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被災地復興と新たな日本の創生に向けて

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被災地復興と新たな日本の創生に向けて
−
︹.一
ι
b 凶、
l
υ,
v
可
主催者としてシンポジウムの趣旨などの説明をし、本大会が、
情家篤氏︵日本私立大学団体連合会会長、慶膳義塾長︶は、
学園女子
大学人間教育学部語
剛 ・本連盟インテリジェンスセン安広報・情報部門会議 ︵大学時報︶委員、園田
i 東日本大震災復興シンポジウム二O 一四︵東京大会︶参加報告
被災地復興と新たな日本の創生に向けて
芹津
はじめに
来賓の前川喜平氏 ︵文部科学審議官︶ は、風化と風評につ
いて、また人材育成と諜題解決のための大学の役割への期待
東北再生に関わる大学 ・短期大学関係者への支援を強固にし、
全国の人々の意見交換、ネッ トワー ク形成の場になることを
望んでいるとあいさっされた 。
について述べられた 。 石巻市立大 川小学校関係者が向き合う
私学会館︶
平成 二十六年八月八日、アルカデイア市ヶ谷 ︵
において、日本私立大学団体連合会 ・日本私立短期大学協会
主催の東 日本大震災復興シン ポジウム 二O 一四 ︵東京大会︶
が開催された。全国の大学 ・短期大学の関係者を中心に 二四
年の夏から毎年行われている 。宮城︵仙台︶、福島︵郡山︶、
O名ほどが参加した 。 このシンポジウムは 震災 のあったその
厳しい現実、﹁人間に対する風評﹂に苦しめられる若者の例は、
具体的である分、聴く者の心に染み入るものであ った。
これから、という三 つ
災発生まで、山発生から現在まで、
に整理された内容であ った。
川 阪 神・ 淡路大震災を教訓に、耐震・防火 ・防犯設備を
ω
育環境を求めて||椛島が抱える現状と課題﹂と題され、
ω震
関口修氏︵郡山女子大学・同短期大学部理事長 ・学長、日
本私立短期大学協会会長︶による講演は、﹁安心・ 安全な教
特別講演
岩手︵盛岡︶の被災地での開催に続き、今年で第四回となる。
主題 は第 一聞から引き継がれ、﹁東日本大震災を超えて一
大学のなすべきこと、でさること||教育の復興なくして地域
の復興と国の再生なし﹂である 。今大会は﹁被災地東 北 の復
興と新たな日本の創生に向けて﹂という副題が付された。
開会あいさつ
大沼淳氏︵日本私立大学団体連合会副会長、文化学園大学
理事長 ・学長︶の、被災学生 ・大学への支援を風化させない
よう有意義な大会にしようという閉会の 言葉 で始まった 。
•12
Sep 2
0
1
4
ヴ
整え、停電 ・断水 ・水害への対策を済ませていた 。 そのため
発災時は、大学での学生の生活に心配はなかった 。避難して
きた地域住民をも支えることができ、地方私立大学として地
域への 貢献もできたのではないかと思う。
企口修理に来られないとい
う事態になり、状況を理
解した 。風評により多く
の学生が県外に避難し、
入学者も減少した 。
同 直 面する苦難に耐
えられる人問を育成する
ために、教義教育を充実
させなければならない 。
放射線を理解したうえで、
放射線被害を受けた生活
者に これからどのように
寄り添っていけば よいか。
地域と共生する大学とし
てこういった課題につい
て考えている 。
シンポジウム
北里大学感染制御研究機構釜石研究所部長︶
笠井宏朗氏 ︵
や社会を自分のこととして感じられる教育の必要性、 ② 人口
減少が進む東北と日本の新しい産業体制の検討、の二点を挙
げられた 。体で感じなければ行動には移せないとの考えから、
﹁
感じる科学教育﹂の重要性を指摘された 。
今回は﹁被災 地 東 北 の 復 興 と 新 た な 日 本の創生に 向 け て
|| この三年間の取組みと今後の課題﹂という副題でシンポジ
ウムが行われた 。 六名の報告があった 。
常盤豊氏︵文部科学省研究振興局長、前高等教育局私学部
長︶は、 ① 被災地の私立大学の教育研究機能の復旧、 ② 大学
などを活用した地域再生、それぞれの文部科学省の取り組み
について報告された 。 ﹁
東 日本大震災を踏まえた今後の科学
技術 ・学術政策の在り方について﹂︵平成 二五 ・一 ・一七
科学技術 ・学術審議会資料︶に触れ 、科学技術の縦割り構造
により、研究開発の成果が現実の課題の解決や社会実相に結
びつかない場合があるとの問題提起があった。
沢田康次氏 ︵
復興大学設立時代表・復興大学 コー ディネ ー
﹂
タI、東北工業大学元学長︶ は、﹁復興大学の取り組みと 学び
について報告された 。 大震災から学んだこととして、 ① 科学
四
は、﹁北里大学釜石研の被災地における研究開発活動﹂を報
告さ れた 。① 全 国の支援を受けて多量の微生物株のうち七割
大学時報
73.
