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ニュースレター No.8

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ニュースレター No.8
国際先端酵素学研究拠点をめざして
センター長 福井 清
疾患酵素学研究センターは、昭和 27 年に学内措置されました「酵素研究所」にその源を発します。
その後昭和 36 年に、酵素学に関する我が国唯一の研究施設として、「医学部附属酵素研究施設」の
設置が文部省から承認され、初代教授として勝沼信彦先生が着任されました。昭和 62 年からは酵素
科学研究センターとして医学部から独立し、分子酵素学研究センターを経て現在に至っています。平
成 22 年度より、最先端酵素学を基盤とする医学応用のための共同利用・共同研究拠点の形成による
人材養成、病態、創薬理論、粘膜ワクチン共同研究を目的とする共同利用・共同研究「酵素学研究拠点」
として文部科学大臣に認定されました。National Institute for Enzyme Research としての拠点事業
は平成 25 年度には、「拠点としての活動は概ね順調に行われており、今後共同利用・共同研究を通
じた成果や効果が期待され、関連コミュニティへ貢献していると判断される」と中間評価を頂きました。現在、期末評価を
来年度に控え、50 年を超えて脈々と継承されてきました特色ある先端的酵素学研究の新たな展開に向けて、研究活動のさ
らなる充実と研究者コミュニティへのネットワークづくり・国際展開の推進に鋭意努めているところであります。
平成 28 年度から始まります国立大学第Ⅲ期中期目標期間における、共同利用・共同研究体制の強化に向けて、その意義・
、ii)大学の機能強化への
ミッションの再確認が国レベルでなされており、i)研究者コミュニティへの貢献(分野の発展)
貢献(大学の発展)
、iii)国民社会への貢献(学術全般の発展、国家・社会の発展)を目指すものと整理されています。こ
れらのミッションを果たすべく酵素研では最先端酵素学研究を支えるプロテオミクス・メタボロミクス解析設備を整備する
とともに、貴重なバイオリソース(酵素、蛋白質、遺伝子)の共同利用・共同研究を推進して参りました。また、酵素学講
習会(ウィンタースクール)の実施により、留学生を含む全国の若手研究人材の育成を図っております。
国の総合科学技術・イノベーション会議では、イノベーション・ナショナルシステムの構築に向けて、大学の知・イノベー
ション創出機能(人材育成を含む)の強化が謳われており、大学等の基礎研究における優れた成果等を確実に実用化につな
げる一貫した取組みにより科学技術イノベーションの創出を図ることが目標として掲げられています。国立大学の機能強化
に向けた国のイノベーション戦略に鑑み、酵素研の伝統としての医学応用研究をさらに展開させるために、全国の研究者コ
ミュニティが有するシーズを熟成・発展させる「酵素学の先端的橋渡し研究拠点」として、国公私立の枠組みを越えた大学
間並びに拠点間連携を一層強固にして参る所存です。とくに連携協定を締結しております北里大学北里生命科学研究所との
研究活動は特色ある共同研究事業として注目を集めているところであります。さらなる連携強化を図り、『メタボロミクス
と酵素・阻害剤複合体構造解析を基盤とした医学応用・創薬イノベーションへの展開』を推進して参ります。
最後に、国際先端酵素学研究拠点としての発展は、これからのセンターの目標であります。本年新たに交流協定を締結し
ましたスロバキア科学アカデミーウィルス学研究所とともに、南通大学をはじめとした広くアジア・オセアニア地域の生化
学研究者、分子生物学研究者との共同研究ネットワークの構築を目指したいと考えております。米国、欧州とともにこれか
らの大きな飛躍が期待される ASEAN 諸国を中心とする地域の研究者コミュニティとの共同利用・共同研究を推進して、国
際先端酵素学研究拠点の形成を目指して努力を続けて参ります。
酵素研の職員は共に一丸となって邁進する所存ですので、関係各位におかれましては、より一層のご支援と御指導・御鞭
撻をお願い申し上げます。
(平成 27 年 1 月 1 日)
徳島大学 疾患酵素学研究センター
1
2015.1.1 No.8
●シグナル伝達と糖尿病研究部門
湯浅 智之 准教授
インスリン作用の分子メカニズムと糖尿病の病因解明
インスリン作用は生物の恒常性を維持する根源的な機能の一つである。それ故、インスリンシグナルは糖尿病をはじ
めとする代謝疾患のみならず、動脈硬化、癌、老化、寿命など様々
。当研究部門はヒトイン
な疾患との関わりが報告されている〔図 1〕
スリン受容体の cDNA クローニングに成功して以来 インスリン作
用の分子メカニズムと糖尿病の解明 研究を行ってきた。基礎的な
テーマとして、インスリンの重要な作用の一つである細胞内へのグ
ルコース輸送促進のメカニズムについて研究を進めている。インス
リン以外の PDGF などの増殖因子や三量体 G 蛋白を介するシグナ
