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Interview
共有を意図的に進めるコミュニケーション
──「寛容性」を育むことの大切さ──
●
池田謙一[東京大学大学院人文社会系研究科教授]
外
来語である「コミュニケーション」の原義には
いけだ けんいち
「意味を共有する」というニュアンスがあるという。
●
さまざまな生活場面でコミュニケーションが問われている現在、
東京大学大学院人文社会系研究科・
重視すべきは異質な他者との意味の共有を意図的に進めることであるとする
東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。
コミュニケーション理論が専門の池田謙一先生に、
コミュニケーション研究の最前線と
先生が行った携帯メール利用の実証研究についてうかがった。
文学部社会心理学研究室教授。
博士(社会心理学)
。
明治学院大学法学部政治学科助教授、
東京大学文学部助教授を経て現職。
著書に『社会科学の理論とモデル5 コミュニケーシ
ョン』
(東京大学出版会)
、
『政治のリアリティと社会心理』
(木鐸社)
などがある。
見落とされてきた「意味の共有」
外来語が定着する過程で、何事かを「抜き出し」たり「送り
というコミュニケーションの原義
つけ」たりする側面ばかりが強調され、意味を「形成」し
コミュニケーションという言葉を辞書で引くと、例えば次
のように定義されています。
これは恐らく、明治初期の日本の国家形成期にも、ラジオ
「社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の
放送が始まってマスメディアが発達した時期にも、意味の伝
伝達。言語・文字その他視覚・聴覚に訴える各種のものを媒
達の方に力点が置かれていて、意味を共有することはあまり
介とする」
(
『広辞苑 第五版』
)
考慮されていなかったからではないでしょうか。
これを見ると分かるように、
「何事かを伝達する」という側
しかし、明らかに日常のコミュニケーションを考えた場合、
面が強調されています。しかしここで抜け落ちている要素が
ただ一方的に伝達するだけでは駄目で、意味を共有し相手が
ある。それは「意味を共有する」という側面です。
分かることを話すのでなければ、うまくいきません。
“communication”の語源はラテン語ですが、OED(オック
実はアメリカでも、意味の共有は対人コミュニケーション
スフォード英英辞典)によると、動詞の“communicate”には
の中であまり重視されてきませんでした。アメリカ的な文脈
「多くの人に共通のものとすること、分かち合うこと、分け与
でいうと、コミュニケーションとは意味を人に伝えて、なお
えること、分けること」というニュアンスの原義があります。
かつ人を動かす技術だ、ということが強調され過ぎています。
どうやら、英語の“communication”という言葉が日本に入
研究の動向でもそうで、社会心理学におけるコミュニケーシ
ってきたときに、原義の一部が抜け落ちてしまったようです。
ョンの研究というと、説得や交渉といった技術が主流を占め
インフォメーションという言葉の移入も似たような経緯を
ており、意味の共有の研究はごくわずかです。
たどりました。これは「諜報」という訳語を経て「情報」に
一方で、日本人には伝統的な素地として「和を重んじる」
なったのですが、ここでもやはり「伝達」の側面が強調され
精神がありますから、共有の大切さは分かってはいるものの、
ています。しかし、
“information”の原義を分解すると「意
事実としては「共有を意図的に進めてゆく」コミュニケーシ
味を形成する」
(formation)という側面もあるのです。
ョンの仕方は育んできませんでした。
「以心伝心」という言葉
すなわち、何事かをこちらからあちらへ伝達したときに、
意味を形成して初めて、その場にいる人たちが共有できる。
2
「共有」する側面が抜け落ちてしまったわけです。
ところが、インフォメーションやコミュニケーションという
