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設立呼びかけ人 3 名が連名でメーリングリストへ発信した、 2000
設立呼びかけ人 3 名が連名でメーリングリストへ発信した、 2000 年 12 月 5 日のメッセージ GEFCOメンバーの皆様、 以下は、設立呼びかけ人の三浦、堀、西山よりのメッセージです。長文ですが、どうか最 後までお読みくださいますように! 11月18日の第 1 回研究会以降、皆さんのなかから次の二つの要望が寄せられました。 (A)研究会のあり方は皆で話し合って決めたい、 (B)ついては「叩き台」を、呼びかけ人の3人で提案してほしい、 (A)の話し合いについては、これまでの経緯から、少なくとも立花さん、井上さんと、 呼びかけ人3名全員が出席できる日でないとと考え、調整を進めてきました。その結果、 来年1月27 日(土)しか候補日が残りませんでした。ところが、この日、井上さんは ご都合がつかなくなる可能性があります。そこで、次のように事を運ぼうと存じます。ど うかご協力をお願いします。 1. 今年度中に一度、井上さんと、堀、西山(三浦は日本を留守にします)を含 む有志 が東京で集まり、懇親会(忘年会?)を兼ね、非公式に、胸襟を開いて四 方山のこ とを話し合う。(この日程・場所は追って連絡します。) 2. その上で、2001年1月27日(土)をGEFCOの次回会合日とし、東京恵比 寿の日仏会館601号室(同会館フランス事務所の管轄)にて、組織運営 問題の協 議と、発表討論をおこなう。次のスケジュールを考えています。 組織運営問題の話し合い 発表と討論 : 懇親会(別の場所で) : 午後1時∼3時 午後後3時半∼5時半 : 午後6時∼? ★上記1月27日の研究会における発表者・報告者を募集いたします。どしどし立候補し てください。(老婆心から付け加えますと、GEFCOは学会ではなく勉強会ですから、 発表といって です。) も、あるテーゼを主張する必要はなく、問題提起的な話でもよろしいわけ ★また、「1月27日は無理だけれども、○月頃でよければ話をしてみたい」といったお 申し出も歓迎します。積極的に名乗り出てください。 (B)2000年1月27日の協議を有意義なもの とするために、設立呼びかけ人3名 の共有している考えを以下「叩き台」として提示します。 Ⅰ.現代フランス研究会(GEFCO) とフランス 語教育(及び教育学会)との関係 来年2月3日に予定されているフランス語教育学会の理事会において、GEFCOを同 学会内に設置された研究会として認めてもらえるよう、諮りたいと思います。 この申請が承認された場合、同学会は、「フランス語をいかに教えるか」だけでなく「な ぜフランス語を学ぶのか」「何を、どのような知的展望の中で教えるのか」について広い 視野から検討する場所を提供することになるでしょう。ただし、学会員は研究会のメンバ ーになる必要はなく、またメンバーになっても好きなときだけ参加すればよいことになる でしょう。 逆に、GEFCOのメンバーはフランス語教育学会員であるというのが原則となります が、フランス語の授業を担当していない方にまで教育学会入会を求めることは妥当でない と考えます。教育学会の外にいて、本メーリングリストに参加し、自分の興味のあるテー マのときに研究会に参加する、という形の会員も歓迎しましょう。日仏会館会議室の使用 料は、三浦がピエール・スユリ・フランス学長に交渉して無料にしてもらいましたから、 研究会のたびに参加費を徴収する必要もありません。 次に、われわれの研究会がフランス語教育の実践にどう結びつくのかという問題につい て、呼びかけ人は以下のように考えます。 上記のように、呼びかけ人はGEFCOを、フランス語教育学会内部に置かれていて、 しかも語学教育に直接係わらない社会学、政治学、歴史学などの分野の研究者にも開かれ た学際的な場としてイメージしています。 ●なぜGEFCOを日本フランス語教育学会(SJDF)内部に位置付けようとするのか? 一言でいえば、日本におけるフランス語教育全体を新たな段階へと進めるために寄与し たいからです。 かつてフランス語教育は文学を中心とするフランス文明の栄光によって正当化され、 「文 法+講読」による教養主義に立てこもっていました。その後、コミュニカティヴ・アプロ ーチによって「使えるフランス語」の教育へと転換が図られてきました。