ルでも糖輸送の促進が起こる事を明らかにしてきたが、そのメカニ
ズムの詳細を、分子生物学・細胞生物学・発生工学の手法を絡めながら研究している。
インスリン受容体はインスリン結合部位であるαサブユニットとチロシンキナーゼドメイン
。
を持つβサブユニットからなり、S-S 結合でα2 β2 となり一つのレセプターを形成する〔図 1〕
我々のグループは、ヒトにおいてインスリン受容体の細胞外ドメインが切断(shedding)され
遊離した可溶性インスリン受容体(soluble insulin receptor; sIR)が存在することを発見した。
さらに、これを定量する ELISA 系を確立し糖尿病患者において血糖値と血中 sIR 値が相関して
いることを見出した。高血糖が引き金となり細胞表面上で活性化されたプロテアーゼにより受
容体が切断され、可溶性インスリン受容体が血中に放出されている可能性がある。血中 sIR 値
の臨床検査値としての可能性を探るとともに、本事象を再現する in vitro 系を構築しその切断機
。なぜ糖尿病患者の血中
構の詳細を追求している〔インスリン受容体二段階切断モデル、図 2〕
sIR 値が増加するのか、その引き金はなにか、糖尿病悪化にどのように結びつくのか、その分子
機構を明らかにしていきたい。
●病態システム酵素学研究部門
福井 清 教授
脳内D-アミノ酸代謝と細胞死制御の疾患酵素学研究
D- アミノ酸酸化酵素 (DAO) が脳内 NMDA 受容体を制御する新規神経調節因子 D- セリンを代謝すること、また
新規アポトーシス制御因子として発見したヌクリングが NF- κ B シグナルの制御機能を有することから、これら
を新たな生体機能調節因子として位置づけ、統合失調症やグリオーマ(神経膠腫)並びに慢性炎症を背景とする発
癌の病態の解明と治療薬の開発を目指している。
1)DAO は、その基質となる D- セリンを介して、グルタミン酸神経伝達の調節に関与している。統合失調症の疾患
感受性遺伝子の一つである DAO の病態生理学的役割を解明するため、ヒト脳内における DAO の発現解析から、そ
の発現が統合失調症死後脳で上昇している傾向にあることを見出している。これは、統合失調症の病態において、Dセリンの減少に起因するグルタミン酸神経伝達の
機能不全が引き起こされている可能性を示すもの
であった。さらに、ヒト DAO 遺伝子の発現制御機構の解析から、転写因子
PAX5/PAX2 が作動する 2 つのプロモーター領域の同定とその調節を明ら
かとした(図参照)
。現在 DAO を統合失調症の重要な治療ターゲットとして
位置づけて統合失調症治療薬の開発に向けた共同研究を進めている。
2) 心筋細胞分化の過程で発現誘導されるヌクリング遺伝子は、Apaf-1/ カ
スパーゼ 9 を介したアポトーシス経路を正に制御して細胞死を誘導し、さ
らに、NF- κ B の活性化及びガレクチン -3 の発現を制御する機能を有し、
新しい細胞死制御システムを構成している。ヌクリング遺伝子欠失マウスで
は肝炎・肝癌をはじめとする種々の炎症性疾患を好発すること、並びにメタ
ボリック症候群様所見を呈する個体が存在することから、その病態生理学的
意義の解明を目指している。
2
徳島大学 疾患酵素学研究センター
No.8 2015.1.1
立花 誠 教授
●応用酵素・疾患代謝研究部門
エピジェネティクス制御機構の破綻による疾患発症のメカニズム
平成 25 年 12 月 16 日付けで、京都大学ウイルス研究所・感染症モデル研究センターから徳島大学疾患酵素学研究セ
ンター・応用酵素・疾患代謝研究部門に赴任しました。
私たちの体はおよそ 200 種類の細胞から構成されていますが、もとはたった 1 の受精卵に由来します。一部の免疫
系の細胞を除きゲノムの一次配列は共通であるにもかかわらず、どうして多種多様な細胞種が存在するのか、これには
ゲノムの管理・運営を司る エピジェネティクス による制御が深く関与しています。クロマチンの構造変換がエピジェ
ネティクス制御の実体であり、その中でもヒストンや DNA の化学修飾が中心的な役割を担っています。我々は、2001
年に G9a と呼ばれるほ乳類の新規ヒストンメチル化酵素を同定しました。以来、ヒストンのメチル化修飾による遺伝
子発現の制御機構について、主にマウスをモデル
とした研究を行ってきました。2013 年には、マ
ウスの性決定にはヒストン脱メチル化酵素が重要な働きを担っていることを
。ヒストン脱メチル化酵素である Jmjd1a
報告しました(Kuroki et al., 2013)
の遺伝子破壊マウスでは、性染色体が XY であるにもかかわらず高頻度に雄
→雌の性転換が観察されます。Jmjd1a 欠損マウスでは、性決定遺伝子である
Sry 遺伝子座のヒストンの脱メチル化が触媒されず、Sry が活性化されません。
「酵素反応が性決定に重要である」という発見は、
「性は受精のときに決定する」
という一般的概念の再考につながったと思います。また、人間の性分化疾患の
