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平 成 20 年 度 版

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平 成 20 年 度 版
Ⅲ
女
性
支
援
[婦人相談所]
[配偶者暴力相談支援センター]
(Ⅰ)女性相談について
1
女性相談(婦人保護事業)とは
(1)根拠法等
①売春防止法(昭和 31 年制定)
②配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律
(平成 13 年制定/16,19,25 年改正)
③人身取引対策行動計画(平成 16 年 12 月)→人身取引対策行動計画(2009・2014)
④ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成 12 年制定/25 年改正)
(2)婦人保護事業の対象者の範囲
①売春経歴を有するもので、現に保護、援助を必要とする状態にあると認められる者
②売春経歴は有しないが、その者の生活歴、性向又は生活環境等から判断して現に
売春を行なうおそれがあると認められる者
③DV被害者(配偶者からの暴力を受けた者)
*配偶者とは)事実婚や、生活の本拠を共にする交際相手も含む。
関係解消後も、引き続き暴力を受ける場合も含む。
*暴力とは)身体的暴力に限らず、心身に有害な影響を及ぼす言動も含む。
④家庭関係の破綻、生活の困窮等正常な生活を営む上で困難な問題を有しており、
かつ、その問題を解決すべき機関が他にないために、現に保護、援助を必要とす
る状態にあると認められる者
⑤人身取引被害者
⑥ストーカー被害者
2
女性相談の実施機関
(1) 婦人相談所(長崎こども・女性・障害者支援センター)
都道府県における婦人保護事業の中枢機関として、保護を必要とする女性の早期発
見に努め、必要な相談、調査、判定、指導・援助、一時保護及び啓発活動を行なう。
長崎県では、平成 19 年度に長崎こども・女性・障害者支援センターに統合された。
なお、五島、壱岐、対馬の各保健所には、婦人相談所の兼務職員が配置され、婦
人相談所長の判断により現地での女性相談に対応できるような体制となっている。
地域での施策では対応困難な相談や一時保護を必要とする相談については、関係
機関と連携しながら問題解決に当たっている。
- 74 -
(2) 配偶者暴力相談支援センター
(長崎/佐世保こども・女性・障害者支援センター)
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のため、相談対応、相談機関の紹介、医
学的又は心理学的な指導、被害者及び同伴家族等の一時保護、各種制度の利用や保護
命令、施設利用等に関する情報提供等の業務を行なう。
長崎県では平成 14 年度から婦人相談所(現長崎こども・女性・障害者支援センター)
に、平成 19 年度から佐世保こども・女性・障害者支援センターに配偶者暴力相談支
援センターとしての機能が指定された。
平成 23 年 4 月からは、長崎市と南島原市に配偶者暴力相談支援センターが設置さ
れたため、県内の配偶者暴力相談支援センター設置数は 4 カ所となった。
3
相談業務の内容
(1)電話相談
誰でも気軽に相談できるよう匿名性を尊重し、女性に関するあらゆる相談につい
て、助言・指導、情報提供、他機関紹介等を行う。
(2)来所相談
電話相談だけでは容易に解決できない複雑な相談や、一時保護を必要とする相談
等、より専門的な支援を必要とする相談に対応している。その他、必要があれば出
張相談等に応じることもある。
- 75 -
4
相談支援の流れ
次のとおり、各関係機関と連携をとりながら、相談者を支援している。
支援を必要とする女性
相談機関
〔婦人相談所(一時保護所)〕
警察署
市県福祉事務所
連携
担当課等
●佐世保こども・女性・障害者支援センター
〔配偶者暴力相談支援センター〕
男女共同参画
推進センター
裁判所
ハローワーク
法テラス
弁護士事務所
●長崎市配偶者暴力相談支援センター
社会福祉協議会
民間相談機関
医療機関
〔配偶者暴力相談支援センター〕
連携
市町女性相談
関係機関
●長崎こども・女性・障害者支援センター
●南島原市配偶者暴力相談支援センター
他の相談機関
年金事務所
民生児童委員
NPO
他の関係機関
○問題の整理
○問題解決に必要な情報の提供
安全確保・法的手続き・生活の場の支援・経済的支援
子育て支援・就労支援等
○他機関紹介
○助言指導
解決に向けた行動
(自己決定)
- 76 -
(1)長崎モデル
「長崎モデル」とは、DV被害者支援の充実のために、総合相談機関であるこど
も・女性・障害者支援センターの専門的相談支援と、DV被害者の同伴児童の学
