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印刷教育研究会
会報
No.113
2014.07.23 発行
LETTER OF JAPAN ASSOCIATION OF GRAPHIC ARTS EDUCATION
巻頭言
印刷教育研究会
〒113-0033 東京都文京区本郷1-3-9
東京都立工芸高等学校
グラフィックアーツ科内
(連絡先:大澤 正則)
TEL 03-3814-8755
URL http://graphic-ed.net/
<<これからの活動に向けて>>
印刷教育研究会
会長 中西 芳樹
グラフィックアーツ業界を取り巻く環境は、技術
環境を整え、ソーシャルネットワークも活用した情
革新とワークフローのグローバル化により、これら
報発信を進めたいと思います。これにより研究会の
に対応できる技術者の育成が必要とされています。
活動を積極的に発信すると共に会員相互が情報交換
これに伴いグラフィックアーツ教育は、これまでよ
できる環境を作ります。また、理事の仕事分担を簡
りも多岐の分野に亘る課題の解決が求められます。
素化や理事会活動の効率化が期待できます。
研究会では課題を敏感に受け止め、対応できる活動
を一歩ずつ着実に進めていきたいと思います。
3.研究会・講演会
間もなく 30 年を迎える歴史ある印刷教育研究会
研究会・講演会のテーマは、業界で働く社会人や
の活動方針についてはこれまで通り受け継いでいき
学生を対象に「継承すべき日本の印刷文化」と「現
ます。これからの活動を進めるにあたり、理事、顧
場で活用できる新技術やワークフローの事例研究」
問の皆様には、どうぞご指導ご鞭撻の程をよろしく
に絞って継続的に開催したいと思います。これまで
お願いたします。
通り講師には各界の第一線で活躍している方々を招
いて日本の印刷文化と最新のトピックスなど適切な
これまでの研究活動は、研究会、講演会の開催や
話題を参加者に提供します。
学生グラフィックコンペを通して多くの成果が得ら
れています。しかしながら講演会での参加者数の減
4.学生グラフィックコンペ
少、ホームページによる広報活動などの状況を見る
学生への啓蒙活動として行ってきたコンペも年を
時、研究会を活性化させるため改善に取り組むべき
重ねて質の良い作品が増えてきており、学生の課題
課題もあります。
に対する関心がより高まってきていることが伺えま
す。また、各種教育機関の抱える学習課題について
1.産学連携活動
研究会と教育機関の間で意見交換を行いグラフィッ
研究会・講演会について、グラフィックアーツ業
クアーツ教育の充実を図りたいと思います。
界で働く卒業生に参加を呼びかけて参加者数の増加
を図ることを提案します。彼らにとって必要な知識
5.賛助会員の拡大
や技術を研究会・講演会において共に意見交換し、
グラフィックアーツ業界における人材育成は、将
学習できる場を創ることは当会の目的にも合致して
来のわが国の印刷・グラフィックアーツ産業を支え
いるのではないでしょうか。また、そこから業界の
る上で重要です。研究会は関連企業を通してこれら
関係者に拡げることができれば研究会の活性化も期
の課題について情報交換を行い業界の発展に寄与し
待できます。
ていきたいと思います。
2.情報発信
研究会活動の活性化のためホームページの WEB
1
講演会
報告
<<インクジェットプリンターの開発と新印刷ワークフロー>>
講 師:株式会社プリンテクノ 代表取締役 木村 哲雄 氏
(記 録:印刷教育研究会理事 大槻 辰弥)
の 場 合 も、 イ ン ク
の 液 室、 ノ ズ ル 出
インクジエットプリンターの歴史をまとめると、
抗により固有振動数
第 1 表のようになる。
が 決 ま る た め 50 ~
オフコン、
ワープロ用
連続噴射型
CIJ世界発特許
Videojet 9600
Typuter (カシオ)
JeTpoint (シャープ)
DIJIT (Mead)
1976 6640 (IBM)
コンシューマ、
ビジネス用
1991
1995
2005
2007
プロダクション用
2009
20??
