和 と バ プ ル 経 済 巨 大 化 に 伴 っ て 自社 所 有 の 新 規 出店 が 増 加 した た め で
あ ろ う。 ま た 有 形 固 定 資 産 の リ ー ス 状 況 を 見 る と 、 建 物 床 面 積 の う ち 自社 所 有 よ りも
リ ー ス 分 が 圧 倒 的 に 大 き く 、 し か も そ の 伸 び は100か
ら145.6と
な って お りその 他 の
設 備 の リー ス 料 も 情 報 が 公 開 さ れ る よ う に な っ た1988年 か ら1992年 に か け て100か
168.9と 非 常 に 高 い 伸 び を 示 し て い る 。 更 に はP/Lの
び て お り構 成 比 も1992年 に は4.5%と
賃 借 料 も100か
ら171.8と
ら
伸
高 い が 、 こ れ に は 建 物 や 設 備 の リー ス 料 が 含 ま
れ て い る と考 え て 良 い だ ろ う 。 こ う した こ とか ら 自 社 所 有 出 店 以 上 に 建 物 や 設 備 を リ
ー ス す る リー ス 出 店 が か な り増 え て き た と言 え る の で は な いだ ろ う か
。 これ は土地 面
積 や 土 地 簿 価 が6年
間 で ほ と ん ど変 わ っ て い な い こ とか ら も 分 か る 。 そ し て 投 資 有 価
証 券 で あ る が 、 そ の 内 訳 を 見 る と投 資 有 価 証 券 も 関 係 会 社 株 式 も か な り 高 い 伸 び を示
し て き た こ と が 分 か る 。1987年 か ら1988年 に か け て の 関 係 会 社 株 式 の 増 加 は 、 オ リ エ
ン タル ホ テ ル の 株 取 得 と神 戸 セ ン トラ ル 開 発 の株 買 い増 しが 中 心 で あ る 。1988年 か ら
1989年 に か け て は 日本 ド リー ム 観 光 ぺ の 資 本 参 加(株
取 得90億 円 ほ ど)な
ど に よ り投
資 有 価 証 券 が 増 加 し 、 プ ラ ン タ ン銀 座 の 株 取 得 、 十 字 屋 株 買 い 増 し に よ る 投 資 有 価 証
券 か ら関 係 会 社 株 式 へ の 振 り替 え 、 ユ ニ ー ド株 の 買 い増 し等 に よ り関 係 会 社 株 式 が 増
加 し た 。1989年 か ら1990年 に か け て の 関 係 会 社 株 式 の 増 加 は ヒ カ リ屋(草 津 の ス ー パ
ー) 、 イ チ ケ ン の 株 取 得 が 主 で あ る 。1990年 か ら1991年 に か け て は 日本 ドリ ー ム 観 光
の 株 買 い増 し50億 円 に よ り投 資 有 価 証 券 が 増 加 し、 ダ イ エ ー フ ァ イ ナ ン ス の 株 買 い 増
し30億 円 に よ り 関 係 会 社 株 式 が 増 加 した 。 そ し て1991年 か ら1992年 に か け て は 投 資 有
価 証 券 が180億
円 ほ ど減 り 、 関 係 会 社 株 式 が570億
円 ほ ど増 加 した が 、 こ れ は 日本 ド
リー ム 観 光 や マ ル エ ツ の 株 を 買 い増 しす る こ と に よ っ て 投 資 有 価 証 券 か ら 関 係 会 社 株
一17一
式 に 振 り替 え た り 、 ツ イ ン ドー ム シ テ ィ株 を 取 得 した た め で あ る 。 ま た 重 要 な 後 発 事
象 と して は リ ク ル ー トの950万
か ら ダ イ エ ー はM&Aに
株 全 株 を455億
円 で 取 得 した こ と が 挙 げ ら れ る 。 以 上
よ っ て 規 模 の 経 済 を追 求 し て お り そ の グ ル ー プ 拡 大 はB/S
合 計 の 伸 び を は る か に 上 回 る ス ピ ー ドで 進 め ら れ て き た こ と が 分 か る 。 そ し て 、 そ の
資 金 源 泉 はバ プル 経 済 崩 壊 前 は短 期借 入 金 、社 債 、崩 壊 後 は長期 借 入 金 、 社 債 で あ ろ
う 。 ま た 長 期 借 入 金 は100か
ら39.0と 大 き く減 っ て い る が こ れ は 関 係 会 社 の 財 務 状 況
が 良 く な っ て ダ イ エ ー 本 体 か ら の 自立 が ほ ぼ 達 成 さ れ た と 見 る べ き だ と 思 わ れ る 。
次 に 貸 方 に つ い て 見 て み た い。 負 債 合 計 が100か
資 本 合 計 は100か
ら135.2と
な っ て い る が 、1991年
りも 高 い 伸 び を 示 して お り、 こ の1年
した よ う で あ る 。 資 本 金 は こ の6年
ら146.3と
な っ て い る の に 対 し、
まで は資 本合 計 の 方 が 負 債合 計 よ
でバ ブ ル経 済 崩 壊 の せ いで財 務 体 質 が急 に悪 化
間 で'100か ら239.2とB/S合
計 を は る か に上 回
る 高 い伸 び を 示 して お りエ ク イ テ ィ ・フ ァ イ ナ ン ス が 急 ピ ッ チ で 進 め ら れ た 。 しか し
負 債 は 固 定 負 債 が1991年 か ら1992年 に か け て105.2か
ら166.3と
激 増 して お り、固 定
負 債 の 大 き な 伸 び が 、 財 務 体 質 悪 化 の 主 な 原 因 と な っ て い る こ とが 読 み 取 れ る 。
まず 支 払 勘 定 、 特 に 買 掛 金 は100か
ら148.2とB/S合
計 よ り高 い 伸 び をTし
てい
る が 、 こ れ は ほ とん ど 関 係 会 社 に対 す る も の で あ り、 立 場 の 強 さ を 利 用 し て 買 掛 金 の
支 払 い を遅 ら せ る こ と に よ っ て 売 掛 金 の 早 期 回 収 と併 せ て 回 転 差 資 金 を 最 大 限 に 活 用
し よ う と して い る こ と を表 す と思 わ れ る 。 ま た 短 期 借 入 金 は1991年 か ら1992年 に か け
て126.2か
ら95.5と 大 き く減 っ て お り こ れ は 財 務 体 質 の 改 善 と言 う よ り 、 上 記 の 資 金
源 泉が 固 定 負 債 に 移 った た めで あ ろ う。
次 に 固 定 負 債 で あ る が 社 債 合 計 の 大 き な 伸 び と、 バ ブ ル 経 済 崩 壊 に よ る 長 期 借 入 金
の 増 加 傾 向 が 目に 付 く 。 社 債 合 計 の 中 で も 重 要 な の が 転 換 社 債 そ して ワ ラ ン ト債 で あ
る 。 特 に 転 換 社 債 は1987年7月30日
に400億
円発 行 され 、 その 後 株 式 へ の 転 換 が進 め
られ た 。 よ っ て 資 本 金 と資 本 準 備 金 が 大 き くな っ て い っ た 。 ま た ワ ラ ン ト債 も1989年
6月29日
に400億
円 発 行 さ れ 、 多 額 の 資 金 を 集 め る こ とが で き た 。 こ れ ら の 資 金 は 主
と して 店 舗 建 築 の た め で あ り、 新 規 大 型 出店 を 可 能 に した 。 ま た グル ー プ 展 開 の 拡 大
に も 運 用 さ れ た の で は な い だ ろ う か 。 高 株 価 に よ る エ ク イ テ ィ ・フ ァ イ ナ ン ス の 実 施
に よ って バ ブル 経 済拡 大 期 に は 長期 借 入金 が 返 済 、圧 縮 化 され 、 財務 体 質 が改 善 され
P/Lに
お い て も 営 業 外 費 用 が 減 少 し て い っ た 。 し か しバ プ ル 経 済 が 崩 壊 し 、 株 価 が
下 落 し て し ま っ た1991年 か ら1992年 に か け て は 一 般 の 社 債 が600億
円 も 発 行 され 、固
定 負 債 の 伸 び の 原 因 と な っ た 。 ま た 多 額 の 未 転 換 、 ま た は 権 利 未 行 使 残 高 を抱 え て い
る 。 さ ら に は 長 期 借 入 金 が1991年 か ら1992年 に か け て75.2か ら113.1と512億
円 も増
加 し、 再 び 増 加 傾 向 に あ り、 支 払 利 息 も1991年 、1992年 と 急 に 増 え て い る 。 こ う した
こ と か ら こ れ か ら の 経 営 に お い て 財 務 体 質 が さ ら に 悪 化 して い く 可 能 性 が 高 い の で は
な い だ ろ う か 。 最 後 に 自己 資 本 で あ る が 、 資 本 金 、 資 本 準 備 金 は 転 換 社 債 の 株 式 転 換
一18一
に伴 い大き く伸びた。 自己資本 の構成比が資本準備金の構成比に比べ てかな り小 さい
ことが気にな るが・ これ は株式 に転換 されたも との転換社債のほ とん どが商法改正の
1982年 よ り前 に発行されたためである。 また利 益準備金も よく伸び ている。 しか しそ
の他の剰余金合計や当期未処分利益金 の伸びはB/S合
計の伸び を下回 って いること
か ら利益 の蓄積は まだ進んでいな いようである。
2P/Lの
分析
売 上 高 、 売 上 原 価 はB/S合
計 の 伸 び と ほ ぼ パ ラ レル で あ る が 、 売 上 総 利 益 は そ れ
を や や 上 回 つ て お り・ 粗 利 益 率 も21.4%か
ら22.6%に 上 昇 し て い る 。 しか し販 売 費 ・
一 般 管 理 費 の 伸 び が 売 上 総 利 益 の 伸 び を上 回
っ て し ま っ て お り、 こ の た め 営 業 利 益 が
圧 迫 さ れ て お り営 業 利 益 率 も2.6%か
革 で 見 ら れ たPOS導
ら2.3%へ
と下 が っ て し ま っ て い る 。 よ っ てV
入 や シ ス テ ム 物 流 に よ る物 流 コ ス トの 削 減 は 、 ま だ あ ま り実 を
結 ん で いな い よ う で あ る 。 し か し新 規 出 店 増 加 に よ る 減 価 償 却 費 や 賃 借 料 の 伸 び も 著
し く ・ 販 管 費 の 伸 び も 止 む を 得 な い 、 と 言 え る か も しれ な い 。 売 上 高 はB/S合
計 と
パ ラ レル な 伸 び を示 し て き た が 、 そ れ 以 上 に 高 い 伸 び を示 し 、 ダ イ エ ー 本 体 の 収 益 改
善 に寄 与 して き た の が 営 業 外 収 益 で あ る 。6年
た ・ 特 に 受 取 利 息 は100か
ら297.6と
間 で100か
ら216 .9と い う 伸 び を 示 し
す ば ら し い 伸 び 率 で あ っ た 。 これ は 公 、 社 債 の
他 、 短 期 貸 付 金 、 関 係 会 社 短 期 貸 付 金 の 効 率 的 運 用 に よ る も の で あ ろ う 。 し か し、 そ
の 伸 び は1991年 に 頂 点 を極 め 、1992年 に は 減 少 して し ま っ て い る 。 また 営 業 外 費 用 は
先 に 述 べ た と お りバ ブ ル 経 済 の 崩 壊 に よ っ て1991年 、1992年 と 大 き く増 加 し た 。 よ っ
て 経 常 利 益 は1987年 か ら!991年 ま でB/S合
計 を上 回 る 高 い 伸 び を 示 して き た が1992
年 に は144.9と
ほ ぼB/Sと
パ ラ レル に な っ て し ま っ た 。 ま た 営 業 外 収 益 か ら営 業 外
費 用 を マ イ ナ ス した 金 融 収 支 は 過 去6年
間 赤 字 で あ り、1992年 に は200億
円 の赤字 と
な り6年 間 で 最 悪 とな っ て い る 。 特 別 利 益 の 内 訳 は 固 定 資 産 売 却 益 、 投 資 有 価 証 券 売
却 益 な ど で あ り、 特 別 損 失 の 内 訳 は 関 係 会 社 整 理 損 、 貸 倒 引 当 金 繰 入 な ど で あ る 。 す
な わ ち こ の6年
に お い て 、 特 に1987年 か ら1989年 に か け て 関 係 会 社 の 再 編 整 理 が 進 め
ら れ た と思 わ れ る 。 ま た こ の 場 合 、 貸 倒 引 当 金 繰 入 は 赤 字 の 関 係 会 社 を 整 理 す る に あ
た って債 権 が 回収 され る見 込 み が な いた め に計 上 され る も ので あ り、 当然 金 額 も大 き
い 。 こ れ がB/Sに
お け る1988年 の 貸 倒 引 当 金 の 大 き さ に 影 響 を与 え て い る
。税 引 前
当期 純 利 益 、 当 期 利 益 、 当期 未 処 分 利 益 金 は ど れ も ほ ぼB/S合
計 額 をや や下 回 る伸
び を 示 して い る 。 よ つ て特 別 損 失 合 計 の 大 き さ が や や 影 響 を 与 え て い る と 言 え な く も
な い が 、 赤 字 関 係 会 社 の 再 編 整 理 は着 実 に 進 ん で お り そ れ ほ ど気 に す る 必 要 も な い で
あ ろ う。以 上 か ら ダイエ ー は 売上 高 の伸 び が順 調 で営 業 外 収益 の 向上 も評 価 で き るが
バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 に 伴 つ て 、 い か に営 業 外 費 用 や 販 管 費 を低 く押 さ え て い く か が 課 題
で あ る と言 え る の で は な い だ ろ う か 。
一19一
皿
イ トー ヨー カ 堂 の分 析
1B/Sの
分析
ま ずB/Sの
借 方 か ら み て い く とB/S合
計 の 伸 び は6年
な っ て い る 。 流 動 資 産 合 計 の 伸 び は144.9とB/S合
な っ て い る が1987年
か ら1991年 ま で はB/S合
間 で158.3と
計 の 伸 び よ り小 さ く
計 の 伸 び を 上 回 っ て お り19
92年 に 初 め て 下 回 る よ う に な っ て い る 。 ま た1991年,1992年
は 前 年 よ り金
額 自体 も少 な くな って お り、 これ は そ の 他 流 動 資 産 合 計 の 減 少 の た め で あ
る 。 流 動 資 産 合 計 の う ち ま ず 当 座 資 産 合 計 は1989年
に 前 年 よ り倍 増 し て い
る 。 こ れ は 短 期 貸 付 金 が334億
円 か ら44億 円 に 減 少 し た こ と に よ っ て 現 金
・預 金 が 著 し く 増 加 し た か ら で あ ろ う 。 そ れ 以 降 は 小 さ な 幅 で 増 減 し て い
る が 、 そ の 中 で も 他 に 目 に つ く も の は 、 構 成 比 は 小 さ い も の の1992年
に受
取 手 形 が 減 少 して い る こ と で あ る 。 こ れ は トー シ ン ・エ ン タ ー プ ラ イ ズ の
受 取 手 形 が1991年
に3億7200万
円 あ っ た の が1992年
は ほ と ん どな くな っ て
い るか らで あ る 。 ま た そ の 他 流 動 資 産 合 計 が 大 き な 変 化 を見 せ て い る 。 こ
の う ち1991年 の 減 少 は 、 ロ ビ ン ソ ン ・ジ ャ パ ン へ の 関 係 会 社 短 期 貸 付 金 が
約150億
円 な くな っ た た め で あ る 。 そ の 他 の 年 の 変 化 は 短 期 貸 付 金 の う ち
三 井 銀 行1当
時)へ
合 計 を み る とB/S合
のCD現
先 が 増 減 して い る た め で あ る 。次 に固 定 資 産
計 以 上 に 伸 び て い て1992年
に は 構 成 比 は70%に
達 し
て い る 。 そ の う ち 有 形 固 定 資 産 合 計 の 伸 び が 大 き く1992年 の 趨 勢 比 は20U
を 超 え て い る 。 そ の 中 で 建 物 や 土 地 の 趨 勢 比 が200を
の 規 制 緩 和 等 に よ り 、 毎 年2∼4店
超 え て い る 。大 店 法
舗 新 設 し て き た こ と に よ っ て 自社 所 有
の 店 舗 施 設 が 増 え た こ とを うか が わ せ る 。 それ は 建 設 仮 勘 定 の 伸 び を 見 て
も 明 ら か で6年
間 で 趨 勢 比 は2000を 超 え る よ う に な っ て い る 。 無 形 固 定 資
産 合 計 を み る と ほ と ん ど変 わ っ て い な い と み て よ い 。 内 訳 は 借 地 権 が ほ ぼ
8割 を 占め て お り 、 特 に 目 に つ く と こ ろ は な い 。 投 資 そ の 他 の 資 産 合 計 は
B/S合
計 を や や 下 回 る 伸 び を 示 し て い る が 、 構 成 比 は45.8%と
か な り大
き い 。 こ の う ち 長 期 差 入 保 証 金 が 半 分 近 く を 占 め て お り 、 リー ス 出 店 戦 略
を と っ て い る イ トー ヨ ー カ 堂 ら し い 点 と い え る 。 しか し 自 社 所 有 に よ る 新
規 出 店 が 増 え た こ と に よ り長 期 差 入 保 証 金 は あ ま り伸 び て い な い 。 ま た 、
投 資 有 価 証 券 合 計 が1992年
に 大 き く増 え て お り 、 中 で も 関 係 会 社 株 式 が 大
き く増 え て い る が こ れ は セ ブ ン ・イ レ ブ ン と設 立 したIYG・
ン グ ・カ ン パ ニ ー の 株 式 取 得 が 特 に 大 き く365億
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円 に も上 り 、 そ の 他 に も
ロ ビ ン ソ ン ・ジ ャ パ ン が 新 た に 発 行 し た1万7000株
得 し た た め で あ る 。 ま た1988年
を170億
円で す べ て 取
、1989年 の 関 係 会 社 社 債 は 、 ヨ ー ク ベ ニ マ
ル の 転 換 社 債 で そ れ を 株 式 に 転 換 し た た め1990年
か らは 再 び0と
な って い
る 。 長 期 貸 付 金 を み る と1991年 に 急 激 に 増 加 し て お り 、 こ れ は ロ ビ ン ソ ン
・ジ ャ パ ン へ の242億
円の 貸 付 が 原 因 で あ る
。 同 社 へ の 短 期 貸 付 金 の150
億 円 が 減 少 した か わ り に 長 期 貸 付 金 が 増 加 し た と み る こ と が で き る 。 しか
し 、 同 社 へ の 長 期 貸 付 金 が1992年
に162億
円 減 少 して い る が 、 こ の 減 少 分
で 同 社 の 株 式 を 取 得 した も の と 思 わ れ る 。 こ の6年
間 の資 金 運 用 を み る と
1990年 ま で は 流 動 資 産 合 計 、 特 に 現 金 ・預 金 の 増 加 が 目立 つ 。 そ し て1992
年 は 固 定 資 産 合 計 の 伸 び が 大 き く、 そ の 中で も投 資 有 価 証 券 合 計 の増 加 が
目 立 つ 。 総 じて 資 金 に 余 裕 が あ る と思 わ れ る 。
次 に 貸 方 を 見 て み る と 、流 動 負 債 合 計 の 伸 び はB/S合
計 の 伸 び よ り大
き く な っ て い る 。 構 成 比 は 、 そ れ ほ ど大 き く な い が 支 払 手 形 が1988年
少 して い る 。 買 掛 金 の 伸 び がB/Sの
に減
伸 び よ り大 き く な っ て い る 。 ま た 、
固 定 負 債 の 方 を 見 る と 年 々 金 額 が 減 少 し て1992年
に は 趨 勢 比58.2と
い る 。 そ の 内 訳 を 見 る と 社 債 合 計 が 趨 勢 比20.1、
長 期 借 入 金 と な る と1992
年 に は0と
な っ て い る 。 社 債 は す べ て 転 換 社 債 で1986年11月17日
な って
に 第2回
国 内 無 担 保 転 換 社 債 を 発 行 した の を最 後 に 発 行 して い な い 。 そ して 、 こ の
6年 で 社 債 金 額 減 少 分 は す べ て 株 式 に 転 換 さ れ て い る が 各 年 の 決 算 月 の 最
高 株 価 の 推 移 を み る と 、1987年2月3930円
4190円 、4400円
か ら4350円
、4530円 、4560円
、
と1991年 に 下 が っ た も の の 上 昇 し て お り 、 高 株 価 の 維 持 が
株 式 転 換 を 可 能 に した と い え る 。 長 期 借 入 金 を み て み る と 、 構 成 比 が 小 さ
い た め 有 価 証 券 報 告 書 の 附 属 明 細 表 に 載 っ て い な い の で 、詳 し くは わ か ら
な い 。 負 債 合 計 を み て み る と 、B/Sの
伸 び を 下 回 り趨 勢 比 は117.4で
る 。 ま た 、 構 成 比 も1987年 に は47.1%だ
っ た の が1991年
あ
に は34.9%と12.2
下 が っ て い る 。次 に 、資 本 に つ いて み る と資 本 金 、利 益 準 備 金 、 そ の他 の
剰 余 金 合 計 、 当 期 未 処 分 利 益 金 が 趨 勢 比200を
こ えて い る 。 また 、資 本 準
備 金 の 増 加 分 は す べ て 転 換 社 債 の 株 式 転 換 の 分 で あ り転 換 社 債 の 減 少 分 が
資 本 金 、資 本 準 備 金 の 増 加 分 とな っ て い る 。利 益 準 備 金 の 増 加 分 は 、前 期
決 算 の利 益 処 分 に よ る積 立 額 と 中間 配 当の 支 払 い に よ る積 立 額 とで な って
い る 。 ま た 、 その 他 の 剰 余 金 合 計 は 、任 意 積 立 金 と 当期 未 処 分 利 益 金 か ら
な って い る が そ の うち 前 期 の 当期 未 処 分 利 益 金 か らで る任 意 積 立 金 が 増 加
して い る ため 前 期 の利 益 の 増 加 が 、次 の 期 の その 他 の 剰 余 金 合 計 の 増 加 と
一21一
な っ て あ ら わ れ て い る 。 ま た 当 期 未 処 分 利 益 金 も堅 調 に 増 加 し て い る 。 資
本 合 計 はB/S合
計 の 伸 び を 大 き く 上 回 り1992年 の 趨 勢 比 は194。9と
て い て 、 構 成 比 は65.1%と
なっ
な り負 債 よ り 自 己 資 本 の 方 が 多 く安 定 した 経 営
ぶ りが う か が え る 。 資 金 調 達 に つ い て み る と 、 こ の6年
間 社 債 は 発 行 して
お ら ず 、 か と い っ て 借 入 金 も増 え る ど こ ろ か 減 少 傾 向 で あ る 。 つ ま り新 た
に 調 達 は し て お ら ず 内 部 留 保 資 金 、 回 転 差 資 金 な ど を う ま く運 用 に ま わ し
て い る も の と思 わ れ る 。
2P/Lの
分析
売 上高は1992年 の趨勢比 が147.8とB/S合
計 をやや下 回 って い る。売
上原価 ・営業原価 、売上総 利益は売上 高 とパ ラレルで あ るとみ る ことがで
きるが営業利益 、経常利益 とな る と1992年 の趨 勢比162.2、186.6とB/S
合計 を上 回るよ うにな ってい る。売上 総利益 か ら販管費 をひいた ものが営
業利益 で あるか らまず販管費 につ いてみ る と販管 費合計 はほ とん ど売 上総
利益 の伸び と同 じで趨勢比 で3ぐ
らい違 うだ けであ るが 、売 上総利益 、販
管費 の額の大 き さに比べ営業 利益の額 は小 さいためその3が 意味 を持つ よ
うであ る。 しか し、販管費 の内訳 をみ て も特 に 目立 って減少 した項 目もな
く全体 的 に費用 の伸 びがやや 少なめ とな って い る。地道な経費 削減が 営業
利益 の伸び と して あ らわれ て きて いるのだろ う。営業 外収益 は受取利息 、
受取配 当金 が主な もので あるが両者 とも伸 びが非 常に大 きい。それ に対 し
営業外費用 は減少 していて受取 利息の増加 に対 し支払 利息は趨勢 比44.5と
まった く逆 にな ってい るが 、 これ はB/Sで
みた よ うに社債 を発 行せず ま
た借入金 も減 少 し資金 調達 を内部 資金で まかな ってい るため であ る。1991
年 に営業外費 用が急 にふ えて いるが これ は1Z?億
円の為 替差損 とB/Sで
見 た よ うにロ ビンソン ・ジャパ ンへ 貸付 を した ことによ り貸倒 引 当金繰入
額 が増加 したため と思 われ る。 しか し、この年 も貸倒 引 当金繰入額 は社外
に流 出す る費用 でな く内部 留保 され て いるので さほ ど気 にか ける必 要 もな
いであろ うとお もわれ る 。この営業外 収益の増 加 と費用 の減少 によ り営業
利益 に もま して経 常利益 は伸び を示す ことにな って いる。特別利益 をみ る
と1989年 、1990年 、1992年 が大 き くな って いるが 、1989年 は貸倒 引当金 戻
入 と投 資有価証券 売却益\1990年 は車 両及び器具 ・備品 の売 却 に伴 う固定
資産売却 益 、1992年 は土地 の売却 によ る固定資産 売却益 が 、それ ぞれ の理
由 としてあげ られ る。特別損 失の変動 はほ とん どが固定資産廃 棄損 の変 動
一22一
に よ る も の で あ る 。 そ し て 、 当 期 利 益 を み る と 年 々順 調 に の び1992年
勢 比 は211。3と
な っ て い て 、 これ がB/Sの
の趨
利 益 準 備 金 の 伸 び につ な が っ
て いる。
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ダ イエ ー と イ トー ヨー カ 堂 の 比 較
ダ イ エ ー と イ トー ヨ ー カ 堂 のB/Sを
計 の 額 を み る と ダ イ エ ー は 約1兆
比 較 して み る 。1992年 のB/S合
円 、 イ ト ー ヨ ー カ 堂 は6600億
は ダ イ エ ー の 方 が 大 き く な っ て い る が 、 こ こ6年
ダ イ エ ー143.9、
イ トー ヨ ー カ 堂158.3と
間 のB/S合
円 と規 模 で
計 の伸び は
イ トー ヨ ー カ 堂 の 方 の 伸 び が 大
き く な っ て い る 。 両 社 と も1992年 の 趨 勢 比 で み る とや や 固 定 資 産 に 力 を 入
れ て い る が 、1991年 ま で は 流 動 資 産 に 力 を 入 れ て い る と い う こ と が 一一致 す
る 。 しか し 、 そ の 中 身 は と い う と か な り違 い が 表 れ て く る 。 ま ず 、 ダ イ エ
ー の 貸 倒 引 当 金 と 関 係 会 社 株 式 の 多 さ 、 そ し て イ トー ヨ ー カ 堂 の 長 期 貸 付
金 の 増 加 に 対 しダ イ エ ー の 減 少 が あ る 。貸 方 を み る とダ イ エ ー の 負債 比 率
の 高 さ と イ トー・
ヨ ー カ 堂 の 自己 資 本 比 率 の 高 さが 見 事 な ま で に対 照 をな し
て い る が 、 こ れ は ダ イ エ ー が 資 金 調 達 を 借 入 金 等 の 他 人 資 本 に 依 存 して い
る の に 対 し イ ト ー ヨ ー カ 堂 は 自 己 資 本 が 充 実 し て お り借 入 金 は 少 な く な っ
て い る た め で あ る 。P/Lを
み る と売 上 高 は ダ イ エ ー が 大 き い も の の 営 業
利 益 は イ トー ヨー カ 堂 の 方 が 高 くな って い る 。 これ は 、販 管 費 の 構 成 比 は
ほ とん ど同 じな の で 売 上 原 価 の 違 い と思 わ れ る 。 また 、営 業 外 収 支 が イ ト
ー ヨ ー カ 堂 が 約150億
円 プ ラ ス な の に 対 し ダ イ エ ー は 約200億
円マ イ ナ ス
と な っ て い る た め 経 常 利 益 の 差 は 一 段 と大 き く な り売 上 高 に 対 す る 経 常 利
益 の 構 成 比 は イ トー ヨ ー カ 堂6.7%に
B/Sで
対 し ダ イ エ ー1.4%と
な って い る 。
み た 借 入 金 の 多 さ が ダ イ エ ー に 影 響 し て い る と思 わ れ る 。
※ 編 集 上 の 都 合 に よ り 、 第2章
の 財 務 デ ー タ の 掲 載 に つ い て は 、1988年2
月 期 分 も 省 略 さ せ て い た だ き ま し た 。 ま た 、1988年2月
期 か ら 開示 され た
「そ の 他 の 設 備 の リー ス 料 」(図 表2・2
、 図 表2・5に
記 載)に つ い て
は 、1989年2月
期 を 趨 勢 比100.ozと
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して 表 示 し ま し た 。
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一27一
矯舞
第3章
1経
ダイエーとイトーヨーカ堂の経営指標分析
営指標分析概論
企 業 活 動 を 分 析 す る に あ た つ て 、 企 業 レベ ル で の 資 本 の 蓄 積 の 様 子 を 数 量 的 に 把 握
す る こ とは と ても重 要 な課 題 で あ る。 この章 で は 、企 業 活動 を総 合 的 に把 握 す るた め
に 、成 長 性 、 収 益 性 、 安 定 性 の3つ
の方 向か ら分 析 して い く こ とにす る。
こ こ で は 、 特 に 以 下 の 指 標 を取 り上 げ て 分 析 し て い く。
①成長性指標
B/S合
計 と売上高、経常利益の成長率
売場面積 当 り売上高 と従業員1人 当 り売上高
②収益性指標
安全余裕率
経営資本営業利益率
付加価値指標(労 働生産性)
③安定性指標
固定比率 、固定長期適合率
H成
長性指標
lB/S合
B/Sは
計 と売上 高 、経 常 利 益 の成 長 率
企 業 の財 産 状 況 を示 す も の であ り、そ の 合計 額 の 伸 長 は企 業規 模 の拡 大 の
様 子 を 表 す も の で あ る 。 売 上 高 は 、 期 ご と の 企 業 活 動 を計 る 一 番 基 本 的 な 指 標 で あ り
経常 利 益 は企 業活 動 の成 果 を表 す重 要 な指標 で あ る。
図 表2-1、2-4か
100か ら143.9に
らB/S合
、IYが100か
計 の 伸 び は 、1987年 か ら1992年 の6年
ら158.3に
間 で ダ イエ ー が
拡 大 し て お り、 ダ イ エ ー に 比 べ てIYの
方 が 資 本 規 模 が 拡 大 し て い る と言 え る 。
売 上 高 を 比 べ て み る と 、 ダ イ エ ー一が6年
し 、IYは100か
位 のIYが
ら147.8へ
間 で100か
ら140.1へ
伸 長 して い る の に 対
高 い 水 準 で 推 移 し て い る 。 売 上 高1位
の ダ イ エ ー に 同2
迫 りつ つ あ る こ と を 示 して い る 。
経 常 利 益 は ダ イ エ ー が 対 売 上 高 比 で 、 過 去6年
一28一
間1.4%程
度 の 低 い水 準 で あ る の に
対 し、IYは1987年
に5.3%、
以 上 の よ う に 、 過 去6年
以 後 増 え 続 け1992年 に は6.7%に
間 を 大 局 的 に 見 れ ばIYが
達 して い る 。
ダ イ エ ー を 凌 ぐ成 長 を 維 持 し て
き た と言 え る 。
2売
場 面 積 当 り 売 上 高 と従 業 員 一 人 当 り 売 上 高
大規 模 小 売 業 の場 合 、 売場 面積 、従 業 員数 の推 移 が売 上 高 の伸 び に示 され る成 長性
を 分 析 す る 際 に 大 き な 意 味 を 持 つ と言 わ れ る 。
売 場 面 積 の 伸 び 率 を 見 る と ダ イ エ ー がIYを
上 回 つ て い る 。 これ は ダ イ エ ー が 大 型
店 の 新 規 出 店 を積 極 的 に 行 な っ て き た こ と に あ り、 ダ イ エ ー の 膨 張 主 義 が 健 在 で あ る
こ と を示 し て い る が 、 そ の 割 に 売 上 高 の 伸 び が 小 さ い の が 気 に 掛 か る 。 対 してIYは
売 場 面 積 当 りの 売 上 高 を 伸 ば す こ と に 力 を入 れ て い る こ とが わ か る 。1987年 に は 同 水
準 で あ つ た 売 場 面 積 当 た りの 売 上 高 は 、 近 年IYが
ダ イ エ ー に 差 を付 け は じめ る 展 開
にな って き て いる 。
店 舗 面 積 の 増 加 に 伴 っ て 、 従 業 員 数 も増 加 す る 。 従 業 員 数 も ダ イ エ ー の 方 が 伸 張 し
て い る が 、 売 上 高 の 伸 長 率 で 勝 るIYが1人
当 りの 売 上 高 を 伸 ば し 、 ダ イ エ ー と の 差
を縮 め て き て い る。
図 表3-1ダ
イ エ ー とIY売
場 面 積 、従 業 員数 に お け る比較
1986
1987
赴 高(百万円)
1,446,211
1,550,314
売場醸(m2)
1,184,070
1,243,856
項 目\年度
1988
1989
1990
1,675,324
1,777,335
1,842,088
127.3
1,294,788
1,353,618
1,401,461
.118.4
86/90
ダイエ ー
885
912
篠顛(人)
14,863
15,574
16,035
従類1人当號 上高(千
円)
98,085
101,870
売上高(百万円)
987,804
売場醸(m2)
X12,826
売場醸 当り祉 高(千円)
952
962
108.7
16,189
16,833
113.3
106,003
110,311
115,670
117.9
1,055,006
1,170,269
1,258,190
1,355,139
137.1
947,266
1,002,019
1,022,943
1,052,632
115.3
960
IY
$88
911
955
1,000
1,048
篠 顛(人)
12,213
12,364
12,483
12,677
13,643
従類1人 当り売靖(千 円)
80,345
85,853
94,198
100,015
105,376
売場醸 当り祉 高(千
円)
(出 所)『
一29一
116.0
111.7
131.2
有 価 証 券 報 告 書 総 覧 』 各 年 版 よ り作 成 。
皿
収益性指標
1安
全余裕率
安 全 余 裕 率 は損 益 構 造 の安 定性 を示 す 指標 で あ る 。売 上高 の減 少 が どの程 度 の水 準
に なれ ば 企 業 が赤 字 に 転化 す るの か を示 す もの で あ る、 この比 率 が 高 けれ ば 高 いほ ど
損 益 構 造 の 安 全 度 合 い も 高 い 。 図 表3-2を
見 る とIYが
他 社 に比 べ て損 益 構造 が安 定
し て い る こ とが 見 て 取 れ 、 ダ イ エ ー は 損 益 構 造 に 余 裕 の な い こ と が 伺 え る 。
しか し、 ど の よ う な 要 因 で こ れ ほ ど の 差 が 生 ま れ る の か 。 以 下 に 分 析 して み る 。
損 益 構 造 を 安 定 さ せ る た め に は 、 変 動 費 と 固 定 費 を抑 え て い く こ とが 必 要 と な る(*
1)。 そ こ で 、 売 上 原 価(変
動 費)と
販 管 費 、 営 業 外 収 益 費 用(固
定 費)に
注 目 し 、2
対 し てIYは73.8%とIYが
高 い 率 を保 持 し て い
社 の損 益構 造 の違 い を 見て み た い。
売 上 原 価 率 は ダ イ エ ー の77.8%に
●
る
。 こ の 原 因 は 売 上 高 構 成 の 違 い に 見 られ る 。 図 表3-4か
ら 、IYが
粗利 の高 い衣 料
品 に 力 を 入 れ て い る こ と、 利 鞘 の 少 な い 関 係 会 社 へ の 卸 売 の 比 率 が 少 な い こ とが 分 か
る だ ろ う。 加 え て ダ イ エ ー は デ ィ ス カ ウ ン トス トア(DS)の
ダ イ エ ー のDS、
トポ ス の 粗 利 益 率 はll∼12%と
展 開 を行 な っ て い る。
言 わ れ て お り(*2)、 こ の よ う な 薄 利
多 売 の 売 上 高 構 成 が 原 価 率 を 高 め て い る と言 え る 。
一方
、 両 社 と も 販 管 費 は 業 界 平 均 よ り低 く押 さ え られ て い る が こ れ は 、 効 率 化 政 策
の 表 れ と見 て 取 れ る 。IYは
ドミ ナ ン ト出 店 方 式 や 窓 口問 屋 制 を 採 用 し、 ダ イ エ ー も
配 送 セ ン タ ー を 整 備 す る な ど 効 率 化 を進 め て い る 。
ま たIYは
営 業 外 費 用 が 低 い こ とが 見 て 取 れ る 。 営 業 外 費 用 の 主 項 目 は 支 払 利 息 で
あ る がIYは
固 定 負 債 が大 変 少 な い。 そ のた め営 業 外 収益 が 同 費 用 を上 回 って いる。
一 方 、 固 定 負 債 を 多 く抱 え る ダ イ エ ー は 営 業 外 費 用 が 高 く 、 経 常 利 益 が 目減 りす る 大
きな 要 因 にな って いる 。
図 表3-2安
社名\年度
全 余 裕 率(単
1986
ダィエ ニ
IY
(7社 平 均)
位:%)
1987
1988
!989
1990
6.2
6.3
6.6
s.s
6.5
20.6
22.7
24.0
24.6
25.0
11.4
12.2
12.2
12.0
12.0
(出 所)『
有 価 証券 報 告 書総 覧 』 各年版
『企 業 経 営 の 分 析 』 三 菱 総 合 研 究 所 、 各 年 度 版 よ り作 成 。
(7社=ダ
イ エ ー 、IY、
西 友 、 ジ ャ ス コ 、 ニ チ イ 、 ユ ニ ー 、 長 崎 屋)
一30一
図 表3-31990年
度P/L=構
成 比 率(抜
粋)(単
位:百
万 円 、%)
7社 平均
IY
ダ イエ ー
金額
構成比
金額
構成比
売上高
1,842,088
100.0
1,355,139
100.0
100.0
売上原価
1,433,164
77.8
999,437
73.8
74.8
売上総利益
408,924
22.2
355,702
26.2
25.2
販売費 ・
365,704
19.9
275,676
20.3
21.8
営業利益
43,220
2.3
80,026
5.9
3.4
営業外収益
22,033
1.2
15,387
1.1
1.3
営業外費用
経常利益
38,592
2.1
6,577
0.5
1.7
26,631
1.4
88,836
6.6
3.0
構成比
一般管理費
(出 所)『
図 表3-41990年
度
品 目\比率
有 価 証 券 報 告 書 総 覧 』1991年 版 よ り作 成 。
売 上 高 構 成 比(単
ダ イエ ー
位:%)
原価率
(75.0)
(小 売)
原価率
IY
(82.2)
衣料品
27.6
一
37.2
65.4
食料品
39.2
一
40.8
74.6
24.8
『
16.6
69.3
8.4
一
5.4
69.0
(25.0)
『
(17.8)
96.0
家庭用品
レ ジヤー
関連用品
(卸 売)
(出 所)『
有 価 証 券 報 告 書 総 覧 』1991年 版 よ り作 成 。
※ ダ イエ ー は 仕 入 原 価 が 小 売 ・卸 売 に 分 離 さ れ て い な い た め 原 価 率 が 算 出 で き な い。
一31一
2経
営 資 本 営 業 利 益 率(*3)
企 業 の 主 な 営 業 活 動 の 側 面 に 限 っ て 経 営 効 率 を 測 定 す る 。 主 た る 営 業 活 動 に動 員 さ
れ た 資 産 を 分 母 とす る た め 、 そ れ に 対 す る 利 益 は 営 業 活 動 の 成 果 を示 す 営 業 利 益 に な
る 。 営 業 利 益 に は 資 本 構 成 の 違 い が 反 映 しな い の で 同 種 同 規 模 企 業 の 営 業 効 率 を 比 較
す る際 に こ の比率 は有 効 で あ る。
図 表3-5を
見 る か ぎ り、IYは
業 界 他 社 と比 較 し て 断 然 高 い 水 準 を 維 持 して お り 、
営 業 効 率 の 良 さ を示 し て い る 。 一 方 、 ダ イ エ ー は 比 率 で 見 る か ぎ り業 界 の 中 で も 低 い
水 準 に あ る こ とが 分 か る 。
図 表3-6よ
IYの
りIYは
売 上 高 営 業 利 益 率5.9%、
経 営 資 本 回 転 率4.1回
とな って お り
優 位 性 は 経 営 資 本 率 の 高 さ は さ る こ とな が ら 、 営 業 利 益 率 の 驚 異 的 な 高 さ に あ
る と い え る 。 また ダ イ エ ー の 水 準 の 低 さ は 営 業 利 益 率 に あ り、 経 営 資 本 回 転 率 は 業 界
平 均 を 上 回 っ て い る こ とが 分 か る 。
図表3-5経
比率\年度
営資本営業利益率(単
1986
1987
(7社 平 均)
1988
1989
1990
9.5
9.3
9.5
9.7
9.0
25.1
25.2
25.0
23.0
24.0
11.6
11.7
11.5
10.7
10.8
ダ イエ ー
IY
位:%)
(出所)『 企業経営の分析』三菱総合研究所、各年度版 よ り作成。
図 表3-6ダ
社
名
ダ イエ ー
IY
業界平均
イ エ ー とIY売
比率
上 高 営 業 利 益 率 、 経 営 資 本 営 業 回 転 率(*4)
1986
1987
1988
1989
1990
売1館業利益率
2.6%
2.5%
2.4%
2.3%
2.3%
経営資相 転率
3.7回
3.7回
4.0回
4.2回
3.9回
売嫡 営業利益率
5.1%
5.5%
5.7%
5.6%
5.9%
欝資相畔
4.9回
4.6回
4.4回
4.1回
4.1回
祉 館 芙利益率
3.3%
3.4%
3.4%
3.3%
3.4%
経甑相畔
3.5回
3.4回
3.4回
3.2回
3.2回
(出 所)『
企 業 経 営 の 分 析 』 三 菱 総 合 研 究 所 、 各 年 度 版 よ り作 成 。
一32一
3付
加 価値 指 標
ダ イ エ ー 、IYの
付 加 価 値 指 標 を み て み る と 、 労 働 生 産 性 は ダ イ エ ー 、IYと
もに
上 が つて い る。 これ は分母 で あ る従 業 員数 が増 え て いて それ で も労働 生 産 性 が上 が っ
て い る と い う 点 で 評 価 で き る 。 しか し 、 ダ イ エ ー は1987、1988年
な が ら 上 回 つ て い た が1989年 か ら は7社
に は7社 平 均 を約100万
は7社 平 均 を わ ず か
平 均 を 下 回 る よ う に な っ た 。 逆 に1・Yは87年
円 上 回 つ て い た の が 、1991年 に は300万
円以上 の差 をつ け、
2000万 円 台 とな つ た 。 薄 利 多 売 の ダ イ エ ー と収 益 性 重 視 のIYの
働 生 産 性=1人
違 いが でて いる 。労
あ た り売 上 高 × 付 加 価 値 率 と も 表 す こ と が で き こ の 両 方 を 上 げ る こ と
に よ つ て 労 働 生 産 性 が 上 が る 。 付 加 価 値 率 は5年
て い る が ・IYは7社
平 均 の17∼18%を
て い る の に 対 し ダ イ エ ー は7社
エ ー は 従 業 員1人
間 で ダ イ エ ー 、IYと
上 回 り1991年 に は20%近
平 均 を2∼3%下
当 りの 売 上 高 の 伸 び が7社
回 つ て15%前
も同程 度 伸 び
くの水 準 に まで達 し
後 で 推 移 して い る ダ イ
平 均 の 伸 び よ り低 く 、IYは
伸 び が大 き
い た め そ の 差 は徐 々 に 縮 ま っ て き て い る 。IYの
労 働 生 産 性 の 上 昇 は 従 業 員1人
売 上 高 の 上 昇 に よ る と こ ろ が 大 き い 。 従 業 員1人
当 り 売 上 高=資
率=労
当り
本 集 約 度 ×資 本 回 転
働 装 備 率 × 有 形 固 定 資 産 回 転 率 と表 す こ と も で き る 。 資 本 集 約 度 は 従 業 員1人
当 りの 総 資 本 、 労 働 装 備 率 は 従 業 員1人
当 り の 有 形 固 定 資 産 を表 し て い る が 、IYは
両 方 と も7社 平 均 を 大 き く下 回 っ て い る 。 こ れ はIYの
リー ス に よ る店 舗 展 開 が 影 響
して い る 。 総 資 本 が 小 さ くな っ て い る の で 逆 に 資 本 回 転 率 は 高 く な つ て い る 。 ダ イ エ
ー は 労 働 装 備 率 は7社
平 均 を 大 き く下 回 っ て い る が 資 本 集 約 度 は7社
平均 を上 回 って
い る こ と か ら有 形 固 定 資 産 よ り投 資 に 力 を 入 れ て い る こ と が わ か る 。 資 本 集 約 度 と資
本 回 転 率 は トレ ー ドオ フ の 関 係 に あ る が 、 ダ イ エ ー は 両 方 と も7社
平均 を上 回 つて い
る 。 労 働 分 配 率 は 付 加 価 値 の う ち 、 ど れ だ け が 人 件 費 と して 労 働 に 分 配 さ れ た か を 表
す 指 標 で あ る 。 労 働 分 配 率 の 上 昇 は 利 潤 分 配 率(税
引 前 純 利 益 高/粗
利 益 高)を
低下
させ る 最 大 の 原 因 で あ る との 観 点 か ら 管 理 上 も っ と も 重 要 な 指 標 と さ れ 一 般 的 な 管 理
目標 と して40%の
ま だ48.6%で
水 準 が 提 起 さ れ て い るが 、 ダ イ エ ー は 改 善 さ れ て き て い る と は い え
あ る。
一33一
図 表3-7
ダ イ エ ー とIY
社名
従業殿(人)
付加価値:額(百
万円)
瓶 蛙 性(千
円)
1986
16,189
16,833
IY
12,213
12,364
12,483
12,677
13,643
列 エー
215,380
225,005
242,748
65,656
290,701
IY
185,941
204,333
228,340
43,339
270,109
14,607
14,785
15,359
16,488
17,607
15,124
16,628
18,380
19,343
21,004
14,226
14,752
15,843
16,858
17,799
14.9
14.5
14.5
14.9
15.8
18.8
19.4
19.5
19.3
19.9
17.5
17.3
17.5
18.0
ダィェー
列 エー
106,003
110,311
111,567
80,345
85,853
94,198
100,015
105,376
7社平均
81,472
85,一〇91
90,335
93,702
96,862
列 エー
48,254
49,764
48,482
51,582
54,123
34,135
36,694
39.,819
42,943
45,521
42,027
44,155
47,371
49,207
52,609
列 エー
2.00
2.08
2.16
2.20
2.11
IY
2.50
2.42
2.46
2.42
2.38
7社平均
1.97
1.97
1.97
1.94
1.90
ダィェー
8,583
8,528
8,661
8,689
8,823
IY
6,436
6,790
7,432
8,489
9,744
7社平均
10,097
10,526
11,519
12,514
13,373
ダィェー
11.43
11.95
12.24
12.70
12.64
IY
12.48
12.64
12.68
11.78
10.81
7肝 均
8.07
8.08
7.84
7.49
7.24
列 エー
51.9
51.1
50.0
49.8
48.6
IY
一41
.3
40.3
40.3
40.1
40.5
46.9
47.2
46.7
46.1
46.1
7社平均.
鵜 頒捧(%)
18.4
101,870
IY
有形固定資産回転率(回
〉
,
98,085
列 エー
IY
労醸 備率(千
円)
1990
16,035
雅平
均
資相 解(回)
1989
15,574
IY
資線 鍍(千円)
1988
14,863
雅覇
一人当リ売上高(千円)
1987
ダィェー
IY
付加鰭 率(%)
付 加 価値 指標 の比較(*5)
7社平均
「
.
'
(出所)
『
企 業経 営 の 分析 』 三菱 総 合研 究所 、各 年 度版 よ り作成 。
一34一
IV安
定性指標
1固
定 比 率 、 固 定 長 期 適 合 率(*6)
資 金 の 長 期 凍 結 を要 す る 固 定 資 産 は 返 済 期 限 の な い 自 己 資 本 の 範 囲 内 で 取 得 す る こ
と が 望 ま し い(=100%以
下 が 望 まれ る)。
た だ し、 現 実 的 に は 自 己 資 本 の み で 固 定
資 産 を 調 達 で き る企 業 は 少 な く 、 固 定 負 債 と 自 己 資 本 の 合 計 額 以 下 に 固 定 資 産 を 押 さ
え る こ とが望 まれ る。
まず ダイ エ ー を見 て み よ う。 ダ イエ ー は固定 比 率 、 固定 長 期 適合 率 と も業 界他 社 と
比 較 して 高 い値 を示 し て い る 。 値 だ け を み れ ば 不 健 全 な 資 産 取 得 が 見 て 取 れ る が 、 こ
れ は ダ イ エ ー 独 特 の 店 舗 政 策(店
舗 周 辺 の 土 地 を 購 入 し含 み 益 を 得 る)を
表 して い る
と も 言 え る 。 固 定 比 率 は 漸 減 傾 向 に あ る が 、 これ は 固 定 資 産 の 比 率 減 少 に あ る(B/
S:構 成 比64.2%(1987年)⇒60.7%(1991年))。
これ は固 定 資産 の子 会社 へ の 分
離 が 主 な 原 因 と考 え ら れ る 。 長 期 適 合 率 は 、 あ ま り改 善 さ れ て い な い が 、 こ れ は 固 定
負 債 の 伸 び 率 が 固 定 資 産 の 伸 び 率 を 下 回 っ た こ と に あ る(図 表2-1参
次 にIYを
照)。
見 る と 、 固 定 比 率 、 固 定 長 期 適 合 率 と も に 業 界 他 社 と 比 較 して 大 変 低 い
値 を 維 持 し て お り、 資 産 取 得 の 健 全 ぶ りが 伺 え る 。 固 定 資 産 自体 は 高 い 伸 び 率 を 示 し
て い る 。 中 で も 有 形 固 定 資 産 の 伸 び は 著 し い(1991年/1987年=167.4%)。
しか し
比 率 と し て は 良 好 な 値 を 維 持 し て い る の は 自 己 資 本 の 伸 び 率 が 高 い こ と に あ る(1991
年/1987年=170.8%)。
自己資本 の増 大 に よ つて資 産 を まか な う と いう理 想形 を実 現
して い る と い え よ う 。
図 表3-8ダ
イ エ ー とIY固
比率\年度
1986
定 比 率 、 固 定 長 期 適 合 率(単
1987
1988
位:%)
1989
1990
固定比率
ダイエ ー
297.9
299.8
290.0
268.2
271.5
IY
128.4
116.7
106.0
99.4
102.7
210.7
202.0
197.5
187.2
190.6
124.9
118.5
136.8
130.0
129.0
91.4
88.9
86.0
83.6
88.9
118.0
115.0
112.9
(7社 平 均)
固定長期適合率
ダ イ エ ー一
IY
(7社 平 均)
(出 所)『
112.7
111.0
有 価 証券 報 告 書 』 各年 版
『企 業 経 営 の 分 析 』 三 菱 総 合 研 究 所 、 各 年 度 版 よ り作 成 。
一35一
Vま
とめ
以 上 、 成 長 性 、 収 益 性 、 安 定 性 の3つ
て き た 。 図 表3-9を
の 指 標 を 柱 に ダ イ エ ー 、IYの2社
見 れ ば 分 か る の だ が 、IYは
を比 較 し
業 界 他 社 と比べ 収 益 性 が格 別 に優 れ
て い る 。 し か し 、 売 上 高 と売 場 面 積 の 成 長 率 は 格 段 に 優 れ て い る わ け で も な いの で 、
IYが
堅 実 か つ 着 実 な 経 営 を 行 な っ て き た こ とが 伺 え る 。 ま た 、 業 界 平 均 か ら劣 っ た
項 目が 無 い こ とか ら 、IYは
成 長 性 、 収 益 性 、 安 定 性 を 兼 ね 備 え た 優 良 企 業 だ と言 え
る だ ろ う。 一 方 、 ダ イエ ー で あ るが 、業 界平均 を上 回 っ て い るの は 売場 面 積 の伸 長 ぐ
ら い で あ る 。 ダ イ エ ー は積 極 的 な 店 舗 展 開 を 行 な っ て い る も の の 、 売 上 高 や 経 常 利 益
の 伸 長 で は遅 れ を取 っ て いる 。 ダ イエ ー に とって は、 売上 総 利 益 の確 保 、営 業 外 費 用
の 改 善 な ど収 益 溝 造 を 改 善 し て い く こ と が 今 後 の 課 題 と 言 え る だ ろ う 。
図 表3-9
ダ・
イエーと・
イトー 三一力堂
経営指標分析
総合 的把握
.圖定長;期適合 率
ダイ エ ー
・
・
… イ トー ヨ ー 力 堂
一36一
一一 業 界 平 均
(*1)安
全 余 裕 率(MS)=(売
損 益 分 岐 点=固
上 高 一 損 益 分 岐 点 売 上 高)/売
定 費/(1-変
動 比 率)一
②
① に ② を 代 入 し て 、MS=(売
上 高-固
変 動 費=・売 上 原 価
売 費 お よ び 一 般 管 理 費+営
固 定 費=販
上高 一 ①
定 費/(1-変
動 比 率))/売
上高
業 外 収 益 費 用(純
額)と
みなす と、
MS=((1一
変 動 比 率)×
=経 常 利 益/売
(*2)「
の13.1%を
(*3)経
動 比 率)×
売 上 高)
上総 利 益
販 売 革 新 」1990年7月
ダ イ エ ー198店
売 上 高 一 固 定 費)/((1-変
号54ペ
ー ジ よ り。
中 、 トポ ス 店 舗 は21店
占 め て い る 。(『
で(構
成 比10.6%)、
有 価 証 券 報 告 書 』1992年
ダ イエ ー本 社 の売上 高
版 よ り)
営資本営業利益率=営 業利益/経 営資本 ×100
=営 業利益/(総 資本 一建設仮勘定 一投資 その他の資産 一繰延資産+貸 倒 引当金)
X100
(*4)経
営資本営業利益率は次のように分解 出来 る。
経営資本営業利益率=(営
業利益/売 上高)×(売
(売上高営業利益率)(経
(*5)付
上 高/経 営資本)
営資本 回転率)
加価値額・=人件費+賃 借料+金 融費用+租 税公課+法 人税等+当 期 純利益
+減 価償却費
労働生産性 二付加価値/従 業員数
付加価値率=付 加価値/売 上高
資本集約度=総 資本/従 業員数
資本 回転率=売 上高/総 資本
労働装備率=有 形固定資産/従 業員数
有形固定資産 回転率=売 上高/有 形固定 資産
労働分配 率=人 件費総額/付 加価値
(*6)固
定 比 率:=固 定 資 産/自
固 定 長 期 適 合 率=固
己 資 本 ×100
定 資 産/(自
己 資 本+固
一37一
定 負 債)X100
第4章
1比
ダイエーとイトーヨーカ堂の資金分析
較 貸 借 対 照表 式 の資 金 運用 表 の分 析
図 表:4-11Yの
(単 位:百
資 金運 用 表
貸借対照表価額 増減額
1987鞭
L流 動資産
41,117
売上債権
9,829
棚卸資産
その他
皿.流動 負 債
運用
1991鞭
73,333
5,155
5,155
37,039
45,630
8,591
8,591
46,480
73,995
464
27,515
705
241
71,826
9,560
その他
46,934
27,515
241
20,720
20,720
9,230
一330
一330
78,071
31,237
31,237
固定資金受入
21,609
73,236
73,236
282,8961386,489
81,352136,171
建物
4Q,837
66,046
25,209
25.2091
土地
26,509
47,687
21,178
21,178
そ の他
14,006
22,438
無形固定資産
その他
W.固 定 負 債
$,432
198,493 247,394
58,243
社 債(含 ワ ラ ン ト) 62,760
23,626
v.自 己 資 本
一127
48,901
48,901
一39
一39
,134
一818
,134
一818
822
4
0
584
584
584
34,029
8,529
8,529
退職給与引当金
・そ の 他
8,432
一127
2,924
3,051
89,019
長期借入金
調達
107,5001159,127
51,106
有形固定資産
運用
32.2161 32,216
14,984
仕入債務
短期借入金
ID.固 定 資 産
調達
固定資金
134,001 207,237
現金預金
貸倒 引当金
流動資金
万 円)
25,437
220,378
376,356 155,978
流動資金繰入
155,978
21.6091
125,202 125,202
(出所)r有
一38一
価証券報告書総覧』各年版 よ り作成 。
図表4-2ダ
イエ ーの資 金 運 用表
(単 位:百
貸借対照表価額 増減額
1987年 度 1991鞭
1.流 動 資 産
現金預金
257,065
358,333
102,273
62,158
一40
,115
流動資金
運用
調達
一40
38.2051 37,064
一1
棚卸資塵
63,474
10,099
そ の他
65,823 193,209 127,386 127,386
貸倒引当金
12,710
皿.流動 負 債
73,573
7,671
一5
,0391
一1
固定資金
運用
調達
,115
売上債権
,141
万 円)
!
