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都市ゴミ(平田氏)
都市ゴミからの次世代航空機燃料の供給 に向けたロードマップ 国立研究開発法人産業技術総合研究所 材料・化学領域 研究戦略部 上席イノベーションコーディネーター 平田 悟史 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 次世代航空機燃料に求める条件 CO2排出量の低減ができること 化石資源由来は対象外 バイオマス資源を原料とする 国内で製造 バイオマス資源の輸入はコストアップ要因 (海外で燃料製造し輸入する方がよい) 国内で利用可能なバイオマス資源は限られる 現行のケロシンと同程度の価格 安価な原料の使用が不可欠 2020年に商業飛行ができる 製造のための基本技術が確立していること (新たな研究開発では間に合わない可能性) 第1分科会では、都市ゴミから次世代航空機燃料の製造について、技術検討を行い ロードマップを作成した。 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 国内バイオマスの賦存量と利用可能量 出典:第4回バイオマス活用推進会議資料(2012) 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 バイオマス資源の賦存量・利用可能量と適合性 賦存量 (万t-dry/年) 利用可能量 (万t-dry/年) 適合性 備考 林地残材 800 800 △ 収集・運搬が困難、価 格が高い 炭素量を重量の50% と想定 農作物非可食部 996 698 △ 収集・運搬が困難、肥 料用との競合 炭素量を重量の50% と想定 建設発生木材 362 36 △ すでに90%が使われ ている 炭素量を重量の50% と想定 製材工場等残材 340 18 △ すでに95%が使われ ている 炭素量を重量の50% と想定 都市ゴミ 3,120 1) ○ 全量が収集されている 水分が重量の40%と 想定 1) 一般廃棄物発生量 5,200万t/年 出典:理科年表 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 第1分科会の活動の概要 メンバー 会合とおもな議題 伊藤忠エネクス株式会社 伊藤忠商事株式会社 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 オリックス資源循環株式会社 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 JFEエンジニアリング株式会社 シェルジャパン株式会社 石油資源開発株式会社 東京大学 東洋エンジニアリング株式会社 日本アジア投資株式会社 日本航空株式会社 野村リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社 日立造船株式会社 三井造船株式会社 株式会社三井物産戦略研究所 経済産業省 国土交通省 環境省 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 IATA JAPAN(国際航空運送協会) 計21組織 2014年7月4日 第1回分科会 ・ガス化技術の現状整理 2014年7月25日 第2回分科会 ・LanzaTech社技術 ・Green Sky Londonプロジェクト 2014年8月22日 第3回分科会(東広島) ・ガス化・FT合成ベンチスケール設備見学 ・検討項目の整理 2014年9月5日 第4回分科会 ・JFEエンジニアリングのガス化改質炉 ・実証設備/実用化設備のイメージ検討 2014年10月3日 第5回分科会 ・採算性検討 2014年10月17日 第6回分科会 ・アルコール発酵+ATJプロセスの検討 2014年11月27日 第7回分科会(千葉) ・JFEエンジニアリングのガス化改質炉見学 2015年1月16日 第8回分科会 ・燃料の規格、品質検査について 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 都市ゴミからの航空機燃料製造プロセス 第1分科会においては次の3つのプロセスを対象に検討を行った ガス化 ガス精製 合成ガス JFEエンジニアリングの保有技術 (ガス化改質施設) 都市ゴミ 合成ガス発酵 FT合成 アップグレー ディング 東洋エンジニアリングのライセンス技術 (Velsysマイクロリアクター) エタノール LanzaTechの保有技術 エタノール発酵 日立造船の保有技術 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 ATJ 航空機燃料 都市ゴミとは 台所ごみ ○生ごみ ○貝殻 千葉市の例 ○アルミホイル ○廃油(固めるか、紙・布に染み込ませて) 硬質プラスチック類のうち、カセットテープ、ビデオテープ 軟質プラスチック類 ○洗剤ボトル ○発泡スチロール ○食用油のボトル ○ソース・マヨネーズ・卵パックなどの容器 ○ペットボトルのラベル、キャップ 皮革類、ゴム類 ○カバン ○靴 ○ボール(空気を抜いてから) ○ゴムホース・ビニールホース 木の枝、刈り草・葉 再生利用できない紙類・布類 ○シュレッダーした紙 ○紙くず 布類 ○わたや羽毛の入った衣類 ○おむつ(汚物を取り除いてから) ○汚れのついた紙 ○布団・カーペット・じゅうたん類で指定袋に入るもの その他 ○在宅医療ごみ ○使い捨てカイロ 可燃ごみ 生ごみ 可燃分 53.88% 20.50% 灰分 6.64% 3.00% 水分 39.48% 76.50% 低位発熱量 (kJ/kg) 10,726 2,175 ○乾燥剤 ○保冷剤 ○ペット類のフン、猫砂 千葉市ホームページ 大都市部における生ごみバイオガス化の有効性の検討 楊翠芬(産総研)ほか、第3回日本LCA学会研究発表会講演要旨集(2008 年2月) 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 都市ゴミの熱量 プラスチックの埋立処理を していないケース 第18回廃棄物学会研究発表会 小集会発表資料 地球温暖化防止における 都市ごみサーマルリサイクルの役割の 現状と可能性 2007 年 11 月 廃棄物学会学術研究委員会 廃棄物焼却研究部会 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 都市ゴミのガス化技術 シャフト炉式ガス化溶融炉 コークスベッド式直接溶融炉 新日鉄住金エンジニアリング 上部流動式高温ガス化溶融炉 JFEエンジニアリング コークス不使用・酸素吹き込み式溶融炉 新日鉄住金エンジニアリング プラズマ式直接溶融炉 日立金属 多管付円筒回転炉-旋回溶融炉 日立造船、タクマ、シーメンス 外熱円筒回転炉-表面溶融炉 IHI、クボタ セラミック熱交-竪型旋回式 荏原 流動床-竪型旋回式 神戸製鋼所 仕切流動床-竪型旋回式 三菱重工業 流動床-横型旋回式 川崎重工業 傾斜旋回溶融炉 バブコック日立 外熱式多筒型ロータリーキルン 中外炉工業 間接加熱キルン式 三菱重工業 ガス化改質施設(熱分解・純酸素吹込) JFEエンジニアリング 横型円筒旋回炉 流動床-旋回燃料溶融炉 ロータリーキルン その他 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 ガス化改質施設の構造 ②乾燥、熱分解 ⑤ガスの改質 ⑥ガスの急冷 ⑦ガス精製 ガス発電 脱硫 電力 廃棄物 精製合成ガス 硫黄 高温 反応炉 酸素 急 冷 ・ 酸 洗 浄 塩製造装置 再 利 用 水 沈殿槽 脱ガスチャンネル ピット プレス 酸素製造設備 金属水酸化物 酸素 均質化炉 ①廃棄物の圧縮 ③ガス化、溶融 ④スラグの均質化 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 スラグ メタル ⑧水処理 工業塩 ガス化改質施設 エネルギー収支 稼働実績 規模 酸素供給方法 竣工 A 100t/d×3 PSA 2005.3 B 80t/d×2 深冷分離 2005.3 C 185t/d×3 深冷分離 2005.3 D 225t/d×2 深冷分離 2006.9 E 150t/d×2 深冷分離 1999.8 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 Fischer-Tropsch反応 触媒反応 液体炭化水素 CO (FT反応) H2 CO H2O CnH2n+2 200~300℃ 1~5MPa 金属触媒 活性金属 高い Ru Co Ni Fe 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 低い 価格 + 触媒活性 H2 炭素(C)の数により、 ナフサ(Cが5~10) 灯油(Cが10~14) 軽油(Cが14~20) ワックス(Cが20以上) 実験設備と生成物の例 軽油、灯油 ワックスの混合物 ガス化炉 ガス精製・成分調整工程 ガス化技術は 脱塵、脱タール、脱硫 原料と規模で決まる 脱CO2、H2/CO比調整 温度700~1,000℃ ナフサ FT合成反応 圧力2~3MPa 温度200~300℃ 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 水 VELOCYSのFT合成反応技術 リアクター : マイクロチャンネルリアクター FT合成反応は発熱反応 反応時に除熱が必要 熱伝導がよい 出典:Velocys社ホームページ 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 VELOCYSのFT合成反応技術 リアクター : マイクロチャンネルリアクター ユニット化されている。 ユニット数を増やすことでスケールアップする スケールアップが容易 スケールアップのリスクが少ない 500 ~ 3,000 bpd の中小型FTに適する (=160 ~ 960 kL/d) (他の方式の場合、10,000 bpd以上) コンパクト 工期が短い 18~24か月 (他の方式の場合、5年) 出典:Velocys社ホームページ 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 VELCYS社の実績 VELCYS社のFT合成反応技術 納入実績 納入先(計画中を含む) 場所 規模(bpd) プロセス Calumet Specialty Karns City Products Partners L.P. ペンシルバニア 1,000 GTL 2,500 都市ごみ→合成ガ ス→ジェット燃料 GreenSky London Project (Solena) ロンドン 英国 JV with Entered GTL joint venture with Waste Management, NRG Energy and Ventech Oklahoma City オクラホマ Ashtabula GTL Ashtabula オハイオ 2,800 Red Rock Biofuels オレゴン 1,100 時期 2012計画 埋立ガス+天然ガス 2014計画 →液体炭化水素 パイロット は運転中 2014計画 林地残材→ガス化 →液体炭化水素 2014計画 出典:Velocys社ホームページ 