習面や情緒等への配慮、NPOとの協働事業等による本県独自の被害者の立場に
たった、きめ細かな支援対策をいう。
(H17∼訪問教育、H18∼保育士配置、H21∼
退所者等就労支援、H22 屋内体育館整備、H22∼24 光交付金活用による支援拡充)
1.相談から自立までの切れ目のない支援
○長崎及び佐世保こども・女性・障害者支援センター等
相談・保護の体制
における相談業務
○一時保護、婦人保護施設での自立支援
○配偶者暴力相談支援センターでのDV被害相談、
関係機関との連絡会議開催
○一時保護所退所後、心身の回復を図るまで生活する
ステップハウス・
シェルターの整備
と自立支援
ステップハウスの運営(委託)
○入居者の同行支援、家事育児支援等
○市町・裁判所・ハローワーク等への同行支援
○家庭訪問による生活訓練・家事育児支援
○婦人保護施設等退所者等の就労支援
地域における支援
○市町の福祉サービス
自 立
○NPO・ボランティアによる
被害者や子どもの居場所
一時保護所退所後、
づくりによる支援
1年以内での自立を目指す
○自助グループ活動
2.DVを未然に防ぐための啓発と心理ケア
○中学生、高校生や社会人を対象に親密な間柄の対等な人間関係の構築について
理解を深めてもらうため、DV予防教育を実施
○DV家庭で育った子どもへの心理ケア
- 77 -
(Ⅱ)相談事業の概要
1
相談件数等の推移
(1)相談件数の推移
毎年増加していた相談件数は、H25年度にいったん減少したものの、その後再び上昇を始め、
H27年度は過去最高件数であったH24年度と並ぶ2,829件であった。
県計
(件) 3,000
2,500
長崎
2,000
1,500
1,000
佐世保
500
0
県 計
長 崎
佐世保
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
26年度
27年度
1,414
1,174
240
1,752
1,528
224
2,407
1,915
492
2,459
1,941
518
2,725
2,033
692
2,833
2,050
783
2,093
1,605
488
2,509
1,879
630
2,829
2,083
746
(2)DV相談の推移
毎年全体の相談件数の65%前後がDV相談であり、H27年度は63%にあたる1,782件がDV
相談であった。H20年度と比べるとDV相談は、1.5倍と増加してきている。
*DV:配偶者や元配偶者など親密な関係にある、又はあった者から受ける身体的、
精神的、性的な暴力をいう。
(件)2000
1,923
1800
1,583
1600
1,782
1,686
1,638
1,345
1400
1200
DV相談
1,854
1147
その他の相談
1000
800
600
1,047
979
824
821
802
748
823
605
400
200
0
20年度 21年度 22年度 23年度 24年度
25年度 26年度
- 78 -
27年度
(3)相談形態毎の推移
H20 年度と比較した時に、電話相談は 1.5 倍、来所相談は 1.9 倍と相談件数が伸びて
きている。H27 年度は来所等相談数 843 件であり、相談件数全体の 3 割を占めている。
(件)
2000
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
26年度
27年度
来所等
450
587
657
771
965
695
870
843
電話等
1302
1820
1802
1954
1868
1398
1639
1986
来所等:来所、訪問、出張、同行支援
電話等:電話、メール、FAX、手紙
(4)証明書交付
配偶者からの暴力被害者の自立支援又は被害者に係る情報の保護を図るために、医療
保険、年金、児童手当等について、情報提供を行うとともに、証明書の交付をし、関係
部署と連携して対応している。
H27年度は、169件の証明書を交付した。
発行目的
医療保険関係
長崎
佐世保
医療保険関係, 24
県計
16
8
24
9
6
15
10
10
20
1
0
1
住基支援措置
40
21
61
その他
38
10
48
114
55
169
年金関係
児童手当関係
母子寡婦法
計
- 79 -
年金関係, 15
その他, 48
児童手当関係, 20
住基支援措置, 61
母子寡婦法, 1
2
相談の内訳
(1)相談経路の内訳(相談者の内訳)
来所相談、電話相談ともに、本人自身からの相談が主であるが、電話相談に関して
は、関係機関とのやり取りが多くなっている。
その他
1.1%
福祉事務所
0.2%
警察関係
0.4%
他の相談機関
2.5%
2
1
3
1
0
1
教
育
関
係
1
0
1
労
働
関
係