が端的に示すように、意味は初めから共有されているので話
すまでもない、という風土が伝統的にあったからです。
しかしその伝統が崩れ出しています。社会的な流動性が高
特集 「コミュニケーション」を考える― 子どもたちの他者とのかかわり―
まって、日本人の多くが、もともと生まれた所には住んでい
で定められているから守るというだけではなく、商業的な意
ない。かつてのような血縁・地縁に支えられた結束の強いコ
図としても戦略的中立性を保たなければなりません。つまり
ミュニティは崩壊し、社会的規範の共有が薄れて、以心伝心
どちらか一方に偏れば、そちら側の強烈な支持者は広げられ
もあやしくなりつつあります。そろそろ日本人も「共有を意
るけれど、全体はすくえません。ケーブルテレビなど特定層
図的に進めてゆく」コミュニケーションの仕方を育むべき時
を狙うメディアならいざ知らず、マスコミにとって偏向報道
期にさしかかっているのではないでしょうか。
にメリットはない。それは動機としてはっきりしています。
その典型例が 2005 年の「小泉郵政選挙」です。いわゆる
対人コミュニケーションと
「刺客」報道がヒートアップしたために小泉自民党圧勝の追
マスコミュニケーションの接点
い風になった、と当時よくいわれました。ところが報道内容
コミュニケーション研究の領域は、対人コミュニケーショ
を逐一チェックしてみると、郵政民営化に賛成の自民党候補
ンとマスコミュニケーションに大別されます。それに組織の
者(
「刺客」
)と、郵政民営化に反対の候補者及び民主党候補
中のコミュニケーションという研究分野が多少ありました。
者は、それぞれほぼ同等に報道されていたのです。視聴者は
ただし、
「対人」と「マスコミ」はあまり密接に関連させて
どうしても「刺客」の方だけに目が行きがちですが、放送メ
研究されてはきませんでした。マスコミ研究では先に触れた
ディアは公平に時間を割り当てて戦略的中立性を保っていた
「伝達」に力点が置かれることも多く、広告を通じて不特定多
数の人間を説得することにのみ焦点が絞られた消費行動研究
も盛んでした。
わけです。
対人コミュニケーションの応用研究として、選挙報道の例
に見られるようにマスメディアの社会的影響力を考えるとき
しかし、本当はマスコミュニケーションと対人コミュニケ
には、マスと対人のコミュニケーションを組み合わせる観点
ーションを合わせた場合、そうではない方向が見えてきます。
が不可欠です。それは社会心理学と政治学、消費行動論など
何か大きな事件が起きたときなどは、人々はテレビなどでそ
広い範囲に当てはまります。最近では、ブログや SNS(ソー
のことを知るとともに、周りの人間といろいろ話をして情報
シャル・ネットワーキング・サービス)などインターネット
を共有するためです。
によるコミュニケーションと対人コミュニケーションとの関
例えば 9.11 テロ事件のとき、最初は何が起こったのか、誰
の仕業なのか分からないけれど、広範なコミュニケーション
わりにも関心が高まっており、これから開拓が期待される研
究分野です。
携帯メールがパーソナル・
鵜呑みにしているわけではありません。テレビや新聞の報道
ネットワークに及ぼす影響
は材料にすぎず、それを集団的なコミュニケーションの中で
日本社会でも「共有を意図的に進める」コミュニケーショ
解釈し、どうやらこれが真実らしい、という「リアリティ」
ンが求められていると先に述べましたが、そのために大切な
を築いていく。この事件が起こったとき、一人暮らしの部屋
要件の一つに「寛容性」があります。つまり、他者が自分と
で風邪をひいて寝込んでいて誰とも会話をしなかった学生
異なる考えや価値観を持っている場合に、どの程度それを許
が、短時間テレビをつけてビル崩壊の映像に触れたものの、
容できるか。この「寛容性」を育む上で少し気掛かりな傾向
「つまらない B 級映画だ」と思ってそのまま寝てしまった、と
いう話もあります。マスコミュニケーションが伝える報道の
「リアリティ」を信じていく過程の中には、必ず対人コミュニ
ケーションの支えがあるわけです。
が、若い世代の間で見られることを指摘したいと思います。
