Comments
Description
Transcript
2016年1月タイにおける労働関連法について
タイにおける労働関連法について バンコック駐在員事務所 小沢 康正 サワディーカップ。今回は『タイにおける労働関連法』についてレポート致します。 タイには日本から多くの製造業企業が進出されていますが、毎年悩まされるのが労使交渉と聞いております。 今回は労働関連法についてまとめることで、F/S(Feasibility Study:事業化可能性調査)への活用や今後の労 使交渉の一助としていただければ幸甚です。下表では労働時間や休暇に関する主な規定を日タイで比較しました。 タイ 労働時間 日本 ・労働時間は 1 日 8 時間、1 週間 48 時間を上限。 ・休日は週当たり 1 日以上。 ・有給休暇は法定年 6 日以上。 休暇 ・1 週間 40 時間。 ・有給休暇 10 日(最大 20 日)。 ・種々の欠勤が権利として認められている。病欠勤は年 間 30 日以内なら有給。 超過勤務 その他 ・超過勤務手当ては平均賃金の 1.5 倍以上。 ・25%割増(時間外)。 ・休日勤務手当ては 2 倍以上。 ・35%割増(休日)。 ・労働者の合意のない解雇は極めて困難。 ・解雇は客観的に合理的な理由を欠 ・解雇補償金は 120 日以上の勤務から発生し(30 日分)、 き、社会通念上相当であると認めら 10 年以上の勤務であれば 300 日分の支払義務が法定。 れない場合は、その権利を濫用した (雇用契約終了時にも支払義務あり、自主退職は不要) ものとして無効。 続いて労使紛争について日系企業側とタイ人労働者側の傾向についてまとめてみます。 タイ(労働者側) 日本(使用者側) ・上部組織による争議行為の指導と労働組合の盲従。 ・タイ人気質、タイ社会、タイ労働法の不十分な理解。 (大規模な労働組合が力を誇示するため、中小企業の (日本と比べ労働者に手厚く福利厚生等を提供して 労働組合等に入れ知恵をして交渉させる) いるにも拘らず裏切られる・問題が発生した後に初め ・騒ぐと何とかしてもらえる、謝ればなんでも水に て労働法を学ぶので対応が後手に回る) 流してもらえる、という意識。 ・目の前の利益を重視し、長期的な関係の構築には 興味なし。 ・労使間のコミュニケーション不足。 (普段からコミュニケーションをとっていない・争議 が起こるとすぐに第 3 者を入れる) ・論理的な説明の伴わない要求。 ・論理的な説明をしても理解してもらえない。 ・労働者側で組織内の意見調整ができない。 ・労使関係への理解や経験が乏しく、日本企業での経 (複数の人間がそれぞれの権利を主張する) 験に基づく考えしかできない。 労働者側から要求を突きつけられた後に対応策を考える場合と、事前にタイ労働法を学んで対応策を講じてお く場合とでは労力もコストも大きく異なってきます。 問題を未然に防ぐという点で、日頃のコミュニケーションがどれほど重要か考えさせられます。人種や言語が 違っても基本的なマネジメント方法は同じなのかもしれません。 (2016 年 1 月) 201601 広告審査済