,141
1a,099
一5
,039
348,910 482,621
仕入債務
84,701 117,487
32,786
32,786
短期借入金
160,515 202,583
42,Q68
42,068
その他
103,694 162,551
58.8571
58,857
固定資金繰入
32,443
133,711 133,711
460,140 552,727
皿。固 定 資 産
有形固定資産
125,627 151,209
建物
56,813
74.9561 18,143
土地
41,767
45,101
3,334
3,334
その他
27,Q92
31,152
4,060
4,060
3,912
一25
一25
67,075
67,075
無形固定資産
3,937
その他
330,531 397,606
W.固 定 負 債
213,819 224,844
社 債(含 ワ ラ ン ト) 10,280
長期借入金
退職給与引当金
45,402
135.2151 101,676
9.4441
その他
58,880
V.自 己 資 本
154,476
18,143
35,122
一33
35,122
一33
,539
一877
8,567
69,199
一877
10,319
49,119
49,119
203,595
10,319
流動資金受入
32,443
92,587
(出 所)r有
1流
,539
92,587
価 証 券 報 告 書 総 覧 』 各 年 版 よ り作 成 。
動 資金 の収 支
ダ イ エ ー は 、 運 用 面 で は 、 そ の 他 に含 ま れ る短 期 貸 付 金 及 び 関 係 会 社 短 期
貸 付 金 が208億
円 か ら1497億 円 と、1289億 円 増 え て い る 。 ま た調 達 面 で は そ
の 他 に 含 ま れ る コ マ ー シ ャル ペ ー パ ー が1989年 に 発 行 さ れ て 以 来 、 著 し く増
加 して い る 。 調 達 資 金 の 増 加 が 運 用 資 金 の 増 加 を上 回 っ て い る た め に 、 そ の
一39一
余 剰 分324億
円 を 固 定 資 金 に繰 り入 れ て い る 。 こ れ に 対 して 、IYで
は この
関 係 が 逆 転 して い る 。 仕 入 債 務 の 増 加 が 売 上 債 権 の 増 加 を大 き く上 回 っ て い
る た め に 、 現 金 預 金 が 極 め て 豊 富 で あ る 。 流 動 資 金 の 調=達不 足 分 は 固 定 資 金
の 一 部(216億
2固
円)を
受 け入 れ て 補 っ て い る 。
定 資 金 の収 支
ダ イ エ ー は 、 運 用 面 で は 、 そ の 他 に 含 ま れ る投 資 有 価 証 券 及 び 関係 会 社 株
式 が1143億 円 か ら1700億 円 へ と 、557億
の 増 加(351億
円)と
円 増 加 して い る 。 調 達 面 で は 、 社 債
自 己 資 本 の増 加(491億
資 金 コ ス トの 高 い 長 期 借 入 金 を333億
円)が
、 目立 っ て い る。 ま た
円 減 ら す こ と に よ り財 務 体 質 の 改 善 を
図 って い る こ とが伺 われ る。
IYは
、 運 用 面 で は 建 物 、 土 地 、 そ の 他 の 項 目 の 増 加 が 目立 って い る(そ
れ ぞ れ252億
円 、211億
円 、489億
円)。
社 長 期 貸 付 金 で あ る 。 こ れ を み る とIYは
その他 の項 目の主 な 内容 は 関係 会
ダ イ エ ー よ り も活 発 な 設 備 投 資 を
して い る と言 え る 。 調 達 面 で は 、 転 換 社 債 の転 換 が 進 み 、 資 本 金 が178億
増 加 して い る点 と別 途 積 立 金 が951億
円
円 と著 し く増 加 して い る点 が 、 特 徴 的
で あ る 。 別 途 積 立 金 の 増 加 が 著 し い の は1987年 か ら1991年 に か け て 、 生 じて
い る 多 額 の 利 益 の 多 く を別 途 積 立 金 と して 積 み立 て て 、 内 部 留 保 力 を 高 め て
い る か らで あ る 。 従 っ て 両 社 の 資 本 金 は ほ ぼ 同 額 だ が 、 自 己 資 本 の 比 率 は ダ
イ エ ー が22.3%、IYが63.4%と
3長
対 照 的 な数 値 を示 して い る。
期 の 資 金 調 達 手 段 と金 融 収 支
長 期 的 な 資 金 調 達 手 段 で あ る長 期 借 入 金 と 自 己 資 本 を 分 析 す る と、 ダ イ エ
ー が1987年 の段 階 で 自 己 資 本 に近 い 金 額 の 長 期 借 り入 れ を 行 っ て い る の に 対
し て 、IYの
長 期 借 入 金 は 自 己 資 本 の0.4%弱
で あ る 。 この 財 務 構 造 の 相 違
が 両 社 の 金 融 収 支 に あ ら わ れ て い る 。IYは1987年
プ ラ ス の 金 融 収 支 を弾 き 出 し、 そ の 値 は5年
か ら1991年 ま で 一 貫 して
間 で10倍 に な っ て い る。 これ は
長 期 貸 付 金 が 増 加 した こ と に よ る受 取 利 息 の 増 加 に 起 因 す る 。 一 方 ダ イ エ ー
の 金 融 収 支 は5年
間 を 通 じて 常 に か な り の マ イ ナ ス で あ り、 長 期 借 入 金 の 返
済 に よ り財 務 体 質 の 改 善 を 図 っ て い る'もの の 、 短 期 借 入 金 と社 債 の 増 加 が 金
融 費 用 を増 加 させ て い る 。 関 係 会 社 の 経 営 状 態 の 向 上 等 に よ り投 資 収 益 は 増
加 して い る の で 、 金 融 収 支 の 改 善 を 目指 して 更 に継 続 し て 投 資 収 益 の 向 上 を
図 る と と もに、金 融 費 用 を 削減 す る ことが望 まれ る。
一40一
図 表4-3ダ
イ エ ー の 金 融 収 支 の 推 移(単
1987鞭1988鞭
1989鞭
一13
一14,688-11,552
図 表4-41Yの
24,458133,540
一9
,947
金 融収 支 の推 移
'1987鞭1988鞭
,9761-12,475
(単 位:百
1989鞭
万 円)
1990鞭1991鞭
投 資 収 益4,8746,690
7,192
10,080113,767
金 融 費 用3,7003,007
1,sa4
1,82511,833
金 融 収 支 差 額1,1743,683
5,388
8,255111,934
(出 所)r有
II内
14,48221,065
20,778
金 融 費 用21,32317,974
万 円)
1990鞭1991鞭
6,831
投 資 収 益6,6356,422
金 融 収 支差 額
位:百
部 資 金 分 析(回
図 表4-5ダ
価 証 券 報 告 書 総 覧 』 各 年 版 よ り作 成 。
転 差 資 金 と内 部 留 保)
イ エ ー の 内 部 資 金 表(単
1988鞭
位:百
1989鞭
1990鞭
万 円)
1991鞭
期首
期末
期首
期末
期首
A.仕 入 債 務
84,701
95,352
95,352
97,812
97,812 113,864 113,864 117,487
B.売 上 債 権
30,029
27,252
27,252
26,278
26,278
27,597
27,597
28,836
C.商 品
63,474
67,697
67,697
67,958
67,958
79.9861 79,986
73,573
D.回 転 差 資 金
一8
403
4Q3
3,576
3,576
期末
期首
期末
1-回 転 差 資 金
,802
E.当 期 発 生 額
6,281
6,281
15,078
9,205
3,173
2,705
8,797
F.当 期 純 利 益
s,9a9
7,836
8,557
8,947
G.社 外 流 出 額
3,131
3,236
3,350
3,371
H.減 価 償 却 費
8,786
9,379
10,102
10,985
7,795
7,833
8,086
亙.内部
留保
●
(フ
ロ ー)
1.引 当 金 繰 入
ユ9,010
J.当 期 発 生 額
31,574
21,774
23,142
24,647
40,779
24,947
25,847
33,444
皿.内 部 資 金
K.当 期 発 生 額
注)D=A-B-C、E二
期 末D-期
首D、J=F-G十H十1、
K=E十J
売 上 債 権 は 売 上 原 価 率 を 乗 じて 利 益 部 分 を 排 除 し た正 味 回 収 額
(出 所)r有
一41一
価 証 券 報 告 書 総 覧 』 各 年 版 よ り作 成 。
図 表4-61Yの
内部 資 金 表
(単 位:百
1988鞭
1989鞭
1990鞭
期末
期首
万 円)
1991鞭
期首
期末
期首
期末
A.仕 入 債 務
51,106
56,343
56,34360,532
60,53266,662
B.売 上 債 権
7,323
7,592
7,5928,848
8,8489,532
37,039
38,541
38,541143,124
43,124142,162
6,744
10,710
10,71018,560
期首
期末
66,662
71,826
L回 転 差 資 金.
C.商 品
D.回 転 差 資 金
E.当 期 発 生 額
一2
3,966
9,532
42,162
45,X30
14,968
15,138
8,560114,968
,150
11.05$
8,408
170
丑.内 部 留 保
(フ
ロ ー)
F.当 期 純 利 益
30,808
36,305
39,920
44,102
G.社 外 流 出 額
4,087
4,199
5,016
5,915
H.減 価 償 却 費
9,437
9,615
11,061
12,663
1.引 当 金 繰 入
653
15
414
2,873
J.当 期 発 生 額
36,811
41,736
46,379
53,723
4Q.777
39,586
54,787
53,893
皿.内 部 資 金
K.当 期 発 生 額
注)同
1回
(出所)r有
上
価証券報告書総 覧』各年版 より作成 。
転差 資 金 分 析
財 務 分 析 で は 、 通 常 、 流 動 比 率 が 短 期 の支 払 能 力 の 尺 度 と して使 用 さ れ る
が 、 流 動 比 率 は 仕 入 債 務 の 支 払 速 度 と売 上 債 権 の 回収 速 度 が 同 じで あ る こ と
を 前 提 と して い る 。 しか し、 現 実 の 企 業 活 動 で は 両 速 度 が 相 違 す る の が 通 常
で あ る 。 両 速 度 の差 か ら生 ず る余 裕 資 金 が 回 転 差 資 金 で あ り 、 そ の金 額 は 期
末 有 高 、 当 期 発 生 額 、 当 期 平 均 有 高 の3通
1)回
りで 考 え る こ と が で き る 。
転 差 資金 の期 末 有高
回 転 差 資 金 の 期 末 有 高 の 考 え方 は 図
表4-7の
よ うに表 され 、計 算 式 は次 の
図表4-7
貸借 対 照 表
とお りであ る。"回 転差資金 一仕入債
務期末有高-(売
上債権期末有高 ×原
受取手形
価率+商 品期末有高)"。 仕入債務 は支
+売 掛;:
支払手形
払手形 と買掛金 の合計額、売上債権 は
(販 売 勘 定)
+買 掛金
受取手形 と売掛金 の合計額 である。
2)回
転差資金 の当期発生額
棚卸商品 (支払勘定)
回転 差 資;:
前期 末有高 と当期末有高 の差額 と して計算 す る。
一42一
3)回
転 差 資金 の 当期 平 均有 高
"回 転 差 資 金 ;仕 入 債 務 当 期 平 均 有 高 ∼(売 上 債 権 当 期 平 均 有 高
×原 価 率+商
品 当 期 平 均 有 高)"。 各 金 額 の 当 期 平 均 有 高 は 、 前 期 末
有 高 と 当 期 末 有 高 の 平 均 と して 計 算 す る。 こ の と き仕 入 高=売
価 と考 え 、 右 辺 の 各 数 値 を 売 上原 価 で 割 り、365日
日数 が 算 出 され る 。 さ ら に これ に1日 平 均 仕 入 高(売
を か け る と 回転
上 原 価 ÷365
日)を か け る と回 転 差 資 金 は 次 の よ う に も表 現 で き る0"回
金={仕
入 債 務 回 転 日数 一(売 上 債 権 回 転 日数+商
×1日 平 均 仕 入 高"。
上原
転 差 資,
品 回 転 日数)}
つ ま り、 支 払 勘 定 と受 取 勘 定 に は 回 転 日数 の
差 が あ り、 こ の 期 間 の仕 入 高 に 相 当 す る金 額 が 回 転 差 資 金 と な る 。
《回転 差 資 金 の 発 生 状 況 の 分 析 》
1991年 に お け る ス ーパ ー 業 界7
社 の平 均 と ダ イ エ ー 、IYの
図 表4-8仕
一
入 債 務 回 転 日数(単
1981988
回転
日数 を 比 較 し て み る と 、 ダ イ エ ー
198199a1991
ダ イ エ ー 26,327.1
は 業 界 平 均 よ り も売 上 債 権 の 回収
IY
7社平均
が 早 い もの の 、 棚 卸 資 産 の 回 転 日
位:日)
一
26,827,829.5
25.5125.3
24,724,925.3
33.3133.6
32.7132,432.7
一
監
数 が3日 程 短 い 。 ま たIYは
仕入
図 表4-9売
上 債 権 回 転 日数(単
位:日)
198198199a1991
債 務 の 回転 日数 が 平 均 よ り も7.4
1987
日早 い が 、 売 上 債 権 回転 日数 が6
ダ イ エ ー 10.3
8,617,417,117.2
日程 早 く、 棚 卸 資 産 の 回転 日数 も
IY
3.53.53.63.7
3.5
7社平均
1日 早 い 。
1987年 か ら1991年 ま で の 回 転 差
1Q.2
図 表4-10商
品 回 転 日数(単
一
に 渡 って 回 転 差 資 金 が 増 加
して い る 、,増加 の 原 因 は 主 と して
位:日)
198198198911990
資 金 の 推 移 を 見 る と、 ダ イ エ ー で
は5年
10.29.69.39.6
1991
ダ イ エ ー 20,219,718,819.4
18,617,717,216.7
16.0
7社平均
18,618,317,717.41
17.1
(出 所)三
華 総 合 研 究 所r;企 業 経 営 の
一
売 上 債 権 回 転 日数 を 短 縮 させ な が
IY
19.6
一
1
騨
ら仕 入 債 務 回 転 日数 を 延 ば して い
った ことに あ る。 売上 債 権 回転 日
分 析 』 各 年 度 版 、r有
数 は 、1987年 か ら1991年 に か け て
書 総 覧 』 各 年 版 よ り作 成 。
3.1日 減 少 し て お り、 仕 入 債 務 回 転 日数 は3.2日
価 証 券報 告
増 加 して い る 。 こ の結 果
ダ イ エ ー の 回 転 差 資 金 は1988年 を境 に マ イ ナ ス か ら プ ラ ス に転 じ 、1991年
に はIYと
ほ ぼ 同 額 に な っ て い る 。 商 品 回 転 日数 は1989年 に や や 減 少 して
い る も の の 、 お お む ね20日 前 後 と い う業 界 平 均 よ り低 い 水 準 で 推 移 し て お
一43一
り、 在 庫 の 削 減 に も力 を 注 ぐ こ と が 望 ま れ る 。
IYで
は 、1989年 に 回 転 差 資 金 の 発 生 額 が減 少 す る も の の 、5年
間全体
の 流 れ と して は2.2倍
程 増 加 して い る 。 こ れ は商 品 回 転 日数 が1987年 か ら
1991年 に か け て2.6日
減 少 し て い る こ と に よ る もの と考 え られ る 。IYは
既 に1987年 の 段 階 で の 売 上 債 権 回転 日数 が3.5日
で あ り、 この 数 値 は 以 後
5年 間 、 ほ ぼ 一 定 して い る 。 こ れ は ダ イ エ ー や業 界 の 平 均 に 比 べ て か な り
短 い 日数 で あ る と言 え る 。
と こ ろ で 、1991年 のIYの
は2.7日
回 転 差 日数 は5.6日
、 ダ イ エ ー の 回 転 差 日数
と 開 き が あ る に もか か わ らず 、 回 転 差 資 金 の 発 生 額 が ほ ぼ 同 額 な
の は ダ イ エ ー の 売 上 高 がIYよ
が 発 生 す る 限 り 、1日
り も大 き い た め で あ る 。 つ ま り回 転 差 資 金
当 た り の 売 上 高 が 増 え れ ば増 え る ほ ど 回転 差 資 金 は
増 加 し、 支 払 条 件 や 在 庫 回転 条 件 に極 端 な変 化 が な い 限 り 、 そ の 回 転 差 資
金 は 、 ほ ぼ固定 的 な余 裕 資金 とな る。
2内
部 留 保分 析
内 部 留 保 と は 、 「配 当 と して 株 主 に分 配 さ れ ず 、 企 業 内 に 留 保 さ れ た 利
益 」 と い う の が 通 説 的 定 義 で あ る が 、 これ は 公 表 利 益 留 保 で あ っ て 、 内 部
留 保 に は こ の ほ か に 制 度 的 留 保 も含 ま れ る 。 現 行 の損 益 計 算 制 度 の も と で
は 、 収 益 控 除 の 対 象 項 目 と さ れ な が ら、 現 金 支 出 を伴 わ な い 非 支 出 費 用 項
目 が 存 在 し、 こ れ が 半 永 久 的 に企 業 内 に留 保 さ れ て 活 用 可 能 な 自 己 金 融 源
泉 と な るか らで あ る。 こ う した 制 度 的 留 保 を 構 成 す る の は 減 価 償 却 費 、 固
定 負 債 性 引 当金 繰 入 額 、評 価 性 引当 金繰 入 額 で あ って 、公 表 利益 留 保 に こ
れ ら の 金 額 を 加 え た も の が 内 部 留 保 フ ロ ー の 合 計 額 と な る。
雪ダ イ エ ー とIYの
内 部 留 保 を 比 較 す る と 、 金 額 的 に はIYが
ダイエーを
大 き く上 回 っ て お り、1991年 に は2倍 以 上 に も な っ て い る 。IYの
借 入金
が 少 な い原 因 の ひ とつ は こ の 留 保 力 の 高 さ に あ る と言 え る 。 ま た 、 ダ イ エ
ー とIYで
は 内 部 留 保 の 構 成 に 大 き な違 い が 見 られ る
。 ダイ エ ーで は、 制
度 的 留 保 率(制
IYで
は25%前
度 的 留 保 ÷ 内 部 留 保 ×100)が
約80%で
あ る の に対 して 、
後 に な っ て い る 。 こ れ はIYの
収 益 力 が非 常 に高 い た め で
あ り、 ダ イ エ ー は 引 当 金 を 多 く繰 り入 れ る こ と で 留 保 力 を高 め て い る 。
皿
総 合的見地か ら
ダ イ エ ー は財 務 体 質 の 改 善 を 図 っ て い る もの の 、 依 然 と して 資 金 の調 達 は
長 期 借 入 金 に大 き く依 存 して い る た め に 、 金 融 収 支 が 大 幅 な赤 字 と な っ て い
る。
一44一
一・
方 、IYは
収 益 性 が 非 常 に 高 く、 利 益 の 積 み 立 て に よ る 内 部 留 保 が 大 き
い た め 、 長 期 の 借 り入 れ は 皆 無 に等 し く、 調 達 資 金 の 大 半 を 自 己 資 本 で 賄 っ
て い る と言 え る。
回 転 差 資 金 に つ い て は 、1987年 で は ダ イ エ ー とIYで
大 き く差 が 開 い て い
る が 、 そ の 後 の 債 権 回 収 条 件 の 改 善 等 に よ り1991年 に は ほ ぼ 同額 に な って い
る。
内 部 留 保(フ
ロ ー)に
つ い て は 、 ダ イ エ ー は 引 当 金 を 多 く繰 り入 れ て 留 保
力 を 高 め て い る も の の 、 当 期 純 利 益 の 発 生 額 が 小 さ い の で 、 内 部 留 保 はIY
の半 分 にす ぎな い。
一45一
第5章
1ダ
ダイエーグループとイトーヨーカ堂グループの連結分析
イ エ ー グ ル ー プ と イ トー ヨ ー カ 堂 グ ル ー プ の 概 要
イ トー ヨ ー カ 堂 グ ル ー プ は イ トー ヨ ー カ 堂 本 体 を は じめ とす る流 通 業 の 中 の 様 々 な
業 態 の87社(1992年2月29日
現 在)に
よ っ て形 成 さ れ る企 業 グ ル ー プ で あ り、 あ くま
で 小 売 業 に 徹:した堅 実 経 営 を 行 う こ と で 高 収 益 性 を 維 持 しつ づ けて い る企 業 集 団 で あ
る 。 も ち ろ ん 、 そ の グ ル ー プ の 中 に は、 図 表5-1か
ら もわ か る よ うに 、 不 動 産 分 野 や
サ ー ビ ス 分 野 も含 ま れ て は い るが 、 ど め 企 業 も 「小 売 業 」 を 支 え る た め の も の で あ り
多 角 化 戦 略 は あ くま で 小 売 業 の 範 囲 に と ど め て い る 。 こ こで 注 目 して も ら い た い の は
1991年 に 約510億
円 も の 金 額 で 買 収 した ザ ・サ ウ ス ラ ン ド ・コ ー ポ レー シ ョ ン社 で あ
る 。 な ぜ な ら、 サ ウ ス ラ ン ド社 は 、 世 界22ヵ 国 に1万3000店
も の チ ェ ー ン店 を 擁 す る
世 界 最 大 の コ ン ビ ニ エ ン ス ・ス トア 会 社 で あ り、 経 営 不 振 に お ち い っ て は い る が 、 再
建 が 成 功 す れ ば イ トー ヨ ー カ 堂 グ ル ー プ は 世 界 を 代 表 す る 「国 際 小 売 企 業 」 と な る か
らで あ る。 ま た 、 こ の 買 収 に よ る影 響 は 大 き く、 次 節 の 連 単 分 析 に お い て は そ れ が 如
実 に あ らわ れ て い る。
これ に 対 しダ イ エ ー グ ル ー プ は、 リ テ イ ル(小 売 り)・ サ ー ビ ス(外 食 産 業 含 む)
・フ ァ イ ナ ン ス ・デ ィ ベ ロ ッパ ー を 母 体 と す る 「4セ ク タ ー ビ ジ ョ ン 」 を 打 ち 出 し、
事 業 の 多 角 化 を 推 進 す る流 通 企 業 集 団 で あ り、 そ の ス ケ ー ル も100社
を 超 え る大 規 模
な も の で あ る。 「4セ ク タ ー ビ ジ ョ ン」 に つ い て 、 そ れ ぞ れ 個 別 に み て み る と、 リテ
イ ル 分 野 は 、 グ ル ー プ 売 上 高 の約90%を
占 め 、GMSを
は じめ と した 様 々 な 業 種 業 態
を 手 掛 け て い る。 サ ー ビ ス 分 野 は、 経 営 資 源 の 蓄 積 が 乏 し く、 赤 字 を 抱 え て は い る も
の の 、 こ れ か らの ダ イ エ ー に 欠 か せ な い 分 野 で あ る 。 フ ァ イ ナ ン ス分 野 はOMCカ
ー
ドに よ る信 販 事 業 や グ ル ー プ 内 に お け る資 産 の効 率 的 運 営 な ど を 行 って お り、 グ ル ー
プ の 多 角 事 業 の 最 大 の柱 と な る 可 能 性 を 秘 め た分 野 で あ る。 デ ィベ ロ ッパ ー 分 野 は、
店 舗 づ く り の ほか に 、 ホ テ ル や レ ジ ャー 施 設 な ど の 建 設 を 行 って い る 。
H決
算数値による連単分析
ま ず は じ め に 、 公 表 利 益 に つ い て 見 て み る と イ トー ヨ ー カ 堂 の経 常 利 益 の 連 単 比 率
は、1986年 か ら1992年 に か け て 常 に200%以
上 、 ま た 、 当 期 純 利 益 に つ い て も150%
前 後 と ダ イ エ ー を 含 む 他 社 を 圧 倒 す る 数 値 を 示 して お り 、 グ ル ー プ 収 益 力 の 高 さ が う
一46一
イ トー ヨ ー カ 堂 グ ル ー プ の 概 要
図 表5-1
スーパー7一
ケツト
O㈱ ヨー ク?一 ト
O側 ラ
イ7
0㈱ サ ン エ_
★㈱ ヨー クベ ニ ・aル
百
貸
スー'r_ス トア
oen九
○
励?ル
本廿廿屋賃貸
大
キ 飛 島
商品の鵬
門
レ ス ト ラ ン
ス 『パ ー ス トア
●○㈱ デニー ズジtパ ン
oe魁7ア
ミ ー ルO
ヨ ー ク 物 産 ㈲
社員食盆運営取引
店鏡内出店の貫貸等
㈱ イトζ ヨー カ堂
店
○囎 ノ り 一 ア ン
o㈱ 才7シ ュ?ン ズ ・
ジrパ
ン
セ プ ン ・イ レ ブ ン ・
ジr'パ
ン
ロ セ プ ン ーイ レ プ ン
ハ
ワ イ
.INC.
商品の供袷
店舗内出店の賃貸 等
導
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商
晶
の
供
店
Oas叱 ンソン.ジ桝 ン
oe騰 ヨー ク?ツ ザ カヤ
サe=エ
X10ー0の 供 姶
繧
食 晶 製 造
商品の供給
商 品の仕 入
本 り鱒
社1慨
Oア イ7イ7一 一ズ ㈱o
e本
農 水 産 ㈱
Oヨ ー ク 資 果 ㈱
賃 nx
取よ
貸 引び
西 スカウントストア
O㈱ ダ
イ
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商品の供給
ー
ピ
ス
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店舗等賃僧
O㈱-一
オ ンlj一 ス
O㈲ ヨ ー ク 讐 儒
動
産
oea滴 和 ビル ヂン グ
O日 通シス テム開発㈱
O㈱ ワイ ・アール開発
o働 羊
葺4
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出資
エ
リ
ア.
投
資
会
社
ラ
イ
セ
ン
ス
契
n
19%出 資
.O「 「G・ホrル デ4ング・カン,C二_
1米 国 デ ラ ウエア州}
約70%出 資
コンピニエンススF7
oザ ・サウスランド・,一≠レーシ,ン
(米 国 テ キ サ ス 州}
(出 所).『 有 価 証 券 報 告 書 総 覧J1992年
版、
1ペ
ー ジ。
'
図 表5-2ダ
イ エ ー グ ル ー プ の概 要
サ
ー
ビ ス
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髄 ダイ エ ー レ ジ ャー
ランド
㈲ ダ イエ ー 惰 報 シ ステ ム
㈱ 朝 日 トラ ペ ル
エ ー ジ ニ ン シー
㈲ オ リエ ン タル ホ テ ル他
※ 日本 ド リー ム観 光 製
各穫サービス
の提 供
II
小売 り
'GMSSMF㈱
猶
・
ナ-ン
ー
ダ
叶STtt
イ エ
ー
tt31社,了 閣EDA1● ε1《USA,●INC.
鱒 ミ ドリ、 悩 トウ ア 他
※ ㈱ ユ ニ ー ドダ イ エ ー
※魍マルエツ
ス
専F「
※asダイエ印
フ7イ ナ ンス
クの
レ委
ジ託
ツ
ト
業
務.
店
タ乍
麟 ロベ ル ト、顧 ロベ リア
憐 パ シ7イ7ク
スポ ー ツ他
tt20tt
コンビニエンス
ス ト7tt1社
聾ff2社
凶 ダ イエ
ーコ
'ンス
シン
ス ピニ
テ ムエ
ズ
脚 プ ラ ン タ ン鍛 屋 他
※騰十寧屋
wミ
店
舗
内
へ出
の店
ルキ ー ウ 呂 イ
※ 制 フ 倉 ル クス
愈.器 錨 議貸
デ ィ ベ
へ
ロ
ツ ノ'ミー
計15社
㈱ 神戸 セ ン トラ ル開 発
0AIE!HA冒Al:1翼VεS↑ 腿E困
↑S.
川C.
偶 ダイ エ ー ・ア ゴ ラ 他
※㈱イチケン
(出 所)
『有 価 証 券 報 告 書 総 覧 』1992年 版 、1ペ
一47一
食
叶7社
◎射ダ イ エ ー フ7一 ス ト
フ ー ズサ ー ビ ス
㈱ キ をプ テ ン ク ック
ー ジ。
他
か が え る。 別 の 見 方 を す れ ば イ トー ヨ ー カ 堂 は高 収 益 を あ げ る 子 会 社 を 持 っ て い る こ
とY4vなり、 超 優 良 企 業 と言 わ れ る セ ブ ン ・イ レブ ン ・ジ ャパ ンが 大 き く貢 献 して い る
と考 え られ る 。 こ れ に 対 し、 ダ イ エ ー の 当 期 純 利 益 と経 常 利 益 の 連 単 比 率 を 見 て み る
と1986年 に お い て は い ず れ も100%を
割 って お り、 特 に 当 期 純 利 益 に つ い て は18.4%
と か な りひ ど い 数 値 で あ りか な り多 くの赤 字 会 社 を か か え て い た こ とが わ か る。 だ が
そ の 後 は い ず れ も100%の
大 台 を 回 復 して お り 、 徐 々 に グ ル ー プ 収 益 力 は 向 上 して き
た と い え る。 だ が 、 ま だ そ の 水 準 は 低 く、 よ り一 層 の グ ル ー プ 収 益 力 向 上 が 今 後 の 課
題 と い え る。
次 に 棚 卸 資 産 に つ い て み て み る と、 ダ イ エ ー の方 は、 連 結 ・単 独 と も ほ ぼ 対 応 した
動 き を 見 せ て お り、 子 会 社 へ の過 剰 在 庫 の 押 しつ け に よ る 棚 卸 資 産 の 償 却 は な さ そ う
で あ る。 イ トー ヨ ー カ堂 に つ い て も同 じ事 が い え る が 、1991年 か ら1992年 に お い て 単
独 は 横 這 い の 動 き を 示 して い る の に 対 し、 連 結 の方 は大 幅 な増 加 を 示 して お り、 双 方
の 動 き に 大 き な 開 き が 見 て とれ る。 こ れ は親 会 社 で あ る イ トー ヨ ー カ 堂 の 子 会 社 へ の
棚 卸 資 産 の 押 し売 り と判 断 す る よ り、 む し ろ1991年 に 買 収 した ザ ・サ ウ ス ラ ン ド ・コ
ー ポ レー シ ョ ン社 が 大 量 の 棚 卸 を か か え て い た と判 断 す る 方 が よ い だ ろ う。
最 後 に 、 有 形 固 定 資 産 に つ い て 見 て み る と、 ダ イ エ ー は 連 結 の 動 き が 単 独 に 比 べ 顕
著 な 変 化 を 見 せ て お り、1986年 か ら1992年 に か け て 単 独 の 趨 勢 比 が136.9に
が225.5と
か な り数 値 に 開 き が み られ る。 こ れ は ダ イ エ ー のM&Aな
対 し連 結
ど に よ る積 極 的
な グ ル ー プ 経 営 の 展 開 に よ る も の と考 え られ 、 ダ イ エ ー は グ ル ー プ 経 営 の 資 本 規 模 の
充 実 に 力 を 入 れ て い る 様 子 で あ る 。 こ れ に 対 し イh一
ヨ ー カ 堂 は連 結 ・単 独 共 に 著 し
い 伸 び を 示 して お り、1992年 の 時 点 で 、 連 結 に お い て は ダ イ エ ー を は る か に 上 回 り、
単 独 に お い て も ほ ぼ 並 び つ つ あ る 。 な ぜ 、 これ ほ ど ま で に 連 結 の 有 形 固 定 資 産 の数 値
が 高 い の か 推 測 して み る と イ トー ヨー カ 堂 は 、 店 舗 の リー ス に関 して は、 通 常 、 土 地
の 賃 貸 人 に 対 して 建 物 の 建 築 費 相 当 額 を 差 入 保 証 金 お よ び 敷 金 と して 差 し入 れ 、 そ の
差 入 金 額 を リ ー ス 資 産 と して 計 上 して お り、 そ の リ ー ス 資 産 が 有 形 固 定 資 産 の 約 半 分
を 占 め る ほ ど 莫 大 な も の で あ る か ら と考 え られ る。 次 に 、 そ の推 移 に 注 目 して み る と
1991年 か ら1992年 に か け て 連 結 の 有 形 固 定 資 産 が 急 激 に 増 え て い る。 こ れ も ま た、 前
述 の ザ ・サ ウ ス ラ ン ド ・コ ー ポ レ ー シ ョ ン社 のM&Aに
よ る もの で あ る と思 わ れ る。
こ こで 連 単 比 率 に 目 を 移 して み る と、 イ トー ヨ ー カ 堂 は常 に300%を
越 え て お り、 ダ
イ エ ー や 他 社 の 数 値 を は る か に 上 回 っ て い る。 特 に 目 を 引 くの が1986年 の396%と19
92年 の450%で
あ り、 前 者 は単 独 の 数 値 が 比 較 的 低 い た め で あ り、 後 者 は連 結 の数 値
が 急 激 に 高 くな っ た た め で あ る 。
一48一
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おわりに
本 論 文 で は、 スー パ ー 業 界 に関 す る ト ピ ック スを 全 体 的 に考 察 した 。 各
章 ご と の 重 要 な ポ イ ン ト及 び 今 後 の 課 題 に っ い て 以 下 に 要 約 す る 。
第1章
の 「企 業 戦 略 」 で は 、 ダ イ エ ー とIYの
創 業 当 時 か らの お お ま か
な 経 営 方 針 を 列 挙 し て 比 較 した が 、 バ ブ ル 経 済 崩 壊 後 の 現 在 の 状 況 に お い
て 両 社 が ど の よ う な 方 向 性 を 目 指 し て い る の か 注 視 した い 。 ま た 、1980年
代 の 経 営 革 新 運 動 の 効 果 を 論 じ る に は あ と 数 年 か か る と思 わ れ る 。
第2章
の 「鳥 畷 分 析 」 で は 、 過 去6年
イ エ ー とIYの
間 の 財 務 諸 表 の数 値 を用 い て 、 ダ
財 政 状 態 及 び経 営 成 績 の 推 移 を み て い る。 また 、 今 後 の課
題 と して は 、 ダ イ エ ー は 、 営 業 外 収 支 の マ イ ナ ス を い か に 減 少 さ せ て い く
か 等 の 財 務 体 質 の 強 化 が 挙 げ ら れ 、IYは
、 今 の良 好 な 利 益 体 質 を い か に
維 持 して い くか が 挙 げ ら れ る 。
第3章
の 「経 営 指 標 分 析 」 で は 、 ダ イ エ ー 、IY両
社 を成 長 性 、 収 益 性
及 び 安 定 性 の 側 面 か ら比 較 した が 、 全 て の 指 標 に お い てIYが
上 回 っ て い る こ と が わ か っ た 。 特 に 、IYは
ダ イエーを
収 益 性 に お い て優 れ て お り、
売 上 高 を 重 視 す る ダ イ エ ー に 大 き く水 を あ け て い る 点 が 特 徴 的 で あ る 。
第4章
の 「資 金 分 析 」 で は 、 有 価 証 券 報 告 書 の 決 算 数 値 か ら 両 社 の 全 般
的 な 財 務 状 況 と 資 金 の 効 率 性 を 検 討 して い る 。 ダ イ エ ー は 、IYに
比 べて
資 金 調 達 に お け る借 入 金 依 存 度 が 高 い た め 、 金 融 収 支 は 大 幅 な 赤 字 と な っ
て い る 。 ま た 、 資 金 の 効 率 性 も 悪 く、 内 部 留 保 力 も低 い の で 一 層 の 改 善 が
望 ま れ る。
第5章
の 「連 結 分 析 」 で は 、 以 下 の よ う な こ と が 判 明 した 。 即 ち 、 ダ イ
エ ー グ ル ー プ は 、 事 業 の 多 角 化 を 推 進 し そ の ス ケ ー ル も大 規 模 な も の で あ
る の に 対 し 、IYグ
ル ー プ は あ くま で小 売 業 に徹 した 堅 実 経 営 を 行 って お
り 、 そ れ が か な り決 算 数 値 に あ ら わ れ て い る。
この よ うに 、 両 社 共 に様 々 な課 題 を抱 え て い る が 、 そ れ に対 す る解 決 策
は 明 ら か で な く、 今 後 の 対 応 を 見 守 っ て い き た い 。
一50一
(参 考 文 献)
① 田 井 修 司 ・久 保 建 夫 ・奥 村 陽 一 『ダ イ エ ー ・コ ー プ こ う べ 』 大 月 書 店 、
1991年 。
② 小 倉 正 男 『イ トー ヨ ー カ 堂 グ ル ー プ の 秘 密 』 こ う 書 房 、1986年
③ 日 本 経 済 新 聞 社 編rベ
。
ー シ ッ ク 流 通 入 門 』 日 本 経 済 新 聞 社 、1990年
④ 『有 価 証 券 報 告 書 総 覧 』(ダ
。
イ エ ー 、 イ トー ヨ ー カ 堂 、 単 独 ・連 結)各
年版 。
・
⑤ 日 経 流 通 新 聞 編 『流 通 経 済 の 手 引 き』 日 本 経 済 新 聞 社
⑥ 『企 業 経 営 の 分 析 』 三 菱 総 合 研 究 所 、 各 年 度 版 。
⑦ 野 村 秀 和 編 著 『企 業 分 析 』 青 木 書 店 、1990年
一51一
。
、各 年版。
1992年 度 共 同 研 究 論 文
銀 行 業 界 とそ の 財 務 に 関 す る分 析
寺澤真一
中田剛史
岩 田和昭
北村幸子
島田
外 山晋吾
一53一
隆
岡田 明広
次
目
は じめ に
55
第1章
56
第2章
戦後 日本 の金融 システム と自由化 の波
1金
融の制度的枠組み
II押 し寄せ る自由化の波
皿 自由化 の与 える影響
lV信 用秩序 の維持 につ いて
V今
後の課題
これか らの銀行経営
1経
営環境 の変化 と戦略的経営
∬ 金利 自由化へ の対応
皿 銀行 の経営管理
IV銀 行経営 の課題
第3章
銀 行 の会 計 制 度 とデ ィス クロ ー ジ ャー
56
57
58
60
60
62
62
62
63
65
66
1銀
行 経 理 基 準 の変 遷
66
II各
行 の デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー の 実 践 状 況 と共 通 す る 問 題 点
68
皿
第4章
銀 行 の デ ィス ク ロ ー ジ ャ ー を め ぐ る 今 後 の 課 題
72
新金融取 引
1先
69
物 ・オ プ シ ョ ン取 引 に つ い て
72
π
コ マ ー シ ャ ル ・ペ ー パ ー
76
皿
結び
78
第5章
79
リ ス ク管 理 に つ い て
1リ
ス ク管 理 の概 論
79
Ir自
己 資 本 比率 規 制
83
87
財務分析
三 和銀 行
87
92
第一勧業 銀行
三 菱銀行
都 銀主要3行 総覧
96
101
102
おわ りに
一54一
はじめに
ど の 国 に お い て も銀 行 は そ の 国 の 経 済 の 土 台 に な っ て お り、 「経 済 の 心 臓 」
に な っ て い る と い っ て も過 言 で は な い で あ ろ う。 つ ま り銀 行 業 界 の 破 綻=金
融
シ ス テ ム の 崩 壊 は 、 預 金 者 側 か らみ た 信 用 不 安 を も た ら す の み な らず 、 そ の 国
の経 済 の 破 綻 一 国 内 経 済 シ ス テ ム の 崩 壊 を も意 味 す る と言 え 、 さ ら に そ れ が 現
在 の 我 が 国 の よ うな 経 済 大 国 で あ れ ば そ の 影 響 は 外 国 為 替 市 場 を 通 じ て 世 界 中
の 国 々 に 連 鎖 的 に波 及 し、 世 界 的 規 模 の 金 融 不 安 や 恐 慌=世
界経 済 シ ス テ ムの
崩 壊 を も た ら す こ と は 間 違 い な い で あ ろ う。 幸 か 不 幸 か 我 が 国 の 金 融 機 関 は 戦
後 「一 行 た り と も つ ぶ さ な い 」 と い う大 蔵 省 ・日本 銀 行 主 導 型 の 護 送 船 団 方 式
に よ っ て 保 護 ・規 制 を 受 け て き た 。
しか し な が ら今 日 で は我 が 国 に お い て も国 の 内 外 か らの 要 請 に よ る金 融 自 由
化 の 波 に さ ら さ れ る に あ た り、 国 際 決 済 銀 行(BIS)に
よ る 自己資本 比 率 規
制 や 金 融 の証 券 化 な ど さ ま ざ ま な 変 化 や 危 機 の 壁 に 直 面 して い る 。 そ う し た 中
で バ ブ ル 経 済 が 崩 壊 し、 多 くの 銀 行 が 苦 境 に あ え ぎ な が ら も財 務 の 改 善 及 び 経
営 の 合 理 化 に力 を 注 い で い る が 、 つ い に は 東 洋 信 用 金 庫 の 如 く事 実 上 倒 産 す る
金 融 機 関 も出 始 め て い る 。1、2年
第 一 不 動 産 、 秀 和)の
前 に はAIDS企
業(麻
布 建 物 、 イ トマ ン、
存 在 が 世 間 を 騒 が せ た が 、 現 在 で はH20銀
行 、 阪 和 銀 行 、 大 阪 銀 行)の
行(兵
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存 在 が 話 題 と な り、 そ れ ら の 銀 行 の 持 っ 不 良 債 権
の 焦 げ 付 き も深 刻 化 して い る。 そ して 経 済 界 の一 部 に は 「な ぜ 政 府 は 銀 行 業 界
だ け に 手 厚 い 救 い の 手 を 差 し伸 べ る の か 」 あ る い は 「バ ブ ル経 済 期 に ノ ンバ ン
ク を通 じて 過 剰 な ま で の 融 資 を行 い 、 そ の結 果 と して 経 営 内 容 が 悪 化 し た の は
銀 行 の 自業 自得 だ 」 と い う批 判 の 声 が あ る も の の 、1993年1月
には銀 行 業 界 の
要 請 もあ っ て 政 府 の 肝 煎 で 不 良 資 産 の 買 い取 り機 関 が 設 置 さ れ た 。
この よ う な 背 景 ・要 因 が 我 々 を して 銀 行 業 界 の 分 析 へ と駆 り立 て た の で あ り 、
さ ら に銀 行 業 界 を 分 析 す る こ と は 単 な る 企 業 分 析 と い う フ レ ー ム ワ ー ク を 越 え
て ・ 一 国 経 済 、 そ れ が 我 が 国 の 場 合 で あ れ ば 世 界 経 済 を 分 析 す る う え で も非 常
に 意 義 の あ る こ と だ と確 信 す る 。
一55一
第1章
1金
戦後日本の金融システムと自由化の波
融の制度的枠組み
昭 和2年
の 金 融 恐 慌 に よ り 、金 融 シ ス テ ム の動 揺 が 社 会 全 体 に与 え る影 響 の 大
き さ を知 った 政 府 は 、銀 行 を 特 別 扱 い す る よ う に な り 、安 定 性 を 自己 責 任 原 則 や
自 由 競 争 よ り重 視 す る よ う に な った 。そ う した歴 史 的 背 景 を 経 て 出来 上 が った の
が 、護 送 船 団 方 式(*1)や 独 禁 法 の 適 用 除 外 な ど に 代 表 され る 戦 後 の 日本 の 金 融 制
度 で あ る 。 そ の 大 き な 特 徴 と して は 、(1)各 種 の業 務 分 野 規 制 に よ る 分 業 体 制 、
(2)預 金 等 の 金 利 に対 す る規 制 、の 二 点 が 挙 げ られ る 。
(1)の 分 業 体 制 とは い わ ゆ る 垣 根(フ
ァイ ア ・ウ ォー ル)で
、金 融 機 関 の 業 態 別
棲 み 分 け の こ とで あ る 。 こ れ に は三 っ の 区 別 が あ る 。す なわ ち 、① 長 期 ・短 期 金
融 の 分 離 、② 銀 行 ・信 託 の 分 離 、③ 銀 行 ・証 券 の 分 離 、で あ る 。
① の 長 期 ・短 期 金 融 の 分 離 は 、 まず1952年 に長 期 信 用 銀 行 法 が 制 定 され 、長 期
貸 し付 け の 資 金 調 達 手 段 で あ る金 融 債 の 発 行 は 、あ らた に設 立 さ れ た 長 期 信 用 銀
行(*2)に の み 認 め られ た 。 これ は主 と して 戦 後 の 経 済 復 興 の た め に 、産 業 に対 す
る 長 期 資 金 の安 定 供 給 の 確 保 を 目的 と して 導 入 さ れ た もの で あ る 。
② の 銀 行 ・信 託 の 分離 に 関 して は 、戦 前 に は 信 託 業 は 公 共 的 ・非 営 利 的 性 格 が
強 く銀 行 業 務 と は 相 い れ な い と考 え られ 、分 離 さ れ た 。戦 後 は 、わ が 国 の 信 託 業
務 の 持 つ 長 期 金 融 機 能 に着 目 、長 期 資 金 の 安 定 供 給 の 確 保 を 目 的 とす る ① の 長 短
金 融 分 離 の 一 環 と して 、大 蔵 省 の指 導 の 下 で 推 進 さ れ た 。現 在 、実 質 的 に 長 期 の
預 金 に等 しい 貸 付 信 託 お よ び 金 銭 信 託 の 取 扱 い は 信 託 銀 行 に の み 認 め られ て い る 。
③ の 銀 行 ・証 券 の 分 離 につ い て で あ る が 、 わ が 国 で は証 券 取 引 法 第65条 で 、銀
行 ・信 託 な ど の 金 融 機 関 が 証 券 業 務 を 行 う こ とを 禁 止 して い る 。 この 証 券 取 引 法
第65条 は 、 ア メ リカ にお け る グ ラ ス ・ス テ ィー ガ ル 法(*3)の 考 え方 を戦 後 、1948
年 の 証 券 取 引 法 全 面 改 正 の 際 に 導 入 した もの で 、金 融 機 関 に よ る経 済 全 般 へ の 過
度 の 支 配 を 排 除 す る 、銀 行 が 危 険 性 の 高 い 業 務 を 営 む こ とを 禁 止 す る こ とで 経 営
の 健 全 性 を 維 持 、預 金 者 の 保 護 を図 る 、銀 行 ・証 券 の 兼 業 に よ る利 益 相 反 の 発 生
を 防 止 す る 、 こ と を 目的 とす る 。証 券 取 引 法 第65条 の 制 定 に関 して 当 時 のGHQ
は 、、
証 券 の 引 き 受 け は 本 来 危 険 を 伴 い 、銀 行 や 信 託 会 社 の 信 託 的 性 質 に は 向 か な
い 、 と 説 明 して い る 。
(2)の 金 利 規 制 は 、歴 史 的 に は数 々 の 金 融 恐 慌 へ の 反 省 か ら生 まれ た 。当 初 の 目
的 は 、金 融 機 関 が 資 金 調 達 の た め に過 度 の金 利 競 争 を 行 って 経 営 が 悪 化 す る の を
防 止 す る こ とで あ っ た 。戦 後 は これ に加 え て 高 度 経 済 成 長 達 成 の た め の 低 金 利 政
策 の 推 進 に 役 立 った 。 日本 で は長 ら く間 接 金 融 方 式 が 主 で あ り人 々が 銀 行 を通 じ
一56一
て金融市場に参加 していたため 、低金利融資によって高度成長の達成を遂げるた
め には金利の規制が政策的に有効であったのである 。
以上のような垣根規制 と金利規制は、戦後の金融 ・証券市場の発展が立ち遅れ
ていた状況の中で 、相互に補完 し合 うことによって金融機関の経営を支え 、高度
成長の推進力にな ったといえる。すなわち、垣根規制はそれぞれの金融機関が活
動す る場を保証 して金利規制の効果を支え、金利規制は金融機関に利ザヤ を保証
す ることによ り、他市場への参入のインセ ンテ ィブを抑制 して垣根規制をバ ック
ア ップ した。これ ら二つの規制はワンセ ッ トとなって戦後の金融機関の経営の安
定化 に貢献 してきたといえる。
H押
し寄せる金融 自由化の波
1975年 頃 よ りそ れ まで の 金 融 に変 化 が 起 こ り始 め た 。火 付 け 役 とな った の は 、
財 政 赤 字 の 拡 大 に よ る国 債 の 大 量 発 行 で あ る 。そ れ まで は 国 債 の 引 き受 け は銀 行
に と って そ れ ほ ど 負 担 に は な ら なか つた が 、 国債 の 大 量 発 行 に 至 り 、低 金 利 で の
国 債 の 引 き受 け は 、引 き受 け る銀 行 の 経 営 を圧 迫 した 。そ こで 大 蔵 省 は1977年 に
市 中転 売 を容 認 、国 債 の種 類 、発 行 方 式 の 多 様 化 な ど の対 策 を 講 じた 。 こ れ は 、
そ れ まで あ ま り発 達 して い な か っ た 公 開 金 融 市 場 、す な わ ち 金 融 機 関 だ け で な く
個 人 や 企 業 も 自 由 に取 引 に参 加 で きる 金 融 市 場 の 発 達 を促 進 す る原 動 力 と な っ た 。
ま た1980年 に は 中期 国 債 フ ァ ン ドが 創 設 され 、銀 行 は 預 金 吸 収 の 面 で も伸 び 悩み 、
銀 行 の 一 般 投 資 家 との 証 券 取 引 を禁 止 した 銀 行 ・証 券 の 垣 根 規 制 が 、 国債 発 行 量
の増大 につれ て銀 行の経 営 を圧迫す る こ とにな った 。
ま た 、 この よ う な 公 開 金 融 市 場 で は 、 自 由金 利 で 取 引 が 行 わ れ て お り 、 こ う し
た 市 場 の 発 達 は 、規 制 金 利 下 に あ る 預 金 市 場 に大 き な イ ンパ ク トを 与 え た 。そ し
て 企 業 や 家 計 の 金 利 選 好 の 高 ま りに よ り 、間 接 金 融 の ウ エ イ トを低 下 させ る こ と
にな った 。
1980年 代 の 預 金 銀 行 の 著 しい シ ェア 低 下 は これ ら銀 行 の 危 機 感 を 強 め させ 、 そ
の 結 果 、預 金 者 の た め だ け で な く 、銀 行 自 らの 経 営 基 盤 を 守 る た め に も 、預 金 金
利 の 自 由 化 を進 め な け れ ば な ら な くな った 。
ま た 、円 の 国 際 化 、 国 際 的 な 認 識 の 高 ま り によ り 、規 制 の 緩 和 を 求 め る海 外 か
ら の 動 きが 一 段 と強 ま って きた 。海 外 、特 に ア メ リ カか らの 圧 力 もあ り 、 日本 は
徐 々 に 自 由化 、 自己 責 任 重 視 へ 動 き始 め た 。ア メ リ カ の 要 求 に よ り 、1984年 の
「日米 円 ・ドル 委 員 会 」(*4)に お い て 、大 口 預 金 金 利 の 自 由化 、外 貨 の 円 転 換 規
制 の 撤 廃 、外 銀 の 信 託 業 務 進 出 、等 が 合 意 さ れ た 。 こ う した流 れ は 今 後 と も 続 く
と考 え られ る 。
い ず れ にせ よ 、世 界 経 済 の 中 で これ ほ ど の ウ エ イ トを 占め る よ う に な っ た 日本
一57一
が 、海 外 か らの 国 内市 場 へ の 参 入 に対 し高 い 障 壁 を 設 け た ま ま に して お くの は 、
世 界 経 済 全 体 の 発 展 に対 し大 き な 障 害 と な る 。金 融 の 自 由化 は 、経 済 大 国 の 日本
に と っ て は避 け て 通 れ な い 道 で あ り 、そ れ へ の 日本 側 の 対 応 が 問 題 とな っ て く る 。
そ う した 中 で 、最 近 は 制 度 的 枠 組 み の 見 直 しが 叫 ば れ 、垣 根 規 制 撤 廃 に つ い て
は1988年 の 金 融 制 度 調 査 会 で 、各 業 務 の 相 互 参 入 の 方 向 で 本 格 的 に審 議 が 開 始 さ
れ 、1989年5月
末 に取 り ま とめ られ た 中 間 報 告 に よ れ ば 、今 後 は 、銀 行 ・証 券 が
特 例 法 に基 づ き投 資 銀 行 子 会 社 を設 立 し 、幅 広 い 業 務 を 行 う特 例 方 式 、銀 行 ・証
券 が そ れ ぞ れ 他 業 務 を 行 う子 会 社 を 設 立 し 、業 務 乗 り入 れ をす る 業 態 別 子 会 社 方
式 、の 二 点 を 軸 に 論 議 が 展 開 され る こ と に な る で あ ろ う と考 え られ て い る 。
金 利 の 規 制 に 関 して も 、CD(*5)の
導 入 、MMC(*6)の
導 入 に よ り 、..和 の 方
向へ 向 か っ て い る 。
金 融 機 関 側 も 、長 短 金 利 の 逆 転 現 象 が 起 きて い る と きは 調 達 コ ス トの 圧 迫 が 起
こ り 、 ま た金 利 の 自 由 化 が 進 め ば利 ザ ヤ の 保 証 が な くな る 。 こ う して 金 融 機 関 は
必 然 的 に 自 ら垣 根 を越 え よ う とす る よ う に な る で あ ろ う と思 わ れ る 。
皿
自由化の与える影響
で は 、金 融 シ ス テ ム を 全 体 的 な 観 点 か ら と ら え た と き 、そ の 与 え る プ ラ ス の 効
果 は ど の よ うな も の が あ る だ ろ うか 。
まず 挙 げ られ る の が エ コ ノ ミー ズ ・オ ブ ・ス コ ー プ とい う現 象 で 、効 率 性 が 増
す 、 と い う こ とが 考 え られ る 。 これ は 、い くつ か の 生 産 物 を別 々 に生 産 す る よ り
も一 緒 に生 産 す る 方 が コス トが 下 が る 、 と い う結 合 生 産 の 利 点 を 説 明 し た も の で
ある 。
例 え ば 銀 行 に お い て 、貸 出 を 行 う際 に は必 ず 借 り手 の 審 査 が 行 わ れ る 。銀 行 が 、
あ る い は 信 託 銀 行 が 、長 短 金 融 商 品 の両 方 を 用 意 す る よ う に な れ ば 、情 報 が よ り
有 効 に 活 用 され 、貸 出 の コ ス トは 低 下 す る は ず で あ る 。 ま た 、証 券 も銀 行 も豊 富
な 金 融 の 情 報 と店 舗 網 が あ る 。 も し双 方 が 銀 行 業 務 と証 券 業 務 の 両 方 を 行 う よ う
に な れ ば 、そ の 金 融 の 情 報 と店 舗 網 が フ ル に活 用 で き 、 コ ス トは 低 下 す る 。 つ ま
り 、既 存 の店 舗 や 人 員 、情 報 を様 々 の業 務 に活 用 で き 、単 位 当 た りの コ ス トの 低
下 を図 る こ とが で き る わ け で あ り 、ま た い ろ い ろ な 取 引 を組 み 合 わ せ る こ と に よ
って 危 険 を 分 散 させ る こ とが で き 、収 益 は安 定 して くる 。例 え ば 、銀 行 と証 券 を
両 方 の 業 務 を 行 っ て い る と 、 引 き締 め期 に は 証 券 業 務 側 の キ ャ ピ タル ロ ス を 、銀
行 業 務 側 の貸 出 金 利 の 上 昇 が 補 完 し 、緩 和 期 に は優 良貸 出先 が 減 っ て も 、キ ャ ピ
タル ゲ イ ンが 出 て く る 。 これ こそ が エ コ ノ ミー ズ ・オ ブ ・ス コ ー プ で あ る 。金 融
の 自由 化 は 、効 率 性 の 面 で は 明 らか に プ ラ ス で あ る とい え る 。
二 番 目 と して 、金 利 自 由 化 は 非 金 利 競 争 経 費 の 削 減 とい うメ リ ッ トも あ る 。金
一58一
利 規 制 の 時 代 は 、景 品 や 預 金 集 め の 外 交 員 、高 い 地 代 の 駅 前 立 地 な ど金 利 以 外 の
と こ ろ で 競 争 す る が 、金 利 競 争 の 時 代 に な る と金 利 サ ー ビ ス で 勝 負 で き る の で 、
非 金利 競争 にかけ ていた経 費 を圧縮 で きる 。
三 番 目 にス プ レ ッ ド ・バ ンキ ン グ(spreadbanking)が
普 及 して くる こ とが 挙
げ られ る 。 こ れ は 資 金 調 達 コ ス トに一 定 の 利 ザ ヤ を 乗 せ て 貸 し出す も の で 、調 達
資 金 の 金 利 が 貸 出 金 利 を 上 回 る 、 とい う一 時 的 な逆 ザ ヤ 現 象 に陥 る よ う な 状 況 は
『
回避 され る
の で 、収 益 は 安 定 す る(た だ しそ の リス ク に関 して はIVの 信 用 秩 序 を
参 照)。
金 融 の 自 由化 に関 して 一 番 懸 念 さ れ る の が 安 定 性 の 問 題 で あ る が 、 「自 由 化 、
国 際 化 に よ っ て リ ス クが 拡 散 す る と 、経 営 は 不 安 定 に な る 」 とは 必 ず し も い え な
い 。金 融 の 自 由 化 、国 際 化 は 必 然 的 に金 融 機 関 の リス ク の 管 理 の 範 囲 を増 や す こ
と は事 実 で あ る が 、 リス ク分 散 の 効 果 を 上 手 に使 え ば 経 営 が 安 定 す る こ と も期 待
で き る 。 した が って 自由 化 は プ ラ ス ・マ イ ナ ス 両 方 の 面 に作 用 す る と考 え られ る 。
ポ ー トフ ォ リオ 理 論 に よ れ ば 、 リス ク の 大 小 は 、そ の 経 営 者 側 の リス ク に 関 す る
無 差 別 曲 線 の 形 状 に依 存 す る の で(図 表1-1参 照)、 結 局 の と こ ろ 個 々 の 銀 行 の 経
営 姿 勢 の 問 題 で あ る とい え よ う 。
図 表1-1
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本 の 金 融 と銀 行 』(東 洋 経 済 新 報 社 、1989年)110ペ
一59一
ージ。
IV信
用秩 序 の維持 につい て
しか しそ の よ う な 努 力 にお い て も 、 これ ま で 護 送 船 団 方 式 の 下 で 保 護 さ れ て き
た い くつ か の非 効 率 的 な 銀 行 が 淘 汰 さ れ る恐 れ も あ る 。そ の と き に 、健 全 な金 融
機 関 を 含 め て金 融 シ ス テ ム 全 体 へ の 動 揺 と な ら な い よ う に 、い くつ か の セ イ フ テ
ィ ・ネ ッ トの形 成 の 必 要 が あ る 。
大 前 提 とな る の が 自己 責 任 原 則 の 徹 底 で あ る 。そ う して 自助 努 力 の 精 神 を 喚 起
した う え で 次 の よ う な 方 策 が と られ よ う 。
まず バ ラ ン ス ・シ ー ト規 制 で あ る 。 自己 資 本 規 制 、大 口 融 資 規 制 な ど の バ ラ ン
ス ・シ ー ト規 制 は 、 リス ク分 散 な ど を 通 じて 銀 行 の 健 全 経 営 を 促 進 す る 。 そ う し
た 意 味 に お い て は 、今 回 のBIS(BankforInternationalSettlements:国
決 済 銀 行)に
よ る 自己 資 本 比 率 規 制(以
下rBIS規
制 」 と呼 ぶ)は
際
、差 し当 た
り は邦 銀 に逆 風 とな った も の の 、銀 行 の 体 質 改 善 を 促 し 、適 正 化 を図 る 良 い モ テ
ィベ ー シ ョ ン と な っ た とい え よ う 。そ れ ま で は 規 制 の対 象 に で き な か っ た オ フ バ
ラ ンス 項 目に つ い て も網 を か け て い る と こ ろ が 、 こ のBIS規
(第5章
制 の特徴 で あ る
参 照)。
た だ し 、バ ラ ン ス ・シ ー ト規 制 と い う も の は 、画 一 的 な基 準 と な ら ざ る を 得 な
い が 適 正 な 水 準 の 判 定 が 難 しい 、基 準 内 で 銀 行 が ハ イ リス クの 貸 出 に運 用 す る こ
と を防 げ な い 、な どの 問 題 点 も残 る 。
なお 、 この バ ラ ンス ・シー ト規 制 は 決 して 自 由化 に逆 行 す る も の で は な い 。ル
ー ル が は つ き り して い て こそ 、 自由 に競 争 が で き る わ け な の で 、 この 種 の 規 制 は
自 由化 時 代 に は む し ろ強 ま って くる と思 わ れ る 。経 済 全 体 に と って は 、信 用 シ ス
テ ム の 秩 序 の 維 持 が 何 よ り大 切 で あ る か ら 、信 用 取 引 参 加 者 に あ る 程 度 の 枠 組 み
を は め る こ とは 必 要 で あ る とい え よ う 。
そ れ で も銀 行 が 破 綻 した 場 合 に備 え 、そ の 影 響 を 金 融 シ ス テ ム 全 体 に波 及 させ
な い た め の 事 後 的 措 置 と して 預 金 保 険 制 度 の 活 用 が 必 要 で あ る 。 した が つて 一 層
の 預 金 保 険 機 構 の 充 実 が 望 ま れ る 。 しか し 、預 金 保 険 機 構 へ の 過 度 の 依 存 は モ ラ
ル ハ ザ ー ドの 問 題 が 残 る の も事 実 で あ る 。
V今
後の課題
今後 の金融の自由化に向けて改善 、充実すべ き点がいくつか挙げられる 。
まず 、利益相反 に対処す るためのルールの確立が必要である 。利益相反は 、取
引が当事者外 に及ぼす悪影響 、すなわち公害 と同 じよ うな一種 の外部不経済であ
る と考えられ 、公害発生企業が必ず しも競争で淘汰 されるとは限 らないよ うに、
利益相反 も市場競争で排除されるとはいえない 。
一60一
した が って 、垣 根 撤 廃 の 一 方 で 、事 業 部 門 との 取 引 及 び 人 事 関係 な どの 公 開 、
利 益 相 反 の 可 能 性 が 高 い 部 門 間 の情 報 公 開 と取 引 制 限 、な ど の ル ー ル の 設 定 の 必
要がある。
ま た 、モ ラ ル ハ ザ ー ドの 防 止 策 と して は 、銀 行 、預 金 者 双 方 に わ け て 対 策 を講
じなけ れば な らない 。
銀 行 が 支 払 う預 金 保 険 料 は 経 営 の リス ク に か か わ らず 一 定 な の で 、銀 行 は ハ イ
リス ク で も 、ハ イ リタ ー ン の 投 資 を 選 ぶ 方 が 有 利 だ と い う構 造 を生 み 出 して し ま
う 。 し た が って 、金 融 機 関 が 十 分 な リス ク管 理 に取 り組 ま ざ る を得 な い よ う に 、
そ の 利 用 コ ス トを リス クの 度 合 い に応 じた も の に改 め る こ とが 必 要 で あ る 。 こ れ
に よ り 、金 融 機 関 側 のモ ラル ハ ザ ー ドを あ る程 度 は 防 止 す る こ とが 期 待 で き る 。
金 融 機 関 の 債 権 者 の モ ラル ハ ザ ー ド 、す な わ ち 監 視 の 甘 さ 、 に対 して は 、現 在
は 一 律1,000万 円 ま で 支 払 わ れ る こ と に な っ て い る預 金 保 険 機 構iの規 定 を改 め 、大
口 預 金 者 、機 関 投 資 家 、金 融 機 関 な ど の 金 融 の 専 門 家 に 対 して は救 済 の 対 象 外 と
し 、監 視 の 責 任 を 求 め る こ とが 必 要 と い え る 。
(*1)一
番 船 足 の 遅 い 船 の 速 度 に合 わ せ る こ と 。最 も競 争 力 の 弱 い 金 融 機 関 を 基 準 に
して 規 制 す る と い う戦 後 の 銀 行 行 政 の 理 念 。
(*2)日
本 興 業 銀 行 、 日本 長 期 信 用 銀 行 、 日本 債 権 信 用 銀 行 の3行
(*3)1933年
。
に制 定 され た 米 国 の 銀 行 法 。
(*4)1983年11月
、当 時 の レー ガ ン大 統 領 の 訪 日時 に お け る 日米 蔵 相 共 同 声 明 を受 け
発 足 。6回 の 会 合 の 後 、1989年11月 の 日米 金 融 協 議 へ 発 展 的 に解 消 した 。
(*5)NegotiableCertificateofDepositの
略 で 、NCDと
もい う 。 も と も と は ア メ
リカ か ら 導 入 され た 商 品 で 、譲 渡 性 預 金 と訳 す 。第 三 者 に譲 渡 す る こ とが 可 能 な 自
由金 利 預 金 。 日本 の 金 利 の 自 由化 の 先 駆 け とな つた 。
(*6)MoneyMarketCertifiacateの
1991年4月
略 。金 利 が市 場 金 利 に 連 動 す る タ イ プ の定 期 預 金 。
現 在 の 最 低 預 入 額 は50万 円 。
一61一
第2章 これからの銀行経営
1経
営環境の変化 と戦略的経営
今 日 の 銀 行 は 、か つ て 経 験 した こ と の な い 急 激 な 経 営 環 境 の 変 化 に 直 面 して い
る 。第 一 に 、金 融 の 自由 化 、国 際 化 の 進 展 が 挙 げ られ る 。第 二 に 、実 体 経 済 面 、
金 融 面 の 諸 変 化 が 挙 げ られ る が 、
・これ は 近 年 に な って 、企 業 部 門 の 資 金 需 要 が 縮
小 す る一 方 、公 共 部 門 の 資 金 不 足 が 拡 大 した こ と に よ る 。そ の た め 、国 債 な ど 証
券 形 態 の 金 融 取 引 が 増 え 、銀 行 を介 さ な い 資 金 の 流 れ が 増 え て い る 。 ま た 、企 業
の 資 金 需 要 縮 小 に 伴 い 、銀 行 の 預 貸 金 利 ザ ヤ も縮 小 して い る 。第 三 に 、1982年4
月 の新 銀 行 法 施 行 に よ る 過 保 護 行 政 か ら 自主 性 尊 重 へ の 、銀 行 行 政 の 転 換 が 挙 げ
られ る 。 この た め 、銀 行 は 以 前 に も増 して 一 層 の 自己 責 任 を求 め られ る よ う に な
った 。
こ う い った 経 営 環 境 の変 化 を 踏 ま え た う え で 、銀 行 経 営 の あ り方 は 変 わ って ゆ
か ざ る を え な い 。従 来 の よ う な 反 復 的 、受 動 的 な 経 営 で は こ の 変 化 に は つ い て い
け な い 。明 確 な 経 営 理 念 の 確 立 と 、計 画 的 な 経 営 が 必 要 とな って くる 。経 営 の 基
本 方 針 や 経 営 計 画 を 明示 す る こ とが 、今 後 避 け て 通 れ な い課 題 と な る だ ろ う 。
11金
利 自由化へ の対応
1預
金 金 利 自 由化 の 進 展 と影 響
わ が 国 の金 利 規 制 は 預 金 金 利 の 上 限 規 制 を 中心 と して 行 わ れ て き た 。 そ の 預 金
金 利 も 徐 々 に 自 由化 が 進 み 、一 層 の 小 口化 や なお 残 つて い る 諸 制 限 の 緩 和 が 今 後
の課 題 と な る と は い え 、現 在 そ の 最 終 段 階 に入 つて い る こ とは 間 違 い な い 。
こ こで は 、預 金 金 利 自 由化 が 銀 行 経 営 に及 ぼ す 影 響 を 整 理 して み た い 。
(1)預 貸 金 利 ザ ヤ の 縮 小
規 制 預 金 金 利 は市 場 金 利 を 下 回 る 水 準 に設 定 さ れ て い る た め 、金 利 の 上 限 規
制 を 外 す と 、預 金 金 利 が 市 場 金 利 の 水 準 まで 上 昇 す る こ とが 予 想 さ れ 、 こ れ は
当 然 銀 行 の 資 金 コ ス トの上 昇 を 招 く 。そ の た め 、貸 出 金 利 を も 引 き 上 げ る か 、
他 の 部 分 で コ ス ト削 減 を は か ら ない か ぎ り 、預 貸 金 利 ザ ヤ は 縮 小 す る こ と に な
る。
(2)金 利 変 動 リス クの 増 大
自 由化 に 伴 い 、預 金 金 利 は 従 来 よ り も大 幅 に動 く と思 わ れ る 。そ の た め 、銀
行 の 資 金 調 達 と運 用 の ア ンマ ッチ が あ る と 、金 利 の 変 動 によ って 、利 ザ ヤ の 縮
小 や 、場 合 に よ っ て は 逆 ザ ヤ ま で 生 じか ね な い 。
一62一
(3)預 金 吸 収 力 の 増 大
以 上 二 つ の マ イ ナ ス面 が あ る 一 方 、預 金 金 利 の 市 場 金 利 水 準 へ の 上 昇 に よ っ
て 、 自 由金 利 金 融 商 品 に 流 れ て い た 資 金 を 、銀 行 預 金 に 取 り戻 せ る とい うプ ラ
ス面 もある 。
2預
金 金 利 自 由化 へ の:対応
預 金 金 利 自 由化 に よ って 資 金 調 達 力 が 強 化 され る とい うプ ラ ス 面 が あ る 一 方 、
逆 に 調 達 コ ス トの 上 昇 に よ って 収 益 が 圧 迫 され る と い うマ イ ナ ス 面 もあ る 。 まず 、
こ の 調 達 コ ス トの 上 昇 に ど う対 応 す る か が 重 要 な 課 題 と な ろ う 。
この 調 達 コス トの 上 昇 は 、事 務 処 理 の 合 理 化 だ け で は 吸 収 し きれ な い も の が あ
り 、 した が って 、貸 出金 利 に 転 嫁 す る 必 要 が あ る 。第 一 に 、貸 出 構 成 の 変 更 が あ
る 。す な わ ち 、住 宅 ロ ー ン な ど の 、よ り高 利 回 りの 貸 出 の 比 率 を 高 め て い くこ と
で あ る 。第 二 に 、貸 出金 利 の 設 定 方 式 の 見 直 しや 多 様 化 が 考 え られ る 。従 来 、貸
出 金 利 は 公 定 歩 合 に連 動 す る プ ラ イ ム ・レー トを基 準 と して き た が 、 この 方 式 は 、
預 金 金 利 も公 定 歩 合 に連 動 して い る 限 り にお い て 、妥 当 な も の で あ った 。 しか し 、
現 在 は 金 利 自由 化 に よ つて 、預 金 金 利 は 公 定 歩 合 で は な く市 場 金 利 に左 右 さ れ る
た め 、従 来 の 方 式 で は預 貸 金 利 ザ ヤ の 確 保 が 困 難 に な って き た 。そ こ で 、市 場 金
利 に一 定 の マ ー ジ ン を上 乗 せ す る ス プ レ ッ ド貸 出 方 式 や 、資 金 調 達 コ ス トに 連 動
す る新 プ ラ イ ム ・レー ト方 式 の 導 入 な ど が 図 られ て き た の で あ る 。
ま た 、従 来 の 規 制 金 利 の も とで は 、預 金 量 の増 加 イ コ ー ル 収 益 の 増 加 で あ っ た
が 、 自 由化 時 代 に は そ の 考 え は あ て は ま ら な い 。 こ れ か らの 銀 行 は 単 に預 金 量 の
大 小 を 競 うの で は な く 、収 益 に重 点 を お い た 経 営 を指 向 しな くて は な らな い で あ
ろう。
皿
銀行の経営管理
1銀
行 経 営 の リス ク
次 に 銀 行 経 営 の リス ク に つ い て 検 討 して み た い 。一 般 に銀 行 経 営 の リス ク と し
て 以 下 の 四 つ が 挙 げ られ る 。
(1)信 用 リス ク
銀 行 の 資 産 内 容 悪 化 の こ とで 、高 利 回 りの貸 出 を 求 め る あ ま り 、借 り手 の 審
査 を 怠 った りす る と 、信 用 リス クの 増 大 につ な が る 。 また 、今 日で は 国 際 化 に
伴 つて 、カ ン ト リー ・リス ク問 題 な ど新 しい 信 用 リス クが 増 え て い る 。
(2)金 利 リス ク
預 金 金 利 上 昇 に よ つて利 ザ ヤ 縮 小 の お そ れ が あ る こ とや 、市 場 金 利 の 変 動 に
伴 って 、急 激 な 利 ザ ヤ の悪 化 を 招 きか ね な い こ と で あ る 。
一63一
(3)外国為替 リスク
銀行の持つ外貨資産や外貨負債が 、為替相場の変動によって大 きな影響 を受
け 、場合 によっては利益 をうむ こともあるが 、多大の損失を招 く危険 もはらん
でいることを内容 とする 。
(4)流動性 リスク
各種の金融市場の発達に伴 って、資金調達が 、短期の大口市場資金や 国際金
融市場 に依存するな ど、不安定な資金への依存が増えていることをいう。金融
情勢の急激な変化が生 じた場合 、資金調達が困難 になる危険性がある。
2銀
行経 営の鉄 則
戦 前 か ら 、銀 行 経 営 の 鉄 則 と さ れ て き た も の に 、安 全 性 、流 動 性 、収 益 性 の 三
原 則 が あ る 。金 融 自 由化 、国 際 化 が 進 む 今 日で も こ の 原 則 は 変 わ ら な い 。
安 全 性 の 原 則 と は 、運 用 資 産 の 内 容 を 安 全 確 実 な も の に して お く こ とで 、信 用
リス ク に 対 応 す る 。
次 に 、流 動 性 の 原 則 とは 、資 産 と負 債 の 満 期 の 対 応 関係 に注 意 し 、流 動 的 な準
備 資 産 を 持 って お く こ とで 、支 払 準 備 が 不 足 しな い よ う にす る こ とで 、流 動 性 リ
ス ク に対 応 す る 。
収 益 性 の 原 則 は 、利 益 の 確 保 、増 加 を 図 る こ とで あ る 。国 民 の 信 用 を 得 る た め
に も 、常 に安 定 的 な 利 益 を あ げ る こ とが 望 ま れ る 。
3ALM
近 年 の 銀 行 の 経 営 管 理 の 手 法 と してALM(Asset&LiabilityManagement:
資 産 負 債 総 合 管 理)が 脚 光 を あ び て い る 。ALMと
は 、資 産 負 債 の 構 成 を総 合 的
に 管 理 す る こ と に よ り 、最 小 の リス ク の 下 で 収 益 の 極 大 化 を図 る管 理 手 法 で あ る 。
これ は 、1970年 代 の 米 国 にお い て 、金 融 自 由化 に よ っ て市 場 性 資 金 の 調 達 ウ ェイ
トが 増 大 して きた こ と を 受 け て 登 場 し た 。つ ま り金 利 の変 動 の 収 益 へ の影 響 を ど
う避 け る の か 、 ま た 市 場 性 資 金 は調 達 期 間 が 短 い も の が 多 い が 、そ の 調 達 面 で の
不 安 定 性 を ど う管 理 す る の か が 主 眼 と な って い た 。
ALMを
実 践 して い く際 に は 、以 下 の 三 つ を 柱 とす る 。
(1)リ ス ク分 析 手 法
意 思 決 定 の前 提 と して 正 確 に リス ク 把 握 ・予 測 を 行 う こ とが 必 要 とな る 。金
利 感 応 度 分 析 や ギ ャ ップ 法 等 が 代 表 的 手 法 と して 挙 げ られ る 。
(2)ALM体
制
機 動 的 な 意 思 決 定 を 行 う た め 経 営 あ る い は 実 務 の 各 レベ ル で 方 針 決 定 を 行 う
場 を 設 定 す る こ とが 必 要 で あ る 。
一64一
(3)運 営 管 理
現 場 レベ ル を コ ン トロ ー ル す る た め に責 任 権 限 と整 合 的 な 数 値 目標 が 必 要 と
なる 。
4資
産の健全性
あ まりにも当面の収益 を追求 しす ぎると、不 良債権を抱えるなど信用 リス クの
増大を招 きかねない。そ こで 、貸出案件審査の体制 を強化するなど、資産の健全
性維持 の重要性 を再認識する必要があろう。
5自
己 資 本 比 率 規 制(BIS規
BIS規
制)の 実 施
制 の も と で は 、資 産 の 増 加 と 自己 資 本 の 増 加 とのバ ラ ンス を 保 ち な が
ら 収 益 の 拡 大 を は か らね ば な らな い 。そ の た め 自己 資 本 の 充 実 や 、ROA(ReturnonAsset:総
IV銀
資 産 収 益 率)の
向上 、資 産 内 容 の 健 全 化 が 必 要 とな る 。
行経営の課題
金 融 の 自 由化 が 進 む 中 で 、個 々の 銀 行 同 士 の競 争 が 激 化 して い く こ と は 疑 い な
い 。ま た 、そ の 競 争 は あ く ま で 自己 責 任 の 原 則 の 下 に行 わ れ る こ と に な る 。 した
が っ て 、個 々 の 銀 行 の 経 営 の あ り方 が 今 まで 以 上 に 問 わ れ る こ と に な る で あ ろ う 。
ま た 、金 融 自 由 化 や 国 際 化 に さ ら にBIS規
制 が 加 わ り 、収 益 が 重 視 さ れ る時
代 とな ろ う 。 これ まで は 預 金 量 が 収 益 に 直 結 して い た た め 、質 よ り も量 が 重 視 さ
れ て き た 。 しか し 、 こ れ か らはALMやROAを
中 心 と して リ ス クや 収 益 を 重 視
す る こ とになろ う。
最 後 に 、 自 由化 に よ って 業 務 分野 の 規 制 が 崩 れ る と銀 行 業 務 の範 囲が 拡 大 さ れ.
