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岡 昌人
NO.009 かふぇおかがれーじ さん
Masato OKA
エスプレッソマシンの元
祖、イタリア・ベゼラ社の
イーグルが存在感を主
張するカフェ中心のアイ
ランドが岡さんの仕事場。
コーヒーに関するさまざま
なエピソードを聞くことも
できる。
!!
作業場改造系
表通りから見える黒い鉄の扉はダミーで、ここから出入りすることはできない。RC30がある駐輪スペース
を奥に進むと入り口の扉があり、
さらにその奥にガレージスペースがある。まさに都会の隠れ家といった印象。
数十年来の
「夢」
ここに実現
旨いコーヒーとスイーツ
そして、バイク大好きな仲間 が集う
「カフェガレージ」
メンテの最中にコーヒーで小休止、というサンメカは多い。バイク&コーヒーの組み合わせは、バイク乗りにとってまさに王道のコンビネーション。
今から 年以上前にその洗礼を受けた青年は、温め続けた計画を実行に移し、
ついに念願のカフェ&ガレージのマスターとなった。
桜とチーク材を全ねじボルトで締め上げて製
作した引き戸は大きくて重く、この状態では
何の店舗か分からない。だから黒板で営業時
間とともに「珈琲屋」
であることをアピール。
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右の生豆(なままめ)を焙煎すると、左のような
状態になる。焙煎が浅いと酸味が強く、深く焙
煎するほど苦みが強くなる。焙煎した豆は酸化
を防ぐため、短期間で使い切るのが基本。
かふぇおか特製の深煎り豆を板チョコの上に置い
た「豆チョコ」。岡さんがいたずら心で用意した新
メニューだが、カリッとした歯応えの後に広がる苦
みが大好評。自家焙煎だからできる。
細かく挽いたコーヒーを蒸気圧によって抽出する
のがエスプレッソ。強い苦みと濃厚な味が特徴だ。
回転するドラムに生豆を入れてガス火で煎る焙煎
機は、以前、自宅リビングで使っていたもの。
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とときであろう。どういうワケか昔か
コーヒー を 片手にバイクいじり を 楽
しむ時間は、サンメカにとって至福のひ
ら、
バイク&コーヒー&タバコはバイクシー
% を下回り、それでなく
ライダ ー に親しまれてきた。今や男性
ンに不可欠 な3 点セットとして多 くの
の喫煙率は
なっているが、コーヒー に関しては缶タ
てもスモー キング族は肩身の狭い状況に
イプ、インスタント、レギュラー とタイプ
の違いはあれど、時 代にかかわらず 人
気を保ち続けている。
「かふぇお
東京都品川区で今年9月、
かがれ ー じ」を開業した岡昌人さんは、
高校生時代にバイクで立 ち 寄った専門
店で出逢った一杯
のコーヒーに多大なる
影響を受け、人生そのものをコーヒーに
導かれた人である。高校生には敷居が
高 く、それでも 強 く 引 きつけられて足
を 踏み入れた神奈川県にある店のコー
わいがあり、焙煎や挽き、淹れ方といっ
ヒー は、それまで経験したことのない味
た作法にも 新鮮な発見があった。この
偶然の出逢いによりコーヒーの世界に魅
入られた岡さんは、その店に通い詰める
と同時に自らもコーヒーの知識を深め
ていった。そして「将来はカフェのマスター
図を描き、桜やチーク材を使って家具を
工務店というビルの 一 階 部分のスペース
に合わせて厨房やカウンターのイメージ
しながら、店の中心に備え付けられたエ
になって美味しいコーヒー を提供する」
大学卒業後は小学校の教師となり教
鞭をふるいながら、ある年の卒業アルバ
度な距離感が保たれたレイアウトは、高
スプレッソマシンとマスターの岡さんと適
して生豆の種類や煎り 具合による味の
さん。業務用焙煎機を自宅2階に設置
ど、バイクとコーヒーの趣味を続けた岡
た腕を三角巾で吊った姿で登場 するな
ルバムにはサーキットで転倒して骨折し
