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41歳、女性。 咳嗽、発熱。

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41歳、女性。 咳嗽、発熱。
[case 05]
41 歳、女性。
咳嗽、発熱。
Q1
Q2
胸部単純 X 線写真の所見は?
最も考えられる疾患は?
(1)原発性肺癌
(2)肺結核
(3)肺炎球菌肺炎
(4)マイコプラズマ肺炎
(5)クラミジア肺炎
写真1 初診時の胸部単純X線写真
生来健康であった。2005年8月末から感冒様の症
肺炎の診断で入院した。
状があった。微熱が続いていたが、9月1日から咳嗽が
身体所見および胸部聴診所見は異常なし。検査所
強くなり、38℃台の発熱で9月4日に当科外来を受診
見は、白血球数 7400/μL、CRP 4.5mg/dL、AST
した。喀痰は少ない。夫も同様の症状で、9月2日に
62IU/L、ALT 58 IU/Lとやや上昇していた。
胸部X線 日経メディクイズ
1
出題と解説
A1
心陰影の裏側に見られる、
下行大動脈に沿った塊状陰影
山口 哲生(JR 東京総合病院〔東京都渋谷区〕呼吸器内科)
写真2 初診時の胸部単純X線写真(写真1再掲)
A1 (4)マイコプラズマ肺炎
胸部単純 X 線写真(写真 2)では、下行大動脈の
a
陰影が途中からシルエットアウトして追えなくなっ
ており、心陰影の裏側に塊状陰影があることが分
a
a
かる。
塊状陰影という言葉からは腫瘍性の病変をイメー
ジしがちであるが、感冒様症状に続く咳嗽および発
熱という臨床症状は明らかに感染性肺疾患(肺炎)
の症状である。
本症例の特徴として、
(1)基礎疾患のない比較的
若年者(60歳未満)が発症(2)咳嗽は強いが、喀痰
下行大動脈線の上下の間がシルエットアウトしている(a)
。
塊状陰影が認められる(a)
。
写真3 胸部CT像
は少ない(3)家族内発生がある(4)白血球増多が
ない(5)肝機能障害がある─などが挙げられる。
これらはすべてマイコプラズマ肺炎の特徴的な臨
床症状で、そのほかの疾患を考えることは難しい。
の浸潤陰影が下行大動脈に接している。
a
a
なお、胸部 CT 像(写真 3)では、濃淡のある塊状
マイコプラズマ肺炎の原因菌であるMycoplas-
mapneumoniae は気道上皮を障害するため、乾性
咳嗽を来す。適切な治療が行われない場合は、喘
下行大動脈に接して塊状の浸潤陰影が認められる(a)
。a
は下行大動脈と塊状陰影の境界。
息を引き起こすこともある。また、免疫系にも作用
して自己抗体を産生させることがあり、罹患した患
陰影または分岐状陰影)─を呈するものが知ら
者の約6割が寒冷凝集反応高値を示す。以前は4年
れている。
(2)
、
(3)は珍しい病型だが、今回は(2)
に一度流行するとされていたが、最近は散発例が
の例を提示した。確定診断は、
(1)から(3)のいず
多い。
れの病型でもペア血清でマイコプラズマ抗体価が4
マイコプラズマによる肺感染症には、
(1)気管支
倍以上上昇していることで判断する。
肺炎(すりガラス状または浸潤陰影)
(2)結節状ま
本症例は、クラリスロマイシン400mg/日経口投
たは塊状陰影(3)細気管支炎(小葉中心性の粒状
与のみの短期入院で改善した。
POINT
2
マイコプラズマ肺炎では結節状または塊状陰影を呈することもある。
日経メディクイズ 胸部X線
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