る 。そ の た め 、業 務 が 多 様 化 して い く中 で 、各 行 が 独 自の 方 向 づ け をす る 必 要 が
で て くる だ ろ う 。す な わ ち 、 明確 な 経 営 戦 略 の も とで 個 性 的 な 銀 行 経 営 を 行 って
い く こ とが 望 ま れ 、 また 、そ うで な け れ ば 競 争 に 勝 っ こ とは で き な い で あ ろ う 。
一65一
第3章 銀行の会計制度とディスクロージャー
銀 行 の デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー を め ぐ る 問 題 は 以 前 か ら多 くの 議 論 が あ った が 、 近 年 の
一 連 の金 融 不祥 事 を受 けて
、1992年1月
、 金 融 制 度 調 査 会 は 、 そ れ に 対 す る反 省 と今
後 の銀 行 の 経 営 刷 新 に 向 けて 、 銀 行 の デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー を 一 層 推 進 す べ き こ と を 勧
告 した 。 と りわ け 、 現 在 、1992年9月
末 の 時 点 で 大 蔵 省 筋 に よ る と都 銀 ・長 信 銀 ・信
託21行 で12兆 円 と言 わ れ る 巨 額 の 不 良 債 権 や 、 株 価 の 暴 落 に よ る株 式 の 評 価 損 な ど を
め ぐ って 、 銀 行 経 営 の 一層 の 透 明 性 が 強 く求 め られ て お り、 銀 行 の デ ィ ス ク ロ ー ジ
ャ ー は 、 こ れ か らの 銀 行 経 営 を 考 え る 上 で 重 要 な 問 題 の1つ
で あ る。 本章 で は、 ここ
数 年 の 銀 行 経 理 基 準 の 変 遷 を 概 略 的 に述 べ た あ と、 そ れ を各 行 が ど の よ う に 実 践 して
きて い る か 、 そ の な か で 銀 行 の デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー に つ い て ど の よ うな 問 題 が 浮 き彫
り に な っ て きて い る か 、 そ して 今 後 ど の よ う な こ とが 課 題 と な って くる か を 述 べ て い
き た い。
1銀
行経理基準の変遷
11989年7月
の銀行法施行規則改定
一般 の投資家 、銀行サー ビスの利 用者が銀行 の経営内容を把握 しよ うとす る場合、
利用で きる もの と して は、証取法第24条 に基づいて各銀行が決算期 ごとに作成 して い
る有価証券報告書 と、銀行法第21条 に基づ いて公開す ることが義務づ け られている
デ ィスクロージャー誌があるが、 この うち、銀行 の有価証券報告書 の内容が1989年 度
か ら大幅 に改め られた。 これは次の2っ によるところが大 きい。すなわち、 ひ とつ は、
銀行法施行規 則の改定 によ り、新銀行経理基準が導入 され、銀行 の損益計算書、貸借
対照表 の様式が変更 された ことで ある。 これによ り、銀行 の損益計算書 は、経常収支
と経常費用が 「資金収支」 「
役務取 引等収支 」 「その他業務収支 」 「
その他経常収
支」の4つ に区分 され ることになった(本 章末掲載 の図表3-1参 照)。
いまひとっ は、大蔵省証券局 と全 国銀行協会連合会 との協議 によ り、有価証券報告
書の 「
営業 の状況 」におけ る開示項 目が大幅に増加 された ことであ る。 これ によ り、
業務別収支 の国内 ・国際業務部門別の情報や有価証券含み益 などが新 たに開示 される
ことにな った(図 表3-2参 照)。
こうした銀行経理基準改定の背景 と して次の3っ の点が指摘 されて いる。
第1に 、 内外の 自由化の流 れのなかで、金利 ス ワップ取 引、先物 およびオプ シ ョン
一66一
取引などのオ フバ ランス取引の拡大や、 内外市場 での資金および為替の裁定取引の活
発化などに したがい、従来の経理基準 での経理 処理 や、預金、貸 出金等 の伝統的な業
務 をベ ース とした損益計算書 の様式で は銀行決算の内容が分か りに くくな って きた こ
とが あげ られ る。
第2に 、銀行業務 における証券業務の拡大を反映 して、利回 り指向の強 い株式の売
買損益 および主 と して株式の売買損益か らなる特定金銭信託の運用益の位 置づ けを明
確化 し、銀行 の期 間の収益力 を分か りやす く表示す る必要性が高 ま った ことが あげら
れる。
第3に 、 国際統一 基準 の自己資本比率規制(BIS規
制)の 導入 に対応 して 自己資
本 を充実すべ く銀行 の時価 ファイナンスが相次 ぐなかで、 内外 の投資家 に対す る決算
開示 の明瞭性 を高め ることが急務 とな った ことが あげ られる。
こうした理 由か ら、銀行の経理基準が大幅 に改定 されたわ けだが、具体 的な もの と
して、従来 の注記利益(営 業利益)と い う項 目が業務純 益 とかえ られ たことが ある。
この背景 には、商品有価証券の損益(デ ィー リング損益)が 注記利益 に含 まれ るのに
対 して、投 資有価証券 の損益 は除外 され るため、デ ィー リングの損失 を商品有価証券
の損失 に振 り替 えるなどの操作や、特定金銭信託 の収益 もこれ までは預 け金利息 と し
て注記利益 に含 め られ るため、投 資勘定の含 み益 を特金 の収益 に移転計上 す るなどの
操作が、問題 点 として指摘 されて きた。
2そ
の後の開示項 目の量的 ・質的発展
その後、有価証券報告書 の開示項 目の発展ぶ りは顕著 だった。た とえば、1990年 度
決算 では、業務粗利益 の内訳が国内 ・国際業務部 門別 に、①資金運用収支、②役務取
引等収支、⑧その他業務収支 の3区 分 に分 けて開示 されたのをは じめ、 国内業務部 門
にっいて は資金運 用収支の説 明資料 と して預金、貸 出金 の平銭、利息、利 回 りも開示
されている。従来 は末銭ベースで しか計数 を把握 す ることがで きなか っただけに、平
銭計数の開示 は大 きな前進であ ると言え る。
さ らに、有価証券 の含み損益 にっ いては、大 蔵省証券局が1990年12月25日 に 「市場
性 ある有価証券および先物 ・オプ ション取 引等の時価情報 の開示 につ いて」通達を出
し、時価 を算定で きるもの について は1990年 度決算 か ら情報を開示す ることとな った。
具体的 には、国内 ・海外で上場 されて いる株式、投資信託、 ワラン トについて、簿価、
時価 とその差額 の開示が義務づ けられ た。また、1990年 度決算か ら国内業務部 門の平
均残高、1991年 度決算 か ら国際業務部門の平均残高を開示す ることになった。
その他、先物 ・オ プション取引につ いては、 さきの通達 に基づ き、1990年 度決算か
ら、先物取 引につ いては上場 されている証券先物取引、金融先物取 引について、未決
一67一
済 の 契 約 金 額 、 時 価 と そ の 差 額 が 、 オ プ シ ョ ン取 引 に つ い て は各 上 場 取 引 にか か わ る
貸 借 対 照 表 計 上 額 、 時 価 と そ の差 額 が 表 示 さ れ る よ う に な っ た 。
全 体 と して 、1991年 度 ま で に新 た に 開 示 さ れ る 項 目 は20に わ た り、 細 か い デ ー タ で
見 る と300程 度 の 情 報 が 新 た に 開 示 さ れ る こ と に な っ た の で あ る。
皿 各行 のデ ィス クロージャーの実践状況 と共通 す る問題点
有価証券報告書 は省令等 で記載事項を詳細 に定 め られてい るが、それに対 し、銀行
法第21条 によ り作成 され る資料 は必要最小限の統-一開示基準 が定 め られて いるだ けで、
具体的な開示の方法,内 容そ して タイ ミングなどは銀行 の自主 的判断に委 ね られてい
る。 このため後者 の資料 には、各行のデ ィスクロー ジャー政策が鮮明に反映 され るの
である。
その第21条 に基づ くディス クロージャーを各行 ごとに比較 してみ ると、三菱銀行 レ
ポー トが他 に比べて先駆的なデ ィスクロー ジャーを行 ってい ることに気 づ く。デ ィス
クロー ジャーの時期 の早 さ ・適格 さ、量 的質的充実、有価証券報告書に比べて様 々な
点での充実 ぶ り(経 常利益を グラフ ・表を用いて視 覚的な理解 を容易 に して いる点、
業務純益を開示 して いる点
説,etc)な
有価証券報告書で は開示 されていない、丁寧 な用語解
どがあげ られ る(図 表3-3参 照)。 ・
しか し、それで も日本の銀行全体 に共通 するデ ィス クロージャーに関 して、企業そ
の他 の利害 関係者か ら見た場合の問題点がい くっか浮 き彫 りになる。それをま とめ る
と次 のよ うな点が あげられ る。
第1に 、デ ィスクロー ジャーのタイ ミングのず さん さである。有価証券報告書の提
出のタイ ミングは各行 とも同時であるが、銀行法第21条 に基づ く資料の公表 のタイ ミ
ングはまちまちで ある。法律 によ って提 出期 限が規制 されて いる場合 は他行 と足並み
をそろえて提出す るが、規制がなけれ ば利 用者 の便宜 を考慮せずにマイペースで提 出
す る銀行がまだまだ多い。
第2に 、有価証券報告書 にお ける開示の量 と質の向上 は1989年 度 よ り顕著 にな って
お り、銀行 業務 の多様化 ・国際化に対応 した内容 に改正 されて きているが、まだ不十
分 な点 と して与信 リス ク情報が あげ られ る。た とえば、1990年3月 末 日におけ る三菱
銀行 の総資産に 占める貸出金 の安全確保 は、銀行経営上重大 な課題 であるが、三菱銀
行 レポー トで も有価証券報告書で も、三菱銀行 の与信 リス クが どの程度で、 どのよ う
な与信 リス ク管理 を行 って いるのかを知 る ことはで きないので ある。
一68一
皿
銀 行 の デ ィ ス クLI一 ジ ャ ー を め ぐ る今 後 の課 題
本章 の冒頭 にも述べたよ うに、 日本 の銀行 は これまでディスクロー ジャーをめ ぐっ
て様 々な問題点 ・遅 れを抱えて いたが、現在、 巨額 の不良資産や株価 の評価損 などの
問題 に直面 して、企業 その他の利害関係者か らますます透明性 ある銀行経営が求め ら
れて いる。世界的 にも、金融の 自由化 ・国際化 の流 れのなかで、資産規模か ら経営 の
健全性、財務基盤の強固 さ、そ して効率性 による評価 へ と世界 の銀行の評価が シフ ト
して いる。 その傾向の具現化 された ものの1つ がBIS基
準である。 日本 の銀行 に
とって は、一般の投資家や利用者 との良好 な関係を結 んで、財務基盤 の強化 など新 た
な銀行体質 の強化 とともに、銀行 としての社会的役 割を健全 に発揮す るために も、今
後 は、企業のIR活
動(*1)の 一環 としての積極的 なデ ィスクロー ジャーを展 開 してい
くことが求め られ ると思われ る。
(*1)IR(InvestorRelations)活
動
会 社 に 関 わ る い か な る情 報 を、 い か な る タ イ ミ ン グ で 、 い か な る チ ャ ン ネ ル を 通
して 投 資 家 等 の 外 部 者 に 発 信 す るか を 、 企 業 の 独 自 の 判 断 で 決 定 し、 そ れ を 実 行 す
る活 動 。 ア ニ ュ ア ル ・ リポ ー ト等 の 作 成 ・デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー・
の他 に、機 関投 資 家
と の ミ ー テ ィ ン グ、 金 融 専 門 メ デ ィ ア との 対 応 等 々 、 様 々 な もの が あ る。
(伊 藤 邦 雄 「デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー とIR」
_69_
『
企 業 会 計 』1992年1月Vol.44参
照)
図 表3-1
〈旧様 式〉
損 益計 算書 の改正 内容
〈新 様式 〉
経常利益
貸出金利息
有価証券利息配当金
その他受入利息
コールローン利息
買入手形利息
その他の受入利息
その他経常利益
受入手数料
外国為替売買益
商品有価証券売買益
有価証券売却益
有価証券償還益
その他の経常収益
経常費用
預金利息
その他支払利息
譲渡性預金利息
コールマネー利息
受渡手形利息
借用金利息
転換社債利息
その他の支払利息
営業経費
その他経常費用
支払手数料
外国為替売買損
商品有価証券売買損
貸倒引当金繰入額
貸出金償却
有価証券売却損
有価証券償還損
有価証券償却
その他の経常費用
経常利益
(注)経 常収益 よ り有 価証券 売
却益 お よび有価 証券償 還益 を控
除 した ものか ら、経常 費 用よ り
有 価証券 売却 損、有価 証券 償還
損 およ び有 価証 券償却 を控 除 し
た もの を差 し引い た金 額 は、O
OO百 万 円で あ る。
→
→
.一
・→
●・・。。.・ →
・一 一
一●.一 一一 》
経常利 益
資金 運用利 益
貸 出金利 息
有 価証券 利息配 当金
コー ルロー ン利 息
賀 入手形 利息
預 け金利 息
金 利 ス ワップ受 入利 息
その他 の受入利 息
役務 取引等 収益
受 入為替 手数料
その他 の役務収益
そ の他の役 務収益
外 国為替 売買益
商 品有価 証券売 買益
国債等債 券売却益
国債等債 券償還益
その他 の業務収益
その他経常 収益
株 式等 売却益
金銭 の信託 運用益
その他 の経常収 益
経常 費用
資金 調達費 用
預 金利 息
譲 渡性預 金利息
コー ルマネー利 息
受 渡手形利 息
借 用金利 息
転 換社債 利息
金 利 ス ワップ支 払利 息
その他 の支払利 息
役務 取引等 費用
支 払為替 手数料
その他 の役務 費用
そ の他業 務費用
外 国為 替売買損
商 品有 価証券 売買損
国債等 債券売却 損
国債等 債券償還 損
国債等 債券償却
その 他の業務収 益
営 業経 費
その他経 常費 用
貸 倒 引当金繰入 額
貸 出金 償却
株式等 売却損
株 式等 償却
金銭 の信託運 用損
事業税
その 他の経常 費用
経常 利益
…
※ ゴ シ ック体 の項 目
は、新 区分
(新 設)
(新設)
(新設)
(新設)
(新 設)
(新 設)
(新 設)
(新 設)
(新 設)
(新設)
(新設)
(新設)
(新設)
(新設)
(新設)
(新設)
(新設)
(新設)
一(注 記の利益 は削 除)
(出 所)桂
三郎
「〈解 説 〉改 定 さ れ た 銀 行 の 経 理 基 準 」 『
金 融 財 政 事 情 』1989年7月31日
一70一
、46ペ ー ジ。
1989年度 決算の主 な新規 開示項 目
図 表3-2
① 国内 ・国 際業務部
門別粗利益
② 国内部門 の資金運
用収支 の説明 資料
資金運 用収支、 役務取 引等収 支、 その他業務収支 の3区 分 に分
け、 これを国 内 ・国際業務 部 門別 に開示 。
・資 金 運 用 ・調 達 の平 均 残 高 、 利 息 、 利 回 りの 開 示 。
・資 金 運 用損 益 の 増 減 を 残 高 、 利 率 で 分 析 。
③役務取 引の状 況
国 内'・国 際 部 門 別 に、 どの 業 務 か ら生 じた手 数 料 か を 開 示 。
④有価証券 の含 み益
商 品 有 価 証 券 ・有 価 証 券 別 に 、 簿価 、 時 価 、 含 み 益 を 開 示 。
⑤利益率
総 資産利益率(経 常利益 、 当期 利益)、 資本利 益率(経 常利
益 、当期利益)を 開示 。
⑥ 自己資本比率 関連
計数
BIS基
⑦ 預 金 ・貸 出金 の デ
ータ
国 内 ・国 際 別 の 残 高 、 国 内店 、 海 外 店 別 に1店 舗 当 た りお よ び
従 業 員1人 当 た りの デ ー タ を 開 示 。
⑧ 貸倒 引当金 の内訳
一般 貸倒 引当金、債 権償却 特別勘定 、特定海外 債権 引当勘定 に
「
準 の 自己資本比率 を構成 す る項 目の開示。
分 けて 開示 。
(出 所)伊
藤邦雄
「
銀 行 デ ィ ス ク ロー ジ ャー の 実 践 状 況 と今 後 の課 題1
伊 藤 邦 雄 他 篇 『現 代 の 企 業 決 算 』 中 央 経 済 社 、1991年 、33ペ ー ジ。
図 表3-3
三菱 銀行 レポー トのみ 開示 されて いる項 目
最近 の業績 の推 移
主要勘 定 の推 移
そ の他 業務利益 の内訳
臨 時損 益 の内訳
預金者 別預金残 高 の推 移
主 な金利 の推 移
個人 向 けロー ン残高 の推移
国内店舗 ・海外拠 点数 の推移
採 用人員 の状況
米 国基準連 結貸借対照 表
米国基準 連結損益 計算書
米 国基準EPS等
米国基準 のF/S作
成基準 およ び重 要 な会 計方針
地 域別 セグメ ン ト情 報
米国基準 主要財務 デ ータ
日米会 計基準 の相 違
(出 所)同
上 書 、46ペ
ー ジ。
一7ユ
ー
第4章
1先
新金融取引
物 ・オ プ シ ョ ン 取 引 に つ い て
1先
物 取 引 の仕 組 み
銀 行 の 新 金 融 取 引 に 先 物 ・オ プ シ ョ ン 取 引 が あ る 。
先 物 取 引 と は商 品 の あ る特 定 され た数 量 に つ い て 、 将 来 の 一 定 時 期 に 取 引 所 に お い
て決 め た 価 格 で売 買 す る こ と を現 在 時 点 で契 約 す る 取 引 で あ る 。 先物 取 引 の 利 用 形
態 に は 主 に 、 ヘ ッ ジ(保
ラ ー ジ)・
険 つ な ぎ)・
ス プ レ ッ ド(格 差 取 引)の
ス ペ キ ュ レ ー シ ョ ン(投
機)・
裁 定(ア
ビ ト
四 つ が あ る。
ま ず 、 ヘ ッ ジ に つ い て 説 明 す る 。 例 え ば 現 在 の 債 券 価 格 が100円 だ と す る 。 価 格
が 下 落 し そ う な 場 合 、 こ の 債 券 を 保 有 す る 投 資 家 は 先 物 を 売 り建 て る 。 予 想 ど お り
価 格 が 下 が れ ば 現 物 債 は 損 を 負 う が 、 売 り建 て て い た 先 物 を 同 時 に 買 い 戻 せ ば 、 現
物 債 の 値 下 が り分 を 取 り戻 せ る 。100円 で 売 つ て 、98円 で 買 う と す れ ば2円
のサ ヤ
が とれ る 。
次 に ス ペ キ ュ レー シ ョ ンに つ い て説 明 す る 。 先物 取 引 をす る に は一 定 の 証 拠 金 を
積 む こ と が 必 要 だ が 、 こ の 証 拠 金 は 長 期 国 債 で 額 面 の3%、
超 長 期 国 債 で4.5%で
良 い 。 つ ま り 、 長 期 債 の 場 合 だ と現 物 債 に 投 資 す る よ り約33倍 の 取 引 が 可 能 な の で
あ る 。 銀 行 や 証 券 会 社 は値 ザ ヤ 稼 ぎ の 手 段 と して 、 先 物 の短 期 的 な 売 買 を活 発 に 行
な つ て い る。 先 物 は元 手 の数 倍 の取 引 が で き る うえ 、 現 物 市 場 と比 べ て 流 動 性 も 高
い の で 、 サ ヤ 取 り の 場 と し て 適 し て い る と 考 え ら れ る 。 ア ビ トラ ー ジ と は 割 安 な 現
物 を買 う と同 時 に割 高 な 先 物 を売 る と い っ た金 利 の 裁 定 取 引 で あ る 。 債 券 市 場 で は
現 物 と先 物 の 価 格 差 が 大 き く離 れ た と き に 裁 定 取 引 が 可 能 で あ る 。 ス プ レ ッ ドは 月
間 の価 格 差 を利 用 す る裁 定 取 引 で あ る 。
2オ
プ シ ョン取 引 の 仕 組 み
オ プ シ ョ ン 取 引 と は 定 義 的 に 言 う と 「あ る 特 定 の 金 融 商 品 に つ い て 、 あ ら か じ め
約 定 し た 価 格 で 『買 う 権 利 』 ま た は 『売 る 権 利 』 を 売 買 す る も の だ が 、 そ の 権 利 は
将 来 の 特 定 した 日 まで に行 使 し得 る契 約 」 とい う こ と で あ る 。 こ の買 う権 利 を コ ー
ル ・オ プ シ ョ ン 、 売 る 権 利 を プ ッ ト ・オ プ シ ョ ン と い う 。 簡 単 に 取 引 の 事 例 を 示 し
てみ る。
ア メ リ カ 入 が 日本 円 の 現 物 オ プ シ ョ ン 取 引 を す る ケ ー ス を考 え る 。 当 日 の 相 場 が
132.94円/ド
ル で あ っ た とす る 。 今 、 権 利 行 使 価 格 が128.21円/ド
プ シ ョ ン を 買 い 、 プ レ ミ ア ム を0.33セ
ン ト支 払 っ た(権
ル の コ ー ル ・オ
利 行 使 価 格 とは 先 の定 義 の
な か の 「あ ら か じ め 約 定 した 価 格 」 、 プ レ ミ ァ ム と は オ プ シ ョ ン の 価 格 す な わ ち 購
一72一
入 料 の こ と を い う)。
も し 禦 約 期 間 内 に125.00円/ド
ル ま で 円 高 が 進 み 、権 利 を行
使 す る と 、 プ レ ミ ア ム を考 慮 し て も 利 益 が 得 ら れ る こ と に な る 。 こ の 時 オ プ シ ョ ン
の 売 手 に は契 約 履 行 の義 務 が あ り、 現 物 市 場 の 価 格 が 上 が れ ば上 が る ほ ど買 い手 の
利 益 は 膨 れ て ゆ き 、 売 手 の 損 失 は 大 き く な る 。 逆 に 、135.13円/ド
ル まで 価 格 が 下
が っ た と き は 、 権 利 を 行 使 す る と損 が 出 て し ま う の で 何 も 行 動 を 起 こ さ ず そ の ま ま
権 利 を 放 棄 す れ ば よ い 。 そ う す る と損 失 は プ レ ミ ア ム の み に 止 め る こ と が で き る 。
こ の点 が オ プ シ ョ ン の保 険機 能 に あ た る と ころ と い え よ う 。売 手 はプ レ ミア ム を そ
の ま ま取 得 す る 。
3先
物 ・オ プ シ ョ ン の 発 達
金 融 先 物 等 の登 場 は金 融 自 由化 と りわ け金 利 の 自 由化 に よ る と こ ろが 大 き い。 金
利 自由化 に よ っ て さ ま ざ まな リス ク が 高 ま っ て きた わ け だ が 、 高 度 成 長 期 に は金 融
機 関 を 中心 とす る企 業 グル ー プ に お いて 拡 散 さ れ て あ い ま いに され て き た 。 しか し
現 在 に お い て オ ー プ ン 市 場 の 発 達 か ら 、 自 己 責 任 に お い て リス ク を 負 担 す る 投 資 家
が 増 加 し て い き 、 今 ま で の リ ス ク 分 散 機 能 は 働 か な く な っ た 。 よ っ て 、 「自 己 責 任
型 」 と も い うべ き リス ク負 担 の 前 提 に た っ て、 よ り効 率 的 な リス ク負 担 配 分 機 構 が
期 待 され 、 リス ク を 自己 責 任 に お い て転 嫁 す る こ とが で き る金 融 先 物 等 が 発 達 して
い った の で あ る。
4日
本 の 金 融 先 物 ・オ プ シ ョ ン市 場
日本 の 金 融 先 物 、 株 価 指 数 先 物 は 巨 大 な 市 場 とな り つ つ あ る 。 日本 に は こ れ ら を
受 け 入 れ る 土 壌 が あ る と い う こ と で は あ る が 、 蓋 を 開 け て み る と 証 券 会 社 の 自己 売
買 が 高 く、 ま だ機 関 投 資 家 が 先 物 を本 格 的 に 使 う とい う段 階 に い た っ て い な い と い
う こ とで あ る 。 そ の 理 由 に 、 リス ク を積 極 的 に とる ロ ー カ ル ズ と い う よ う な 人 が い
な い こ とが あ げ られ 、 当面 そ の役 割 は証 券 会社 が 担 わ ざ る を え な いの が現 状 で あ ろ
う。
5先
物 ・オ プ シ ョ ン 取 引 の 会 計 処 理
金 融 先 物 ・オ プ シ ョ ン の 有 用 性 が 活 か さ れ る か ど う か は 会 計 制 度 の 問 題 も あ る 。
先 物 ・オ プ シ ョ ン 取 引 は 、 将 来 の 権 利 ・義 務 を 対 象 と し た 取 引 で あ り、 契 約 の 交 わ
され た 段 階 で は双 方 と も未 履 行 の た め 、 会 計 上 の 取 引 と して は認 識 され な い 。 先物
取 引 に お いて は委 託 証 拠 金 、 オ プ シ ョン取 引 に お い て は プ レ ミ ア ム 料 だ け を 契約 時
に支払 うという仕組 みで あるた め、当該取 引の総 額が資産 お よび 負債 と して貸借 対
照 表 に計 上 されな い。す なわち、 その取 引 における リスクが財務諸表 には十分 に表
示 され な いの である。
わが 国にお ける金 融先物取 引 に関す る会計指針 としては、 日本公認 会計 士協会 に
-73一
よ っ て1985年10月
に 公 表 さ れ た 「債 券 先 物 取 引 の 会 計 処 理 」 が あ る 。 こ れ に よ れ ば
先 物 取 引 損 益 の 認 識 基 準 と し て 、 ヘ ッ ジ 目 的 ・投 機 目 的 と い っ た 取 引 の 目 的 の 如 何
を問 わ ず 、一 律 に決 済 基 準 を採 用 し て い る 。 『
これ は わ が 国 に お いて は、 収 益 の 認 識
が 一般 に実 現 主 義 に基 づ い て行 な わ れ る た め と され る 。 決 済 基 準 に よれ ば決 済 時 点
ま で は 先 物 取 引 に か か わ る 損 益 は 認 識 さ れ な い こ と に な る(設
設例1決
1月20日6月
例1、2)。
済基 準 による処理
限 月 物 の 債 券 先 物10億 円 を 単 価g8円 で 買 い,委
託 証 拠 金3千
万 円を 支払 っ
た。
3月31日
決 算 日 現 在96円 に な った 。
4月30日
先 物 を 単 価99円 で 売 却 決 済 した 。
仕 訳(単
位:千
円)
1/20先
物 取 引 差 入 証 拠 金30,000現
3/31仕
訳
な
4/30現
金10,000先
現
先物 獺
益 一1・酬
所)田
フ バ
設例2決
・(96-98)__1_100△2千
ン ス 取 引
万円
の 会 計 』(同
文 舘
、1991年)156ペ
ー ジ 。
済基 準 による処理
保 有 国 債10億 円(単 価100円)の
円 で 売 り,委
3月31日
ラ
益10,000
万 円
在 の 含 み 損 益 一1・鮒
『オ
利
物 取 引 差 入 証 拠 金30,000
・(99-98)×1100-1千
中 建 二
2月10日
物
金30,000先
決 算 日(3/31)現
(出
金30,000
し
託 証 拠 金3千
値 下 が り を ヘ ッ ジす る た め に,先 物10億 円 を102
万Fjを 支 払 っ た 。
決 算 「1。国 債 の 現 物 の 時 価 は98円 で 先 物 の 時 価 は100円 で あ っ た(保
有 国債 の
評 価 は 低 価 法)。
4月20日
仕
訳(単
国 債 を 単 価97円 で 売 却 し,同
位:千
時 に 先 物 を 単 価99円 で 買 戻 し決 済 した 。
円)
2/10先
物 取 引 差 入 証 拠 金30,000現
3/31有
価 証 券 評 価 損20,000有
4/20現
・
金30,000
金970,000有
価
証
券20,000
価
証
券980,000
物
利
益30,000
イ1価 証 券'Jl;よ11払ユ10,000
現
金30,000先
現
金30,000先
物 取 引 差 入 証 拠 金30,000
現 物 の損 益
決
算
決
済f3(4/20)△1千
(出 所)同
日(3/31)△2千
先 物の 損益
ノノi`Jo△2千
万 円'3千
計
万11」
万 円2千
万円
上 書 、 同 ペ ー ジ。
オプ シ ョン取 引の会計処理 につ いては未 だほ とん ど整備 され てお らず、1988年4
月18日 付 けで、 日本公認 会計 士協会 会計制度委 員会研究報 告第4号1通
ー74一
貨 オプ シ ョ
ン 取 引 の 企 業 側 に お け る 会 計 処 理 と 表 示1が
公 表 さ れ て い る 程 度 で あ る(設 例3)。
これ に よ る と、 オ プ シ ョ ン取 引 の ヘ ッ ジ対 象 と な っ た 外 貨 建 取 引 お よび 外 貨 建 金 銭
債 権 債 務 の 換 算 は 通 常 の 会 計 処 理 を適 用 す る こ と と し 、支 払 つ た オ プ シ ョン料 は独
立 した 資 産 と して 計 上 す る こ と が要 求 され て い る。 資 産 と して 計 上 さ れ る オ プ シ ョ
ン料 に つ い て は 、 本 源 的 価 値 相 当 額 と 時 間 的 価 値 相 当 額 と に 区 分 計 算 し 、 前 者 に つ
い ては 権 利 料 と して 、後 者 に つ いて は前 払 費 用 と して 、 そ れ ぞ れ 資 産 計 上 す る こ と
と して い る 。
設 例3研
3/1ド
究 報 告 第4号
による会計処理
ル建売掛金100万 ドル(決 済 日5,月31日)のヘ ッジを行 うため,同 額の ドルの
プッ ト・オプションを購入 した。 ドル建売掛金の取得時 レー トは1ド ル=140円 で
あ り,通貨 オプシ ョンの内容は次のとお りである(便 宜上,実 行期限 と行使期 日の
区別 を省略)。
行使価格1ド ル・=138円,外貨金額1,000,000ドル,実 行期限5月31日,オ プショ
ン料4,000,000円,締 結 日の直物 レー ト1ドル=137円
3/31決
算fl,直 物 レー トは1ド ル=134円
5/31オ
プションの実行と売掛金の決済,直 物 レー トは1ド ル=131円
(i)区
分計 算法 の 場合
3/1前
払
費
用3,000,000預
金9,000,000
為 替 予 約 選 択 権1,000,000
(オ プ シ ョン 料 は 本 源 的 価 値{(138-137)×1,000,000=・1,000,000}と
(3,000,000)に
3/31為
替
差
時間 的価 値
区 分 さ れ る 。)
損'6,000,000売
掛
金6,000,000
(決 算 日 レ ー トで 換 算 替 え す る。)
為 替 予 約 選 択 権3,000,000為
替
差
益3,000,000
(本 源 的 価 値 の 増 加 分 を 計 上 す る。(138-134)×1,000,000=4,000,000)
為
替
差
損1,000>000前
払
費
用1,000,000
(時lllj的価 値 を 期 間 配 分 す る 。3,000,0Qo×1/3=1,000,000便
5/31預
宜 上 月 割 計 算)
金138,000,000売
掛
金134,000,000
為 替 予 約 選 択 権4,000,000
為
替
差}損2,000,000前
払
費
川2,000,000
(2)一 括 法 の場 合
3/1前
払
費
用
4,000,000
預
3/31為
替
差
損
s,ooo,ooa
売
損
1,333,000
前 払
為
5/31預
替
差
金
売
138,000,000
為
為 替 差 損
(出 所)前
掲 書 、!83ペ
ージ。
一75一
金
s,ooo,000
費 用
1,333,000
金
134,000,000
替 差 益
掛
4,000,000
前 払
2,667,000
4,000,000
掛
金
費 用
2,667,000
6問
題点
先 物 取 引 は 、 投 資 家 の リ ス ク ・ヘ ッ ジ の 手 段 と し て 活 発 に 利 用 さ れ 始 め た 。 し か
しそ の一 方 で 、 価 格 変 動 の危 険 を 引 き 受 け 、 あ わ よ くば儲 け よ う とす る投 資 家 も 盛
ん に先 物 取 引 を扱 う よ う に な った 。先 物 取 引 は わ ず か の証 拠 金 を積 む だ け で多 額 の
取 引 が で き る た め 、 資 産 の少 な い投 資 家 で も投 機 の 場 と して利 用 で き る。 した が っ
て 、 リ ス ク を 軽 視 し た 投 機 が 行 な わ れ る こ と も あ る 。1987年9月
ー カ ー の タテ ホ 化 学 工 業 が
、兵 庫 県 の 化 学 メ
、 債 券 先 物 取 引 を 中 心 と す る 資 産 運 用 で 、200億 円 近 い
損 失 を 出 し た こ と が 明 る み に 出 た 。 一 年 間 の 売 り上 げ が60億 円 程 度 の メ ー カ ー に は
巨 額 な 損 失 で あ る 。 し か し、1987年3月
末 の 財 務 諸 表 に は 差 入 保 証 金44億5,000万
円 が計 上 され て い る だ け で あ つ た 。 先 物 取 引 は利 益 も 大 き い代 わ りに見 込 み が 外 れ
た とき の 損 失 も また 大 き いの で あ る 。
IIコ
マ ー シ ヤ ル
・ペ ー パ ー
ワ ラ ン ト債 に よ る 資 金 調 達 の 他 に 、 短 期 で あ り 、 市 場 か ら 直 接 に 調 達 を 行 な う 直
接 金 融 方 式 の コ マ ー シ ャ ル ・ペ ー パ ー(CP)が
挙 げ られ る 。CPは
一種 の 無担 保
約 束 手 形 で あ るが そ の 性 質 の た め 、 発 行 適 格 基 準 を取 得 す る な ど、発 行 に 際 して厳
し い 条 件 の ク リ ア が 必 要 で あ り 、 発 行 会 社 は 約500社 余 り し か 認 め ら れ て い な か っ
た 。 しか し、 導 入 後 の た び か さ な る緩 和 措 置 に よ っ て 、 そ の 発 行 額 は飛 躍 的 に増 大
し て い っ た(図
表4-1)。
図 表4-1CPの
∫1・ 月
蜥
額
(億円)証
取徽
券(%)銀
発行額
関
発 行 会1上数
蜥
レー ト 馴
行(%)レ
プ ライム
ー ト
198?1110,935
51.3
48.7
29
3.750-4.277
3.375
198831:i,940
38.1
G1.9
31
3.689一
3.375
G21,7GG
33.2
GG.8
924,49S
21.3
'1'1
.5
78.7
3.813-4.230
3.375
3・1
4.440-5.27G
:3.375
77.5
44
4.0・19-4.719
3.a75
19.3
80.?
35
4.38G-5.OU:3
G43,15?
27.4
Tl.G
43
5.045-5.592
a.875
943,433
3G.?
G3.3
3a
5.ZGJ-S.833
a.875
1250,420
19.J
'la
.4
80.1
44
6.428-7.105
J.7J
7c.c
ci
7.034。7.894
7.125
I'LaG,035
ヨ989:341,760
1990356,335
(出 所)日
・4.189
4.25
本 銀 行 調 査 統 計 局 『経 済 統 計 月 報 』(1991年2月)89ペ
一76一
ー ジ。
金 融 機 関 のCP発
行 に お い て は 証 券 会 社 の み が 認 め ら れ て い る が 、 ダ イ レ ク ト発
行 禁 止 や 量 的 規 制 と い っ た条 件 付 で あ る 。 ま た 信 販 会 社 や リー ス 業 等 の い わ ゆ る ノ
ン バ ン ク に 対 し て はCP発
行 は禁 止 され て い る 。 銀 行 の 借 入 に大 き く依 存 せ ざ る を
え な い こ の業 種 に 属 す る企 業 の 資 金 調 達 の多 様 化 を促 進 す る意 味 に お い て も 、 是 非
こ れ を 前 向 き に 検 討 す べ き で あ ろ う 。 ま たCPに
業 倫 理 の 問 題 が あ る 。 こ れ は 、CPが
つ い て 取 り上 げ る べ き こ と に 、 企
突 発 的 に 必 要 とす る 資 金 の 調 達 手 段 と して は
手 ご ろ で あ り 、 銀 行 よ り も 借 入 率 が 低 い と い う 利 点 か ら 、CP発
行 に よ る 資 金 を利
率 の 高 い 自 由 金 利 商 品 に 預 け る 等 、 本 来 の 営 業 活 動 と は 異 な る 目的 で 運 用 し て い る
と い う も の で 、CPの
趣 旨 か ら 外 れ る も の で あ る 。 今 ま で 順 調 に 発 展 し て き たCP
で は あ る が 、 銀 行 のBIS規
制 とバ ブ ル 崩 壊 の 影 響 を 受 け て 最 近 は 発 行 が 難 し く な
っ て お り 、 今 後 ど の よ う に 推 移 し て い く か 注 目す べ き と こ ろ で あ る 。
図 表4-2銀
行 のCP買
い入れ残高
百 位 円
soa
427
1!f
芦
goo
0
700
701
2!S
:es
210
26t211
200
i
goo
toy
躍0!112/1Z3`S`789童0置111/i
量989軍'90年
(出 所)同
上 書 、89ペ
ー ジ。
_77
ノ
皿
結び
先 物 ・オ プ シ ョ ン やCPを
柱 と す る 様 々 な 新 金 融 商 品 は 外 部 か ら資 金 を 調 達 し 、
運 用 を す る こ と に よ つ て 利 ザ ヤ を 稼 い で い る 銀 行 に と っ て 切 り離 す こ と の で き な い
重 要 な も の で あ る 。 現 在 、BIS基
準 達 成 が 難 航 して い る 銀行 は 、 これ ら の金 融 商
品 は リ ス ク ウ エ イ トが 高 い の で 安 易 に 利 用 す る こ と は で き な く な っ て き て い る 。 特
に 先 物 ・オ プ シ ョ ン は 、 そ の リ ス ク 転 嫁 機 能 等 に よ っ て 、 銀 行 の 直 面 す る リ ス ク が
今 ま で の も の とは全 く異 な っ た 性 質 を も つ て き て い る の で 、新 た な リス ク管 理 が 重
大 に な る 。 ま た 、 先 物 ・オ プ シ ョ ン 取 引 が オ フ バ ラ ン ス で あ る と い う 点 で 、 現 在 の
デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー 制 度 の 不 備 か ら 、 銀 行 業 界 を一 層 不 透 明 な も の に し て い る 。 し
か し、 長期 的 に見 れ ば新 金 融 商 品 の発 展 は 、金 融 自 由化 の流 れ の 中 に あ る金 融 業 界
の み な らず 、 経 済 全 体 に とっ て も欠 く こ と の で き な い も の で あ り、 そ の ニ ー ズ に応
え る こ と は、 経 済 界 に お い て 重 要 な役 割 を 占め る 銀 行 の義 務 で も あ る と い え る 。 バ
ブル 崩 壊 後 の 困難 な 状 況 で あ る今 こ そ 、 適 切 か つ速 や か な解 決 策 を打 ち 出 し、経 済
全 体 の さ らな る 発展 を も りた て て い か な けれ ば な らな い で あ ろ う 。
一 ク8一
第5章
リスク管理について
銀 行 経 営 に お い て は リス ク の 管 理 が 非 常 に重 要 な 役 割 を果 た し て い る 。
信 用 リス ク、 流 動 性 リス ク 、 金 利 リス ク な ど か ぞ え あ げ る と か な り の数 に
の ぼ る0ま
た 、BIS規
制 に か か わ る リス ク の 管 理 も必 要 と な っ て く る 。
昨今 の金 融 シス テ ム の 国際化 に伴 い各 国 の 金 融機 関 が共 通 の基 準 に基 づ い
て 、 国 際 決 済 を 進 め て 行 こ う と す る動 き が 具 体 化 し た 。 つ ま り、BIS規
制 の 成 立 で あ る 。 自 己 資 本 の 充 実 に よ り、 安 定 し た 銀 行 経 営 を 目指 す と い
う の が 表 面 上 の 理 由 で あ る が 、 ど うや ら邦 銀 の オ ー バ ー プ レゼ ンス を 防 止
し よ う と い うの が そ の本 質 ら し い 。 しか し、 国 際 的 に取 り決 め られ 、 か っ
日本 も 同 意 した 以 上 、 邦 銀 各 行 は期 限 ま で に 自 己 資 本 の 充 実 を 果 た さ ね ば
な ら な い の だ が 、 非 常 に苦 慮 し て い る の が 現 実 で あ る 。 そ の 点 を 考 え る と、
邦 銀 各 行 に と っ てBIS規
制 は 一 つ の リス ク と言 っ て もい い の で は な い だ
ろ うか 。
そ こで 本 章 に お い て は 、 紙 幅 の 関 係 上 す べ て の リス ク に つ い そ 検 討 し、
そ の 管 理 手 法 を 述 べ る余 裕 は な い た め 、1に
お い て 、 リス ク 管 理 の 基 本 原
則 を取 り上 げ た 後 、 数 あ る リス ク の 中 で も銀 行 の 本 来 的 な リス ク で あ り、
銀 行 の倒 産 原 因 の 大 部 分 を 占 め る信 用 リス ク に つ い て 検 討 し、 そ の 具 体 的
な 管 理 手 法 を 紹 介 した い 。 そ して 、IIで はBIS規
制 とは いか な る もので
あ り、 具 体 的 に は 邦 銀 各 行 が い か な る対 策 を と っ て い け ば よ い の か を 考 え
て みた い。
1リ
ス ク管 理 の 概 論
1リ
ス ク管 理 の 基 本 原 則
金 融 機 関 は 当 局 の 厳 しい 規 制 を受 け て い た 時 代 に も信 用 リス ク と事 務 リ
ス ク の 正 確 な 把 握 と適 切 な 管 理 が 求 め ら れ て い た の で 、 こ の二 つ の リス ク
に対 す る管 理 の ノ ウハ ウ は か な り蓄 積 さ れ て い る 。 しか し、 今 日で は 業 務
形 態 の 変 化 や 規 制 の 大 幅 な緩 和 に伴 い 、 伝 統 的 な リス ク の 認 識 が 怪 し く な っ
一79一
て き て い る 。 ベ ンチ ャ ー企 業 や 不 動 産 会 社 へ の 過 剰 な ま で の 融 資 は バ ブ ル
経 済 の 崩 壊 に よ って か な り の 焦 げ 付 き を 生 み 出 し、 つ い に は東 洋 信 用 金 庫
の 解 体 の ご と く、 事 実 上 戦 後 初 の 金 融 機 関 の 倒 産 と い う事 態 ま で もが 起 こ っ
て い る 。 こ う した 中 で 金 融 の 自 由 化 ・国 際 化 は 流 動 性 リス ク や 為 替 リス ク
な ど さ ま ざ ま な リス ク を顕 在 化 させ て い る 。 こ う し た リス ク を 正 確 に認 識
す る こ と こ そ が リス ク 管 理 の 第 一 歩 と言 え る 。
リス ク を正 確 に 認 識 す れ ば 、 次 に リス ク管 理 体 制 を 確 立 しな け れ ば な ら
な い 。 人 材 の 育 成 と組 織 の 充 実 は リス ク管 理 体 制 の 最 重 点 項 目で あ ろ う 。
ま ず 、 規 制 時 代 と は 異 な り、 金 利 が 常 に変 動 す る こ と を 認 識 させ 、 金 利 マ
イ ン ドの 旺 盛 な 人 材 を養 成 す る 必 要 が あ る 。 ま た 、 コ ン ピ ュ ー タ ・シ ス テ
ム に よ る 管 理 と相 互 チ ェ ッ ク機 能 を確 立 す る こ と に よ っ て 組 織 的 に リス ク
を 管 理 して い か な け れ ば な ら な い 。
こ う した リス ク管 理 体 制 が 整 え ば 、 実 際 に リス ク管 理 を 行 って い く こ と
に な る の だ が 、 そ の手 法 は 大 き く分 け て 、 リス ク の 分 散 、 リス ク の ヘ ッ ジ、
リ ス ク テ イ ク の 制 限 、 リス ク の 圧 縮 、 と い う四 っ の 手 法 が あ る 。
ま ず 、 リス ク の 分 散 に つ い て 述 べ て い く。 特 定 企 業 ・特 定 業 種 へ の 貸 出
集 中 や 特 定 有 価 証 券 へ の 集 中 運 用 は 経 営 の 健 全 性 を 損 な うお そ れ が あ る た
め 、 しか る べ き基 準 に よ っ て 抑 制 さ れ な け れ ば な ら な い 。 ま た 、 特 定 の 情
報 の み を 鵜 呑 み に す る の で は な く、 情 報 の 多 元 化 を 図 る の も広 義 の リス ク
分 散 と言 え る。 い ず れ にせ よ 、"特
定"に
依 存 しな い こ と が 肝 要 で あ る 。
リス ク の ヘ ッ ジ に つ い て は 、 典 型 的 な 手 法 は 信 用 リス ク 回 避 の た め の 担
保 保 証 の 確 保 で あ ろ う。 こ こで は 金 利 リス ク の ヘ ッ ジ に つ い て 見 て み る 。
短 期 の 付 利 方 法 と し て は 、 調 達 金 利 に 一 定 の 利 ザ ヤ を上 乗 せ し て貸 し出 す
ス プ レ ッ ド方 式 が 普 及 して お り、 調 達 方 法 の 大 部 分 を 占 め る短 期 調 達 に 長
期 固 定 金 利 運 用 を 組 み 合 わ せ る の は リス ク が 大 き い の で 、 短 期 調 達 資 金 に
は長期 変 動 金 利 運 用 を組 み合 わせ るの が有 効 で あ る。 また、 イ ンターバ ン
ク市 場 で の 円 一 円 金 利 ス ワ ッ プ も厚 み を 増 し て い る 。 価 格 変 動 リス ク に つ
い て は 金 融 先 物 取 引 や 証 券 オ プ シ ョ ン取 引 が リス ク ・ヘ ッ ジ手 段 と な ろ う。
次 に 、 リス ク テ イ ク の 制 限 で は 、 損 失 を 被 った 場 合 で も、 そ れ が 一 定 の
一80一
範 囲 内 に収 ま る よ う に ㍉ 各 企 業 ・各 業 種 別 に 上 限 枠 を設 定 し、 損 失 の 増 大
を 抑 制 す る必 要 が あ る 。 損 失 が 一 定 の 割 合 に 達 す る と 自動 的 に損 切 り し て
引 き 上 げ る ロ ス カ ッ トル ー ル の 導 入 が 有 効 で あ る 。
最 後 に リス ク の 圧 縮 に つ い て 述 べ て お く と 、 リス ク 資 産 自体 を 処 分 す る
こ と に よ っ て リス ク の 圧 縮 を 図 る 場 合 も あ る 。 例 え ば住 宅 ロ ー ン債 権 の 流
動 化 が 挙 げ られ る だ ろ う。
2信
用 リス ク の 性 格 と そ の管 理 手 法
信 用 リス ク と は 、 信 用 供 与 が 約 定 通 り返 済 さ れ な く な る リス ク を指 し、
金 融 機 関 が 誕 生 した と き か ら存 在 す る本 来 的 な リス ク で あ る 。 信 用 リス ク
の 場 合 、 そ の 性 格 上 リス ク管 理 の ノ ウ ハ ウ は か な り蓄 積 さ れ て い る の だ が 、
近 年 の 自 由 化 ・国 際 化 の 波 の 中 で さ ら に 高 度 な 管 理 手 法 が 求 め ら れ て い る
の が現 状 で あ る。
で は 、 銀 行 は信 用 リス ク に対 して い か に 対 処 し、 そ れ を 管 理 して 行 け ば
よ い の だ ろ うか 。 国 内 与 信 リス ク と海 外 与 信 リス ク の 二 つ に分 け て 検 討 し
てみ る。
ま ず 、 国 内 与 信 リス ク に 対 して は 、 情 報 収 集 に よ っ て 取 引 先 の 事 業 計 画
や 資 金 使 途 の 厳 格 な事 前 審 査 を行 い 、 取 引 開 始 後 は 定 期 的 に取 引 先 の 財 務
内 容 や 資 金 使 途 等 の調 査 を 行 い 、 中 間 管 理 を 徹 底 さ せ る必 要 が あ る。 しか
し、 これ らの 二 っ の ポ イ ン トを 押 さ え る こ と に よ っ て 貸 し倒 れ が 完 全 に 回
避 で き る とは 限 らな い。債 権 保 全 を 図 るた め に事前 審査 段 階で の担 保 の実
査 、 与 信 実 行 後 の 定 期 的 な担 保 評 価 の 洗 い 直 し を 徹 底 しな けれ ば な ら な い 。
ま た 、 融 資 規 律 の 厳 守 や 金 融 取 引 の 多 様 化 ・複 雑 化 に伴 う コ ン ピ ュ ー タ ・
シ ス テ ム ・サ ポ ー ト体 制 の 確 立 も重 要 な ポ イ ン トで あ る 。
海 外 与 信 リス ク に 対 して は 、 国 内 与 信 リス ク の 場 合 と 同 じ五 っ の ポ イ ン
トの 他 に カ ン ト リー ・ リス ク へ の 対 処 が 追 加 さ れ る。 与 信 先 が 海 外 の 場 合 、
そ の 国 の 外 貨 事 情 や 政 治 経 済 状 況 の 影 響 に よ っ て 、 元 利 の 支 払 い が 滞 る可
能 性 が あ る 。 こ の カ ン ト リー ・ リス ク に対 処 す る た め に は 、 海 外 に 審 査 グ
ル ー プ を 常 駐 さ せ た り 、 現 地 採 用 ス タ ッ フ の 増 員 を 行 って 、 独 自 の 情 報 収
一81一
集体 制 を整 え な けれ ば な らな い。 そ の他 、 国際金 融 情 報 セ ンター の活 用等
に よ っ て 、 国 別 格 付 け の 整 備 と そ の 定 期 的 な見 直 し 図 る の も有 効 で あ る 。
ま た 、 債 務 累 積 国 向 け 債 権 は 貸 し倒 れ の 危 険 度 が 極 め て 高 い の で 、 特 定 海
外 債 権 引 当 金 の 十 分 な積 み 立 て が 必 要 で あ る 。
一82一
π 自己資本比率規制
1自
己資 本比 率 規 剃
金融 機 関 の 自由化 ・グa一 バ ル 化 が急 速に進 展 した こ と をきっ か けに して、BIS
ば国際 業 務 を広 く営 む銀 行 の健 全 性 と安 定性 の強化 、 銀行 間 の 国際 的 な競争 条 件 の平
等化 を図 る こと を 目指 して 国際 統 一基 準 を設 けたnこ の基 準 は Y自 己資 本 を充実 し、
.