原因解明にもつながる成果であると考えています。
近年、エピジェネティクス制御系の破綻が、癌や生活習慣病を含む様々な病
気に関わっていることが明らかになってきています。今後は、我々の研究対象
であるヒストンのメチル化酵素や脱メチル化酵素について、その機能破綻と疾
患との関わりを追求していきたいと考えています。
●疾患プロテオミクス研究部門
谷口 寿章 教授
プロテオミクス・メタボロミクスによる疾患マーカーと創薬標的タンパク質の探索
疾患プロテオミクス研究部門では、質量分析法を基盤とした最先端のプロテオミクス解析技術を用い、生物学・医学
研究への応用を図ることを研究テーマとしている。高感度であることと同時に、多数のタンパク質が混じった試料を直
接解析できる利点を生かした生体試料に含まれるタンパク質の大規模解析=網羅的解析をプロテオミクスと呼び、医学
領域では、疾患に伴う細胞構成タンパク
質の変化の解析による発症機序の解明
や、血液中に含まれるマーカータンパク
質の探索などが重要な応用課題である。
最近ではプロテオミクスに加えて、酵素
タンパク質により生成される様々な代謝
物の網羅的解析=メタボロミクスも注目を浴びている。本研究部門
では、超高分解能質量分析計を生かしたプロテオミクス、メタボロ
ミクス解析技術の開発を試料調製から機器分析、バイオインフォマ
ティクスによるデータ処理に至るまでの段階で進めると共に、様々
な疾患をターゲットとして発症機構の解明や疾患マーカー探索など
の研究を進めている。特に、肺ガンで発現が増加している上皮細胞
成長因子(EGF)受容体の下流シグナルの網羅的解析など、リン酸
化プロテオミクスによるシグナル伝達系の解析や、ヒト脂肪細胞の
分泌タンパク質の網羅的解析(シークレトーム解析)による新規ア
ディポサイトカインの探索、骨芽細胞の分化に伴うタンパク質の変
動解析、遺伝子病に関わる代謝異常のメタボロミクスによる解析な
Cipro タンパク質データベース
(http://cipro.ibio.jp)
。JST バイオインフォマティ
クス推進事業の補助を受けたプロジェクトによるカタユウレイボヤのプロテオミ
クス解析による成果。脊椎動物の起源と考えられるホヤのゲノミクス、トランス
クリプトミクス、プロテオミクスによる発現解析、機能解析による成果をバイオ
インフォマティクスのグループとの共同作業によりデータベース化した。
どに重点をおいている。
徳島大学 疾患酵素学研究センター
3
2015.1.1 No.8
松本 満 教授
●免疫病態研究部門
自己免疫疾患の病態解明
自己免疫疾患は、胸腺あるいは末梢
における自己寛容(self-tolerance)の
破綻によって発生すると考えられる。
胸腺における自己寛容の成立過程で
は、胸腺上皮細胞による T 細胞への
自己抗原の提示が重要な役割を担うた
め、そのメカニズムを理解することが
自己免疫疾患の病態解明に必要である。当部門では、遺伝性
の自己免疫疾患の原因遺伝子である AIRE の機能解析を通じ
て、胸腺における自己寛容成立のプロセスを理解したいと考 AIRE 発現細胞は、前駆細胞( Progenitor )から、まだ AIRE を発現していな
low
えている。すなわち、AIRE は胸腺上皮細胞に発現する転写因 い未分化な段階( Immature; AIRE CD80 )を経て、成熟した胸腺髄質上
子で、胸腺上皮細胞が自己抗原を発現する最終分化段階で機
能する。AIRE 遺伝子改変マウスを駆使した研究によって、自
己免疫疾患の発症病態を解明できると期待しており、それに
よって原因不明の難病である自己免疫疾患に対して原因に基
づく新たな治療法の開発を目指す。
皮細胞(medullary thymic epithelial cell: mTEC)へと分化し、AIRE を発現す
。AIRE はさまざまな組織特異的自
るようになる( Mature; AIRE+CD80high )
己抗原( Tissue-restricted antigen )の発現にはたらく転写因子と考えられて
( AIRE-KO mTEC )
、組織特異的
おり、AIRE 欠損マウス由来の mTEC では
自己抗原の発現が低下する。そのメカニズムについては不明な点が多いが、
AIRE 欠損にともない mTEC の成熟過程に障害が生じ、そのため多数の組
織特異的自己抗原を発現できる分化段階にまで到達できず、組織特異的自
。すなわち、
己抗原の発現障害に至る可能性がある( Maturation model )
AIRE は mTEC の分化誘導因子である可能性がある( Eur. J. Immunol. 41:
12-17, 2011 を改変 )。
●神経変性疾患研究部門
坂口 末廣 教授
プリオン病の神経細胞死のメカニズム解明
当研究部門では、教授 1、准教授 1、助教 1、技術職員 1、大学院生 2 のスタッフで、プリオ
ン病における神経細胞死のメカニズムを、細胞工学及び遺伝子改変マウスを用いて研究してい
る。プリオン病では、病原体「プリオン」が感染すると、神経細胞に発現する正常プリオン蛋
