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歯科衛生だより会報 17号

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歯科衛生だより会報 17号
平成25年10月1日(年6回、4.6.8.10.12.2月の1日発行)
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鍾零事「第19回歯科衛生国際シンジウム」開催れる
アフリカ大陸の最南端に位置する南アフリカ共和国の
零塁一
ケープタウンにおいて、2013年8月14日(水)∼17日
(±)に、第19回歯科衛生国際シンポジウム(│SDH)が開
催されました。また、シンポジウムに先立ち8月11日(日)∼
13日(火)には、国際歯科衛生士連盟(│FDH)の加盟国代
表者(HoD)会議が開催されました。日本歯科衛生士会から
は、国際協力担当西嘉子理事と薄井由枝委員長の2名が参
加しました。
南アフリカ共和国「以下南アフリカ」は、日本から非常に離
れている国で、なじみが薄いので、少しご説明しましょう。国
土は日本の約3.2倍、人口約5千万人(2011)、公用語は英
ケープタウン風景(中央の建物はケープタウンスタジアム)
語・アフリカーンス語・バントウー諸語等11言語、首都はプレ
トリア、最大都市はヨハネスバーグです。今回のシンポジウム
アルフレッド・ウォーターフロント、テーブルマウンテン、ケー
開催地ケープタウンは、人口約295万人の第2の経済都市
プタウンスタジアム(2010年W杯開催)、喜望峰、口ベン島
です。日本との時差は7時間遅れ、季節は冬で平均気温
(マンデラ元大統領収監地)などがあります。また、特産品
13℃、直行便はなく、ドバイ経由で22時間かかりました。
はたくさんありますが、お土産として人気なのは、ワインや
観光名所は、キャッスル・オブ・グッドホーブ、ビクトリア&
ルイボスティー等でしょう。
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HoDメンバー。日本歯科衛生士会からは西嘉子理事(2列目右から9人目)、薄井由枝委員長(左隣)が参加しました。前列中央は国際歯科衛生士連盟マリア会長。
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平成25年10月1日(年6回、4.6.8.10.12.2月の1日発行)
ド、韓国によるプレゼンテーションが行われました。すぐに投
開票となり、韓国に決定しました!!韓国は前回のHoD会議
でも2016年の開催国として立候補したのですが、残念な
がら落選してしまったため(2016年はスイスで開催)、今回
は大変な覚悟をもって臨んでいました。長年念願していた
開催国決定に、韓国の喜びは最高潮に達し、会場内も歓喜
に満ちあふれていました。
言葉の壁もあり、集中力の連続で大変消耗してしまいま
各国のHoDメンバー
したが、2日間の密な会議が終わりホッといたしました。次回
のHoD会議には、これからの若い適任者の出席が必須とつ
くづく感じました。
第19回歯科衛生国際シンポジウム
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(1.1牌の健康、それは全身の健康の達成に欠かせないもの)
オープニングセレモニーでのアトラクションで会場は大いに盛り上がりました
プションにて軽食を楽しみました。
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シンポジウムは翌15日(木)・16日(金)・17日(土)と開催
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されました。たくさんの大小会議室では、招待者の基調講演や
朝、荷物をまとめて我々は大型バス2台でシンポジウム
いろいろな分野で活躍されている演者からのすばらしい口演
会場のあるケープタウンに移動しました。12時よりケープタ
発表がありました。どの会場も多くの参加者が興味深く聞いて
ウン・インターナショナル・コンベンション・センター
いました。また、デンタルショーも同時に開催され、20社以上
(CTlCC)大ホールにてフラッグセレモニーのリハーサルを
の企業ブースでは歯科衛:電富毒謬諏i=
2時間程行い、その後チエツクイン早々に着物の着付けに2
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人で奮闘しました。
18時よりオープニングセレモニーが開始され、│FDH加
盟国代表者全員が司会者の国名アナウンス後、自国の旗を
振りながら楽しく壇上に上がりました。今回│FDH加盟に承
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認されたロシアとネパールからの代表者も式典に参加され
