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1 - 一般社団法人 共益型三重県臨床工学技士会
第5回 三重県臨床工学技士会 ペースメーカ関連セミナー 日時:平成23 年11 月13 日(日) 10:00 ~ 16:00 場所:鈴鹿医療科学大学 薬学部 講義棟 (白子キャンパス) 植込み時 臨床工学技士のすること 三重ハートセンター 辻井正人 機種、リード選択 在庫管理 ①患者情報収集 ・疾患・心電図・ホルター心電図・薬 ・XP・UCG・身長・体重・家族構成・住所・・・・ ②主治医⇒リード長、リード種類・本体機種決定 遠隔モニタリングの必要性確認 ③リード、本体、シース準備、在庫管理 ④ペースメーカー設定 ・患者情報、各種パラメータ入力 (設定は入院中、誰もがトラブルに気付く設定) ⑤ぺースメーカー手帳、特定医療機器登録用紙記入 管理(File Maker)表作成 アンギオ室準備 マスク、帽子は必ず着用。 埃が立つようなことはしてはいけない。 1) アンギオ室準備(手術器材、患者血行動態監視装置、DC準備、) 患者入室 離被架 心電図、血圧計、SpO2装着 → 器材準備、離被架セット → 心電図監視 心電図監視 MobitzⅡ型AV block、SyncopeためDDDペースメーカー植込みとなる→ 準備中、通常に会話している中、意識が遠のく訴えあり→心停止 消 毒 手洗い(手指消毒:アルコール擦式消毒)⇒清潔(ガウン・手袋)になる 消毒液:イソジン、ヒビテンアルコール 1) イソジン液 → 確実に乾燥 覆 布 プラスチックフィルム貼付:感染予防のため露出皮膚を最小限にとどめるため 1) 覆布を対側で受け取り患者を覆う 2) 覆布が術中ずれないように固定する 3) 鰐口コード、ピン側を受け取りPSAの鰐口コードに接続 穿刺セット(シース)を出す 1) シースを出す。 (身長、右心系の大きさを事前に調べリード長を選び、そのリードにあったシースを準備;6,7,8,9F) 太さは一般にフレンチサイズで表され、「Fr」または「F」と表記されます。 鎖骨下静脈解剖 第1肋骨 内頚静脈 鎖骨 橈側(腕頭)皮静脈 腋窩静脈 鎖骨下静脈 胸肩峰動脈 腕頭静脈 尺側皮静脈→上腕静脈→ 腋窩静脈→ 鎖骨下静脈→腕頭静脈→ 上大静脈→右房 上大静脈 右房 橈側皮静脈→腋窩静脈→ 鎖骨下静脈→腕頭静脈→ 上大静脈→右房 上腕静脈 尺側皮静脈 なぜ鎖骨下静脈造影するの? ・静脈の走行確認 ・閉塞、狭窄有無確認 PLSVC(Persistent Left Superior Vena Cava) : 左上大静脈遺残 胎生期には上大静脈は左右に2本あり、発生の過程で右側で一本に合流するが、上大静脈が2本のまま残っている。 PLSVCは冠静脈洞(coronary sinus)に開口することがほとんど。 PLSVC:心臓超音波検査 収縮期 拡張期 10mm PLSVCは冠静脈洞(coronary sinus)に開口することがほとんど coronary sinusは拡大していることが多い(10mm以上) 局所麻酔 0.5~1.0%キシロカイン (40~20ml) (1回最高使用容量は200mg;超えるとてんかん、痙攣の発生の危険性が高まる) 1%リドカイン、メピバカイン、0.5%ブピバカイン リード電極挿入方法 ①静脈穿刺法 ②静脈切開法 ③心筋電極法 静脈穿刺 静脈造影、エコーガイド下 静止画像とlive画像を見ながら穿刺する 鎖骨下静脈穿刺法⇒胸郭外穿刺法:腋下静脈 静脈造影、エコーガイド下 McGee DC,et al. Preventing complications of central venous catheterization. N Engl J Med 2003;348:1123-33 胸郭(thoracic cage)? ・胸骨、胸椎、肋骨、肋軟骨でできた骨格のこと ・胸膜腔と肺、心膜腔と心臓、大血管を囲んでいる 鎖骨下静脈穿刺方 ⇒気胸、血気胸をつくる可能性がある リードにストレスが加わる 胸郭外穿刺法:腋下静脈 ⇒気胸回避、リード生存率が高い 太い;複数本リード植込み時、操作が容易 胸郭外から胸郭内に入るため(肋鎖靱帯)鎖骨下領 域でのリードへの機械的な負荷がかかる Subclavian crush phenomenon 血管はストレスの加わる部位は通らない! ・胸郭外静脈穿刺:リードが血管内を通り胸郭外か ら胸郭内に入るため鎖骨下領域でのリードへの機 械的な負荷が軽減 リード断線、被膜損傷減少 Magney,J.E.et.al. ;PACE,16:2133-2142、1993 ・胸郭外静脈穿刺指摘部位 鎖骨下静脈の第1肋骨上縁より末梢 腋窩静脈の橈側皮静脈合流部までの間 ⇒シース挿入準備 穿刺針 ガイドワイヤ ワイヤ-切断、コーティング剥離 ジェネレーターポケット作成 (皮膚切開・組織剥離・止血) 真皮切開:メス 真皮以下脂肪組織:剥離鉗子、電気メス(止血が容易)にて大胸筋膜上まで剥離する 1) どの程度のポケットが必要か、Generatorを術医に見せる 2) 透視を外す(術医が操作しやすいように) ポケット内にガイドワイヤーを引き抜く ポケット作成してから穿刺する方法が多い ・静脈に近い、操作簡単 シース挿入 リード電極挿入、留置 スタイレット 硬さ、カーブ等知っておく⇒追加スタイレット 経静脈タインドリード 経静脈スクリューインリード 経静脈リード