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博物館だより No.86 2014.4

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博物館だより No.86 2014.4
岐阜市歴史博物館
№
ずい か えんおう ご
86
2014 . 4
か きょう
瑞花鴛鴦五花鏡 (平安時代12世紀)
岐阜市鷺山市場遺跡出土
直径11㎝ ・ 高1.1㎝
岐阜市教育委員会蔵
五弁の花びら形をした青銅製の鏡の背面です。縁の内側にも五花を表現し、内外
に吉兆を示す瑞花唐草文を散りばめています。中心のつまみの左右には夫婦の固い
おしどり
絆を象徴する一対の鴛鴦を鋳出しています。唐式鏡の流れをくむ和鏡で、瑞花瑞鳥
のモチーフは古代の東アジアに流行しました。鏡は、外面に蒔絵で小鳥と水辺の風
景を描く木製の容器に納められていました。12世紀末〜13世紀初頭に作られた陶器
が直上で見つかっており、ともに意図的に土の中に埋められました。和鏡を用いた
習俗や信仰に関わる営みが行われたと推定されます。
(企画展「ものが語る みの・ひだの歴史」に展示)
企画展
企画展
タイムスリップ!
大むかしのくらし
ものが語る
みの・ひだの歴史
2014.3.25
(火)
〜5.25
(日)
2014.6.13
(金)
〜7.21
(月・祝)
原始時代といわれる大昔の人々は、主に石や
動物の骨角などを使って生活道具を作り出して
いました。現代からみれば素朴な道具ですが、
そこからは人々の知恵や工夫、そして社会の変
化が読み取れます。本展では、遺跡から出土し
た実際に使われていた道具を展示し、当時のく
らしに関する 4 つの場面の体験コーナーで当時
のくらしを追体験していただきます。
発掘調査によって発見された遺物や遺構につ
四つの場面と体験コーナー
の興味、先人たちの生活文化への関心が心の奥
いての記事が、時折新聞紙上をにぎわすことが
あります。それは最古や新発見という言葉に象
徴されるような大きな成果がみられた時に顕著
です。私たちは普段、常に歴史を意識して生活
している訳ではないと思いますが、遺跡や遺物
のニュースがおもしろいのは、未知なるものへ
にあるからかも知れません。
(1)動物や魚をつかまえる
◆弓矢を使ってみよう ◆シカのつのや毛皮にふれてみよう
(2)木の実を食べる
◆石のさらを使ってみよう
◆土器のひみつをさぐろう
(3)米をつくる
◆田げたをはいてみよう
◆稲の穂をつみとろう
◆稲穂から米をとりだそう
◆まつりのかねをならそう
(4)古墳の世界
◆青銅の鏡をのぞいてみよう
◇エントランスホール
◆大むかしのファッションにちょうせん
埋蔵文化財の発掘調査の多くは、より良い新
たなまちづくりを目的とした各種開発に伴うも
のでした。私たちは、それにより既知の歴史を
もので再認識するとともに、先人たちの知られ
ざる足跡を新たに発見し、個性豊かな地域色を
見つけてきました。本展では、21世紀に入って
以降、県内で発掘された遺跡のいくつかの調査
成果を展示し、出土品と土に刻まれた痕跡が語
るふるさと岐阜の新たな歴史像を探ります。
遺跡の中で、その地域の歴史を理解するうえ
で特に重要なものや学術的価値が高い遺跡につ
いて、国や県、市町村は、史跡というカテゴリー
の文化財に指定し、保護(保存と活用)を図る
*関連行事も多数開催します。
ことができます。史跡の多くは、そのまちの遺
■講座「つくってためそう!石ぼうちょう」
( 5 月11日(日)午後 1 〜 4 時)
■観覧者対象ワークショップ
「ミニチュアの土器をつくろう」( 3 月29日(土)
、4
月12日(土)
・26日(土)、5 月 3 日(土・祝)
・17日(土)
各午前10時30分〜11時30分、
午後 1 時30分〜 2 時30分)
「石のアクセサリー(まがたま)をつくろう」( 3 月30
日(日)、 4 月20日(日)、 5 月 4 日(日・祝)
・ 5 日(月・
祝)・25日(日)各午前10時〜11時、午前11時〜正午)
■イベント「火おこしにちょうせん!」