山 災 害 は 予測できず、その災害 により生じた放射線被害
についてはそれまで考えたことがなかった 。発災後の大きな
困難はその放射線への対処であった 。当初、放射線の情報は
全く入って こず、 津波被害の ことばかり考えていた。放射線
被害 を恐れて、業者が学
シンポジウム会場
シンポジウム
ーこの3毎聞の陰極,,,,.,憶の温.
Ollllll念 Ollllll: ・h,号訴因本.,.問自 ~Ill! 『
パス活用計画と地域復興支援﹂の報告であっ た。 ①海洋生命
関連の活動に積極的に関わる機会をつくることと、記録を残
し伝える こと の大切さを強調さ れた 。
科学部の被災・移転から教育研究の再建の過程、 ② 地域復興
、 若い世代が復興
支援の取り組み、の 説明があった 。今後 は
域との連技が築けたこと、
コーデ ィネ ータ1 の日高義博氏 ︵
専修大学理事長︶ からは、
﹁
東 日本大震災における主な取り組みについ て﹂という こと
ていることを報告 された 。
• 14
Sep 2
0
1
4
を奇跡的に救済できたこ
と
、 ② ﹁
石割桜の酵母﹂
を活用した東北復興支援
①整備が進むハ ード ウ エ
アの中身を醸成するため
ピlルの開発を通じて地
には被災地での息 の長い
松本宣郎氏 ︵
東北学院大学理事長 ・学長︶ は、将来起 こる
であろう震災の礎石になる方向で 復興していく必 要があり、
そこに大学 がどのように教育研究の活動を生かせるかが問わ
に近く立 地す ることもあ って 、発災直後は留学生への対応な
どに力を注いだこと、建学の精神を抱いて教育する ことの大
切さをあらためて認識したことなどを述べられた 。
で、時間 の都合上 、① 学生支援、② 地域社会の復興 ・再生の
ための貢献活動、の 二点の報告があっ た。
日高氏の指名で 、フロアか ら報告 ・意見発表があ った 。
緑 川浩司氏 ︵東日本国際大学理事長︶は、大学が福島原発
高等教育と啓発活動が必
要である こと、を述べ ら
1た。
河田恵昭氏 ︵
関西大学
﹁
大学を中心とした 学術
社会安全学部教授、社会
、
安全研究セ ンタ ー長
︶ は
研究の推進||生かされ
れると述べられた 。
③行政 ・学術研究の面で阪神 ・淡路大震災の教訓が生か せ て
いないこと、を述べられた。 防災 ・減災の研究を進め 、次の
河田悌 一氏 ︵日本私立学校振興 ・共済事業団理事長︶から
は、将来発生するであろう地震 ・災害に対 して 各大学でどの
遠藤静子 氏 ︵
絞の 聖母短期大学学長︶ は、これまでに取り
組んできた学生及び 一般市民対象のさ まざまな活動を報告さ
れた 。 地域と関わる講座や体験を通じて学生 は確実 に成長し
震災被
小化す る使命が大学にはあると 指摘された 。
害
を
極
、 ﹁
三 陸キヤン
古矢鉄矢氏︵北里大学 地域連携室部長︶ は
神・ 淡路大震災の反省と して防災 ・滅災の調査研究はさ まざ
まな立場の 人が参加し情報を共有しなければならないこと、
② それを踏まえて学術研究 や実践的研究が推進された こと、
なかった阪神・淡路大震災の教訓﹂という報告であった。 ①阪
フロアとの意見変換
π士n
E
ヨ
日
東日本大震災の発生か ら4年目を迎えた今回、その爪痕は被災I
也I
或だけでなく 、わ
か国針本に大きな歪みが生じてお ります。
被災地域の一日 も早い復興を願うとともに、復興はわか国が長期的に 目指すべき社会
構造を見据えた 21世紀の日本の再生モデルとなることか湖待されています。また、今
後想定しうる対見樹也震災害への備えも全国 レベルで取り組むべき喫緊の課題です。
こうした問包意識に立脚し、全国の夜、立大学およひ可 立短期大学関係者は、この 3
年間の取り組みとその成果を確認しながら、被災学生や被災大学に対する支援の取り組
みを決して風化させることなく継承するとともに、被災地東北の復興と新たな日本の創
生に向け、以下の通り行動することを堅〈決意し、宣言いたします。
ι
1
. 私立各大学と短期大学は、東日本大震災からの復旧 ・復興に向け、次の取
り組みを推進します。
(1)被災地から未来型の教育モデル作りや防災教育を推進し、全国レベルにで共有
(