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 Green Sky London Project ロンドンの都市ごみ 57.5万t-dry/年 (2,500t-wet/日相当)1) バイオジェット燃料製造プラント ロンドンシティ空港で給油 生産量 1,043 BPD (166 kL/日)2) ・リサイクルできるものを除去した後に 埋立していたごみが対象 ・複数のごみ処理業者が搬入 ・ナフサ 630 BPD (=100 kl/日) と 電力20MWも併産 ・2015年着工、2017年運転開始予定 ・ガス化技術:Solena Fuels ・FT合成技術:Velocys ・GE, Honeywell, FLUOR, Barclay, British Airways, 伊藤忠が参加 ・総事業費 5億ドル ・リスク要因 在来燃料価格の下落 ガス精製技術 ・Jet A-1として給油車から給油 ・在来燃料との混合は空港で行う ・同空港のBAの必要量の2% ・BAが在来燃料と同価格で11年間 全量買取 1) 水分量を40%と想定、2) 1バレル=159L 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 ガス化+FT合成プロセスの概算例 原料(ゴミ) 低位発熱量 10,000kJ/kg = 2,390 kcal/kg ガス化炉 投入量 1,000 t/d 投入エネルギー量 1×1013J/d = 0.278☓107kWh/d = 115,833 kW 補助エネルギー量(仮) 効率 46.6% 合成ガスエネルギー量 液体燃料製造工程 56,330 kW ジェット燃料留分収率 ジェット燃料 発電工程 5,000 kW 16,900kW = 146×1010 J /d 18.4 MJ / L 39,750 L /d = 250 BPD オフガスをガスエンジンで発電 発電量 30% 所内動力の 一部を賄う 30%× ガスエンジン発電効率 35% 56,330 kW × 0.3 × 0.35 = 5,915 kW 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 都市ゴミからの航空機燃料製造プロセス 第1分科会においては次の3つのプロセスを対象に検討を行った ガス化 ガス精製 合成ガス JFEエンジニアリングの保有技術 (ガス化改質施設) 都市ゴミ 合成ガス発酵 FT合成 アップグレー ディング 東洋エンジニアリングのライセンス技術 (Velsysマイクロリアクター) エタノール LanzaTechの保有技術 エタノール発酵 日立造船の保有技術 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 ATJ 航空機燃料 都市ゴミからの航空機燃料製造プロセスの比較 ガス化+FT合成+ 水素化分解 ガス化+嫌気性発 酵+化学反応 (ATJ) 糖化+アルコール発酵+ 化学反応(ATJ) 国産技術の有無 ガス化 :あり FT合成 :あり 水素化分解 :あり ガス化 :あり 嫌気性発酵 :なし 化学反応 :なし 糖化 :あり アルコール発酵 :あり 化学反応 :なし 技術の成熟度 ガス化 :完成 嫌気性発酵 :完成 (実証中) 化学反応 :不明 糖化 :あり アルコール発酵 :あり 化学反応 :不明 ガス化 :完成 FT合成 :完成 水素化分解 :完成 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 バイオジェット燃料導入に向けたロードマップ B737型機 1フライト(約1時間) で使用する燃料は、4,000L 2015 実証 2018 2025 2020 2030~ 実証プラント建設 バイオ燃料製造(都市ゴミ→合成ガス→FT) 500kL/年(≒10 BPD)) (ジェット燃料 : 軽油 = 5:5) 国内線フライトで使用 10%混合で使用 B737型フライト約600便/年 実用化 商用プラント建設(1,000 BPD ← 都市ゴミ2,000t/d) 国内大都市部、海外主要空港周辺への立地を想定 商用プラント建設(300 BPD ← 都市ゴミ600t/d) 国内地方空港への展開(ただし採算性に課題) 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 実用化イメージ 合成ガスのエネルギーの 60%をジェット燃料と軽油に変換 排出原単位を400kg/人・年 とすると 人口183万人分に相当 ジェット燃料 +軽油 160kL/日 100円/L近くへ 分解精製・蒸留 ゴミが持つエネルギーの 40%を合成ガスに変換 FT合成反応 ガス精製・成分調整 合成ガスのエネルギーの 35%を電力に変換 発電 19,000kW ガス化 非化石資源由来の航空機燃料のニーズはある。 原料 2,000t/日 -?円/t 安価でなければ実用化は困難。 日本国内の資源から製造するのであれば、 都市ゴミからの製造が最有力。 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 ビジネスモデル ゴミ焼却工場 一般廃棄物 処分場 Drop-in-fuelを 直接供給 産業廃棄物 未利用バイオマス資源 BTLプラント (空港隣接地) 廃棄物収集 ガス化・ガス精製技術 FT合成・水素化分解・分留技術 紙、製材工場等残材、建設発生木材 農作物非食用部、林地残材 のうち 低コストで収集できるもの プラントエンジニアリング技術 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日 燃料ユーザー ご清聴ありがとうございました。 次世代航空機燃料シンポジウム 2015年7月8日