( 4 月27日(日)、 5 月 6 日(火・休)・18日(日)
各午後 2 時〜 4 時)
※詳しい参加方法等は、ポスター、チラシ、ホームペー
ジをご覧ください。
円面硯(関市 国史跡 弥勒寺官衙遺跡群出土)
― 2 ―
特集展示(2F 総合展示内)
戦後復興と
人々の暮らし
2014.4.11
(金)
~5.18
(日)
昭和20年(1945) 8 月15日、日本をはじめア
ジア、太平洋を戦場とした15年にもわたる戦争
江馬氏城館跡(飛騨市 国史跡)
伝子を今に伝える固有の歴史資産であり、それ
をまちづくり、ひとづくりに活かすための詳細
調査や整備活用に向けた取り組みも21世紀に入
り盛んに行われるようになりました。本展は、
そうした史跡についての県内の取り組みもあわ
せて紹介し、将来に継承すべき歴史資産の姿を
考える機会とします。
が終わりました。岐阜の街も同年 7 月の空襲に
より一面焼け野原となり、甚大な被害を受けま
した。廃墟のなか連合軍の占領が開始され、平
和と民主主義による新しい日本の建設がはじま
ります。そして同26年には対日講和条約が調印
され、
翌年には独立を回復しました。一方、人々
は新しい価値観の受容に努めましたが、食糧を
はじめとする物資の不足は深刻であり、様々な
知恵と工夫によって戦後の復興を推進していっ
関連行事(予定)
たのです。
*ポスター・チラシ等でご確認ください。
本展では、白木晃敏氏より当館に寄贈された
■講座「わがまちの史跡を語る」
「昭和20年代コレクション」より、当時の教科
*受講料 無料(各日14:00 〜15:30)
書やジュラルミン等の代用品により作られた生
①「弥勒寺官衙遺跡群」
活 用 具、 占 領 下 の 日 本 で 生 産 さ れ 輸 出 し た
“Occupied Japan”のスタンプ入り製品、出
6 月15日(日)
講師 関市教育委員会 田中 弘志 さん
版活動の自由が認められたことにより創刊・復
②「江馬氏城館跡」
刊された様々な雑誌等を展示し、人々の暮らし
6 日29日(日)
より見た戦後復興の軌跡をご紹介いたします。
講師 飛騨市教育委員会 三好 清超 さん
③「岐阜城跡」
7 日20日(日)
講師 岐阜市教育委員会 高橋 方紀 さん
*申込みは前日までに電話で受付ます
(先着200名)
。
●展示説明会 観覧者は自由に参加できます。
6 月21日(土)
、 7 月21日(月・祝)
11:00 〜・14:00 〜 当館学芸員
●スタディーツアー 毎週日曜日
※小中学生対象(参加無料)
11:00 〜・13:00 〜 歴博ボランティア
『カムカム エヴリボディ』
(第 4 号:昭和21年・第 5 号:昭和22年)
― 3 ―
特集展示
博物館ニュース
瑞龍寺中興
館蔵品図録『提灯─資料選集─』を発刊
隠山禅師
2014.5.23
(金)
〜6.22
(日)
瑞龍寺は、岐阜市寺町に所在する臨済宗妙心
寺 派 の 寺 院 で す。 金 寶 山 と 号 し、 応 仁 元 年
(1467)、のちに妙心寺東海庵の祖となる悟渓宗
頓を開山に迎えて、美濃守護代斎藤妙椿が美濃
守護土岐成頼のために建立したと伝えられてい
ます。長い歴史の中で一時は荒廃も進みました
が、文化 3 年(1806)に住持となった隠山禅師
によって堂宇は修補され、諸伽藍は復興された
のです。
宝暦元年(1751)に生まれた隠山禅師は、興
徳寺(関市)の老山和尚のもとで得度しました。
法諱は惟琰。月船禅慧や、白隠慧鶴の法嗣であ
る峨山慈悼等のもとへ参禅するとともに、文化
11年に没するまで美濃地域を中心として教化に
つとめ、多くの法弟を育てました。この間、文
化 5 年には本山
妙 心 寺 に 住 し、
翌年には、同寺
で開山関山国師
の450年 忌 法 要
の導師をつとめ
ています。
本年は隠山禅
師が遷化して200
年にあたります。
これを記 念して
館蔵品図録は収蔵資料のなかからテーマを
決め、隔年で発刊している図録です。本年は
岐阜の伝統工芸品として知られる岐阜提灯を
中心にまとめた『提灯─資料選集─』を刊行
しました。
本書は第 1 章「様々な提灯」で、各種の提
灯を浮世絵や絵画資料、全国各地の提灯をも
