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Confusion Assessment Method for the ICU
CAM-ICU (Confusion Assessment Method for the ICU) 2014.3.10 勉強会 伊原 慎吾 • CAM-ICUって何? →せん妄(Delirium)の診断ツール RASS スコア 用語 説明 +4 好戦的な 明らかに好戦的な、暴力的、スタッフに対する差し 迫った危険 +3 非常に興奮した チューブ類またはカテーテルを自己抜去、攻撃的 +2 興奮した 頻繁な非意図的運動、人工呼吸器ファイティング +1 落ち着きのない 0 意識清明 落ち着いている 不安で絶えずそわそわしている 動きは攻撃的でも活発でもない 完全に清明ではないが、呼びかけに10秒以上の開 眼、アイコンタクト可 -1 傾眠状態 -2 軽い鎮静状態 -3 中等度鎮静 -4 深い鎮静状態 呼びかけに無反応、身体刺激で動きまたは開眼 -5 昏睡 呼びかけにも身体刺激にも無反応 呼びかけに10秒未満アイコンタクトあり 状態呼びかけに動きまたは開眼で応答 アイコンタクトなし 呼びかけ刺激 呼びかけ刺激 呼びかけ刺激 身体刺激 身体刺激 Sessler, et al. AJRCCM 2002; 166:1338-1344. せん妄 • 定義 「時間または日単位で変動する認知機能の低下を伴う意識 障害」 せん妄 • DSM-Ⅳによると ①周囲を認識する清明度が低下する意識障害があり、注意を 集中し、維持し、転換する能力低下を伴う ②記憶欠損、失見当識、言語障害などの認知機能の変化や知 覚の障害が出現するが、これが認知症によるものではない ③障害は数時間から数日の短期間のうちに出現し、1日のうち で変動する傾向がある ④病歴、身体所見、臨床検査所見から、症状が身体疾患の直 接的結果によるという根拠がある。 ①~④すべてを満たすもの 精神科専門医でも正確な診断は困難 DSM-Ⅳ: Diagnostic and Statistical Manual of Mental disorder-Ⅳ せん妄 • DSM-Ⅳによると ①周囲を認識する清明度が低下する意識障害があり、注意を 集中し、維持し、転換する能力低下を伴う ②記憶欠損、失見当識、言語障害などの認知機能の変化や知 覚の障害が出現するが、これが認知症によるものではない ③障害は数時間から数日の短期間のうちに出現し、1日のうち で変動する傾向がある ④病歴、身体所見、臨床検査所見から、症状が身体疾患の直 接的結果によるという根拠がある。 ①~④すべてを満たすもの 精神科専門医でも正確な診断は困難 DSM-Ⅳ: Diagnostic and Statistical Manual of Mental disorder-Ⅳ せん妄 • 【意識】・・・意識レベルの変化 • 【注意】・・・集中力欠如 • 【認知・知覚】・・・無秩序な思考 (急に起こった認知症) せん妄 • 【急性】・・・数時間~数日のうちに変動 • 【身体疾患】・・・身体疾患による 急性脳不全 認知症→慢性脳不全(年単位) せん妄 せん妄 非せん妄 34% > 15% (p=0.03) JAMA. 2004;291(14):1753-1762. ICUでのせん妄期間ごとのKaplan-Meier 生存曲線 Log-rank chi-square statistic = 28.3; degrees of freedom = 3; P < 001. Am J Respir Crit Care Med 2009, 180, 1092-1097. せん妄 • • • • 死亡率の上昇 在院日数増加 医療費増大 長期的な認知機能低下 にも関連する JAMA. 2004;291(14):1753-1762. せん妄 • ICUのせん妄は過少評価されている せん妄 • ICUでのせん妄発生率は30%~80% せん妄の種類 • 過活動型(hyperactive delirium) 過剰覚醒、不穏 • 低活動型(hypoactive delirium) 意識低下、無気力 • 混合型(mixed type delirium) 不穏と無気力が交互にあらわれる 614例のICU患者 せん妄 とそのサブタイプ 43.5% 54.9% 1.6% J Am Geriatr Soc 2006; 54: 479-84 せん妄 とそのサブタイプについて Arch Surg. 2011;146(3):295-300. せん妄の種類 • ICUでは低活動型が 多く 死亡率が高い せん妄診断ツール • Confusion Assessment Method for the ICU (CAM-ICU) • Intensive Care Delirium Screening Checklist (ICDSC) せん妄診断ツール せん妄評価尺度98年改訂版 • • • • • • • • • • • • • • • • • • [重症度セクション] 睡眠覚醒サイクルの異常 1項目 知覚異常ならびに幻覚 1項目 妄想 1項目 情動の変容 1項目 言語 1項目 思考過程の異常 1項目 運動性焦燥 1項目 運動抑制 1項目 見当識 1項目 注意 