しかし、いまや 実用性を強調するだけでは、非仏語圏の日本ではフランス語は役に立たないから教えるの は英語だけでいいとか、そもそも世界中どこへ行っても英語だけで充分だとか、語学教育 を外注してネイティヴに任せるほうが能率がよく安上がりで済むとか、そういった議論に 必ずしも有効に反駁できません。ところが、情報ソースとしてのフランス語、フランス語 で表現される独自の思考、「共和国」という社会モデルなどは、文化の多様性が問題にな る現在、重要なレフェランスの一つであることは疑いをいれません。またヨーロッパから マグレブ、アフリカ、中近東、北米、カリブ海に広がる仏語圏の文学や地域研究も未開拓 分野として残されています……。 今後フランス語教育の振興のためには、知識を輸入す るだけの「教養主義」に戻るのは論外ですが、使える外国語という「実用主義」だけでも だめで、両者を批判的に総合した「新しい教養」を合言葉にすべきではないでしょうか。 つまり、英語一辺倒の「グローバル・リテラシー」論に対し、英語以外のコミュニケーシ ョン回路をもつ世界の多様性に対応した多言語的リテラシーの名においてフランス語教育 の意義を主張し、知的コンテントを伴った異文化間コミュニケーション能力の涵養を目標 にすべきだろうと思うのです。 これは、平たく言いかえれば、もともとフランス語教育には「言語」と「文化」が共に 一体のものとして含まれている(Le français dans le monde の多彩な rubriques 参照)ことを 思い出そうということにすぎません。なにしろ、いうまでもなく言語と文化は培い培われ る関係にあるわけですから。日本におけるフランス語教育を伝統的に支えてきた文学研究 もまた、社会や歴史や法制度や政治の研究とともに、ひとつの文明へのアプローチ(=フ ランス学、Les études françaises, la francologie)の一環として捉え直すことができます。そう したアプローチを仮にいま「文化社会研究」と名付けるなら、文化社会研究がフランス語 を学ぶ学生の動機付けになることは確かであり、それをどう教えるかは今後の重要な探究 課題です。ですが現状では、教えるべき内容を教師自身が知ることが先決だし、急務でも あるとわれわれは認識していています。GEFCOをフランス語教育学会内に位置付ける のは、GEFCOがフランス語教師の意識改革の場となり得るだろうと考えるからでもあ ります。 最後に、フランス語教師の職務の観点から少し付言します。 従来フランス語教師はほぼ全員フランス語フランス文学科の出身であり、その9割は主 に第2外国語としてのフランス語を担当してきましたが、90年代の教養部の解体再編や 最近の大学院化などによってフランス語以外の科目を担当することが求められています。 そしてその科目は、ほとんどのケースにおいて文学ではありません。地方の国立大学では 2年後の独立行政法人化に伴い語学教育の外注化まで取り沙汰されており、今後は文学だ けのプロフィールでは採用されなくなるでしょう。最近の公募でも、文学語学だけではな く、フランス語+比較文化論、地域研究、ヨーロッパ文化社会論、異文化間コミュニケー ションあるいは情報技術を含む情報コミュニケーション論を教えられる能力が求められて います。実際、社会学系など文学・語学以外のフォルマシオンでフランス語教師のポスト に採用される人がすでに現われています(これはたいへん結構なことで、これまでが異常 だったというべきでしょう)。 今後ますますフランス語教師のダブル・メジャー化が求められていくことを念頭に置い て、GEFCOをわれわれ自身の再教育訓練 recyclage の機会とするのみならず、新しいプ ロフィールを獲得しようとする院生など若手のフォルマシオンの機会にもしたいと思いま す。 ●なぜGEFCOを社会学、政治学、歴史学などの分野の研究者(非フランス語教員)に も開かれた学際的な場にしようとするのか? 上記のような広い意味でのフランス学、文化社会研究をやっていこうとする上で、フラ ンス語の授業を担当していないというだけの理由で、フランスをフィールドとしている社 会学や歴史学の専門家、また憲法学や政治学などの研究者の参加・貢献を拒むのはいかに も愚かしいことと思えるからです。 同時に、翻って社会学、歴史学、政治学、法学などの研究者にとっても、GEFCOが 専攻のタコツボ的縦割りを横断する学際的フランス研究の契機となり得るのではないかと 考えるからでもあります。実際、言語と切り離してまともな文化社会研究があり得ないの はいうまでもないことですから、文学・語学系との協同作業や討論は、社会科学系の研究 者にとっても有益なのではないでしょうか。 