とに紹介しています。第 2 章「岐阜提灯」では、
文献や絵画資料をもちいてその歴史を辿ると
ともに、摺込・張り・盛り上げなどに使う各
種製作用具や見本帖、製品などからその特徴
や美しさをわかりやすく解説しています。
当館においては平成 8 年発刊の展覧会図録
『ちょうちん大百科』
(完売)以来の提灯関係
図録であり、全国的にみても類書の少ないジャ
ンルとなりますので、是非お求めください。
体裁はオールカラー48ページ、収録資料は110
件を超えるボリュームで 1 冊1100円。当館売
店にて販売しています。
たぬきの糸車スペシャルデイズ
小学校 1 年生国語科の教科書に掲載されて
いる物語文「たぬきの糸車」に合わせて、
毎年、
企画展「ちょっと昔の道具たち」の会期中に、
学校団体向けの特別企画「たぬきの糸車スペ
シャルデイズ」を実施しています。糸車・綿
繰りの体験、原作版紙芝居の読み聞かせなど
多くの体験ができ、子どもたちを物語の世界
にいざないます。今年度は、31校2061人の学
校団体が利用し、大好評を得ました。
隠山禅師所縁の
品 々 を 通 じ て、
岐阜に広がった
禅文化の一端を
ご紹介します。
隠山禅師頂相 自賛 岐阜市 瑞龍寺蔵
糸車を使った糸つむぎ体験
展示期間 5 月23日〜26日・ 5 月30日〜 6 月22日
― 4 ―
加藤栄三・東一記念美術館
に咲く花が非常に好きなのです。足元に人にも
加藤栄三・東一
も、本当に美しいものがある。絵描きはそれを
知られないでひっそりと咲いている花の中に
見落としてはいけない。
」と語っています。
花・はな 展
2014.4.22
(火)
~7.27
(日)
花鳥風月とは天地自然の美しい景色を対象に
詩歌を詠み、絵を描くなどして自然界の風雅な
趣を楽しむことで、日本画で多く描かれるテー
マです。本展では特に花に焦点を絞って加藤栄
三・東一の作品を展示します。
加藤栄三が戦時中、海軍報道班員として南方
を訪れたとき、熱帯気候のせいでしょうかそこ
でみた花は不思議なことにひと月たってもふた
月たっても同じ状態で咲いていたといいます。
栄三は年中咲いている散らない花にはもはや
人間との間に何の心の対話もない。花は勝手に
咲いている。花にあきるといえば変ですが、日
本の花の素晴らしさを思い出したといいます。
花は色、大きさ、形などにおいて、無限と思
えるほどの変化をもっていますが、四季折々に
様々な変化
ていましたが、画家への思いを断ち切れず家出
同然で兄:栄三を頼り上京。25歳という年齢で
東京美術学校(現東京芸大)に入学しました。
受験の準備を何もしていなかった東一は、入学
試験を受けるまえの三ヶ月、がむしゃらに受験
のための勉強として静物を描きました。その時
もに、
「筆洗椿」
「古壺と白梅」などモチーフの
本の気候の
取り合わせの面白い東一の作品を展示します。
変化は、華
京都の先輩日本画家:入江波光の「花びらが
やかな花々
何枚あるかという精緻な観察もさることなが
を 咲 か せ、
ら、その花を咲かせているものをよく見ること
我々の目を
だ」という言葉に共感し、二人は「花の命を描
楽しませて
く」ということを共通テーマに、いずれ枯れゆ
くれます。
く花に永遠の命を吹き込むことができないもの
桜はその
かと精魂を込めて多くの作品を描きました。
代表的なも
本展では、収蔵作品の中から、本画(完成作
のでしょう
品)とともにパステル・墨・水彩などで描いた
が、一夜の
素描も展示します。
嵐で散って
一輪の花で心の窓が開かれてしまうことを
いく。花は
美しいとい
加藤東一は旧制中学校卒業後、家業を手伝っ
に描いた「水仙」
「みつば」など花の作品とと
をみせる日
散るゆえに
「春の息吹き」東一
「一華開発(いちげかいはつ)
」といいますが、
「水芭蕉」栄三
花を描いた作品を鑑賞することで心に潤いと豊
かさを感じていただければ幸いです。
うことをしみじみと感じたといいます。
栄三は、花を描くにあたって「私は四季の花
を見ながら、立派な花が日本にはありますが、
なぜか私は、ふっと人にも知られないあの道端
― 5 ―
し、群青の金華山に黄金色の篝火という、栄三
加藤栄三・東一記念美術館