タイン、フィン へリックス タインドリード スクリュー(イン)リード Passive fixation lead Active fixation lead リード留置場所にあわせスタイレットに形状をつける リード挿入 リード挿入時 上大静脈に入る所(シース先端部)で、リード穿孔を起こす 危険性がある⇒縦隔血腫、大量出血 1) フレーミング(アンギオ台を動かし、透視位置を合わせる) 2) 上大静脈に穿孔を起こさないか透視像監視 心室期外収縮にて電極位置推測 心電図監視:心室期外収縮にて冠静脈内か心室内か 1)心電図監視:心室期外収縮の形状にて電極先端位置推測 2)V側が中隔ペーシングの場合:正面からLAOに振り、透視画像にて中隔か確認する PSA(pacing system analyzer)操作 双極リード 先端:黒;(-)、関電極 近位側:赤;(+)、不関電極 単極リード リード:黒;(-)、関電極 ポケット:赤;(+)、不関電極 PSA -鰐口コード 黒、;(-)、関電極 赤 ;(+)、不関電極 感度測定 方法: 自己の心房波(P波)、心室波(QRS波)をだして測定 30ppm以下であれば測定不可 心内波高低い→デバイスが心内電位感知できず→アンダーセンシング →感度設定鋭く→オーバーセンシング起こす危険性が生じる ⇒心内波高値が可能な限り大きい場所を探す 感度測定 データ: 心房 1mV 心室 5mV - 2mV以上 8mV以上 が望ましい。 出来るだけ高い所が理想。 Farfield sensing や期外収縮を拾っている可能性があるので、数値だけでなく実際の心電図波形を確認する リード抵抗測定 方法:ペーシングレートは自己心拍より10~20/min多めに設定する。 PSAで5.0V 電圧ペーシング時の電流値を測定しオームの法則から算出 一般的な電極では500Ω前後 高インピーダンスリード、低インピーダンスリードがあり抵抗値は様々 抵抗が高い時は断線、低いときは皮膜損傷などのリーク、 異常短絡の存在が考えられる 特にジェネレータ交換の際には抵抗値重要 リード抵抗測定 データ: ・200~2000Ω以内 ペーシング閾値測定 方法: • ペーシングレートは自己心拍より10~20/min多めに設定する。 • 患者にどきどきしたり脈が飛んだりすることを説明。 • PSAをパルス幅0.50ms固定、電圧5.0Vの出力設定にしてペーシングを開始。 • 2Vから1V出力を下げ、それ以下は0.1V 毎下げながら心筋を捕捉しなくなる出力 を探す。補足できなくなる直前の値をペーシング閾値とする。 • 心筋梗塞や心筋症などでは心室ペーシング閾値が、洞不全症候群などでは心房ペーシング 閾値が高い場合がある。ペーシング閾値が高いと、出力設定をたかくせざる得ず、電池消耗 が早まる。⇒可能な限りペーシング閾値の低い場所を探す。 心房ペーシング閾値測定 方法: • ペーシングレートは自己心拍より10~20/min多めに設定する。 • 2Vから1V出力を下げ、それ以下は0.1V 毎下げながら心筋を捕捉しなくなる出力 を探す。補足できなくなる直前の値をペーシング閾値とする。 スクリューリードの場合、左右にスイングまたは挿入後の形がよければ、閾値が悪くても スクリューすると、良い値が得られることが多い。 心室ペーシング閾値測定 方法: • ペーシングレートは自己心拍より10~20/min多めに設定する。 • 2Vから1V出力を下げ、それ以下は0.1V毎下げながら心筋を捕捉しなくなる出力を 探す。補足できなくなる直前の値をペーシング閾値とする。 ペーシング閾値測定 データ: • 心房、心室ともに1V以下 ペーシング閾値:リードによる違い • Active fixation lead (スクリューインリード) ⇒閾値 スクリューした直後の閾値は高いことが多いが、時間経過とともに低下する (数分から10分程度) ⇒心内波高値 スクリューした直後の値より、後に測定した方が大きくなることがある → スクリュー固定直後は心筋障害のため 一過性にセンシングならびにペーシング閾値が悪くなると考えられている ペーシング閾値:植込み後の心筋の影響 ペーシング閾値は植込み後に、局所の炎症、線維化により上昇するが、 ステロイドリードにより閾値上昇は抑制され、その後の慢性期の変動に ついても以前ほど問題にならなくなった Twitchig有無確認 • 最大出力(0.50ms・10V )でペーシングを行い、横 隔膜刺激やmuscle twitchingが起こらないことを 確認する • • 術後に閾値上昇することがあるので、最大出力でも上記の症状が起こらないことを確認しておく必要がある。 特に左室CSリードでは横隔膜刺激が問題となる。横隔膜刺激は耐えがたく、ペーシングを維持できなくなる。 • 深呼吸時に横隔膜刺激が認められることもある リードをスクリューする スクリューが出ているか確認する スタイレット抜去→リード先端観察 PSA最終チェック、手帳記入 シース抜去、リード固定 ピールアウェイ ジェネレーター接続、心電図監視 ジェネレーターの収納、固定 閉創 植込み直後のペースメーカーチェック 終了、心エコー ⇒ データ整理 モニター監視 電子カルテ、File maker 特定医療機器登録用紙 ペースメーカー手帳 心エコー検査 ・心嚢水チェックのみ ・心室リードの尖端位置の確認 Thank you very much for your kindness. Good luck !