120dpi Printer (Kodak)
Versmark DS (Kodak)
VX5000e (Kodak)
VT3000 (Kodak)
Prosper S10 (Kodak)
Prosper Press (Kodak)
合は固有振動数が低
チャージ電極
(インクが引き寄せられる)
( インクが帯電する)
ガター
高電圧偏向板
(インクの再利用)
ポンプ
インク
第 3 図 : 連続噴射型インクジェット
く な り 5 ~ 10kHz の
の動作原理
場合もある。
3. インクジエット現行製品とヘッドメーカー
インクジエットプリンターのインクヘッドの供給
メーカーを第 3 表に示す。
インクジエットヘッド方式は第2表のように分類
プリンター製品名
できる。
コダック
連続噴射型
共振部
滴、液室が大きい場
2. インクジェツトヘッド方式と代表的分類と動作原理
インクジエット
方式
インク
HV-ON
粘度高く、インク
PT-80 (Siemens)
サーマルIJ世界発特許
ThinkJet (HP)
BJ-10 (キャノン)
DJ1200C (HP)
PM-700C (エプソン)
BJ-700 (キャノン)
PX-G900 (エプソン)
MJP-600 (ミヤコシ)
TPJ520 (SCREEN)
IP5000 (InfoPrint)
MPJ-20 (ミヤコシ)
JetStream (Oce)
20?? T300 (HP)
TPJ-SX (SCREEN)
Jit Press 720 (FujiFilm)
第 1 表:インクジエット技術と製品の歴史
オンデマンド型
ポンプ
る。
1977
1977
1987
1990
1993
1996
1997
2003
2003
2005
2007
2008
ガター
高電圧偏向板
100kHz が 限 界 で あ
オンデマンド型
1946 ピエゾIJ世界発特許
※マルチノズル型
※Versmarkの原型
( インクが帯電する)
被印刷体
1867
1968
1971
1973
1973
チャージ電極
共振部
口、インクの粘性抵
1. インクジエット技術と製品の歴史
用途
HV-OFF
被印刷体
インクジエット技術と印刷業務製品の概要
エプソン
撓みモード型 京セラ/ブラザー
パナソニック
縦モード型
エプソン
サーマルインクジエット方式
HP
荷電変更
コダック
2値制御型
偏向制御型
熱や空気
コダック
による偏向
発散型
ピエゾインク
ジエット方式
ミヤコシ
Oce
InfoPrint
Screen
Versamark D-Series
Versamark VT3000,VX5000Plus
Versamark VL- Series
MJP-600
MJP-20F
JetStream Series
InfoPeint5000
Trepress Jet520
インクヘッドメーカー
コダック
パナソニック
京セラ/ブラザー
エプソン
第 3 表:インクヘッドメーカー
プロダクション用のインクヘッド技術は、現時点
注)方式およびメーカー名は印刷業務用プリンター関連に限定。コンシューマ、ワイドホーマットは除外。
第 2 表 : インクジエットヘッド方式の分類
でコダック以外についてはコンシューマ用インク
ジェットの黎明期の特許の延長上にあるといえる。
ピエゾインクジエットの動作原理は第 1 図に、
サーマルインクジエットの動作原理を第 2 図に、
4.InfoPrint5000 の基本構造とプリントヘッドの解説
連続噴射型の動作原理を第 3 図に示した。
Screen の TruePressJet520 の OEM 版であり、イ
収縮
プラス電極
ピエゾ素子
ンクヘッドの配列の工夫によりプロダクション用プ
マイナス電極
振動板
インク室
リンターの品質向上を図っている。
インク室
加電圧
インク滴
第 1 図 : ピエゾインクジエットの動作原理
ヒーター
300℃ インク
ヒーター
気泡
インク
ヒーター
気泡
インク
ヒーター
気泡
インク
③インクを分離
④インクを吐出
5. 連続噴射型 Kodak 現行製品とプリントヘッドの解説
ヒーター
マルチノズル連続噴射型プリントヘッドの動作原
インク
理を第 4 図に示す。インクがオリフィスプレート
より連続噴射され共振部の 100kHz 駆動によりイ
①ヒーターに通電
②気泡発生
(瞬時に加熱) ( 膜沸騰⇒気泡発生)( 気泡がインクを押す)
