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フレキシブル制作システム

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フレキシブル制作システム
研究所の動き
フレキシブル制作システム
放送局では,これまで番組の制作や保存にVTRテープを用いてきたが,近年,ハードディスクやメモリーを利用し
た番組制作システム(ファイルベースシステム)の導入が進められている。当所では,番組制作者が特別なハードウ
エアやソフトウエアを導入することなく利用でき,効率的なワークフローを実現するシステムとしてフレキシブル制
作システムを提案している(1図)
。
現状のファイルベースシステムでは,①利用する編集機ごとに性能や操作画面に違いがある,②編集機能の拡張や
更新が難しい,③番組制作者が番組素材の管理や作業のためにファイルの移動やコピーが必要となるなどの課題があ
る。
フレキシブル制作システムは編集操作画面を提供するフロントエンドと,編集処理とファイル管理を行うバックエ
ンドで構成されている。また,編集機能を持つサーバーや番組素材が保存されているサーバーはすべて広帯域のネッ
トワークに接続されている。フロントエンドにはWebブラウザーを用い,ノンリニア編集機のようにタイムライン上
に素材のカットを時系列に並べて編集を行うインターフェースを開発した(2図)
。従って,ユーザーはどこにある
コンピューターからでも同じ編集画面を用いて編集作業を行うことができる。
バックエンドを支える技術として,フロントエンドで指定された編集処理を複数のサーバーで分散処理する技術を
開発した。サーバーや編集機といった放送機器の機能を複数の装置に分散させ,多数のユーザーが利用する際の負荷
分散や機能の効率的な利用,障害回避を容易に行えるようにした。また,膨大な番組素材ファイルを保存し共有する
ために,複数のファイルサーバーを仮想的に1つのファイルサーバーとして扱うための分散ファイルシステムや,バッ
クエンドでの編集処理を高速に行うための技術として,ファイルサーバー間で編集に必要な映像フレームを高速に転
送するファイル転送プロトコルと,ファイルの途中の一部のデータをフレーム単位で高速に挿入・削除できるファイ
ルシステムを開発した。
今後,開発した成果をオープンソースとして公開し,クラウド時代の制作システムとして実用化と普及を目指す。
番組制作者
編集記述から複数
の編集処理に分割
映像処理サーバー
★カットごとに処理を分散化
ソフトウエア化した映像処理システム
映像処理
(スーパー,ワイプなど)
Webサーバー
Webブラウザーによる編集
★どこからでも
好みの環境で作業
カット転送要求
映像再生
分散ファイルシステム
番組素材
(ファイル)
ファイル転送
完成番組
(ファイル)
★フレーム単位での
ファイル転送・挿入
1図 フレキシブル制作システムの概要
番組素材リスト
素材再生ウインドー
タイムライン
2図 編集インターフェースの例
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NHK技研 R&D/No.124/2010.11
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