独特の作風を完成させ、観る人々の心に感銘を
与える名作を描きました。
加藤栄三・東一の心に映った
それぞれの鵜飼
2014.7.29
(火)
~11.3
(月・祝)
毎年、鵜飼シーズンになると、加藤栄三・東
一が描いた鵜飼の作品を鑑賞することを楽しみ
に来館される方が多くなります。その来館者の
期待に応えて、鵜飼を描いた二人の作品を展示
する企画展を毎年開催しています。
どの画家にも人気図柄というか得意とするモ
チーフ(題材)があります。栄三・東一が生涯
に何点の作品を描いたかは判りませんが、鵜飼
をモチーフにした作品が一番多いということは
間違いないと思います。作品点数が多いという
ことは、それだけ栄三・東一の描いた鵜飼の作
品は絵画愛好家にも愛されたのでしょう。
栄三は、1956年以降、長良川の鵜飼を本格的
に取材し、日展出品作はじめ数多くの作品を描
きました。
「総がらみ」東一
東一も
「鵜飼は兄栄三も沢山描いていますが、
私は、私なりに子供の頃から間近に見てきたこ
とと、玉堂・前田青邨先生、そして兄貴が鵜飼
に取り組んでいますから、私も鵜飼というもの
を何かの形で継承したいな、といった気持ちで
描いてきました」と鵜飼の取材を引き継ぎまし
た。
東一は、鵜飼を描き始めた当初は、兄栄三の
篝火と似ることを嫌って、意図的に篝火を赤く
描いていました。しかし晩年になって「やはり
篝火は兄貴のあの色だよなあ」と、黄金色に描
くようになりました。
そのため、東一作品は篝火の色で制作年代を
特定することがある程度できます。
同じ鵜飼を描いても、栄三は柔らかい作風、
東一は力強い作風といった違いはありますが、
豪華絢爛絵巻が終了し、火が消えた、あのさみ
しさと華やかさの二つがドラマチックに描かれ
ている点では共通しています。
「籠の中の鵜」栄三
栄三は鵜飼を描くにあたって川合玉堂宅を訪
ね「長良川で育った自分もいつか鵜飼を描きた
いのですが」と尋ねたところ、玉堂は「まず鵜
から写生し鵜をしっかり頭の中に入れなさい。
それで鵜は鵜、川の流れは流れ、鵜匠は鵜匠で
絶えず写生していれば、いつか描けるようにな
芭蕉の句「おもしろうて やがて悲しき 鵜
舟かな」といった精神そのものです。
本展では本画(完成作品)とともに多くの素
描(スケッチ)も展示します。絵を描くもとと
なった素描と本画を比較しながら鑑賞すると、
より面白みが増すことと思います。
りますよ」と話したといいます。
それ以降、たびたび帰郷して鵜飼をスケッチ
― 6 ―
平 成 25 年 度 受 贈 資 料
平成25年度は、表記の皆様に貴重な資料をご寄贈賜りました。
厚くお礼申しあげます(50音順、敬称略)
。
芳 名
受贈資料
伊佐治邦夫
伊佐治光雄氏資料 一括
臼井 庄司
汽車土瓶 1 点
面手 勝仁
東芝 VH810洗濯機 1 点、検尺 1 点
奥田 宗春
団扇 2 点
加藤 文子
加藤栄三・東一作品 381点
加藤 好彦
ヘルシンキオリンピックベルトバックルなど 2 点
熊田 正雄
定紋幕 1 張
河島 数明
下茶屋町河島家文書 一括
後藤 頴典
スキー板・ストック 一式
後藤 恵子
自転車 1 台、ベーゴマ用台 一式
小森 卓二
コンコルディア E2000掃除機 1 点
渋谷 康充
炭俵・消炭壺など、近代生活用具 4 件
鈴木 博司
鈴木博司収集資料 一括
武田 康男
切子灯籠 1 台
田尻 浩
舟大工道具 一式
恒川 廣志
恒川家資料 一括
内藤 喜内
卒業記念写真帖(複製) 1 冊
楢崎 彰一
金銅製双龍文環頭太刀柄頭 1 点
三下須和子
三下米三郎資料 一括
宮﨑 直己
宮﨑家資料 一括
吉田 昌市
大内行灯 2 点
金銅製双龍文環頭太刀柄頭
■分館 加藤栄三・東一記念美術館の展示■
本誌 5 ・ 6 ページで紹介した以外の分館展覧会は以下の通りです。
3 月 4 日(火)~4 月20日(日) 美の追求に絵筆をにぎりしめて60年 高橋義一回顧展
4 月22日(火)~ 6 月 8 日(日)
30年特別記念 フォト花の会 岐阜展 花逍遥・四季折々を愛しむ心
6 月10日(火)~ 7 月27日(日)
スペインへのまなざし 高木博道 洋画展