2)被災学生へ剛彦学割華強化
(
3)被災地I
或における大学の地1
或復興セン合一機能の整備
(
4)被災地i
或における産業育成への貢献
2.日材は大学団体連合会と日本私立短期大学協会は、東日本大震災からの
復旧・ 復興に向けた基盤整備の努見を 目指し、次の要望を国等へ求めます。
(1)被災学生への綬業料減免措置と高針サ型奨学金制度創殿など修学支援の継続 ・
拡充
(
2)東日本大震災の復旧・復興に向けた新たな教育モデルの開発・普及の実現化支援
(
3)私立大学等の耐震化促進と防災にかかる支援の拡充 ・
強化
(
4)原子力災害の収束と再生可能なエネルギー開発に向けた校術革新の封星
五
大会宣言
黒田帯 二氏 ︵
日本私立大学 団体連合会副会長、
金沢工業大学学闘長 ・総長︶ の提案に よる大会宣
言が採択され、東日本大震災復興シンポジウム 二
東京大会︶ は閉会 した 。
O 一凹 ︵
I¥
おわりに
大会を通 じて 繰り返し出てきた言葉が﹁風化﹂
であった 。筆者のいる関西では 確かに日常生活で
はほとんど話題に上らなくな っている。
、 実 にさまざまな、そし
震災や復興に関わ って
て多くの活動が行われている。今回のシンポジウ
大学i
待報
ムでの報告を聞いて、その一端を知った 。
被災地に向けて大学は何ができるかということ
は、今後も考え続けなければならない 。 そのこと
と同時に、種々の活動を通じて蓄積された知見を
大学 の教育研究 に生かすという、 言っ てみれば逆
向きの発想でも行動する段階になっている。
﹁
風化﹂ の言葉は、私たちにそれを促している。
・
75
.
」
』
.
②未来が見える社会でな ければ 復興が進まない、とい う 二点
日
本私立大学団体連合会
日本私立短期大学協会
を挙げられた。 私立大学は、建学の精神に 基づき人材を輩出
するが、この震災を契機に、育成する人材像を練り直しても
よ いだろうとまとめられた。
平成 26年日月 B日
ようなことをしておいたらよいかと 、河田恵昭氏に意見が求
められた 。河朋恵昭氏は、 学 生は 他者の経験を聞くことで暗
ム
一
品
大
黙知が共有できる 、折に触れ今回の 震災に閲するさまざまな
知識を広く学生に伝えることが大切だ、との考えを示された 。
日高氏は、感想として、 ① 感じる教育が必要であること、
東京大会)
東日本大震災復興シンポジウム 2014 (
LGBI学生の存在を考える
一定の基準を満た した 場合に性同
学校低学年という場合も少なくない ︶ に気づいたら向性に関
筆者が 厚生労働科学研究の 一環で、 二O 一一
1 二O 一 年
.76
Sep 2
0
1
4
||キャンパス内でのダイパ|シ一アィ推進のために
・宝塚大学看護学部教綬
と身体的性別が 一致せず、
一性障害と診断される。
また、セクシユアリティは人によ ってはあいまいさや多様
性があり、必ずしもLGBTに限定されない存在としての X
ジェンダ ーや、性的指向や性自認の自覚がはっきりしない
D5印巴 Oロ5m︵クエスチヨニング︶といった多様な存在もある 。
心をも つようになっていた、あるいは自らの性自認と身体的
当事者の多くの語りに よれば、思 春期 ・青年期︵早ければ 小
と﹁性自認﹂の概念 二 つが混同されるなど、正しく認識され
と って表現されているが、 LGBTに含まれる ﹁
性的指向﹂
性別の不 一致を自覚したり違和感を抱くようになり、それ以
一
一︵
に六自治体の教員 ︵保幼小中高校︶を対象に 実施した調査
有
降長期にわたり葛藤が続いてきたという証言が圧倒的である。
にその指向を 示しているものであり、本人の意志に基づいて
白
女性に向くのかあるいは男女両方なのか、晴好ではなくまさ
−
本人の選択によるものだと思いますか﹂という問いに対して、
門
選択可能なたくいのものではない 。
らが認識する性別 ︵いわゆる心の性別︶である 。 この性自認
一方、﹁性自認﹂とは﹁性同一性﹂とも表現されるが、自
効 回 答 数 五 九 七 八 人︶ に よ れ ば E
ZY 己5 \
︵ 召 \Z
\
−
−印 ・
巾か、
なる
ZRZE−−
mσ 1223 U与問︶、﹁同性愛になるか異性愛に
﹁性的指向﹂とは、性愛や恋愛の指向性が男性に向くのか
