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安洞院短信
number:077 お知 らせ お知 らせ 災害概況の確認:臨時役員会が開催される 安洞院短信 震災関連のお知らせばかりが続いておりますが、去 る5月21日、被害概況及び復旧作業の進捗状況の確 認を目的として臨時役員会が開催されました。 右の記事の通り、地盤沈下部分と放射線量対策を除 いてほぼ全ての復旧作業が完了しております。幸いに して建物部分の被害は無かった為、復旧作業に関する 費用につきましては、護持会予算・法人予算・しのぶ 霊園の会計間の科目の流用により補填し、檀信徒の皆 様からの寄付は頂かない運びとなりましたので、ここ にご報告申し上げます。 antouin-tanshin ▲元通りに戻った位牌堂を確認する役員の 皆さま。各段に落下防止のピアノ線が張り 巡らされ、地震対策も施されました。 災害後の復旧作業進捗状況について ◆復旧作業の進捗状況 赤字の (済) は新たに完了した部分です。 (霊園区画含む境内の構築物、建物および什器備品など) ・境内六地蔵尊のうち一体(済) ・事務所前十三層塔の頭部(済) ・霊園内の石塔の軽微なずれ213本(済) ・石塔の倒壊…各自にお願いしております ・ペット供養塔土台部分(済) ・位牌堂の位牌損壊62本(済) ・霊園内駐車場の地割れ(済)※霊園地盤沈下は検討中 ・建物周辺の表土除去…(部分済)※線量の推移確認中 ▲ペット供養塔周辺の地割れ跡の確認。薬 師霊園の駐車場も同様に復旧作業が完了い たしました。 ▲コンクリートで補修し、雨水を地下へ。 おすすめ recomend 仏 教書 books 第 17 回 『般若心経入門』 著 / 松原泰道 祥伝社 2003 年 600 円 それぞれの解釈で、もっとも多 人 くの解説書が出されているのが 『般若心経』です。しかし、中には 極端な解釈や、独自の意訳も見られ ますが、まずは本書のような正統派 のものを一読されることをお勧めします。何度も読み 返し、その時の状況や年齢に応じて感じるものがあり ます。改めて今、頁をめくりたい一冊です。 四季おりおりの「お寺のいま」web にて更新中です。 安 洞 院 〒960-8202 福島市山口字寺前5番地 TEL 024-534-0939 FAX 024-533-6785 http://antouin.com/ 2011.6 http://mobile.antouin.com/ [email protected] 放射線量の低下を目的として排水溝設備の整理など 行っておりますが、周辺の空間線量も下がり一定の効 果も認められています。念のため、境内の側溝、雨ど い周辺、草木が生い茂る場所等に、特に小さなお子様 は出来るだけ近づかないようにしてください。 お知 らせ 京 の 繁 華 街 を 久 し ぶ り に 歩 く と、 節電により明かりを落とした光景 に、不思議な感覚になります。明るさは 文明の象徴として、夜の闇に抗うように 都市の空を照らし続けてきました。 しかし明るさによって隠されていたも のが再び見えてきたのも事実。薄暗い都 心の闇の中にぽっかりと浮かぶ、ほのか に灯るコンビニの店内。電力不足を個々 人や企業の努力で何とか乗り切ろうとい う、ひとつの大きな繋がりが闇を切り開 いていく光明と重なります。 東京より北へ300キロ。ここ福島市 にも、年に一度、夏の風物詩であるホタ ル が 飛 び 交 う 季 節 を 間 も な く 迎 え ま す。 手のひらしか照らすことのできない小さ な命に大きな祈りを託して、福島の夏の 光に私は光明を重ねることとします。 東 ▲入替後は地表線量が 3.54μSv/h→0.48 に減。 参道にひまわりを植えました。 ▼しのぶ会館南側の土手にひ まわりの種を植えました。今 年のお盆の頃には見ごろを迎 える予定です。どうぞ見守っ てください。 ←この辺り 編 集後記 「マスクを付けて墓参をするのは失礼なんでしょうか?」