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
2
医
療
機
関
0
0
0
1
0
1
民
間
シ
ル
タ
86
0
86
縁
故
者
・
知
人
D
V
セ
ン
タ
18
6
24
そ
の
他
1
0
1
7
2
9
計
668
175
843
他の婦人相談所
教育関係0.4%
0.6%
医療機関
他の婦人相談所
社会福祉施設等
0.8%
2.0%
0.8%
教育関係0.6%
他の婦人相談員
2.1%
労働関係0.1%
法務関係2.3%
その他3.7%
DVセンター 法務関係
0.1%
0.1%
教育関係
0.1%
医療機関
0.1%
福祉事務所4.6%
縁故者・知人
2.8%
来所
民間シェルター
10.2%
他の相談機関
5.4%
本人自身
82.3%
5
19
24
警察関係9.3%
教
育
関
係
10
5
15
労
働
関
係
1
0
1
他
の
婦
人
相
談
所
1
0
1
他
の
婦
人
相
談
員
7
4
11
福
祉
事
務
所
他
の
相
談
機
関
38 80
10 71
48 151
- 80 -
社
会
福
祉
施
設
等
9
1
10
医
療
機
関
17
23
40
民
間
シ
ル
タ
縁
故
者
・
知
人
18 75
17 40
35 115
D
V
セ
ン
タ
ー
長 崎 1,043 77
佐世保
337 29
県 計 1,380 106
法
務
関
係
本人自身
69.5%
ー
警
察
関
係
等
ェ
本
人
自
身
電話
縁故者・知人6.0%
等
電話
相談
12
9
21
社
会
福
祉
施
設
等
ー
538
156
694
法
務
関
係
他
の
相
談
機
関
福
祉
事
務
所
ー
長 崎
佐世保
県 計
警
察
関
係
他
の
婦
人
相
談
員
ェ
来所
相談
本
人
自
身
他
の
婦
人
相
談
所
8
2
10
そ
の
他
計
26 1,415
13 571
39 1,986
(2)主訴の内訳
主訴の 57%が夫等の問題(元夫、内夫等含む)に関する相談で、全体の 42%が暴力
被害に関しての相談である。また、暴力被害の内、加害者は夫等が 84.8%と大きな
割合を占めている。内、男性被害者からの相談は来所が 1 件、電話 8 件であった。
主訴別割合
主訴
夫等からの暴力
酒乱・薬物中毒
夫等
離婚問題
その他
夫等の問題
子どもからの暴力
子ども
養育困難
その他
子どもの問題
親からの暴力
人
間
関
係
親族
親族からの暴力
その他
親族の問題
交際相手
交際相手からの暴力
その他
交際相手の問題
家庭不和
その他の者からの暴力
男女問題
ストーカー被害
不純異性交遊
その他
その他の人間関係の問題
住 住宅問題
宅
帰住先なし
関
住宅問題
係
生活困窮
経 借金・サラ金
済
求職
関
係 その他
経済問題
病気
医 精神的問題
療
妊娠・出産
関
係 その他
医療問題
売 売春防止法第5条違反
春
売春強要
関
売春問題
係
計
内訳
合 計
来所等 電話等
327
676 1,003
0
3
3
169
270
439
51
125
176
547 1,074 1,621
3
14
17
16
6
22
50
96
146
69
116
185
25
68
93
5
6
11
21
52
73
51
126
177
7
38
45
5
9
14
12
47
59
18
52
70
1
13
14
5
25
30
0
18
18
0
0
0
16
72
88
40
180
220
26
60
86
3
13
16
29
73
102
10
29
39
5
10
15
17
50
67
14
21
35
46
110
156
1
14
15
42
228
270
1
8
9
5
8
13
49
258
307
0
1
1
0
1
1
0
2
2
843 1,986 2,829
- 81 -
住宅問題
3.6%
経済問題
5.5%
交際相手の問
題
2.1%
売春問題
0.1%
親族の問題
6.3%
その他の人間
関係の問題
6.3%
夫等の問題
(元夫、内夫
等含む)
57.3%
その他の人間
関係の問題
7.8%
医療問題
10.9%
暴力被害の割合
その他
の相談
58%
暴力被
害に
関する
相談
42%
暴力被害の相手
子どもから
1.4%
交際相手か
ら
3.8%
親から
7.9%
その他の者
から
1.2%
夫等から
(元夫、内夫
等含む)
84.8%
親族から
0.9%
(3)来所等相談の内訳
①年齢の内訳
30 代からの相談が 1/3 を占め、
それに次ぐ 40 代、
20 代の相談で 75%を占めているが、
高齢年代からの相談も多く年齢層は幅広くなっている。
18
歳
未
満
18
∼
19
歳
長 崎
1
佐世保
0
県計
1
