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1コマ・スライド

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1コマ・スライド
地理歴史科教育論
第5講 比較から見えてくる
地理歴史科カリキュラムの構造
【レポート課題】の予告
20点満点
(1) 学習指導要領の改訂の動向を分析する
PowerPointには,
- ① 地理歴史科のカリキュラム改革の方向性
② 「総合」科目と「探究」科目の役割,目的の違い
③ この新科目で私がやってみたい指導略案
の3点を,講義で学んだ概念を活用して8枚以内で説明する
- 1枚目のスライドには,氏名・学生番号とEmailアドレスを明記
- 締め切りは,11月6日(日)23時。Bb9経由で提出する
- グラフィック的にも美しく簡明なスライドを作成すること
(2) 優秀作品は11月10日(木)の授業で発表してもらう
- 発表は,問答や活動を含む「模擬授業」風が望ましい
- 発表者以外は,評価者として発表を採点してもらう
アの歴史教科書のねらい
イの歴史教科書のねらい
ウの歴史教科書のねらい
演習課題6
アメリカの教科書を見比べます
(1) 先ほどみたアイウの歴史教科書は,地理
でいうと,どの教科書に対応するだろう?
マッチングさせなさい。
(2) どうしてこんな(一見変な)教科書が提案
されたのだろう。著者の気持ちに立って,
目的・理由を推測しよう。
「こんな資質・能力を形成したいから…」
第1単元
世界文化と
地理への導入
地域研究の手法 : 社会諸科学の研究方法を活用
社会諸科学
学習者
ア
地理学
経済学
社会学・人類学
歴史学
政治学
法学・市民学
ex)第6単元
サハラ以南アフリカ
◎大陸・文化圏地域
(サハラ以南アフリカ全体)
第4単元
ヨーロッパ,ロシアと
独立共和国群
第2単元
合衆国とカナダ
第5単元
北アフリカと
南西アジア
第7単元
南アジア
第8単元
東アジア,
オーストラリア,
及び太平洋諸島
第3単元
ラテンアメリカ
第6単元
サハラ以南アフリカ
取り扱う対象: 世界の地域区分による大陸・国家の網羅
17章の1
地理学
17章の2
地理学
17章の3
歴史学
17章の4
法学・
市民学
◎国家群地域
(西部・中部アフリカ)
政治学
18章の1
18章の2
政治学
社会学・
人類学
ベドナーツ編 『 World Cultures and Geography (世界文化と地理)』 の内容構成
※草原和博「地理教育の公民教育化-地域を単位にした総合的な社会研究-」全国社会科教育学会『社会科研究』第66号,2007年,pp.11-20参照
探求テーマ
学習者
第1単元 価値を構築する
カナダ,ポーランド,ナイジェリア,エジプ
ト,アラビア半島など計20地域と合衆国
第2単元 家族を組織する
ジャマイカ,フランス,ケニア,イラン,パ
キスタン,朝鮮など計15地域と合衆国
第3単元 人間の欲求を充足する
イスラエル,フランス,西ドイツ,ケニア,
サヘル,ソ連など計15地域と合衆国
第4単元 他者と観念を共有する
第5単元 規則を制定する
事例研究で
取り扱う地域
①ハエ王
子どもの世界
②酋長のセコト
は裁判を司る
ボツワナ
カナダ,イギリス,アラブ世界,レバノン,
パキスタン,日本など計13地域と合衆国
③バタプアーの
ヒヤシンス
バングラデシュ
ハイチ,エクアドル,西ドイツ,イラン,ア
ルバニアなど計15地域と合衆国
④にらみ合い
米国・ソ連
…
…
コロンビア,西アフリカ,ネパール,韓国,
アフガニスタンなど計13地域と合衆国
…
第6単元 人間の感情を表現する
事例研究の
テーマ
小単元1
イ
取り扱う地理的事象
:人間社会を構成している
:テーマに応じて全地域から選別
普遍的な社会機能・社会構造
探求の方法の習得
:地域を比較しながら人間
社会や人間行動の一般性
を発見する
小単元4
小単元3
小単元2
小単元1
社会構造
社会構造の
持続
社会構造の
変動
社会機能
結果として,世界の諸地域の地理を網羅的に学習することが可能に。
バースティーグ編 『 World Cultures (世界文化)』 の内容構成
※草原和博「科学的社会認識形成のための地理教育」『地理教育内容編成論研究―社会科地理の成立根拠』風間書房,2004年,pp.308-332参照
※グローバル問題(イシュー)
国家や地域の枠を越えて,
世界各地で共通して取り組み,
解決すべき課題のこと
ウ
グローバル問題を解決
するために,私たちは
なにができるだろう?