資産 規 模 の一 定以 上 の 自己資 本 を有す る こ とを求 めた金 融 行政 上 の規 制 で あ り、わ が
国で は海 外 営 業 拠点 を有 す る金 融機 関 が この 基準 に沿 って
r`L年度 末 まで に8%以
上
の比 率 を達 成す る こ と を求 め られ て い る(図 表1)。
図表1自
己資 本比 率 に係 る国際 的続 一化 フ レー ム ワー ク
項
目
資
基 本 的 項 .目
・
本
勘
定
補 完 的 項 目 か らの 算 入 額
計(A〕
有 価 証 券 含 み 益 の45%相
当額
貸倒 引当金(債 権償却 特別 勘定 を除 く)
そ
の 他
別
に 定
め
る
も の
補 完 的 項 目
基 本 的 項 目 へ の 算 入 額
計
う ち 自 己 資 本 へ の 算 入 額(B)
控
除
項
目
自 己
資
本
銀行相互 間 の資本調達手 段 の(C}j
意 図的な持 ち合 い相 当額
,(A)+.(Bン
資 産(オ
リス クア セ ッ ト
ー(C)(D
ン ・ バ ラ ン ス)項
オ フ ・バ ラ ン ス 取 引 項
目
目
計(E)
自己資本比 率(国 際統 一基準)書
(出所)伊
藤邦男
×1・・
男 ・醍 醐
「銀 行 デ ィス ク ロ ー ジ ャー の 実 践 状 況 と今 後 の 課 題 」
聰 ・田 中 建 二 編r現
代 の 企 業 決 算 』(中
40ペ ー ジ 。
一83一
伊藤 邦
央 経 済 社 、1991年)
で は、 なぜ 自 己資 本比 率 が重 規され て い るの か と いえ ば、 自己資 本 には、(1>金 利
k ク ・流動 性 リ スクな ど諸 リス クの顕現 化 に対 す るバ ッ フ ァー で あ る こと、 〈/}支
1ス
払 能力 に対す る繕用 力 の 向上 を薦 る こと、(3>預 金 者 を保 護す る こ と、 紛 営業 に必 要
な固定 資 産等 の取 得 資金 とな る こと、15)無 コ ス ト資 金 と して収 益 力強化 に貢 献す る
こと、 な ど といっ た役翻 があ る か らで あ る.
自 己資 本 は基本 的項:目と補完 的 項 目に分 かれ 、基本 的項:目は資 本勘 定 、連 結子 会 社
の少 数 株主 持分 に、補 完 的項 目は再評 価 準 備金 、貸 働引 当金 、負 債性 資本 調達手 段 、
期 限 付劣 後 ・債
等 にそ れぞ れ分 かれ る。資 本 勘定 は、連 結貸 借 対照 表 上の資本 金 、資 本
準備金
利 益準 備 金 、 その他 の剃 余 金 、非 累積 配 当型 優 先株 式 の合 謝額 か ら、 自 己株
式 お よび 子会 社 が保有 す る親 会 袖 株式 を控 除 した額 の こ とで あ る。 また、 再評 価準 備
金 の主 た る項 目は有価 証 券 の含 み益 の45巽 相 当額 で あ り、貸 倒 引 当金 は一般 貸倒 引 当
金 、特 定海 外債 権 引当勘 定お よび これ らに準ず る会社 の貸 劉引当金 を指 し、負 債性 資
本 調達 手 段 と して は累積 配 当型 優 先株 、永 久 劣後 債 等 が あげ られ る 。
2我
が国金融 機 関 の対 応
自 己資 本比 率8%以
上 を達 成す るた め にはト 比率 の分子 とな る 自己資本 自体 を増資
または 内部留 保 の充実 等 を通 じて高 め る か、 あ るい は、分 母 とな る資産 の伸 び そ のも
の を挿髄 して資 産 の リス ク ウ__ト
を低 下 させ る か、 の どち らか を選 択 しな けれ ばな
らない で あ ろ う。
自己資 本 の 充実 方 法 には 、(1>新 株 、転 換 社債 、新 株 引受 権付 社債 の発行 のほ か 、
〈2>優
先 株 式 の発 行 、(3>劣 後 債 の発 行 な ど があげ られ、特 に(3>は 、BIS規
制対 策
と して1990年 に 国内 での劣 後 ロー ンの取 り入 れ、海外 現地 法 人に よる劣後 保 証債 の発
行 等 が解 禁 され たも ので 、1992年 には劣 後転 換 社債 の発行 が解禁 され る。
また 、資 産 管理 で はROAの
引 き上 げ が重 視 され る 。そ れは 、 自 己資 本比 率 を図表
2の よ うに式 変形 を行 った とき、分 母 で あ るROEを
引 き下 げ る ことに よって も 自己
資本 比 率 をあげ る こ とは可能 だ が、増資 を行 って 自 己資 本 の強化 を図 ろ う とす る とき
に投 資 の 目安 とな るROEを
以下 の よ うなROAを
引 き下 げ た ので は 、蔚心 の増 資 が困難 にな る.従 っ て 、
引 き上 げ る方 策 を考 えな けれ ば な らな い。
まず 、新 短 期プ ライ ム レー トを導 入 して 自 己の平 均的 な資 金調達 利
…回 りをベー スに
各 行 が独 自に利 ザ ヤ を決 定 し、金 利 設定 を高 め に して 、利 ザヤ を確 実 に か せ ぐ ことが
一84一
有効 で あ ろ う。次 に、入 員 の大 幅 削減 、CD化
、ATM化
を行 って 経費 の節減 を図 る
と とも に、 そL)IJを
プル に活 用す るに足 る業 容規 模 の拡大 が必要 で あ る。 そ して、 収 益
管理 法 を精 緻 化 して アセ ッ トの リス ク を即 座 に算 出 しうるシ ステ ム を備 え、現 場 の取
引 に利 用す る こ とが求 め られ る.さ らにS資 産 の伸 び を抑 剃す る こと を考 えて 各行 は
貸 出 の挿 制 を行 っ て い るが、 これ はバ ブ ル崩 壊後 の景 気回復 とい う側 面 か ら見れ ば 望
ま しい とば言 えな い 。最 後 にS短 期で 資金 調 達 を行 い相 対 的 に高金 利 の長 期 貫出 を推
進 す る ことに よっ て採算 重 視 の資産 配 分 を行 う こと が考 え られ る が1こ れ もバ ブル 崩
壊 によ り高金 利 の貸 出 が難 しく、 金:利の 自由化 によ り資金 調 達 コス トカえ
上昇 した ため
に それ ほ ど 有効 な手 段 とは言 え ない 。
図表2
自 己資 本
自
自 己資 本
己資 本 比率==== 総 資産
収益
収益
総 資産
総資 産ROA
収益
収益
3今
ROE
自 己資本
後 の課 題
都 市銀 行 と長 期 信用 銀 行合 計14行 は、 そ ろって1992年9月 末 でBISの
自己資 本 比
率 規 制 を達 成 した。 これ は、 株価 低迷 で 増資 が スzッ プす る中で 期 限付 劣後 債 を中心
とす る劣 後 債 の取 り入 れ が行 われ 、 円相 場 の上 昇 に よ り海 外資産 の リス クが減少 した
た めで あ る。
しか し、 目先 の 自 己資 本比 率8%達
成 で 一億 つ いて い るよ うで は、長 期 的 には問 題
が残 る.た しかに、一一
時 的 には 自己資本 比 率 が8^iaを 上 回 った か も しれ な い 爪
それ
も劣後 債 と株 式 の含 み益 に頼 る とこ ろが大 きい 。 その ため、 劣後 債 につ いて は、生 保
な どの機関 投資 家 の 引 き受 け を取 り付 け るの に金 利 が 一般 のも の よ りも高 く設定 され
て お り、収 益 の圧 迫要 因 となっ て い る。 また 、邦銀 は欧 米 の金融機 関 とは異 な り、 自
己資 本 に占め る株 式含 み 益 の比 重 が高 い ため株 価 の相 場 に 自己資本 比率 が左右 され る
な ど問題 が多 い 。
さ らに、 自 己資 本比 率 の 引 き上 げも考 え られ 、実際 の と ころ米で はFD工C王A(
米連 邦預 金 保 険公 社改 革 法案)が 自 己資 本 比 率 を10%以 上 をr良5tT-J、8%以
適1、8%未
比 率 が2%以
満を 「
資 本不 足 」 、6%未
上を ギ
満を 「
大幅 な不足1、 基 本的 資 本 ・総 資産
下を 罫
危 機 的 な不足 」 とrhV段階 に分 けてr国 内で の業 務展 開 の規 制 に差
一85一
をつ ける とい う新基 準 があ る。 これ が、 今年 度末 にも米 金 融 当局 によっ て適用 され よ
うとLて お り、BrlSで
も これ をベー ス に した移 行 措置 が考 え られ、8%ぎ
邦銀 に とっ て は厳 しい状 祝 に変 化 は な い。 さ らに、BエSは
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信 用 リス クのみ凌 考 慮す
る現在 の 自 己資本 比 率 に次 いで 、為 替、金 利 な どの市場 リス ク を加 味 した新 た な規制
を導 入す る方 向で各 国 との'調整 に入 って い る。
これ らの問 題 を考 慮 して 、邦 銀 が今 まで の よ うに グ ロー バル な金 融取 引 を展 開 し続
け るた め には、 まず 市場 変 動で 健 全性 が揺 ら く現 在 の状 況 か ら脱却 す る必要 が あ り、
さ らに、 オー バー ロー ンに象徴 され る量的 貸 出政 策 を改 め 、質 的貸 出政 策 に転 換 して
少 しで も ア セ ッ トの リス ク を低 下させ るタ うに努 めな けれ ば な らな い。 そ して、最 も
優 先 さ崩.なけれ ば な らな いの は、資 本 金 の増加 を図 る ことで 自 己資 本 を安定 させ る こ
とで あ ろ う。
一86一
三和銀行
(貸 借 対 照 表)
1988年 か ら1992年 の5年
間 は 、 大 き な 金 利 変 動 や 金 融 自由 化 の進 展 、 バ ブ ル 経 済 と
そ の崩 壊 な ど、 銀 行 に と っ て環 境 が め ま ぐ る し く変 化 した期 間 で あ った 。 三 和 銀 行 の
貸 借 対 照 表 の合 計 額 を 見 る 限 りで は、 そ の 影 響 を 大 き く受 け た わ け で は な い よ うだ が
あ る 程 度 は 反 映 して い る と い え よ う 。
ま ず 、 資 産 の 部 で は 、 コー ル ロ ー ン の減 少 が 著 し いの が わ か る。 そ れ に対 して 負 債
の 部 の コ ー ル マ ネ ー の 方 は5年
間 で 約2倍
に 増 え て い る 。 こ れ は都 銀 の 資 金 不 足 、 地
銀 の 資 金 余 剰 とい う現 象 を 反 映 して い る とい え る 。
損 益 計 算 書 に お いて も 、 当然 コ ー ル
ロ ー ン利 息 の減 少 と コ ール マ ネ ー利 息
図 表6-2コ
ール マ ネ ー 利 回 り
の増 加 が見 られ る わ け で あ る が 、 コ ー
ル マ ネ ー の 増 加 が 著 し か っ た1992年 度
1989年
1990年
1991年
1992年
4.02%
5.73%
7.76%
5.77%
に コ ー ル マ ネ ー 利 息 が 少 し減 少 し て い
る の は、 コ ー ル マ ネ ー の利 回 りが 下 が
っ た た め で あ り、 公 定 歩 合 引 き 下 げ の
影 響 を受 け て い る の が わ か る 。
コ ー ル レー トは ほ ぼ 公 定 歩 合 に合 わせ て 変 動 す るた め 、 コ ール マ ネ ー は金 利 自 由化
が 進 ん で い る 定 期 性 預 金 よ り も 調 達 コ ス トが 低 く 、 資 金 調 達 手 段 と し て 、 そ の 額 を 増
や そ う と して い る の で はな い だ ろ うか 。
次 に 、 貸 出金 を見 る と、 そ の伸 び は順 調 で あ る と い え る 。 中小 企 業 や 個 人 向 け貸 し
出 し に も 力 を 注 い で い る こ と の あ ら わ れ で あ ろ う 。1990年
か ら1991年 に か け て の 金 融
引 き 締 め 政 策 に よ り金 利 が 上 昇 し た た
め 、 貸 出 金 利 回 り も 上 昇 し(図
3)、
表6-
図 表6-3貸
出金 利 回 り
損 益 計 算 書 の貸 出 金 利 息 も そ こ
で 大 き く 伸 び て い る 。 と こ ろ が 、1991
1989年
1990年
1991年
1992年
4.97%
5.96%
8.07%
7.51%
年 か ら1992年 に か け て は 、 金 利 低 下 に
よ り貸 出 金 利 回 り が 低 下 し て い る に も
か か わ ら ず 、 貸 出 金 利 息 は さ ほ ど減
少 して いな い 。 これ は 、 金 利 の低 下 分
を 貸 出 量 の 増 加 に よ り補 っ た も の と 思 わ れ る 。
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預 金 を 見 る と 、 譲 渡 性 預 金 や コ ー ル マ ネ ー の 増 加 に お さ れ た た め か 、1992年
の 部 合 計 の 趨 勢 比137.88に
比 べ て125.78と
の負債
伸 び が 小 さ い 。 しか し、 預 金 の 内 訳 に注 目
す る と、 定 期 預 金 は 負 債 の 部 合 計 よ り も大 き な 伸 び を 見 せ て いる の が わ か る。 特 に 、
1990年 度 に 大 き な 増 加 が 見 ら れ る が 、 こ の 原 因 は 市 場 金 利 連 動 型 定 期 預 金 と 自 由 金 利
定 期 預 金 の 増 加 に あ る(図
1989年6.月
MMCの
表6-4)。
の小 口
創設、10月
図表6-4定
期 預金 の 内訳
(単位
百万 円)
の大 口定期 預金最低
預 入金額 の引 き下 げ
期日齪 趨 預金
暢 金利連鯉 預金
暢鋪翻型
の結果 であ ろう。な
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定期預金
市場
金利 連動型 定期 預金
が小 口MMCに
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1990年
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5,3!2,697
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るもので ある。損益
210,292
1,323,429
10,045,582
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計算書 の預金利 息 を
みても1990年 度 に大
き く増 え て お り 、 金 利 の 高 い 定 期 預 金 に よ っ て 資 金 調 達 を 行 な う よ う に な っ て き た た
め で あ る こ とが わ か る 。
資 本 金 と資 本 準 備 金 を 見 る と 、1989年 度 か ら2年
の 間 に大 き く増 加 し、 そ の後 は あ
ま り増 加 し て い な い 。 こ の 増 資 は ほ と ん ど が 転 換 社 債 の 転 換 に よ る も の で あ り 、 バ ブ
ル と そ の崩 壊 が こ こで は っ き りあ らわ れ て い る。
(損 益 計 算 書)
1989年 か ら は 減 益 の 傾 向 が 見 ら れ る 。 ま た 、 経 常 費 用 の 伸 び が 経 常 収 益 の 伸 び を 上
回 った の は 、 金 利 低 下 に よ り貸 出金 利 息 が 伸 び な い一 方 で 、 自由 金 利 の定 期 預 金 の増
加 に よ り預 金 利 息 が 増 加 し た こ と が 主 な 原 因 で あ ろ う 。
資 金 運 用 収 益 で は 有 価 証 券 利 息 配 当金 が 年 々減 少 し て き て い る 。 これ は 、 高 利 回 り
の 国 債 等 が 次 々 に 償 還 さ れ 、 現 在 手 も と に あ る 有 価 証 券 は 低 利 回 り の も の に な り、 全
体 と し て の 利 回 リが 下 が っ た た め で あ る と 思 わ れ る(図
次 に 、 株 式 等 売 却 益 に つ い て 見 る 。!989年
表5-5)。
度 ま で は 「株 式 等 売 却 益 」 と い う 項 目が
な か っ た た め 、 詳 し い 金 額 は 不 明 で あ る が 、1990年 度 か ら後 を 見 る と 、 「そ の 他 経 常
収 益 」 の ほ と ん ど を 株 式 等 売 却 益 が 占 め て い る の で 、 そ れ 以 前 も 同 様 で あ る と考 え て
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良 い で あ ろ う 。 そ う す る と 、1991年
図表6-5有
度
価証 券利 回 り
か ら1992年 度 に か け て 売 却 益 が 減 少 し
て い る の が わ か る。 バ ブ ル 崩 壊 に よ る
1989年
1990年
1991年
1992年
5.21%
4.27%
3.55%
3.54%
株 価 下 落 の影 響 が あ らわ れ て い る た め
と思 わ れ る 。
ま た 、 そ の 他 の 経 常 費 用 が1992年
度
に大 き く増 加 し て い る が 、 株 式 の 含 み
損 の に よ る も の が ほ とん ど で 、 こ こ に も バ ブル 崩 壊 が あ らわ れ て い る。
(ま とめ)
金融業界 にお ける大 きな環境 変化 の影 響 は損益 計算書 によ くあ らわれ ている といえ
る。貸借対 照表 にも部分的 に見 る と影 響 を受 けて いるのがわか るが、総額 には ほ とん
ど影響 はな く、三和 銀行 のス トックの大 きさが うかが える。
(東洋信用金 庫の救済合 併 について)
大阪 の料 亭経営者 が、株 式投 資資金 を銀行 や ノ ンバ ンクか ら借 り入れ るため に東洋
信金 の支店 長 と共謀 して東洋信 金 の預 金証書 を偽造 し、それ を担保 に差 し入 れ ていた
事件が 、1991年8月13日
に発覚 した。 これ が引き金 とな り東洋信 金 は2520億 円 の債務
をかか え、経営危機 に陥 った。三和銀 行 は役 員派遣な どの面 で東 洋信金 を支 援 してき
た こ とか ら、 当初大蔵 省 ・日銀か ら丸 ごと吸 収合 併 を求め られ て いたが 、三和銀行 は
それ に応 じず、分割整 理 という案 でよ うや く了解 した 。1992年4月28日
に決 定 され た
分割整理 の枠組 みは次 の とお りで ある。
① 店舗 の うち25店 舗 と従 業員、取 引先 を大 阪府下 の信 金 に分割 譲渡す る。
② 残 り5店 舗 に縮 小 した東洋信金 を三和銀 行が吸収合 併す る。
③預金保 険機構 は三和銀 行に約200億 円 を贈与 す る。
④架 空預 金 を担保 に した 日本興 業銀行 と富 士銀行 は70%、
ノンバ ンクは45%の 債 権
を放 棄す る(合 わせ て1220億 円の放棄 とな る)。
⑤ 日本 興業銀行 と全 国信 用金庫連合 会が10年 間 にわた って三和 銀行 に低 金利融資 を
行 う(こ れ に よ り三和 銀行 は 日本興業 銀行か ら合 計約500億 円、全国信 用金庫 連
合 会か ら約100億 円の利益 を供与 され る といわれ ている)。
三和銀行 が負担 す るこ とにな るのは、東洋信 金の資産処 分 を しても不 足する800億 円
である。な お。今 回の財務 諸表 には まだ その数値 はあ らわれ な い。 かな りの債務 を負
担す る ことにな るた め、今 後少な か らず影響 を受 けるの ではな いか と思 われ る。
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るが 、1990年 を境 に減 少 傾 向 に あ る こ と が 分 か る 。 こ れ は 、 こ の 間 の大 き な 金 利 変 動
や 金 融 自 由 化 の 進 展 、 バ ブ ル 経 済 と そ の 崩 壊 な ど 、 銀 行 を め ぐ る環 境 の 劇 的 な 変 化 を
リア ル に反 映 し た もの と言 え る 。 以 下 、 特 徴 点 を 見 て い く。
ま ず 資 産 の 部 を 見 る と、 有 価 証 券 が 、1990年 を 境 に減 少 して い る も の の 、 趨 勢 比 が
100か ら152.44へ
と増 加 して い る の が 分 か る 。 と りわ け 、 株 式 が100か ら212.18へ
と顕
著 な 伸 び を 示 して い る 。 これ は 言 うま で もな く、 バ ブ ル 成 長 期 の 株 価 急 騰 の 影 響 で あ
る。 た だ し、 こ こ2年
ほ ど の 株 価 低 迷 に よ り簿 価 と時 価 が 大 き くか け 離 れ て い て 、 実
際 上 の 資 産 価 値 は も っ と低 い の だ と い う こ と を 注 意 し な け れ ば な らな い 。
貸 出 金 も堅 調 な 伸 び を 示 して 、 こ の5年
これ は 、 こ こ5年
間 で 趨 勢 比 は100か ら135.62と な って い る。
ほ ど の 、 大 企 業 よ り も 中 小 企 業 や 個 人 へ の 貸 し出 しを 積 極 的 に 行 っ
て 大 幅 に 伸 ば した こ との あ ら わ れ で あ る。 損 益 計 算 書 の 貸 出 金 利 息 も、1991年 ま で は
か な り大 き な 伸 び を 示 して い る。 これ は ち ょ う ど金 融 引 き締 め 政 策 に よ り金 利 が 大 き
く上 昇 した 時 期 で あ る(図 表6-1「 貸 出 金 利 回 り の 推 移 」 参 照)。
しか し、 金 利 が 低
下 した1991年 か ら1992年 に か けて 貸 出金 利 息 は わ ず か な 減 少 に と ど ま って お り、 こ こ
で も、 貸 出 金 が 確 実 に増 加 して い る こ とが よ くあ ら わ れ て い る。
図 表6-1貸
出金 利 回 りの推 移
次 に、負債 および資本の部 に移 る。預金
は、常に負債全体の約7割 を 占めて いるが、
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期預金 が伸 びて いるのが分か る。 これ は、
ここ数年 間の、MMCの
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き下 げをは じめとす る金融商品の 自由化、
預金金利 の 自由化 に伴 って、定期預金が増
加 した も の と考 え られ る。 ま た 、 譲 渡 性 預 金 や コ ー ル マ ネ ー で の 積 極 的 な 資 金 調 達 も
な さ れ て い る こ と が 分 か る(譲 渡 性 預 金 …100→170.68、
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資 本 に つ い て は 、 資 本 金 ・資 本 準 備 金 と も、 そ れ ぞ れ 、100→221.88、100→365.04
へ と大 幅 な増 加 を 示 して い る 。 特 に 、 い ず れ も1988年 か ら1990年 に か け て の 伸 び が 著
しい 。 これ は言 う ま で も な く、 バ ブ ル 成 長 期 に お け る大 幅 な 増 資 と そ の 後 の バ ブ ル 崩
壊 後 の 停 滞 を 表 し た もの で あ り、 バ ブ ル 期 に は か な りの 規 模 で 転 換 社 債 の転 換 が お こ
な わ れ た と い う こ とが こ こ に あ らわ れ て い る。
皿 損益計算書 について
経 常 収 益 は 、1988年 以 来 こ の5年
間 全 体 で は3割 強 増 加 して い る が 、 こ こ数 年 は 減
少 して い る 。 これ は 、 何 よ り も、1990年 以 降 の 株 価 急 落 に よ る株 式 等 売 却 益 の 大 幅 減
が 大 き い 。 ま た 、 コ ー ル ロ ー ン利 息 が1992年3月
期 で 大 幅 に減 少 した こ と、 預 け金 利
息 が 同 じ く この 時 期 に 大 幅 に減 少 した こ と もあ げ ら れ る。 そ の 一 方 で 、 銀 行 の主 た る
営 業 活 動 の 成 果 と して あ らわ れ て く る貸 出 金 利 息 や 、 役 務 取 引 等 収 益 は伸 び て い る。
他 方 、 経 常 費 用 は、1991年 ま で は 増 加 傾 向 に あ っ た が 、1992年3月
期 の時 点 で や や
減 少 した 。1991年 ま で 増 加 を た ど った の は 、 公 定 歩 合 の 引 き上 げ 、 預 金 金 利 の 自 由 化
に 伴 い、 資 金 調 達 費 用 が 全 般 的 に 大 幅 な 伸 び を 示 した こ との あ らわ れ で あ る 。 著 しい
伸 び を 示 して い る の が 、 コ ー ル マ ネ ー利 息 、 借 用 金 利 息 で あ るが 、 資 金 調 達 費 用 の な
か で8割
前 後 を 占 め る に 至 っ た 預 金 利 息 は 、 大 き な 収 益 圧 迫 要 因 とな っ て い る 。
以 上 の 経 常 収 益 と経 常 費 用 と の 差 額 で あ る 経 常 利 益 は 、 経 常 費 用 の 伸 び が 経 常 収 益
の 伸 び を 上 回 って い る た め 、 低 下 して い る。 しか も、 年 々 低 下 して お り、 この5年
間
で100か ら37.50と な って い る 。
そ の他 、 注 目す べ き特 徴 と して 、 特 別 利 益 ・特 別 損 失 が 極 端 に増 加 して い る こ と
(特 別 利 益 …100→2719.3、
特 別 損 失 …106→402.43)、
当期 純利 益 や 当期 未 処 分 利益
金 が 滅 少 傾 向 に あ る こ とが 指 摘 さ れ る。 特 別 利 益 が こ れ ほ ど な伸 び を 示 した の は 、 経
常 利 益 の 落 ち 込 み を補 う た め に不 動 産 を 処 分 す る こ と に よ って 益 出 しを 図 っ た こ と に
よ るので は ないか と思 わ れ る。
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三菱銀行
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借 対 照 表 につ い て
貸 借 対 照 表 合 計 の 伸 び は 、 この5年
間 で 約1.3倍 と な っ て お り、 都 銀 上 位5
行 もほ ぼ 同 じ よ う な推 移 を 示 して い る 。
ま ず 資 産 の 部 か ら見 る と 、 現 金 預 け金 の 趨 勢 比 は100か ら92.95と な り、6200
億 円 ほ ど減 少 して い る 。 こ れ は バ ブ ル 経 済 期 に公 定 歩 合 が 低 か っ た こ とか ら 日
銀 へ の 預 け金 が 減 少 した の に 加 え 、 企 業 や 個 人 へ の 貸 し出 しが 積 極 的 に 行 わ れ
て 、 手 元 現 金 が 減 少 した た め と考 え ら れ る 。
コ ー ル ロ ー ン の趨 勢 比 は100か ら55.91と ほ ぼ 半 減 して い る が 、 コ ー ル レ ー ト
が プ ラ イ ム レー トと 同 じか 又 は わ ず か に高 い だ け で あ る の で 、 利 ザ ヤ が 稼 げ ず
減 少 に つ な が っ た もの と思 わ れ る。
有 価 証 券 の 趨 勢 比 は100か ら151。15と 大 き な伸 び を 示 し、 特 に バ ブ ル 経 済 を
反 映 して 、1989年3月
か ら1990年3月
に か け て 構 成 比 で0-75、 金 額 に して 約1
兆5000億 円 も増 加 し て い る 。 な か で も株 価 急 騰 に伴 う株 式 の 増 加 は 、 趨 勢 比 で
100か ら219.21へ 、 構 成 比 も1.5ポ イ ン ト上 昇 し 、 約1兆1500億
て い る 。 一 方 、 こ こ2年
円 と大 幅 に 伸 び
ほ ど の 株 価 低 迷 に よ り簿 価 と 時 価 が 大 き くか け は な れ
て い る た め 、 実 質 上 の 資 産 価 値 は も っ と低 く、BIS規
制 を に らむ と 、 株 式 含
み 益 の 減 少 や リス ク ウ ェ ー トの 増 加 な ど あ ま り効 果 は期 待 で き な い と思 わ れ る 。
貸 出 金 も順 調 な 伸 び を 示 して お り、 大 企 業 の み な らず 中 小 企 業 や 個 人 へ の 貸
し 出 しが 積 極 的 に 行 わ れ て 、 質 よ り も量 で 利 ザ ヤ を稼 ぐ と い う、 我 が 国 の 銀 行
の 特 徴 を 表 して い る。 預 貸 率 も75.67か ら79.78と そ れ ほ ど変 化 して お ら ず 、 預
金 が 主 た る源 泉 に な って い る と思 わ れ 、 健 全 な 経 営 が な さ れ て い る と考 え ら れ
る。
次 に 負 債 の 部 に 移 る。 預 金 全 体 と して み る と貸 借 対 照 表 合 計 と ほ ぼ パ ラ レル
な 伸 び を 示 して お り、 順 調 な伸 び を示 して い る と い え る 。 普 通 預 金 、 通 知 預 金
の 伸 び が さ え な い の に 対 して 、 当 座 預 金 、 定 期 預 金 は堅 調 な 伸 び を示 して お り、
バ ブル 経 済 に伴 う企 業 間取 引 の 増 加 が 当 座 預 金 を 増 加 さ せ 、 預 金 金 利 の 自 由 化 、
金 融 商 品 の 小 口化 に 伴 っ て 、 定 期 預 金 が 増 加 した も の と考 え ら れ る 。
一96一
コ ー ル マ ネ ー は プ ラ イ ム レ ー トで 借 り入 れ や 手 形 決 済 が で き る た め 、 預 金 よ
り支 払 利 息 が 低 くお さ え られ 、 資 金 調 達 源 泉 と して 積 極 的 に活 用 され た 。 そ の
結 果 、 趨 勢 比 が100か ら154.28と 大 き く伸 び 、1300億 円 の 増 加 と な っ て い る 。
最 後 に 資 本 の 部 で あ る が 、 全 体 と して 趨 勢 比 が100か ら178.95へ
と大 幅 に伸
び 、7600億 円 の 増 加 を 見 て い る 。 こ れ は主 に 、 転 換 社 債 の 転 換 に よ って 新 株 発
行 が な され た こ と 、 未 処 分 利 益 の 大 半 が任 意 積 立 金 の 中 の 別 途 積 立 金 と して 社
内 に留 保 さ れ た こ と が 要 因 と な っ て い る 。 こ れ はBIS規
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制 によ る自己 資本 比
上 を達 成 しな け れ ば な ら な い と い う点 を 考 慮 して 行 わ れ た もの と考 え
られ る。
(2)損
益 計算 書 に つ いて
損 益 計 算 書 合 計 の 伸 び は 、 貸 借 対 照 表 合 計 の 場 合 と 同 じ く こ の5年
銀 上 位5行
間 で 、都
と ほ ぼ 同 じ よ う な推 移 を 示 して い る 。
経 常 収 益 か ら見 る と 、1988年3月
で は主 た る営 業 活 動 の 成 果 と して の 貸 出 金
利 息 の 経 常 収 益 に対 す る 比 率(構 成 比)が50.48で
あ る が 、1992年3月
で は64.04
へ と増 加 し て い る 。 さ ら に 、 株 式 の 値 上 が りに よ っ て 得 られ る株 式 等 売 却 益 の
構 成 比 は1989年3月
の8.08を
ピー ク と して 年 々 減 少 し、1992年3月
に は2.32に
な っ て い る 。 これ ら の こ と を考 え 合 わ せ る と 、 銀 行 本 来 の 業 務 体 質 に戻 っ た か
の よ う に も見 え る 。 しか し、 ノ ンバ ン ク を通 じて の 不 動 産 投 資 、 株 式 投 資 や ノ
ンバ ン ク へ の 直 接 融 資 が 行 わ れ て い る点 を考 慮 す る と、 一 概 に健 全 化 した と は
いえ な い で あ ろ う。
経 常 費 用 で は公 定 歩 合 の 引 き上 げ 、 預 金 金 利 の 自 由 化 に 伴 い 、 金 利 の 上 昇 ・
高 止 ま りが 見 られ た た め 、 資 金 調 達 費 用 、 特 に預 金 利 息 が 対 経 常 費 用 構 成 比 で
76.44か ら84.36へ と上 昇 し、 収 益 の 圧 迫 要 因 と な っ て い る 。
以 上 の経 常 収 益 と経 常 費 用 と の 差 額 で あ る経 常 利 益 は 、 経 常 費 用 の 伸 び が 経
常 収 益 の伸 び を 上 回 っ て い る た め 、 年 々 低 下 す る傾 向 が あ る 。 こ れ を 再 び増 加
さ せ る に は 営 業 費 用 や 特 別 損 失 な ど を 出 来 る 限 り減 らす よ う な経 営 努 力 を して
行 く こ とが 必 要 で あ る が 、 これ は 預 金 利 息 が 他 行 と の 兼 ね 合 い が あ る た め そ れ
ほ ど減 少 で き ず 、 そ の 結 果 預 金 利 息 を 主 た る源 泉 とす る経 常 収 益 の 大 幅 向 上 が
97
望 めな い か らで あ る。
ま た 、 バ ブ ル 経 済 崩 壊 の 影 響 を 見 る た め に 特 別 利 益 と特 別 損 失 に注 目 し た い 。
1992年3月
の 特 別 利 益 と特 別 損 失 の 趨 勢 比 は 、 そ れ ぞ れ と139.02と30.28に
なっ
て い る が 、 こ れ は経 常 利 益 の 趨 勢 比 が47.45に 落 ち込 ん で い る点 も考 慮 して考
え る と 、 経 常 利 益 の 落 ち 込 み を補 う た め に 不 動 産 を 処 分 す る こ と に よ っ て 益 出
しを 図 り 、 そ の 結 果 特 別 利 益 が 上 昇 し た もの と思 わ れ る 。
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主要 都銀3行 比較総 覧
全 体 と し て コ ー ル ロ ー ン の減 少 が 著 し い の が 特 徴 で あ る 。 三 和 銀 行 で は'88か ら'92に か
け て の 趨 勢 比 が100→26.10へ
、 三 菱 銀 行 で は100→55.91に
と増 加 し て い る が 、'90∼'92は140.03→105.26で
、 第 一 勧 業 銀 行 は100→105.26
約35ポ イ ン ト減 少 して い る。
そ の 一 方 で 負 債 で あ る コ ー ル マ ネ ー は 大 き く伸 び て い る 。 三 和 銀 行 で100→210
菱 銀 行 で100→154.28、
第 一 勧 業 銀 行100→167.96と
の 伸 び も順 調 で あ る。 三 和 銀 行 で100→153
100→135.62と
.27、 三
目立 っ て 増 加 して い る。 ま た 、 貸 出 金
.60、 三 菱 銀 行 で100→149.38、
第一 勧 業 銀 行 で
な って い る。
以 上 の 点 か ら、 ま ず 、 い わ ゆ る大 手 の 銀 行 で あ る こ の3行
が イ ン タ ー バ ン ク市 場 に お い
て は 主 と して 借 り手 で あ る事 が わ か る 。 裏 を 返 せ ば 中 小 銀 行 は イ ン タ ー バ ン ク市 場 に お い
て 貸 手 で あ り、 大 銀 行 が そ れ を 引 き受 け て 貸 出 ・運 用 に 向 け て い る と い うわ け で 、 結 果 と
して 大 銀 行 に い っ そ う力 が 集 中 しつ つ あ る と言 え る 。 こ れ ら上 位 行 が リテ ー ル 部 門 重 視 の
戦 略 を採 っ た 結 果 、 中小 銀 行 が 苦 し い状 況 へ 追 い込 ま れ つ つ あ る現 在 の 金 融 界 の 状 況 を 、
こ の 数 値 は 側 面 か ら映 し出 し て い る と言 え よ う。
ま た各 行 と も 、 負 債 の70%を
占 め る預 金 が 全 体 的 に 横 ば い な い し減 少 を示 す な か で 、 預
金 内 に お け る定 期 預 金 の 構 成 比 は 三 和 で35%、
第 一 勧 業 銀 行 で47%、
三 菱 銀 行 で50%前
で 推 移 して お り、 比 較 的 健 闘 して い る状 況 で あ る と言 え る 。 こ れ はMMCな
後
どの商 品 が人
気 を得 た た め で あ る と考 え られ る 。 小 口MMCは'89に
最 低 預 入 金 額 が300万 円 で 登 場 し、
'90年4月
に は100万 円
、'91年4月
に は50万 円 と徐 々 に 最 低 預 入 金 額 が 小 口化 さ れ 、 人 々
の人気 を得 た もので あ る。
経 常 利 益 に 関 して は 、'90∼'92の3年
勧 銀 に い た っ て は な ん と37.50で6割
で 趨 勢 比 が 三 和 で78.43へ 、 三 菱 で47.45へ 、 第 一
減 と 目 を 覆 うば か り で あ る 。'91か ら'92に か け て3
行 と も貸 出 金 利 息 が 伸 び 悩 ん で 微 減 し て い る に も か か わ らず 、 金 利 の 自 由 化 に よ っ て 預 金
利 息 が 上 昇 し た こ と が 、 経 常 利 益 の 減 少 を もた ら した 主 た る要 因 で あ る と考 え られ る 。
「そ の 他 経 常 利 益 」 の 大 部 分 を し め る株 式 売 却 益 の 減 少 は 、 三 菱 や 第 一 勧 銀 で と く に 大
き い 。 バ ブ ル 崩 壊 に よ る 株 価 の 低 下 が そ の 原 因 で あ ろ う。
資 本 と資 本 準 備 金 の 大 き な増 加 は 二 つ の 側 面 か ら捕 らえ ら れ る 。 一 つ は バ ブ ル 期 に お い
て 発 行 され た転 換 社 債 の転 換 が 相 次 い だ こ と 、 も う一 つ はBIS規
制 を 念 頭 に置 い た 未 処
分 利 益 の 内 部 留 保 に よ る もの 、 と考 え られ る 。
ま た 、 各 行 と も負 債 項 目 に お け る借 用 金 の 増 加 、 費 用 項 目 に お け る借 用 金 利 息 の 増 大 が
著 しい 。 こ れ は 、 負 債 項 目 は 一 定 の 比 率 ま で 自 己 資 本 へ の 組 み 入 れ が 可 能 な た め 、BIS
規 制 に よ る8%基
行 のBIS規
準 を 念 頭 に置 い た さ き ほ ど の も の と 同 様 の 行 動 と考 え られ 、 こ こ に も各
制 へ の 対 応 を 読 み 取 る事 が で き る 。
こ う した 当 面 の ハ ー ドル で あ るBIS規
制 の8%基
準 を 乗 り越 え る た め大 量 の 劣 後 債 を
発 行 し た こ と は 、 今 後 の各 銀 行 の経 営 を 圧 迫 して い く要 因 に な る と思 わ れ る 。
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本 論 文 で は 、 この数 年 で大 き く変 化 して い る 銀 行 の経 営環 境 に焦 点 を あ て 、 そ れ
に 関 わ る 数 々 の 問 題 点 や 今 後 の 課 題 に つ い て 検 討 した 。
第1章
で は 、 ま ず 従 来 の 金 融 制 度 の 枠 組 み と歴 史 的 背 景 、 そ こ か ら 自 由 化 の 動 き
に 至 つ た 経 緯 に つ い て 述 べ 、 金 融 自 由 化 が 銀 行 経 営 と経 済 全 体 に 与 え る 影 響 を 検 討
した 。
第2章
で は 、 第1章
を受 け て 、 銀 行 と して は 自 由化 に どの よ う に対 応 して い る の
か 、 そ して 、 今 後 ど の よ う に 対 応 し て い くべ き な の か に つ い て 論 じ た 。
第3章
で は 、 バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 に 伴 う・
一 連 の 金 融 不 祥 事 に よ つ て一 層 鋭 く問 わ れ
て き て い る銀 行 の デ ィス ク ロ ー ジ ャー の現 状 と今 後 の あ り方 につ い て論 じた 。 内外
の 金 融 自 由化 の流 れ の 中 で 、 デ ィス ク ロ ー ジャ ー 制 度 自身 が こ こ数 年 大 き く変 化 し
て き て い る が 、 い ま企 業 を初 め とす る利 害 関 係 者 か ら銀 行 デ ィス ク ロ ー ジ ャ ー は何
が 問 わ れ て い る の か 、 ま た銀 行 自身 の 戦 略 か ら して み た ら ど うす べ き な の か と い う
観 点 で 考 察 した 。
第4章
で は 、 新 金 融 取 引 の う ち 特 に 日本 に お い て そ の 地 盤 が で き つ つ あ る 先 物 ・
オ プ シ ョ ン取 引 とCPを
と りあ げ 、 そ の し くみ と機 能 に つ いて 論 じた 。 さ ら に そ れ
らの 取 引 に伴 う リス ク と、会 計 処 理 そ の 他 の 問 題 点 に つ いて 考 察 し、 リス ク管 理 の
重 要 性 につ い て論 じた 。
第5章
で は 、前 章 ま で の論 点 を受 け て 、 リス ク管 理 に つ いて 論 じた 。 特 に 、銀 行
経 営 で 最 も 重 要 な 信 用 リ ス ク の 問 題 とBIS規
制 に つ いて は 、 銀 行 の 今 後 の リス ク
管 理 を 考 え て い く上 で そ の 前 提 に な る も の と 思 わ れ る の で 、 詳 細 に 取 り上 げ た 。
以 上 、 各 章 で様 々の 問題 や 銀 行 経 営 の今 後 の 課 題 に つ いて 論 じて き た が 、 具 体 的
な 内 容 につ い て立 ち 入 っ た研 究 が まだ 可 能 で あ る とい え る 。 また 、銀 行 業 界 とは こ
う し て 研 究 を 進 め て い る う ち に も 次 々 と新 し い 問 題 や 事 件 が 発 生 し 、 新 し い 制 度 が
定 め られ た り して い る業 界 で あ るの で 、 今 後 も 研 究 の対 象 とす る の に 十 分 魅 力 の あ
る 分 野 で あ る と いえ よ う 。
一102一
(参 考 文 献)
鈴 木 淑 夫 編 『日本 の 金 融 と銀 行 』 東 洋 経:済新 聞 社 、1989年
徳 田 博 美 編 『自 己 資 本 比;率規 制 と 銀 行 経 営 戦 略 の 転 換 』 金 融 財 政 事 情 研 究 会 、1989年
土 師 清 次 郎 編 『図 解 ・最 新 金 融 取 引 辞 典 』 銀 行 研 修 社 、1989年
桂 三 郎 「改 訂 さ れ た 銀 行 の 経 理 基 準 」 『金 融 財 政 事 情 』 金 融 財 政 事 情 研 究 会 、1989年
田 中 建 二 「新 銀 行 経 理 基 準 の 実 践 状 況 と今 後 の 課 題 」 『現 代 の 企 業 決 算 』 中 央 経 済 社
1991年
伊 藤 邦 雄 「銀 行 デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー の 実 践 状 況 と 今 後 の 課 題 」 『現 代 の 企 業 決 算 』 中
央 経 済 社 、1991年
伊 藤 邦 雄 「デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー とIR」
『企 業 会 計 』 第44巻 第1号
、1992年1月
「株 式 先 物 調 査 団 報 告 書 一 株 式 先 物 市 場 に つ い て 」 財 団 法 人 資 本 市 場 研 究 会 、1986年
田 中 建 二rオ
フ バ ラ ン ス 取 引 の 会 計 』 同 文 舘 、1991年
一103一
1992年
度共 同研究論文
放送業界 の経営分析
岡田
健 、友 次
健、
浜野 展 幸 、渡 辺 忠 行
1
1
は じめ に
105
皿
鳥瞳分析
106
皿
資金分析
112
IV
118
v
安全性分析
生産性分析
VI
内部留保分析
122
w
おわ りに
125
120
こま じ め`こ
近 年 のTV放
送 を 中心 とす る放送 業 界 は、衛 星 放送 の開 始 、 「受信 機 会
の平 等 一情 報 格差 の解 消 」 を掲 げ る郵 政 省 の置 局 化政 策 に よ る ローカ ル局
の開 設、 ま た、一 部 地 域 で既 に利用 され て い るCATVな
ど、多 局化 の一
途 を た ど って い る。 その一
一方 で民放 キ ー局 に よ る ロー カ ル局 へ の支配 が 強
ま り、「中央 志 向 、地 方 軽視 」 の実態 を生 み 出 して い る。 ま た、公 共放 送 た
るNHKの
営 利化 に も問題 が 残 る。今 日、我 々 は、 テ レ ビ ・ラ ジオ によ っ
て 多 くの情 報 を リアル タイ ムで 入手 で き る。 この よ うに、 放送 業 界 は、 我
々の 日常 生 活 に深 く結 び付 いて い る。 その一 方 で 、広 告 資 本 か らの収 入 増
加 を求 めて 、 各放 送 局 が高 い視 聴率 の獲 得 に力 を 注 ぐあ ま り、行 き過 ぎた
報 道 が度 々問 題 とな って い る。
この よ うな現在 の放 送業 界 につ いて 分 析 を加 え るべ く、 キ ー局 分析 の典
型 例 と して 日本 テ レ ビ、在 阪 準 キ ー局 分 析 の素 材 と して 朝 日放 送 、 そ して 、
これ ら民 放 と公共 放 送 を比 較 す る 目的 でNHKを
務 諸表 分 析 を行 って み た い。
一105一
取 り上 げ、各 事業 体 の財
II鳥
1日
鰍 分 析
本 テ レ ビ の分 析
B/S合
B/S合
計 の 伸 び は5年
間 で163.43と
な っ て い る 。 流 動 資 産 の 伸 び は181.63と
計 の 伸 び を 上 回 っ て い る 。 流 動 資 産 の う ち 当 座 資 産 に つ い て 見 て み る と、
受 取 手 形 ・売 掛 金 が 順 調 な 伸 び を 示 し て い る が 、 こ れ は 営 業 収 益 の 伸 び に も 見 ら
れ る よ うに 本 業 で あ る放 送 業 が 着 実 に成 長 して い る こ と に よ る もの と見 られ る。
有 価 証 券 と コ マ ー シ ャ ル ペ ー パ ー は 構 成 比 も 大 き く増 減 が 激 し い の だ が 、 こ れ は
財 テ ク に 励 ん で い る こ と を 反 映 し て い る と思 わ れ る 。 番 組 勘 定 も順 調 に 伸 び て お
り、 番 組 制 作 に 力 を 入 れ て い る こ と が う か が え る 。 固 定 資 産 を 見 る と138.20とB
/S合
計 の 伸 び よ り小 さ く な っ て い る が 、 こ れ は 放 送 設 備 へ の 投 資 が 少 な い こ と
を 示 し て い る の で は な く、 高 収 益 を あ げ て い る た め 、 利 益 留 保 の か な り の 部 分 は
設 備 拡 張 の た め に投 下 さ れ る こ とな く、余 裕 資 金 と して現 金 預 金 や 有 価 証 券 、 投
資 有 価 証 券 や 長 期 預 金 な ど で 運 用 さ れ て い る こ と を示 して い る の で はな い だ ろ う
か 。 有 形 固 定 資 産 に お い て は 機 械 設 備 が 順 調 に 伸 び て お り、 ニ ュ ー メ デ ィ ア 放 送
に 対 応 す べ く設 備 投 資 が 盛 ん で あ る こ と が 分 か る 。 土 地 は1988年 か ら1989年
け て2倍
にか
弱 に増 え て い る が 、 これ はバ ブ ル期 にお け る財 テ ク の た め と考 え られ る。
投 資 そ の 他 の 資 産 は 全 然 伸 び て い な い の だ が 、 こ れ は 投 資 を 長 期 預 金 か ら短 期 的
な もの に 変 更 して い っ た結 果 で あ ろ う 。
負 債 の 部 を 見 て み る と 、 完 全 な 無 借 金 経 営 で あ り、 内 部 留 保 で あ る 退 職 給 与 引
当 金 が か な りの 割 合 を 占 め て い る 。 未 払 費 用 の 構 成 比 が 高 い が 、 こ れ は 番 組 制 作
費 の 未 払 い で あ り、 放 送 業 の 成 長 が う か が え る 。 転 換 社 債 も 徐 々 に 減 少 し て お り、
財 政 状 態 は きわ め て 良 好 で あ る 。
資 本 の 部 を 見 て み る と 、 資 本 金 ・資 本 剰 余 金 は 転 換 社 債 の 株 式 転 換 に よ り 大 き
く伸 び て お り、 任 意 積 立 金 や 当 期 未 処 分 利 益 金 の 額 も大 き く、 利 益 の 蓄 積 が 進 ん
で い る。
P/Lで
は 、 営 業 収 益 は150.77とB/S合
計 を 下 回 っ て い る が 、 営 業 利 益 ・経
常 利 益 は 大 幅 に 上 回 つ て い る 。 営 業 外 収 支 は 収 益 が 費 用 よ り大 幅 に 多 く、 財 務 面
で の 収 益 性 も極 め て 高 い。
2朝
日放 送 の 分 析
B/S合
計 の 伸 び は139.01で
あ る が 、1990年
び て い な い 。 流 動 資 産 の 伸 び は142.77とB/S合
一106一
か ら1991年
に か け て は ほ とん ど伸
計 の 伸 び と ほ ぼ 同 じで あ る 。 流
動 資 産 の う ち 当 座 資 産 に つ い て 見 て み る と 、 受 取 手 形 ・売 掛 金 が 構 成 比 が 大 き く
伸 び も順 調 で あ る。 これ に は本 業 の放 送 業 の成 長 が 現 れ て い る。 有 価 証 券 の 構 成
比 は 毎 年 高 い 水 準 を 推 移 し て お り 、 余 裕 資 金 と し て 利 益 が 投 下 さ れ て い る 。1991
年 に お い て は 、 番 組 勘 定 と 同 じで あ る 半 製 品 ・仕 掛 品 の 低 下 が 気 に か か る 。 キ ー
局 へ の 依 存 が 高 ま り、 自社 馴 作 力 が 弱 ま っ て い る の で は な い だ ろ う か 。 有 形 固 定
資 産 で は 、1991年
に 機 械 ・装 置 の 額 が 急 に 大 き く な っ た が 、 や は り新 し い 放 送 に
対 応 し て の こ と だ ろ う 。 土 地 は1989年
、1990年
と伸 び て い る が 、 バ ブ ル 期 に お け
る土 地 投 資 と見 て良 い。 投 資 そ の 他 の 資 産 だ が 、 投 資 有 価 証 券 の う ち 関係 会 社 株
式 が 多 い こ と か ら 、 関 係 会 社 へ の 資 本 投 下 が 相 対 的 に 大 き く、 余 裕 資 金 の レ ベ ル
が 低 い こ とが 分 か る 。
負 債 の 部 を 見 て み る と、 完 全 な無 借 金 経 営 で 、 賞 与 引 当 金 や 退 職 給 与 引 当 金 が
か な りの 割 合 を 占 め 、 内 部 留 保 が 進 ん で い る 。
資 本 の 部 を見 て み る と、 増 資 は全 く して お らず 資 本 蓄 積 は 内 部 留 保 に 依 拠 して
形 成 さ れ て き た と い え る。
P/Lで
は 営 業 収 益 の 伸 び が148.59とB/S合
計 の 伸 び を 上 回 っ て お り、 営 業
利 益 や 経 常 利 益 も大 幅 に 上 回 っ て い る 。 営 業 外 収 益 も 高 く、 優 れ た 財 務 体 質 を し
て い る。
3NHKの
B/S合
分析
計 の 伸 び は133.54で
あ る が 、 特 に1991年 の 伸 び が い ち じ る し い 。 こ れ
は1990年 の 受 信 料 値 上 げ に よ る も の で あ る と 思 わ れ る 。 流 動 資 産 を 見 て み る と 、
現 金 預 金 が1989年
ら 有 価 証 券(す
と1990年
に伸 び て い る が 、 これ は 有 価 証 券 が 減 って い る こ とか
べ て 国 債 や 地 方 債)が
償 還 さ れ た こ と に よ る と考 え られ る。 前払
費 用 の増 減 が 激 しい の は次 の 年 度 の 番 組 の 制 作 費 と関 連 して の こ とで あ る。 有 形
固 定 資 産 は ほ とん ど動 き が み られ な い の だ が 、 放 送 衛 星 の減 少 が 激 しい の は、 衛
星 の 打 ち上 げ 失 敗 や 故 障 な どが原 因 で あ ろ う。 そ の た め 放 送 衛 星 建 設 仮 勘 定 の伸
び が か な り大 き い 。 出 資 そ の 他 の 資 産 で は 長 期 預 金 の 伸 び が め だ っ 。 長 期 保 有 有
価 証 券 が1988年
に 激 減 して い る の は 現 金 預 金 や 有 価 証 券 に 振 り替 え ら れ た た め と
考 え ら れ る 。 長 期 前 払 費 用 が 構 成 比 は 小 さ い が1990年
と1991年 に 増 え て い る の は
オ リン ピ ック 放 送 権 料 の ため で あ る 。
負 債 の 部 を 見 て み る と 、 借 入 金 が 増 え て お り財 務 体 質 の 悪 化 が 気 に か か る 。 ま
た 放 送 債 券 も依 然 と し て 額 が 大 き く 、 償 還 す る の が 大 変 で あ る 。
資 本 の 部 で あ る が 、NHKは
特 殊 法 入 で あ り も ち ろ ん株 は発 行 して いな い。 資
一107一
本 金 の ほ とん ど は 利 益 か ら資 本 支 出充 当 に 固定 資 産 化 さ れ た 組 み入 れ 資 本 金 の 累
積 で あ る 。 そ の た め 資 本 金 の 伸 び は 低 い 。 当 期 事 業 収 支 差 金 は1989年 、1990年
赤 字 で1991年
P/Lで
と
に は繰 越 欠 損 金 が 発 生 して い る。
は 、 経 常 事 業 収 支 差 金 が1988、1989、1990年
当 期 事 業 収 支 差 金 が1989、1990年
で赤字 、経常収支 差金 と
で 赤 字 を 出 して い る 。 ま た借 入 金 の増 大 に よ っ
て 支 払 利 息 が 増 え 、 経 常 事 業 外 収 支 差 金 が1990、1991年
で 赤 字 とな っ て い る。 受
信 料 値 上 げ に よ って 収 入 が上 が っ たの で あ る か ら、 費 用 を削 減 し借 入 金 の 返 済 に
力 を入 れ る こ と が必 要 で あ ろ う と思 わ れ る 。
4ま
とめ
1991年 の3社 のB/S合
600億 、NHKが
計 の 額 を 見 る と 日 本 テ レ ビ は 約1,700億
約4,600億
、 朝 日放 送 は 約
と規 模 は 圧 倒 的 に 大 き い 。 ま た 、 民 放 キ ー 局 で あ る 日
本 テ レ ビ と 民 放 準 キ ー 局 で あ る 朝 日放 送 と の 差 も め だ つ 。 し か し 、B/S合
伸 び は 日 本 テ レ ビ163.43、
朝 日 放 送139.01、NHK133.54と
く な っ て い る 。 経 営 状 態 を 見 て も 民 放2局
民 放2局
計の
の 方 が大 き
が 無 借 金 経 営 で あ る の に 対 し て 、NH
Kで は 借 入 金 が 増 え て い る 。 当 期 事 業 収 支 差 金 で もNHKは1988、1989年
に赤 字
を 出 し1990年 に 受 信 料 を 値 上 げ し て い る 。 斉 藤 毎 日放 送 社 長 は 新 聞 で 赤 字 の 原 因
と し て 、 「哲 学 な き 巨 大 化 、 特 に 衛 星 二 波 、 ハ イ ビ ジ ョ ン を 始 め た の が 大 き い 。
そ の 結 果 、 映 画 や ス ポ ー ツ の 放 送 権 獲 得 の 動 き が 荒 っ ぽ く な っ た り、 財 源 不 足 を
補 う た め の 商 業 化 を 進 め た りして い る 。民 放 と公 共 放 送 の 共 存 体 制 を維 持 す る に
は、 受 信 料 の 値 上 げ は や む を得 な い が 、 そ れ を肥 大 化 に 使 わ れ て は た ま ら な い」
(r朝
日 新 聞 』1990年3月24日
付 夕 刊)と
一108一
指 摘 して い る。
日本 テ レ ビの構成 比 及 び趨 勢 比
貸惜対照表
1資産の部)
流動資産
現金預金
受取手形
売掛金
有価証券
自己株式
貯蔵品
番組勘定
前払費用
1(187/3
金額INi成
比
趨勢 比
a.tea
3.70100.00
13.523
iz.sotoo.oo
12.335
12.25100.00
24.043
22.76100.00
93
0.09100.00
328
0.31100.00
3.947
3.74100.00
"181
0.17100.00
コ マ-シ ャ ルベ ー パ ーz.oos
1.90100.00
368
0.35100.00
その他の流動資産
-185
-o.isioo.00
貸倒引当金
A計
顯1團
懇 窪倉3土
8.77
0.25
5.19
0.io
O.87
9.13
z.os
26.38
tos.a3
107.34
i7a.si
163.37
103.63
zoo.is
205.x1
148.56
16.6659.65L18.20
3910.2398.99
9.8295.69193.60
1680.10166.3a
1.5800.92110.26
16.5439.58219.a6
2.0961.21122.07
AT.27629.39155.69
isa
so
lo
57
296
o.io
O.04
0.of
O.03
0.n
100.00
85.71
66.67
78.95
99.00
1680.10100.00
4.9253.54100.49
5.297
3.69108.08
5.832
801'0.58100.00
801
0.56100.00
745
6940.5096.39
646
0.4589.72
sas
160.01200.00
5
0.0062.50
3
1.064
0.7487.93
771
1.1670.8496.15
aoso.zssa.of
A49
0.31103.46
457
20.52119.77329.07
2.493
1.7239.66
x.075
30.00100.00
aia
0.22ioass.7
507
3970.36100.00
4070.29102.52
aaa
0.34121.91
675
-i .izo-i.osioo.00
-937-0
-928
-0.6582.86
-703
.6753.66
13.59012.8710D.00
28.00820.16206.09
10.608
7.3878.06
iz.z>〉
44.25641.90100.0064.31746.29145.3352.38436.45118.3757.61933.69130.1961.16235.43!38.20
105.622100.00100.00138.949100.00131.55143.729100.00.(36.08171.030100.00161.93172.622.100.00163.3
3。41
119.00
117.98
89.72
37.50
63.72
105.30
x9.31
169DO.O
I7D.03
62.77
89.85
91.345
14.09913.35100.00
3950.3710p.00
5.D77d.81100.00
taio.totoo.oa
1.4331.36100.00
7.5387.14100.00
1.119L.63100.00
30.36528.75100.00
13.2869.5644.23
3750.2794.99
5.ID23.67100.49
910.0790.10
1.4271.0399.58
9.7237.00128.99
6.0074.32349.45
36.01425.92118.60
15.141
168'0.16100.00
700.07toO.00
150.01100.00
450.04100.00
2990.28100.00
1680.12100.00
690.0591.93
130.0186.67
470.03104.44
2940.2198.33
順 債の部)
流動 負償
支:払手形
・
未払金
未払法人税等
未払事業税等
未払費用
前受金
預 り金
返品調整引当金
設鯛関係支払 手形
支払消費税
58.10100.00
365
6.980
95
且.499
is.ios
1.298
41.486
168
so
ii
48
289
10.53
0.25
a.86
0.07
1.04
i1.21
0.so
28.86
0.12
0.04
0.of
O.03
0.2a
a.J72
24.643
L8.004
a1.735
193
720
6.880
1.239
15.159
891
-529
107.39
iis.ata
92.41
137.48
94.06
104.61
213.66
且5.006
424
8.880
165
i.aas
豊5.618
75.5童
3.531
136.fi2
45.1正1
100.00
85.71
73.33
106.67
ss.ss
4.90!4.64100.00
8010.76100.00
720a.58100.00
80.01100.00
1.2101.15100.00
4340.attoo.00
6.2365.9010D.00
a.597a.35置00.00
x.621'一3.33100.52
6820.65100.00
x.883
65T
3.516
516
is.sos
zis
441
d5
1.246
1.x561.05213.ag
1.9761.87100.00
a.7853.Jd2x2.16
3520.33100.00
7640.55217.05
L6.77015.88100.00
艮7響999正2.95韮07『33
1580.15100.00
1720.121D8.86
4200.40100.00
azso.aiioi.is
60.OL100.00
410.03683.33
1.7301.6d100.00
2.0371.47117.75
3.aO
o.as
2.45
0.as
ts.sa
O.15
0.31
0.03
Q.87
覧06.22
一!8
100.0011.649
100.3221.927
.63713.41
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14.41
10.53
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0.55
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0.00
0.45
0.27
1.80
0.30
0.39
-o .41
7.14
6.364.