白が次から次へと構造変換を行い、異常プリオン蛋白に変化する。この結果、脳内では正常プ
リオン蛋白は減少し、異常プリオン蛋白(プリオン)は増加する。従って、正常プリオン蛋白
の枯渇が正常プリオン蛋白の機
能障害をもたらし、神経細胞死
がもたらされると考えられてい
る。しかし一方、過剰に産生された異常プリオン蛋白
が神経毒性に作用し、神経細胞死をきたすとも考えら
れている。当部門では、正常プリオン蛋白の正常機能
の研究を行い、プリオン病の神経細胞死のメカニズム
の解明を目指している。また、プリオン病研究で最も
重要な課題である「正常プリオン蛋白がどのように異
常プリオン蛋白へ変換するか」についても研究してい
る。このような研究に興味をお持ちの方は、いつでも
ご連絡ください。
4
徳島大学 疾患酵素学研究センター
No.8 2015.1.1
●
(寄附講座)生体防御・感染症病態代謝研究部門
木戸 博 特任教授
酵素・蛋白質基礎研究の医学応用を目指して
寄附講座生体防御・感
染症病態代謝研究部門は、
高橋悦久、亀村典生特任
助 教、 教 務 補 佐 員、 大 学
院 生 の 総 勢 9 名 に、 外 部
からの共同研究者 4 − 5
名で研究が行われている。
医学応用研究は、「インフルエンザの経鼻粘膜ワ
クチン開発によって生まれた SF-10 アジュバン
トの多方面への応用研究」、高性能蛋白チップの
開発を基盤にした「アレルゲンチップ、抗体チッ
プの医学応用研究」、「各種疾患の重症化に関連
する血管内皮細胞の機能不全改善薬の開発研究」
が進んでいる。
「アレルゲンチップ」開発では、実用化に向けて実施企業と共同で厚生労働省への承認申請を進めている。
この高性能アレルゲンチップにより、臍帯血中の抗原特異的 IgE の測定が可能となったことから、授乳期間中の抗原特
異的 IgE の成熟過程がモニターできるようになり、アレルギーの発症予防に向けた指標としての検討が開始されている。
●酵素タンパク質結晶構造解析室
真板 宣夫 准教授
リソソーム病関連分子の結晶構造解析
リソソームは細胞内で生じた老廃物を分解する細胞小器官で、内部にはグリコシダーゼ、リ
パーゼ、ホスファターゼ、ヌクレアーゼなど様々な加水分解酵素が多数存在している。リソソー
ム病は、リソソームで機能する分解酵素の先天的機能不全により老廃物がリソソームに蓄積し、
それによって様々な発育障害を引き起こす病気である。リソソーム病は特に乳幼児で発症し、
重篤になりやすく治療が困難である。当解析室ではリソソーム加水分解酵素の結晶構造解析を
行い、リソソーム病の発生原理を解明するとともに、変異体解析から変異特異的な治療薬(ケ
ミカルシャペロン)の開発を目標としている。
その他、レトロトランスポゾン(LINE)、Zn フィンガー型転写因子等に焦点を当てて研究を行っ
ている。また、共同利用研究拠
点として結晶構造解析の共同研
究を進めている。
リソソーム病(I 型ムコ多糖症)の原因タ
ンパク質の結晶(左)と、
その結晶構造(右)
徳島大学 疾患酵素学研究センター
5
2015.1.1 No.8
内山 圭司 准教授
●共同利用実験施設
共同利用・共同オープンラボ
当センターが、平成 22 年度から「共同
利用・共同研究拠点」の「酵素学研究拠点」
として文部科学省から認定されたことをう
け、学内外からの共同研究者を受け入れ酵
素学の基礎研究と先導的医学応用研究を展
開するための研究スペース、および若手研
究者を対象とした酵素学の講習・実習のた
めの実習スペースを確保するために行って
きた旧 BioRI 施設の改修が平成 23 年 4 月に
終了しました。これまでの P3 実験室に加え、
新たにバイオリソース貯蔵室、酵素・蛋白
質解析室、精密測定室、カンファレンス室、
そして共同利用実験室が設置されました。
また、共同利用実験機器も利用可能になり
ました。
平成 25 年度利用登録者数 64 名
(学外 11 名)
谷口 寿章 教授
●先端酵素機能解析部門
最先端プロテオミクス解析技術で生命現象に迫る
多様な測定原理を持ち、
それぞれの特性を生かした
プロテオミクスからメタボ
ロミクスまでの網羅的解析
が可能な様々な質量分析装
置と、大量の試料の自動処
理を可能とする試料前処理
ロボット群。
疾患酵素学研究センターの共同
利用・共同研究拠点としての認定
に伴い、平成 22 年度から新たに
設置された 3 部門のひとつです。
高分解能のフーリエ変換型質量分
析装置をはじめとする質量分析装
置群、プロテオミクス解析に必要
な微量タンパク質の前処理ロボッ
ト群、大規模検索サーバーなどの
装置を所有しています。
現在共同利用・共同研究の形で
・質量分析を基盤としたプロテオミクス、タンパク質の
構造解析
・X 線結晶解析による蛋白質の立体構造解析
共同利用共同研究拠点にお
ける共同研究の成果例(京都
大学大学院農学研究科奥野教
授らとの共同研究)
。植物に感
染する RNA ウイルスである
Red clover necrotic mosaic virus
の RNA の 3 非翻訳領域に結
合する宿主タンパク質のプロ