ていない場合も多い 。
斗円吉田
mE2 ︵トランスジェンダl︶ のそれぞれの頭文字を
ろ注目が集まっている。FgE山口 ︵
ゲ
レズビアン女性︶、のミー︵
イ 男 性︶、巴自主包 ︵
パ イ セ ク シ ユ ア ル 男 性 ・女性︶、
LGBTと呼ばれ る性的マイノリテイの存在に、このとこ
はじめに
庸晴
日
高
いでは、そう思う︵五・七%︶、わからない︵ 二五 ・ 一%
︶
ないことや、﹁同性愛は精神的な病気 の 一つだと思う﹂の問
そう思う︵ 八・六%︶、わからない︵ 一
一
一
二 ・八%︶を合わ
一
一
せると、教員の七割が性的指向について正しい認識をしてい
ランスジェンダlを対象にした 量的研究はこれまでのところ
に実施されたものが大半である 。 一方、レズビアン女性や ト
染リスク行動やその関連要因について実態把握を進めるため
一環としてHIV感染の流行に合わせ、当該集団のHIV感
れてきた 。 一連の研究は、厚生労働省エイズ対策研究事業の
を合わせると、 三割以上の教員が同性愛は精神疾患であると
象にした同様の調査は実施されていないため実態は明らかに
男性を対象にした累積五万人以上の研究参加者を獲得したイ
本稿では、 筆者ら が実施した国内ゲイ・パイセクシユアル
それほど多くはない 。
なっていないが、これらのことは、大学の教職員 においても
誤解している現状が明らかになっている 。大学の 教職員を対
学生支援にあたって当然備えておく必要がある最低限の知識
ンターネッ ト調査︵宮晋\\者宅建−mミ5
から得られ
・
忌
・ Bュ
︶
\
た知見と、性同 一性障害者の臨床現場からの報告をひもとき
本稿では、誌幅の関係でXジエンダlやクエスチヨニング
刻と認識する思春期 ・青 年期におけるメンタルヘルスの現状
ながら、当該集団が直面する健康課題のうち、筆者が最も深
であろう。
といった性的マイノ リティについて詳述することは難しいが、
と大学 で実現可能な支援のあり方について考えてみたい 。
の彼らは、学齢期から異性愛が中心 の学校の中で居場所のな
米固など臥米諸外国における先行研究によれば、 LG B T
思春期・青年期の出来事
LGBTを知ればすべての性的マイノリテイやセクシユアリ
ティの 多様性について理解できるわけではないこと、 L G B
T理解は性的マイノリティ理解のはじめの 一歩であることを
LGBTの健康課題を含む当事 者 の現状を理解するにあた
さや社会的疎外感を感じ、周囲に理解者が少ないことやピア
断っておきたい 。
関する報道が増えてきたことにより、一見してその存在が可
り、社会調査の結果が非常に重要になってくる。LGBTに
︵
同輩︶ の仲間と出会うことの難しさから孤独感をより募ら
わが国でもゲイ男性の五四 % にいじめ被害経験があり︵嶋
せる状況にあること、さらには 学校での いじめ被害率が概し
て高いことが報告されている 。
視化されてきたかのように感じるが、その 実 情は詳細に知ら
わが国においては、 一九九0年 代後半以降現在まで、ゲイ ・
れていないことが多いためである 。
ハイセクシユアル男性を対象にした疫学調査が数多く実施さ
大学略報
n•
50.7%
43.6%
36.
8%
27.3%
16.
6%
64.
7%
6
8
.1%
6
6
.1%
62.6%
51
.7%
16.2%
1
5
.1%
13
.
7%
1
2
.
0%
8.3%
根・日高 ・松崎、 二O 一
二 年︶、トランスジェンダl の二九 ・
O 代 ゲ イ 男 性 の 自 傷 行 為 生 涯 経 験率 は 一
一
期のいじめ被害や不登校
経験から自尊感情や自己
肯定感が著しく低下して
いる場合がある 。 さらに、
抑 う つ傾向は 他集団と 比
較しても概して高率であ
り、年齢階級別の抑うつ
率は一 O代ゲイ男性で五
0 ・七%、 二O代で凹 三 ・
六 %という調査結果︵ 日
高 ・市 川・ 木村、 二O O
七年︶もある 。 政府の自
. 78
S
e
p
.2
0
7
4
四%に不登校経験がある︵中塚、二O 二二年︶ ことがわかっ
ている 。 また、
一六%︵針問・石丸
、 二O 一O年
︶ であり、 首都圏男子中高
9
.