との質 問を頂きました。特に風が強い日など、ご不安な方はご自由に 着用してください。健康な心身あってこそのご供養です。お忘 れの方はしのぶ会館入口のマスクをご自由にお使い下さい。≪副 今月の d h a rm a 話 法 talk 『犠牲なき救済を』 6月5日放送のNHKの『ETV特集』に て、宗教学者の山折哲雄氏が復興の課題につ いて比較宗教の視点から興味深い指摘をして いました。 私たち日本人が近代文明を構築して今日に 至るまで、いかに明治以降の西洋化が影響し ているかということを、旧約聖書の創世記に ある『ノアの方舟』から語り始めます。 ~神はアダムとイブを創り、やがてその子 孫が大地に溢れるまで増え、同時に悪も増加 していく様子に後悔した。そこで大洪水を起 こし、この地上から悪人どもをすべて消し去 ろうとするが、信心深いノアとその家族だけ は助けてやろうという神の慈悲により、ノア は周囲の嘲笑に耳を貸すことなく巨大な方舟 を作り始めた。やがて大洪水が起きると、ど こからともなく集まってきた動物たちとノア の家族だけが方舟に乗って生き残った~ この伝説は「救済」と「犠牲」の関係が表 裏一体となっているものであり、まさしく高 度成長期から現代社会に至るまでの私たちの 在り方を示唆しているという指摘です。 それに対し、山折氏が仏教から引用したの は、法華経の中でも有名な説話である『三車 火宅の喩え』。そこに本来日本人が持ち合わ せていた「救済」の姿を重ねています。 ~火が出た長者の屋敷の中に、たくさんの子 供たちが残された。家が燃えているのに、子 供たちは遊びに夢中で気づかないばかりか、 呼びかけにも応じない。そこで長者は「外に 出てくれば、羊の車、鹿の車、牛の車、3つ の素晴らしいおもちゃがある」と声をかけ る。すると子供たちは我先にと外に出てき て、金銀銅で飾られた立派な大白牛車に乗せ られ、安全な場所に避難することができた~ ここでいう子供たちは煩悩具足の私たち、 燃え盛る家はこの世界。三種類の車は様々な 修行の方法(声聞・縁覚・菩薩)で、金銀銅 の車は究極の救いである大乗の仏の教え。 どんな方法や方便をもっても、一人残らず すべてを救うという「犠牲」なき「救済」の 思想がこの説話の中にあり、原発問題をはじ めとした今回の震災後の復興について、ここ にひとつの光明が見えるのではないかと山折 氏は論じています。 仮設住宅の準備が追い付かず、職業や収入 という未来への不安、子供たちを取り巻く厳 しい環境、それらを時に自己責任論で厳しく 切り捨てる風潮も見えるようになってきまし たが、「犠牲はやむを得ない」という思想で は、震災前の日本と何も変わることは無いの です。 震災から間もなく三か月、被害者であるは ずの日本は世界の中では加害者に。国内での 被災者に対する同情も、時間と共に徐々に風 化し始める時期を迎えているのかもしれませ ん。そのような中にあっても、決して犠牲を 認めることなく、救済の眼差しを私たちが持 ち続けることができるのかどうか、その分岐 点に今わたしたちは立たされています。 たとえ長い道のりであっても、あの日に踏 み出した確かな一歩をいつまでも忘れずに、 過ごして参りたいものです。 住 職 今月の event 行 i n事f o ■梅花講 練習会:6月17日(金)午後2時 安洞院 ■華道の会 6月9日(木)23(木)午後2時 文知摺 今月より再開します。見学もできます。 ■坐禅・写経・写仏・ヨーガ 6月開催日程すべて休み ▼お寺の業務等について ・境内の建物周辺の表土入替作業が一段落しまし たが、建物周辺の除染作業を進めております。 入替部分は数値の推移を確認中です。 ・護持会費納入期限は5月末まで。書類を紛失さ れた方は再発行しますのでご連絡ください。 ・しのぶ会館入口にマスクを準備しました。お忘 れの方は墓参の際にご自由にお使いください。 ご不明な点は お問い合わせ下さい。 安洞院短信 6 月号