⑤インクを再供給
ンクドロップを形成し、毎秒 10 万粒のインクドロッ
(初期状態)
第 2 図 : サーマルインクジエットの動作原理
プを形成するときに、1 粒ごとには電荷を与えない
連続噴射型はインクの吐出するスピードが速く、
で中性のまま真っ直ぐ印刷面に落下して画像部を形
振動数は 200 ~ 300kHz である。オンデマンド型
成する。ノズルから紙まで5mm程度の距離がある
2
共振部
Bonding agent は、普通紙にインクを定着させる
オリフィスプレート
ための透明インクを最初に吐出させ、そのあとに
CMYK のインクを吐出させることでインクをインク
チャージ電極
ジエット適正の低い用紙にも定着させること技術で
ある。
回収
インク粒
サーマル型インクヘッドはピエゾ型に比べ極端に
寿命が短い。そこで、HP Edgeline Head ではプラ
ステックのハウジング内にインクヘッドをモジュー
キャッチャー
ル化し、本体のクランプユニットへの装着精度を向
印刷用
インク粒
上させオペレータがインクヘッドを交換可能とし
た。ヘッドユニット幅は 4.25 インチ (108mm)、ノ
ズルピッチ 1200dpi × 2 列 (2 色印字 ) でノズル総
紙
プリントヘッド側面
プリントヘッド正面
数 10,560 ノ ズ ル (5,280 ノ ズ ル / 色 ) で あ る。 印
第 4 図 : マルチノズル連続噴射型プリントヘッド
刷部分には、このユニットを幅方向に 7 個、用紙
ため紙面に到達したときの精度が低下しやすい。
搬送方向に 5 個の計 35 個セットされる。特に HP
2008 年に発表された Kodak の新製品、Stream
Vivera インクを使用することで、高速スルートッ
Concept Press の振動部はピエゾ型ではない。
プや乾燥時間の短縮を達成している。
インク飛び出し口をある周期で加熱すると、表面
張力が変化しインクが滴状になる。加熱させるパル
7.Fujifilm Inkjet Digital Press
ス幅を意図的に変化させとインク滴の大きさをコン
インクヘッドは富士フイルムディマテックス ( 旧
トロールできる。小さなインク滴は横風で吹き飛ば
スペクトラ ) の新規開発ヘッドである。1 インチ程
され着弾しない。この方法ではインクを帯電させな
度のヘッドを 27 インチ幅に精度良く並べるために
いで済むため顔料インクを使用できる。
インクヘッドを鉄のフレームの中に一体形成してい
る。紙全面にプレコートを行い印刷する。ドット
6.Oce Jetstream と京セラヘッド
が出なくなった時の印字不良対応として、液滴を
JetStream2200 は drupa2008 で 発 表 さ れ た。
2pl( 着弾直径 20u 程度 ) と小さくし何回も着弾さ
Oce はキャノンが 2 年前に買収したが、Oce はプリ
せるためスピードが犠牲にしている。
ンターエンジンはミヤコシ、インクヘッドは京セラ、
フィールドメンテナンスの方法は不明であるが困
Oce ではコントローラーとJDFワークフローのプ
難が予想される。
リズマプロにより付加価値を創造してきた。
ヘッドは有効印字幅 4.25 インチ (108 mm ) の 1
7. 各社製品と画質レベルについて
体型ヘッドで、各色 2 列のヘッドで高速化を達成
した。ひし形アクチュエータにより実装性をあげて
写真画質
いるが、
発生圧力と制御など課題も多い構造である。
(FM スクリーン
600 線相当)
インク経路が複雑で多層構造となっているため、
カタログなどカラー
インク中に混入しているミクロな気泡が堆積しやす
印刷 (150 ∼ 200 線)
用紙:コート紙、アート紙など
く泡不吐の頻度は高いと想定される。基本パテント
Kodak Stream concept Press
Fujifilm JetPress720
Screen Truepress Jet SX
は 20 年以上前にブラザーが開発したものでる。
書籍・雑誌 (100 ∼ 150 線)
、カラーDM 用紙:上質紙、書籍用紙など
京セラ新ヘッドは、毎秒約 1 億 5 千万個のドッ
HP T300 inkjet Web Press
Infoprint 5000
Screen Truepress Jet 520
トを吐出する高速・高精細フルカラー印刷、世界最