2%
年︶、トランスジエンダーでは
七%︵日高 ・嶋根、 二O 二 一
11.
8%
∞︶
と比較しても性
NCC
5.3%
6
.
1%
7.0%
生の 七
BB
・ 五%︵宮え2508 除H
白E
E
−
告白︶することは、
LGBTであることをカミングアウト ︵
的マイノリテイの自傷行為経験率は 二倍以上高率である。
多くの当事者にとっ て大変な心的葛藤が伴う作業で ある。 な
ぜなら、セクシユアリティをカミングアウトすることは、そ
の相手が自分にとって良き理解者になってくれるかどうか、
仲良く付き合ってき た友達とより深く親交を深める ことがで
殺総合対策大綱の五年目
一二 年八月に閣議決定︶、
の見直しの時点で ︵
二O
きる情報がほとんどない 。
なく、国レベルで把握で
ティの関与の把握は 一切
要因としてセクシユアリ
自殺既遂者の動機や背景
されるようにな ったが、
慮の必要性がそれに追記
性的マイノリティへの配
※刃物などでわざと自分の身体を似つけた
50代 以 上
(
226人)
40代
(
667人
30
代
(
1
,182人)
3,685人
(
2011年 PC)
きるかどうかなど、これまでの人間関係を試されるかのよう
ングアウトを経てより多くの理解者を得たその延長として、
50代 以 上
(
205人)
5,
731人
(
2005年)
5,731人
(
2005年
)
5,731人
(
2005年)
な複雑な感情が当事 者 に深く関係しているからである。 カミ
自殺未遂関連行動
40代
(
652人)
自殺未遂
20代
(
1,284人)
自傷行為※
30代
(
2,
037人)
自殺を考えたこと
10代
(
282人)
有効回答数
(
調査実施年)
20代
(
2,432人)
有効回答数
(
調査実施年)
10代
(
371人)
抑うつ
ライフスタイルとメンタルヘルスの安寧があると 言えるだろ
。
っ
、
LGBT学生 の安全な大学生活を支援・確保していくうえ
で、最も危機管理が 必要な事項の一つとして、メンタ ルヘル
スの悪化防止と自殺予防が挙げられる 。彼らの多くは、 学齢
表 1 仰うっと自殺関連行動(ゲイ ・
パイセクシュアル男性
)
表 2 自傷行為経験率(ゲイ
・パイセクシユアル男性)
生を対象に した 緊急度が高い支援策の 一つがメンタルヘルス
あるいは 症状の発現はなくとも心理的支援の必要性を感じて
することの心理的ストレスやその脆弱性が高い状況にある者、
ンタ ーネ ット調査 では、回答者全体の六五%に自殺念慮経験
支援 であり、 学生 相談室や保健管 理センタ ーがその存在感を
一 O二五人のゲイ・パイセクシユアル男性を対象にしたイ
があり、 一五%に自殺未遂経験があった︵目EEh
wO q
F0・
匂R
大阪市内の若者男女 二 O九五人を対象にした街頭調
を調整 してもなお性的指向が自殺未遂 リ スクを高める決定的
したところ、男性においては性的指向以外の他の要因の影響
つめてみたいと考えている。 しかし、メンタルヘルスの支援
に、セクシユア リテ ィを含めて自分自身を振り返り自己を見
当事者の多く は、 カウンセラ ーなど対人援助の専門職と共
いるLGBT学生 は 一定数存在すると きすんよう。LGBT学
査では、自殺未遂の生涯経験 率 は 九 % ︵
男性 六 %、 女 性 一
存分に発揮しなければならない 。
要因であり、異性愛男性と比較してゲイ ・パイセクシユアル
や援助ニ lズのあるLGBTの中には、セクシユア リテ ィを
N
o
g−
一%︶であり、自殺未遂行動に関連する要因を男女別に解析
∞︶ で
あることがわかった 。 また、トランスジエンダl の自殺念慮
ンセリ ング ・心療内科 ・精神科の受診経験がある者のうち、
り着 いたあとも 。本当 の自分。 を話すことを跨踏してしまい、
自己開示をためらうことも多い 。 一 O代ゲイ男性で心理カウ
守秘 ︶
明らかにした際にどのように反応されるか、秘密保持 ︵
白r NOO
経験 率 を六 二 ・O%︵男 性 か ら 女 性 へ の M T F ︵
呂
田]g
巾
司巾自由ぽ︶では七 一・一一%、女性から男性へのFTMqg
口
同Z
MT
S 冨同庁︶で は五七 ・一%︶ 、自殺未遂率を 一0 ・八 % ︵
Fでは 一四 ・O %、FTMでは九 ・一%︶ と示す臨床報告も
男性の自殺未遂 リス クは五 ・九八倍︵目EE2
あり ︵
針間 ・石丸、 二 O 一 O年︶、ゲイ男性のそれと同様の
自身の性的指向について話題にした者はわずか八%と低率 で
る学生がLGBTであることをカミングアウトする可能性は
ある ︵
日高 ・嶋根、 二O一二 年