■特集展示( 2 階 総合展示室内)■
2 階の総合展示室の一角に特集展示コーナーを設置し、 1 ~ 2 ヵ月ごとにテーマを設けて資料を公開し
ています。これからの日程は次のとおりです。
3 月 7 日(金)~4 月 6 日(日)
岐阜の大名─錯綜する江戸時代の領主
4 月11日(金)~ 5 月18日(日)
戦後復興と人々の暮らし
5 月23日(金)~ 6 月22日(日)
瑞龍寺中興 隠山禅師
■分室 柳津歴史民俗資料室の展示■
柳津歴史民俗資料室(岐阜市柳津町下佐波西 1 −15 もえぎの里 2 階)では、次の日程で展示を行いま
す。観覧は無料です。
4 月 1 日(火)~ 6 月 1 日(日)
南画家・高橋杏村
6 月 3 日(火)~ 8 月 3 日(日)
近代における児童教育
上記の日程は、都合により変更する場合もございます。ご了承ください。
― 7 ―
日本画「古い壺」
加藤東一(1916 ~1996)
1975年作
縦 606㎜×横 455㎜(P12号)
和紙、岩絵具、額装
加藤東一は岐阜市美殿町で漆器商を営む商家の第 9 子(11人兄弟)として生まれました。10歳年
上の兄栄三も著名な日本画家として日展を中心に活躍しましたが、東一にとって兄栄三は、父のよ
うな存在であり、また良き先輩として慕っていま
した。
栄三がやさしく柔らか味のある画風にたいし、
東一は実直で力強い画風のように感じます。しか
し二人は風景画・花鳥画どのモチーフを扱っても
「命の大切さ、命の表現」をいつも意識し大切に制
作にあたったことは共通しているように感じます。
1975年前後に、「古壺と梅」「古壺と実」
「壺と富
有柿」など、備前焼の壺と花や果物をモチーフに
多くの作品を描いています。この「古い壺」は東
一59歳の作品で、「古壺と花シリーズ」ともいえる
時代の作品です。
粒子のあらい岩絵具で備前焼の荒々しい地肌を
洋画風に表現した古壺と、暗いバックから白梅の
一枝がきわ立って鮮やかに浮き上がり円熟味を増
した重厚さを感じます。東一独特の魅力ある作品
となっています。
加藤栄三・東一「花・はな展」
( 4 月22日〜 7 月
27日)にて展示します。
利用の御案内
■ 開館時間 午前 9 時〜午後 5 時
(入館は午後 4 時30分まで)
■ 休 館 日 毎週月曜日と祝日の翌日
(月曜日が祝日の場合はその翌日)
年末年始(12月28日〜 1 月 3 日)
※特別展・企画展開催中は変更することがありますので、ご
注意ください。
■ 観 覧 料(団体は20名以上)
歴史博物館総合展示、加藤栄三・東一記念美術館
高校生以上 300円(団体240円)
小・中学生 150円(団体90円)
両館共通で観覧される場合
高校生以上 510円(団体410円)
小・中学生 250円(団体150円)
※平成26年 4 月 1 日から観覧料を改定しました。
◎次の方は無料でご入館いただけますので、手帳等をご提示
ください。
・岐阜市在住の70歳以上の方
・身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の
交付を受けている方、およびその介護の方 1 名様
・家庭の日(毎月第 3 日曜日)に入館する中学生以下の方
・家庭の日(毎月第 3 日曜日)に入館する中学生以下の方
に同伴する家族(高校生以上)の方(特別展を除きます。)
・岐阜市内の小・中学生の方(特別展は除きます。)
企画展は、総合展示料金でご覧いただけます。
特別展は、その都度料金を定めます。
■ 交通案内 JR岐阜駅・名鉄岐阜駅から岐阜バスにて長良方
面行きに乗り、「岐阜公園歴史博物館前」で下車、すぐ東に
歴史博物館があります。
岐阜公園内金華山ロープウェー乗り場すぐ隣に加藤栄三・
東一記念美術館があります。
博物館だより №86 2014. 4
編集・発行 岐阜市歴史博物館
〒500−8003 岐阜市大宮町2−18−1 ☎058(265)0010
(分館)加藤栄三・東一記念美術館
〒500−8003 岐阜市大宮町1−46 ☎058(264)6410
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