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今も高級サルーンの スタンダードなのか?

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今も高級サルーンの スタンダードなのか?
E&Sは
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今も高級サルーンの
スタンダードなのか?
常に世界中のクルマたちから目標とされてきたメルセデス・ベンツ。
最新のE&Sクラスはライバルたちにとって、
現在でも高級サルーンのスタンダードなのだろうか。
そんな疑問から、改めて検証してみました。
Text:森野恭行 Photo:五條伴好
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試乗車にはオプションであるガラス・スライディングルーフが装着
されていた。ホワイトステッチ入りの本革スポーツシートやAMG
スタイリングパッケージはアバンギャルドSならではのアイテムだ。
E300 AVANTGARDE S
高級サルーンに抱くイメージや、求めるファク
言っていられない。後席よりも運転席に重きを
ターは人それぞれ。しかしながら、走りの性能や
置くドライバーズサルーンとしては、やはりEセグ
快適性、居住性や使い勝手のいずれの項目に
おいても、充分なゆとりを備えることが必須の
いは激しさを増すばかりだ。
Eクラスの完成度の高さを実感することができ
ら、Eクラスには3.5RV6のE350、3RV6ター
自然かつ滑らかな操舵感が光るステアリング、
た。まずはパッケージ。後席でもゆったりくつろ
ボディーゼルのE320 CDI、5.5RV8のE550、
したたかな接地性としなやかな乗り心地を特徴
げる居住空間を備えるが、全長4880mm、全幅
さらには500馬力オーバーのE63AMGという選
とするサスは、Eクラスが伝統としてきた走りの
1820mmと外寸はけっして大きくはないのだ。し
択も用意されている。
テイスト。乗ってみれば……「アバンギャルドよ
逆に、リーズナブルな性能と価格を重視する
り好き」
と感じるファンも多いはずだ。
なのに、ドイツ2強の牙城は崩れない。そこで
かもハンドルがよく切れるため(最小回転半径
メントのモデルが最適なチョイスとなるだろう。
日本市場に焦点を絞れば、Eクラスの安定感が
5.3m)
、扱いやすさはDセグメントのFWDサルー
なら、07年夏に加わった2.5RV6のE250が見
このように、基本の確かさに加えて、さまざま
事実として、プレミアムEセグメントは世界の高
光っている。その理由の1つは、言うまでもなく
ンを確実に上回るレベルにある。
逃せない存在となる。人気のアバンギャルドの
なニーズや好みをカバーする豊富なラインナッ
条件となる。さらに、持つこと、乗ることの誇り
級車の主戦場。名だたるブランドがここに主力
メルセデス・ベンツのブランド力。Cクラス、E
次の注目点は走りの性能。知っての通り、ロ
設定はないが、Eクラス本来の人にやさしいドラ
プを完備するのがEクラスの魅力。それが、
「高
……つまりステイタス性を考慮に入れれば、見
モデルを投入している。
クラス、Sクラスとセグメントが上に行くほど、ス
ーダウンサス
(20mm)
に前後異サイズの18イン
イビングや快適な乗り心地を重視するなら、じ
級サルーンのスタンダード」として、長く市場に
リー・ポインテッド・スターの威光がよりものを言
チ扁平タイアを履くアバンギャルドSは、スポー
つは16インチタイア装着車を選ぶのが正解。
君臨し続けるポイントと言えるだろう。
うという傾向が見られる。
ティな走りとルックスに振ったモデル。だが、そ
た目の押し出し感も重要なポイントになる。
その図式は、メルセデスEクラス、BMW5シ
こうした条件を並べると、自然と頭に浮かぶ
リーズの2強に、アウディA6、ジャガーXF(Sタ
のはLセグメントのモデル。だが、日常の取り回
イプ 後 継 車 )、レクサスG S 、インフィニティ
そして、Eクラス人気のもう1つの大きな理由
れでも突き上げ感や不快なロードノイズは抑え
し性や、エコロジーが叫ばれる時代のムードを
M35/45(フーガ)
、キャディラックSTSなどの
は、すべてに通じるバランスのよさ。今回は
られていて、高級サルーンとして充分通用する
考えれば、
「大きいことはいいことだ」
とばかりは
欧・日・米ライバルが挑むという展開。覇権争
E300アバンギャルドSを試したが、改めてW211
乗り心地を提供してくれるのだ。
従来型の18インチ装着車は、電子制御エア
サスのAIRマティックDCとのコンビでないとタイ
アの硬さを伝えたものだが……最新型は乗り
心地の快適度が増した印象。荒れた路面を低
速で走る際には、さすがに「ちょっとハード」
と感
じるが、ダイレクト感と正確性が光るアバンギャ