速印刷を実現するインクジェットヘッドで、最大
Oce JetStream Series
Kodak VL2000/4000/6000
新聞 (60 ∼ 80 線 )、帳票印刷、
DM宛名印刷
毎秒 6 万回の吐出能力を持つ。従来ヘッド 3 万回 /
用紙:更紙、普通紙など
秒のヘッドに比べ、液室が小さくし応答周波数を上
げ、吐出周波数を上げている。
第 5 図:各社製品と画像レベル
3
を行えるようにしている。
JDF 標準規格を導入した各社自動化ワークフロー
1.オープンプラットホーム化
各社は Press-sense iWay の OEM をベースにした各
Kodak は Prinergy と Creo Color Server か ら
社独自のフルワークフロー管理を進めており、そのた
Xerox,HP,Konica Minolta 等のデジタルプリンター
めにコンベンショナルプリンティングで常識であった
を Kodak Unified Workflow 環境で使用可能とする
ワークフロー、Prepress ⇒ Press ⇒ PostPress といっ
ことで、オープンなハイブリッド・ワークフローを
た考えは過去のものとなりつつある。
提供している。
Oce は Xerox Docucolor 用プリンタードライバー
3.CIP4 リファレンスモデル
を用意することで PRISMA 環境下で他社製デジタ
最後に、リファレンスモデルを示す。
ルプリンターの動作環境を提供している。
Xerox は自社製サーバーの充実を図りながら FEI
販売担当者
顧客
プリント
バイヤー
製サーバーを準備し、多様な顧客要求に答えている。
値段交渉
& 見積
JDF
インテント
作成
2.自社プリンター製品群の集中管理システムの提供
各工程へ
カスタマー
サービス担当者
プリンティングに最適なワークフローソリューショ
専門家
ンを構築し、自社プリンター群の集中管理を行うこ
仕事の発生
プリプレス
各工程へ
プレス
責任者
製品内容
詳細
(概算)
製品内容詳細
(実値)
見積
受注入力
プレス
各工程へ
プレス
作業者
プレス
基本MIS
応用MIS
ポストプレス
責任者
印刷会社
責任者
ポストプレス
ポストプレス
作業者
印刷会社の管理
顧客
とで、ジョブ内容とデバイスから最適なジョブ管理
プリプレス
プリプレス
作業者
製品内容詳細
ドキュメント
作成
Xerox FreeFlow や HP SmartStream は デ ジ タ ル
プリプレス
責任者
生産
スケジュール
ポストプレス
印刷会社
第 6 図:CIP4 リファレンスモデル
✿見学会のご案内✿
AGFA CTP プレート製品及び速乾印刷
日本でトレンドとなっている現像レスと速乾印刷をテーマとし、AGFA CTP プレート製品の概要と技術説明、
水が絞れる AGFA のプレートにより実現する速乾印刷を紹介。また、現像レスプレート「アズーラ」のガム洗
浄処理の様子をデモでご確認いただきます。
記
テーマ:AGFA CTP プレート製品及び速乾印刷
CTP プレート紹介
内 容:1.2. AGFA
速乾印刷の概要紹介
3. 現像レスプレート「アズーラ」処理実演
4. 質疑応答・まとめ
講 師:日本アグフア・ゲバルト株式会社
(営業本部 東日本営業部 国井 忠男 氏 技術本部 感材グループ 谷口 龍人 氏)
日 時:平成 26 年8月28日(木) 午後 15 時 00 分 ~ 午後 17 時 00 分
会 場:日本アグフア・ゲバルト株式会社 本社(東京都品川区大崎 1-6-1 大崎ニューシティビル1号館 5 階)
参加費:無料
申込先:都立工芸高校 大澤 正則 宛(mail:[email protected] 電話 03-3814-8755)
以上 印刷教育研究会では、正会員、賛助会員を募集しております。
•
正会員 ( 主に印刷関連の教育機関等で教育に携わる者 ) 会費 年間 2,000 円
•
賛助会員 ( 本会の趣旨に賛同する法人及び団体・個人 ) 会費 1 口年間 10,000 円 (1 口以上 )
会員は、当研究会主催の研究会・見学会に無料で参加いただけるほか、一般財団法人 印刷図書館を無料で
ご利用になれます。多数の入会の賜りたく、お願い申し上げる次第です。 4
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