3.72
96.33
1.2x9
0、73
7.681
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tas.ss
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O.G6
U6.93
21.953
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136.71
272
105.00
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O.37
750.00
41
D.02
72.02
童322藍651皇6.63
22.74521.53100.0022.81716.42
2.6重
177.94
2.019
1.A5d
266942527塾000032.3042325且21023皇
固定負債
転換社債
退職給与引当金
役員退職慰労 引当金等
Ai
3.08107.55
11.87126.13
tosstu.ot
13.1178.36
0.09132.26
0.35155.18
4.95180.21
0.76607.18
18.341311.90
0,48!86.41
-0 .36282.16
63.55148.85
1991/:3
金額 樽成比 趨勢比
fi6.31
74.63153.71121.62
難 畢霧驕認
ヨ
1990/3
金額 構成比 趨勢比
趨勢比
108.54
182.23
139.19
173.58
?07.53
219.51
174.31
684.53
754.55
242.12
285.95
184.81
借地権
電気通信施設利用権
中継施設利用櫓
その他の無形固定資産
投 資有価証券
関係会社株式
長期貸付金
従業貝長期貸付金
関係会社長期貸付金
差入保証金
長期預金
長期前払費用
その他の投資
貸倒引当金
役資盈Ω鯉の資産 合計
A計
1989/3
金額 構成比
趨勢比
4.431
17.056
15.652
is.sao
123
509
7.113
i.oss
26.356
686
-522
61.366
固
有形固定資産
建物
構築物
機械殴備
車両運搬具
器具備品
土地
建綬仮勘定
19A8/3
金額 構成比
x.2303.0-0102.67
15.16910.92112.17
14.58210.49112.73
30.79322.16128.07
360.0338.71
3930.28119.82
a.aiss.isiii.as
aiso.aozso.sa
4.9983.24223.89
szao.asiaz.tz
-430-0.31232.43
az.7s3
8.1062.502.313
15.2696.dO21.725
-8.083
22.74521.53100.0041.45429.83182.2633.576
23.36147.6232.122
49.44046.81100.0073.75853.08149.1964.70845.02130.8874.91543.80151.5366.99438.81135.51
o.is
1.18
0.85
25.02
138.aa
t83.1a
388.71
aai.si
130.91
172.15
taa.81
683.33
116.T1
100.00
160.31
a.d36
23.179
21.Si7
×4.705
2工9
A29
7.611
互.031
s.zip
1.335
-525
111.a59
2.57107.67
13.781io.SJ
iz.64168.67
25.90185.3a
O.13235_x8
0.48252.74
d.41192.83
1.60569.61
3.60309.6
0.77362.77
-0 .31283.78
64.571R1.63
1280.07284.a4
2960.1799.00
6.2343.6L乳27.20
2.4x61.42305.37
9280.54128.89
0fO.0363T.00
7570.4463.39
2.0321.1832.68
6690.3922300.0
1.1620.67292.10
-703-0
.4162.77
13.5897.8799.99
6.0300.49101.t7
9GOO.561a1.20
4.7802.77:!al.90
/990.as226.99
23.01313.33137.23
3380.20213.92
7260.42172.86
a70.03183.33
'1
.6601.54153.76
ssao.aoaT.s2
438962542且6d44
1.35
12.70
a.73
18.78
12.91
95.52
ioo.00
141.23
1.538
.20.702
857
23.097
0.898.25
it.sssi.oz
O.5010.60
13.38101.55
io.is
9.81
0.90
29.O
s.oa
56.20
0
245.97
izsta
260.64
17.167
121.67
1.677
ias.az
57.609
220.18
11.359
171.08
105.627
93172.6221
10.32251.3
9.94266.65
0.97132.15
33.37156.89
6.582A3.91
61.19188.0!
の
資本金
資本準簾金
利益準備金
任意積立金
当期未処分利益金
㎜
算●
7.0856.71100.00
6.4386.10100.00
1.2691.20100.00
36.73034.77100.00
4.6574.41100900
56.18153.19100.00
1987/3
金額 構成 比 趨勢比
営 業 収 益130.021
営 業 費 用125.781
放 送 費 ・そ の 他 事 藁 費95.423
販 売 費 ・一 般 管 理 鷺30.357
14,240
A
営業外費用
1
特別利
特別損失
ioo.ootoo.oo
96.74且00.00
73.39100.00
23.35100.00
326量0000
4.9273.79100.00
1770.14100.00
8,9906.911DO.00
且.550監
●19100.00
7.4425.72100.00
d.020x.09(00.00
3.4222.63.100.00
r.百百∼
「.1=26コ00=石
中 間配 当額3620.28ioa.00
中間 配 当に 伴 う
#q益 準 嚇 金 績 立 金36n.03置00.00
当期 丞処 塗型
益 金.一A.657.._製
塾_塑,旦
12.760
12.113
1.428
43. .715
9:003
79.021
1988/3
金額
構成 比
趨勢比
1as.545100.00112.71
135.61692.54107.82
101.86669.51106.75
33.75023.03111.18
109287as257.T4
3.3232.2767.d4
8080.55x56.50
且3.4429-17ias-52
zo.ooioo.oa
.畿
置1
法天税 び
9.2666.67'130.78
8.6206.20L33.89
1.3410.97105.67
39.22228.23106.78
6.7384.85144.69
65.14046.88115.95
1989/3
金額 樽成比
3fi
F.13R
o.ozSao.00
a.soIaa.G9
180.10
188.15
112.53
iis.02
193.32
iao.ss
趨勢比
17.427
16.780
1.544
50.107
10.254
96.114
1990/3
金額 構成比
too.00
t2s.sa
星83.807.!00.00
151.983
32.31
且20.83
iss.tozsi.a5
115.795
70.38
121.35
(27.28969.25
36.監87
u.ss
119.20
xO.81322.20
295.97
15.7048.55
一 12.sas
広7す7一-五T.63
-{i
70
6-77一
一-3:司
匡謎「『-一-1..吾{「
3310.20
187.013820.21
15.0149.13
tsp.ntie.Taoio.zz
二 『"『.';9'一'.-一.二一
濁 蕊 .『r而`可
1.0060.6964.90434
12.4368.49167.11L4.580
6.915a.76193.51
5.4613.73159.59
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百'一 一r.石7百'
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町
8.88
8.d3
0.99
30.41
6.26
54.98
.a
164.532
1991/3
金額 構成比
趨勢比
jai.37
196.039
133.65
星78.RRG
且33.39
璽35.013
13a.a4
x3.372
370.38
17.153
ioo.oa
71.25
68.A7
22.38
8.15
趨勢比
150.77
呈42.22
1al.Jg
ua.sz
704.6a
7σ=5酉 「一--一『3:7Af,一 『
冒■
一-1:93-i6:Ka『
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215.A22290.12L29.3A
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『
0.2628.00夏.7020.93!09.81
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10.13266.88
6◎775a.62且68.53
(0.6405.7926J.G8
9.685
a.sazao.sz
7.8055.33228.08
9.011A.9063.33
10.ITfi
5.19297.37
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3930.27108.56
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330.03
9・0036-is
置08.3341n.02113,47440.02
191.3210.2545.SR220.1811.3595.79
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「
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一109一
令 額r百
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12.2?
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.比, 趨 謝-ヒ 夏%.}
朝 日放送 の構 成 比及 び趨 勢比
貸僧対照衰
`資産の部}
流動資産
現金預金
受取手形
売掛金
有価証券
半襲晶 ・仕掛品
原材料 ・貯蔵品
未収入金 ・未収収益
短期貸付金
その他流動資産
貸倒引 当金
1987/3
金額 構成比
趨勢比
3.74310.21100.00
4.42212.06100.00
3.4409.38100.00
5.20914.20100.00
1.2073.29100.00
320.09iw.00
510.14100.00
40.01100.00
1340.34100.00
-198-0.54100.00
18.04449.20100.00
有形固定資産
建物 ・構婆物
槻械 ・装量
船舶 。輌 ・運搬具
その他償却対象資産
土塊 ・その他
建殿仮勘定
..蕊
形固蜜湾奪餓
issa/s
金額 檎成比
趨勢比
4.97012.69112.99
3.8299.T8111.31
7.79118.87141.89
9052夢3174匿98
320.08100.00
940.24184.31
80.02200.00
3160.81215.82
-204-0
198/3
金韻.槽 成比
.52103.03
21.11253.90117.00
6.442且7.57董00.00
6.18115.7895.95
6.23914.4696.85
3.3119.03LOO.00
2.8737.3486.77
3.3917.86102.42
280.08100.00
2390.65100.00
4.14311.30100.00
200.0571.43
2240.5793.72
2740.64114.64
4,143塾0.58星00.00
5.71813.25138.02
120903亘zoo.00
13.44134.3291.90
監990/3
金額 構成比
4.3478.53116.14
6.75713.32152.80
6.68413.11151.15
5.31910.49154.62
5.25410.31152.73
8.74617.25167.90
7.94615.59152.54
且.3552。67皇12.26
趨勢比
1.1762.3197.a3
340.07(06.25
410.08128.13
L580.31309.80
2090.4L409.80
?0.01175.00
80.022DO.00
1.5553.071160.45
-237-0
.47119.70
28.29355.79156.80
1890.37141.OA
-93-0
.18×6.97
25.76150.531x2.77
且100.2且nOOO.0
皇79683543且2686
15.66236.30110.58
星991/3
金額 構成比
趨勢比
4.5999.07122.87
6.27312.3791.38
3.4246.76103.53
270.0596.43
2530.50105.86
T.89715.53190.61
280.06100.00
to.ooioo.oa
14.164鵠.62且00.00
趨勢比
4.0039.28106.95
5.33612.37120.67
d.45910.34129.62
7.7271T.91148.34
1.2562.91104.06
330.08103.13
770.18150.98
90.02225.00
1410.33105.22
-210-4
.90106.06
22.83152.92126.53
3.8433.81102.67
6.67513.09103.62
4.3928.62132.65
370.07132.1-0
4110.81171.97
7.87715.45190.13
2630.5223900.0
19.6653R.57134.84
無形固定資崖
・
嶺 畢離 甕製 .
投資有価匠券
{うち子会社株式)
畏期貸付金
その他投資
貸倒引当金
煮の
巌1命吐
750.20100.00
3.4078.70102.13
2り2866.23100の00
2.2865.83100.00
7452.03100.00
4b81.33100.00
-178-0
の
資本金
資本準備金
利益準繍金
その他資本剰余金
任意積立金
当期未処分利 益金
損益齢 算書
営業収益
営業費用
放送費 ・その他事案費
販禿 費 ・一般管理 費
1
嘗禦外費用
1
II猛
「
特別損失
書1
「
剛1
任意 積立金目的取崩額
中間配 当額
当!壁i藍
毅頒!腱 竃-一.
710.1694.67
3.466
2.286
roe
spa
-272
728且.8697.72.
.49100.00
4.39111.97100.00
5921.51121.31
-186-0
.47104.49
4.580
4乙54童1其L59io3.42
690.1492.00
T20.L496.OD
8.03103.903.6137.12!08.303.7917。44113.64
5.90LOO.002.2864.5L100:002.2864.48100.00
1.6195.034230.8356.7E7971.56106.98
且.571se.93712且.40且45.901.4022.75287.30
-0
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44:§ 睾・.104.三so.....⊆
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§.9._A.65噸
4708109.0322.42244.21120.3525.21849.47135.36
・_」99.86.9.●.,8d81_●._io_54_.12J_A2.
A.63050.80LOO.00
8.05646.LO96.9220.313
36,674100.00100齢0039158ioo.00盈06・804314410000i17.64507且5too.00tea.2950.979100冒00且39.Ol
順 債の鮒
流動負償
支払手形tg7
設篇関係支払手形zaa
買掛金eLη7
短期 ・一年内艮期借入金
一
未払金367
未払費用134
前憂金
止32
従繋員預 り金i27
法人税等充当金761
賞与引当金 ・未払賞与2.005
その他短 期引当金a7
その他流動負債249
e!1-5.980
畏期借入金
退職給与引当金
その他固定 負債
740.1998.61
3.3369.10100.00
0.5J100.00
0.67100.00
4.58韮00.00
1250.87164.97
3220.74163.45
且6」LO.a165.98
2000.39101.52
×670.85150.d1
1.9715.03114.79
3771.92aOO.al
].2T36.a5190.62
1.00!00.00
460互.且7且25.3J
0.aiinn.oa
1540,39且
isaO.35ua.is
1940.38且44.78
a.sstoo.00
2900.59174.24
2360.55178-79
a571.06124.52
2560.50193.94
0.35100.00
1290.33101.51
1250.2998.47
星4.sa
2330.d6118.27
9181.81376.2
2.1196.29158.01
a.1208.08239.95
1.3232.61360.A9
9391.84255.86
1790.35133.58'
22匪0.as167。a2
2.oa100.00
1.3923.55tA2.92
2.0024.61263.01
3.2246.36423.65
1.3L62.58172.93
5.47塞00.00
2.0435.22101.90
2.1374.95106.58
2.3454.62116.96
2.387a.68監
0.13100.00
2730・70田0・85
3110.72661.70
0.68100.DO
3740.95150.20
8912.07359.04
16.31LOO.00
7.51219.18125.62
9.59222.21160.40
9.66226.35100.00
9.87425冒21且02.19
1490.41100.00
1350.3490.60
9.81126.75100.00
!0.00925.55102.02
15.79143.06100.0017.52144.73110.96
1.8004.91100.00
150.04100.00
4501.23100.00
950.26100.00
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1.2463.40100.00
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1987/3
金額
構成 比
趨勢比
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46.8L397.79100.00
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18.44438.53!00.00
1.0592.21100.00
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410.osIW.00
1.6203.38100.00
1.0452.t8100.0
5151.20100.00
1.65100.
U70.24100.00
_1.246_260100.00
且9.05
2250.44x78.72
5381.06216.06
12.83025.30214.55
9.91622.98102.63
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1200.2480.54
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9.91519.45101.06
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6t81.19104.22
440.08137.50
3.2026.17197.65
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2160.42526.03
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.9303.T2184.69
1.0662.05185.39
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1170.23100.00
1.7603.7A151.30
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4500.bb100.00
950.19100.00
95D.19100.00
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2.8236.田226.57
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趨勢 比
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4500.89100.00
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璽.8003.53且00.00
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950.24100.00
1988/3
金 額Mti成
比
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1989/3
金額
柳成比
趨勢比
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53.Ob391.95113.39
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661.33129.17
320.06100.00
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206-0.36502.4
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3.0(05.21288.04
2.1653.75376.52
1170.20100.00
2.A23J.A9?26.57
覧
29.90958.67143.22
1990/3
金額
檎成比
趨勢比
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T.99811.75755.210
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A.dO212.93543.33
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1991/3
金額
構成比
趨勢比
71,ユ35100.00148.59
65.50532.09199.33
38.x9854.12135.70
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5.6307.9153(.63
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1040.15325.00
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構 成 比 及 び趨勢 比
1資産の部)
流動資産
現金及び預金
受信料未破 金
欠損引当金
有価証券
貯蔵品
前払費用
未収金
その他の流動資産
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固定資産
有形固定資産
建物
構築物
磯械及び装置
放送衛星
車両及び運搬具
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土地
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その他の建設仮勘定
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正987/3
金額 構成比 趨勢比
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i.oaao.30ioo.oo
66.19419.i5100.00
1988/3
金額 構成比
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11.889
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22.277
41
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1.558
73.511
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3980.ll99.00
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3.1410.8849.44
75.567
28.991
85.032
3.065
.1.796
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23.122
17.499
7.709
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21.9136.34100.00
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1990/3
金額 構成比
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11.1943.1499.94
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39.2427.6084.25
dlO.01105.13
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2,7210.7635.38
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28.7338.31100.00
78.71122.77100.00
17.2174.98100.00
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… ・燃
1989/3
金額 構成比 趨勢比
趨勢比
15.219a.2597.95
11.0383.0896.57
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8.5572.39198.12
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・・63.74101.95235,164一
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1991%3
金額 構成比
趨勢比
10.71261.30
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19.39111.05
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19.93117.15
7.60100.20
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出 資そ の 他 の 資 産
長期預金
a.oooi.isioo.oa
8.0002.23200.00
8.5682.40214.20
6.568
za.zio7.Ooioo.oa
7.9AO2.2232.80
13.1003.6754.11
且T、150
長期俣有有 価証券
i.soso.a3too.oa
1.7790.50118.13
2.0770.58137.92
2.864
出資
長期前払費用
2aO.01100.00
250.OI104.17
210.0187.50
a.352
17.7449.9659.66
23.7666.6679.91
30.934
_境資{藍Q餌の資齢 計 29.7xO6.60100.00
A8
261.83775.7410D.00260.10272.6499.34272.02176.26103.89286.08975.47109.26326.A9770.81124.35
趨勢比
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16.3793.5513.30
-13.562-2
.94135.53
53.55811.60131.71
390.01100.00
8.1661.77189.07
17.2113.73x40.04
2.8160.61269.73
118.05025.57178.3a
75.20L16.29116.58
28.5356.1899.31
97.50221.12123.87
1A.4153.1283.73
2.2010.48176.22
4230.09105.22
23.3485.061D6.55
10.4982.27218.21
13.1662.85207.2a
一・ヱ鰍
・・265.289…5L畢
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正.73!64.20
11.6002.51290.00
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29.8976.48123.49
0-761go.17
阻 ・
、d3一.i3s.sz.
3.1820.692ユ1ワ29
1.1518133.33
a.7071.2423779.11
s.istoa.m
50.38610.92169.x2
特定資産
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Oo
17.4275.04100.0019.8175.53113.7121.8446.13125.3519,4865.14111.8116.7544.2296.14
繰延資産
830.02100.00
放送信券発行躍
970.031:6.87
szo.osito.sa
tssn.ostoo.oa
isao.oa31'.aA
放送債券発行差金
1750.0592.59
Ao
2720.07(00.00
2720.08100.00
2460.0790.44
3J5.730100.00100.00358.059100.00103.57356.681100.00(03.17379.086100.00103.17a61.TO1!00:00133.5a
資A母
【負債 の 郎}
r.Uq動
負個
:tOOO.08100.00置3-2012.36aaoa.33
垣期 借 入 金
・IE以内 に 返済 すろ
艮期 借 入金
・一鑑以 内 に 償 運 す る
a.aspI.30100。00
放送 侑券
.k払 金
・
受 信科 前 受 金
そ の他 の 流 動 負 債
A…ILS/1ESIH
vo
4,7641.33且06.17
63.96618.50100.00
3.4300.90113.95
8.8312.J7115.71
49.41013.80!04.22
i.Rion.ssss.is
67.85118.95106.07
i.G502.1a25x:15'
10.1502.8512.91
11.04714.3L107.67
1.4500.al101.97
75.25021.10117.64
48.00013.89100.00
30.5078.82100.00
15.600d.51(00.00
50.57014.13105.35
so.zsia.asss.io
15.940a_45102.18
X6.92013.1597.75
27,3807.6889.75
16.6004.65106.41
5.0681.asIOO.00
35.96826.90101.98
a.UlUO.R7田0.oa
7.GJ71.Yl100.00
47.ata13.7lioa.00
乳,4220.41100.OU
圃定負側
放送償券
長期借入金
退臓手 当引当金
その他の圃定負償
A8
J.9531.33110.39
94.10727.22100.DO96.74127.02102.80
9.9792.63222.!012.3852.81289.33
ア.3毛o
19.5ユ9
55.379
1.869
35.x86
x5.080
a3.03T
呈8.650
5.068
111.835
2.07250.J7
5.15255.5A
td.77(18.07
0.a91S1.a3
25.191d9.28
6.3101.38_11,69
:8.0686,0S367,53
75.25016.30158..2
7.2371.oixO8.93
13.11131.00223.i3
IL.8993.92
u.35ia1.07
4.92119.50
1.34100.00
29.50t18.8a
aa.i103.6893.1
x5.5679.371x9.37
19.950x.32127.33
110.22123.37117.13
負]1選
盒L___158.07345.72100.oo164.59245.97104.1217L21848.oo!08.32207.32154.6913L16253.33854.87h60.27
… 了獅
「『 …
資本
承継資本
固定資産充当資本
積立金
纈越剰余金{欠 損金)
当期事業収支差金
A一
㎜
経常事案収入
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交付金収入
.岡
次収入
経常事業支出
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契約収納費
受僧対策費
広報費
調査研究費
給与
退職手当 ・厚生費
一般管理費
減価償却鷺
未 収受 信 料 欠損 償 却
経常事業外支出
経盆越 雷
「畷
葦金
蕎『
当期剰余金
特別収入
特別支出
当塑
丁資禾支田禿
皇恕 玄葦金
当.
噛契収支剰余金
16、.163997、1:0572}器:器
、7。1器
is.ssza.aaioo_oa
5.8051.68100.00
187.65754.28100.00
345.930100.00100.
12.5453.5075.168.041
5.8101.62100.09-8.005
193.46754.03103.10185.463
1987/3
構成 比
・金 額
、1:器}器
、85.163264,1:0594}0012:0a28185.163zsa、1:0587}oo.ooiz.zs1、1635.264、1:盟ioo112:器
2.25J8.17
一2
.24-137.90
52.0098.83
00.03.57356.681100.00103.
趨勢比
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34L.552
98.69100.00
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1.578
2.937
0.85100.00
340.734
ea.asioo.00
31.561
26.A6!00.00
0.69100.00
2.94
35.766
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1.186
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1.509
0.asioo.00
3.168
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3.434
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2.89100.00
冒to.007
5.333
i.saioo.oo
.6042.19100.0
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1988/3
金額
構成 比
趨勢比
951,507100.00101.57
346.488
98.5?
1.456
a.az
92.27
1、01
121.31
3.563
352。84里
95.556
101.45
100.38
103.55
27:18
104.36
0.84
122.93
10.39
1D2.13
L187
0.34
100.08
i.ass
0.a2
3.959
1.12
2.943
36.527
119.260
33.93
34.940
97.6且
105.07
豊02.78
9.94
103.34
9.485
2.70
100.54
57.498
io.67
106.34
10.013
-1
.334
2.85
-0
.38
100:06
-25 .01
.82 「一
1989/3
金額 携成比 趨勢比
356.521
351.379
1.466
3.676
367.044
106.045
sots
37.547
i.i7z
1.504
3.987
121.TI1
35.123
3.045
36.739
10.155
-10 .523
100.00103.02
38.56102.88
0.atsz.so
LD3125.16
1D2.95107.72
29.741!5.82
0.85125.98
10.53104.98
0.3398.62
0.4299.67
1.12105.81
34.islO4.89
皇0.豊3!06.84
2.5495.88
10.3010d.19
z_ssioi.as
一2 .95-197.32
36
-13 .698
111.765
379.086
一13 .662-2.96-81.85
o.oia.zz
一3 .62-235.97
36.598i.93630.46
45.3191.58
208.36345.13111.03
.00109.6b461.7
1990/3
金額
構 成比
趨勢比
379.750100.00109.73
372.x35
98.07109.04
t.sss
0.52124.71
5.347
1.41182.06
105.81117.33
401.832
!29.276
34.04141.19
3.178
0.84(32.75
ao.20t
10.59112.xO
].315
O.35110.88
1.777
0.47117.76
9.502
1.L8119.8
123.387
32.65106.85
33.919
10.511f8.07
9.451
2.49100.1A
77.GA6
9.92106.87
(0.5JO
2.77105.33
-zz .oaz
-5 .Al-4]4.06
00.00
1991/3
金額 構成比
趨勢比
988.966100.00191.15
479.23298.11140.31
1.7390.36110.20
7,4951.53255.19
442.41090.57129.84
157.86532.32172.42
3.7200.76155.39
a1.7228.ad116.65
1.1180.23119.56
2.0690.42137.11
5.3561.10142.la
127.67226.13110.03
x2.5728.71125.92
10.6142.17112.51
35.807.3dIOLGd
13.562?.ア8135.53
96.0569.93A63.60
〒
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一111一
一2 .40-110.65
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金 分 析
資 金 運 屠表 は、 資産 の 増加+負 債 ・
資 本 の減 少 一資産 の減少+負 債 ・資本
の増 加 とい う複式 簿 記 の原 理 に もとつ いた関 係 を利 用 し、資金 の 調達 と運
用 の2っ の観点 か ら貸借 対 照 表 を分 析 す る もの で あ る。 こ こで は 日本 テ レ
ビ、朝 日放送 、NHKの1987年3月
期 か ら1991年3月 期 まで の4期 分 の 資金
運 用 表 を もとに、各社 の資 金 の動 き につ いて 考察 して み る。
1日
本 テ レビ
1987年3月 →1988年3月 の大 きな特 徴 は 、流 入 した 資金 を すべ て 資産 の増加
に利 用 した点 で あ る。 そ の内 容 をみ る と、有 価証 券 、コマ ー シャルペ ーパ ー
等 の流 動 資産 、土 地 、長 期 預金 等 の固定 資産 と もに増 加 して い る。一 方 で 、負
債 の転換 社 債 を大 幅 に増 加 させ 、資 金 を調 達 して い る。1988年3月
→1989年3
月 にな る と、有価 証 券 、長 期 預 金 等 の 資産 項 目が 大幅 に減 少 す る一方 で、 負
債 は前 期 に比 べ て10分 の1程 度 の微 増 で あ る。 これ ら資 産 の減 少 した分 、コ
マー シ ャル ペ ーパ ーは大 幅 に増 え、建 物 、機 械 設備 、土 地 な どが 増加 し、設備
投 資が 進 ん で い る模 様 で あ る。前 期 に増 大 した転 換 社債 は、これ以 後 毎期 減
少 して い くこと にな る。1989年3月 →1990年3月 に な る と、 資産 で は、コマ ー
シ ャル ペ ーパ ーが大 幅 に減 る一 方 で、有 価証 券 が 大幅 に増加 して い る。ま た
機 械設 備 も増 え 、順 調 に設 備 投 資 を行 って い る。他 方 、負 債 は再 び大 幅 に増
加 して い る。特 に、未払 金 や 未 払税 な どが大 き い。固 定 資産 圧 縮未 決 算 特別
勘定 も大 きい。1990年3月 →1991年3月 にな ると、資産 で は 、コマ ー シ ャル ペ ー・
パ ーが 引 き続 き減少 す る一 方 で 、売掛 金 、有価 証 券 が大 き く増 加 して い る。
負債 で は、前 期 増加 項 目の か な りが減 少 して い る。 な お、固定 資産 圧縮 未 決
算 特別 勘 定 が 重 ねて 出 て くるが 、 これ は固定 負 債 か ら流 動負 債 へ一 部 振 り
替 え られ たた めで あ る。 全 体 と して は、有 価 証 券 、コマ ー シ ャル ペ ーパ ーの
増減 が 激 し く、 財 テ クの跡 が見 られ る。一 方 で売 掛 金 は毎 期 増加 し続 け、設
備 投 資 もコ ンス タ ン トに行 わ れて お り、本 業 の方 は順調 で あ る。 負 債 で は、
借 入 金 が な く、「無 借 金経 営 」の状 態 で あ る。更 に、資本 項 目はす べ て増 加 し
続 け、内部 留 保 もか な り充 実 させ て い る様子 で あ る。 以 上 か ら、極 め て優 れ
た財務 体 質 を保 持 して い る と言 え る。
2朝
日放 送
一112一
1987年3月 →1988年3月 の期 間 に、資産 で は、建物 ・構 築 物 、機 械 ・
装置等の固
定 資産 が 減 少す る一 方で 、有 価証 券 が大 幅 に増加 した。負債 で は、支 払 手形 、
買掛 金 、法 人税 等 充 当金 な ど と と もに、引 当金 項 目が 増 加 して い るが 、 減少
はわず か で あ る。1988年3月 →1989年3月 に な る と、資産 は ほ とん ど減 少 せ ず 、
売掛 金 を は じめ流 動 資産 が 増 加 して い る。固 定 資産 も増 え、その 資産 を 設備
関係 支 払 手 形等 の負 債 に よ って調 達 した と考 え られ る。な お、負債 は ほ とん
ど減 って い ない。1989年3月 →1990年3月 には、資 産 で は、長 期貸 付 金が 減 った
程度 で受 取 手形 、有 価証 券 を は じめ、流動 資産 が大 幅 に増 え た。 固定 資産 も
土地 ・そ の他 が増 大 して い る。 一方 、負債 は、設 備関 係 支 払手 形 、買 掛 金 が増
え続 け、法 人税 等 充 当金 並 び に引 当金項 目が 増 加 して い る。 他 に、前 期 の増
加分 の半 分 程 の その他 の流 動 資産 が 減少 して い る。1990年3月 →1991年3月 で
は、資産 の うち、現 金 ・
預 金 、有 価証 券 等 、流 動 資 産が 大 き く減 少 す る一 方 、建
物・
構 築 物 、機 械 ・装 置 な ど固 定 資産 が増 え、流 動 資産 か ら固定 資産 へ の シフ
トが見 られ る。 ま た、負債 も今 まで とは異 な り、増加 に比 べ減 少 の方 が 大 き
くな った。更 に、過 去3期
間 増 加 して いた 資本 も当期 未 処 分利 益 金が 減 少 し、
や や 、経 営 状 況が 悪 化 した と思 わ れ る。総 じて 、毎期 、設 備 投 資 は順調 に行 わ
れ て い るよ うで あ る。一 方 で 、買掛 金 が 毎期 増 加 して お り、東 京 キ ー局 に対
す る、在 阪 準 キ ー局 の相 対 的 地 位 の低 下 の表 れ で は なか ろ うか。その こ とは 、
日本 テ レ ビとの 資金 運用 総 額 自体 の規 模 の違 いか らも言 え るで あろ う。
3NHK
1987年3月 →1988年3月 に お いて 、資産 で は、放 送衛 星 、長 期保 有 有価 証 券 が
大 き く減 少 す る一 方 で、有 価 証 券 が大 幅 に増 え た。これ は長期 保 有有 価 証 券
の うち償 還 期 限 の近 づ い た もの を 、有 価証 券 へ と振 り替 え た と思 わ れ る。ま ・
た、建 物 、機 械及 び装 置 、放 送 衛 星建 設 仮勘 定 が 増 え 、設 備 投 資が 盛 ん で あ る。
他 方 、負 債 は ほ とん どが増 加 して い る。1988年3月 →1989年3月 で は、資産 の有
価 証券 が大 幅 に減 少 して い る。また 、放 送 衛星 建 設 仮勘 定 の増 加 か ら、着 々
と衛 星放 送 事 業 を展 開 しつつ あ る こ とが 読 み取 れ る。 そ の他 に も固定 資産
は増 加 し、設 備 投 資 は盛 ん で あ る0一 方 、負債 で は、-・
年 以 内 に償 還 す る放 送
債 券 、そ の他 の 固定 資産 を 中心 に大幅 に増 加 して い る。長 期 借入 金 はか な り
減 少 して い る。資本 は、増 加 額 を 減 少額 が 上 回 り、業 績 が悪 化 しつ つ あ る。19
89年3月 →1990年3月 に な る と、資産 の有 価 証券 が 引 き続 き減 少 して い る。 そ
の分 、現 金及 び預金 が 増 加 し、それ は 、有 価 証券 を 売却 したか 、 あ る いは、償
一113一
還 され た か に よ る増 加 で は な いだ ろ うか 。ま た、放送 債 券 償還 積 立 資産 が 減
少 して お り、その分 で放送 債 券 を償 還 した と思 わ れ る。 更 に、長 期借 入 金 が
大 幅 に増 え、固定 資産 の取 得 に用 い た と思 われ る。 な お、資本 は減少 す るの
みで業 績 は更 に悪 化 した模 様 で あ る。1990年3月 →1991年3月 に は、前 期 とは
逆 に現 金 及 び預 金 が 減少 し、有 価証 券 が大 幅 に増加 した。放送 衛星 を は じめ 、
設 備投 資 に は熱 心 で あ る。負 債 で は、受 信料 前 受 金が 大 幅 に増 加 した。 これ
は、受 信 料 値 上 げ に よ る と ころが大 きい。 一 方 で、短 期 借入 金 が大 幅 に増 え、
資 金調 達 に苦労 して い るよ うで あ る。他 方 、その他 の固 定 負債 はか な り減少
して い る。資 本 で は、1991年3月 決算 で繰 越 欠 損 金 を 出 した もの の 、増 加 額 が
減 少額 を上 回 り、や や 、持 ち直 した様 子 で あ る。全体 的 に、NHKは
衛 星 放送
事 業 を展 開 して お り、盛 ん に設 備投 資 を行 って い る。その た めの 資金 を 調達
す るの に、か な り負 債 に頼 って い る よ うで あ る。 その た めか 、こ こ2年 で 当
期事 業 収 支 差金 での赤 字 や、 繰越 欠 損金 を だ す な ど経営 状 況 は余 り良 くな
い。
4ま
とめ
以 上 か ら、3社 を 比較 す る と、 まず、日本 テ レビと朝 日放 送 との問 にあ る
東京 キ ー局 と在 阪 準 キ ー局 との違 いは 、 その まま資 金力 の違 い とな って表
れ たて い る。 しか しなが ら、規 模 の 違 い は あ るにせ よ、民 放2社
ず健 全 な経営 状 況 に あ る と言 え る。他 方 、NHKは
資金 負担 の ツ ケが 出 て き た格 好 と な った。
一114一
と もまず ま
、衛 星 放 送事 業 の 多額 の
日本 テ レビ
i
資 金 運 用 表1987年3月
一一1988年3月(単
日本 テ レ ビ
位 百 万 円)
1
の
(1)資 産の減少
自己株式
建物
構築物
車両運搬具
審具備品
電気通信施設利用権
中継施 設利用権
長期貸付金
関係会社長期貸付金
差入保証金
(II)資 金の運用
(1)資 藍の増加
現金預金
受 取手形
売掛金
有 価証券
貯藏品
番組勘定
前払費用
コマーシャルペ ーパー
その他の流動 資産
機械設備
土地
建設仮勘 定
その他の無形固定 資産
投資有価証券
従業員長期貸付金
長期預金
長期前払費用
その他の投資
日本 テ レ ビ
57
813
20
10
6
s
2
zs
43
26
1.009
(皿)資 金の運用
(1)資 産の増加
現金預金
受取手形
売掛 金
有価証券
自己株式
貯蔵 品
前払 費用
その他の流動資産
構 築物
機械設備 、
車両運搬具
建設仮勘定
その他の無形固定資産
投資有価証券
関係 会社株式
長期 前払費用
長期預金
差入保証金
その他の投資
29
774
2.809
412
1.229
19
5
35
307
18.637
72
sz
24.380
(3)資 本の増加
資本金
資本準備金
利益準備金
その他の準備金
(1)任意積立金
(2)当期未処分利益金
110
1.646
2.181
2,182
72
(II)資 金の運 用
(1)資 産の増加
現金預金
受取手形
売掛金
自己株式
貯蔵品
番組勘定
コマー シャルペーパー
その他の流動 資産
建物
機械設備
車両運搬具
岩具備品
土地
その他の無形固定資産
投資有価証券
長期前払費用
差入保証金
その他の投資
2,492
2,081
9.008
㎜
1.64T
4.741
65
ass
23T
4.498
155
25
2.185
4.288
z
24
8
14.285
3
齎
10
資金 運 用 表1989年3月
1のw.
(1)資 産 の減少
番組勘定
コマ ーシャルベーパー
建物
器 具備品
土地
中継施設利 用権
従業員長期貸付金
関係会社長期貸付金
(2)負 債の増加
支払手形
未払金
未払法人税等
未払事業税等
未払費用
前受金
預 り金
返品調 整引 当金
設備 関係支払手形
転換社債
退職給与 引当金
貸倒引当金
資金 運 用 表1988年3月
の
(1)資 産の減少
有価証券
構築物
建設仮勘定
電気通信施設利用権
中継施設利用権
長期貸付金
従業員長期貸付金
長期預金
233
11.197
135
19
488
1
2
293
12.363
一一1990年3月
(単位 百万 円)
(2)負 債の増加
支払手形
未払金
未払法人税等
未払事業税等
未払消 費税
未払費用
前受金
預 り金
設備関係支払 手形
役員退職慰労引当金
齪職 繊算㈱ 碇
(3)資 本の増加
資本金
資本準備金
利益準備金
その他の剰余金
(1)任意積立金
(2)当期未処分利益金
41
7.587
2.352
22.899
70
211
140
205
59
i,soo
70
2.233
9
535
149
193
sot
8
191
39.449
(2)負 債 の減少
返品調整引当金
貸倒引当金
転換社債
退職給与引当金
11.954
io
4.709
4
z
48
103
18.048
34.889
201
1,887
1.070
116
2.698
sai
21,858
163
1,855
1.878
9
72
6.383
i
372
311
d]
?7
39.755
日本 テ レ ビ
資 金運 用 表1990年3月
のK入
産 の 減少
現金預金
36
受取手形
869
zoa
前払費用
コマ ー シ ャル ベ ー パ ー
8.941
構築物
33
建設仮勘定
1.043
sa
電気通信施設利用権
中継施設利用権
10
1.013
長期預金
差入保証金
475
13.109
→1989年3月(単
位 百 万 円)
(2)負 債の増加
支払手形
未払費用
前受金
預 り金
返品調整引当金
貸倒引当金
262
i.610
44
is
9
83
2.019
(3)資 本の増加
資本金
資本準備金
利益準備金
その他の剰余金
(i)任意積立金
(2)当期未処分利益金
(2)負 債の減少
未払金
未払法人税等
未払事業税等
設備関係手形
転換社債
退 鞍給与引当金
→1991年3月
3.498
3.493
87
4.493
2.265
13.832
740
799
1.269
248
791
6.988
890
10,985
禰
(単位 百万円)
1
(1)資
1.481
592
4.165
615
2.454
2.344
56
189
773
778
7.305
19.747
4.667
9.667
116
(2)負 債の増加
未払費用
前受金
預 り金
返品調整引当金
設備関係支払手形
固
醗
1.060
ss
101
s
641
3.846
79
5.798
繊則捌齪
役員退職慰労引当金
(3)資 本の増加
資本金
資本準備金
利益準備金
その他 の剰余金
(1)任意積立金
(2)当期未処分利益金
387
387
133
7.502
1.105
9.514
禰
6,392
1.252
17.099
4
(II)資 金の運用
(1)資 産の増加
売掛金
有価証券
自己株式
貯蔵品
番組勘定
その他の流動資産
建物
機械設備'
車両運搬具
器具備品
土地
その他 の無形固定資産
投 資有価証券
関係会社株式
長期貸付金
従業員長期貸付金
長期前払費用
その他 の投資
4
218
9.336
202
9.760
4.109
(2)負
3.814
2.970
zs
109
731
449
1.660
494
3
95
925
71
402
1.501
282
48
162
487
14.679
債 の 減少
支払手形
未払金
未払法人税等
未払事業税等
未払消費税
貸倒引当金
転換社債
退職給与引当金
一
335
286
2.901
332
776
4
775
i.023
7,305
'一2
13.737
.416
有価証券報告書 より作成。
一115一
朝日放送 資金運用表
(1)資 金の流入
(1)資産 の減少
半製品 ・
仕 掛品
建物 ・
構築物
機械・
装置
船舶・
車両 ・
運搬具
その他有形固定資産
建設仮勘定
無形固定 資産
長期貸付金
1987年3月 →1988年3月(単
位
朝 日放送 資金運用表
(1)資 金の流入
(1)資産の減少
短期貸付金
船舶・車両。運搬具
その他償却対象資産
無形固定 資産
長期貸付金
302
261
438
8
15
i
1
17
1,043
(2)負債 の増加
支払手形
買掛 金
未払金
未払費用
前受金
従業員預 り金
法人税等充当金
賞与引当金 ・
未払賞与
その他短期引当金
その他流動負債
退職給与引 当金
貸倒引当金
roo
548
389
2.182
43
4
182
71
(II)資 金の運用
(1)資産の増加
現金。
預金
受取手形
売掛金
有伍証券
半製品 。
仕掛品
貯蔵品
短期貸付金
建物・構築物
機械・
装置
船舶・
車 両・
運搬具
その他債却対象資産
土地 ・その他
建設仮勘定
投資有価証券
その他投資
109
3.627
2
1
zi
2
285
311
(2)負債の増加
設備関係支払手形
買掛金
未払金
未払費用
前受金
法人税等充 当金
賞与 引当金
その他短期引当金
退職給与引当金
貸倒引当金
596
1.421
860
1.019
99
1
87
1.414
(2)負債の減少
支払手形
従業員預 り金
その他流動負債
その他固定負債
位
3
zo
215
(2)負債 の増加
設備関係支払手形
買掛金
前受金
法人税等充当金
賞与引当金・
未払賞与
その他短期貸付 金
その他 流動負債
退職給与 引当金
貸倒 引当金
(3)資本の増加
任意積立金
当期未処分利益金
83
19
位
17
175
98
2
631
38
226
125
212
19
1.891
9i
3.720
1989年3月 →1990年3月(単
1988年3月 一・1989年3月(単
百万 円)
朝 日放 送
41
zo
1.222
208
189
sos
27
4.293
(II)資 金の運用
(1)資産 の増加
貯蔵品
未収入 金・
未収収益
短期貸付金
建物 ・
構築物
機械 ・
装置
船舶・車両・運搬具
その他償却対象資産
建設仮勘定
無形固定資産
投資有価証券
長期貸付金
その他投 資
1.800
1,930
3.730
$.339
122
125
297
s
550
8.570
160
366
630
336
351
1
92
2.332
3
3
7
4
9
20
4.231
1
58
518
8
50
1.575
12
59
86
4.211
252
73
65
800
179
1.366
20
2.755
7
51
・1
402
964
io
158
153
一一1991年3月(単
379
百 万 円)
33
59
847
42
2
983
(3)資本の増加
任意積立金
(2)負債 の減少
未払金
未払費用
前受金
法人税等充当金
その他短期引当金
その他流動負債
退職給与引当金
その他固定負債
3
178
位
(2)負債 の増加
支払手 形
設備関係支払手形
買掛金
賞与引当金・未払賞与
貸倒引当金
3.700
3.700
7.438
389
15
35
1.908
275
59
723
7
3.406
(3)資本の減少
当期未処分利益金
sso
34
37
2.179
98
147
会社年鑑よ り作成したため合計額は一致 しない。
一116一
sio
99
38
520
42
1.000
863
1.863
(2)負債の減少
支払手 形
未払金
未払費用
従業 員預 り金
その他固定負債
2991
34
8.020
206
729
s
4.910
資 金運 用 表1990年3月
(1)資 金の流入
(1)資産の減少
現金・預金
受取手形
売掛金
有価証券
半製晶 ・
仕掛品
その他流動資産
土地・その他
55]
560
866
百 万 円)
金 の流 入
(1)資産 の減少
未収金・未収収益
その他流動資産
無形固定 資産
長期貸付金
128
254
93
zo
50
714
769
3.648
(2)負債の減少
設備関係支払手形
その他固定負債
(3)資本 の増加
任意積立金
当期未処 分利益金
(皿)資 金の運用
(1)資産 の増加
現金・
預金
受取手形
売掛金
有伍証券
半製品 ・
仕掛品
貯蔵品
未収入金 ・
未収収益
その他流動資産
建物・構築物
機械 ・
装置
土地・その他
建設仮勘定
投資有価証券
その他投 資
朝 日放送 資金運用表
(1)資
(3)資本の増加
任意積立金
当期未処分利益金
(皿)資 金の運用
(1)資産 の増加
現金・
預金
受取手形
売掛金
有伍証券
未収金。未収収益
短期貸付金
その他流動資産
投資有価証券
その他投資
百 万 円)
1.031
1.031
7.428
NHK資
金運用表
(1)資 金の流入
(1)資 産の減少
現金及び預金
受信料未収金
貯蔵品
未収金
その他の流動資産
放送衛星
車両及 び運搬具
器具
その他の建設仮勘定
長期保有有価証券
放送債券発行差金
1987年3月 一1988年3月(単
319
398
1
398
59
6.354
220
30
4.302
is,270
14
位
(2)負 債の増加
癩 に
邸%長 期借入金
棚 に鰯妬放送債券
未払金
受信料前受金
放送債券
退職手当引当金
277
920
1.200
2.000
2.570
340
6.807
(3)資 本の増加
固定資産充当資本
当期事業収支差金
9.952
5
9.95i
45.124
28.360
(江)資 金の運用
(1)資 産の増加
有価証券
前払費用
建物
構築物
機械及 び装置
土地
放送衛星建設仮勘定
無形固定資産
長期預金
出資
長期前払費用
放送債券償還積立資産
放送債券発行費
NHK資
金運用表
(1)資 金の流入
(1)資 産の減 少
有価証券
機械及 び装置
放送衛星
無形固定資産
長期預金
放送債券償還積立資産
放送債券発行費
放送債券発行差金
(II)資 金の運用
(1)資 産の増加
現金及 び預金
受信料未収金
前払費 用
未収金
その他 の流動資産
建物
構築物
車両及び運搬具
署具
土地
放送衛星建設仮 勘定
その他の建設仮 勘定
長期保有有伍証券
出資
長期前払費用
&606
4.238
6.750
192
5.039
390
2.904
5.892
4.000
273
1
NHK資
金運用表
(1)資 金 の流入
(1)資 産 の減少
有価 証券
前払 費用
未収 金
その他の流動資産
構築物
放送衛星
無形固定資産
長期前払費用
放送債券発行費
放送債券発行差金
百万 円)
(2)負 債の減少
その他の流動 負債
長期借入金
(II)資 金の運用
(1)資 産の増加
現金及び預 金
受信料未収金
貯蔵 品
建物
機械及 び装置
車両及 び運搬具
器具
土地
放送衛星建設仮勘定
その他の建設仮勘定
長期預金
長期保有有価証券
出資
放送債券償還積立資産
12
276
288
(3)資 本の減少
繰越剰余金(欠損金)
4.147
4.147
45.124
2.390
14
40.689
1989年3月 一・1990年3月(単
11.965
2.131
3.790
959
z,000
2.358
92
159
23.449
20.557
310
1.335
19
690
2.310
265
457
44
136
s.000
4.568
4.050
787
位
NHK資
金運 用表
(1)資 金の流入
(1)資 産の減少
現金及 び預金
貯蔵品
建物
構築物
岩具
放送衛星建設仮勘定
無形固定資産
放送債券債還積立資産
百 万 円)
(2)負
債の増加
短 期借 入 金300
煽 題 済%長 期 借 入 金5,026
棚 に樹 る
放 送 債 券190
未 払金9,369
受 信料 前 受 金4,932
そ の 他 の 流動 負 債419
長 期借 入 金15.657
退 職手 当 引 当金2,050
37.943
61.392
(2)負 債 の減少
放送債券
i5.ooa
4.942
ss
122
399
4.008
1.003
9
5
21
25.580
4.825
14
3
2.001
3.413
310
26
683
3.784
i.oso
568
5,160
298
位
(2)負 債の増加
噸鯖 に
翻妬長期借入金
輝珈仁鰯妬放送債券
未払金
受信料前受金
その他の流動負債
退職手当引当金
その他の固定負債
(3)資 本の増加
固定資産充当資本
百 万 円)
189
4.220
1.313
1.637
40
sso
5.068
13.127
10.315
10.315
49.022
(2)負 債の減少
放送債券
長期借入金
3.650
2.851
6.501
(3)資 本の減少
繰越剰余金(欠損金)
当期事業収支差金
4,504
13.815
18.319
49.022
2.027
24.202
1990年3月 →1991年3月(単
位
(2)負 債の増加
7.158
短期借入金
2 4納 に
鮪する長期借入 金
366 未払金
256
受信料前受金
19 その他の流動負債
7,001
長期借入金
910 退職手当引当金
2.732
18.444
(3)資 本 の増加
当期事業収支差金
百 万 円)
12.901
3.006
8.549
19.271
5.368
2,530
1.300
52.925
50.296
50.296
121.665
(II)資 金の運用
(1)資 産の増加
受信料未収金
有価証券
前払費用
未収 金
その他の流動 資産
機械及び装置
放送 衛星
車両 及び運搬具
土地
その他 の建設仮勘定
長期預 金
長期保有有価証券
出資
長期前 払費用
五,840
1.840
(3)資 本の減少
繰越剰余金(欠損金)
当期事業収支差金
1988年3月 →1989年3月(単
8.005
5.693
13.698
61.392
4.331
45.859
1.468
31.281
3.216
14.476
1.258
12.470
11.350
(2)負 債の減少
輝以障醒 す
る放送債券
放送債券
その他の固定負債
6.908
(3)資 本の減少
繰越剰余金(欠損金)
405
226
5.457
5.032
12.797
318
1.355
101.059
NHK年
一117一
1,970
370
5.068
鑑 よ り作 成 。
13.698
13.698
121.665
■V安
定 空生 分 析
流 動比 率 とは流動 負 債 の支 払 能 力 の度 合 い を示 した比 率 で あ り、古 くは2
00%以
上 が理 想 と され た。各社 を比較 して み る と、日本 テ レ ビと朝 日放送 が
異 常 な ほ ど高 い値 を示 して い る点 が 注 目され る。1987年度 の全産 業 平均(大
企 業)が118.0%で
あ る点 か ら考 えて も極 めて優 れて い る。 その 内容 を み て
み る と、日本 テ レ ビは有 価 証 券 、 コマ ー シ ャル ペ ーパ ー にやや 変動 が あ り・
財 テ クの跡 が 見 られ るが、流 動 資産 は総 じて適 正 で あ る。流動 負 債 に関 して
も問題 は な い と思 わ れ る。 ま た、朝 日放送 に お いて も流 動 資産 、流動 負 債 と
もに問題 は な い と思 わ れ る。 一 方 、NHKは1988年3月
決 算 の後 、100%を 割
り込 ん で い る。 そ こで 内容 につ いて調 べ る と、流 動 資産 の うち、受 信料 未 収
金 を ほ とん ど回 収 で きて お らず 、 流動 資産 を縮 小 せ ざ るを 得 な い状 況 で あ
る。ま た、流 動 負 債 の うち半 分 以 上 を受 信 料 前受 金 が 占めて い る。 これ は必
ず しも支払 い義 務 を伴 う負債 で はな い ことを考 え る と、NHKの
支 払能 力
は比 率 ほ ど悪 い とは言 い切 れ な いの で は なか ろ うか 。な お、受 信料 前 受 金 と
は 、視 聴 者 が1年
分 を前 以 て払 う金 で あ り、よ く問題 にされ る受信 料 未収 金
及 び欠 損 引 当金 と比 べ、か な り金 額 が大 きい。 つ ま りNHKで
対 して 、極 め て ま じめ に支 払 う層 と、そ うで ない層 の2つ
は、受 信料 に
の層 が視 聴 者 に存
在 して い る こ とが うかが え る。
次 に、流動 資産 の うち、速 や か に現金 化 し得 る資産 で あ る当 座 資産 を分 子
と した比 率 で あ る当座 比 率 にっ いて み てみ る。日本 テ レ ビ、朝 日放 送 は流動
比率 同 様 に高 い値 を示 して い る。一 方 、NHKは
悪 化 し続 けて い る。100%以
上 が理 想 とされ 、1987年 度 の全 産 業平 均(大 企業)が82.1%で
あ る ことか ら
考 えて も、NHKは
この辺 で歯 止 めを か け たい と ころで あ ろ う。 ま た、流 動
比 率 と比 べ て3社
と もか な り近 い値 を示 して い るの は、 放 送事 業 の 特徴 と
して棚卸 資産 が 少 な い ことか ら当然 といえ る。
固定 比率 とは、 自己資本 で どれ だ け固 定 資産 を 賄 え るか を知 る もの で あ
り、100%以 下 が 望 ま しい とさ れ るが 、現 実 的 に は 自己 資本 だ け で固定 資産
を調 達 す る こと は困難 で あ る。 そ こで、固定 資産 に投 下 、:運
用 す る資 金調 達
源 泉 は、自己資 本 と固 定負 債 との合計 額 以 下 に押 さえ るのが望 ま しい。そ こ
で考 え られ たの が 固定 長期 適 合 率 で あ る。民 放2社
は、固 定比 率 、固定 長 期
適 合 率 と もに全 く危 な げな い値 を示 し、固定 資産 の 内容 も特 に変 化 は な く、
無 理 の な い設 備 投 資 を行 って い る様子 で あ る。-・
方 、NHKは
一118一
固定 比率 が 理
想 値 とは掛 け離 れ て い る もの の、 固定 長 期適 合 率 は ほ ぼ100%前
に近 い値 を 示 して い る。NHKは
後 と、理 想
近 年 、衛 星 放送 事 業 を展 開 して お り、この
事 業 に関 して 、放 送 衛 星 にか な り投 資 して い る こ とが 少 なか らず 比率 に影
響 した もの と思 わ れ る。
自己資本 比 率 は、一 般 に50%以
較 す ると、NHKが
上 あ る ことが望 ま しい とされ る。3社 を 比
ここ2∼3年45%台
を 示 して い るが 、1987年度 全産 業 平 均(
大 企業)が25.0%出
あ る こ とか ら考 えて 億ぼ良 好 な値 といえ る。そ れ ぞ れ に
つ いて 自己資 本 の 内容 を調 べ て み る と、日本 テ レ ビ、朝 日放 送 と もに法定 準
備 金、剰 余 金が 膨 大 で あ る。 また、貸 借対 照 表上 で は負債 と して計 上 され て
い る退 職 給与 引 当金 な ど、比 率 には表 れ な い 自己 資本 源 泉 もあ り、この比 率
の値 以上 に 自己 資本 が 充実 して い る様 子が うか が え る。一 方、耳:HKが
ここ
2年 、自己 資本 比率 を下 げ た原 因 と して、 当期 事 業 収支 差 金 で赤 字 が生 じ、
繰 越 欠損 金 を 出 した ことに よ る、目己 資本 自体 の減 少 と、短 期 借入 金 な どに
よ る負 債 の増 加 とい う両 側面 が考 え られ る。しか しなが ら、負 債 の 中 に も民
放2社
同様 、退 職 手 当 引当 金 な どの利益 留 保 と して 自己 資本 に組 み入 れ ら
れ るべ き勘 定科 目が あ る こと も見逃 せ な い。
安全性指標
①流動比率(%)
1987
1988
1989
1990
1991
1992
日本 テ レ ビ
229.89
231.03
293.Al
265.02
253.92
276.90
朝 日放送
30t.74
28t.OA
一一-
238.02
230.94
一冒-圃
一一
仰
NHK
103.48
114.76
83.15
り一
曽-ド
皿
220.52
}一
-
一
76.99
82.49
一
一
② 当座 此=f;(%)
1987
1988
212.49
日本 テ レ ビ
ー一
噛
・P
朝 日放送
214.55
「
一 一
1989
1990
1991
264.87
阿
243.51
230.48
一-曹--一
281.17
265.72
87.83
95.02
zze.AJ
72.14
isss
一
isas
98.73」'一
ss.zs
198.14
一P 一
',
NHK
雫
65.85
217.7.2
『F幽
60.79
1992
250.55
}
一
③固定比率(%)
}一
一-一
冒
一
「一
11本
テレビ
一一-一,一 幽一
ー
一
朝 日放送
NHK
ig87
7R.77
9■"一..