者が熱心に閲覧していまポスター発表
ました。開会式の後はアトラクションを楽しみました。素晴ら
した。日本からは薄井由枝さん、室賀麗さんのポスター発表が
しい歌の披露や太鼓やパイプを使ったアフリカン民族楽器
ありました。ポスターの抄録は雑誌「│nternationalJoumal
の演奏もありました。来場者全員が演奏に巻き込まれ大変
ofDentalHygiene」(│JDH)Vol、11No.2に掲載されて
盛り上がりました。その後は会場を移動してウエルカムレセ
います。
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│FDHマリア会長
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シンポジウム開会式フラッグセレモニー
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日本のHoDメンバー薄井、西両氏
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平成25年10月1日(年6回、4.6.8.10.12.2月の1日発行)
就業歯科衛生士数の概要(衛生行政報告より)
厚生労働省から平成24年末現在の就業歯科衛生士数が発表されました。全国の就業歯科衛生士数は、108,123人で前回
(平成22年)に比べ、4,943人(4.8%)増加しています。
詳細は、厚生労働省ホームベージ等をご参照ください。(平成24年衛生行政報告例(就業医療関係者)結果の概要)
皿都道府県別就業歯科衛生士数
(単位:人)
全国
108,123
道
5,131
青森
803
北
北海道・東北
岩手
962
宮城
1.532
秋田
914
山形
1.058
福島
1,168
茨城
1.986
栃木
1.516
群馬
1,906
埼玉
4,730
画就業場所別にみた就業歯科衛生士数
就業場所別では、「診療所」が98,116人(構成割合90.7%)と最も多
く、「診療所」以外(10,007人、9.3%)では、「病院」が5,210人
(4.8%)、次いで市町村が2,033人(1.9%)でした。前回との比較では、
就業場所別の割合の変化はほとんど認められませんでした。
戸
関東信越
千葉
4035
東京
10,822
神奈川
6,853
山梨
891
保健所
631人(0.6%)
市町村
2
,
0
3
3
人
(
1
.
9
%
)
病院
5
.
2
1
0
人
(
4
.
8
%
)
介護老人施設
366人(0.3%)
事業所
522人(0.5%)
、
東海北陸
近畿
中国四国
州
2.245
新潟
2,476
富山
988
石川
855
福井
630
岐阜
2’260
静岡
2958
愛知
4.142
三重
1.619
滋賀
1,187
歯科衛生士学校
または養成所
その他
786人(0.7%)
4
5
9
人
(
0
.
4
%
)
回年齢階級別にみた就業歯科衛生士数の年次推移
京都
1.894
年齢階級別にみると、「25∼29歳」が20,650人(構成割合19.1%)と
最も多く、前回同様「25歳未満」では減少しているものの他の年齢階級
のすべてで、年次ごとに増加しています。特に35歳以上の増加が大き
いことから、休職からの復帰や一人あたりの就業年数の延長が推測され
大阪
7,292
ます。
兵庫
4568
奈良
1
,
2
6
1
12369人20,650人15‘546人16.226人15.478人12664人15.190人
(19.1%)(14.4%)(150%)(14.3%)(11.7%)(14.1%)
(11.4%)
和歌山
862
鳥取
724
平成24年
島根
791
(
2
0
1
2
)
岡山
2,414
広島
3,113
山口
1.366
徳島
1,064
香川
1,193
愛媛
1,392
高知
976
福岡
5,433
佐賀
1,055
長崎
1.505
熊本
2.104
大分
1,402
宮崎
1,397
鹿児島
1.634
沖縄
1,021
唾I
且
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平成22年
(
2
0
1
0
)
平成20年
’
(
2
0
0
8
)
■25歳未満
25∼29歳
■30∼34歳
平成18年
心画1
九
長野
も
(
2
0
0
6
)
平成16年
(2004)
平成14年
(
2
0
0
2
)
■35∼39歳
■40 44歳
■45∼49歳
■50歳以上
平成12年
(2000)
020.00040.00060.00080.000100.000(人)
*図表について
厚生労働省データより、日本歯科衛生士会が作成しました。
VpL.,ワロ屋
平成25年10月1日(年6回、4.6.8.10.12.2月の1日発行)
公益財団法人富徳会歯科衛生学に関する研究助成のご紹介
歯科衛生士を対象とした公益財団法人富徳会「歯科衛生学に関する研究助成」は、平成19年度から実施されてい