︶ 。 同様に、 学生 相談に現れ
踏み出せずにいる者も少なくない 。 そのため 学生相談にたど
を信頼できるかなどの不安から専門家へのアクセスの 一歩を
傾向である。
LGBT学生のために大学ができること
限定的である 。
どうかわからなくても、性別やセクシユアリティ、恋愛や性
それゆえ、 学生 相談室 に来訪する 学生 がLGBTであるか
前述のとおり、大学入学前までの 学齢期にいじめ被害 や不
愛の話題で中立的な姿勢を保つことが必要になる。 例えば、
−学生相談室の充実
登校経験がある者、 異性愛を前提とする生活に社会的に適応
大学略報
7
9.
四
恋愛や性愛の対象が異性であることを前提 ・当然とした会話
をしないように留意すること、学生が異性との恋愛関係を諾
挙げたが、それ以外にも大学が担うことが可能な環境整備が
緊急性の高い支援策とその必要性について学生相談をまず
大学が担う支援的な環境を整備すること
る可能性があるかもしれない場合があることに想像力を巡ら
っていたとしても本当は向性とのそれを置き換えて語ってい
せることなどであり、そういった配慮が信頼関係を構築する
ある 。
ない 。学生全般を対象に、学生相談室の役割と存在の周知を
た学生のみを対象にする消極的支援では、いささかもの足り
ユアリティの多様性について学ぶ機会は非常に限られている 。
いても、 LGBTを含むセクシユアルマイノリティやセクシ
多くの学生 にと って高校まであるいは現在の大学教育 にお
ハ
門 講義でできること
より 一層積緩的にするとともに、その際には、学生相談室に
でも可能であり、一般教養の位置づけとして科目を配置する
ことや人権教育の一環で﹁ヒュ ー マンセクシユアリティ﹂﹁セ
大学の講義としてその機会を提供することはどの学部や学科
学生便覧、掲示板、ホlムペ lジなどを通じて、あるいはゼ
クシユアリティと人権﹂といった科目を 、あるいは他のマイ
LGBTを含む多様性を積極的に受 け入れる姿勢があり、そ
ミ担当教員やチュ lターなどを通じて、すべての学生にきめ
ノリティの課題をも盛り込んだ﹁ダイパ l シティ論﹂を設置
実 際 にこうい った取り組みは各大学 で始ま っており、必ず
することができるだろう。
ドルを下げることにつながり、訪問機会の きっかけを積極的
しも専門特化した科目でなくても、﹁ジエンダl論﹂﹁健康科
いずれの場合でも、正規の科目の中で LGBTを学ぶ機会
学概論﹂など既存の科目の中で LGBTを扱う大学教員も 硲
があることは、 当事者の学生 にと ってはエンパワlメントに
、 LGBTへ支援的姿勢
につくることになる 。学生 相 談室 が
を整備することである。どの学生がLGBTであるかを教職
なるばかりでなく、当事者以外の学生においても貴重な学び
実 に増えてきている 。
員 が見極めを試みることや、あぶり出すようなことは決しで
であることや前向きなメッセ ージを学生に認識させるように
あってはならない 。
アピ ー ルすること、 学生の 側から訪問しやすい環境や 雰囲気
こうした取り組みがLGBT学生の学生 相談室訪問のハ ー
細かに周知することが 重要で ある 。
の準備があることを明機にうたうべきだろう。 具体的には、
さらに言えば、キャンパスの片隅の学生相談室にやってき
基盤となり、支援環境の整備と強化にもつながる 。
・
80
Sep 2
0
1
4
五
占める異性愛者の中にLGBTへの理解者と支援者を養成す
と多様性理解の促進の場となる 。 結 果 と し て 学 生 の 多 数 派 を
愛 者 の 支 援 者 ・理 解 者 と も 出 会 い 、 交 流 す る 場 と な っ て い る 。
り、当事者学生同士のネットワーキングにとどまらず、異性
など少なくとも全国の数十の大学でサ ー クルが結成されてお
事 で の 出 展 ・イ ベ ン ト 開 催 に あ た っ て 支 援 ・助成することも、
当事者サ ー クルを大学が公認することや、学園祭など公的行
ることにもなり、当事者学生のキャンパスライフの質の向上
に寄与するだろう。
口 学生ガイドやハラスメント防止規程でできること
LGBT学生の快適な学生生活実現の 一助となる 。
生証や学内の各種・申請書に必ずしも必要とは言えない性別表
トランスジエンダl の学生に対する 必 要 な 配 癒 と し て 、 学
同 事 務 窓口での扱い
国際基督教大学ジェンダl研 究 セ ン タ ー で は ﹁LGBT学
生 ガ イ ド m I C U ト ラ ン ス ジ エ ン ダ l/G I D編
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学 籍 簿 へ の 性 別記載変更・ 氏 名 記 載
