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命のバトン(PDF:1170KB)

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命のバトン(PDF:1170KB)
第353号(1)
平成27年8月(葉月)発行
山 梨 県 警 察 本 部
生活安全部 少年・女性安全対策課
甲府市丸の内1-6-1
055-221-0110 内 線3070
少 年 対 策 官 岡 林 健 児
夏を代表する花といえば向日葵。猛暑の中,太陽に向かって真っ直ぐに花を咲かせる向日葵。
向日葵を見ていると,生命のエネルギーが伝わってくるようだ…
70年前の太平洋戦争末期,多くの少年兵が,大人達と同じように戦地に送られた。太平洋戦争
の最前線で戦ったのは,日本軍も連合軍も,若者たちが中心だった。
今や山梨県内の高校生の修学旅行は,そのほとんどが沖縄に訪れる。70年前の沖縄では,激し
い地上戦が行われた。14歳から17歳の男子生徒は「鉄血勤皇隊」,女子生徒は「ひめゆり学徒隊」
として,上陸したアメリカ軍と戦い,その多くは尊い命を失った。沖縄だけではない。根室から
1200㎞離れた千島列島最北端の地,占守島においても,ソ連軍との地上戦によって,命を落とし
た多くの少年兵がいた。
あれから70年,今や日本は世界屈指の長寿国となった。にもかかわらず,日本の自殺率の高さ
も世界上位であることはあまり知られていない。中でも,15歳から19歳の世代では,死因のトッ
プが「自殺」であることには驚かされる。
1つの命のルーツを探る時,その命に関わる人達の数は,2人,4人,8人,16人と増えてい
く。自分の両親を1代前とし,仮に10代前までさかのぼるならば,その数は1024人,20代
前ならば,100万人を超える人達による「命のバトンリレー」が行われてきたことになる。
多くの戦禍を逃れ,天災を耐え抜き,病を乗り越え,受け継がれてきた「命のバトン」。1人の
命は,決して自分だけの命ではないことを心に刻み,平和の尊さをかみしめたい。
第 2次 世 界 大 戦 が は じ ま る と ナ チ ス ド イ ツ は , ヨ ー
ロッパ中からユダヤ人を強制収容所に送り込んだ。
ポーランドのアウシュビッツ,ドイツのダッハウ,
オーストリアのマウトハウゼンは有名だ。強制収容
所 で は ,労 働 者 と し て 使 え な い と 判 断 さ れ た 人 々 は ,
ガス室に送られた。
労働者には,昼と夜にパン1つと水のようなスー
プ の み が 与 え ら れ , 冬 場 に は 零 下 20度 の 場 所 で , 1日
12 時 間 の 労 働 が 課 せ ら れ た 。 夜 は ノ ミ だ ら け の 毛 布
をかぶり,枕も与えられなかった。労働者として生
き残った者も,過酷な重労働,極度の栄養失調,不
衛生な環境,蔓延する病気などで,次々と死んでい
っ た 。 1945年 の 戦 争 終 結 を 迎 え る ま で に , 犠 牲 と な
っ た ユ ダ ヤ 人 は 600万 人 と も 言 わ れ る 。
「夜と霧」の著者であるオーストリアの精神科医,
ヴィクトール・エミール・フランクルは,アウシュ
ビッツ強制収容所から生還した一人だ。
フ ラ ン ク ル は ,収 容 所 と い う 絶 望 的 な 環 境 の 中 で ,
希 望 を 失 わ な か っ た 人 達 の 姿 か ら ,「 生 き る 意 味 」 を
探 り 続 け た 。 人 間 と し て 一 番 恐 ろ し い こ と は ,「 精 神
的に自分を見捨てること」であり,生き残るための
唯 一 の 道 は ,「 生 き る 目 的 を 持 つ こ と 」 で あ っ た と フ
ランクルは記している。
自 殺 が 若 者 の 死 因 第 1位 を 占 め る 現 代 の 日 本 。悩 み ,
苦しみ,行き詰まる若者達を目の前にした時,心に
寄り添い,希望を語れる大人でありたい。
「大津波警報が発令されました。高台に避
難してください。」2011年3月11日午後2時46
分,宮城県南三陸町の防災対策庁舎2階にあ
る危機管理課で,職員の遠藤未希さん(当時
24歳)は,津波が迫る中,30分間,マイクを
握り続けた。津波は3階建ての防災対策庁舎
の屋上まで飲み込んだ。津波後,屋上で生存
が確認された人は10人,その中に遠藤さんは
いなかった。
あの日から4年,防災対策庁舎は,当時の
まま残されていた。
「何度も映像で見たけど,
目の前で見るのとは違う・・・」訪れた人達
は,防災対策庁舎に手を合わせながら呟いて