1項目 短期記憶 1項目 長期記憶 1項目 視空間能力 1項目 [診断セクション] 症状発症のタイミング 1項目 症状の重症度の変動 1項目 身体の障害 1項目 16項目 せん妄診断ツール 成人ICU患者において、 CAM-ICUと ICDSCはせん妄のモニタリング 法として最も妥当であり信頼できる評価法である(Level A) せん妄診断ツール • 成人ICU患者において日常的なせん妄のモニタリングを行う (+1B) せん妄診断ツール • 本当に信頼できるの? CAM-ICU 感度 0.80、特異度 0.96 ICDSC 感度 0.74、特異度 0.82 DSM-Ⅳを基準として Crit Care; 16(4): R115. RASS スコア 用語 説明 +4 好戦的な 明らかに好戦的な、暴力的、スタッフに対する差し 迫った危険 +3 非常に興奮した チューブ類またはカテーテルを自己抜去、攻撃的 +2 興奮した 頻繁な非意図的運動、人工呼吸器ファイティング +1 落ち着きのない 0 意識清明 落ち着いている 不安で絶えずそわそわしている 動きは攻撃的でも活発でもない 完全に清明ではないが、呼びかけに10秒以上の開 眼、アイコンタクト可 -1 傾眠状態 -2 軽い鎮静状態 -3 中等度鎮静 -4 深い鎮静状態 呼びかけに無反応、身体刺激で動きまたは開眼 -5 昏睡 呼びかけにも身体刺激にも無反応 呼びかけに10秒未満アイコンタクトあり 状態呼びかけに動きまたは開眼で応答 アイコンタクトなし 呼びかけ刺激 呼びかけ刺激 呼びかけ刺激 身体刺激 身体刺激 Sessler, et al. AJRCCM 2002; 166:1338-1344. Richmond Agitation-Sedation Scale: RASS • ステップ1 30秒間患者を観察 視診のみにより、スコア0~+4を判定 • ステップ2 ①大声で名前を呼ぶか、開眼するように言う ②10秒以上アイコンタクトができなければ、繰り返す。 この①、②によりスコア-1~-3を判定 ③動きが見られなければ、肩を揺するか、 胸骨を摩擦する 身体刺激によりスコア-4~-5を判定 ※ 次いで、せん妄の評価(CAM-ICU)を行う PADガイドラインより • せん妄の危険因子を明示 認知症 高血圧 入室時の高い重症度 昏睡 • 予防目的に 早期離床が推奨(+1B) PADガイドラインより • 薬物療法は →予防も治療にもほとんど無力 伝統的に使用されているハロペリドール →効果に対する疑問も提起 「重症患者のせん妄に対するハロペリドールの有効性に は明確な根拠はない」と否定的な見解 せん妄のマネジメントについては詳しく書かれていない せん妄治療 • じゃあどうするの? 根拠はないが経験的には有効と感じているので従来通り使 用するか クエチアピンなどの非定型抗精神病薬にもある程度期待 →過活動型せん妄などに対して急速に鎮静を必要とする場 合にもこれらの薬物に即効性を期待することは困難 DEXにはせん妄治療薬としての可能性も期待 まだまだデータ不十分。 せん妄 • 現在のところ せん妄管理に確実に有効なものは 「早期リハビリテーション」のみ 有効の可能性 「適切な疼痛管理」 「過鎮静の予防」 「鎮静薬の減量」 「必要最低限の鎮静レベルでの管理」 • ただ・・・ 身体疾患が原因のため、原因検索除去を考える 緩和/予防不可能な危険因子 緩和/予防できる可能性がある危険因 子 患者要因 年齢(65歳以上) 高血圧の既往 既存の認知障害 アルコール使用 喫煙 うつの既往 感覚遮断(聴覚、視覚障害) 急性疾患 重症疾患 呼吸器疾患 内科系疾患 人工呼吸器の必要性 多種類の薬物投与 炎症マーカー上昇 高い中性アミノ酸値 貧血 アシドーシス 低血圧 感染/敗血症 代謝障害(低酸素血症、低血糖、低カル シウム血症、低ナトリウム血症、高窒素 血症、高トランスアミラーゼ血症、高アミ ラーゼ血症、高ビリルビン血症) 発熱 疼痛 医原性また は環境因子 日光の欠如 隔離 訪室者がいないこと 薬物 不動(抑制など) 尿路カテーテル、血管カテーテル、胃管 睡眠障害 鎮静薬・鎮痛薬 NSAIDs、麻薬、ベンゾジアゼピン系薬、バルビツレート系薬 抗菌薬・抗ウイ ルス薬 アシクロビル、アミノグリコシド、アムホテリシンB、抗マラリア薬、 セファロスポリン系薬、サイクロセリン、フルオロキノロン系、イソ ニアジド、インターフェロン、リネゾリド、マクロライド系薬、メトロニ ダゾール、ナリジクス酸、ペニシリン系、リファンピン、サルファ剤 抗コリン薬 アトロピン、benztropine、ジフェンヒドラミン、スコポラミン、トリヘキ シフェニジル 抗痙攣薬 カルバマゼピン、レベチラセタム、フェニトイン、バルプロ酸、 vigabatrin 抗うつ薬 ミルタザピン、SSRI、三環系抗うつ薬 心血管系薬・降 圧薬 抗不整脈治療薬、β遮断薬、クロニジン、ジゴキシン、利尿薬、メ チルドパ コルチコステロイ ド ドパミンアゴニス ト アマンタジン、ブロモクリプチン、レボドパ、ペルゴリド、プラミペキ ソール、ロピニロール 消化器系作用薬 制吐薬、鎮痙薬、H2拮抗薬、ロペラミド その他中枢神経 ジスルフィラム、コリンエステラーゼ阻害薬、インターロイキン2、リ 作用薬 チウム、フェノチアジン系薬