20
30
40
50
代
代
代
代
10 118 225 125
60
∼
64
歳
65
歳
以
上
不
計
明
73
36
77
3 668
43
13
6
9
0 175
12 154 291 168
86
42
86
3 843
2
36
66
不明
0.4%
65歳以上
10.2%
②職業の内訳
60∼64歳
5.0%
20代
18.3%
50代
10.2%
③住所地の内訳
の内、職を持たない者からの相談が半数を超えており、
経済的自立への支援が必要となっている。
無職
サービス業
販
売
従
事
者
工
員
長 崎 41
61
佐世保 14
県 計 55
そ
の
他
の
職
業
専
業
主
婦
ホ
そ
の
他
13
3
63
80
93
2
285 11
16 668
11
7
3
11
18
57
0
48
4
72
20
6
74
98 150
2
333 13
事務従事者
6.5%
学 生
1.5%
ー
風
俗
営
業
関
係
工 員 不 明
2.4%
2.4%
ム
レ
ス
そ
の
他
風俗営業関係
0.6%
ホームレス
0.5%
販売従事者
8.5%
無職
39.5%
その他の
サービス業
7.6%
その他の職業
11.6%
30代
34.5%
40代
19.9%
無職が一番多く、専業主婦が次いでおり、来所相談者
事
務
従
事
者
18歳未満
0.1%
18∼19歳
1.4%
専業主婦
17.8%
- 82 -
学
生
2
不
明
計
175
20 843
住所地
長崎市
佐世保市
島原市
諫早市
大村市
平戸市
松浦市
対馬市
壱岐市
五島市
西海市
雲仙市
南島原市
長与町
時津町
東彼杵町
川棚町
波佐見町
小値賀町
佐々町
新上五島町
県外
不明
計
長崎 佐世保
県計
センター センター
475
14
5
51
33
0
1
0
0
1
5
3
7
26
20
0
0
1
0
0
3
18
5
668
3
137
0
1
2
4
2
0
0
0
7
0
0
0
0
2
5
5
0
1
0
6
0
175
478
151
5
52
35
4
3
0
0
1
12
3
7
26
20
2
5
6
0
1
3
24
5
843
3
保護命令取扱い件数の推移
DV 被害者保護のため、保護命令の対象になり得る身体的暴力等の被害者には保護命
令申立書の作成支援を行っている。
内容
年度
長崎
佐世保
県計
H25
19
5
24
作成支援
H26
25
3
28
H27
24
5
29
H25
15
2
17
書面提出
H26
5
3
8
H27
4
7
11
参考)配偶者暴力に関する保護命令手続きの流れ
配偶者等から身体に対する暴力又は
生命等に対する脅迫を受けた者
※男女不問。事実婚や、生活の本拠を共にする交際相手も含む。
関係解消後も、引き続き暴力を受ける場合も含む。
ステップ① 警察か、配偶者暴力相談支援センターに相談しておくか、公証役場で宣誓供述書を作成する。
相談
警 察
相談
連携
配偶者暴力相談支援
センター
地裁から書面提出依頼と通知
○長崎こども・女性・障害者
支援センター(婦人相談所含む)
○佐世保こども・女性・障害者
支援センター
○長崎市
○南島原市 相談・援助・保護
公証役場
「宣誓供述書」を
作成
ステップ②地方裁判所へ[保護命令]の申立て
○被害者への接近禁止(6ヶ月)
○電話等通信の禁止(6ヶ月)
○同居の子への接近禁止(6ヶ月)
○親族等への接近禁止(6ヶ月)
○住居からの退去(2ヶ月)
発
令
保護命令違反に
対する罰則
1年以下の懲役又は
相手方
100万円以下の罰金
- 83 -
4
事業
(1)女性のための心のサポート事業
長崎センターでは、暴力の被害等により心に大きな傷をもつ相談者に対して、心理
的側面からケアを行い、相談者の自立支援を促進することを目的に、平成 23 年 1 月
から精神科医師による相談を実施している。H25 年度から実施回数が半減となったこ
とに伴い、相談件数が著しく減少した。
年 度
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
精神科医師による相談
27
8
14
5
(2)弁護士相談事業
相談者が抱える各種問題に関する法律的解釈についての相談及び助言を得ること
で、女性支援業務を円滑に進め、相談者の自立支援を促進することを目的に、長崎セ
ンターは平成 23 年 3 月から、佐世保センターは平成 24 年 4 月から実施している。
また、長崎センターの弁護士相談は、平成 25 年度からは法律相談(後述、Ⅲ一時
保護の「法律相談」
)に計上している。
形 態
24 年度
Fax
28
訪問
20
Fax
13
25 年度
26 年度
27 年度
備 考
Ⅲ 一時保護の
「法律相談」に計上
長 崎
-
-
-
佐世保
所内での相談を含む