それは「携帯メール」の頻繁な利用に起因する問題です。
総務省の 05 年の調査によると、携帯電話利用者の電子メ
NO.11
集団的な解釈をつくり上げていった。それは必ずしも報道を
2008
が起こる中で、
「どうもアルカイダによるテロらしい」という
ール利用率は 87.7% です。これはアメリカ(12.4%)や韓国
世論はマスコミ報道の在り方に影響される、とよく指摘さ
(43.1%)と比べてもかなり高い。携帯メールの利用は若年層
れますが、マスコミは一般にいわれているほど一色ではあり
に偏っており、私たちの全国調査でも携帯電話でメール機能
ません。異なる立場を公平に報道するという原則は、放送法
のみを利用している割合が若年層の低学歴層に多いことが明
3
共有を意図的に進めるコミュニケーション
Interview
らかになっています。携帯メールが若者の重要なコミュニケ
的な送信数は 1 ∼ 5 通が最も多く(25.2%)
、次いで 11 ∼ 25
ーション・メディアとして浸透しているのは明白です。
通(24.6%)でした。51 通以上という回答も 9% を占めまし
携帯メールの特徴は、親密な仲間内で短いメッセージを頻
た。1 日の平均的な送信相手人数は 2 人が最も多く(31%)
、
繁にやり取りすること。最近はサイトに書き込むことができ
次いで 3 人(25%)
。送信相手は同じ学校の親しい友人が最も
るようになり、多少は集団的なコミュニケーションの幅が広
多く(80% 前後)
、次いで小・中学校時代の同級生、両親、違
がっていますが、基本は 1 対 1 のマイクロな二者関係です。
う学校の親しい友人(それぞれ 40% 前後)と続き、それ以外
そして、文字入力のスピードが遅いことや、移動中や外出中
の人に送信することは極めて少ない。先行研究でも明らかな、
にやり取りすることが多いため字数が少なく、表現の幅が狭
携帯メールが「強い紐帯」で結ばれた親密な他者との間でや
くなり、短くても分かる表現にならざるを得ません。しかも
り取りする傾向が高いことが、ここでも裏付けられました。
絵文字などを使うと、笑っているのか皮肉なのか解釈に曖昧
また、携帯メールの利用によって親しい関係にプラスの効
さが増します。だから気心の知れた交友関係の狭い範囲の中
果があったという回答の比率が高いことが注目されます(図
だけでうまく機能するという側面があります。
表 1)
。例えば「親しい友人との関係がより強くなった」では
つまり携帯メールで短いメッセージのやり取りが成立する
80%、
「家族が安心するようになった」では 72% の回答者が、
ためには、多くのコミュニケーションの前提を相手と共有し
携帯メール利用のプラス効果を認知しています。一方で、親
ている必要があるのです。したがって携帯メールの相手先と
しくない友人や気の合わない友人とのつきあいが減ったと認
しては、普段よく会う友人や配偶者、恋人など「同質性の高
知する回答者は 20 ∼ 30% 程度でした。これは比較的少ない
い他者」が選ばれやすくなります。
ものの、一定の割合を占めていることは見逃せません。また、
一般的に対人関係は二重のパーソナル・ネットワークによ
親しい友人だけで集まる機会が増えたという認知も過半数を
って構成されています。一つは「強い紐帯」と呼ばれる、比
占めていて、ネットワークの同質性の増大を示唆しています。
較的少人数の同質で親密性の高い他者とのネットワーク。も
さらに詳細に検討した結果から考えると(図表 2、3)
、携帯
う一つは「弱い紐帯」と呼ばれる、比較的多人数で社会的に
メールのやり取りの相手としては同質性の高い他者が選ばれ
より広い範囲に及ぶ、親密性が低く異質性の高い他者とのネ
やすく、コンフリクトを起こす恐れが大きい異質性の高い他
ットワーク。携帯メールでのコミュニケーションは前者の
者は選ばれにくい傾向があります。これは、携帯メール利用
「同質性の高い他者」との間で行われやすいと推測されます。
がパーソナル・ネットワークの同質性を高め、異質性を低め
そこで、05 年 10 月から 11 月にかけて東京都の高校生を対