isso
59.95
¶ 鱒 一
-一
-P冒
一噂
1991
- 57.90
issz
一57.81
一 丁
}
89.21
83.41
86.90
82.31
84.32
139.53
134.49
ins.。67
166.56
156.89
1990
1991
1992
49.51
48.82
63.2
一
一
④固定長期適合率(%)
1987
1988
1989
日本一一
テ レビ
56.07
60.34
46.52
一44.93
朝 圓放送
60.70
57.04
60.54
59.董8
NHK
92.93
89.63
96.66
ioo.gs
issa
1989
一
一,伊
io2.61
一一
⑤自己資本比率(%)
1987
1990
朝日放送
56.20
53.19
46.88 一『54.98
一-} 一 }}一
一
丁
56.99
55.27
54.53
53.71
NHK
54.28
日本 テ レビ
,一1-{-『
1991
1992
si.is
65.51
}
54.03
52.00
45.31
58.67
45.13
一
一
日本テ レビは有価証券 報告書 より 朝日放送は会社年鑑 より、NH
KはNHK年
鑑 より、 それ ぞれ作成。
一119一
V生
産 生生:分 析
生産 性 は一 般 に投 入量 に対 す る産 出量 の割 合 で 測定 され る。 この投 入 量
と産 出量 は具 体 的 に は様 々 な内 容が 考 え られ るが 、産 出量 と して 付加 価 値
分析 が 分 析 の軸 に な る こ とか ら、生 産 性分 析 は付加 価 値 分析 と して具 体 化
され る こ とに な り、 こ こで もそれ に沿 った分 析 を行 う。
まず 従 業員 数 につ いて み る。こ こで の従 業 員数 とは、正 職 員 で あ って アル
バ イ トな どは含 まれ ない 。全社 と も、企 業 規模 のわ りに はか な り少 な い従 業
員 数 で あ る。 これ は放送 事 業 が 製造 業 その他 と異 な る特 殊 な事 業 形態 に あ
る こ とに起 因 す ると思 わ れ る。続 い て3社
よ り圧 倒 的 に多 い。こ こに全 国 を1社
を比 較 す る と、NHKが
で カバ ーす るNHKと
民放2社
、ネ ッ トワ ー ク
によ って 全 国 をつ な ぐ民 放 との違 いが浮 き彫 りに な って い る。また 、日本 テ
レビが 年 々従 業 員数 を 増 加 させ て い るの に対 して 、朝 日放 送 、NHKで
は減
少 し続 け て い る。これ は、日本 テ レ ビが キ ー局 と して規 模 を 拡大 して い るの
に対 して、朝 日放 送 の在 阪準 キ ー局 と して の地 位 の低 下 の 表 れか 、あ るい は
朝 日放 送 、NHKと
もに合 理 化 を進 め た結 果 の表 れ か、で あ ろ う。
次 に一 人 当 た り営業 収 益 を み ると、従 業 員 数 の差 が 、その ま ま表 れ た様子
で あ る。その 中で も、日本 テ レ ビの高 い値 が 目 につ く。な お 、3社 と もに こ こ
5年 間 は確 実 に増 大 され て い る。
労 働生 産 性 は、付 加 価値/従 業 員数 で表 され る。大 企業 の トヨタが2,366、 ダ
イエ ーが1,760(い ず れ も単 位 は万 円、1990年度)と 比 べ る と、 民 放2社
はか
な り生 産 性 が高 い と思 わ れ る。また、2社 と もほぼ確 実 に増 大 し続 けて い る。
そ の要 因 を考 え て み ると、 日本 テ レ ビは従 業 員数 が 増加 し続 けて い る こ と
か ら、付 加 価 値 自体 が そ れ を上 回 って大 き くな って い る と考 え られ る 。一 方 、
朝 日放 送 で は従業 員 数 の減 少 が 影響 して い る と思 わ れ る。NHKは
、1990年
3月 期 まで は1,200万 円前 後 で 均衡 して い たが 、1991年3月 期 に急 激 に上 昇 し
た。従 業 員 数 の減 少 と付 加 価値 の増 加 の両 方 が原 因 と して考 え られ る。
人 件 費 に関 して は、民 放2社 がNHKに
比 べ て大 き い。 日本 テ レビ、朝 日
放 送 と もに、 主要 企 業 の平 均 給 与 ラ ンキ ング(1989年)の3位
業 で あ り、当然 、人 件 費 も大 きいは ず で あ る。NHKは
まで に入 る企
民 放2社
に比 べ て少
ないが 、従 業員 数 が 多 い ので 人件 費 その もの は莫大 で あ る。 な お、3社 と も
年 々増 大 す る傾 向 にあ る。
労 働 分配 率 とは 、人 件 費 総額/付 加価 値 で 表 さ れ、付 加価 値 を労 働 に対 す
一120一
る分 配 の側 面 か らみ る指 標 で あ る。これ を更 に分解 す ると、労 働 分配 率 一一
人 当 た り人 件費x(1/労
働 生 産性)と な る。 つ ま り、従 業 員一 人 当 た りの人
件費 が 上 昇 して も、労働 生 産 性 の 向上 が そ れを 上 回れ ば 、労 働 分配 率 は低 く
抑 え られ る。一 般 的 な管 理 目標 と して は40%の 水準 が 提 起 され て い る。以 上
の点 か ら3社 を比 較 す る と、 日本 テ レ ビは最 も低 く、更 に、毎 年 低下 し続 け
て い るが40%に
は及 ぼ な い。朝 日放 送 も40%に
る。 これ らに対 して 、NHKは1990年3月
は及 ば な いが 、減 少傾 向 に あ
期 まで上 昇 し続 け たが 、1991年3月
期 に大 幅 に低 下 し、や や、改 善 され た よ うで あ る。
日本 テ レ ビ
従業 員 数(人)
一人当た蟷 業鱗(万 円)
1987.3
1988.3
1989.3
1,209
1,248
1,283
10,753
11,739
12,822
1990.3
1,290
14,287
1991.3
1,306
15,011
労働生産性(朋)
2,089
2,604
2,782
3,330
3,565
一人当たり人傾(万
1,402
1,399
1,476
1,634
1,760
67.1
53.7
53.0
49.1
49.1
円)
労働 分 配 率(%)
有価証券報告書 よ り作成。
朝 日放送
1987.3
1988.3
1989.3
1990.3
1991.3
従業員数(人)
839
839
828
819
800
JASた 嬉 業鰹(珊)
5,706
313
5fi1
977
704
労働生産性(珊)
1,909
2,116
2,490
3,094
2,940
一人当灼 人件費(万 円)
1,513
1,544
1,659
1,782
1,879曝
労 働 分 配率(%)
78.1
72.9
fi6.5
57.6
63.9
会社 年 鑑 よ り作 成 。
NHK
igs73
1988.3
1989.3
1990.3
1991.3
従 業 員 数(人)
15,910
15,670
15,324
14,982
i4,s54
一人当たり躾 鰹(万 円)
労 働生 産 性(万 円)
訊 当たり人艘(万 円)
労働 分 配 率(%)
2,175
2,243
2,327
2,535
3,333
1,197
1,215
i,20i
i,ins
1,721
984
i,030
1,094
1,162
81.0
85.8
91.3
67.5
942
7si
NHK年
一121一
鑑 よ り作 成 。
VI内
部
留
保
分
析
企 業 は利 益 の獲 得 とと もに、 そ の利 益 の留 保 に努 め よ うとす る。利 益
は公 表 され るが 、 これ には配 当 を伴 う部 分 もあ るので 、 企業(特
業)は
に大 企
、利 益 に配 当 を附 属 させ な い た めの 「利 益操 作 」 をす る。 す なわ
ち、本 来 、利 益 で あ るはず の もの ま で費 用 と して計 算 す る会 計 処理 を 行
うの で あ る。 これ を考 慮 にいれ て 、 内部 留保 分 析 を行 う。 な お、利 益 の
費 用化 は、減 価 償却 費 、 退職 給与 引 当金 、貸 倒 引 当金 が 挙 げ られ るが 、
これ らす べ てが 利益 で はな く、真 に費 用 と して 必要 な場 合 もあ る こ とは 、
留 意 して お か な けれ ば な らな い。朝 日放 送 につ い て は、 資料 の関係 で 計
算 が不 能 で あ った 。
1内
部 留保 の フ ロー とス トック
内部 留 保 フ ローは 、期 間合 計 額 と して 発生 し、損 益 計算 項 目 に も とつ
いて測 定 され る。 フ ロー と して 発生 した内部 留 保 は、1頂次 ス トックと し
て 企業 内 に蓄積 され て ゆ く。 その金 額 は貸借 対 照表 項 目に もとつ いて 測
定 され る。
表L4日
本 テ レ ビ に おけ る内 部 留 保 フ ロ ーの 推 移
1987年
摘要/決嫌年
①当期純利益
②配当金等の社外流 出額
①公表利益留保
①公表利益留保率
⑤滅価償却費
⑥退職給与引当金繰入額
⑦貸倒引当金繰入額
⑧制度 的fli保
⑨制度 的 留 保 率
⑱内 部 留保 フn一
1988句 三
表2-1NHKに
(単 位:百 万 円 、
か っこ 内%)
、1】
】989{i…isso,i三1991'町
5.A6117.80519.011110.176
81.4
92811.23511.40611.3fi8
2.6081A..53316.57017.605
8,808
(34.4)(A7.1)(59.1)(50.7)
(59.8)
3.2figI3.142
3,497
3.91814.3Fi1
1.52311,708
713
3,t3]工,230
185zap
331
333137.9
4,9775,097
4,541
7.3ft215.910
(65.6)1(52.9)
(10.9)
(99.3)1(90.2)
7,585
9,63011,1iIl4,98714,718
(100.0) (100.0)(i脆0)(100.0)(100.0)
3,422
②公 表 利 益 留 保 率(8.7)(8.2)
「「「「「 一
1987勺 …1988勾
三19894E
④1:表禾り3芝
留 保 等ζ
⑤減 価 償 却 累 計額
2fi.]57127.950
③公 表 利 益 留 保
⑥退 職 給'}弓 ド務金
-T.冒一- -.一-一
國一」
29,330
?.2.745122.R1717.1.9'17
⑦貸倒 引 当 金
1.305i1.3G7
⑧制 度 的 留 保
50.207152.1a4
⑨窃1∬
喪:ii勺
留 保}郭
(54.i)(52.4)(ns.3)
92.364109.4361106,354
⑳内 部 留 保 ス-トッ ク
3G.598
(一23.6)
(33.A)
37,686
35,sno
23,486
23.'12'1
10,540
13.562
71,812
73,124
(123.6)
(66.6)
一一L一一r』_-」_
58.11A
(too.o)
57,998
(100.0)
109.T12
(100.0)
公 表 利 益 劉 保 二当 期 班 業収 支 差 金
貸倒引当金繰入額・
・
未収 受 信 料 欠 損 引 当 金
1.269/1.34111.428
A1.3881A5.X61152.718
4`L.657147.302154.146
(45.9)
(A7.6)
(50.7)
②剰 余 金
1991年
一13 ,fi98
科 目が 特 殊 な た め 、以 下 の よ う な金 額 集 計 を 行 うた。
(出所)N[IK年
本 テ レ ビに お け る内i;tiit保ス ト ックの 推 移
①不lj益1岬;{lid金
1990年
一8.005
36,739
19,109
10,]55
66,0U3
U13.8)
rte:、「聖
血 算年
笛4τD↓y
(注)「決
」につ いて は 、表1-1を 参照 の こ と。
(出所)f有 価証 券 報 告欝 総 覧.1によ り,i'.算した 。
一-一.r
35.262137.A98
15,80817,6?6
]0,00710,013
61,077165,187
(91.3)1(91.8)
ss.ss2
70,997
(100.0)
(100.0)
⑧内 部 留 保 フ ロ ー
に 記 載 の 年)を さす 。
一,-}一
1989年
(一13.8)
③減価償却費
④退職給与引当金繰 人額
⑤貸倒引当金繰入額
⑥制度的利益留保
⑦制度的利益留保率
、「テ藍t'k'sSFIL∼+'1瞥
↓,
(ri:)「
決 算 年 」と は 、決算 の お
こな わ れ た 年(す なわ ち『有 価 証 券報 告辮 総 覧 』の 表 紙
摘 要/決 算{・
ド
(単 位;百 万 円 、
か っ こ内%)
r】
1988年
①公 表利 益 留 保5,8055、810
r泳
表1-2日
お け る内 部 留 保 フ ロ ー の推 移
摘 要ノ決算年1987年
…
(JoO.0)(且00.G)(100
1,451
52,708
.O)
鑑
表2『2NHKI・
.(脱 位:百 万 円 、
か っ こ内0)
1990年1991年
おけ 納
1,544
i,s77
60.362
sa.ssa
6i.XO6
70.645
(52.7)
(55.3)
31.862
34.355
22.503
21.559
i,233
1,2.29
55.598157.143
(47.3)(44.7)
117.5041127.788
(100.0)Uoo.0)
摘要/決算年
①公表利益留保
②公表利益 留保率
③減価償却累計額
④退職給与引当金
⑤貸倒引当金
⑥制 度 的 留 保 … …
繍
保 ス ト・ クの 推 移(単
位 ・
百 万1・9
、か 。 こ 内%)
丁旧
1987年
22,498
(6.8)
19887=
-π 雫『
一
一 一r_-
1989年
18,355
(5.`L)
280,599
306.3A7
15,600
15,940
10,007
10,013
1990年
3fi
43,662
(o.o)
(一1.9)
331,485
336,242
1G.GOO
18,650
10,155
10,540
9-「一-
pos.20s
332,300
358.2AO
.一
1991年
22,936
(5.5)
360,54.1
19,950
13,562
「}「.-'」r-■.-.r一.--.,
365,432
399,053
⑦制度的留保率
宝83.2)
(]00.0)
⑧内 部 留 保 ス トッ ク
(103.9)
328,704
350,655
358,276
351,770
416,989
(100.0)
(100.0)
(100.0)
(100.0)
(100.0)
(94.8)
(注)「決 算 年 」に つ い て は、表1-1を 参 照 の こ と
。
科 目が 特 殊 な た め 、
以 下 の よ うな 金額 稟計 を お こな った
。
(Y.1:)「
決 算箪 」`三
つ い て は 表1一・1を参照 の こ と,,
公 表 利 益留 保 に積 立金1当 期 事 業収 支 差 金
貸 倒 引当 金=未 収 受 信 料 欠 損引 当金
(出所)『有価 証 券 報 告 諜総 覧.1によ り;:1二
算 したる
(iii所)NIIK年
一122一
鑑
(99.5)
日本 テ レ ビに お いて は、 円高 不 況 脱 出後 の好 景 気 に うま く乗 り、 着実
に内蔀 留保 フ ローを確 保 して い る。 しか も、 「当期純 利 益 」 の伸 びを背
景 に、 驚異 的 と もい え る伸 びを み せ て い る(1987年:約76億
円→1991年
:約147億 円)。
そ して 、 この 内部 留 保 フ ローを もとに 、 内部 留 保 ス トッ
ク も順調 な伸 びを示 して い る(1987年:約929億
円→1991年:約1278億
円)。
「制 度 的留 保 率 」が 徐 々 に低 下 して い るが、 これ は利 益 の費 用化
を 抑 え、"益
だ し"に 走 った とみ る よ り もむ しろ 、 合法 的 な会計 処 理 で
は圧 縮 で きな い ほ どの利 益増 加 が あ った、 と考 え た ほ うが 妥 当 で あろ う。
一 方 、NHKで
あ るが 、 まず 注 目す べ きは公 表 利益 留 保 で あ る 。NH
Kは 受 信料 で 収入 の ほ とん どを まか な って い るた め 、 受 信料 値 上 げ以 外
に は、収 入 の 大幅 増 加 はな い。 そ の影 響 が大 き くでて い る といえ よ う
。
す なわ ち、1987年 ∼1990年 まで は受 信料 が 据 え置 か れ て い るた め 、 収入
の大 幅 な増加 が な く、 しか も支 出の 増加 が あ って 、 内部 留 保 フ ローの公
表利 益 留保 が 急 激 な低 下 を示 し、1989年 には マ イナ ス に まで転 落 して い
る。1991年 は受 信料 値 上 げが あ り、一一気 に約366億 円 の公表 利 益 留保 を
確 保 して い る(ち
なみ に、 受 信料 値 上 げ によ る増 収 額 は約1068億 円) 。
また、制 度 的留 保 率 が高 す ぎ るの も、 日本 テ レ ビの それ と比 較 す れ ば顕
著 で あ る。 留保 力 の 基盤 がNHKは
もろい とい え よ う。摘 要 を細 か くみ
ると、減 価償 却 にっ い て は問題 な い(日 本 テ レビの累計 償 却率 は40%後
半 ∼50%前
半 、NHKの
そ れ は60%前
後 で 推移)。
退 職 給 与 引 当金 と繰
入額 との差 が あ ま りな い と ころを み る と、 か な りの部 分 が取 り崩 されて
い ると考 え られ る。 つ ま り、 「利益 の費 用化 」 よ り も、 真 に費 用 と して
必 要 な部 分 で あ る。NHKの
規 模 が 大 き いあ ま りの不 利 な点 といえ る。
内部 留保 フ ロー の数 値 よ り も、実 態 は留保 力 が弱 い とい え よ う。 ち なみ
に、貸 倒 引 当金 につ い て は、毎 期 、 全額 取 り崩 され て い るので 、 フ ロー
とス トックはつ ね に一 致 して い る。
2フ
ロー金 額 とス トック増 加 額 の不 一 致
内部留 保 フ ローが 内 部留 保 ス トック にすべ て 流 れ ると 、 ス トックの増
加 額 は っね に フ ローの金 額 と一致 す る。 しか し実 際 は、減 価 償 却 の廃 棄 、
退 職給 与 の支 払 い、 貸 し倒 れ の発 生 で 、 内部 留保 ス トックの取 り崩 しが
行 わ れ る。 そ うす る と当然 、両 者 で 不一 致 が表 れ るの で あ る。
一123一
表1-3日
本 テ レ ビの 内 部 留 保 に み るフ ロー 金額 と ス トッ ク増 加 額 の 不 一 致
(単位:百 万FII)
牽23NllKの
摘要/決算年
①内 部 留 保 フ ロー
②内 部 留 保 ス トッタ増 加 額
③不 …致 額
④有tf多
塾
占1定資 産
灘llll鯉ll
(注)「決 箕 年 」に つ い て は 表1-1を 参 照 の こ と。
内 部 留 保 に み る フ ロ ー 金 額 と ス ト ッ ク 増 加 額 の 不 …'致(鱒
.摘
要/決 算 年1987句1198811三-fす89fI…
①内 部 留 保 フ ロ ー66.雨
を-."75
,99757,99858.1t4109.722
②内 部 留 保 ス ト.)・(一
ク 増 加 額12.09821,9517.621
⑤」
・致 額54,78449
,04650,37764,62044.503
④ti1E多ll「rl㌶
三3r『ミ22=1
(出 所)『NnK年
はサ .R95
(注)「 決 算 年 」に つ い て は 喪1・.1を 参 照 の
位:百
万 円)
嘩 -f亟}6τ1…-一1991勾
.331琶i胚 .
。瞥264
う モ ?,4:3.07.:312fi5.2R!)
鑑 』に よ り 訓'鴛〔し たo
(出所)『有 価 証 券 報 告 書 総 覧」に よ り計 算 した 。
日本 テ レ ビで み る と、 不一 致 額 が約30億 円 ∼約40億 円の水 準 で推 移 し、
有 形固 定 資産 も順調 に増 加 して い るの で、 ス クラ ップ ・ア ン ド ・ビル ド
が 確実 に行 わ れ続 けて い る といえ る。好 調 な業 績 を 反映 して い るとい え
よ う。NHKは
不 一致 額 は確 か に 巨額 だが 、 そ れが 有形 固 定 資産 の増加
にっ な が って い な い。有 形 固定 資産 が 多 け れば多 い ほ どよ い とは いえ な
いが 、 こ こで の不 一 致 額 は前述 した よ うに、 退職 給 与 や貸 し倒 れが 実 際
に発 生 して い るた め お こった部 分が 多 い。 つ ま り、 内部留 保 フ ローが 発
生 して も、 それ が堅 実 にス トックさ れて いな いの で あ る。
3キ
表1-4
ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー 分 析
日 本 テ レ ビ1。 お け る キ ャ 。 シ ュ.フ
1987年
摘 要!決 算 年
当 期純 利 益
3.A22
対 前年 増 加 率
(6.8)
。_の
1988年
推 移(単
1989年
.j
。805
5,961
(59.G)
(A2.9)
減 価 償却 費
3,269
3,192
3,497
キ ャ ッシ ュ 。フ ロー-
6,691
8,603
11,302
(一2.7)
(28.6)
(31.4)
7.585
9.X30
(一1.3)
(27.0)
対 前 年増 加 率
内部 留保 フ ロ ー『
対 前年 増 加1率
11,111
U5.4)
位,百
万f9、 か 。 こly%)表2-4NIIKに
1990年
1991年
9,011
10,176
(tJ.J)
(12.9)
3,918
12,929
(14.4)
19,987
(39.9)
4,351
14,527
U'1.9)
IA.7i8
臼.8)
の対 前 年 増 加 率
5.RO5
5.810
8,005
(一63.9)
(0.1)
(一237.H)
・百 万Fl・ か ・ こ 内%)
1990年
199U'f=
13.(i98
36.59R
35.8qO
72.4;8
(zoz.0)
③滅 砺 償 邦 貧.…"』-
35.'1f,2
1)1,498
36,739
37.686
④キ ヤ ッ シュ ・フ ロ ー
41.Ofi7
A3.308
?.R.734
7.3.988
⑤対 前 年 増 加Y?
⑥内 部 留 保 フ ロ ー
⑦対 前 年 増 加 率
(一?.0.9)
(5.1)
66.882
70.9517
(一12.A)
(rl:)「
決 算 年」にっ いて は 表lIを
(it)「決算 年 」につ い て は 表1-1を 参照 の こ と。
対 前年 増 加 率 葛(当年 一前年)モ前TxtOUと
お け る キ ・ ・ シ ュ0フo一
一のtit移(鞭
1987{ド
1988年
1989年
摘要!決算年
①当 期純 利 益
(fi.7.)
参 照 の こ と。
(33.7)
して 計 算 した 。
(出所)『NllK年
58.t14
(一18.3)
対 前圷 増 加等{・(当4j:一jjijij:)}前
年x】00と してiし
(出 所)『有 価 証 券 報 告 書 総 覧』に よ り計 算 した 。
(一16.5)
57.99R
(0.2)
た。
鑑.1によ り計 算 した 。
まず 、 日本 テ レビめキ ャ ッシユ ・フ ローの推 移 を みて み よ う。 当期 純
利益 の1頂調 な伸 び を背 景 に して 、好 調 を 維持 して い る。NHKに
は、 当期純 利 益 の増 減 を 緩和 して い る。
一124一
三
つ いて
}1器
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わ
以 上 の5つ
り`こ
の分析 を通 じて、 日本 テ レ ビの強 固 な 財務 体 質 が浮 きぼ り
に され た。 それ と比 較 す る と、 朝 日放 送 は準 キ ー局 と して の 限界 が み う
け られ る。NHKは
民 放 放送 よ り も経 営 体 質 は よ くな い。 業界 事 情 と し
て は 、景 気変 動 の影 響 を あ ま り うけな い業 界 といえ るが、 一方 で は、民
放 だ けで な くNHKさ
1993年2月3日
付
え も 「や らせ 問題 」 が 噴 出 した(『 産 業経 済 新 聞』
夕 刊)。
視 聴率 追 求 が 過度 に な った結 果 とい え るが、
社 会へ の影 響 力 を考 え た うえ で は、倫 理 性 の 問題 も残 さ れて い る。"表
現 の 自 由"と
の兼 合 いが 難 しい と こ ろで あ る。
衛星 放 送、 都 市型CATVな
が2000年 には、5兆
どの登 場 に よ り、 テ レ ビ放 送 の市 場 規模
円強 にな る とい う試 算 が最 近 出 され た。(『
済新 聞 』1993年11月18日
付
夕 刊)つ
日本経
ま り市 場規 模 は、 これ か らさ らに
拡大 す る余地 が 残 され て い るわ けで あ る。 それ につ れ て、 新 規参 入 によ
る競争 激 化が 予 想 され る。 今後 の放 送業 界 の行方 に注 目 した い。
参 考 文 献
野 村 秀 和編r企
業分析』
野 村 秀和r日
本 テ レ ビ,朝
rNHK年
鑑 』(1987年
r会 社 年 鑑 』(1987年
青 木 書 店1991年
日放 送 』
大 月書 店1991年
∼1992年)
∼1992年)
日本 テ レ ビr有 価 証 券報 告 書 総 覧 』(1987年
一125一
∼1992年)
1992年
度共 同研究論 文
自動 車 業 界 の分 析
長瀬 貴雄
永 田健 一
森重
淳
次
目
は じめに
1章 鳥 職分析
2章 資 金運用 表 の分析
3章 生 産性 の分析
4章
内部留保 の分 析
おわ りに
参 考文献&経 営 デー タ
によ じ
め
山 田康裕
127
128
135
140
141
145
146
∼こ
現 在 の 日本 の 自動 車 業 界 に は 、 そ の 広 範 な 関 連 産 業 を も含 め る と 、 日本 の 全 労 働 人 口の
10%以
上 に 当 た る650万
人 も の 人 が 就 業 して い る 。 日本 経 済 へ の 影 響 は 極 め て 大 き く、
日本 の 産 業 の基 幹 と な っ て い る と言 え よ う。 ま た産 業 経 済 論 に お い て は 、 自動 車 産 業 の 自
立 が そ の 国 の経 済 の成 熟 度 を 示 して い る と言 わ れ る。
私 達 は 、 この よ う に一 国 の 経 済 のバ ロ メ ー タ ー と して 位 置 づ け られ る 自動 車 業 界 に つ い
て 、 そ の 現 状 、 そ して 今 後 の 在 り方 を 研 究 して み た い と考 え た 。 そ の た め の 対 象 と して 日
本 の3大 メ ー カ ー で あ る トヨタ 自動 車 、 日産 自動 車 、 本 田技 研 工 業 を 取 り上 げ 、 そ の分 析
手 法 と して 、 主 にr有 価 証 券 報 告 書 総 覧 』 に 基 づ く財 務 分 析 を 行 う こ と に した 。
構 成 は 大 き く4つ に分 か れ て い る 。 まず 、1章
で は 鳥 職 分 析 を 行 い、3社
の財 務 諸 表 の
大 まか な 流 れ を 把 握 しよ う と した 。 次 に2章 で は 資 金 運 用 表 の 分 析 を 試 み た 。 これ に よ り、
財 務 諸 表 の 細 部 の 動 きを 考 察 す る こ とが 狙 い で あ る。3章 で は 視 点 を 変 え 、 各 社 の 生 産 性
の 分 析 を 行 った 。 これ は 、 各 社 の 生 産 力 を 付 加 価 値 と して 考 え 、 そ れ を 労 働 者 一 人 当 た り
で 割 った 額 で 比 較 す る もの で あ る。 最 後 の4章
で は3社
の 内部 留 保 を 見 て み た 。 こ れ に よ
り、 各 社 の資 金 力 の 比 較 が で きた と思 わ れ る。 私 達 は 、 以 上 の4つ
動 車 業 界 の総 合 的 な 財 務 分 析 を 行 お う と考 え た の で あ る。
一127一
の 分 析 を 基 に して 、 自
■ 章
鳥 瞼 分 析82年
一92年
トヨ タ 、 日産 、 本 田 の 各 社 の 全 体 的 な 構 造 や 時 系 列 上 の 変 化 を 把 握 す る た め に 、百 分 率
分 析 法 と趨 勢 分 析 法 とを 行 う。 百 分 率 分 析 法 とは 、 あ る全 体 を 示 す 数 値 、 例 え ば 貸 借 対 照
表 の 合 計 額 を100と して 各 項 目の 合 計 額 対 比 を 求 め る もの で あ る。 ま た 趨 勢 分 析 法 と は 、
一 定 期 間 の実 数 の 時 系 列 上 の 変 化 を 各 デ ー タ項 目 ご と に観 察 す る 手 法 で あ る 。
こ こで は 、 まず3社
そ れ ぞ れ に お い て 貸 借 対 照 表 と損 益 計 算 書 に お け る構 成 比 、 趨 勢 比
の 特 徴 を 見 て い き、 最 後 に3社 の 比 較 を 行 い た い と考 え る 。
1.ト
ヨ タ 自動 車 の 分 析
①B/Sの
B/Sの
分析
合 計 額 は82年
か ら91年
で100.0か
ら284.4の 伸 び と な って い る。 資 産 の
部 で は現 金 預 金 、 売 掛 金 、 商 品 ・製 品 、 長 期 貸 付 金 の 割 合 が 著 し く大 き くな っ て い る 。
そ の 中 で も、 売 掛 金 は100.0か ら5944。2と 驚 異 的 な伸 び を 示 して い る 。 この 一 方 、 受
取 手 形 は100.0か ら1.0へ と激 減 して い る 。 これ は販 売 方 針 の 変 更 に よ る もの と思 わ れ
る 。 ま た 、 流 動 資 産 と 固定 資 産 の 比 率 を 見 る と、82年
に は51.2対48.8で
あ ったの に
対 して 、90年
ま で は流 動 資 産 の 方 が 少 し勝 る と い う 同 じよ う な傾 向 で 推 移 して き た
が 、91年
に は43.9対56」 と 固定 資 産 の 方 が 大 き く な って い る。 こ れ は バ ブル 崩 壊 の
影 響 が 出始 め 、 バ ブ ル 経 済 期 の 旺 盛 な設 備 投 資 が 重 くの しか か って き た もの と考 え ら
れ る。
次 に負 債 の 部 を 見 る。 ま ず は 、 支 払 手 形 の 割 合 が 小 さ くな って い る の に気 付 く。 そ
の 一 方 で 固 定 負 債 の そ の 他 が 目を 見 張 る よ うな 伸 び を 示 して い るが 、 これ は主 に長 期
前 受 収 益 で あ る 。 基 準 と な った82年
の 額 が 相 対 的 に か な り小 さ か った た め に 、 この
よ うな 伸 び に な っ た もの で あ るか ら大 した 問題 で は は な か ろ う。流 動 負 債 と 固 定 負 債
の 比 率 を 見 て み る と 、流 動 負 債 は減 少 傾 向 、 固 定 負 債 は 逆 に 増 加 傾 向 に あ る 。 特 に 、
固定 負 債 の 増 加 は 新 株 引 受 権 付 社 債 や 転 換 社 債 が 加 わ っ た た め と考 え られ る 。
最 後 に資 本 の部 を 見 る。B/S合
計 の約 半 分 を そ の 他 の剰 余 金 が 占 め て い る。 こ れ
は 内部 留 保 ス トッ クの 主 要 項 目で あ り、 この 資 本 蓄 積 の 規 模 の 大 き さ に は 驚 か さ れ る。
更 に 、 資 本 の 部 の 各 項 目 は 、概 ね 順 調 な伸 び を示 して お り、 トヨ タ は驚 異 的 な 巨大 企
業 と言 わ ざ るを 得 な い 。
②P/Lの
分析
売 上 高 と売 上 原 価 の 推 移 を 見 る と 、 売 上 高 以 上 に 売 上 原 価 が 伸 び た た め 、 売 上 総 利
益 が91年
に前 年 の 額 を 下 回 って い る。 更 に 、 販 売 費 ・管 理 費 は か な り大 き な伸 び を
示 して い る 。 しか し他 の企 業 と 比 べ て そ れ で もか な り低 め に押 さ え られ て い る た め 、
相 対 的 に 営 業 利 益 の 割 合 は 大 き い 。 営 業 外 収 益 、 営 業 外 費 用 は と もに 大 き な 伸 び を 示
して い る が 、 営 業 外 費 用 の方 が 特 に著 しい 。 これ は 、 社 債 発 行 費 、 社 債 利 息 、 有 価 証
券 評 価 損 、 寄 付 金 な ど、 ま ち ま ち の 理 由 に よ る もの だ と考 え られ る 。 な お82年
の特
別 損 失 は 、 豊 田工 業 大 学 運 営 拠 出 金 に よ る もの で あ る。
2.日 産 自動 車 の分 析
①B/Sの
B/S合
分析
計 額 は82年
か ら92年
で100.0か
ら176.1の 伸 び を 示 して い る。資 産 は 固
定 資 産 の 伸 び(181.3)が 流 動 資 産 の 伸 び(170.1)を 上 回 って お り、 これ は この10年
間
で 設 備 投 資 が 盛 ん に行 わ れ た こ と を 示 す の で は な い か 。'これ は 固 定 資 産 の 中 で 建 設 仮
勘 定 の 占 め る割 合 が こ こ2年 で お よ そ2倍 と な って い る こ とか ら も明 らか で あ る。 こ
の 流 動 資 産 の 中 で 当 座 資 産 と棚 卸 資 産 の 関 係 を 見 て み る と 、 当 座 資 産 の方 は192 .9と
大 きな 伸 び を 示 す 一 方 で 、 棚 卸 資 産 は93.4と 減 少 して い る 。 これ は 在 庫 管 理 が 合 理 化
され 、 バ ブ ル が 弾 け、 売 れ な く な って も、 販 売 会 社 の ほ うに在 庫 を 押 し付 けて い る こ
と に よ る もの と思 わ れ る。 と こ ろ で 、 こ の10年
間 の大 き な特 徴 と して 、 当 座 資 産 に
お け る受 取 手 形 の 激 減 と売 掛 金 の 激 増 が 挙 げ られ る。 この 原 因 は は っ き り と は しな い
が 、 販 売 方 法 の 変 更 に よ る もの と思 わ れ る 。
一128一
次 に負 債 の方 を 見 て み る 。 まず 始 め に 気 付 くこ とは 、:負債 合 計 の伸 び が177.0で あ
る の に対 して 、 固 定 負 債 が336.8と2倍
近 い 伸 び を 示 して い る こ と で あ る 。 そ の 中 で
も社 債 、 長 期 借 り入 れ 金 の 増 加 は 異 常 で あ る。 こ れ は借 金 を して 設 備 投 資 を 行 うが 、
そ れ に見 合 うだ け の売 上 高 を 達 成 で き て い な い こ と表 して い るの で は な い か 。 つ ま り
経 営 が 悪 化 して い る の で あ る。 この 固定 負 債 の 増 加 は資 産 に対 す る 負 債 の 割 合 を87
年 以 来 、一 貫 して 上 昇 させ て い る。そ の一 方 で 流 動 負 債 の 伸 び は負 債 合 計 の 伸 び を 大
幅 に下 回 っ て い る 。 そ して こ の 中 で 特 徴 的 な こ と は 、 支 払 手 形 の 激 減 と買 掛 金 の 激 増
で あ る 。 こ れ も当 座 資 産 内 で の受 取 手 形 と売 掛 金 の 関係 と類 似 して お り 、 手 形 の 割 合
を 小 さ く して い る 。 いず れ に して も、 負 債 面 を 見 る限 り 日産 の 財 務 体 質 は 悪 化 して い
る。
最 後 に 自 己 資 本 を見 て み る。資 本 金 、 資 本 準 備 金 は転 換 社 債 の株 式 へ の 転 換 に伴 い 、
そ の 伸 び は 資 本 合 計 の 伸 び を 大 き く上 回 っ て い る 。 利 益 準 備 金 も 同様 で あ る。 しか し、
そ の 他 剰 余 金 の 伸 び は 資 本 合 計 の 伸 び を 下 回 って お り利 益 の 蓄 積 は進 ん で は い な い よ
うで あ る 。 と こ ろで 、 こ の そ の他 剰 余 金 の 割 合 を トヨ タ と比 較 して み れ ば 、 いか に ト
ヨ タ の財 務 体 質 が 強 固 で あ るか が 明 らか に な る。91年
の 比 較 で 、 日産 の そ の 他 剰 余
金 の 額 が9,801億 円 、 構 成 比 は28.2に 対 し、 トヨ タ は額 で32,734億 円 、構 成 比 で53.8
と な って い る 。 日産 は トヨ タを ラ イバ ル 視 して い るが この 一 点 か らの み で も、 トヨ タ
の圧 倒 的 優 位 は 明 らか で あ る。
②P/Lの
分析
まず 、 売 上 高 と売 上 原 価 の 関係 を 考 察 して み る 。 こ の10年
間 の構 成 比 か ら も分 か
る と う り、 売 上 原 価 が81.5か ら87.2へ とか な り上 昇 して い る 。 売 上 原 価 が 上 昇 して も
販 売 費 ・管 理 費 を 下 げ れ ば 営 業 利 益 を 確 保 で き る の で あ るが 、 こ の販 売 費 ・管 理 費 の
割 合 は あ ま り改 善 さ れ て は い な い 。 そ の た め 営 業 利 益 が 減 少 し、 そ の 減 少 幅 を 営 業 外
収 益 が カ バ ー で き て い な い た め 経 常 利 益 も大 幅 に減 少 して い る 。 日産 は 営 業 成 績 の 悪
化 に 対 し、 生 産 性 の上 昇 、 っ ま り売 上 原 価 を 下 げ る こ と を 目標 に して は い るが 、 そ れ
と 同 時 に 、 販 売 費 ・管 理 費 の 大 幅 な 改 善 が 望 まれ よ う。 ラ イバ ル 会 社 の トヨ タ は販 売
費 ・管 理 費 が8.2(91年)で
あ る の に 対 して 、12.8と い う の は 高 す ぎ る 。 い ず れ に し
て も、 日産 は 急 激 に業 績 を 悪 化 して お り、93年
の決算 では経 常利益 が初 めて赤字 と
な る言 わ れ て い る 。 バ ブ ル経 済 の 絶 頂 期 に拡 大 路 線 を 採 り、 大 幅 な設 備 投 資 を 行 っ た
が 、 そ の 直 後 に 訪 れ た 不 況 の た め こ こ まで 経 営 状 態 が 落 ち 込 ん だ の で は な い か 。 現 在
の 自動 車 業 界 全 般 の業 績 悪 化 を 考 え る な らば 、 日産 の 回復 に は まだ ま だ 時 間 が か か る
もの と思 わ れ る 。
3.本
田技 研 工 業 の 分 析
①B/Sの
B/Sの
分析
合 計 額 は82年
か ら92年
部 で は 、 受 取 手 形 が 他 の2社
で100.0か ら185.3の 伸 び と な って い る 。 資 産 の
と 同様 に激 減 して い るの が 目 に付 く。 ま た 、 有 価 証 券 の
上 下 の 激 しさ が 目立 って い る。 これ に は2つ
の 理 由 が 考 え られ る。 ま ず 第1に
、89
年 ま で 買 い 集 め て き た 有 価 証 券 を バ ブ ル の 波 に 乗 って 売 り飛 ば した と い う もの だ 。 第
2は ・ 外 部 企 業 の 株 式 を 順 調 に 買 い 足 して い き・20%を
超 え た た め に 関係 会 社 株 式
に振 り替 え た と い う もの で あ る 。 この 上 下 の 動 きを 見 る と 、 や は り第2の 理 由 の ほ う
が 強 い の で は な か ろ うか と思 わ れ る。 流 動 資 産 と 固定 資 産 の 比 率 を 見 て み る と、82
年 に は50.8対49.2と
ほ ぼ 半 分 ず つ で あ った の に 対 し、82年
に は38.2対61.8と
固定資
産 の 方 が ず っ と 多 くな って い る 。 これ は 関 係 会 社 株 式 を 年 々 増 や して き た た め と考 え
られ る。
次 に負 債 の 部 を 見 る と、 ま ず 、 支 払 手 形 が 他 の2社 同様 に 激 減 して い る。 そ れ に対
応 して 買 掛 金 は 激 増 して い る 。 こ れ は87年
か ら89年
くらいにか けて、支払 手形勘
定 か ら買 掛 金 勘 定 へ の 振 替 が 行 わ れ た か ら と思 わ れ る。 ま た 、 一 年 以 内 長 期 借 入 金(短
期 借 入 金 を 含 む)の 上 下 が 目立 っ て い る 。 そ れ に 加 え て 、 社 債 の増 加 額 も大 き い 。 こ
れ は 借 入 金 と い う負 債 で 資 金 調 達 を 何 とか や り繰 りを して い る と い う財 務 基 盤 の 弱 さ
一129一
の現 れ で あ る と 考 え られ る 。
最 後 に 資 本 の部 を 考 察 す る。 ど の 項 目 も ほ ぼ 順 調 な 伸 び を 示 して お り、 比 較 的 安 定
して い る と言 え よ う。 た だ 、 そ の 中 で も任 意 積 立 金 が や や抜 きん 出て い る の が 目立 つ 。
②P/Lの
分析
売 上 高 と売 上 原 価 の 推 移 を 見 て み る と、 売 上 高 以 上 に売 上 原 価 が 伸 び た た め に 、 売
上 総 利 益 を 圧 迫 して い る 。 更 に 、 販 売 費 ・一 般 管 理 費 の 伸 び も激 しい た め91年
以 降、
前 年 比 を 下 回 って い る 。 バ ブ ル崩 壊 以 前 に販 売 費 ・一 般 管 理 費 が 減 益 の 要 因 と な って
い る こ と に は 問 題 が あ る 。 ま た 、 特 別 損 失 が 毎 年 計 上 さ れ 、 更 に そ の 額 も82年
から
92年
4.93社
に か け て2倍
の比較
前 後 まで 伸 び て い る の も 問題 で あ る。
82年 の3社 の 売 上 高 を 見 る と 、 日産 は トヨ タ に近 い数 字 で 、 本 田 は お よ そ そ の 半 分
で あ った 。 更 に 、 売 上 原 価 は トヨ タ よ り 日産 の 方 が 低 く、 売 上 総 利 益 を 見 る と 日産 、 ト
ヨ タ、 本 田 の順 で あ っ た 。 しか し、 販 売 ・管 理 費 が 日産 は 高 く、 構 成 比 で トヨ タ 、 日産 、
本 田 が そ れ ぞ れ4.6、15.3、18.8と
営 業 利 益 を 圧 迫 す る要 因 と な って い た 。そ の 後 、 トヨ
タ は順 調 に売 上 高 を 伸 ば し、 売 上 高 の趨 勢 比 は 売 上 原 価 の そ れ を 上 回 って い る。 と こ ろ
が 、日産 、 本 田 で は 売 上 原 価 の 方 が 売 上 高 の 趨 勢 比 の伸 び率 を 上 回 って お り、販 売 ・管 理
費 は本 田で 少 し改 善 さ れ た の み で あ る。これ に よ って 、 トヨタ の 傑 出ぶ りが 決 定 的 に な っ
た ので ある。
こ う して 、 トヨ タ は無 借 金 経 営 で 資 本 の 蓄 積 に勤 しみ 、 日産 は トヨ タ に追 いつ くべ く
借 金 で 無 理 な 設 備 投 資 を 行 い 、結 果 と して 自 らの首 を 絞 め る羽 目 と な り、 本 田 は借 金 の
借 入 、 返 済 を 繰 り返 し、 可 もな く不 可 もな くと い う特 徴 を 持 っ こ と に な っ た 。 しか し、
3社 と も売 上 原 価 は概 ね 上 昇 し続 け 営 業 利 益 を 圧 迫 して い る。 特 に80年
代後半 におい
て 著 しい 。 これ は 、 バ ブル 経 済 下 で の 高 級 車 ブ ー ム に よ っ て顧 客 満 足 志 向 が 過 剰 に な っ
た た め と思 わ れ る。 そ して 、最 近 の バ ブ ル 経 済 崩 壊 の 影 響 に よ り、3社 と も減 益 を 余 儀
さ れ 、 中 で も 日産 は 目を 覆 うば か りで あ る。 今 後3社 に と って コ ス ト削 減 な ど に よ る リ
ス トラが 急 務 とな る は ず だ 。
一130一
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2章
資 金 運 用 表 の 分 析
貸 借 対 照 表 の 貸 方 と借 方 は 、 資 産 の 調 達 状 況 と そ の 資 金 の 運 用 方 法 を そ れ ぞ れ示 して い
る 。 っ ま り、 貸 方 は 負 債 と い う他 人 資 本 と 、 資 本 と い う 自 己資 本 と か ら成 って い るが 、 こ
の他 人 、 自 己資 本 が どの よ う な 資 産 と な っ て運 用 さ れ て い る か を 示 す の が 借 方 に お け る流
動 資 産 、 固 定 資 産 、 そ して繰 延 資 産 と して 現 れ る わ け だ 。 具 体 的 に は 、 この 貸 方 と借 方 の
関係 を2期 間 の 貸 借 対 照 表 の そ れ ぞ れ の 項 目の 増 減 を 比 較 して 、 資 金 の 調 達 と そ の 運 用 を
考 察 す る。 これ を 表 に した のが 、 資 金 運 用 表 で あ る。
私 達 は 、 トヨ タ の3期
間 、 日産 と本 田 の そ れ ぞ れ4期
9年 ∼90年
、'3.90年
∼91年
、4.91年
これ を 各 期 間 ご と に 分 け て 分 析 して み る 。
1.88年
∼89年'(表2-1a,b,c参
ま ず 、88年
か ら89年
間(1.88年
∼92年)に
∼89年
、2.8
渡 る資 金 運 用 表 を 作 成 した 。
照)
に か け て で あ るが 、 こ の期 間 は バ ブ ル 経 済 の 絶 頂 期 に あ た る 。
資 金 の 流 入 の 資 産 の 減 少 勘 定 を 見 る と 、 各 社 と も受 取 手 形 と製 品 を 減 ら して い る 。 これ
は 営 業 が 好 調 で 自動 車 が よ く売 れ た こ とを 示 して い よ う。 次 に 負 債 の 増 加 勘 定 を見 る と 、
トヨ タ の新 株 引 受 付 社 債 が 気 に な る。 これ は ワ ラ ン ト債 と言 わ れ る もの で 、 株 価 が 上 が
る と い う保 証 が あ れ ば 容 易 に 資 金 調 達 が 可 能 と な る も の で あ り、 い わ ゆ る 「財 テ ク」 を
意 味 して い る 。 バ ブ ル 経 済 を 如 実 に 反 映 させ た 勘 定 項 目で あ ろ う。 次 に 引 当 金 勘 定 を 見
る と、 トヨ タ は 全 て の 勘 定 で そ の 額 を 伸 ば して お り内 部 留 保 の 手 堅 さ を 示 して い る。 そ
の一 方 で 日産 と本 田 は 引 当 金 勘 定 を 増 や した り減 ら した りす る操 作 を 行 って い る の で 、
安 定 した 内 部 留 保 は で き て い な い 。 今 度 は 資 金 の運 用 面 を 見 る。 資 産 の 増 加 勘 定 で は 、
3社 と も に売 掛 金 を 大 幅 に 伸 ば して い る。 や は り 自動 車 売 上 高 が 好 調 で あ っ た の だ ろ う。
ま た3社
と もに 、 一 時 所 有 で あ る有 価 証 券 も増 や して い る。 これ は 手 元 の 資 金 繰 りが 楽
に な り、 そ の 余 裕 分 を 「財 テ ク 」 に投 入 した と見 る こ とが で き よ う。 負 債 の 減 少 勘 定 で
は 、 本 田の 支 払 手 形 の 大 幅 な減 少 が 目 に付 く。 トヨ タ が 資 金 の 運 用 面 で は 資 産 の 増 加 に
大 半 の 資 金 を 振 り分 け て い る の に 対 して 、 本 田 は こ の 支 払 手 形 勘 定 の 減 少 の た め 、 トヨ
タ と正 反 対 の 運 用 を 行 って い る 。 こ れ は本 田 の資 本 構 成 の 改 善 に貢 献 して い る もの と考
え られ る 。
2.89年
∼90年(表2-2a,b,c参
照)
資 金 の 流 入 面 で 、 ま ず 資 産 の 減 少 勘 定 を 見 るな らば 、 ま ず トヨ タ と本 田が 有 価 証 券 の
額 を減 ら して い る こ と が 分 か る。 特 に本 田の 減 少 額 が 顕 著 で あ る。 ま た トヨタ は前 期 か
らに 引 き続 い て で は あ るが 、 長 期 定 期 預 金 を 減 少 さ せ て い る。 この 勘 定 は トヨ タ の み に
見 られ る もの で あ り 、 これ も トヨタ 銀 行 と呼 ば れ る豊 富 な 資 金 力 を 利 用 した 「財 テ ク」
の 一 種 で あ ろ う。 負 債 の 増 加 で は 、 あ ま り 目立 つ こ と は な いが 、 相 変 わ らず トヨタ は 全
て の 引 当金 勘 定 を 増 や して お り 内部 留 保 の 充 実 に余 念 が な い。 資 金 の運 用 面 で は 、売 掛
金 を 前 期 と 同様 、 各 社 と もに 伸 ば し、 ま た 現 金 及 び 預 金 も増 え て い る。 そ れ に加 え て 、
機 械 装 置 の 増 加 が 顕 著 で あ る。 これ は バ ブ ル経 済 期 の 容 易 な資 金 調 達 を 利 用 して 、 設 備
投 資 を 行 い 始 め た こ とを 示 して い よ う。 こ の積 極 性 は 次 期 に よ り現 れ て く る。 次 に:負債
の減 少 を 見 る と、 や は り本 田が 前 期 同様 、 資 金 の半 分 近 くを 費 や して 、 負 債 の 額 を 減 ら
'し て い る
。 日産 も 同 じ よ うに 負 債 を 大 幅 に減 ら して は い るが 、 大 半 は 短 期 借 入 金 の 減 少
の み で 、 他 は 、 引 当 金 勘 定 の 取 り崩 し と い う 内部 留 保 の操 作 が 大 き い 。 トヨ タ は ほ とん
ど 負 債 の 減 少 は 無 く、 資 産 の 増 加 に大 半 の 資 金 が 向 け られ て い る。
3.90年
∼91年(表2-3a,b,c参
照)
こ の 時 期 に な る と各 社 の 資 金 運 用 表 の 様 子 は大 き く様 変 わ りす る。 こ れ は 、 この 時 期
に バ ブル 経 済 が 弾 け て し ま っ た こ と に 原 因 が あ る。 資 金 の 流 入 面 の 資 産 の 減 少 勘 定 で は 、
各 社 と も に現 金 及 び 預 金 、 売 掛 金 を 大 幅 に減 少 さ せ て い る。 これ ま で は増 加 傾 向 に あ っ
た の が 、 一 挙 に減 少 に転 落 して しま った 。 ま た本 田 は有 価 証 券 も前 期 同様 に 多額 の 減 少
を 示 して い る。 負 債 の 増 加 で は特 に 日産 の長 期 借 入 金 の 額 が 気 に な る。 今 期 の 増 加 額 の
中 で は 一 番 で あ り、 こ こで 獲 得 した 資 金 を 設 備 投 資 に 回 した もの と思 わ れ る。 しか し、
一135一
バ ブ ル 経 済 が 弾 け 、 景 気 が 停 滞 し始 め た に もか か わ らず 、 トヨ タ は 全 て の 引 当 金 勘 定 を
増 や して 着 実 に 内部 留 保 を 進 め て い る こ と は忘 れ て は な る ま い 。 資 金 の運 用 面 で も、 注
目す べ き特 徴 が2つ あ る。 第1は 棚 卸 資 産 の 増 加 で あ る 。 そ の 中 で も製 品 の伸 び が 大 き
い 。 前 期 ま で の 好 況 時 に 計 画 した大 量 生 産 に見 合 うだ け の販 売 が で き な くな っ た の で あ
ろ う。 第2は 土 地 、 機 械 装 置 、 建 設 仮 勘 定 な ど の 設 備 投 資 関 連 の 勘 定 額 が 軒 並 み 増 加 し
て い る こ と で あ る。 これ は前 期 ま で の 好 況 時 が 引 き 続 く と予 想 した 各 社 が 、 設 備 の 増 強
に よ り新 た に 売 上 高 の 拡 大 を ね ら っ た もの と思 わ れ る。 この 設 備 投 資 と は 、 い っ た ん 実
施 さ れ れ ば 、 最 後 ま で 貫 徹 しな け れ ば な らな い も の で あ り、 不 景 気 が や っ て 来 た か ら と
い って も、 す ぐに は対 応 で きな い と い う こ と を 明 らか に して い る。 自動 車 業 界 は業 界 全
体 と して 景 気 の 予 測 を 誤 り、 設 備 投 資 の 時 期 を 読 み 間 違 った もの と思 わ れ る。 そ して 、
初 め て 資 本 の 減 少 勘 定 が この 資 金 運 用 表 に現 れ 、 各 社 と も に 当期 未 処 分 利 益 金 を 減 少 さ
せ て い る 。 こ の 期 間 が 前 期 ま で の 好 調 時 か らの タ ー ニ ング ポ イ ン トで あ る と 同 時 に 、 こ
れ か ら先 に 続 く不 況 の 時 代 の 幕 開 けで も あ る と言 え よ う。
4.91年
∼92年(表2-4a,b参
照)
こ こで は 、 ま だ トヨ タが 集 計 で き な か っ た の で 、 日産 と本 田 の2社
の み を 分 析 して あ
る 。 資 金 の 流 入 面 で は そ の 全 体 額 が 今 ま で で最 も少 な くな っ て い る 。 そ して 、 そ の 資 金
は他 人 資 本 の 負 債 の増 加 か ら得 た もの が 多 い 。 日産 で は社 債 と 長 期 借 入 金 、 本 田 で は 一
年 内 償 還 予 定 の 社 債 の 占 め る割 合 が 高 い 。 この 他 人 資 本 か らの 資 金 を ど こに 振 り分 け て
い るか が 問 題 で あ ろ う。 日産 で は こ の 資 金 を 資 産 の 増 加 、 特 に 設 備 投 資 関連 に っ ぎ込 ん
で い る 。 つ ま り売 上 が 期 待 ど う り に伸 び な い た め 自 己資 本 を 拡 大 す る こ と が で き ず 、 他
人 資 本 か ら借 金 を しな が らバ ブ ル 時 代 に 計 画 した設 備 投 資 を 行 わ な くて は な ら な い わ け
だ 。 こ こ に 日産 の 苦 しさ が現 れ て い る の で は な い か と思 わ れ る 。 そ の 一 方 で 、 本 田 は獲
得 した 資 金 の半 分 以 上 を 負 債 の減 少 に 回 して い る 。 そ の 意 味 か ら も 自動 車:業界 全 体 が 不
況 に 陥 っ た と言 い つ つ も、 ま だ本 田 の ほ うが 日産 よ りは そ の深 刻 度 が 少 な か ろ う と考 え
られ る 。
以 上 が89年
か ら92年
に 渡 る資 金 運 用 表 の 分 析 で あ る 。 そ の 大 き な 流 れ と して は 、 バ
ブ ル 時 代 ま で の好 況 時 と 、 そ れ 以 後 の バ ブ ル が 弾 け た 後 の 不 況 時 と に分 け る こ とが で き る
と思 わ れ る。 そ して 、 自動 車 業 界 全 体 が 不 況 に 陥 っ て い る の は事 実 で は あ る が 、 そ の 深 刻
度 は 各 社 そ れ ぞ れ に大 き く異 な る と い う こ と だ 。 トヨ タ は 内 部 留 保 を 確 実 に進 め て い る こ
とか ら も分 か る と う りか な り余 裕 が あ り、 本 田 も ま だ 若 干 は 余 裕 が あ ろ う。 そ の 一 方 で 、
日産 は 時期 を 誤 っ た大 規 模 な 設 備 投 資 の 悪 影 響 が ス ト レー トに財 務 の 悪 化 に 現 れ て い る と
思わ れ る。
一136一
表2-1d
トヨタ自動 嘩の資 金運用表(88∼89)
〔1〕資金 の流入
(1)資産 の減少
受 取手形
商品-製 品
仕掛品
譲受月賦 手形 ・債権
構築物
従業 員長 期貸付 金
長期定期 預金
その他の 固定資 産
(;fi位:百
万 円}
表2-2a
i
586.068
4,852
414
51,186
398
5,804
88,879
85
737,686
{2)負債 の増加
買掛 金
未 払金
未 払費用
製 品保証 引 当金
預 り金
従業員 預 り金
賞与引 当金
前受収益
新株引 受権付 社債
転換社 債
退職給 与引 当金
長期前 受収益
貸倒引 当金
98,579
36,474
1,278
2,622
1,084
9,262
i,iso
5,010
192,448
214,432
8,996
14,614
3.293
トヨタ自動 車の資金 運用表(89∼90)
〔工〕資 金の流入
(1)資産の減少
受 取手形
有 価証券
譲受 月賦手形 ・債権
車 両運搬具
関 係会社社債
長 期定期預金
2,398
95,481
122,280
1,255
15,251
23,791
260,456
595,252
{3}資本の 増加
資本金
資本 準備金
利益準 備金
別途積 立金
当期 未処分 利益金
(3}資本の増 加
資本金
資本準備 金
利益準備 金
海外投資 等損失準 備金
固定資産 圧縮積立 金
別 途積立 金
当期未処 分利益金
423,559
736,308
30.426
1,437
473
25,843
8,901
15,464
31,180
i,so2
9,852
zo,z7s
1,147
52,375
37,655
42.923
7,082
57,134
支払手形
未払事業税等
未払法人税等
未払物品税
その他の流動負債
18,593
1t,559
56,437
100,907
434
181.930
〔3)資本の減 少
海 外投資 等損失 準備金
特 別債却 準備金
固定資産 圧縮積 立金
98
83
14
195
1,691,704
7,503,579
トヨ タ自動 卓の資 金運用表(90∼91》
〔1〕 資金の流 入
(t)資産の減 少
現金及び 預金
売掛金
譲受 月賦手形 ・債権
短期貸 付金
関係会社長期貸付金
長期定期預 金
494,了42
28,937
76,100
5,883
60,997
110,137
776,796
〔皿 〕資金 の運用
(1)資産 の増加
現 金及び預金
売掛 金
商 品 ・製品
原 材料
仕 掛品
貯 蔵品
短 期貸付金
その他の流動資 産
建物
構築 物
機械 装置
工具 器具備品
土地
建設 仮勘定
投 資有価証券
関 係会社株式
長 期貸付金
従業 員長期貸 付金
関係 会社長期貸 付金
その 他の固定資 産
268,162
88,147
1,606
2,359
16,626
tis
77,498
4,124
19,500
462
39,344
6,542
18,021
aa,sai
73,109
99,645
44,429
365
Boa,sss
13.341
913,549
{2)負債の減少
転換社債
長期前受 収益
(3}資本の減 少
特別償却 準備金
(単 ず
立:百 「万 円}
(2}負債の増加
.未払金
製品保証 引 当金
預 り金
賞与引 当金
前受 収益
退 職給与引 当金
その他の 固定負債
貸倒引 当金
〔3)資
本の増 加
資本金
資本準 備金
利益準 備金
海外投 資等損 失準備金
固定 資産圧縮 積立金
別途積 立金
7,785
重5,425
4,237
3.142
saz
11,047
8,007
1,竃75
51,460
9,189
9.1$2
14,036
558
1,302
280,000
314,267
1,142.523
〔II〕資 金の運用
(1)資産の増加
受 取手形
有 価証券
商 品 ・製品
原材科
仕掛品
貯蔵品
前渡金
その他の流 動資産
建物
構築物
機械装置
車両運搬具工具器具 備品
土地
建設仮勘 定'
投資有価 証券
関係会社 株式
関係会社 社債
関係会 社出資金
長期貸付 金
従業員長 期貸付 金
その他 の固定 資産
(2)負債の減少
t,893
支 払手形
34,6351
買掛金
31,028
未 払事業 税等
4.454
未払法人 税等
8,232
未払費用
424
従業員預 り金
2,437
その他 の流動 負債
22,119
転換社 債
73,895
長期前受 収益
t.368
103,525 (3)資本の減 少
1,804
特別償 却準備 金
16,488
当期未 処分利 益金
40,611
39,841
191,240
221,995
2,804
370
85,054
1.063
6,160
456
21,375
37,018
137,753
2,550
2.844
78
18,371
Z.764
223,209
zsi
27,577
27,838
1,142,523
(出所)r有
asp,ass
一137一
374
67,695
64,264
31,296
144,588
19,071
14,955
8,263
12,562
711
sa
19,749
855
59,465
59,395
13,500
zso
462
238,000
52,440
423,542
1,028,445
(2}負債 の減少
現金及び預金
売掛金
有価証券
原材科
貯蔵品
短期貸付金
その他の流動資産
建物
機械装置
車両運搬具
工具器具備品
土地
建設仮勘定
投資有価証券
関係会社株式
関係会社社債
長期貸付金
関係会社長期貸付金
ic2一 一3a
〔2)負債の増 加
支払手 形
買掛金
未払金
未払事業 税等
未払法人 税等
未払費用
製品保 証引 当金
預 り金
従業員 預 り金
賞与引 当金
その他 の流動負債
退職給与 引当金
貸倒引 当金
円)
544,447
52,780
52,733
2,699
iso,oaa
70,554
358.76
1,691.70
〔豆〕資 金の運用
{11資産の増加
(単 位:fi万
価 証券軽告書総 覧』よ り作 成P
109,602
5.011
114,613
283
283
1,028,445
表2-1b日
産自動車の資金 運用表(88∼89)
臼 〕資金 の流 入
)資 産の減少
(2)負 債 の増加
現金及び預金
1,750
買掛金
受取手形
177,708
短期借入金
15,213
未払金
臨
麟
67,987
57,077
7,779
10.455
521
1,003
4,194
95U
io,000
51>T64
4
20,513
232,247
未払費用
前受金
預り金
従業員預り金
設備関係支払手形
社債
長期借入金
長期預り金
貸倒引当金
17
その他の流動資産
17,913
6,418
828
9,531
商標権
1
施設利用権
its
長期貸付金
4,789
従業員に対する貸付金 1,565
235,851
灘
i
魏
表2-2b日
産 自動 車の資 金運用 表(89∼90)
〔1〕資金 の流 入
(単位:百 万 円)
(1)資 産の減少
受取手形
曲
関係会社短期貸付金
その他の資産
鱗
繍
糊
施設利用権
関係会社出資金
長期貸付金
従業員に対する長期貸付金
28>960
2.13]
47,387
26.795
271
11
7
92
7,663
75.108
1,256
189.681
.538
E
……
(3)資 本 の増 加
資本金
資本準備金
利溢準備金
66,401
66>439
3.191
7,282
19.854
163,167
631>265
髄
当期未処分利益金
盤
有価証券
'L1-WOO
騰
醗
鞭
鱗
挽
撚
舗
・金
工具器具備品
髄
投資有価証券
関係会社株式
関係会社社債
関係会社長期貸付金
繍
その他
支払手形
一年以内返済予定長期借入金
未払物品税
未払法人税等
前受収益
製品保証引当金
贈
退職給与引当金
2,7銘
710
24>037
85
8,854
1,785
2,172
58.600
3,042
7,137
79.210
3.716
164.516
631,264
7
1,283
75,815
4,889
17,810
2,920
1,988
466,748
表2-3b日
産 自禦庫 の資金運用表(90∼91)
〔1〕資金の流入
(D資 産の減少
現金及び預金
磁
有価証券
灘
関係会社短期貸付金
榊
商標権
施設利月権
関係会社社債
長期貸付金
191,545
21,509
7,338
397
41>788
7
1
51
1>219
21U
従業員 に対す る長期 貸付金1,247
関係会社長期貸付金
45>104
310>416
(単位:百 万円)
(2)負 債の増加
購
短期借入金
一年以内償還予定の社債
未払金
醗
預り金
灘
製品保証引当金
設備関係支払手形
撒
長期借入金
長期納税引当金
長期預り金
貸倒引当金
3,925
27,394
35,000
sors
3.843
1,323
637
114
320
18,265
64,433
2,566
617
1.294
165.779
422,996
1灘
一
(2)負 債 の減 少
234,417
69,688
10,483
2,929
587
5,868
9,184
630
未払金39,927
未払費用38,737
未払法人税等38,943
預 り金1,632
従業員預 り金5.470
前受収益4,355
製品保証引当金1,033
設備関係支払手形1,015
勘 睡191,590
ま
藁翼騒
亀白
匪
蒐弓陰聖
旨
歪
董1,117
長期前受収益10,438
長期預 り金222
1(3)資 資本金
【
本の増加
資金の運用
)資 産の増加
(単位:百 万円)
(2)負 債の増加
82.979
購
一年以内返済 予定長期借入金5
〔n〕資金の運用
(1).資産の増加
現金及び預金
磁
有価証券
搬
原材料
moo
o
前渡金
渤
灘
欄
工具器具備品
挽
齪
投資有価証券
関係会社株式
関係会社祉債
関係会社長期貸付金
纈
その他
1岳
意積立金1当
期未処分利益金
73.574
1
686.251
(2)負 債の減少
支払手形
短期借入金
未払物品税
轍
tUt
長期借入金
退嚇給与引当金
貸倒引当金
43,026
116・9P61
欄1
:劉
2・SCU
731
2・24ii
灘
〔皿〕資金の運用
(1)資 産の増加
受取手形
鄭
麟
o
moo
撫
その他の資産
勘
轍
欄
鱒
工具器具備品
挽
獣
麟
投資有価証券
関係会社株式
ョ'ift,
その他
1,029
i,02s
3,758
49,474
55,290
531,485
(2)負 債 の減 少
1,416
支払手形
一年以内償還予定長期借入金
39,016
4,397
未払費用
27,396
未払法人税等
2,199
従業員預 り金
5,169
7,452
退職給与引当金
30,223
4,104 l
65,185 l(3)資 本の減 少
轍
一
1,425
6,1肝
18.290
当期未処分利益金
2>524
3,430
7玉,903
10>559
531>485
64,820
150
1,262
6・e5511a7681
2991
8i・5901
8921
20・5235・14014
,0071
368,731}
購
臨
撒
灘
騰
縄
-
is,oi7
『.-
〔皿〕資 金の運用
(1>資 産の増加
7
有価証券
麟
織
襯
鋤
働
欄
磯
鋤
熱
商標権
施設利用権
投資有価証券
関係会社株式
関係会社社債
関係会社長期貸付金
鱒
その他1
4&5.551
(2)負 債 の減少
20,517
41,240
15,586
2.Q53
9,436
33,814
33>323
3.564
64.522
263
ii,asi
4,055
$i
30i
784
46.051
i,ss5
ii,sss
3.584
28,915
338.156
支払手形
短期借入金
未払金
未払費用
未払法人税等
轍
預り金
従業員預り金
前受収益
製品保証引当金
設備関係支払手形
轍
退麟給与引当金
長期前受収益
貸倒引当金
(出所)『 有価証券報告 書総 覧』よ り作成6
一138一
l6,843
zo,s50
2,228
40,0舗
5・OOSl
164,821
5.273
25s
449,023
65,084
i,sss
表2-4b日
産 自動車 の資 金運用表(91∼92)
(単位:百 万円)
〔1〕資金の流入
(1)資 産の減少
i(2)負 債 の増加
現金及び預金
12,762
6,177
一年 以内返済予定長期借入金 35,032
受取手形
6,871
一年以内償還予定の社債
3CllO
4,146
46,367
23,173
1認.ova
前渡金
11
長期借入金
99,386
関係会社短期貸付金
66,567
長期納税引当金
2>289
その他 の資 産
2s,22s
長期預り金
1,541
工具器具備品
3,198
318,815
11
(3)資 本 の増加
162
資本金
169
長期貸付金
224
資本準備金
169
従業員に対する貸付金 1,328
3,758
147,679
騰
9,729
当期未処分利益金
一5,192
『
ョn
7>332
9>174
21,442
24,545
1>402
2,054
11,750
159.063
317,520
686,251
3・017i2a脚1
(3)資 本 の増加
資本金
資本準備金
利益準備金
11>666
11>669
3.749
19,599
26.891
131
60,996
8,908
11>723
14,393
i721
1,342
1Q1
746
2,465
1,766
389
1,005
4,501
37,165
147,352
485>558
表2-1c本
田技研工業 の資金 運用表(88∼89)
〔1〕 資 金の 流 入
{艮}資産 の 減 少
現金及び碩金
受 取 手形
製品
短期貨付金
関係会祉短期貨付金
その 他 の液 動 賀産
工 員 ド 器 貝、 備 品
特許権
商標権
そ の 他 の無 形 固 定 資 産
出.資金
長期err金
従 業 樋長 期 貨付 金
関 係会#t期
績付金
祉債.発行 差 金
(2)負 債 の 増 加
貿携金
一 年 内 償 還 予定 社 偵
21.622
3,395
7,608
41
14,.555
197
?27
si
監
27
i
19
1R9
万1・D
95,46蓋
21,15fi
末払金
未払物品税
末払疲用
前受収益
賞与引当金
従 業 疑 預 り金
そ の他 の流 動 負債
社債
長糊 前 受 収 益
un納 税 引 当 金
その 他 の 周 定 負債
24,71E
370
1'1,413
3.353
且.aaa
2,953
1,740
43.305
9,795
41
3,847
蓋,911
22fi,754
2.1
60.3'LA
臼i〕 資 金 の逢藍踊1
11)資 崩 の 増 加
売 掛金
有価証 券
「1己株 式
販売川部品
原 材料
仕掛品
貯蔵品
前濃品
前払費川
未収入金
建物
構築物
機披、袋震
嘱 両運 纈 貝
L地
建 設 仮勘 定
借地奮
紀
機 資 行価A正券
関係会社株式
長 期 前 払Rm
敷金
その他の投資 、
(単{立:百
23.129
15,218
311
702
Ai
・1.2A且
an
755
5,233
2.7置8
14,746
A21
`3)h本 の 増 加
資 ㌻金
資本準備金
利益準備金
任意襖立金
当期 末 処 分利 益 金
表2-2c本
田技研工業 の資金 運用表(89∼90)
〔1資
金の 流 入
(t1資 産 の減 少
ai価 証 券
rl己 株式
彊品
仕掛 品
前渡金
前 払t!川
短 閉 貨付 金.