住宅街の中で大きな看板も出してい
ないかふぇおかがれーじだが、バイクや
の遊び心が発揮されている。
トイレに至るまであらゆる場所に岡さん
たイメージを醸し出しつつも、壁や天井、
店のイメージを踏襲したもの。落ち着い
校生時代から今も交流が続 くコーヒー
製作。カウンター 席だけでこぢんまりと
ムでは児童と共に書いた将来の夢に「カ
という明確な目標を定めたのだった。
フェのマスター」と記し、また別の年のア
違いを試したり、
カフェマスターに向けて
時 なので、
仕事帰りにバイクやクルマで立ち寄る人
~
も多い。表通りに面していない駐輪スペー
時、土日 祝日は
クルマの仲間やコーヒー 好き、夢を叶え
た岡 先 生に会 うためにかつての教 え 子
の地道な独習を繰り返した。
それと並行して2000 年には自宅
にバイク用ガレー ジを作り、バイクいじ
たちも訪れている。営業時間は平日
ができる環境を実践し、
バイク仲間がガ
~
レージに来るたびにコーヒー を振るまっ
感も魅力だし、
これからの時期はナイト
付 けっぱなしでも 大丈夫という 隠れ家
なく本格レギュラーコーヒー が飲めると
長い間入念に準備を行い、カフェのマス
タ ー という 夢を現実にした岡さん。次
ランで冷えた体を温めるのにも、岡さん
ペー ジではカフェと 一 緒 にメンテナンス
を楽しめる、
バイクいじりのためのガレー
なれば評判となるのは当然で、ま す ま
代で教師を辞めてカフェをオープン
するという目標からは若干遅れたものの、
ジスペースを覗いてみよう。
のコーヒーは最高の一杯
となるだろう。
カフェとガレージを 一 体 化できそうな場
所を確保して、いよいよ開業に向けた準
すカフェ開業への夢は膨らんでいった。
スにバイクを入れれば、バイクにキーを
逆にコーヒー を飲みながらバイクいじり
りをしながらコーヒー を飲む、あるいは
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た。バイクとコーヒーはそもそも相性の
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良い組み合わせだから、缶コーヒーでは
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入居する物件を念頭に、スケッ
チブックに描いた内装デザイン。
実際の店舗もほぼイラスト通り
になっているのが凄い。収納容
量の大きなキャビネットも、自筆
イラストから製作した。
ベンチ下部にはヘルメットやウエストポーチを収納
できるスペースを設けた。当然これも岡さんの作品。
コーヒーを提供するのはもちろんだが、
自分のカフェ
を作る過程も楽しんでいたのだ。
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備に取りか掛かったのは2年ほど前。元
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40
エントランスから突き当たりまで進むとカフェとガレージが一望できるエリアに達する。こ
こは駐輪スペースであり、
ガレージへの入り口にもなっている。バイクをいじりながらコー
ヒーを飲む、サンメカならではの楽しみがここで実現する。
抽出したエスプレッソにひと手間加えて、カップのアイスに注
いだ途端にゼリー状に変化する
「エスプレッソ・ゼリー」
がかふぇ
おか一番のオススメ。エスプレッソ付きで 800 円。
イタリアのジノリやドイツのマイセンなど、選りすぐり
のカップ&ソーサーもコーヒーを楽しむ重要な演出
要素。世界展開のコーヒーショップや街の喫茶店
では味わうことができない上質感だ。
P A R T 16
作業場改造系
岡 昌人
Masato OKA
スペースである。自由といっても、キャブ
イダ ー やサンメカが自由に活用できる
カフェに併設されたガレー ジは、岡さ
ん自慢のコーヒーやケーキを味わったラ
せた結果、ヨドコウだけがその条件をク