多様性と
ナショナリズム
政治変動
新国家の建設
宗教紛争
人権
グローバルな経済
相互依存
地域統合
持続可能な農業
石油と社会
開発
政治
経済
人口と資源
人口増加
都市成長
飢餓
乳幼児死亡率
社会
自然災害
グローバルな
気候変動
環境汚染
廃棄物管理
環境
飢餓の場合
Step 1
世界の
問題現象
の概観
Step 2
問題の
個別分析
小単元ごとの学習課題
学習内容
なぜアンゲロ・コールは
飢えているのか
飢餓の概念
と格差
旱魃は,どのようにして
スーダンに飢えをもたらしたか
政治的経済的条件は,
どのようにしてスーダンに
飢えをもたらしたか
典型地域
地域の飢餓
Step 4
問題解決
の
方策決定
インドでは,なぜ飢えが
起こるのか
個人の飢餓
飢餓に対して
何を為すことができるか
飢餓のメカニ
ズムと制御
・背景
・原因
・影響
を分析
典型地域
典型地域
世界の飢餓
問題の背
後にある
帰属地域
対照地域
地
↑域の取り上げられ方
Step 3
スーダンは,どのようにすれば
問題の 食料上の保障がえられるか
構造分析
カナダでは,なぜ飢えが
起こるのか
取り上げ
る地域
飢餓の場合
典型地域
問題が表出している典型的な地域
対照地域
問題を多角的に探求する
ために取り上げられる地域
帰属地域
課題を抱える諸地域
帰属地域
カナダ
対照地域
典型地域
インド
スーダン
子どもたちの所属する地域
結果として,世界の諸地域をもれなく描き出すことが可能に。
ヒル編 『 Geographic Inquiry into Global Issues(グローバル問題の地理的探求)』 の内容構成
※草原和博「科学的社会認識形成のための地理教育」『地理教育内容編成論研究―社会科地理の成立根拠』風間書房,2004年,pp.269-293参照
オーストラリアの地域的特色を理解しよう!
◎首都…キャンベラ
ポートヘッドランド
ダンピア
○
▲
○
グレート
ヴィクトリア砂漠
< 農牧業 >● グレートアーテジアン盆地…羊の放牧地域
● マリーダーリング盆地…小麦生産地域
● ウェイパ
ピルバラ地区
▲ ▲
 産業
人口…約2,300万人
● ゴウ
グレート
アーテジアン盆地
●
■
■
モウラ
マウントトムプライス
■ニューカースル
パース ○
◎
 自然
< 地形 >
● 東部に古期造山帯
(グレートディヴァイディング山脈)
● 中央部~西部は安定陸塊
(オーストラリア楯状地)
< 気候 >
マウントトムプライスが位置するピルバラ
地区が中心
キャンベラ
■・・・石炭
▲・・・鉄鉱石
●・・・ボーキサイト
Aw気候、南部にはCs気候、
大陸の半分以上(57.2%)が B 気候
● 北部は
(グレートヴィクトリア砂漠)
※大陸中央を南回帰線が通過
南部のCs気候地域…地中海式農業
< 鉱工業 > ● 石炭…世界最大の輸出国(2009)
モウラ、ニューカッスルが中心
● 鉄鉱石…日本の最大の輸入相手国(2011)
○ シドニー
○ アデレード
A
⇒ポートヘッドランド、ダンピアが積み出し
港
● ボーキサイト…世界最大の生産国(2010)
北部のゴウとウェイパが中心
< 輸送 > 東西に伸びる鉄道…インディアンパシフィック鉄道
(パース⇔シドニー)
 文化
< 民族 >
● 先住民族のアボリジニー
● 多文化政策(1970年代~)…白豪主義の反省
⇒ アジア系移民の増加
演習課題7
単元・授業プランをつくろう
(1) アイウの地理教科書の理念を踏まえて,
いま見たオーストラリアの授業をアイウの
3パタンで作り替えましょう。
→ [email protected]
本日中に送付すること
(2) 3パタンの授業は,何をめざしており,どの
ようなカリキュラムに位置づくのだろう。
カリキュラム構成
単元計画 (3時間) B
地理学者の研究アプローチと
研究ツール
世界各地の人々の生活と環境
1 オセアニア州をながめて
世界の諸地域
・
・
・
・
・
・
アジア州
アフリカ州
ヨーロッパ州
北アメリカ州
南アメリカ州
オセアニア州
世界からみた日本のすがた
日本の諸地域
2 資源による
アジアとのつながり
3 人々による
アジアとのつながり(本時)
なぜオーストラリアは多文化社会に転換したのか?