翅 設 仮勘 定
特許書
鍵
商標権
出資 金
従 業 貝彊 期 資 付 盆
関 係会 社 長 期 輿 付 金
その 他の 擾 資
社 債発 行 差 金
5,582
?」22
L且28
17.526
23,BA3
55,2x1
'『33]'7325
(2}負 債 の 滅 少
支 払 手形IA3,18G
一 年内 返 済1'定 長期lt#人金439
一 年内 期 限 到 来 転 換 社 債2fi8
未払 法 人 税 等7,919
来aム略1業響
兇等
前 受 金72
預 り金1.592
製 占凸保 言
正弓1当金2,4a4
韻 備 関 係 支 払 手 形7.440
転 換 社 債7,894
艮 期 備 入 金668
5℃倒 引"f金808
聲2,996
且,5a5
_214,275
"コ31湾 奮
1,3f2
9,170
5,709
皿3
2。217
11,352
1.898
4,007
zsa
II7,050
Un資
金 のi処川
{ll資 雇 の 増 加
現金及び預金
受掛
売
取 手形
金
販売用部晶
原材料
貯蔵品
閉 係 余 社 燈 期 黛 付金
塞収 入 金
そ の 他 の 流 動 資座
3i物
構築物
機 臓.装 隅
噂疋両 運 搬 貝
'r貝
、 器 具 、備 品
.t:地
価地櫓
そ の 他 の無 形 同 定 資 産
投 資 有 緬羅圧券
閲 係 会 祉 株式
髭 期1智付金
長期滞留債権
.}蓬則1繭払R用
敷金
42」55
stz
s,6?3
3川
5餌
A,RAI
7
Lo54
es
聖
i
IRg
i,fi7n
5,rss
it
f,:4,4RR
5.71?.
207
31,8・
魯k
〔単 位:百
{2)負 債 の 増 加
買掛金
一 年内 期 限 到 .裏転 換 社 摘
37,733
29.sin
afa
qaa
I,SR1
44fl
2,197
3J3
;,R7.7
1,fifi3
1,354
J3.118
i.R7F
ass
茉払 法 人 税 等
乗払 事業 税 等
宋払 親 用
前受金
預り金
前受収益
賞 与引 当金
従 業員預り金
艮期備入金
長 期 スrノツプ 債 務
展期 納 税 引 当金
その 他 の 固i負 側
123.575
{3}資 本 の 増 加
貰本金
資本準備金
利益準備金
仔意積立金
1且,930
12,933
L3藷o
一蔓A853
」}互 』 垂壁
鵬 τ120
{2)負 債 の 減 少
支払予形
一 年 内 .返済f}定 長 期欝 入 金
一 年 内 償 還 予定 祉 債
1,zze
492
2R,43R
オ
栄
こ払 金
払物品税
製 品 保 証 引 当金
設 備 閲 係 支払 手 形
その他の流動負債
#tffl
転換社債
r期 前 受 収 益
僻 倒 弓1当金
421
7,0!IA
531
3Rfi
l,584
a,znz
R,5Rl
I,lfl5
za.nr,r
万1竃D
1馬,901
23,197
7fi7
1.941
A
6,150
i7,IRfi
3,2RA
l&145
II7,7d1
219
〔3)資本 の消i少
三
讐期 末 処 分利 益 金
1.5dO
7,7日
4A4
49d
353
7豆712τ
魯・17
J,329
2i,rkn
is
fi,222
8,13n
a、392
i:is,RRR
表2-3c本
{2}負 偵 の 噌 加
買掛金
37r,
一・年 内 返 済fi定
15,97.9
ii,nz2
sso
1,191
fi,197
zra
目
従 業 卜灘艮 朔 貨1寸金
関 係 会 社 長期 貸 付.金
艮期滞留債権
その他の投資
社 債 発 行 電金
a
1,047
39
iii
3a3
fl
雪2,6m
a.nas
2,137
653
目3
19
9,334
REis
zn,rzs
〔幻 負債 の 減 少
支払手形
一`r内 償 遡 戸定 社 債
.・-・
年 内期 限 到 来転 換#t偵
3,515
fisft
1.02勇
5,fi1!1
11,293
,8?6
130,505
柵 ム金
前受金
孤り金
前受収益
設備閏係支払手形
従 業 貝 頭 り金
その他の流動負債
転換社債
艮 期 前 受収 益
7.200
万 円)
家 払 法 人 税 等2,890
叡 書ム匿
藝{墾 税 等636
未 書'、
黄lll6,n97
製 品 保 証 引 当 金9,507
賞.与 弓i蝿与金2.nn2
#1.fPfsn,nsn
長 翼四`圭
董入 金22r」552
長 期 納 税 引 当 金1.86?
そ σ,雪
晦 の 岡 珪{負f責5,R27
貨 倒 引 当 金aos
{3)資 本 の 増 加
資.掌金
資本準備金
利益準備金
任意檀立金
金 σ)運 ハ1
産 の 増 力li
受 取 手形
rl己 採 式
pp
販売川部品
原材桝
仕掛品
貯蔵品
前渡金
短期剛 ・
「金
関 係 会 社 短醐 輿 付金
そ の 他 の流 動 貰 産
建物
構 築物
取両運搬貝
工 貝、 詔 貝、 備 品
is二
地
借地権
商標権
実 川 新窯 権
そ の他 の 無 形 固 定 資 産
般 資 イ'i価
誼 券
関 係 会社 豚 式
艮1"1荊払tt川
敷 金
長 期 備 入 金28
r
60,lo3
〔11}資
{1}資
(巣 位:百
田技研工業 の資 金運用表(90∼91)
〔1〕 資 金 の 流 入
(け 資 産0)減 少
現金及び頭金
売掛金
{i価 証 券
前 払 薮 踊1
未収入金
機械、装遡
趣許
設権
仮勘定.
笥
(1)資 奉 の 減 少
当wi鞍 処 分利 益 金
4,fG5
4,150
1,357
.3ヱ..峯旦a
47,762
7.d,;37D
aas
i
且?。5・墨⊆}
'L
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2.ggo
3?2
Rfia
(単 位:百
12}`、伯の 増 加
一・年内 幟 還T定 社 傭
…ff内 期 隈 到 来 転 換 社 債
万凹}
77,518
1星3
1.395
361
9.524
1.d59
_」,11璽
92.138
来仏 法 人 税 等
前受 金
製 品 保 読 引 ・1煽s
賞 阯t')いll金
艮期 借 人金
I,d)fi
13
R,czn
7.,1)21
157
5n
zi〕.1〕3重
{幻資 本の 増 加
資 奉金
資 本準 備 金
利益単備金
任慰積立金
5.359
70
70
1.361
.31,4ヱ 旦
32,979詫
-1百5;轄
5
89
109
1,542
2.9竃1
112
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J,BOO
29,950
1,5A2
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1,373
董?5
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245β7Ω
2
22
19
〔Il,資 金 σ♪三
里澗1
(1}資 膠41σ)曇
曽加1
現金及び預金
売掛金
有価証券
販売用備品
建物
申悶揮搬貝
星:員、 閣 難 、 備 品
」二地
特.Tfly
借地権
商捌 潔
投 資 有 価証 券
関 係 会rrrx式
長聞貨け金
関係余祉員期貨付金
敷金
〔2,負`臼 σ)波 少
支 払.r形394
胃 樹 金'ig,4n
』
・'年内 返 済 子 定fQI<tlfti入
3,0dl
25.537
・
雪.921
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璽.1.59?
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置9.5Hl
i
6B
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預 り 金55
前 受 収 益isi
設 備 関 係 支1L,T形539
そ の 他 の 流 動 負 債322
社 偵
転 換 祉 債255
童
ミ芝期 前 受4冥 益3。217
長"月 納 ξ
兇 弓1当 金3,783
そ の 他 の 岡 定 負 債4,617
貨 倒 引}露i金
(3}資 奉 の 減 少
"SIUI未処分 利 益金
重
金26
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未1ム 嚇 業 税 「
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'1
.,i19
田技研工業 の資金運 用表(91∼92)
70,57,9
__5,97R
1
表2-4c本
lIJ資
金 の機 入
〔11礎縦 の 派少
受取 研 多
ri己 牒式.
製品
鴎{鱈料
lt掛 品
興'i'蔵
品
前濃 金
荊 払 銀川
短 期 貨 付金
閲
太係 会 社 庭1期貸 付 金
収 入金
その 他 の 流 動 資 席
/fit築
物
機賊 、 装 盃
建設仮勘窟
守 川噺 案
その 他 の 無 形 固 定 資 産
従業員長期貨付金
P1111iCl留偵 権
艮期前払顎川
その 他 の 投 優
塗量:`霞
発fraw金
:1,jl!
且S.S6fi
._2,126
9G,252
置曜,13置
-1砺1431 耳
Ifil.・190
(出所)r有
一139一
衝証辮 疑
告 書総覧 』より作成 ・
3章
生 産 性 の 分 析
表3-1ト
ヨ タ 自動 車 に お け る 生 産 性 の 分 析
1987/6
1989/6
1990/6
1991/6
従 業 員 人 数(人)
一 人 当 た り の 売 上 高(柵)
64,797
67,814
70,841
71,927
93,557
107,444
115,276
119,066
労 働 生 産 性(千円)
一 人 当 た り の 人 件 費(稲)
22,422
25,158
6,738
23,666
7,159
21,240
7,464
26.8
30.3
35.1
1987/3
56,138
1989/3
1990/3
54,144
1991/3
52,068
61,087
13,529
68,759
16,003
74,021
13,221
74,358
13,220
5,778
6,380
7,084
7,360
12,826
7,375
42.7
39.9
53.6
55.7
57.5
田技 研 工 業 に お け る 生 産 性 の 分 析
1987/3
1989/3
年/月
6,294
28.1
労 働 分 配 率(%)
表3-2日
1992/3
産 自動 車 に お け る生 産 性 の 分 析
年/月
従 業 員 人 数(人)
一 人 当 た り の 売 上 高(千円)
労 働 生 産 性(千円)
一 人 当 た り の 人 件 費(千円)
労 働 分 配 率(%)
表3-3本
56,148
1992/3
56,269
75,895
1990/3
1991/3
1992/3
従 業 員 人 数(人)
一 人 当 た り の 売 上 高(千円)
29,461
29,869
30,674
31,479
79,245
88,276
89,617
88,956
31,591
92,148
労 働 生 産 性(千円)
一 人 当 た り の 人 件 費(千円)
14,575
15,543
6,514
13,324
13,562
13,177
6,916
42.0
51.9
7,221
53.2
7,497
56.9
年/月
6,117
42.0
労 働 分 配 率(%)
(注)ト ヨ タ 自動 車 の1992年
で きな か っ た 。
の 分 析 は ま だr有 価 証 券 報 告 書 』が 発 行 され て な い の で 分 析
(出 所)東 洋 経 済 新 報 社r財 務 カ ル テ 』1992年
版 よ り作 成 。
但 し、付 加 価 値 は 加 算 式 で 計 算 して い る。
付 加 価 値=人
件 費+賃 借 料+差
「労 働 生 産 性 」 と は 付 加 価 値/従
定 性 は 際 立 って い る。 他 の2社
税 公 課+支
払 特 許 料+減
価 償 却 実 施 額+営
業利 益
業 員 人 数 で 示 さ れ る が 、 この 数 値 を 見 て も トヨ タ の 安
と比 較 して お お よ そ8千
円 く らい も の 開 きが あ る。 そ の 反
面 、 日産 は従 業 員 人 数 で は 本 田 を 大 き く上 回 って い る に もか か わ らず 、 そ の 労 働 生 産 性 は
低 い 。 つ ま り規 模 の 経 済 を 追 求 しき れ て い な い と思 わ れ る 。 こ の面 で の 効 率 性 を 高 め る こ
とが 必 要 で は な か ろ う か 。 ま た 「一 人 当 た り の 人 件 費 」 で 見 る と 、 日産 自動 車 が 他 社 の2
社 と比 韓 して ・ 急 激 に そ の 額 を伸 ば して い る 。 これ は 「販 売 ・管 理 費 」 と い う間 接 費 の 増
大 を 生 む こ と につ な が る の で あ るか ら、 この 点 も警 戒 す べ きだ ろ う。 そ して 、 これ は 「労
働 分 配 率 」=人 件 費 総 額/付 加 価 値 の 数 値 に も表 れ て お り 、 特 に 日産 は55%を
超 えて い
る こ と か ら もそ の経 営 状 況 は悪 化 して い る と見 るの が 妥 当 で あ ろ う。 そ して 、 日産 の 経 営
状 況 を 好 転 さ せ て い くに は 、 生 産 性 と い う直 接 費 の 面 の み な らず 、 人 件 費 を 含 め た 間接 費
に も注 意 して い くべ きで は な か ろ うか 。 ま た 「労 働 分 配 率 」 が 低 い と い う こ と は そ の分 、
企 業 に と って の 人 件 費 が 相 対 的 に少 な い こ とを 意 味 す るの で あ る か ら、 そ の 意 味 で も トヨ
タ は 自己 の 内部 留 保 の 蓄 積 を 優 位 に進 め る こ と が で き る と思 わ れ る。
一140一
4章
内
部
留
表4-1aト
ヨタ自動車の内部留保 フローの推移
摘要/決算年
保
の
1984年
分
析
(単位:百 万円,か っこ内%)
1985年
1986年
19871年
1988年
1989年
1990年
1991年
①当期純利益
②配当金等の社外流出額
251,567
A4,356
308,309
41,443
255,185
49,791
200,208
49,787
z38,00s
49,866
305,863
53,351
364,843
58,494
329,618
64,715
③公表利益留保(①-②)
④公表利益留保率(③ ÷⑩ 》
211,211
(50.0)
264,866
(54.8)
205,394
(43.9)
150,421
(35.8)
188,1AO
{40.4)
252,512
(A7.5)
302,309
(47.9)
264,903
(A2.6)
⑥退職給与引当金繰入額
⑦貸倒引当金繰入額
169,360
17,850
23,792
174,373
21,264
19,433
204,507
19,059
18,510
230,947
20,467
18,010
236,637
21,183
19,984
238,8G9
17,287
23,217
276,827
28,442
24,132
310,961
21,0sa
25,301
⑧ 制度的留保(⑤+⑥+⑦)
⑨制度的留保率(⑧ ÷⑩)
zサooz
(50.0)
215,010
(45.2)
242,136
(54.1)
269,424
(64.2)
277,804
(59.6)
279,433
(52.5)
329,401
(52.1)
357,352
(57.A)
⑩ 内部留保フロー(③+⑧)
A22,213
tooo)
475,93G
(goo.0}
447,530
(100.0)
A19,8A5
tgoo.o)
465,944
(100.0)
531,945
(100.0)
631,110
(100.0)
622,255
(100.0)
1986年
1987年
1988年
1989年
'⑤減価債却費
幽
,
表4-2aト
ヨ タ自動 車の 内 部留 保ス トッ クの推 移
摘要/決算年
'1984年
1985年
(単位:百 万円,か っこ内%)
1990年
1991年
①利益準備金
②剰余金
31,145
t,670,468
31,737
1,934,442
33,324
2,136,916
33,32A
2,289,998
33,3G2
2,478,177
36,061
2,728,536
49,561
3,019,435
G3,597
3,273,458
③公表利益留保(①+②)
④公表利益留保率(③ ÷⑩ 》
1,701,613
(54.5)
1,966,179
(56.2)
2,170,240
(56.6)
2,323,322
(55.7)
2,511,539
(55.5)
2,764,597
(56.1)
3,068,996
(56.4)
3,337;055
(56.5)
⑤減価償却累計額
⑥退職給与引当金
⑦貸倒引当金
1,2A9,118
147,925
1,34G,092
164,053
23,713
1,466,948
1,63A,357
1,779,764
179,091
19,226
195,771
18,666
211,982
22,315
1,917,47G
224,918
25,608
2,104,584
240,727
26,463
2,288,006
251,774
27,638
⑧制度的留保(⑤+⑥+⑦)
⑨制度的留保率(⑧ ÷⑩)
1,421,491
(45.5)
1,533,858
(43.8)
1,665,265
(43.4)
1,848,794
(44.3)
2,014,061
(A4.5)
2,164,062
(A3.9)
2,371,774
(43.6)
2,567,418
(43.5)
⑩内部留保ス トック(③+⑧)
3,123,10A
(100.0}
3,500,037
(100.0)
3,835,505
(100.0}
4,172,116
(100.0)
4,525,600
(goo.Ol
4,928,659
(100.0)
5,440,770
(100.0)
5,904,473
(100.0)
表4-3aト
24,448
ヨタ 自動 革 の フロー 金額 とス トック増加 額 の不 一致
摘要/決算年
① 内部留保フv一
② 内部留保ス トック増加額
③不」致 額(① 一② 》
④有形固定資産
表4-4aト
1984年
A22,213
346,821
1985年
A75,936
376,933
1986年
A47,530
335,468
(単位:百 万円 》
1987年
1988年
A19,845
336,611
AGS,944
353,484
1989年
1990年
531,9A5
403,059
99,003
112,062
83,234
112,460
128,886
115,599
158,552
768,293
929,393
982,119
962,966
1,0A2,091
1,165,586
1,443,118
1984年
1985年
(単位:百 万円,か っこ内%)
1986年
251,567
(24.9)
308,309
(22.s)
③減価償却費
174,373
482,682
(14.7)
204,507
騰 繍 車フロ価 ③)
169,360
426,927
(12.3)
⑥内部留保 フロー
⑦対前年増加率
422,213
(2.6)
415,936
(12.7)
255,185
(一11.2)
1987年
200,208
(一21.5)
1988年
238,006
(18.9)
1989年
2
1990年
305,863
(28.5)
360,803
(18.0)
1991年
329,618
(一8.7)
230,947
236,637
459,692
431,155
474,643
(一A.8)
(一6.2)
(10,1》
238,869
5AA,732
(14.8)
276,827
G37,630
(17.1)
310,961
6AO,579
(0.5)
447,530
419,845
(一6.2)
465,944
(11.4)
531,945
(14.2)
631,710
(t8.8)
622,255
(一6.0)
「決算 年」とは、決算のおこなわれた年(す なわち 『有価証券報告書』の表紙に記載の年)を さす.
なお、 トヨタ自動車の決算 日は各年6月30日 である.
《出所 》
G22,255
463,703
75,392
①当期純利益
②対前年増加率
(注)1
1991年
722,819
ヨ タ 自 動 単 の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー の 推 移
摘要/決算年
G31,710
516,111
対前年増加率=(当 年一前年)÷ 前年×100と して計算 した。
r有価証券報告書』により計算 した.
一141一
(一1.5)
表4-1b日
(単 位:百
産 自動車にお ける内部留保 フローの推移
概要/決算年
①当期純利益
②配当金等の社外流出額
③公表利益 留保(① 一②)
④ 公表利益 留保率(③ ÷⑩)
⑤減価償却費
⑥退職給与引当金繰入額.
⑦貸倒引当金繰入額
⑧制度的留保(⑤+⑥+⑦)
⑨制渡 的留保率(⑧ ÷⑩)
⑩内部 留保 フロー(③+⑧)
万円、か ・
うこ内%)
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
46>606
31,032
38,584
31,827
6,757
63,606
85,377
78,159
54,191
34,583
29,023
35,406
49,971
35,505
42,654
35,415
18,776
(4.6)
99,133
6,069
017.6)
87,846
5,400
C28.8)
94,409
7,138
(22.1)
112,699
6,182
23,090
141,295
35,040
140,242
42,178
135,424
21,856
123,403
31,076
149,957
(11.2)
142,102
s,sss
492
C90.ll
156,869
(100.0)
(95.4)
146,999
0100.0)
(82.4)
164,447
(100.0)
(71.2)
173,374
(100.0)
(77.9)
isz,sii
(100.0)
1990年
1991年
15,574
<9.9)
113,462
4,743
149,280
(88.8)
238,886
cioo.o>
冒
-一-
表4-2b日
①利益準備金
蹴
③公表利益留保(①+②)
④公表i利益留保率(③ ÷⑩)
⑤減価償却累計額
⑧退職給与 引当金
⑦貸V!1引当金
⑧知渡 的留保(⑤+⑥+⑦)
⑨制渡的留保 率(⑧ ÷⑩)
⑩内部留保 ス トック(③+⑧)
表4-3b日
一
(単位:百 万円、か っこ内%)
産 自動車 におけ る内部留保ス トックの推移
概要/決算年
'1989年
1987年
1988年
28,819
860,862
889,681
039.3)
1,234,150
84,202
29,527
867,566
897,093
32>718
894,702
927,420
36,467
941,191
977,658
40,225
980,107
1,020,332
1,039,011
(37.9)
1,306,644
81>085
(37.8)
1,346,389
T7,369
(39.2)
1,382,446
75,141
54,158
1,372,510
81,091
1,468,820
101,604
1,525,362
61,568
1,519,155
(39.7)
1,417,515
sz,ss2
72,617
(39.3)
1>509,511
25,697
71,612
1,552,994
1,606,820
(60.7)
2,262,191
C62.1)
2,365,913
(62.2)
2,452,782
(60.8)
2,496,813
0100.0)
(100.0)
0100.0)
0100.0)
① 内部留 保フ ロー
② 内部留 保ス トック額増加額
③不-致 額(① 一②)
④有形固定資産
表4-4b日
2,573,326
一.-一
(100.0)
一 「 一..一}一
(60.7)
一-一}一
(100.0) 一・}.一
1989年
1990年
1991年
1992年
156,869
146,999
164,447
173,374
192,611
81,876
T4,993
596,124
103,722
43,277
561,692
86,869
77,578
573,082
44,031
129,343
633,035
76,513
iis,oss
823>250
168,056
72,505
(単 位;百
95,551
937,661
万 円 、か っ こ内%)
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
①当期純利益
②対前年増加率
46,606
38,584
63,606
85,377
78,159
54,191
(一28.0)
C64.6)
87,846
151,452
C34.2)
94,409
i7s,7ss
(一30.7)
113,462
160,648
C-17.2)
99,133
137,717
C-8.5)
③減価償却費
④キ ャッシュ ・フロー(①+③)
1旦2,699
142,102
190,858
196,293
⑤対前年増加率
C-19.0)
C-14.3)
⑥内部留保フロー
⑦対前年増加率
156,869
146,999
(10.0)
164,447
(18.1)
173,374
192,611
011.9)
(5.4)
(11.1)
(一6.3)
(6.2)
(注)1)「 決算年 」とは、決算のお こなわれた年(す なわちr有 価証券報告書総覧 雪の表紙 に記載 の年)を さす。
なお、 日産自動車の決算期 は各年3月31日
であ る。.
2)対 前年増加率三(当 年 一前年)÷ 前年 ×100と
(出所)r有 価証券報告書 惚覧』 により計算 した。
して計算 した。
一142一
一-一'
(単位:百 万 円)
1988年
(一18.B)
一」-一-幽 一
2,645,831
1987年
産 自動 車 に お け るキ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー の推 移
概要/決算年
43,983
995,028
(60.3)
産 自動車の 内部留保 にみるフ ロー金額 とス トック増加額 の不 門致
概要/決算年
1992年
(2.8)
168,056
(一12.7)
衷4-lc本
r一}
(単{立:i'i/il'J、 カ、
っ こ内%}
川技研 工業 にお ける内部留保 フローの推移
概要/決 鼻年
1A89f{=
1988年
1990年
19s2sr
1991年
'一一一"L-99-9一,,{
47,273
①当期純利益
②配 当金笠の社外流 出額..,._.
③公 爽利益留保(① 一②)
④公表 到益留曜 茎.⑬土⑩___.
35,183
80,703
一,
39,558
_{29、
80,7G1
9f,,989
●畠・
93,058
.二 超
一.`ヱq21.
112,915
uon.o)
132,filfi
tinn.0)
1989年
①利益宰備5f
②剰余金
③公表利益留保(①+②)
④公薮
⑤瀕価償却累計額
利益留保圭趣 ⑩)___
⑥退職給与引当金
⑦鼠囲 図 魚
32G,5113
一_
.」ga_oL.
117,103
(且00.0}
万Fl、 カ・っ こ1λ」%)
1ggo年
19'llsド
1992年
17,102
18,959
19,820
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15,772
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98,375
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(100.0)
(単{立3而
川技研工業 におけ るiλ1部
留保ス トックの推 移
1988fr
一 一
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97,875
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一」3A、
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1,205,2f3
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(IQO.0)
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(100.0)
(単位:百 万円)
川技研工 業の内部留保 にみ るフ ロー.額 とス トック金額 の 不一一致
概要/決 算年
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18,728
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95,813
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概 要/決 卿q三
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⑧制邸 的留保(⑤ 昏⑥ 昏
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⑩内 部留保 フロー(③F⑧ レ
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⑤減価償却費
⑥退職給与引当金繰入額
⑦蹴倒引¥喩糧入額
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63,93Q
1998午
1989年
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1990年
1992s(
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① 内部留 保フロー
② 内部留保 ス トック増 加噸.._.
③
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④ 有形固定 資産
一
表4-4r本
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422,789
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536,155
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81,800
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527,110
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田妓研 工業にお けるキャ・
ソシ ュ ・フri-o>推
概要/決鄭年
132,616
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1989年
1988年
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(酬1部 留保 フロー
⑦対 前年増加 率
53,Ω30
47,273
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127,978
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一 上1.鉦,
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c-in.4)
一
『 一
「決質「
年 」とは 、決弾の おこなわれ た隼(す なオ)ち『有価証 券報 吉書総覧 』σ)表紙 に記載
0メの を さす 。なお 乍田 技研 工某0)決 算qくは 各年3月:31日 である 。
2)退 職給 与引 当金繰 入額 、同 繰入顧は 、公表されて いないので 、これを除い た 。
:3)対 前年増加1率=(当 年一前年)÷ 前 年xJ〔 〕0と して訓'尊した 。
{出所)『 有価証 券鞭{!寺
禽総覧 』によ り計 弾した.
(を沿1)
一143一
こ こで は 、 トヨ タ 自動 車 、 日産 自動 車 、 本 田技 研 工 業 の3社
の 内部 留 保 を 見 て行 く訳 だ
が 、 そ の 前 に 、 ま ず 内部 留 保 とは 何 か を 定 義 しな けれ ば な らな い。
内部 留 保 と は税 引 後 利 益 一 配 当 金 とす る と い う定 義 が 通 説 で あ る。 しか し・ 現 在 日本 の
会 計 制 度 で は 「保 守 主 義 の 原 則 」 に よ って 非 支 出 費 用 の 過 大 計 上 が 認 め られ 、本 来 の 費 用
と は 別 に利 益 で あ る は ず の もの ま で が 費 用 と して 計 算 され 、 企 業 内 に留 保 さ れ て い る。 非
支 出 費 用 は 収 益 控 除 の 対 象 項 目 と さ れ な が ら も、 実 際 の 支 出 と は な らず 半 永 久 的 に企 業 内
に蓄 積 さ れ 、 流 用 可 能 な資 金 と して 更 な る資 本 蓄 積 に 動 員 さ れ る。
こ う した 現 状 か ら、 公 表 利 益 の 留 保 部 分(こ れ を 「公 表 利 益 留 保 」 と呼 ぶ)の 分 析 の み
な らず 、 減 価 償 却 費 や 引 当 金 繰 入 額 等 の 損 益 制 度 に よ っ て 企 業 内 に蓄 積 され る非 支 出 費 用
(こ れ を 「制 度 的 留 保 」 と 呼 ぶ)に
内部 留 保 と は 、 公 表 利 益 留 保+制
ま で 分 析 の 枠 を広 げ る こ と に す る 。 従 って こ こで 扱 う
度 的留保 の ことで ある。
内 部 留 保 に は 期 間 合 計 額 と して 発 生 す る 内 部 留 保 フ ロ ー と 内部 留 保 フ ロ ーが 順 次 、 企 業
内 に蓄 積 さ れ た 内部 留 保 ス トッ ク と が あ る 。 そ れ ぞ れ の 計 算 式 を 示 せ ば 以 下 の と う りに な
る。
内 部 留 保 フ ロ ー=(当
期 純 利 益 一社 外 流 出 額)
+減 価 償 却 費+退 職 給 与 引 当 金 繰 入 額+貸
※社 外 流 出 額=配
当 金+役
員(監
査 人)賞
与 金+中
倒 引当金繰 入額
間配 当額
内 部 留 保 ス ト ッ ク=利 益 準 備 金+そ の 他 の 剰 余 金
+減 価 償 却 累 計 額+退 職 給 与 引 当 金+貸
倒 引当金
分 析 の 順 序 と して 、1.内
部 留 保 の フ ロ ー と ス トッ ク の 推 移 、 次 に 、2.フ
ロー金額 と
ス ト ッ ク増 加 額 の 不 一 致 、最 後 に 、3.キ
ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー の 推 移 を 見 て み る。 そ れ に基
づ い て トヨ タ 、 日産 、 本 田 の 各 社 を 比 較 、 検 討 す る こ と に す る 。
1.内 部 留 保 の フ ロ ー とス トッ ク の 推 移
上 記 の 計 算 式 か ら各 社 の 内部 留 保 の フ ロ ー'とス トッ クを 計 算 した も の が 、 表4-1と
表4-2で
あ る 。 内 部 留 保 フ ロ ー に 関 して 特 に 目立 つ の 点 は 、 トヨ タ の 他 を は るか に 凌
ぐ フ ロ ー金 額 と 日産 の91年
か ら92年
に か け て の 数 値 の推 移 の異 常 さ で あ る。 トヨ タ
の 内 部 留 保 フ ロ ー の 額 は 日産 、 本 田 の 合 計 額 を は る か に上 回 り、 そ の伸 び も5年 前 の1.
4倍 と、 日産 の1.1倍
92年
や 本 田 の1.0倍
と は 比 較 に な らな い ほ ど の差 で あ る。 日産 の
の数 値 は異 常 な 変 化 を して い る 。 特 に 貸 倒 引 当 金 は 激 減 して い るの だ が 、 この 理
由 は バ ブ ル 崩 壊 の 不 況 に よ る利 益 減 や 、 これ ま で の 過 度 な 設 備 投 資 の た あ 膨 れ 上 が っ た
減 価 償 却 費 に よ る利 益 の 圧 迫 を 、 穴 埋 め す る た め に 弱 含 み 決 算 を 行 った か らで あ る と言
え る。 こ こ に最 近 の 日産 の苦 境 が よ く現 れ て い る と思 わ れ る。 制 度 的 留 保 を み る と、 ト
ヨタ につ い て は 毎 年 そ の 額 を 順 調 に 伸 ば して お り、 本 田 に つ い て も92年
の不振 に もか
か わ らず 、 制 度 的 留 保 の 額 は 増 加 させ て い る。
内 部 留 保 フ ロ ー に 占 め る制 度 的 留 保 の 割 合 は 、 トヨ タ が5割
な い し6割 、 本 田 が ほ ぼ
7割 程 度 と い う傾 向 が 見 られ る が 、 日産 は か な り波 が あ り、 景 気 の 変 動 が 内 部 留 保 に ス
ト レー トに影 響 を 与 え て い る よ う に思 わ れ る。 しか し、 いず れ に して も 日産 の制 度 的 留
保 率 は常 に トヨ タ の そ れ よ り も高 い値 を 示 して い る。 この よ う に トヨ タ の 制 度 的 留 保 率
は 、3社 の 中 で も最 も低 く な って い るが 、 これ は 制 度 的 留 保 率 の 低 さ が 企 業 の留 保 力 の
弱 さ を 示 す の で は な く、 む しろ通 常 の 会 計 処 理 で は 圧 縮 しき れ な い ほ ど の 実 質 利 益 を上
げ て い る こ と を 示 して い るか らで あ ろ う 。92年
に業 績 を 悪 化 さ せ た 日産 、 本 田の 制 度
的 留 保 率 が 逆 に増 加 して い る 点 か ら も、 トヨ タ の 制 度 的 留 保 率 の低 さ は ト ヨタ の 飛 び抜
け た力 を 示 して い る と言 え る 。
次 に 内部 留 保 ス トッ クで は 、 トヨ タ の そ の 額 は91年
に約6兆
円 に も達 し、 日産 の2
倍 強 、 本 田 の4倍 強 に もの ぼ り、 日産 と 本 田両 者 の 合 計 額 を も は るか に 凌 ぎ 、 こ こ か ら
も他 の2社 と掛 け 離 れ た トヨタ の 強 大 な 力 を 見 る こ とが で き る 。 だ が 、 日産 、 本 田 も順
調 に 内 部 留 保 ス ト ッ ク額 を 伸 ば して お り、 決 して 劣 って い る と は 言 え ま い 。
一144一
トヨ タ の 内 部 留 保 ス ト ッ クの 大 半 は そ の 源 が 剰 余 金 で あ るの に対 して 、 日産 、 本 田 は
大 半 が 減 価 償 却 累 計 額 で あ る。 トヨ タ と 日産 、 本 田 との 差 は こ の膨 大 な 剰 余 金 な の で あ
る 。 内部 留 保 ス トッ ク に お け る公 表 利 益 留 保 率 と制 度 的 留 保 率 は 、 こ の こ とを 反 映 して
トヨ タで は ほ ぼ6:4、
日産 、 本 田で は逆 に4:6に
な って い る。 トヨ タ の 制 度 的 留 保
率 は 、 ス トッ ク面 で も3社 中 で 最 も低 く トヨ タの 圧 縮 し きれ な い ほ ど の 利 益 の 巨大 さを
物 語 っ て い る と言 え る。
2.フ
ロ ー金 額 と ス ト ッ ク増 加 額 の 不 一 致
表4-3で
は 内部 留 保 の フ ロ ー 金 額 と ス ト ッ ク増 加 額 との 差 を 検 討 して い る 。 内 部
留 保 ス ト ック で は 、 そ の主 要 項 目で あ る減 価 償 却 累 計 額 が 償 却 資 産 の 廃 却 に際 して 取 り
崩 され る こ と も あ り、 フ ロ ー金 額 と ス トッ ク増 加 額 と の差 は ほ とん ど 一 致 しな い 。 こ の
差 は ス ク ラ ッ プ ・ア ン ド ・ビ ル ドが 激 しい 時 に大 き くな る傾 向 が あ る。
3社 と も に 、年 々 不 一 致 額 が 概 ね 大 き くな って い く傾 向 に あ る。 この5年
間 に トヨ タ 、
日産 は共 に有 形 固定 資 産 の 額 で約1.6倍
の 伸 び を 見 せ て お り、 ま た 本 田 につ い て も約
1.3倍
と他 の2社 よ り も低 い と は言 え 順 調 な 伸 び を 示 して い る 。 この こ とか ら も、 フ
ロ ー金 額 と ス トッ ク増 加 額 の 差 が 活 発 な 設 備 投 資 を 反 映 さ せ て い る と言 え よ う。
3.キ
ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー の 推 移
最 後 に キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー の 推 移 を 見 る こ と に す る 。 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー は償 却 前
利 益 と も呼 ば れ 、 当 期 純 利 益 に 減 価 償 却 費 を 加 え た もの で あ る。 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー の
分 析 を す る こ とで 、 減 価 償 却 費 に よ る利 益 操 作 の影 響 を 取 り除 き 、企 業 の 留 保 力 と資 金
収 支 の 実 態 を 明 らか に す る こ と が 可 能 と な る
表4-4に3社
の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー の 推 移 を 示 して あ る 。 各 社 と もキ ャ ッ シ ュ ・フ
ロ ー の 額 は 、 ほ ぼ 内 部 留 保 フ ロ ー の 額 と 同 じで 、 こ の2つ は対 前 年 比 増 加 率 の 推 移 に お
い て 概 ね 連 動 して い る 。 ま た 、 こ こ2∼3年
の 自動 車 業 界 全 体 の不 振 に伴 い 、 各 社 と も
キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ーを 減 少 さ せ て は い る もの の 、 減 価 償 却 費 が 景 気 の 影 響 を 和 らげ 景 気
動 向 を 直 接 反 映 しな い た め 、 そ の 減 少 額 は 当 期 純 利 益 の 減 少 に 比 べ 、 緩 や か な推 移 を 示
して い る。
お わ
りbこ
ト ヨタ 、 日産 、 本 田。3社 と も に 日本 経 済 を 支 え て い る、 日本 を 代 表 す る大 企 業 だ 。 バ
ブ ル 経 済 期 に は 作 れ ば 売 れ る と い う状 態 が 続 い たが 、 バ ブル 経 済 の 崩 壊 に伴 って 、 各 社 の
財 務 状 態 に は著 しい ば らつ きが 出 て き た 。 そ こで 財 務 分 析 を 通 じて 、 各 社 の 置 か れ た 状 態
を分 析 して い こ うと い うの が 、 今 回 の私 達 の 試 み で あ った 。
まず 鳥 瞳 分 析 を 見 て み る と、 売 上 総 利 益 で は 、82年
に は トヨ タ よ り も 日産 の 方 が 上 回 っ
て い た と い う こ と に は 、 驚 き の念 を 禁 じ得 な い 。 しか し、 短 期 ・長 期 借 入 金 、 設 備 投 資 に
関 す る項 目 、 内 部 留 保 に 関 す る項 目 な どを 見 る こ と に よ って 、3社 が 現 在 の 状 態 に な る べ
く して な っ た こ とが よ く分 か る 。 即 ち 、 トヨ タ は借 入 金 は 一 切 無 く、 資 本 がB/S合
計の
約6割
を 占 め 内 部 留 保 を 確 実 に進 め て い る 。 一 方 、 日産 は 販 売 費 ・管 理 費 の 高 さ と い う構
造 的 問題 は あ ま り改 善 せ ず 、 バ ブル 期 に は トヨ タ に 追 い つ くべ く、 借 入 金 を 設 備 投 資 に 向
け て 事 業 の 拡 大 を 図 って きた 。 ま た 、 本 田 は 借 入 金 の 借 入 れ と返 済 を 繰 り返 して い る 。 こ
れ ら の こ と は 、2章
の 資 金 運 用 表 や 、4章
の 内 部 留 保 の分 析 を 見 る こ と に よ っ て 、 更 に 明
らか と な る。
資 金 運 用 表 の 分 析 で は 、 景 気 の 動 向 は 販 売 が 先 行 し、 棚 卸 資 産 に は 同 時 に 影 響 し、 固定
資 産 に は遅 れ て 影 響 す る こ とが よ く分 か る 。 バ ブ ル 形 成 期 に は 、 現 金 及 び預 金 や 売 り掛 け
金 が 増 え 始 め 、 バ ブル 絶 頂 期 に は 、 作 れ ば 売 れ る と言 わ れ た ほ どで あ っ た 。 これ を 過 ぎ た
頃 か ら、 製 品 、 原 材 料 、 仕 掛 品 な どの 棚 卸 資 産 の 増 加 が 目立 っ て い る 。 そ して 、 バ ブル の
崩 壊 に伴 って 設 備 投 資 、 減 価 償 却 費 が 重 荷 と な っ て き た の で あ る。 そ の 間 、 日産 や 本 田 に
お い て 借 入 金 の 出入 りが 激 しい こ と は見 逃 せ な い 。
生 産 性 の 分 析 で は 、 トヨ タ の規 模 の経 済 を 生 か した 安 定 性 が 際立 って い る 。 ま た 相 対 的
一145一
・
に 、 日産 よ り も本 田 の ほ うが 生 産 性 の 指 標 は よ く、 日産 が 規 模 の 大 き さ を うま く利 用 しき
れ て い な い こ と も分 か っ た 。
そ して 、 内 部 留 保 の 分 析 で は トヨ タ の 独 壇 場 と い った 感 じが あ る。 ど の 面 か ら見 て も ト
ヨタ はす ぼ 抜 け て お り、 トヨ タ銀 行 と呼 ば れ るの に も納 得 で き る 。 ま た 、 制 度 的 留 保 率 を
見 る と トヨ タ は3社 中 で 常 に 最 下 位 で あ り、 通 常 の会 計 処 理 で は 十 分 に 圧 縮 し きれ な い ほ
ど の 利 益 を 出 して い る トヨ タの 巨大 さ に は 改 め て 驚 か さ れ る。
こ の よ う に 、 ど の分 析 に お いて も トヨ タ賛 美 に終 始 した よ う な 感 じ もす る が 、 昨今 の バ
ブル 崩 壊 後 の 不 況 に よ っ て 、 日産 、 本 田 は 言 う に及 ば ず トヨ タ ま で もが 少 な か らぬ影 響 を
受 けて い る。 しか し この 影 響 の 受 け具 合 は 、 各 社 の これ まで の財 務 体 質 に応 じて ば らつ き
が あ る 。 中で も、 日産 は危 機 的 な 状 態 で あ る。
ま た 、 自動 車 業 界 は バ ブル の 時 代 に需 要 の先 食 い を して き た こ と も確 か で あ る 。 この 不
況 を 乗 り切 る た め に も、 各 社 で 長 期 的 な 視 野 に立 った リス トラ が 必 要 で あ ろ う。 部 品 の 共
有 化 、車 型 の 削 減 、 各 社 間 で の 事 業 提 携 、 値 引 販 売 の 自粛 な ど 、 改 善 策 が 毎 日の よ う に新
聞 紙 上 を に ぎ わ して い る 。 各 社 の 今 後 の 運 命 は 現 状 を い か に乗 り切 れ るか に か か って い る
と言 え るだ ろ う。
以 上 の こ と が 、 私 達 が 自動 車 業 界 の分 析 を通 じて 学 ん だ 事 柄 で あ る。 「は じめ に 」 か ら
も分 か る よ うに 、 崇 高 な 目的 を も って 始 め た わ け で あ る が 、 ど の 程 度 達 成 で き た か 疑 問 な
点 も多 い 。 今 回 の研 究 で の 不 十 分 な点 は 来 年 度 の論 文 研 究 の 課 題 と な ろ う。 具 体 的 に は連
結 決算 の分析 を進 あてみ ることな どだ。
最 後 に こ の論 文 が こ う して 出来 上 が っ た の は 偏 に 、 私 達 を 暖 か く御 指 導 下 さ っ た 藤 井 秀
樹 先 生 の お か げ で あ る。 こ こ に感 謝 の 意 を 表 して お き た い 。 本 当 に あ りが と う ご ざ い ま し
た。
参 考 文 献&経
営 デ ー タ
鵜 澤 利 高 ・小 松 哲 也rよ くわ か る 自動 車 業 界 』(日 本 実 業 出版 社,1992年)
JICC出
版 編 著r日 本 車 の 悩 み 』(JICC出
版,1992年)
下 川 浩 一r世
界 自 動 車 産 業 の 興 亡 』(講
談 社 現 代 新 書,1992年)
白澤 昭 雄r自 動 車 業 界 』(教 育 社,1990年)
日本 経 済 新 聞 社 編r財 務 諸 表 の見 方 』(日 本 経 済 新 聞社,1988年)
日本 経 済 新 聞 社 編6ホ
野 村 秀 和 編r企
ンダ 神 話 は 崩 壊 した か 』(日
業 分 析 』(青
野 村 秀和 編r企 業 会 計 』(青 木 書 店,1992年)
丸 山 恵 也 ・藤 井 光 男 『日本 の ビ ッ グ ビ ジ ネ ス
森 田松 太 郎r経
営 分 析 入 門 』(日
価 証 券 報 告 書 総:覧』(1982年
本 田技 研 工 業 編r有
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本 経 済 新 聞 社,1990年)
東 洋 経 済 新 報 社 『財 務 カ ル テ 』(1993年)
トヨタ 自動 車 編r有 価 証 券 報 告 書 総:覧』(1982年
日産 自動 車 編r有
本 経 済 新 聞 社,1991年)
木 書 店,1990年)
価 証 券 報 告 書 総 覧 』(1982年
一146一
∼1991年)
∼1992年)
∼1992年)
月 書 店,1991年)
一年をふりかえって
久保幸司
今 年 は 新 歓 コ ン パ に 始 ま つ た 。 自分 た ち が よ く わ か ら な い 基 準 で 選 ん だ2回
際 は ど ん な 奴 ら だ ろ う と 思 っ て い た 。 コ ン パ に な る と2回
つ た 。 こ う して 一
一年 が 始 ま り 、 プ レ ゼ ミ で は3、4回
生 だ け ど実
生 のパ ワー に 圧 倒 され る ほ どだ
生 が 先 生 と な っ て2回
生 を教 え る と
い う こ とに な り ど うな る こ とか と思 っ た が 、 や っ ぱ り う ま く教 え る こ とが 出来 な か つた 。
実 は 自 分 に も は っ き り理 解 で き て い な か っ た し …
。 まあ そ れ は よ し と し てゼ ミが 本 格
的 に 始 ま っ て い く と 、 今 年 は 四 回 生 に な つ て 「就 職 ど う し よ う 」 と か い う 話 が よ く で て く
る よ う に な つ た 。 そ う い う 話 を し て い る と先 生 が い ろ い ろ 言 つ て く れ た り し て た め に な っ
た り した 。 結 局 前 期 の う ち は就 職 の ほ う に 必 死 だ つた 。 そ う い う 中 に き た 立 命 か らの イ ン
タ ー ゼ ミの 話 。 そ 、 そ ん な 。 う ま くや っ て い け る のだ ろ うか 。 は っ き り い つ てす ご く不 安
だ つ た 。 そ し て前 期 が終 わ つた 。 夏 休 み の最 後 に は夏 合 宿 が あ つた 。石 川 県 の 九 十 九湾 の
"き ん プ ラ"で あ
つ た の だ が ま さ に 自然 と親 し み な が ら と い う 感 じ だ つ た 。 パ ッ トゴ ル フ
を し た り 麻 雀 を し た り で 楽 しか つ た 。 肝 腎 の 勉 強 は と い う と 他 の 発 表 の と き に は 眠 っ た り
あ ま り聞 いて な か つ た 気 が す る 。
後 期 に 入 る と ゼ ミ 以 外 に も 週 一 回 集 ま つ た り して11月
の シ ンポ に 向 け頑 張 つ た 。 本番
で は な ん と か う ま く や れ た ん じ ゃ な い か と思 つ て い る 。 僕 自 身 は 結 構 他 人 ま か せ に な つ て
し ま っ た こ と が 多 く 申 し訳 な く思 っ て い る 。
ま た 今 年 こ そ は 、 と 思 っ て い た 簿 記 一 級 は や は り今 年 も と れ ず じ ま い だ つ た 。
2年 間 藤 井 先 生 や ゼ ミ 生 の お 世 話 に な り た ぶ ん 今 年 で 卒 業 だ と 思 う が 学 生 生 活 の な か で
ゼ ミ とい う 自分 の居 場 所 が 出来 て よ か つた 。来 年 か ら も新 し い場 所 で頑 張 ろ う と思 う 。
一148一
こ の
こ の1年
■年 を 振
は 何 と 言 っ て も ハ ー ド な1年
り返 っ て
で した 。 自分 の班 の 研 究 テ ー マ で あ っ
た 「流 通 」 は 、 非 常 に 身 近 な テ ー マ で と っ つ き や す か っ た の で す が 、 ダ イ エ ー 、
イ トー ヨ ー カ 堂 を 中 心 と す る流 通 業 界 の 全 容 ・実 体 を 把 握 す る に 当 た っ て 、 企
業 戦 略 、 鳥 か ん 分 析 、 経 営 指 標 分 析 、 資 金 分 析 、連 結 分 析 と 多 岐 に わ た る 分 析
を 要 し 、 そ れ ら に か な りの 時 間 を 費 や し て き ま し た 。 完 成 度 と して は 、 去 年 の
M&Aに
つ い て の 研 究 論 文 を 遥 か に 上 回 る も の だ と 感 じて お り 、 自 分 な りに 満
足 して い ま す 。 今 年 の 研 究 成 果 は 、 立 命 館 大 学 と の シ ン ポ ジ ウ ム に て 発 表 す る
と い う事 だ っ た の で 、 ヘ タ な も の は つ くれ な い と皆 、 必 死 に 取 り組 み ま し た 。
シ ンポ ジ ウ ム は 初 め て の 試 み だ っ た の で す が 、 ア カ デ ミ ック な刺 激 をお 互 い に
受 け 各 自の テ ー マ 研 究 の 大 き な モ テ ィベ ー シ ョ ン と な り 、 ま た 友 好 を 深 め る 事
が 出 来 た と い う 点 に お い て 大 成 功 だ っ た と思 うの で 、 こ れ か ら も伝 統 と な る よ
う に 是 非 と も続 け て 欲 し い と 思 い ま す 。 こ の ゼ ミで 学 ん で き た2年
間 は 、私 に
と っ て は レ ジ メ 作 り に 追 わ れ る 日 々 が 続 き 、 し ん ど い と感 じ る 時 が 多 か っ た の
で す が 、 そ の 分,卒
業?す
る 立 場 に な っ て あ ら た め て 振 り返 っ て み る と 良 い 思
い で ば か りで 藤 井 先 生 と ゼ ミ の 皆 さ ん に は 感 謝 し て い ま す 。 こ れ か ら は こ の ゼ
ミで の 経 験 を 糧 に し て 頑 張 っ て 行 き た い と 思 い ま す 。
4回
一149一
木村
崇博
この1年を振り返って
寺澤真一
「
進 路 選 択 」 と い う難 問 を 抱 え て 迎 え た この1年
。 当 時 の 自分 は 何 を し た い の か も
は っ き り定 ま らず 、 ひ た す ら精 神 的 に動 揺 して い る だ け だ っ た 。4回
生 に な った に も
か か わ らず 勉 強 が 全 く手 に っ か ず 、 ゼ ミの 時 間 の う ち 半 分 以 上 心 身 を ボ ロ ボ ロ に しな
が ら眠 り に 耽 って い た こ と も あ った ほ ど だ 。 そ ん な 自分 が 半 ば 捨 て 身 の 気 分 で 民 間 企
業 へ の 就 職 活 動 を 始 め て 現 場 で 働 く人 の ナ マ の 実 感 を 多 く聞 く な か で 、 そ れ ま で 自分
が 持 って い た 「
企 業 社 会 」 と い う もの の 暗 い イ メ ー ジが 打 ち 破 られ 、 「は た ら く」 と
い う こ と に 大 き な 希 望 を 見 い 出 す よ うに な る(み
ん な っ らい な か で も結 構 生 き が い を
見 い 出 そ う と色 々 な 努 力 を して い る も の だ)。r今
の 日本 、 大 変 だ け れ ど 面 白 い1」
そ う い う手 ご た え を 感 じた 。 そ う こ う して い る うち に、
ン ポ ジ ウ ム を や る 」 と い う こ と に 決 ま っ た 。 た しか6月
「
今年 は立 命 の ゼ ミと シ
の 終 わ り頃 だ っ た と 記 憶 して
い る 。 こ の 頃 か ら少 し心 を 入 れ 換 え 、 銀 行 班 に 所 属 す る こ と に な っ て 、
「
学生 生 活 の
最 後 、 専 門 の 勉 強 を し っか り頑 張 ろ う」 と い う気 持 ち に 徐 々 に な っ て い く。
就 職 活 動 の 話 が 長 く な りま し た が 、 自分 に と って この1年
に ドン底 の 状 態 か ら 出 発 して(そ
う な 気 が す る …)、
う言 え ば4月
の ゼ ミ活 動 は 、 こ の よ う
の 新 歓 コ ンパ を い き な り ブ ッチ し た よ
そ の 後 ドラ マ チ ッ ク な就 職 活 動 を 経 て(も
ち ろ ん 、 上 に書 い た こ
と は ほ ん の ご く表 層 、 も っ と色 々 な こ とが あ つ た)、 論 文 作 成 の 始 ま る 夏 合 宿 の こ ろ
か らよ う や く本 格 化 した も の で した 。 専 門 学 問 と しか 考 え て い な か っ た3回 生 の 時 ま
で と違 って 、 社 会 人 と な る に 当 た っ て い ま の 日本 経 済 の 重 要 問 題 に つ い て 自分 な り に
検 討 して い く力 を っ け た い と い う思 い で 、 論 文 作 成 に取 り組 む よ う に な りま した 。
そ の 後11月 末 の 立 命 の ゼ ミ との シ ン ポ ジ ウ ム ま で の3カ
月 間 は 、 苦 しか っ た け れ ど
も忘 れ られ な い 、 非 常 に い い 思 い 出 に な りま した 。 自分 自身 実 に い ろ ん な苦 労 を し ま
した が 、 昨 年 度 以 上 に今 年 は 「
頑 張 って 自分 た ち が 書 い た の だ 」 と い う実 感 の 持 て る
もの に な り ま した 。 ち ょ う ど バ ブ ル が は じけ て 銀 行 の 不 良 経 営 の 問 題 が 大 き く問 わ れ
て い る時 期 だ け に 、 非 常 に や りが い が あ り、 専 門 で あ る会 計 の 勉 強 に も な り ま した 。
ま た シ ン ポ ジ ウ ム に よ って 、 自分 た ち の勉 強 の 到 達 点 が リア ル に 分 か りま した 。 対 象
を は っ き り と定 め て ど う い う角 度 か ら ア プ ロ ー チ す る の か を 明 瞭 に し よ う と努 力 した