だった。いくつかのメー カー に問い合わ
られる製品を選ぶ」 ことが重要な条件
無駄が出てしまうので 「 内側から建て
さん
セッティングでエンジンをガンガン回した
ドンピシャのスペースに収めた。
リアしていることが分かり、見ての通り
NO.009 かふぇおかがれーじ ガレージ本体の左右フレームに
角材を橋渡しにして、
エアホース
リールをビス止めしている。板
厚の薄い壁面よりガッチリ取り
付けられ天井部分の空間の有
効活用になっている。
業余地が必要だが、それではスペースに
なくなっちゃった……といった作業をす
り、足周り を外した亀の子状態で帰れ
がないため、内装にはOSB合板を貼る
間口2400×奥行 き5800㎜のガ
レー ジ内部はスチ ールのままでは味気
べき場所ではない。あくまでカフェが主
だからといって、このガレー ジが雰囲気
で、ガレー ジ作業は従だと認識したい。
な空間を作り出している。作業台やツー
ルキャビネット、コンプレッサー などのガ
ことで趣 味の雰 囲 気に溢れたウッディ
し、ハンドツールやエアツール、立派な作
可能だが、ここには岡さんのバイクも収
レー ジツールを使わせてもらうことも
優先というわけではない。ここでは実際
業台もあるから、やろうと思えば大が
に岡さん自身のバイクをメンテしている
かりな分解整備だって可能である。
作業できるのは1~2台というところ。
納されていので、実質的にガレー ジ内で
カフェが入居するビルと敷地境界のブ
ロック塀に両サイドをピッタリ挟まれた
コーヒーを飲みながらメンテできると
なると、いじり 好 きのサンメカだとつい
を守って活用したい。
く 楽しめるよう 互いに譲 り 合い、節度
スタ ーの岡さんや多 くのお客さんが長
プを持つのは明らかにマナ ー 違反だ。マ
イルやグリスにまみれた手でコーヒーカッ
長居したくなってしまうところだが、オ
場所にガレージを建てるにあたり、
一般
的 なスチ ールガレー ジは壁の外側に作
アストロプロダクツの作業台の
上にはボール盤や双頭グライン
ダーなどが置かれている。スペー
ス的には4ミニ用エンジンを分
解組み立てするのも楽勝だが、
空気を読んで行動したい。
スチールガレージに何かを固定しようとすれば、
タッ
ピングビスかボルトナットが必要となる。しかしツー
バイフォー材を1本渡すだけで、木ねじやヒートン
やヨートーなどを簡単に施工できるようになる。
コンプレッサーはホームセンターで購入した 100V
のツインシリンダータイプ。エアタンクが大きいので、
洗車時に付着した水滴をエアブローし続けても余
裕がある。
作業台には頑丈なベンチバイスが固定されている。
フロントフォークの分解組み立てや切断作業を行
う際に両手が使えるバイスは、自宅で作業を行う
サンメカも常備したい必須アイテムである。
長く教師の仕事を続けながら、ずっ
と公言してきた「カフェのマスター」
と
して社会人再デビュー!? を果たし
た岡昌人さん。バイク好きで人好き
で犬好きで話し好きという、客商売
に打って付けのキャラクターで早く
も常連客を獲得中。コーヒー好きも
バイク好きも大歓迎とのことだ。
ステンレス製のワイドキャビネットの中にはハンド
ツールやエアツールが大量に収納されている。使
い慣れた工具で作業したいというサンメカは、工具
持参で訪れてもよいだろう。
ガレージだから工具があるのは当然だが、これらは
全て岡さんの私物である。コーヒーを飲めばメンテ
して OKといっても、基本的には岡さんのガレージ
を借りるという意識で使わせてもらおう。
コーヒーを飲みながら
バイクいじりを愉しめる
向かって左側のビル壁面、右側
のブロック塀と壁面を供用する
かのようにピッタリ密着して建て
られたスチールガレージ。確か
にこの立地だと、内部から壁面
の施工ができる製品でなければ
ここに建てられない。
◎「かふぇおかがれーじ」
マスター
岡 昌人さん
Masato OKA
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