訪問
24
12
18
19
(3)民間支援団体との協働事業
「長崎モデルの推進によるDV対策」の充実のため、平成 21 年度から民間支援団体
(NPO法人)と協働し、DV被害者へのきめ細かな自立支援を行い、被害者の心身
の回復を促進している。平成 27 年度は連携会議を 24 回(86 ケース)行った。
当初計画をしていたDV被害を受けた母子の心理的ダメージ回復のための母子同
時並行心理教育プログラム「コンカレントプログラム」については、対象者がおらず、
開催は見送りとなった。
- 84 -
5
研修会の開催・講師派遣等
(1) 研修会(主催)
名
称
月 日
婦人相談員等(女性相談
担当職員)研修会
県北地区女性相談関係
機関意見交換会
6 月 16 日
テーマ
参加者
・DV被害者の診療・診察を通して感じること
関係機関
・DV相談等女性相談の理解と支援について
職員
関係機関
9 月 10 日 「女性相談について」
職員
(2) 連携会議(主催)
名
称
月 日
第 1 回配偶者暴力相談支援
センターネットワーク会議
県南地区女性相談関係機関
意見交換会
県北地区女性相談関係機関
意見交換会
参加機関
6 月 16 日 長崎市・南島原市・長崎センター・佐世保センター・長崎県
警察・市町・社会福祉協議会・犯罪被害者支援センター・NPO・
8 月 21 日
法テラス・男女共同参画推進センター・両センター・長崎県
司法・警察・市町・民間シェルター・NPO・犯罪被害者支援セ
9 月 10 日
ンター・福祉事務所・両センター・長崎県
(3) 講師等派遣
名
称
月
被害者支援員養成講座
日
主
7 月 25 日
平成 27 年度長崎県戸籍住民基本台
帳事務協議会支援措置事務研修会
10 月 28 日
催
派遣職員
犯罪被害者等早期援助団体
長崎センター
長崎被害者支援センター
課長
長崎県戸籍住民基本台帳
長崎センター
事務協議会
係長
(4) 視察研修等の受け入れ
名
称
月
「恋愛感情のもつれに起因する暴力的
事案への対策等実務専科」生研修
警察学校「生活安全任用科」生の施設
訪問及び講義
インターン実習
日
依頼者
9 月 15 日 長崎県警察本部
10 月 22 日 長崎県警察本部
8 月 19 日
長崎・活水女子・
純心大学
内容
施設見学及び講義
(長崎)
施設見学及び講義
(長崎)
講義(長崎)
(5) 勉強会(主催)
名
称
ペアレント・トレーニング教室(6 回コース)
月 日
対象
6 月 18 日∼9 月 11 日
DV被害者 2 名
ペアレント・トレーニング教室(フォローアップ研修) 11 月 11 日
- 85 -
DV被害者 3 名
(Ⅲ) 一時保護
1 一時保護の状況
○ 「夫等による暴力から逃れる必要がある」
「帰住先がない」など、電話や来所による助言指導
だけでは解決が困難な問題で、緊急に保護することが必要と認められた場合、本人の意向に
基づき、援助の施策が決定するまでの間、一時保護を行っている。
○ 入所期間中は、安全を確保し、心身の休養と安定を図るとともに、さまざまな社会資源に関す
る情報を提供するなど、入所者の自立更生に向けた支援、行動観察、生活指導及び、入所者の
生活向上のための講習会開催等を行っている。
○ 昨年度は女性が 55 人、同伴児を含む同伴家族が 40 人に上っている。いずれの相談も問題が
複雑に絡み合い、自立までには多くの支援を要する。近年、障害者や高齢者も増加しており、
市町の障害者支援部門・高齢者支援部門との連携が重要となっている。また、警察などから
の通報による夜間・閉庁日の時間外入所者については、全体の 58.2%と依然高い割合となっ
ている。
○ 平成 27 年度の平均保護期間は 15.0 日であるが、1∼5 日の入所が 25.5%、6∼10 日の入所が
29.1%のように短期間の入所が全体の過半数(54.5%)を超えている。退所後の生活安定の
ためには、住居や経済的課題の解決を図り、DVケースの場合はさらに安全確保策も講じた
上で、新たな生活の見通しを立てることが必要になる。しかしながら、短期間の入所者のう
ち退所先が「帰宅」
「帰郷」が 34.5%、
「実家」や「親族宅」を含めると 61.8%となる。短期
間で退所した場合は、一時的な安全確保のみに止まり、問題解決に至らず再入所するケース
もある。
○ 退所に際し、経済的支援策として、10 人が生活保護の申請を行った(入所前から生活保護の
適用を受けていた者は 9 人)。
平成27年度一時保護状況
女
同
伴
児
計
0
0
(理由別)
その他
0
民間
シェルタ
ー
0
DVセン
ター
0
知人縁故
9
医療機関
6
一時保護延人員
826
474
1,300
福祉施設
1
他相談
機 関
0
福祉
事務所
0
他の婦員
0
他県婦相
28
教育関係