テオミクス解析により RNA 結
わる研究をサポートしています。
合タンパク質 PABP が同定さ
また、文部科学省の先端研究施設共用促進事業の補助を れ、ウイルスタンパク質の翻
訳に関わることが明らかにさ
受け、民間企業や大学・研究機関の研究者に設備を開放し、 れた。(Iwakawa et al. J. Virol.
)
(2012)
などの全国の大学・研究機関によるタンパク質・酵素に関
専任の研究員の指導のもとに利用して頂いています。
6
徳島大学 疾患酵素学研究センター
No.8 2015.1.1
福井 清 教授
宍戸 裕二 助教(学長裁量ポスト)
●酵素学教育・講習部門
酵素学研究拠点ウインタースクールの発展と国際的な情報発信
「酵素学研究拠点」認定に伴い、共同利用・共同研究の発展へ向けた大きな
柱の一つとして平成 22 年度に新設された部門である。本部門では酵素学の基
礎研究および医学応用研究に対する基礎から先進的な技術を含む幅の広い情報
の提供を行い、更には教育講習会(酵素学研究人材養成スパートレーニングプ
ログラム)の実施を通して我が国の若手
研究者の基礎的研究能力の充実を図る事
を目的としている。
過去四年間において第 1 回∼第 4 回の
「酵
素学研究拠点ウインタースクール」を開催し、全国各地の研究機関から受け入れた受講
。各年とも 5 日間に亘
生を対象に講習会を実施した(累計総数 48 名;うち留学生 13 名)
る充実した実習内容で参加者から特徴のある全国共同利用施設として高い評価を受けて
いる。本年度においても引き続き「第五回酵素学研究拠点ウインタースクール」を開催し、
我が国の若手研究者に対し酵素学研究に資する実習研修の場
を提供する。また、本部門の国際化へ向けた発展を図るため、
これまでの実施概要
ウインタースクールに使用した実習書の外国語版(英語・中国
講習会受講者
人 数 (うち留学生) 女 性 男 性
13 人
4人
8人
5人
13 人
3人
7人
6人
11 人
4人
4人
7人
11 人
2人
2人
9人
48 人
13 人
21 人 27 人
語・韓国語)での発信を開始した。同時に、50 年以上にわた
る徳島大学 酵素研 に蓄積された酵素学研究手法に関する情
報収集を行い、国内外へ向けた技術情報の発信を通し、国際的
な「酵素学の研究拠点」造りを目指している。
第一回(平成22年度)
第二回
(平成23年度)
第三回
(平成24年度)
第四回(平成25年度)
総 計
●酵素・蛋白質・遺伝子リソース部門
年齢
講演会
参加人数
25.9
26.2
27.5
26.1
26.4
62 人
68 人
57 人
63 人
250 人
坂口 末廣 教授
原 英之 特任助教
全国の研究者からのバイオリソースの提供・管理サービスを行っています
酵素・蛋白質・遺伝子リソース
部門は、疾患酵素学研究センター
の全国共同利用・共同研究「酵素
学研究拠点」への認定に伴い平成
22 年度に設立され、バイオリソー
スの管理・運営に加えて、全国の
研究者からのバイオリソース提
供申請に対応してきました。ま
た、震災等の天災や停電等により貴重なバイオリソースが滅失するリスク
分散を図るため、バイオリソースの保管も受け付けています。
今後も引き続き、全国の研究者からの要望に応えるために、バイオリソー
スの登録数と保管件数を増やしていく予定です。
登録されているバイオリソース及び申請に必要な手続きに関しまして
は、 当 部 門 の ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.tokushima-u.ac.jp/ier/divisions/
resource/)をご参照下さい。不明な点がありましたら、当部門にご連絡下
さい。
徳島大学 疾患酵素学研究センター
7
2015.1.1 No.8
受 賞
■ 若手研究者奨励賞/第 87 回日本生化学会大会 若手優秀発表賞
「Young Investigator’s Award of JSPP2014」
(若手研究者奨励賞)
受賞
(受賞日時:2014 年 8 月 8 ー 9 日)
「第87回日本生化学会大会 若手優秀発表賞」受賞
(受賞日時:2014 年 10 月 18 日)
徳島大学大学院 医科学教育部 医学専攻 博士課程
Irene Lorinda Indalao
受賞のコメント
I am honored to be granted these awards. On this occasion, I would
like to dedicated these awards to Prof Hiroshi Kido who kindly
guides me preparing for the conferences and to the members of
the Division of Pathology and Metabolome Research for Infectious
Disease and Host Response for their valuable support.