オーストラリア移民数の変化
B
1950年代から白豪主義は段階的に緩和
1975 人種差別禁止法
政策転換〈多文化共生社会〉
〈なぜ多文化社会へ転換?〉
〈歴史的経緯〉
1788 イギリスによるオーストラリア
開発開始
1851 ゴールドラッシュ
→ 中国人労働者流入への反発
白豪主義 〈白人中心社会〉
○ 国内要因
・ 〈社会的〉 移民,難民を大量に受け
入れ,戦後の労働力不足を補うため
〈政治的〉 人権尊重の動き
〈地理的〉資源(石炭・鉄)への依存
○ 国外要因
〈政治的〉1973 英国がヨーロッパ
共同体(EC)加盟⇒関係低下
〈経済的〉 アジアの経済成長と工業原
料の需要増加⇒関係強化
科学的地域時代分析教育とは
教養的地理歴史理解教育の漸進的変革
(1)表面的には,地域(系統)・時代別に事象を網羅す
る内容編成を継承する→教養主義の継承
(2)実質的には,ミクロな「なぜ・どうして」を捉える地域
・時代の研究に変質→科学主義の強化
(3)地理歴史カリキュラムを,事実上,公民教育化し,
政治・経済・社会的な問題関心から地域・時代の事
象に迫ろうとする→実用主義への移行
社会の見方・考え方を活用して,事象や出来事を分析する
地域・時代を分かる
カリキュラム構成
単元計画(5時間)
家族制度
1 多様な国民を統治する
政治システムとは?
経済構造
統治体制
文化受容
教育制度
C
2 運動と選挙による統治
-民主政治-
3 思想と政党による統治
-専制政治-
4 政治システムの事例研究
-政策の選択・変更-
5 政治システムの比較考察
-誰が決めるのか-
政治システムの事例研究
C
 民主的行動と投票に基づく多文化化
< 例:アメリカ >
◆ 共産党の一党支配に基づく一元化
< 例:中国 >
● 漢民族が全体の92%
● 広大な国土と多様な少数民族,自治の制限
⇒少数民族に妥協する必要がない
↑合衆国憲法の採択
チ
↑ベットの弾圧
● 移民による建国,憲法 we the people…だれ
● 公民権運動⇒黒人,有色人種の権利獲得
● 歴史的に差別と闘う⇒多文化主義の発達
 政策転換による多文化共生化
< 例:オーストラリア >
● 元々は白豪主義⇒有色排除,先住民も
● 多文化政策への転換(1970年代~)…
⇒移民の受け入れ,アジアとの関係強化
↑「アジア人は
出ていけ」と
書かれた石
↑メルボルンで
行われた
「日本祭り」
科学的概念探求教育とは何か
科学的地域時代分析教育の根本的変革
(1)表面的には,今・ココの社会の仕組みや他の選択
可能性を考える教科へ→実用主義の徹底
(2)実質的には,政治学・経済学・社会学・人類学等の
概念や分析方法を探求→科学主義の強化
(3)しかし,地域像・歴史像そのものの形成は諦める
が,地理・歴史の事実も可能な限り伝えておきたい
→教養主義の残滓
地域や時代を手段にして,社会の見方・考え方を探求する
現代社会が分かる=社会認識教育
カリキュラム構成
政治的問題・論争
・
・
・
・
多様性とナショナリズム
体制の変動と持続
宗教の対立と共存
新国家の建設
経済的問題・論争
社会的問題・論争
・・・
環境的問題・論争
単元計画(5時間)
D
1 グローバル化時代の国民国家は
どんな国づくりを目指すべきか?
2 多文化化を推進するべき
-オーストラリアを事例に-
3 多文化化に慎重にあるべき
-ドイツを事例に-
4 日本は,移民を,難民を受け入
れるべきか否か?
日本は,移民を,難民を受け入れるべきか否か?
D
【オーストラリア】白豪主義の反省から多文化政策を取る
ことで、移民を積極的に受け入れている。
地方の労働力不足対策としての側面も!
【受け入れ賛成】
根拠
【事実】
移民を多く受け入れる
ことで、労働力不足や
税収の低下に歯止めを
かけようとする動きが
存在する。
主
張
根拠
労働力不足などの問題が
解決され、多様な文化に
触れる機会も。
【受け入れ反対】
外国人の増加により国内
に様々な問題が生じてし
まう危険性が。
【ドイツ】人口の1割近くが外国人になった結果、治安悪
化、失業率の上昇、住民との軋轢が生じた。
新移民法(2006)により、条件付きで受け入れている。
昔の日本
はどうだっ
たかな?
政治的社会構想教育とは何か
科学的社会概念探求教育の抜本的変革
(1)表面的には,現代社会の認識だけではなく,未来
社会を構想する教科へ→実用主義の継承
(2)実質的には,議論・意思決定したり,代案を提起し
たり,参加・行動を支援→政治的有能性の強化
(3)地理・歴史の事実は,資料(史料)として積極的に
活用→教養主義への配慮
地域や時代を手段にして,判断基準や行動力を育成する
未来社会を作る=シティズンシップ教育
内容を優先→分化カリキュラムへ
国家発展史・進歩史,国土開発誌・産業誌
A
時間的なまとまり=時代区分,空間的なまとまり=地域区分
概念
B
概念
概念
時間的なまとまり=時代区分,空間的なまとまり=地域区分
概念
C
時代比較
地域比較
論争・政策
D
概念
発生的来歴
空間的多様性
目的を優先→統合カリキュラムへ
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