る。平成24年度に研究助成を受けた歯科衛生士2名の研究の概要を紹介する。この研究助成は、歯科衛生士業務に
従事し、かつ、将来とも活躍が期待される歯科衛生士が対象となっている。
詳細は、冨徳会のホームベージ[http://www.h6.dion,nejp/ ftk6480/]をご覧ください。
国民に歯科予防処置業務を行うために
必要な歯科衛生士数の予測
放射線治療患者に対する歯科衛生介入の取り組み
-歯科衛生過程に基づいた歯科衛生士の関わり方一
田口可奈子
星合愛子
新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命福祉学専攻
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯理工学専攻
歯科衛生士は、歯科における健康増進・疾病予防の分野
口腔がん治療において、患者のQOLの維持向上を図る
に貢献しており、今後も「8020」運動の実現、歯の寿命の
ため形態と機能温存が可能である根治的放射線治療の果
延長、および歯の喪失の予防には果たすべき役割が大き
たすべき役割は大きい。しかし口腔粘膜の脆弱イヒ、放射線
い。しかしながら、その就業実態は十分に把握されておら
骨障害、唾液腺障害および軟組織の癌痕イヒ・線維化など放
ず、歯科衛生士の需給に関する研究は少ない。そこで、わが
射線による影響がみられ、放射線治療後の歯科治療を含む
国の歯科予防処置(以下、予防処置)に必要な歯科衛生士
口腔管理を極めて困難にする。歯科衛生士の臨床では、歯
数を明らかにすることを研究の目的とした。
科衛生士自身の論理的思考に基づいた関わりが重要である
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ばんこん
まず、国の統計資料から抽出した成人(20歳以上)人口、
ことから、患者の状態に与えている因子を明らかにして、ど
就業歯科衛生士数、および現在歯数のデータを用いた。今
のような支援が望ましいかを考慮し問題を解決していく過程
回は成人に対する予防処置に着目し、所定の処置時間、現
であるDentalhygieneprocess(以下、歯科衛生過程)
在歯数別での処置時間、およびメインテナンス回数を設定
に目を向け、歯科衛生過程を用いて関わった放射線治療患
して推計を行った。
者症例について報告した。
その結果、必要歯科衛生士数と就業歯科衛生士数の比は
口蓋から咽頭の悪性リンパ腫に対し、放射線治療を実施
1.04:1(所定の処置時間を用いた場合)、または0.82:1
した71歳女性を対象とし、診療録および歯科衛生士業務記
(現在歯数別での処置時間を用いた場合)であったが、実際
録簿をもとに、歯科衛生過程に基づいた歯科衛生士の関わ
の診療状況や、本研究で予防処置としているスケーリングと
り方についてまとめた。
機械的歯面清掃以外の処置があることを考慮すると、かなり
低めの結果であると考えられる。
歯科衛生アセスメントについては、収集した情報につい
て、歯科衛生士が介入可能な問題点を分析するため
次に、公表された新潟県(37地域)のデータから、就業歯
ヒューマンニーズ概念モデルを応用し、ニーズに基づいて
科衛生士数(常勤換算)、一日平均患者数、および歯科医師
分類されたデータのもつ意味を解釈し、それぞれの領域ご
数(常勤換算)を用いた場合について推計を行った。その結
とに問題点の分析を行った。さらに問題と原因を歯科衛生
果、37地域のうち、35地域で歯科衛生士が不足状態で
診断文として文章にて表した。その結果から歯科衛生計画
あった。最も不足している地域では、そこで現在就業してい
を立案し、計画に従い歯科衛生介入を実践し歯科衛生評
る歯科衛生士数に対して約5倍の歯科衛生士が必要であ
価を行った。
り、大きな地域差があることがわかった。37地域全体では必
歯科衛生過程に基づいた実践では、歯科衛生アセスメン
要歯科衛生士数と就業歯科衛生士数との比は2:1であった
ト、歯科衛生診断、歯科衛生計画、歯科衛生介入、歯科衛生
が、この場合、歯科衛生士は予防処置以外の業務にも従事
評価の各ステップでの患者の反応を評価し、必要に応じて
しており、歯科衛生士の数はまだ足りない状況が示された。
戻ることで患者のニーズに対応できる。本症例においては、
とうつう
以上のことから、わが国では成人に対する予防処置に関し
主訴である口腔乾燥によるソ客痛を緩和することができた。
て歯科衛生士数が不足しており、予防処置以外の業務を含
口腔衛生状態も改善し、唾液腺障害によるランバントカリエ
めた場合、さらに多くの歯科衛生士が必要になると考察した。
スの予防につながった。また、放射線治療を施行した患者の
今後、アンケート調査を行い、より詳細な歯科衛生士の需
気持ちを受け止めたことで、信頼関係を築くことができた。
給を推計する予定である。
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