■ Tokushima Bioscience Retreat 若手研究者奨励賞
「Tokushima Bioscience Retreat 若手研究者奨励賞」
受賞
(受賞日時:2014 年 11 月 5 日)
徳島大学大学院 医科学教育部 医学専攻 博士課程
Dang Van Huy
受賞のコメント
I am very pleased to receive the prize of Young Researcher
Award in the Tokushima Bioscience Retreat 2014. The
meeting allows me to share insights in different fields through
the interaction with the invaluable presentations. This prize is
a great encouragement for me to study further in the future.
Finally, I wish to express my gratitude to members of Institute
for Enzyme Research who help me reach this success in
research.
勝沼ギャラリーの開設
▲
2014 年 11 月 15 日徳島新聞「故勝沼氏の功績紹介」と題して記載されました。
勝沼信彦記念ギャラ
リー開設記念式典テー
プカットの様子。
福井疾患酵素学研究セ
ンター長、香川学長、
勝沼様、苛原医学部長
▲
基礎医学研究の発展に貢献する研究
者育成のための「勝沼奨学基金」設
立に併せ医学部玄関ホールに開設さ
れた「勝沼信彦記念ギャラリー」
8
徳島大学 疾患酵素学研究センター
▲故勝沼信彦名誉教授の
ご功績を紹介される木
戸疾患酵素学研究セン
ター特任教授
No.8 2015.1.1
酵素研からの発信 ①
第6回 酵素学研究拠点シンポジウム活動状況
香川 征
徳島大学学長
木村 英雄
麻生 久
国立精神・神経医療研究
センター神経研究所部長
東北大学大学院
農学研究科教授
下条 直樹
千葉大学大学院
医学研究院教授
仲矢 道雄
木梨 達雄
九州大学大学院
薬学研究院准教授
関西医科大学
生命医学研究所教授
▼
▼
奥野 哲郎
京都大学大学院
農学研究科教授
シンポジウム内容
「D-及びL-アミノ酸から生合成される硫化水素
D-及びL-アミノ酸から生合成される硫化水素
(H2S)
とポリサルファイド
(H2Sn)
の生理機能
の生理機能」
国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 部長 木村
英雄
「解糖系酵素アルドラーゼAを介する腸管M細胞の異常型プリオン蛋白質侵入機構
解糖系酵素アルドラーゼAを介する腸管M細胞の異常型プリオン蛋白質侵入機構」
東北大学大学院 農学研究科 教授 麻生
久
「ウイルスによる植物細胞内膜系のリモデリングとRNA複製
ウイルスによる植物細胞内膜系のリモデリングとRNA複製」
京都大学大学院 農学研究科 教授 奥野
哲郎
「乳幼児のアトピー性皮膚炎
乳幼児のアトピー性皮膚炎・食物アレルギーの発症に関する因子 −コホート研究における解析より−
−コホート研究における解析より−」
千葉大学大学院 医学研究院 教授 下条
直樹
「アポトーシス細胞の貧食におけるGRK6の関与
アポトーシス細胞の貧食におけるGRK6の関与」
九州大学大学院 薬学研究院 准教授 仲矢
道雄
「Rap1
Rap1 シグナルによる胸腺細胞の動態制御機構」
シグナルによる胸腺細胞の動態制御機構
関西医科大学 生命医学研究所 教授 木梨
達雄
徳島大学 疾患酵素学研究センター
9
2015.1.1 No.8
酵素研からの発信 ②
第7回酵素学研究拠点シンポジウム活動状況
香川 征
徳島大学学長
砂塚 敏明
松永 洋一
北里大学北里生命科学
研究所教授
徳島文理大学薬学部教授
津下 英明
Vito Turk
京都産業大学
総合生命科学部教授
Former director of J.Stefan
Institute, Slovenia
木戸 博
徳島大学疾患酵素学研究センター
特任教授(名誉教授)
▼
▼
木南 英紀
順天堂大学学長
シンポジウム内容
「細菌感染症因子とホストタンパク質複合体の構造生物学
細菌感染症因子とホストタンパク質複合体の構造生物学:
勝沼信彦先生とご一緒した12年間の健康科学研究所での思い出