10
法務関係
女性
性
等
童
警察関係
本人自身
(経路別)
一時保護実人員
55(内、外国人 1)
40
95
1
(人)
計
55
(人)
人間関係
経済関係
医療関係
帰省先
なし
不純異性
交遊
売春防止
法 5 条違反
その他
計
女 性
49
3
0
1
0
2
0
55
〔人間関係内訳〕DV(配偶者等からの暴力)38 人 子どもからの暴力 2 人 親からの暴力 1 人
その他親族からの暴力 1 人 同性の交際相手からの暴力 1 人 その他の者からの暴力 2 人
家庭不和 3 人 その他 1 人
(年齢別)
18 歳
未満
0
年齢別
(人)
18 歳 ∼
19 歳
3
20 歳 ∼
29 歳
14
30 歳 ∼
39 歳
16
40 歳 ∼
49 歳
9
- 86 -
50 歳 ∼
59 歳
4
60 歳 ∼
69 歳
8
70 歳
∼
1
計
55
(年齢別)
(理由別)
帰省先 なし 1.8%
売春防止法5条違反
3.6%
経済関係 5.5%
その他の人間関係
1.8%
18歳未満 0%
70歳∼ 1.8%
18歳∼19歳5.5%
60歳∼69歳 14.5%
家庭不和 5.5%
20歳∼29歳 25.5%
その他の者からの
暴力3.6%
50歳∼59歳 7.2%
同姓の交際相手か
らの暴力1.8%
その他親族からの
暴力1.8%
DV(配偶者等から
の暴力) 69%
親から暴力 1.8%
40歳∼49歳 16.4%
子どもからの暴力
2.6%
30歳∼39歳 29.1%
(住所地別)
4
新上五島町
1
波佐見町
2
長与町
1
南島原市
0
西海市
1
五島市
0
対馬市
2
松浦市
3
平戸市
1
大村市
4
諫早市
28
島原市
人数
佐世保市
長崎市
住所地
1
1
県 外
6人
49 人
計
55 人
(入所期間別)
(
1∼5 日
6∼10 日
11∼15 日
16∼20 日
21∼30 日
)は DV 被害者を再掲
31 日以上
合
計
要保護
女子等
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
23 年度
19(11)
51
18(12)
133
10(6)
130
9(7)
156
11(6)
292
17(15)
807
84(57)
1,569
24 年度
35(26)
101
18(12)
151
12(6)
157
9(5)
155
11(9)
276
18(12)
811
103(70)
1,651
25 年度
30(21)
98
15(11)
121
15(9)
203
9(4)
166
16(11)
405
16(14)
784
101(70)
1,777
26 年度
21(15)
68
7(5)
56
8(4)
100
5(3)
90
10(10)
265
19(13)
871
70(50)
1450
27 年度
14(10)
38
16(11)
123
4(3)
53
6(3)
112
6(5)
154
9(7)
346
55(39)
826
(
同伴する家族
1∼5 日
6∼10 日
11∼15 日
16∼20 日
)は DV 被害者同伴児童等を再掲
21∼30 日
31 日以上
合
計
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
人員
延人員
乳
児
4
7
4
32
0
0
1
19
0
0
0
0
9(7)
58
幼
児
10
27
3
21
1
13
1
19
3
66
2
81
20(19)
227
小
学
生
3
7
3
23
0
0
1
19
0
0
2
95
9(9)
144
中
学
生
0
0
0
0
0
0
1
19
1
26
0
0
2(2)
45
義務教育終了児
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0(0)
0
18歳以上
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0(0)
0
計
17
41
10
76
1
13
4
76
4
92
4
176
40(37)
474
- 87 -
0
0
0
合計
0
1
1
その他
0
1
1
無断退所
1
0
1
帰国
0
2
2
他の社会
福祉施設へ
4
0
4
福祉事務所
母子生活支
援施設へ
2
0
2
病院へ入院
10
3
13
自費で利 用で きる
ステップハウス等
13
6
19
友人・知人宅へ
7
3
10
帰郷
1
0
1
帰宅
自立
DV を主訴とする者
要 保 護 女 子
合
計
婦人保護施設へ
(一時保護処理別)
1
0
1
39
16
55
*次年度へ繰越は0件
*その他:福祉事務所へ引き渡し
*DVにより保護を求めた者のうち、直近の自宅へ帰宅している者で本人の意向による強引な退所以外は、別居、