最後に、今後フランス語教師にますます強く求められるであろうダブル・メジャー化を も睨んで、われわれはフランス語教育学会そのものが将来的には「フランス学会」的性格 をあわせもっていくべきではないかと考えており、その意味でも、フランスおよびフラン ス語圏にかかわる人文科学・社会科学の研究者や大学院生がGEFCOに参加してくるの を、大いに歓迎したいのです。 Ⅱ 現代フランス研究会(GEFCO)の組織・運営方針(1月27日に議論していただきた いポイント) 1. 研究会設立の呼びかけ人だった三浦信孝・堀茂樹・西山教行がそのまま「世話人」 になるということでよろしいか? 例えばあと2名ぐらい、自薦他薦で選んでいた だいてもよいと思いますが。とりあえず1年とし、そのあとのことはまた考えれば いいでしょう。 2. フランス語教育学会(SJDF)内の研究会とすることを2月3日の理事会に提案 してよろしいか? それとも3月の理事会まで待つべきか? 独自の研究会のまま で行くべきか? 3. フランス語教育に直接結びつかない発表も、フランスまたは仏語圏の文化社会研究 (広義)であれば歓迎する方針でよろしいか? 4. GEFCOへの参加を今後もフランス語教師以外にも開放していってよろしいか? (すでにメンバーになっている方も少なくなくありません) また院生レベルにも 広げてよろしいか? OKなら、オープンで学際的な研究会にし、若手のフォルマ シオン機能も持った学会横断型の研究会として、社会学・歴史学・政治学・女性学 など日仏関連諸学会に呼びかけることも考えられます。 5. 研究会は年に6回程度、日仏会館601号室で行う。フランス語教育学会理事会翌 日の日曜日とするのでよろしいか? (*SJDF理事会翌日とするのは、地方在 住のメンバーにSJDFの理事になっている人が数人いるので、少しでもその人た ちの便宜を図ろうとする配慮です。) 例えば10時から1人、昼食をはさんで1 3時から1人とすれば、地方の方も日曜のうちに帰れるでしょう。 (たとえば多言語 社会研究会は土曜の午後を使って発表を2本やっています。) 6回のうち1回は 1日集中型とし、5∼6人発表できるようにしてはどうでしょう? また、1年に 少なくとも1回は関西で開催することも検討してはどうでしょうか? 毎年秋の 獨協ジュルネ・ペダゴジックや、春の関西ランコントル(*いずれもフランス語教 育関連のワークショップです)には個別的に参加することにしましょうか? 6. 報告テーマ・報告者については自薦他薦を募り、むこう1年のラフなスピーカーズ・ リストをつくってたえず更新し、世話人が随時決めるということでよろしいか? 7. フランスなど外国からどんな研究者を呼びたいか? 例:トドロフ、タギエフ、ジ ェラール・ノワリエル(移民研究)、マリーズ・コンデ(クレオール作家)、エチエ ンヌ・バリバール、イレーヌ・テリー(家族・女性問題)、アブデラ=プレツェル(C IEP、interculturel 教育)、ジャンドロー=マサルー(フランコフォニー大学機関 学長)。大使館文化部や学振、国際交流基金、個別大学の招聘資金を利用し、講演会・ セミナーを日仏会館でやれば皆が参加できます。 8. SJDFに入る場合、入らない場合を含め、会費はなしでいいか? 名簿、ニュー ズレター、論文発表の雑誌については今後の検討課題とするのでよろしいか? 立ち上げ呼びかけ人としては、GEFCOは当面できるだけ軽量のストラクチャー とし、MLを(意見交換の場というよりはむしろ)連絡網として用いればよいと考 えています。ML利用の約束事は取り決めましょう。特別のニューズレターや雑誌 を出すには、資金の手当てを考えなければなりません。WEB上にホームページ・ 掲示板をアップすることを検討しては如何でしょう? 9. ハンドブック『フランスを知るキーワード50』を分担執筆して出すことを提案し ます(すでに第三書房から打診されています)が、如何でしょう? それぞれが 最も得意なテーマについて大項目10枚、小項目5枚で1∼2項目ずつ担当すれば、 フランス文化社会論のいい教科書になるでしょう。共和国、ライシテ、グランゼコ ール、コアビタシオン、欧州統合、パリテ、フェミニスム、68年5月、フランコ フォニー、クレオール、移民、サンパピエ、ライ(音楽)など。例えば、 「人権 droits de l'homme」を語学的に解説すればフランス語の入門にもなります。そして、 「もっ と詳しく知りたい人に」式の簡単なブックガイドもつける……。これは全員が参加 できるプロジェクトで、研究会の目標にもなるのではないでしょうか? 以上よろしくご検討ください。 三浦信孝・堀茂樹・西山教行