が そ れ で も視 野 が 狭 か っ た 、 な る ほ ど そ う い う側 面 を 見 落 と して い た な あ 、 な ど と い
う実 感 を 持 ち ま した 。 そ れ と も う1っ 、 論 文 執 筆 や シ ン ポ ジ ウ ム を 通 じて 、 他 の み ん
な が(特
に流 通 班 が)研
究 対 象 に 対 して 非 常 に 執 着 を も って 取 り組 ん で い る 姿 に も大
い に 感 心 さ せ られ ま した 。"ア
ッ トホ ー ム"な
藤 井 ゼ ミで も … … お っ と、 で は な くて
「な らで は 」 で す ね 。
2年 間 曲 が り な り に もや って き ま した が 、 最 後 の 論 文 作 成 ・シ ン ポ ジ ウ ム を通 じて 、
藤 井 ゼ ミで 本 当 に 良 か っ た と 実 感 し ま した 。 自 分 な り に 勉 強 で き た し、 時 間 に ル ー ズ
だ とか 寝 る だ とか い ろ い ろ 至 らな い 自 分 を 排 除 し な い で そ っ と して お い て くれ た み ん
な と と も に取 り組 め た と い う充 実 感 が 残 り ま し た 。 こ れ か ら社 会 へ 出 て ち り ぢ り に
な って も、 ま た 会 え る仲 間 で あ り た い と心 か ら思 い ま すa
一150一
一年を振 り返って
中田
剛史
ま た 、 あ っ と い う ま に 一 年 が た っ て し ま っ た 。 と 、 こ う い う こ と を 繰 り返 し て
い る う ち に 、 入 学 以 来 も う4年
が す ぎ て しま った 。は や い もの だ 。 そ れ に して も 、
も し この 藤 井 ゼ ミ に入 つて い な か っ た ら、 ど れ ほ ど勉 強 しな い 学 生 で お わ っ て い
た こ と だ ろ う か 。 大 学 で4年
間 を す ご した 今 、 「ち ょ っ と ぐ ら い 勉 強 し た の か 」
と い う 問 い に 、 も し 「ほ ん の ち ょ っ と だ け な ら 」 と 答 え る こ と が 許 さ れ る と す る
な ら 、 そ れ は ま ぎ れ も な く藤 井 ゼ ミの お か げ で あ る 。 と は い え 、 こ の 勉 強 嫌 い の
筆 者 が 、 勉 強 家 揃 い の 藤 井 ゼ ミ の 中 で 貢 献 で き よ う は ず は な く 、 こ の2年
間他 の
ゼ ミ生 の 足 を 引 っ張 る こ と に 終 始 し た 気 が し て な ら な い 。 こ ん な こ と を い っ て は
何 人 か の 人 か ら は お 叱 り を 受 け そ う だ が 、 ど う も他 の 顔 を 見 渡 し て み て も 、 我 々
の 学 年 は 問 題 児 の 多 い 学 年 だ っ た よ う で あ る 。 そ れ は 、卒 業 に 苦 し む 姿 か ら も 想
像 で き よ う 。(本
当 に 、何 人 が 卒 業 で きる の だ ろ う。 ち な み に筆 者 が 卒 業 で き る
可 能 性 は 阪 神 が10連
覇 で き る 可 能 性 よ り低 い 、 っ ま りゼ ロ と い っ て さ しつ か え
な い 程 度 で あ る 。)そ
れ に ひ き か え 、 現 在 の8回
生 に は優 秀 な人 材 が 揃 って い た
よ う で あ る 。 こ う し て 立 派 な 論 文 集 が 出 せ た の も3回
き い こ と は 言 う ま で も な い だ ろ う 。 来 年 は 現4回
生 の活 躍 に よ る と こ ろ が 大
生 とい うお 荷 物 が き え るわ け だ
か ら 、一 層 充 実 したゼ ミが 展 開 され る で あ ろ う こ とは想 像 に難 くな い 。「 年 後 に
は 、 今 年 な ど比 べ も の にな らな い よ うな素 晴 ら しい研 究 の成 果 を のせ た 論 文 集 が
発 行 され る こ と を期 待 した い 。
と い う わ け で 、 藤 井 ゼ ミ で の 日 々 を 振 り返 っ て み ま す と 、 本 当 に 迷 惑 の か け っ
ぱ な し だ っ た な あ 、 と深 く 反 省 す る 次 第 で あ り ま す 。 そ ん な 筆 者 を 暖 か く見 守 っ
て 下 さ っ た藤 井 先 生 に は感 謝 の 言 葉 も あ りませ ん 。 ま た 、後 輩 の 諸 君 は 出 来 の悪
い 先 輩 の 相 手 、 ど う もお つ か れ さ まで した 。 そ れ か ら 、久 保 、 木 村 、 寺 澤 、卒 業
し て も 仲 良 くや っ て い こ う 。
藤 井 ゼ ミの 今 後 の 益 々 の 発 展 を 祈 っ て …
一151一
一
平 成4年 度
私 の場 合
by岩
本 日 は平 成5年2月6日
田和 昭
土 曜 日で あ る 。 後 期 試 験 も終 わ り、 や れ や れ の 感 じ
が す る 。 試 験 前 に か か っ た 風 邪 もか な り マ シ に な り、3週
間の ば す だ けの ば し
て き た無 精 髭 も そ ろ そ ろ剃 ろ う か な と思 う今 日 この ご ろ で あ る 。 思 い お こせ ば 、
プ レゼ ミ、 コ ンパ 、 夏 季 合 宿 や 奥 村 ゼ ミ と の シ ン ポ ジ ウ ム な ど平 成4年
度 も数
々 の イ ベ ン トが あ り、 前 年 度 よ り も一 層 充 実 し た ゼ ミナ ー ル で あ っ た と思 う。
特 に 、 奥 村 ゼ ミ と の シ ン ポ ジ ウ ム は 本 年 度 の ゼ ミの成 果 を 発 表 す る場 と し て非
常 に有 意 義 な もの で あ っ た と思 う。 来 年 度 も こ う し た企 画 を 続 け て い き た い と
思 う し、 で きれ ば 次 は 京 大 側 で セ ッ テ ィ ン グ を 行 っ て 、 成 功 させ た い と思 う し、
毎 年 恒 例 の 行 事 と して 後 々 継 承 して い っ て ほ し い も の で あ る 。 以 上 が 平 成4年
度 の概括 的 な感 想 で あ る。
次 に個 人 的 な 感 想 ・反 省 に 言 及 す る こ と に す る 。 平 成4年
度 の ゼ ミの 内 容 は
先 ほ ど述 べ た と お り、 奥 村 ゼ ミ と の シ ン ポ ジ ウ ム に 向 け て の 準 備 が そ の 大 半 を
占 め た が 、 私 の 所 属 グ ル ー プ は 銀 行 グ ル ー プ で あ り、 そ の 中 で も 「は じ め に 」
と 「リス ク管 理 」 の 章 の 前 半 を 担 当 し た 。 こ の1年
間銀 行 につ いて勉 強 して き
た が 、 企 業 分 析 を 行 う た め に は そ の 業 界 の分 析 か ら は じめ な け れ ば な ら な い の
で 、 二 重 の 意 味 で 勉 強 に な っ た と思 う。 そ れ か ら 、 日商 簿 記 検 定 は6月
・11月
と も に受 け な か っ た が 、 そ れ に は 深 い 訳 が あ る と い う こ と だ け言 って お こ う。
昨 年 度 に 自 ら の 課 題 と して 設 定 した 、 コ ン ピ ュ ー タ の操 作 方 法 を マ ス タ ー す る
と い う こ と に つ い て もそ の こ とが 当 て は ま る 。 「深 い 訳 」 は来 年 度 の後 期 に な っ
た ら、 皆 さ ん に も教 え て あ げ ま し ょ う(ほ ん ま に あ るん か い な?)。
の2つ
そ こで こ
の課 題 に つ い て は 来 年 度 の課 題 と し て 再 び 設 定 さ れ る の で あ っ た 。
P.S1皆
さ ん 会 計 士 試 験 頑 張 って くだ さ い 。 私 も何 と か 就 職 し ま す 。4年
で 卒 業 す るつ も りな の で 就 職 で き な か っ た ら○ ○ ○ ○ し ま す 。
P.S2新2回
生 ・新3回
生 諸 君 に つ い て は 新 歓 コ ンパ の 時 に 懇 切 丁 寧 に 可
愛 が って 歓 迎 し て あ げ ま す 。 楽 し み に待 っ て い て くだ さ い 。
一152一
いちね ん をふ りかえ って
3ね んふ じい ぐみ
お かだ あ きひ ろ
今年 度 も い ろん な こ とがあ っ たが 、何 とか無 事 に過 ごせ た よ うで ある 。
まず 、 な ん とい って も 「
ボ キの
ー3級 合 格jJ当
然 といわ れ れば それ まで だ が、 「
唯
一の資 格 な しゼ ミ生 」 とい う湯 名 を返 上 。 これ はな かな かポ イ ン ト高 いで す(自 分 で言 う
な って か)。 しか し、K康 嬢 が会 計 士2次 試 験 に合 格 し、S江 嬢 も着 々 と税理 士 の科 目を
揃 えて い る。 さ らに、K村 嬢 も簿 記1級 に合 格 し、7月 の会計 士2次 試験 に向 け万全 の体
制 だ。 こんな今 、 ゼ ミの 男た ち の メン ヅ をか けてYロ 、M浦T山
… … 頑張 って くれ 。
自分 も まず簿 記 の1級 を乗 り切 り、7月 末 の会 計 士試 験 を突破 しよ うと 目論 んで いる が、
果 た して この結 末は?乞 うご期 待 とい った とこ ろであ ろ うか。
次 に、風 邪で ゼ ミ を何度 か休 んで しまっ た こ とは反省 した い。 クラ ブ をや めて か らとい
うもの 、抵抗 力 がめ っ き り衰 え て しまった の か、最 近 トレンデ ィー な イ ン フル エ ンザ に取
りつ かれて しまった ら しい。 お腹 は痛 い しa鼻 水 は止 ま らない し、 の どの調 子 も 「
歌手の
小金 沢 くん」 の よ うに はい かな い 。や っぱ人 間運 動 せ な あ かん の かな あ と思 う と同 時 にオ
レも年 や な あ と しみ じみ と感 じた ので あっ た 。
さ らに、 合宿 。皆 さ んの ご希望 どお り京 都 か らか な り離れ て い る と ころで は あ った が、
不便 す ぎた。施 設 等は 自分 の想像 以上 に良 かった が、往 復 に時 間 がか か り、疲 れ ただ けで
あ っ たよ うな気 がす る。来 年 は近 場(琵 琶湖 畔 、若 狭 湾岸 等)に して、 休憩 時 間 や遊ぶ 時
間 を増 や した ほ うがい い と思 う。
取 りを締 め く くるの はや は り陸 上で あ ろ う。会 計 士 を 目指 す こと を決 め て か ら、時 間 に
追 われ 、夜 の10時 頃 か ら練習 をは じめ る ことな どざ らで あ り、 時 には夜 中 のi時 、2時 に
な る ことさ えあ っ たGし か し、 その かい あつて か5年 あ ま りの競技生 活 でず っ と 目標 に し
て き た全 日本級 の試 合(全 日本IC)の
足 して い た の に
標 準 記録 を突 破 。 そ して、 出場 で き ただ けで も満
何 と決 勝 まで 進 出で きたの で あ る。300(am障 害で は全 国12番 。故 障
先
輩 との対立 等 いや な こ ともあ った が、 試合 で の快 走 、試 合後 の宴 会 、他 大学 の友 達 がた く
さんで きた こと等楽 しい思 い出の ほ う が多 かっ た気 がす る。 引退 した い まで も陸 上競技 に
感 謝 して い る し、今後 もず っ と陸r競 技 を愛 し続 け る ことだ ろ う。
思 い っ くま まに書 き並 べ ま した が、 ゼ ミを継 続 で きたの も ひ とえ に先生 をは じめ とす る
皆様 のお か げです 。あ りが と うこざ い ま した 、 と同 時 に来年 も よろ しくお願 い します 、
一153一
この一年を振り返って
北村
幸子
こ ん な タ イ トル の 文 章 を 書 こ う とす る と 、 と て つ も な く 長 く な つ て し ま う ん じ ゃ な
い か と思 う く ら い こ の 一 年 は い ろ い ろ な こ と が あ つ た 年 だ っ た 。
私 は 一 年 ほ ど前 に 、 自分 の 所 属 す る 弓道 部 の 女 子 の 副 将 に あ た る 役 職 を引 き 受 け る
こ とに な つた 。 そ して 、 四 月 か らは か ね て か ら行 こ う と思 つ て い た 専 門 学 校 に通 う こ
と に し た 。 そ の う え 、 ゼ ミ は 昨 年 度 よ り忙 し く な つ た 。 い ま 思 う と と ん で も な い が 、
こ の 当 時 は 、 な ん と かや っ て い け る だ ろ う と思 つ て いた 。
夏 まで は 実 際 な ん とか や っ て き た 。 しか し、 十 月 ごろ か ら き つ くな つ て き た 。 ク ラ
ブ で は 試 合 シ ー ズ ン に 入 り 、 専 門 学 校 で は 科 目が 増 え 、 ゼ ミ で は シ ン ポ ジ ウ ム に 向 け
て の準 備 が 忙 し くな つ た 。 何 に本 気 に な れ ば い い の か わ か らな か つ た 。 こ の時 に 自分
の考 え の 甘 さ に は つ き り気 付 か され た 。 クラ ブ の仲 間 は 試 合 に勝 つ た め に必 死 で練 習
して いた し、 専 門 学 校 の 人 は試 験 に合 格 す る た め に一 生 懸 命 勉 強 して いた し、 ゼ ミの
人 た ち も シ ンポ ジ ウ ム の準 備 を どん どん進 め て い っ て いた 。 な ん だ か 自分 だ け が ど つ
ち つ か ず に な っ て い る よ う な 気 が し た 。 体 力 も 限 界 だ つ た し、 精 神 的 な 余 裕 も な か っ
た 。 そ ん な 自分 をな るべ く他 人 に見 せ な いよ う に して き た つ も りだ つ た が 周 囲 の友 達
は は つ き りそ れ を感 じ と つた と い つ て い た 。 ゼ ミの み ん な にも 迷 惑 か け た と思 う。
十 一 月 に な つ て や つ と ク ラ ブ も 終 わ り 、 シ ン ポ ジ ウ ム も 終 わ り(参
た が)、
加 はできなか っ
ゆ と りが で て き た 。 今 とな つ て は 、 あ ん な 日々 を過 ご した の も い い経験 だ つ
た と 思 つ て し ま う 。 だ け ど私 は 、 あ の 時 期 を 乗 り切 れ た の は 自 分 一 人 の 力 だ と は 思 つ
て い な い 。 まわ り に い る友 達 が 支 え て くれ た お か げ で あ る 。 そ して ゼ ミは 私 を週 に一
回 リラ ック ス させ て くれ る場 所 だ った 。決 して 遊 ん で いる わ け で も な く、 か とい って
緊 迫 した雰 囲 気 で 勉 強 して い るわ け で も な い の が 心 地 よ か った 。
今 年 は私 は試 験 を受 け る つ も りで あ る が 、 そ の た め の勉 強 を して い く う え で も また
きつ い時 期 が くる と思 う 。 そ の 時 に もや は りゼ ミは私 が週 に一 回 リラ ッ クス で き る場
所 で あ つ て ほ し い と思 う 。
最 後 に 、 四 回 生 の 先 輩 方 、 二 年 間 あ りが と う ご ざ い ま した 。 ま た コ ンパ の 時 に で も
都 合 が 良 け れ ば来 て くだ さ い。
一154一
一年を振り返
って
惟康
典子
わ た しが 藤 井 ゼ ミに入 って か ら、 は や 一 年 が 過 ぎ よ う と して い ま す 。 この 一 年
を 振 り返 る と 、 本 当 に い ろ い ろ な こ と が あ り 、 あ っ と い う ま に過 ぎ て し ま っ た と
い う気 が し ま す 。2回 生 以 降 の わ た しの 大 学 生 活 .とい う の は 、 会 計 士 試 験 に合 格
す る ま で は ど ち らか と い う と専 門学 校 生 の よ うで あ り 、 合 格 して か ら は半 分 学 生
半 分 社 会 人 と言 う よ う な感 じで 、 あ ま り大 学 生 ら し くあ り ま せ ん で し た 。 そ の 中
で ゼ ミだ け は 自 分 自 身 で"大
学 生 ら しい こ と を した"と
感 じ られ る の で す 。
4月 に藤 井 ゼ ミ に 入 っ た 時 は 、 途 中 か ち は い っ た の で う ま くや っ て い け る か な 、
と不 安 に思 っ て い た の で す が 、 み ん な と て も親 切 に して くれ た の で 、 思 っ て い た
以 上 に早 く ゼ ミの 雰 囲 気 に 溶 け込 め た の で は な い か と思 い ま す 。 そ れ か ら、 う ち
の ゼ ミは 共 同 論 文 を 作 る と き に グ ル ー プ で 作 業 を し ま す か ら、 ゼ ミの 人 と言 葉 を
交 わ す 機 会 が 多 く、 そ れ で 余 計 に な じ み や す か っ た よ うな 気 が し ま す 。
3回 生 の は じめ か ら順 に振 り返 っ て み る と 、4月
か ら6月
の半 ば ま で はr企 業
分 析 』 の 本 を使 っ て 企 業 の経 営 分 析 を行 う の に 必 要 な基 本 的 知 識 を 学 び ま した 。
こ の と きわ た しは10章 を 担 当 した の で す が 、 ワ ー プ ロ を 使 う の が 初 め て だ っ た の
で 、 レ ジ ュ メ を 書 く の に と て も苦 労 し ま した 。 ま ず ど の 機 種 が い い の か 、 ど こ で
買 え ば ば よ い の か が 分 か ら な い の で 、 大 学 の 先 輩 に相 談 して 一 緒 に 来 て も らい 、
や っ と買 っ た の は い い の で す が ・ 使 い方 が 全 然 分 か ら な い の で 、 説 明 書 の 最 低 限
必 要 と思 わ れ る箇 所 に大 ま か に 目を 通 し、 た ど た ど し い 手 つ き で 何 とか レ ジ ュ メ
を 仕 上 げ ま し た ・ 直 前 に な って あ わ て た く な か っ た の で レ ジ ュ メ は か な り前 に 作
り上 げ て お い た の で す が ・ 発 表 の 前 日 に な っ て さ あ 印 刷 しよ う と思 っ た ら 印 刷 の
仕 方 が 分 か ら な くて 結 局 夜 中 ま で か か って し ま い ま した 。8月
の ゼ ミ合 宿 で は夜
遅 く ま で 起 き て い て 、 肝 心 の 発 表 の と き に は 眠 た くて ぼ 一 っ と して い ま し た 。 ま
た 、11月 の立 命 館 大 学 と の シ ン ポ ジ ウ ム は 論 文 の 準 備 が 大 変 で した 。 何 せ 始 め て
や る こ と ば か り な の で勝 手 が 分 か ら な くて 無 駄 な 作 業 を た く さ ん して し ま い ま し
た ・ そ の うえ 当 日 に な っ て か ら急 に わ た しが 議 長 を 半 分 つ と め る こ と に な り、 と
て も あ わ て ま し た 。 こ う して み る と本 当 に よ く無 事 に こ な して こ れ た な と思 い ま
す 。 そ れ で も そ れ な り に楽 し くて 充 実 した1年
間 だ った ので は な い で し ょうか。
ま た 来 年 も頑 張 りた い と思 い ま す の で 皆 様 ど うぞ よ ろ し くお 願 い し ま す 。
一155一
1年 を振り返って
澤江
由 紀子
今 年 度 の ゼ ミは あ っ と い う 間 に 終 わ っ て し ま っ た 、 と い う 印 象 が 強 い 。 ゼ
ミ も2年
目 と もな る と緊張 感 が な くな り、和 や か な雰 囲気 で行 わ れ た が 、 そ
の 反 面 、 慣 れ か ら く る 甘 え が 出 て し ま っ た よ う に も思 う 。 しか し、 今 年 度 は
立 命 館 大 学 と の シ ン ポ ジ ウ ム と い う大 き な 目標 が あ っ た た め 、 共 同 研 究 の 内
容 自 体 は 去 年 よ り も密 度 の 濃 い もの た な っ た と い え る 。 私 は ス ー パ ー 業 界 の
分 析 を す る グ ル ー プ に 入 っ て 惟 康 さ ん と一 緒 に主 に 資 金 分 析 を 担 当 した 。 と
い って も 、 回 転 差 資 金 や 内 部 留 保 の 分 析 な ど や っ た こ と も な く、 作 業 は 難 航
し た 。 そ れ で も 野 村 先 生 の 本 を 読 ん で 勉 強 した り、 藤 井 先 生 に 助 け て い た だ
い た り して 、 な ん と か 仕 上 げ て シ ン ポ ジ ウ ム に 臨 ん だ 。 シ ン ポ ジ ウ ム 当 日 は 、
何 か 難 しい 質 問 で も さ れ た ら ど う し よ うか と 不 安 だ った が 、 無 事 に 終 え る こ
と が で き た 。 論 文 集 の 作 成 しか 目 標 の な か った 去 年 と は 違 って 、 今 年 は シ ン
ポ ジ ウ ム で 研 究 の成 果 を 発 表 し な け れ ば な ら な か った の で 共 同 研 究 へ の 取 り
組 み 方 も随 分 変 わ っ た し、 何 よ り も シ ン ポ ジ ウ ム を 通 じて 他 校 の 人 々 の 研 究
成 果 を 聴 けた こ とは非 常 に勉 強 に もな り、刺 激 に もな った。 ま た 、交 流 を深
め る こ とが で き た と い う点 で も有 意 義 だ っ た と い え る。 今 回 の シ ン ポ ジ ウ ム
は 初 め て の 試 み だ っ た と い う こ と で ま だ 改 善 の 余 地 が 残 さ れ て い る。 今 回 の
経 験 を 生 か し て 、 次 回 の シ ン ポ ジ ウ ム を も っ と充 実 した す ば ら しい も の に し
て い か な け れ ば な ら な い と思 う。
4月 か ら は 、 私 も い よ い よ4回
生 にな り、 これ まで とは違 って 下 回生 と ゼ
ミを 行 う こ と に な る 。 自分 た ち が こ の2年
間 ゼ ミで 学 ん で き た こ と を 伝 え て
い か な け れ ば な ら な い 立 場 で あ り、 今 ま で の よ う な 甘 え は 許 さ れ な い 。 上 回
生 と し て の 自覚 を も っ て 大 学 生 活 最 後 の 年 を 有 意 義 に過 ご した い 。
一156一
〈〉〈〉〈>1年
間の回顧
〈〉〈〉〈〉
島田 隆
r来 年 の 今 頃 に は も っ と 自信 あ り げ な 文 言 を 吐 い て い る 自分 で あ りた い 』
これ が 昨 年 度 の一 年 を 振 り返 っ て の 反 省 の 、 確 か 締 め く く り の 言 葉 で あ っ た 。
・・で 、 そ れ か ら矢 の ご と く光 陰 は 過 ぎ去 り、 ま た ま た や っ て 来 た1年
の総括
の 時 。 ま っ た く、 年 月 の 経 つ の は 早 い も の で あ る 。
私 は 天 性 の 楽 天 家 で あ る た め 、 ふ だ ん は 自分 の 状 態 を さ して 気 に もせ ず に や っ
て い る が 、 こ う して ひ と た び物 事 の 節 目 に 際 し、 自己 を 振 り返 っ て み る と 、 な
に や ら も っ た い な い 時 間 の 使 い方 を し て 来 た よ う な 気 ば か りが す る 。
た だ 、 今 年 度 は 、 立 命 館 大 学 の 奥 村 ゼ ミと の 交 流 が あ っ た た め 、 前 年 度 と比
べ て い く ら か 目的 意 識 な り緊 迫 感 な り が 、 私 自身 に もゼ ミの 皆 に も あ っ た よ う
に 思 わ れ る。 こ の藤 井 ゼ ミ と奥 村 ゼ ミ と の 交 流 は 、 一 説 に は 我 々 の覇 気 の 無 さ
に 業 を 煮 や し た 両 ゼ ミの 担 当 助 教 授 が 活 入 れ の 秘 技 と して も くろ ん だ と か い う
が 、 そ の 効 果 は 上 々 で あ っ た と言 え よ う。
ま た 、 今 年 度 の合 宿 は わ ざ わ ざ能 登 ま で 出掛 け た が 、 食 べ 物 は お い し く、 広
々 と した ロ ケ ー シ ョ ン で な か な か 良 か っ た 。 皆 で 遊 覧 船 に乗 っ て き れ い な 海 底
を の ぞ く こ とが 出来 た こ と は 良 い 思 い 出 で あ る。
食 べ た お い しい 食 事
能 登 で 見 た 美 し い海 と、 夜 の トラ ン プ と 、 旅 館 の 食 堂 で 一}子
は 淡 い記 憶 と して 残 る で あ ろ う 。
・・…
・え 一
、 何 の 話 で し た か 。 は い 、1年
今 年 度 最 大 の 反 省 は 簿 記 の2級
間 の 反 省 。
取 得 に 失 敗 した こ と で あ る 。 春 と秋 の ダ ブ ル
でパ ンチ を食 らった だ けに シ ョッ クは大 き い。次 年 度 へ の最 大 の課題 で あ る。
大 学 で 会 計 学 や っ て ま し た 、 「工 業 簿 記 」 っ て 何 で す か 、 で は話 に な ら な い 。
ニ あ あ る こと は あ る
俗 にr三
度 目の 正 直 』 と い う か ら、 本 年 は気 合 を 入 れ て 望 み た い 。
次 年 度 は 私 に と っ て ゼ ミ活 動 の 最 後 の1年
と な る 。 有 終 の 美 を飾 れ る よ う、
ま た 自分 自 身 に 悔 い の 残 らぬ よ う、 最 大 限 の 努 力 を して い き た い 。
一157一
一 年 を 振 り返 って
え 一と
外 山 でおます。
こ の一 年 を 振 り返 る ので っか?な
か な か 難 しい で お ま す 。 そ うで ん な あ 、 こ
ノ ゼ ミを 二 年 や って き ま した。 来 年 で 三 年 間 で す 。 そ れ だ けで だ め で っか?厳
し い な あ。
え と、 真 面 目 に や らさせ て も らい ま す と、 この 一 年 は が む し ゃ らに や って きた
感 が お ま す 。 い ろ い ろ と必 死 の ば っ ちで や らさ せ て も らい ま した 。 け ど 、 ゼ ミに
関 して は 、 か な りい た らな か っ た と こが あ っ た と思 い ま す の で 、 こ の場 で か ん に
ん して くだ さ い と書 か させ て い た だ き ま す 。
ゼ ミ旅 行 は、 ち ょ っ と遠 くて 大 変 で した け ど た の し一 お ま した 。 下 級 生 もお も
ろ いや つ が 多 くて来 年 もお も ろ う な る か ら楽 し い や ろ な。 ドキ ドキ ワ ク ワ ク。
け ど 、 こ の二 年 間 ゼ ミを通 じて よ う さ ん の知 識 を い た だ い た の で、 こ の世 間 知
らず の ボ ク に や っ と専 門 的 な 知 識 の カ ケ ラが 頭 に は り つ い て き た と思 い ま す 。 よ
うや く、 これ で少 しは見 れ る様 に な っ た の で は な い で し ょ うか?
うち の 先 生 は や さ しいお ま ん な あ 。 今 年 は 多 大 な 迷 惑 を お か け しま した 。 来 年
は そ の擾 し さ に甘 え る こ との な い よ う に 気 いつ け ま す 。
先 輩 方 、 卒 業 と就 職 お め で と う ご さ い ま す 。 来 年 は 『課 長
リバ リ働 くダ ンデ ィな 社 会 人 に な って くだ さ い 。
一158一
島 耕 作 』 の様 に バ
一 年 を 振 り返 っ て
経 済 学 部3回
生
三浦
一郎
思 い 出 して み る と、 早 い も の で あ る。 ゼ ミに 入 っ た頃 は 、 自 分 が つ い て い け る の だ ろ う
か 、 自 分 が 考 え て い る以 上 に 相 当 高 度 な レ ベ ル で は 、 と い う不 安 と共 に漠 然 と し た期 待 で
一杯で あ
っ た 。 そ して 、 この 不 安 と期 待 の 中 、 ゼ ミが 始 ま り、 自分 が 全 くの 会 計 学 初 心 者
で あ る た め 、2回
生 の ゼ ミ も受 け さ せ て も ら っ た り して 目 ま ぐる し く時 が 過 ぎ て い っ た 。
よ う や く簿 記 検 定 な どを 経 て 軌 道 に 乗 っ た と思 う も束 の 間 、 一 年 が 過 ぎ よ う と して い る 。
こ の緊 張 感 を も って 、 今 年 は昨 年 以 上 に ゼ ミ に 対 して 積 極 的 に 取 り組 む つ も り で あ る。
最 後 に 、 協 力 して くれ た 方 々、 先 生 、 ど う も あ りが と う ご ざ い ま した 。
1993年1月17日
一159一
ワイルドで行こう
山ロ英 孝
論 文 集 編 集 委 員 で あ る 僕 は 、 「原 稿 の 提 出 期 限 は2月12日
や し、 で き る
だ け は よ 出 して 下 さ い 」 な ど と、 テ ス ト直 後 で 疲 れ て い る ゼ ミの み ん な に
向 か っ て え ら そ う な こ と を 言 っ て い た 。 しか し僕 が こ の 文 章 を ワ ー プ ロ で
打 ち 始 め た 今 現 在 は2月25日
の 午 前9時56分
で あ り 、 しか も今 日 の 午 後 に
はす べ て の 原 稿 を 印刷 所 ま で 持 って い か な け れ ば な らな い 。 こん な 状 況 で
あ る か らか も知 れ な い が 、 今 年1年
を 振 り返 っ て み て も 、 論 文 の 作 成 が と
に か く 大 変 だ っ た と い う印 象 が 強 い 。 手 首 が 腱 鞘 炎 に な る ん ち ゃ う か と 思
う く ら い た く さ ん 字 を 書 い た(よ
う な 気 が す る)。
ち ゃ う か と 心 配 に な る く ら い ワ ー プ ロ を 打 っ た(よ
直 言 っ て 、 「こ れ だ け や っ て4単
ずShoutし
指 が 突 き 指 して ま う ん
う な 感 じが す る)。
位 しか な い ん か よ ツ ー 、AH!」
正
と思 わ
た く な っ た 時 も あ っ た が 、 よ く考 え て み る と 、 本 来 大 学 生 と い
う も の は も っ と 勉 強 し な け れ ば な ら な い は ず で あ り 、 僕 自身 も 流 通 業 界 に
関 す る 知 識 は も ち ろ ん 、1つ
の 仕 事 を や り遂 げ る と い う こ と の 難 し さ と 素
晴 ら しさ を 十 分 に と言 って い い ほ ど学 習 させ て い た だ い た。 研 究 の 内 容 は
実 社 会 に 出 て か ら も 非 常 に 役 に 立 つ も の で あ る し、 こ れ ほ ど 充 実 し た ゼ ミ
活 動 は 藤 井 ゼ ミ で しか 経 験 で き な い だ ろ う と思 う。 こ れ ま で 熱 心 に 指 導 し
て 下 さ っ た 藤 井 先 生 、 一・
緒 に ゼ ミ活 動 を 頑 張 っ た 諸 先 輩 方 、3回
生 、2回
生 の み な さ ん に 対 して こ の 場 を か り て 深 く感 謝 した い と 思 う。
今 に な っ て っ くつ く思 う こ と で あ る が 、 怠 惰 な 大 学 生 活 の 中 で 長 ら く忘
れ て い た 根 気 強 さ と い う も の を 、 藤 井 ゼ ミで 学 ぶ う ち に 少 し取 り 戻 しっ っ
あ る よ う な 気 が す る 。 しか し就 職 活 動 を 控 え て こ れ か ら は 、 「根 気 強 い 」
の1つ
上 を い く、 い か な る 困 難 に 対 して も臆 さ ず 自信 を も っ て 立 ち 向 か う
「ワ イ ル ド」 な 人 間 に な らね ば な ら な い と 思 っ て い る 。 そ の た め に 必 要 な
知 力 と 人 間 性 を 備 え る 場 と し て も 、 残 り1年
間 の ゼ ミ活 動 を 有 意 義 な も の
に し た い 。 以 前 は 何 で も難 し く 考 え る た ち で あ っ た が 、 大 学 に 入 っ て か ら
は(楽
な 生 活 で あ る か ら か も 知 れ な い が)か
な りの 楽 天 家 に な って きた 。
そ れ は そ れ で 良 い こ と だ が 、 こ の ま ま い く と た だ の ア ホ に な っ て し ま う気
が す る の で 、 『ワ イ ル ドな 楽 天 家 』 を 目指 して 頑 張 っ て い き た い と 思 う 。
一160一
この一年を振り返って
3回 生
去 年 の4月
吉原秀幸
、僕 は 希 望 と い う よ りも む し ろ 大 き な 不 安 を 持 っ て ゼ ミ に 臨 ん で
い た 。 途 中 か ら ゼ ミ に 加 入 した 僕 が 、 ゼ ミ の み ん な と う ま くや つ て い け る か と
て も 心 配 だ っ た し 、 何 の 蓄 積 も な い 自分 が 果 た し て み ん な に つ い て い け る か 、
共 同 研 究 の 足 手 纏 い に な り は しな い だ ろ う か 、 非 常 に 不 安 で あ っ た か ら で す 。
最 初 の 頃(4月
、5月)は
ま さに不 安 の とお り、ゼ ミにな じむ こと に大 き な
困 難 を感 じ ま した 。 正 直 言 っ て 最 初 は ゼ ミの 雰 囲 気 が 嫌 で いや で た ま ら な く 、
ゼ ミが 終 わ る と逃 げ る よ う に 帰 つ て い っ た も の で した0ま
た最 初 の発 表 の時 は
緊 張 で 足 が す く ん だ り、 声 が う わ ず つ て い た こ と を 記 憶 し て い ま す 。 「ひ ょ つ
と して 僕 は こ の ゼ ミ に 合 わ な い の で は な い だ ろ う か?」
(誇 張 で は な く本 当 で す)。
と思 っ た り も し ま した
しか し 、 ゼ ミの 回 数 を 重 ね て い く う ち に 徐 々 に ゼ
ミ に溶 け 込 ん で い く こ と が で き 、 僕 の 心 配 は 杞 憂 に 過 ぎ な か っ た こ と が わ か っ
て 、 今 は ほ っ と して い ます 。 共 同 研 究 の 方 も こん な に 立 派 な 論 文 集 に 自分 の 論
文 を載 せ る こ とが で き 、 自分 と し て は と て も 満 足 して い ま す 。 自 分 をゼ ミ員 と
して 受 け 入 れ て くれ 、 また 研 究 に お い て も 多 大 な る 助 言 を して く れ た 藤 井 先 生
そ し て ゼ ミの 皆 さ ん に 心 か ら感 謝 した い と思 い ま す 。
さ て 、 僕 は こ の 一 年 間 で 個 人 的 に も ず いぶ ん 成 長 で き た と思 っ て い ま す(催
越 で す が)。
ゼ ミで た く さ ん の 知 識 を 得 た こ と は さ る こ とな が ら 、 ゼ ミ に よ っ
て 社 会 、 経 済 事 象 へ の 関 心 も 前 よ りず っ と持 て る よ う に な り ま し た(以
前はま
る で 無 関 心 だ っ た ん で す よ)。 ゼ ミに 参 加 し て 本 当 に 良 か っ た と思 っ て お りま
す。
こ こ ま で い い こ と ば っ か り書 い て し ま い ま した が 、 反 省 点 と し て は 、 論 文 が
参 考 文 献 や 雑 誌 の 受 け 売 りに な つ て し ま っ た 面 が あ っ た こ と が 挙 げ られ ま す 。
来年度 は自分の頭で考 えて 自分 の言葉 で論文 を書 くよう心 がけていきた いと思
っ て お り ます 。 ま た 今 年 は ど こ か 流 れ に 身 を ま か せ て 研 究 を し て き た 感 が あ っ
た の で 、 来 年 は も っ と 主 体 的 に 、 そ う 、 自分 で 流 れ を 作 れ る ぐ ら い に 研 究 を 進
め て い き た い と思 っ て お り ま す 。 来 年 度 は 「大 胆 か つ 繊 細 に 攻 め て い く 。 」 こ
と を 誓 っ て 、 しめ く く りた い と思 い ま す 。
藤 井 先 生 な らび に 藤 井 ゼ ミの 皆 様 、 今 年 一 年 ど う も ご苦 労 様 で した 。
Fin.
一161一
■ 年
を
振
り 返
っ
て
岡田
健
まだ、 共 同研 究 が 完成 して お らず 、 また、後 期 試 験 を間 近 に控 え た この
時 期 に、1年
を振 り返 るの は少 し早 い気 もす るが 、 と りあえ ず締 め切 りが
迫 って い るの で振 り返 って み る。
1年 前 、 私 は ど っぷ り と体 育会 につ か り、 語学 と体 育 しか 出席 しな い平
均 的 な京 大 生(?)で
あ った。
陸上 部 の先 輩 で あ った 岡 田 さん に藤 井 ゼ ミの概 要 を 聞 き、 申 し込 ん だ も
の の、高 倍 率 の面 接 に 「落 ち た1」
と諦 め て いた 。
何 とか藤 井 ゼ ミに入 れ て も らえ たが 、4日
間 の春 の プ レゼ ミは訳 が 分 か
らな い うち に過 ぎ去 った 。
1回 目の ゼ ミで、 藤井 先 生 の質 問攻 め に遭 い答 え られ ず宿 題 を 出 さ れ た。
6月 の簿 記 検定 で は一応3級
に合 格 した。 しか しま だ、合 格 証書 を 取 り
に行 って い な い。
夏 合宿 で は、 陸 の孤 島能 登 半 島 へ行 き、長 時 間 の報 告 に疲 れ た。 な お余
談 だが 、我 が 班 の報 告 は 合宿 の前 々 日に徹夜 で 作 成 した もの で あ る。
秋 の簿 記検 定 は、関 西 学生 駅 伝 と重 な り、私 は駅伝 を と った。 一応 テ レ
ビに写 って い るの で、 当 初 の 目的 は達 成 した。
晩 秋 の立命 ゼ ミシ ンポ は聴 くだ けで も う1つ だ った。 料理 も も う1つ だ っ
た。
新2回
生 の面 接 の とき は、1年
た った とい う実 感 が あ った。1年
たっ と
会計 学 のイ ロハ のイ くらい は理 解 で き るよ うにな った よ うに思 う。
12月
、 岡 田 ゼ ミとソ フ トボ ール の対 決 を した。 負 けた。
2月 、 共 同研 究 が完 成 して い る予定 で あ る。
以 上 が 、 この1年
間 の私 の 藤井 ゼ ミで の主 な活 動 で あ る。 毎週1回
ミが あ る ことで この1年
のゼ
間 は結構 メ リハ リの 効 い た有 意義 な もの とな った。
最後 に、 藤井 先 生 を は じめ、諸 先 輩 方、 同 回生 の仲 間 た ち、 この1年
世 話 に な りま した。 これ か ら もよ ろ し くお願 い します 。
1993,1,18下
一162一
宿 にて
お
一 年 を 振 り返 っ て
長瀬貴雄
この 藤 井 ゼ ミに運 良 く入 れ て か ら も う一 年 が 過 ぎ よ うと して い る。 正 直 言 って僕 に
と って この ゼ ミは 、4月 の プ レゼ ミの段 階 か らつ い て行 くの が や っ とで あ っ た 。 よ く
一 年 間 も脱 落 せ ず につ い て行 け た もの だ と、 自分 自身 を 褒 め て あ げ た くな っ て しま う
心 境 で あ る 。 そ れ と 同 時 に 、 来 年 は た して 自分 は後 輩 を指 導 で き る よ うな 知 識 を 身 に
付 け て き た の で あ ろ うか と結 構 心 配 して しま う。 しか し こ ち らの 方 は 、r何
とか な る
で あ ろ う』 と い う何 の 論 理 的 根 拠 も持 た な い楽 観 的推 測 で ご ま か そ う と思 って い る。
この ゼ ミで の一 番 の 思 い 出 は 、 や は り ゼ ミの 友 人 と行 った共 同研 究 で あ ろ う。(ま
だ 完 成 して は い な いが …)こ の 研 究 は 、 僕 自身 が個 人 的 に大 変 興 味 を も って い る 自動
車 業 界 を扱 った の で 研 究 自体 は楽 しか っ た が 、 作 業 は 苦 しか った 。 レ ジ ェ メ の発 表 の
前 夜 に皆 で集 ま り、 朝 の5時
ま で ワ ー プ ロ と 向 か い合 った 時 は 、 眠 くて しん どか った 。
ま た 、慣 れ な い経 済 学 部 の 図 書 館 へ 行 き 、地 下 へ 案 内 さ れ 、 そ の 巨大 さに 恐 れ お の の
き な が ら も(知
らな い 人 も結 構 い る と思 う)資 料 を集 め た り した こ と も楽 で は な か っ
た 。 膨 大 な量 の 資 料 の 中 に埋 もれ て い る 自分 た ち に 必 要 な資 料 を探 り当 て る こ とは 、
自分 が 宝 探 しで も して い る か の よ う な錯 覚 を与 え た 。 しか し今 、 こ れ ら の体 験 を思 い
直 して み れ ば 、 どれ も決 して 忘 れ られ る こ ど の で き な い 貴 重 な体 験 に な った よ う に思
う。 ま た 、 この 共 同 研 究 を通 じて 、 ゼ ミの 人 達 と は 随分 と親 し くな れ た と思 う。 僕 は
ゼ ミに対 して あ る種 のr連 帯 感 』 を求 め て い た の で 、 そ の 意 味 で も藤 井 ゼ ミに 入 れ て
も らえ て 良 か った と改 め て 感 じて い る 。
最 後 に な りま した が 、 根 気 が な く、 と もす れ ば投 げ や りな 態 度 を と って し ま う 自分
に対 して 、 い つ も温 か く且 つ適 切 な 忠 告 を与 え て下 さ っ た藤 井 先 生 、 プ レゼ ミや 夏 合
宿 で お世 話 に な った先 輩 方 、 そ して 共 同 研 究 の グ ル ー プ の人 達 や ゼ ミを 一 緒 に した 同
学 年 の人 達 に感 謝 の 意 を 表 した い と思 い ま す 。 本 当 に あ りが と う ご ざ い ま した 。 そ し
て これ か らの 二 年 間 も この ゼ ミで頑 張 って い こ う と思 って い ま す の で 、 御 指 導 の ほ ど
宜 し く お願 い致 しま す 。
一163一
一・
年 を振 り返 っ て
永田
健一
い く らや りた い こ と が や れ る の は 学 生 時 代 だ け だ と言 っ て も 、 ボ ー トば か り
漕 い で い て は い か ん な あ と最 近 思 い 始 め て い ま す 。 朝 、 ボ ー トの 練 習 が 終 わ る
と朝 飯 を 食 っ て 昼 ま で 寝 て し ま う 、 と い つ た こ と が 習 慣 化 し て い る 私 は 、 ゼ ミ
を 鬼 の よ う に 休 ん で し ま い ま した 。 普 通 の 人 は 信 じ られ な い で し ょ う が 、 大 津
の ボ ー ト部 合 宿 所 に は 、 そ う い っ た 布 団 虫 が 何 匹 も 生 息 し て い ま す 。 今 年 も そ
の よ う な 布 団 虫2匹
が 、 「藤 井 ゼ ミ だ け は や め と け 」 と い う 私 の 忠 告 を 無 視 し
て藤 井 ゼ ミ に入 つた よ う で す 。 た と え彼 ら が 私 の よ う に な っ て も 、 皆 様 が私 に
そ う して くれ た よ う に か わ いが っ て や っ て くだ さ い。
振 り返 れ ば 私 は 最 初 か ら つ ま ず い て し ま い ま し た 。 下 痢 で プ レ ゼ ミ に は 行 け
な く な る し 、 合 宿 と ボ ー トの レ ー ス(た
だ し 、 競 艇 で は あ り ま せ ん 。)が
重な
つ て し ま う し 。 ゼ ミ の 人 々 に 迷 惑 をか け て し ま い ま した 。特 に 、 長 瀬 、 森 重 、
山 田 の 三 氏 に は 多 大 な 迷 惑 を か け て し ま い ま し た 。 で も そ ん な 迷 惑 ば か りか け
て い る 私 と も 今 日 で(否
わ け で は あ り ま せ ん 。)つ
も う 少 し 先)お
別 れ で す 。(と
言 っ て も ゼ ミ をや め る
ま り これ か ら は ち ゃ ん と 出席 す る と い う こ と で す 。
ず っ と 前 、 法 経 の トイ レ で 藤 井 ゼ ミ の 一 年 上 の 人 に 会 っ た 時 、 う れ し い こ と
に 私 の こ と を 覚 え て い て く だ さ っ て 、 「今 度 一 緒 に 研 究 し よ う な 」 と 言 わ れ て
し ま い ま し た 。 い い も ん で す ね1『
研 究 』 とい う言 葉 の 響 き 。 感 激 し ま した 。
(盛 激 した後 、なお もゼ ミを休 み続 けたの は事実 です。)学 生 の本分 は勉 強で
す 。学生 生活 も残 り2年 を残 す のみ(の 予定)に
私 は布 団虫 か ら研究 虫 に脱 皮 す る決 意 です。
一164一
な りま した。
回想
浜 野 展幸
も う1年 が た ったの か …。 月 日が 過 ぎ るのは早 い もの だ。 しか し、工
夫 次 第 で は、 人 は様 々な ことが で きる と思 う。 この1年
で、 私 を と りま
く環 境 は急 変 した 。 ゼ ミもま た しか りで あ る。 当 ゼ ミで 、経 済 学 部生 ら
しい知 識 を 、 い くっ か獲 得 で きた よ うに思 う。幸 か 不幸 か、 で たが りの
性 格 か ら くる過密 ス ケ ジュール の た め、授 業 に はほ とん ど出て いな い。
だ が、 私 は元 来 勉 強 がす きな の だ。 ゼ ミで は、 出来 る限 りの努 力 は した
つ も りだ。 後期 の ケ ース ス タデ ィで 、 その ことを認 識 して くれ た人 々 も
多 少 は い るだ ろ う。(簿
記 に は落 ち た け ど…。 あれ は諸 般 の事 情 によ り、
い た しか た なか った と解 釈 して いた だ きたい。)ゼ
ミは楽 しみ なが らも、
真 面 目に勉 強す ると ころだ と、私 な りに定 義 して い る。今 年 ・偉 そ うに
も、 新2回
生 の皆 さん に面接 させ て い ただ い たが 、来 年 は岩 田 さん の よ
うに 、相手 を び び らせ るよ うな質 問 をぶ つ け られ る よ う、 が ん ば って い
きたい 。
久 し振 りに帰 った 自室 にて
一165一
一 年 を 振 り返 つ て
思 い 返 せ ば 去 年 の12月
、 ゼ ミ の 面 接 の 挫 え 室 だ っ た 第 五 演 習 室 に 入 り 、28
人 もの 志 望 者 が い る の を 知 っ て 、
「あ あ 、 こ り ゃ あ ダ メ か も し れ な い な 。 っ ぎ の
こ と も か ん が え と か な き ゃ 。 」 と、 半 ば 諦 め て い た 藤 井 ゼ ミ に、 運 良 く と い う か 、
何 か の 間 違 い と い うか、 と に か く入 れ て 頂 い て か らは や 一 年 。 プ レ ゼ ミは、 諸 先
輩 方 に4日
間 み っ ち り 御 指 導 い た だ き な が ら、 や っ と 「会 計 学 つ て こ ん な か ん じ
か な 」 と い う 程 度 の 漠 然 と し た 知 識(こ
で は あ り ま す が)し
れ を知 識 と い っ て 良 い の か た い へ ん 疑 問
か 得 られ ず 、 こ ん な こ と で こ れ か ら先 つ い て ゆ け る か 不 安 を
感 じ た ま ま 終 わ つ て し ま い ま し た 。 そLて
ゼ ミが 始 ま る と そ の 不 安 は 現 実 の もの
と な っ て し ま っ た の で す 。 先 生 に 難 し い 点 な ど を 説 明 し て い た だ く と、 そ の と き
に は 妙 に 納 得 し て し ま う の で す が 、 そ の 御 説 明 が 「ス ト ッ ク 」 と し て 僕 の 頭 に 蓄
積 さ れ る こ と は 滅 多 に あ り ま せ ん で し た。 自 分 で は わ か っ た っ も り で 実 は わ か っ
て い な い 、 こ の こ と を 僕 は 、6月
に 日 商 簿 記 検 定3級
不 合 格 と い う形 で い や と い
う ほ ど 思 い 知 ら さ れ る こ と と な り ま し た。 そ れ で も ゼ ミ の み ん な に お い て い か れ
な い よ う に 何 と か が ん ば ろ う。 せ っ か く は い る こ と が で き た の だ か ら 絶 対 に 途 中
で 投 げ 出 す こ と は す ま い。 そ う 思 っ て 一
・通 り 本 も 読 ん で ゼ ミ に は 欠 か さ ず 参 加 し
て い た の で す が 、 夏 合 宿 で は 半 日 遅 刻 と い う 大 失 態 を お か し て し ま い ま し た。
し か し、 こ ん な 僕 で も 見 捨 て ず に 御 指 導 く だ さ り、 暖 か く 見 守 つ て く だ さ る 藤
井 先 生 、 愛 想 を つ か さ ず に つ き あ つ て く れ る1中 闘 が い た お か げ で 一 年 間 な ん と か
が ん ば る こ と が で き 、11月
2回
に は お く れ ば せ な が ら3級
を 取 る こ と も で き た し、
生 と して の 最 後 に、 つ た な い な が ら も この 一 年 の 成 果 と して 結 果 を 出 す こ と
が で き ま し た 。 自 分 と し て は ま ず ま ず の 充 実 し た 一・
・年 間 を お く れ た と 思 っ て い ま
す 。 藤 井 ゼ ミ に 入 る こ と が で き て と て も よ か っ た。 心 か ら そ う 思 い ま す 。 こ の 場
を か り て お 世 話 に な っ た 先 生 や 諸 先 輩 方 に、 ま た 様 々 な 形 で 迷 惑 を か け て し ま っ
た で あ ろ う2回
生 の み ん な に、 心 か らお 佗 び す る と と も に お 礼 を 申 し上 げ させ て
い た だ き た い と 思 い ま す 。 い ろ い ろ す み ま せ ん で し た、 そ し て 有 り 難 う ご ざ い ま
し た。
来 年 こ そ は6月
に す ん な り と簿 記 試 験 に 受 か って 、 一 年 の 終 わ り に 際 して お 佗
び、 反 劣 、 悔 恨 の 言 葉 を 列 挙 し な く て も 良 い 年 に し た い と 思 つ て い ま す 。 も ち ろ
ん 今 年 以 上 に が ん ば っ て い こ う と思 っ て い ま す。 こ ん な 僕 で す が 今 後 と も よ ろ し
く お 願 い し ま す。
平 成5年
、3回
生 の 春 を迎 え る に あ た つ て
一166一
森 重
淳
こ の 一 年 を 振 り返 っ て
山田康裕
同 好 会 の ゼ ミ紹 介 、 在 っ た こ と さ え 知 りま せ ん で した 。サ ー クル の 友 達 か らゼ ミ紹 介 の
冊 子 を も ら い 読 ん だ もの の 、 ど こ の ゼ ミ も 同 じ よ うに 思 え ま した 。 あ る 日 、事 務 室 前 の ゼ
ミを 紹 介 した 掲 示 板 を 読 ん で い た と き 、 隣 に い た 人 が 、 「藤 井 先 生 っ て 、 な か な か 面 白 い
人 や っ た で え。(… … 本 当 は 、 も う少 し く だ け た 表 現 で)」
と言 っ て い る の を 耳 に しま し
た 。 こ れ が 私 が 藤 井 ゼ ミ を選 ん だ 唯 一 の 理 由 で した 。
面 接 の 日 、5演
に 来 て み る と 野 郎 ば っ か り(『 大 きな ミス をお か した か も … 』)。
ゼ ミ で は 本 を2冊 仕 上 げ 、学 部 中 最 長 時 間(『
プレ
大 き な ミス を お か した か も… 』)。
しか し こ の 不 安 も 、 ゼ ミが 実 際 始 ま る と 一 掃 さ れ た こ と は 言 う ま で も あ りま せ ん 。5月
ま で の 簿 記 の 練 習 で は 、 プ レゼ ミで 得 た か も しれ な い 知 識 を実 践 を通 して 身 に つ け る こ と
が で き て 良 か っ た と思 い ます 。6月
け だ っ た と思 い ま す 。7月
の 簿 記 の 試 験 ま で に 、 実 質 的 に勉 強 した の は こ の 時 だ
に は 、 こ の 一 年 の 山 場 の 一 つ が や っ て 来 ま した 。 ゼ ミの レ ジ ュ
メ の 担 当 とサ ー クル の 合 宿 の 準 備 が 重 な り 、初 め て 貫 徹 な る もの を体 験 し ま した 。
夏 期 合 宿 で は 、 ケ ー ス ス タデ ィの 『ケ 』の 字 も知 らず 、 自分 達 の 報 告 は 不 本 意 な も の に
な っ て し ま い ま した 。 た だ た だ 先 輩 方 の 報 告 に 舌 を巻 い て い た の を覚 え て い ま す 。 と は 言
う も の の 、合 宿 の 記 憶 の 大 半 を 自 由 時 間 の 事 が 占め て い る と い うの が 、 正 直 な と こ ろ で し
ょ う。
9月 以 降 の ケ ー ス ス タ デ ィで は 、計 画 は た て る もの の 遅 々 と して 進 まず 、 時 に は 当 日の
朝4時
頃 ま で 下 宿 で 打 合 わ せ と い う こ と もあ りま した が 、 今 と な っ て は 過 去 の1ペ
ー ジに
な って・
…-・(え っ?ま だ あ る っ て?)。
ま あ 、 こ の 一 年 間 、 ゼ ミ とサ ー クル との 両 立 が 大 変 で 、 自 分 と して は う ま く く ぐ りぬ け
て 来 た つ も りで す が 、 気 付 か な い と こ ろ で 迷 惑 を か け て い た か も しれ ま せ ん 。 こ の 場 を借
りて お 詫 び して お き ま す 。 これ ま で サ ー クル と い う次 元 で しか 交 流 関 係 の 無 か っ た 私 に と
っ て 、 ゼ ミ を 通 して 交 流 関 係 を 広 げ る 事 が で き 、 さ ら に そ れ が 一 次 元 で は な く 、 サ._._クル
の 次 元 と重 な り数 次 元 に も な っ て 行 った こ と は 本 当 に 良 か っ た と思 い ま す 。
一167一
一年 を振 り返 って
渡辺
一 年 な ど と い う の は 早 い も の で 、 こ の ゼ ミ に 入 っ て(入
っ て)か
ら 一 年 が 経 と う と し て い る 。 面 接 で は20数
忠行
れ て も ら
名 の 中 の11
名 に 選 ば れ て ラ ッ キ ー と思 っ て い た の も 束 の 間、 ワ ー プ ロ を 買 え だ
の 、 レ ジ ュ メ を 作 れ だ の、 簿 記 試 験 を 受 け う だ の と い う 無 理 難 題 に、
ゼ ミ の 選 択 を 誤 っ た か な と 思 っ た 時 期 も あ っ た。 ま た も と も と 勉 強
嫌 い で あ る た め に、 本 す ら 読 ま ず に ゼ ミ に 出 て 全 く 分 か ら ず 、 こ の
ま ま だ と つ い て い け な い の で は な い か と 思 っ た 時 期 も あ っ た。 そ れ
が 今 で は歴 と した ゼ ミの 一 員 と して、 論 文 集 に 名 を載 せ て も ら え る
こ と を 誇 ら し く 思 う。
と に か く、 ア ホ な 私 が 何 や か ん や 言 い な が ら も 今 ま で や っ て こ れ
た の は、 ひ と え に 藤 井 先 生 の 人 徳 の 為 せ る 業 で あ り、 ま た 仲 間 意 識
と で も言 っ た よ う な も の の お か げ だ と思 い ます。 本 当 に感 謝 して ま
す。
最 後 に 、 今 年 度 迷 惑 を か け た 人 に 謝 ら せ て い た だ く と と も に、 来
年 度 も よ ろ し く お 願 い し ま す と い う こ と で 終 わ り ま す。
.ρ.Sど
負 を=言
う も 振 り返 る と い う の は 好 き じ ゃ な い の で、 来 年 度 の 抱
。 簿 記 の2級(で
き れ ば1級)を
と ん ど 専 門 の 単 位 を と れ な か っ た(だ
て 単 位 を と り ま く り た い 。(あ
と り、 あ と 、 今 年 度 は ほ
ろ う)か
ら、 き ち ん と 勉 強 し
く ま で も 抱 負 な の で … 。)
一168一
編 集 後 言己
共 同研 究 が 始 ま っ た 頃 は、 本 当 に立 派 な論 文 を つ く り上 げ る こ とが 出 来 る
だ ろ う か 、 と い う 不 安 を ゼ ミ生 の 誰 も が 抱 い て い た こ と と 思 い ま す 。 しか し
こ う し て 、 昨 年 度 の 論 文 集 を 、 量 的 に は 間 違 い な く そ して お そ ら く質 的 に も
大 幅 に 上 回 る 、 素 晴 ら し い 第2号
で は 、 こ の1年
の 論 文 集 を 無 事 発 刊 で き る こ と とな っ た今
に お け る ゼ ミ生1人1人
今 年 度 は ゼ ミ活 動 も2年
の苦 労 が懐 か し く思 い 出 さ れ ます 。
目 に入 り、 そ して 何 よ り立 命 館 大 学 奥 村 ゼ ミと の
シ ン ポ ジ ウ ム と い う確 た る 目 標 が あ っ た た め 、 で き る 限 り よ い も の を っ く ろ
う、 と い う気 持 ち を 皆 が 持 っ て い た の で は な い で し ょ う か 。 そ し て 藤 井 先 生
の 熱 心 な 御 指 導 と ゼ ミ生 の 頑 張 り が 見 事 に 結 実 し て 、 こ の 論 文 集 が 完 成 し た
の だ と思 い ま す 。
今 後 も、 様 々 な 課 題 に 取 り組 ん だ 、 優 れ た 論 文 集 が 発 刊 さ れ て い く こ と を
願 い っ っ 、 編 集後 記 と させ て い た だ きま す 。
1993年2月
一編集委員 会 一
中田剛史
澤江 由紀 子
藤月会論 集
山ロ英 孝
長瀬貴雄
第2号
京都大学 経済学部 藤井 ゼ ミナー.ル
論文集編 集委 員会
〒606京
京都大 学
印刷
一174一
都市 左京 区吉 田本 町
経済 学部
昭和堂 印刷所
藤井研究 室
気付
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