収監等で加害者が在宅しておらず、警察・地域の関係機関・親族との連携により当面の安全が確保されたもの
である。
(一時保護処理別)
(入所期間別)
帰国 1.8%
他の社会福祉施設
1.8%
母子生活支援施設
1.8%
1∼5日 25.5%
31日以上 16.4%
その他 1.8%
婦人保護施設
1.8%
入院 3.6%
21∼30日 11%
自立 18%
ステップハウス等
7.3%
友人・知人宅 3.6%
16∼20日 11%
6∼10日 29%
帰宅 34.5%
11∼15日 7.3%
帰郷 23.6%
*
入所期間が 31 日以上に及ぶケースは、生活保護申請手続き完了、保証人の調整、本人の意思決定を待ち支援の方針が定まる
などに時間を要したものである。
(一時保護状況の推移)
女
性
同伴児童等
合
計
平均保護期間
1日平均
保護者数
保護期間最長
次年度へ継続
( )は DV 被害者を再掲
H26 年度
H27 年度
H23 年度
H24 年度
H25 年度
実人員
84(57)
103(70)
101(70)
70(50)
55(39)
延人員
1,569
1,651
1,777
1,450
826
実人員
55(50)
70(63)
82(60)
66(61)
40(37)
延人員
1,772
1,282
1,844
1,795
474
実人員
139
173
183
136
95
延人員
3,341
2,933
3,621
3,245
1,300
女
18.6
16.0
17.6
20.7
15.0
32.2
18.3
22.5
27.2
11.9
4.3
4.5
4.9
4.0
2.3
4.8
3.5
5.0
4.9
1.3
114
82
98
89
50
114
82
98
87
50
8
5
2
2
0
3
9
3
2
0
性
同伴児童等
女
性
同伴児童等
女
性
同伴児童等
女
性
同伴児童等
- 88 -
(一時保護状況推移)
120
88
100
101
87
103
93
101
84
80
87
74
60
70
70
82
55
64
70
66
40
55
女性
同伴児童等
40
20
0
度
度
度
度
度
度
度
度
度
年
年
年
年
年
年
年
年
年
9
0
1
2
3
4
5
6
7
1
2
2
2
2
2
2
2
2
成
成
成
成
成
成
成
成
成
平
平
平
平
平
平
平
平
平
2
判定業務
○ 暴力被害等により心理的・医学的なケアを要するケースが増加していることから、女性本人や
同伴児童等に対し、心理判定員による心理判定、精神神経科医師による医学診断を実施し、
適切な助言指導を行うとともに必要に応じて福祉施策や治療につないでいる。
平成 27 年度の心理検査・面接による心理判定の延べ人数は、入所者数減も影響し減少している。
なお、心理判定の結果は、入所者や同伴児のパーソナリティーの理解や退所後の生活の安定を
図るために活用した。また、知能検査を実施した入所者 12 人中、IQ75 以下の者は 5 人で、
その内 2 人に療育手帳制度の説明を行い福祉施策の活用を促した。
(延べ人数)
女
性
同伴児童等
15 人
334 人
10 人
37 人
性格検査、知能検査
心理面接
発達検査、知能検査
心理面接
合
計
349 人
47 人
396 人
○ 医学診断においては、「要受診」者が 2 人で 14%となり、昨年度から 4 割減少している。
その 2 人については、その後精神科への通院へ繋ぎ、治療開始となっている。
平成 27 年度の入所者の内、精神科通院中の者は 9 人で、昨年度と同数であった。うち、精神
障害福祉手帳所持者はいなかったが、2 人に対して同手帳申請に向けて情報提供を行った。
(延べ人数)
嘱
託
診
医
察
医学的介入不要
女
性
要 経 過 観 察
要
受
診
医学的介入不要
同伴児童等
要 経 過 観 察
要
受
診
診断書等の作成
14 人
0人
2人
4人
ケース相談
合
7人
5人
2人
0人
0人
0人
20 人
計
- 89 -
○ 服薬管理
平成 23 年度から急増した服薬管理を要する入所者について、平成 27 年度は 12 人と入所者の
22%であり依然高い割合を占めている
(23 年度 39%、
24 年度 11%、
25 年度 26%、
26 年度 20%)
。
持病や障害等を有する入所者に対し、細やかな対応が行えるよう医療専門職の配置が望まれる。
3
同伴児童に対する訪問教育
○
一時保護している同伴児童の教育を保障するため、全国でも先駆的な取り組みとして、県教委・
市教委との連携により、平成 17 年度から、専任の教諭が派遣されている。一時保護所の移転・
改修により、平成 20 年度からは専用の学習室も整備され、さらに平成 22 年 11 月には屋内運動
