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2004年6月:サービス(需要減少が続く靴修理サービス)
平成 16 年(2004 年)6 月 【サービス】需要減少が続く靴修理サービス バブル崩壊後、服飾雑貨を代表する革靴 このため、立地や知名度に課題を抱える の小売市場は縮小を続けている(図)。そ 業者は、技術力の向上を通じた新規顧客の の影響は周辺サービスである靴修理の分野 開拓に活路を見出す必要があろう。現状、 にも及び、業界誌等で把握できる主要靴修 高機能革靴や高級輸入品の修理は、技術力 理 チ ェ ー ン の 売 上 高 は 、 90 年 代 以 降 前 年 の高いメーカーや生業的な靴修理店が主な 割れに転じており、足許でも減少に歯止め 担い手となっているが、靴修理チェーンが が掛かっていない。 難度の高い修理も請け負える体制を整備で もっとも、靴修理チェーンの不振の要因 きれば、身近な店舗に革靴を持ち込める利 には、サービス内容が革靴の価格や機能面 便性を武器に新たな需要を取り込むことも の変化に対応できなくなってきたこともあ 可能と考えられる。実際、足許では、靴修 るようだ。靴修理チェーンは、店内の小型 理チェーンのなかから、革靴の専門知識や 機械で対応できる簡易なサービスに限定し、 修理技術の向上に向けた従業員教育を強化 1 箇所当たり千円~数千円で革靴の修理を して、新たに高機能革靴の修理を受け付け 請け負っているが、割安な輸入品の流入な たり、輸入品を日本人向けの足型に補正し どを背景に革靴の低価格化が進むなか、修 てメーカーに納入する、といった取り組み 理料金の割高感が強まり、つれて消費者の を始めるところが出てきている。 靴修理ニーズが大きく低下している。また、 画一的なサービスを提供してきた靴修理 軽さや防水機能などを売り物に、近年急速 チェーンだが、今後は立地や知名度、技術 に普及している高機能革靴については、素 力など自社の特色に応じた戦略を打ち出す 材や製法が特殊なため、靴修理チェーンの 必要がありそうだ。(5.25 梅野 十一) 技術では修理に対応できないケースも増え ているという。 (万足) 今後もこうした傾向に大きな変わりはな 12,000 さそうで、靴修理チェーンを巡る環境は総 10,000 じて厳しい展開が続く虞が強い。なかでも、 店舗の立地条件や知名度で見劣りする業者 図:革靴販売量の推移 輸入品 国産品 8,000 6,000 は相当な苦戦を強いられよう。靴修理の場 合、主な利用者となる OL が立ち寄りやす 4,000 い立地を確保しているかどうかが集客に大 2,000 きく影響するし、百貨店や駅ビルなどの有 0 力施設では、テナント誘致に当たり知名度 を重視する傾向が強いからである。 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 (年) (資料)ポスティコーポレーション「シューズブック」