勝沼信彦先生とご一緒した12年間の健康科学研究所での思い出」
京都産業大学総合生命科学部 教授 津下
英明
「Lysosomal
Lysosomal cathepsins and their protein and synthetic inhibitors
inhibitorsー50
50 years of success
success」
Former director of J. Stefan Institute, Slovenia Vito
Turk
「リソソーム、
リソソーム、
リソソームプロテアーゼ群、
そしてオートファジー
そしてオートファジー」
順天堂大学 学長 木南
英紀
「インフルエンザ感染症の重症化とその予防と治療
インフルエンザ感染症の重症化とその予防と治療:
恩師と歩んだプロテアーゼの病態代謝研究」
恩師と歩んだプロテアーゼの病態代謝研究
徳島大学疾患酵素学研究センター 特任教授(名誉教授) 木戸
10
徳島大学 疾患酵素学研究センター
博
No.8 2015.1.1
2014 年 開催セミナー
「Visualizing the immune microenvironment by reporter mice」
生田宏一教授(京都大学ウイルス研究所生体防御研究分野)
「疾患創薬モデルとしての魚類」
中西照幸教授(日本大学生物資源科学部獣医学科)
「Hypoxia-induced carbonic anhydrase IX as an important component of tumor progression」
ユーライ コパチェク博士(スロバキア科学アカデミー・ウイルス研究所所長)
「小分子 RNA によるクロマチンダイナミクス」
齋藤都暁准教授(慶應義塾大学医学部)
「RNA プロセシング異常に起因する RNA 病の解明とその治療戦略」
片岡直行特定准教授(京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター)
「糖鎖修飾と筋ジストロフィー」
金川基講師(神戸大学大学院医学研究科)
「自然免疫の理解と制御法開発」
齊藤達哉准教授(大阪大学微生物病研究所)
11月17日 「多能性幹細胞を用いた、視床下部・下垂体の分化」
須賀英隆病院助教(名古屋大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科)
2014年 1月16日
8月21日
9月 9日
9月29日
9月29日
9月29日
9月29日
研究進展状況報告会
2014年 2月19日 ①「超高分解能質量分析のプロテオミクス・メタボロミクスへの応用」谷口寿章
②「I 型ムコ多糖症の原因遺伝子産物α -L- イズローゼの結晶構造解析」真板宣夫
3月20日 ①「D- アミノ酸代謝と細胞死制御の病態システム酵素学」福井清
②「Loss of Nucling promotes delayedmammarygland involution through 」Dang Van Huy
③「NF ーκB 制御分子としての Nucling 研究ー統合失調症とメタボリック症候群の関係についてー」坂井隆志
9月 9日 「プリオン研究の最新の進捗」坂口末廣、内山圭司、原英之
10月27日 ①「自己免疫疾患の病態解析モデル」松本満
②「異所性 Aire 発現による Aire の機能解析」西嶋仁
③「胸腺髄質上皮細胞による負の選択制御機構の解析」毛利安宏
④「Aire 依存的新規胸腺髄質上皮細胞サブセットの機能解析」森本純子
⑤「ジフテリアトキシン受容体ノックインマウスによる Aire 発現細胞消去の試み」河野弘
12月18日 ①「LC/MS を用いたメタボロミクス解析」谷口寿章
②「定量的プロテオミクスのための解析技術開発」谷口寿章、谷口貴子
③「高多孔性素材を利用した結晶構造解析の試み」真板宣夫
2014 年の出来事
2014年 5月29日
5月29日
5月29日
5月29日
5月29日
(新聞記事)
徳島新聞「インフル重症化原因解明」
(徳島大チーム治療薬開発進める)
四国新聞「インフル重症化酵素原因」
(徳島大チーム解明 新薬開発に道)
山陽新聞「インフル重症化原因解明」
(徳島大チーム 酵素増で抵抗力低下)
高知新聞「インフル酵素で重症化」
(徳島大が原因解明 抵抗力弱める)
日本海新聞「インフル重症化酵素原因と解明」
(徳島大 新薬開発に道)
活 動 状 況(2014 年度)
1)研究メンバー
教授
2)研究費 (千円)
6
技術補佐員
9
科学研究費
100,802
4