ることによって、自分と異なる考えや価値観を持っている他
象に実施した、小林哲郎氏(現国立情報学研究所情報社会相
者に対する寛容性を低下させることを示唆しています。親し
関研究系助教)との共同調査* 1では、次のようなことを明ら
い友人や家族との紐帯が強くなるプラス効果の一方で、異質
かにしたいと考えました。携帯メール利用がパーソナル・ネ
な他者への寛容性をむしばむマイナス効果も見逃せません。
ットワークの同質性と異質性にどのような効果をもたらして
社会性を身に付ける成長過程で携帯メール利用が寛容性に
いるのか。さらにその社会的帰結として、携帯メール利用に
対してネガティブな効果をもちうるとしたら、予期せぬ帰結
よってもたらされるパーソナル・ネットワークの「偏り」が、
として個人と社会に負のインパクトを与えかねない危惧があ
他者に対する寛容性にどのような効果をもたらすのか。
ります。というのも、寛容性の低下は必然的に自分とは違う
つまり、寛容性がプラスになれば、異質な他者を受容する
考え方や新しい情報への感度を鈍くするので、異質性の導入
傾向が強くなるし、寛容性がマイナスになれば、異質な他者
によって引き起こされる社会の変化への対応力を失ってしま
を排除する傾向が強くなるだろうと考えられるわけです。
うからです。さらに異質な他者への寛容性は民主主義の根本
原理にも関わります。民主主義社会には必ず多様な意見の対
同質的コミュニケーションを加速し
立があり、話し合いによってそれを一つの結論にまとめてい
他者への寛容性を低下させる恐れ
4
調査によると、携帯メールの利用率は 91% で、1 日の平均
*1 確率比例二段抽出法によって実施。協力校8校、有効回答数501。
特集 「コミュニケーション」を考える― 子どもたちの他者とのかかわり―
図表[1]携帯メールの利用による対人関係の変化
そう思う
親しい友人だけで集まることが増えた
まあそう思う
あまりそう思わない
26
学校外の友人が増えた
37
27
休日に大勢で会ったり
5
遊びに行ったりすることが減った
11
あまり親しくない友人との
つき合いが減った
10
新しく知り合った人とつき合いを
長く続けることができるようになった
46
18
親しい友人との関係がより強くなった
34
0
19
49
23
41
32
35
15
39
23
友人を身近に感じることが
できるようになった
9
27
45
33
家族が安心するようになった
29
31
11
気が合わない友人と
無理につき合う必要がなくなった
そうは思わない
40
18
8
20
8
42
18
46
20
40
15
60
80
6
4
100(%)
小林哲郎・池田謙一著「若年層の社会化過程における携帯メール利用の効果」
(
『社会心理学研究』第23巻第1号所収)より
図表[2]マイクロな二者関係(ダイアド)における携帯メールの効果(概略)
性別(女性)
ダイアドの同質性
新聞閲読時間
寛容性
同じ学校の親しい友人
ダイアドの異質性
相手との携帯メール頻度
主観的成績
(プラスの影響)
1%水準で有意
(マイナスの影響)
(プラスの影響)
5%水準で有意
(マイナスの影響)
*1 池田・小林の共同調査(2005年実施、
東京都の高校生対象、n=501)の調査
結果を基に図式化。小林哲郎・池田謙
一著「若年層の社会化過程における
携帯メール利用の効果」
(
『社会心理学
研究』第23巻第1号所収)を参照
*2 ダイアドの同質性・異質性:「趣味や興
味・関心」
「家庭環境」
「今後の進路」
「人づき合いの仕方」
「ものの考え方や
価値観」
「休日の過ごし方」
「世の中の
出来事に対する意見」の7項目につい
て、似ている点・違っている点として
選択された項目の数で測定
*3 寛容性:「その方とあなたが考え方や
価値観で食い違うとき、あなたはどう
思いますか」との質問に対して、
「意見
は違ってもよい(4点)
」
「どちらかとい
えば違ってもよい(3点)
」
「どちらかと
いえば同じ方がよい(2 点)
」
「意見は
同じ方がよい(1点)
」の4段階で測定
図表[3]携帯メールの利用がもたらす同質性・異質性