施設も完成し体育の授業も可能になった。
○ 訪問教育は、毎週月∼金曜日(祝日を除く)の午前若しくは午後に 3 時限の授業を実施しており、
実施時間割については、毎年度担当教諭と協議の上決定している。
○ 平成 27 年度は、同伴児童のうち小学生 6 人、中学生 2 人へ訪問教育を実施した。
○ 児童の教育の機会を保障し、学力の遅れを取り戻すばかりでなく、児童が児童らしく過ごす機会
の提供、学校復帰に対する不安感の軽減等の効果が得られている。また、DV被害から逃げてき
た母親達が、子どもを巻き添えにしたことの罪悪感から解放されるなど、予想を超えた効果もも
たらしている。
4
同伴児童に対する心理支援
○
一時保護という流動的な環境に置かれた同伴児童に対する心理的ケアの取り組みとして、H26年度よ
り、『あれこれ会』と称し『コンカレント・プログラム』の一部を心理判定員が行っている。
○ 『コンカレント・プログラム』とは、DV被害を受けた母子への同時並行心理教育プログラムであり、
参加した児童の自尊心の低下、感情表出の不得手、暴力的傾向の改善を目的としている。
○ H27年度は全同伴児童のうち、幼児2人、小学生2人、中学生1人の計5人が参加し、延べ13回プログラ
ムを実施した。同プログラム実施においては、次頁「7 関係機関との連携」に記載の「長崎県DV被害
者等自立支援事業」を委託しているNPO法人のスタッフ1人が8回参加している。
○ 今後も同伴児童に対する心理支援について理解を深めてもらうために関係機関との連携を図って行
きたい。
5
法律相談
○ 保護命令、離婚に付随する問題等、司法上の問題が増加しており、手間と時間を要する極め
て専門的な法的対応が求められているため、平成 18 年度から法律相談を実施し効果的活用を
図っている。平成 25 年度からは、弁護士相談事業(前出)において実施していた『FAX による
相談』を当相談に組み込み一本化した。(25 年度 31 件、26 年度 25 件、27 年度 20 件)
月
来所相談部門
一時保護
職員の相談
合
計
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
延人員
0
2
1
3
1
4
0
5
1
4
1
6
1
2
0
3
3
2
0
5
4
2
0
6
6
1
0
7
3
0
0
3
4
2
1
7
4
0
1
5
4
3
0
7
3
2
1
6
34
24
5
63
- 90 -
6
所内研修
○ 一時保護入所者の心理的安定や生活力向上を図るため、入所者の状況に応じた研修を行っている。
・ 売春防止法に関する研修(6月)
・ 健康講座(8月)
・ 防災講座(10月)
・ メディア講座(4、7、9月)
7
○
関係機関との連携
入所者は様々な問題が複雑に絡み合っていることも多く、関係機関との連携により支援を行って
いる。
対 象 者
関 係 機 関 名
連 携 内 容
(延べ数)
警察
49 人
被害者の保護など
福祉事務所
21 人
生活保護など
医療機関
16 人
病状、服薬管理確認など
ハローワーク
33 人
就労支援、研修会など
民間団体(*1)
12 人
退所後の自立支援など
法テラス、弁護士
6人
離婚、借金問題の相談
当センター 児童部門
〃
11 人
障害部門
佐世保支援センター
児童部門
佐世保支援センター その他
同伴児童の一時保護など
2人
診察、療育手帳取得
1人
同伴児童に関する情報共有など
1人
情報共有など
市町子育て支援担当課
10 人
退所後の養育支援など
市町その他
14 人
障害、高齢担当課など
他県児童相談所
1人
その他(*2)
20 人
*1
情報提供
入退所に関する支援など
民間団体: NPO 法人 DV 防止ながさき、国際ソロプチミスト長崎
*2 そ の 他: 地方検察庁、教育委員会、保健所、保護観察所、:児童福祉施設、老人福祉施設
教育機関、他県の婦人相談所
○ 長崎県DV被害者等自立支援事業について
この事業は、婦人相談所一時保護所の退所者等に対し、相談支援員を派遣した同行支援や家庭
訪問及び心理回復プログラムを行うことにより、DV被害者等の退所後の自立支援を図ること
を目的としている。NPO法人DV防止ながさきに業務を委託して実施されており、平成 27
年度は 9 人が退所後継続して支援を受けた。
なお、本事業により、一時保護所退所後の生活に対する不安軽減に大きな効果がもたらされて
いる。
8
婦人保護施設への措置業務
○ 長期に亘る更生指導・支援が必要な女性を、自力で社会生活が営めるまでの間、婦人保護施
設に措置している。
○ 平成 27 年度は、女性 1 人、同伴児 3 人の措置を行った。
- 91 -
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