ルドSならではの冴えたハンドリングを考慮すれ
ば、それも充分納得の範囲にある。
さらに、3RV6と7G-トロニックがもたらす動
力性能や静粛性も満足のいくもの。エンジンは
まだ新車の硬さを残す状況だったが、それでも
スムーズに吹け、心地いい走りを味わわせてく
れた。また、そこでよりパワフルな走りを望むな
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センターコンソールにシフトレバーが存在しないダイレクトセレクト
は今なお新鮮だ。リアシートのマッサージ機能や、荷物を持ってい
るときに便利な自動開閉トランクリッドはS600Lのみに標準装備。
S600L
的には「またも後追い!?」
と、少しの失望を味わ
クティブ・ボディ・コントロール(S600、AMGモ
る。また、大柄なボディにもかかわらず取り回し
ったのも事実だ。このように、2年少し前の試
デルに標準)
に代表されるハイテクが渾然一体
性は優秀で、
「運転しやすさ」
という良き伝統が
乗会で出会ったS221 Sクラスの第一印象は、
となり、Sクラスならではの上質かつ快適な乗り
継承されている点も見逃せない。
正直言って複雑なものだった。
味を醸し出しているのだ。
まさに泰然自若。3代前のW126時代までの
内でセルシオと名乗っていた時代から、Sクラス
それだけに、Sクラスの次の動向が大いに注
メルセデスSクラスは、高級車の世界に絶対王
を標的として開発されていた)が続き、さらには
目を集めたが……05年に投入されたW221の
だが、走り出すとすぐに、わだかまりはどこか
者として君臨していた。キャディラック、リンカー
フォードの後ろ盾を得たことで、ジャガーXJも強
基本路線は正常進化。そのうえで、マイバッハ
ンの米国勢はもちろん、ジャガー、ロールスの英
力なコンペティターとして再浮上。さしもの王者
のデザインテイストを盛り込んで高級イメージを
国勢と比べても、走りの性能や信頼性を含めた
Sクラスも、こうしたライバルたちの攻勢を無視
総合力は段違いの印象。実質的に、あの時代
できなくなっていく。
操安性に振りすぎるでもなく、快適性に振り
は外観では押し出し感とスポーティさ、内装で
へ吹っ飛んでしまった。試乗したのはS350だが、
すぎるでもなく、塩梅はまさに絶妙。高級車を
は新感覚の造形と高級感をうまくバランスさせ
V6の心臓を持つベースモデルでも走りの上質
知り尽くすメルセデスだからこそ、この味が出せ
ている。
「やっぱりSクラス」と、多くのエグゼク
しっかりと強化するなど、今度は多くのファンを
感や快適性は文句なしで、操縦安定性のバラ
るのだ。しかも基本がいいから、V6のS350に
ティブが迷わず指名するのが納得の出来だ。
納得させる巧みなモデルチェンジを行った。
ンスも秀逸。W220で失われた感のある、いい
乗っても、V12ツインターボのS600ロングに乗
っても一貫した高級テイストを味わうことができ
「どうだ7シリーズ」とばかりに重厚長大路線
とはいえ、大型ディスプレーをセンターに配置
意味での重厚感やたおやかさが走りに復活し
しかし、80年代後期から流れは変わる。まず
を突き進んだ先々代のW140。その反動もあっ
したインパネデザイン、ダイヤル式コントローラ
たことが、ボクの頬をさらに緩ませてくれた。心
頭角を現したのはBMW7シリーズで、12気筒エ
て、今度はスポーティ路線に一気に振れた先代
ーにより集中操作を行うCOMANDシステム、そ
底から「これぞSクラス!」
と思ったのを記憶して
ンジンを先行して搭載するなどしてメルセデスを
のW220。世代交代のたびにぶれる方向性に、
して 電 子 セレクターレバー 採 用 の A T など、
いる。以来、S550、S600ロング、4MATICや
挑発。その後にはアウディA8、レクサスLS(国
王者の迷いを見て取ることができる。
E65/66型7シリーズの影響はあからさま。個人
AMGのステアリングを握る機会にも恵まれた
のSクラスにライバルは存在しなかった。
そして内外装。過去の経験を生かし、W221
Sクラスは間違いなく、今もLセグメント高級
サルーン市場の中心に存在している。
が、どのモデルの完成度も期待に違わぬもの。
一貫する魅力を備えていた。
Sクラスというクルマは、どのシートに座る乗
員にも分け隔てなく豊かな時間を提供するが、
それこそがLセグメント高級サルーンの神髄。広
い居住スペース、充実した高級&快適装備とい
った表面的な部分にではなく、その豊かさやや
すらぎのカギは乗り味にこそ潜んでいる。
高速走行でのドーンとした安定感、安心に直
結する穏やかな挙動、しっとりとしていて深みの
ある乗り心地は、どれもがある程度の大きさや
重さがなければ生み出せない種類のものだ。そ
うした物理的な才能と、AIRマティックサス、ア
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