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6 胃液の作用と分泌機序を説明できる。
文部科学省の「コア・カリキュラム」のテーマをそのまま目次にしました。 26 到達目標 6 胃液の作用と分泌機序を説明できる。 図 7 摂食時における胃液分泌調節(脳相、胃相、腸相の 3 つがある) 大脳 胃 嗅覚 味覚 脳 相 脳幹 十二指腸 血管 迷 走 神 経 � 脳相では食物の嗅覚や味覚刺激あるいは条 件反射によって迷走神経が刺激されて胃液 (塩酸とペプシノーゲン)の分泌が促進する。 壁 壁細胞…塩酸を分泌 G 細胞…ガストリンを分泌。 胃幽門前庭部や 十二指腸に分布。 G ガストリン � 迷走神経からの指令は壁細胞と G 細胞に伝 えられ、G 細胞からはガストリンが分泌され て壁細胞からの塩酸分泌を促す。 S S 細胞…セクレチンを分泌。 十二指腸に分布。 胃 相 � 食物が胃に入るとその物理的刺激が壁細胞 を、化学的刺激が G 細胞を刺激し、胃液の 分泌が亢進する。 食 物 � このときの塩酸の分泌量は基礎分泌量(約 2mEq / hr)の 10∼20 倍に増加する。 壁 G S 的を射た Point 解説とユニークで印象的 なイラストの組合せにより、難しい知識 の習得が容易になっています。 腸 相 壁 � 食物が十二指腸に入ると腸相が働く。 � 十二指腸壁の S 細胞からはセクレチンが分泌 され、セクレチンはガストリンの分泌と塩酸 の分泌を抑制する。 食 物 G S セクレチン 27 ❏ 胃体部の壁細胞からは胃酸が分泌され、胃内の pH は約 1 . 5 の強酸性に保たれ、食物により摂取され た微生物に対し殺菌の役割を担っている。 ❏ 胃液の分泌量は約 2 L /日で、胃酸(塩酸)のほか、ペプシノーゲン、粘液、内因子などが含まれている。 ❏ 胃酸の分泌は神経系・内分泌系の調節を受けており、脳相(刺激)、胃相(刺激)、腸相(抑制)の 3 相 に分けられる。 ❏ 固有胃腺の細胞から分泌されるものとして以下がある。 主細胞 ──── ペプシノーゲン 壁細胞 ──── 塩酸、内因子(ビタミン B 12 の吸収に必要) 副細胞 ──── 粘液(ムチン、胃粘膜を保護する) ❏ 胃液分泌促進因子:アセチルコリン、ヒスタミン、ガストリンなど。 ❏ 胃酸分泌抑制因子:セクレチン、GIP、コレシストキニン、ソマトスタチンなど。 質の高いオリジナル新作問題を多数収録。 必要な知識を最小限に絞り込んだ解説です。 医師国試の基礎知識の整理にも最適です。 □□ 24 ❏ 解法ガイド 胃酸分泌を亢進するのはどれか。 A セクレチン B ガストリン C ソマトスタチン D 迷走神経腹腔枝刺激 E 大内臓神経刺激 CD-ROM に収録した問題は、問題番号のすぐ下 に CD マークを入れてあります。 CD-ROM には 180 問を収録しました。 胃液の分泌は迷走神経と消化管ホルモンによって調節される。神経性には迷走神経 の興奮によって胃液分泌が亢進し、幽門部 G 細胞からのガストリン分泌により胃液分 泌が亢進する。胃液分泌の抑制は、十二指腸壁の S 細胞から分泌されるセクレチンのほ か、GIP、コレシストキニン、ソマトスタチンによってもなされる。 ❏ 選択肢考察 A セクレチンは十二指腸壁の S 細胞から分泌され、ガストリン分泌を抑制し、その B ガストリンは幽門洞の G 細胞から分泌されるペプチドホルモンで、胃酸分泌を 結果、胃酸分泌を抑制する。(×) 亢進させる。(○) C ソマトスタチンはガストリン分泌を抑制し胃酸分泌を低下させる。(×) D 迷走神経腹腔枝ではなく、胃枝が刺激されれば、胃酸分泌は亢進する。(×) E 大内臓神経は第 5 ∼ 9 胸髄由来の交感神経なので、その刺激で胃液分泌は低下す る。(×) 解答:B 1 構造と機能 Point