外国人研究者
1
受託研究費
102,820
10
派遣社員
6
奨学寄附金
31,155
学術研究員
2
大学院生
共同研究
17,781
特別研究員
2
修士
2
技術員
1
博士
11
教務補佐員
3
学部生
15
准教授
助教
合 計
72
学長裁量経費
5,700
3)学会社会活動
発表論文
(IF)
12 報
60.516
徳島大学 疾患酵素学研究センター
11
2015.1.1 No.8
お知らせ/ 2014 年度開催セミナー
第5回 酵素学研究拠点
ウインタースクール開催
昨年度に引き続き、
本年度も平成 27 年 1 月に酵素学ウインター
スクールが開講されます。講習会の中で催される「酵素学講演会」
、南川 典昭(徳
では、中西 義信(金沢大学/日本生化学会会長)
島大学)、
目加田 英輔(大阪大学)の各先生にご講演いただきます。
引き続き 4 日間に渡って行われます「酵素学実習」では、リコ
ンビナント酵素タンパク質の作製から精製および酵素化学的な活
性測定法・酵素タンパク質の結晶化に関して充実した実習が行わ
れます。
2015年
2 10
14:00∼17:50(受付 13:00より)
坂口 末廣(徳島大学疾患酵素学研究センター神経変性疾患研究部門 教授)
「蛋白質感染粒子「プリオン」と細胞内小胞輸送」
二川 健(徳島大学医学部医科栄養学科生体栄養学分野 教授)
「筋萎縮と蛋白質分解」
14:00∼14:20
14:25∼15:55
参加無料
開会挨拶 徳島大学長 香川 征
坂口 末廣〔徳島大学疾患酵素学研究センター神経変性疾患研究部門 教授〕
「蛋白質感染粒子「プリオン」と細胞内小胞輸送」
二川 健〔徳島大学医学部医科栄養学科生体栄養学分野 教授〕
「筋萎縮と蛋白質分解」
15:55∼16:10
16:10∼17:40
休 憩
《文化功労者顕彰特別記念講演》
田中 啓二〔公益財団法人 東京都医学総合研究所 所長〕
「タンパク質分解
∼辺境領域から生命科学の中枢へ∼」
17:40∼17:50
文化功労者顕彰特別記念講演
閉会挨拶
吉野
川大
橋
11
さこ
192
城山
徳島中央公園
▼ お問い合わせ先
蔵本キャンパス
眉山公園
ェイ
プウ
ロー
市役所
県庁
あわ
とみだ
至小松島
55
川
町
新
万代町
眉山
クウェイ
眉山パー
徳島市
末広大橋
〒770-8503 徳島市蔵本町 3 丁目 18-15
TEL:088-633-7439 / 7429
FAX:088-633-7440
http://www.tokushima-u.ac.jp/ier/
徳島城跡
幸町
坂口 末廣/福井 清
寺島本町
とくしま
徳島町
佐古
至池田
蔵本町
くらもと
北佐古
藤井節郎記念
医科学センター
線
高徳
JR
徳島大学 藤井節郎
記念医科学センター
JR徳島駅より市バス、徳島バス15分
中央病院 大学病院前 下車
至鳴門・高松・神戸
至高松・鳴門
▼ アクセス
田中 啓二(公益財団法人 東京都医学総合研究所 所長)
「タンパク質分解∼辺境領域から生命科学の中枢へ∼」
会場
藤井節郎記念ホール
〒770-8503 徳島市蔵本町3ー18ー15
徳島大学藤井節郎記念医科学センター
8回
共同利用・共同研究
田中啓二先生
文化功労者顕彰
記念講演会
TUE
ところ 藤井節郎記念ホール
第
医学部医科栄養学科
タンパク質代謝・分解系の酵素学
と き 平成 27 年 2 月 10 日㈫ 14:00 ∼(受付 13:00 より)
疾患酵素学研究センター
﹁酵素学研究拠点﹂シンポジウム
第8回 酵素学研究拠点
シンポジウム開催
徳島大学
至小松島・阿南
共同利用・共同研究
「酵素学研究拠点」
共同研究募集
■ 申請書提出期限
平成 27 年 1 月 30 日(金)17 時必着
■ 申請方法
①申請書等の各様式は、当研究センターのホームページからダウ
ンロードできます。
②当研究センターの各研究部門・所属教員・研究の概要等は当研
ホームページ
▼
究センターのホームページから閲覧できます。
http://www.tokushima-u.ac.jp/ier/
徳島大学 疾患酵素学研究センター ニュースレター No.8
発行日/ 2015 年 1 月 1 日
発 行/徳島大学 疾患酵素学研究センター
12
徳島大学 疾患酵素学研究センター
URL http://www.ier.tokushima-u.ac.jp
〒 770-8503 徳島市蔵本町 3-18-15
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