の申し入れの際にも診断書の提出を前提としないことなどが
記欄を削除すること、多目的トイレを設置すること、いずれ
E 同︶を発行しており、
でも︵多目的︶トイレの設置など、具体例を示しながら対応
変更、健康診断受診時の配慮、体育実技やロッカ ー使用、誰
学 生 活 を 送 る た め の 方 策 は い く つ も あ り ︵ 例 え ば 改名 、 性別
ように最大限に配慮し、診断書がなくても希望する性での大
重 要 で あ ろ う。 つまり、大学側が診断を急がせることがない
また、ハラスメン卜防止規程に性的指向や性自認などセク
窓口を案内しており先駆的な取り組みをしている 。
シユア リテ ィの視点を盛り込み、明文化 す る 大 学 も 増加 傾 向
表記、 ロ ッカ ー使 用 な ど て 個 別 に 対 応 し て い く 柔 軟 性 が 必
要である 。
にある 。
こうした取り組みは大学がセク シユア リティに起因する 差
一方、学 生 生 活 の 中 で 直 面 す る 最 も 高 い 壁となる困難の一
つとして就 職活動が 挙げられる 。 就 職 支 援 に あ た っ て で き る
ことは、 LGBTを 取 り 巻 く 厳 し い 現 実 が あ る 一方で、 L G
B Tへ支援的な会社も増えてきているという明るい情報の提
供 で あ ろ う。 東洋経済新報社がCSR調 査 の 一 環 で 日 本 企 業
別や偏見、社会的 排除は許さない姿勢であることを、すべて
の学生に公に示す非常にいい機会になる 。
いた彼らのサ ークル活動も、現在では活発に行われるように
に対して調査したところ、グループの役員及び社員が遵守す
日 当事者サークル活動への支援
なり、キャンパス内で可視化される存在となっている。 イン
べき倫理規程や社員の行動基準に性的指向や性自認など多様
かつてはLGBTの仲間内だけでひっそりと会合をもって
ターネットで検索すると 、早稲田大学公認サ ー クル GLOW
大学時報
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LGBTに 関 し て 何 ら か の ポ リ シ ー
性 の 尊 重 を 盛 り 込 ん で い る 会 社 ︵ 例 え ばSONY、資生堂、
一助 に な る 。
T学 生 に も 伝 わ る こ と と な り 、 間 接 的 で は あ る が 学生支援の
F D/S D研修での取り組みを
LGBT学 生 対 応 の た め に 必 要 な 具 体 策 を 細 分 化 し て事 前
スメント防止規程に、学生同様にセクシユアリティについて
においても当事者は含まれており、教職員の就業規則やハラ
大 学 の 中 に 存 在 す るLGBT は 学 生 だ け で は な い 。 教 職 員
岡山教職員 にも存在す るLGBT
ち 出 す こ と で あ ろ う。 そ の た め に 全 教 職 員 で 謀 題 の 認 識 と 共
セ ージ を 、 教 員 を は じ め と して 学 内 の 複 数 の 部 局 か ら 強 く打
き は 、 い つ で も 相 談 に 来 る よ う に と い う サ ボl ティブなメッ
に、学生生活を送りづらいと感じるときや困難に直面したと
く つ も の 方 法 と 機 会 で も っ て 発 信 を 続 け る こ と で あ る 。 同時
さ な い と い う 強 い 姿 勢 を 示 す こ と 、 肯 定 的 な メ ッ セ ージをい
82
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野村グル ー プなど︶や、
一 四 社 ︵ 回 答 が あ っ た 六O七 社 の
をもっ会社は少なくとも 一
うち︶が存在するといった情報も、学生にとって励みになる
LGBT当 事 者 あ る い は 支 援 や 理 解 の あ る 社 会 人 に
また、
に マ ニ ュ ア ル 化 す る こ と を 目 指 す よ り も 、 多 様 な ニ lズ に 耳
あらかじめ用意した支援の選択肢にはめ込むようなことにな
キャリアメンタリン
を傾ける姿勢とその相談窓口の設置並びに学生へのその周知
トラ ンスジエンダ ー で あ る 学 生 の 就 職 活 動 に お け る 困 難 を
って し ま っては、 個 別 性 を 重 視 し た テ ー ラ ー メ イ ド な 支 援 の
ト
白
血 ヲゐ、
グ セ ッ シ ョ ン ︵甘
口 U一