同質性・異質性得点*1
2.5
異質性
2008
2.0
1.0
NO.11
1.5
同質性
0.5
0.0
携帯メール非利用
週2日以下
週3∼4日程度
週5∼6日程度
毎日[1日1∼4通]
*1 図表2の*2で示した7項目のうち、選択された項目数
池田・小林の共同調査(2005年実施、東京都の高校生対象、n=501)の調査結果を基に図式化
小林哲郎・池田謙一著「若年層の社会化過程における携帯メール利用の効果」
(
『社会心理学研究』第23巻第1号所収)を参照
毎日[1日5通以上]
携帯メール利用頻度
5
共有を意図的に進めるコミュニケーション
Interview
くプロセスが重要ですが、異質性に対して自己を閉ざしたり、
中で閉じられたコミュニケーションを外へ開いていくのです。
反感を持つだけで終わり敵対関係のままでいては、社会全体
学校現場にインターネットが導入された当初は、全国各地
がまとまりません。
携帯電話は道具ですから、それがいけないとはいえない。
の異なる教室同士がネットを通じて交流する試みがあったと
聞いていますが、最近はどうなのでしょう。見知らぬ他者と、
ただ、携帯メール利用がもたらす結果として、交友関係を狭
今ここで起こっていることを伝え合うのは、よいスキルトレ
い同質性の中に閉じ込めてしまい、ひいては他者に対する寛
ーニングになります。学校現場に直接関わっていないので誤
容性を低下させる恐れがある、ということです。
解があるかもしれませんが、情報教育がツールの使い方だけ
にとどまり、コミュニケーション・スキルを養う部分が抜け
異質な他者と出会う機会を増やし
落ちているような気がしてなりません。学校が生徒に個人用
コミュニケーションを外へ開く
のメールアドレスを持たせていないとか、レポートをワープ
たとえ学校で携帯メールを禁止しても、子どもたちは外で
ロソフトで書いたら手書きにしなさいと怒られたとか、その
使うので意味がないし、先生の気休めにしかなりません。
類いの話をよく聞きます。出会い系サイトなどインターネッ
一番大切なのは、体系的に異質な他者とコミュニケーショ
トの陰の部分を過敏に意識し、プラス面とマイナス面の両方
ンする機会を与えることです。それによって、狭い同質性の
あるのなら両面見せずにおこうとする事なかれ主義でなけれ
ばよいのですが ……。
確かにインターネットは選択の自由度が高いメディアです
から、やはり異質な他者を排除して同質な者同士の偏狭なコ
ミュニケーションを加速する側面もあります。しかし、携帯
メールに比べれば PC メールははるかにコミュニケーション
の範囲を広く設定しやすく、字数の制限もないので表現の可
能性も高く、自分のコミュニケーションの仕方に応じていく
らでも自由に書けます。ブログにしても SNS にしてもネット
ワークの広さは携帯メールと格段に違うので、基本的に異質
な要素が入ってきやすく、寛容性にはプラスに働きます。
インターネットをうまく活用した情報リテラシー教育と同
時に、学年の違う子どもたち同士が何かをいっしょにする機
会を増やすことも大切だと思います。例えば給食のときにお
兄さんお姉さんが小さい子の世話をするような試みはとても
よいことではないでしょうか。こうして育まれた寛容性が他
者への信頼を生み出し、将来的な「社会関係資本」となって
いきます。大切なのは、異質な他者と出会う機会を増やし、
共有を意図的に進めるようなコミュニケーションを育む場と
方法を、学校が用意することだと考えます。
References
6
●『社会科学の理論とモデル5 コミュニケーション』池田謙一著/東京大学出
版会/2000年
●「若年層の社会化過程における携帯メール利用の効果」小林哲郎・池田謙一
著/『社会心理学研究』第23巻第 1号所収/日本社会心理学会/2007年
●『社会のイメージの心理学∼ぼくらのリアリティはどう形成されるか∼』池
田謙一著/サイエンス社/1993年
●『ネットワーキング・コミュニティ』池田謙一編著/東京大学出版会/1997年
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