いた。3階建ての屋上まで飲み込み,鉄骨を
も軽々歪めてしまった大津波。その破壊力を
理解するために言葉はいらなかった。
「一人でも多くの命を助
けたいという一心で,呼び
掛けてくれていたんだろ
う。」と助かった人は語る。
同僚とともに職責を全う
し,自分の命と引き替えに
多くの人々の命をつないだ
遠藤さん,その声は,南三
陸町の人々の心に永遠に刻
まれるに違いない。
発行 番号 は昭 和6 1年初 号か らの 通算番 号で す。
http://www.pref.yamanashi.jp/police/p_syonen/shonenkoho.html
山梨県警察本部 生活安全部 少年・女性安全対策課
『少年』第353号(2)
平成27年8月発行
平成27年1月~6月までの県下非行少年等検挙
非行少年等補導状況 前年対比
・補導状況は,右の通りです。
対比 平成27年 平成26年
増 減
1~6月中 1~6月中 人 員 増減率
「 非 行少 年 」 は1 4 3 人で 昨 年同 期に 比べ 23 人減 区分
2,061 1,879
182
9.7
少しています。そのうち「刑法犯少年」(窃盗,暴行, 非行少年等総数
うち)女子
324
336
-12
-3.6
傷 害 な どの 罪 を 犯し た 少 年) は ,1 30 人で 昨年 同期
非 行 少 年 計
143
166
-23 -13.9
に比べ19人の減少となります。
うち)女子
12
24
-12 -50.0
また,「特別法 犯少年」(道路 交通法違 反やの ぞき,
刑法犯少年
130
149
-19 -12.8
刃 物 所 持な ど 刑 法以 外 の 罪を 犯 した 少年 )は 2人 で,
うち)女子
10
22
-12 -54.5
昨年同期と比べると9人減少しています。
犯罪少年
117
142
-25 -17.6
「不良行為少年」(飲酒,喫煙,深夜徘徊等)は,
うち)女子
9
18
-9 -50.0
触法少年
13
7
6 85.7
1918人で,昨年よりも205人増加しています。
うち)
女子
1
4
-3
-75.0
「刑法犯少年」130人の学校・職業別
中学生
44人 (33.8%)
高校生
38人 (29.2%)
有職少年
25人 (19.2%)
無職少年
15人 (11.5%)
その他学生
8人 ( 6.2%)
※中学生・高校生で63.0%を占めています。
「不良行為少年」1918人の学校・職業別
小学生
12人
中学生
517人
高校生
449人
大学生
50人
その他学生 20人
有職少年 321人
無職少年 549人
特別法犯少年
うち)女子
犯罪少年
うち)女子
触法少年
うち)女子
ぐ犯少年
うち)女子
不良行為少年
2
0
2
0
0
0
11
2
1,918
312
11
1
9
1
2
0
6
1
1,713
312
-9 -81.8
-1 -100.0
-7 -77.8
-1 -100.0
-2 -100.0
0
5 83.3
1 100.0
205 12.0
0
0.0
( 0.6%)
うち)女子
(27.0%)
(23.4%)
< 主な不良行為>
( 2.6%)
( 1.0%) 喫煙 381人 深夜徘徊 844人で「不良行為少年」
(16.7%) の63.9%を占めています。
(28.6%)
県内における子どもと女性に対する声かけ事案等は,平成27年上半期(1月~6月)で180件
発生しています。下は態様/対象別の発生件数のグラフです。
全国的にも,子どもの監禁や連れ去りが大きく報道されていますが,山梨県内でも,その一歩手前
の事案が発生しています。さらなる啓発とともに,社会総がかりでの見守りが必要です。
防 犯 対 策
1.なるべく夜間(夕方以降)の一人歩きはやめる。やむを
得ない場合には,遠回りでも幹線道路など,明るくて広い
道を通行する。
2.昼間でも人通りのある道,見通しのよい道を通行する。
3.人や車の多い通りから裏通りへ入る時は,後ろからつい
てくる人や車がいないか確認する。
4.人や車とすれ違う時には,相手が手を出しても,触れら
れない間隔を確保する。
5.携帯電話を使用しながら,またはイヤホーンで音楽を聴
きながらの歩行は,周囲への注意力が散漫になるので避け
る。特に夕方・夜間の女性の一人歩きの場合。
6.帰宅時間が遅くなる場合は,家族に迎えに来てもらうよ
うにする。
発行 番号 は昭 和6 1年初 号か らの 通算番 号で す。
http://www.pref.yamanashi.jp/police/p_syonen/shonenkoho.html
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