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少しでも軽減するにあたって、トランスジエンダーであるこ
理 想 的 な 有 り 様 は 、 大 学 がLGBT学 生 を 積 極 的 に 支 援 し
実現にはならない 。
盛 り 込 む こ と も重 要 な 取 り 組 み に な る 。 ま た 、 教 職 員 組 合 や
て い こ う と し て い る こ と 、LGBTに 対 す る 差 別 や 偏 見 を 許
互 助 会 に お い て 、同性カ ッ プ ル へ の 結 婚 祝 金 制 度 を 独 自 に 創
F D/S D活 動
有 を 図 っ た う え で 支 援 の 提 供 が で き る よう、
だ ろ う か。
設するなど 、大 学 単 位 で 実 施 可 能 な 支 援 の あ り 方 が あ る だ ろ
LGB
の 一環 と し て 教 職 員 研 修 の 実 施 か ら ま ず は 始 め て み て は ど う
な姿勢を大学と して明確化か つ 積 極 的 に 示 す ことは、
う。 学 生 の み な ら ずLGBT当 事 者 で あ る 教 職 員 へ の 支 援 的
用 意 す る な ど の 支 援 は 、 す ぐ に 実 施 可 能 な こ と で あ る。
題 が 起 こ っ て い な い こ と な ど を 明言 し た 推 薦 状 を 大学 と し て
とが学生生活を送るうえで何ら問題にならなかったこと、問
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る と い う 情 報 提 供 も で き る だ ろ う。
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・日 高町晴 ・嶋級事也 ︵
自己倣域的行動多角
二O 一二年︶﹁︷
障害の子どもへの支援法の雌立に向けて
にさらされる可能性がある社会に出て行くその前に、大学が
性
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精神療法﹄三 八巻三号、三五01三五六ペ ージ
的理解のために ︸性的指向の迎解と専門職による支援の必要
当事者の学生 がLGBTであることに起因した 差 別 や 偏 見
愛 で は な い 性 的 指 向 や 性 自 認 で あ っ て も 人 間 の 存 在価 値 に 何
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二O O七年︶厚生労働科学
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精神科治療学﹄二 五巻 二号
、 二四七1二五 一ページ
O年︶﹁性同 一性障害と自殺﹂
・針問克己 ・石丸径 一郎︵ 二O 一
学生支援の た め に 担 う べ き 大 切 な こ と が あ る 。 そ れ は 、 異 性
ら関係がなく価値差は一切ないこと、差別や偏見をもっ社会
があったとしても母校は学生と共にそれにあらがう姿勢を強
し て い る こ と 、 困 難 に 直 面 し た と き に は 在学 中 ・卒 業 後 で あ
くもっていること、何より当事者とその家族への支援を表明
れいつでも遠慮なく教職員に助けを求めてほしいこと、大学
がそういった場であろうとしていることを忘れずにいてほし
いという思いを伝え続けることではないだろうか。
研究費補助金 エイ ズ対策研究推進事 業 ゲ イ ・パイセクシユ
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・嶋根卓也・日高府哨 ・松崎良美︵ 二O 一二 年︶﹁
インターネ
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ットによ るM SMのHIV感染 予防に関する行動疫学研究﹂
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︶厚生労働科学研究費補助金エイズ対
策研究事業 HIV感染予防対策の個別施策層を対象にした
インタ ーネットによるモニタリング調査 ・認知行動理論によ
る予防介入と多職種対人援助職による支援体制構築に関する
研究
−中塚幹也 ︵
二 O 二二 年︶﹁学校の中の﹁性別違和感﹂を持つ
こ ど も 性 同 一性降窓口の生徒に向き合う﹂日本学術振興会科
学研究費助成事業 挑戦的研芽研究 学校における 性同 一性
大学時報
・
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