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次世代のゴールドスタンダード?
B A C K P L A N E S 次世代のゴールド スタンダード? ATCA標準は、次世代インフラ アプリケーションで広く採用される 大きな可能性を秘める。 Robert Bielby / Sr. Director of Strategic Solutions Marketing, Xilinx, Inc. [email protected] 技術の進歩とトラフィック需要は、テレコム市 場の動向を変化させつつあります。ローカル エリ ア ネットワーク(LAN)におけるバンド幅の実質 的急増、ギガビットEthernetの展開、および長距 離ワイド エリア ネットワーク(WAN)における 高密度波形分割多重(DWDM)の成長のすべては、 非常に大量のデータ トラフィック サービスに対す る需要に火をつけました。 今日、テレコム トラフィック全体の80%が データ トラフィックであると考えられています。 このパーセンテージは上昇することが期待されて はいますが、サービス プロバイダは、従来の音声 サービス サポートの継続に心を留めているようで す。その理由は、プロバイダにとって、この基本 的な収入をもたらすサービスが、新しいサービス モデルを構築するための相当な投資がもととなっ ているからです。同時に、サービス プロバイダは、 広範囲な新しい技術を展開して、収入をもたらす 新しい機会に投資しようとしています。 従来の音声 サポートと将来性のあるデータ サー ビスの両方に対応する新しく修正されたレイヤ2技 術(Ethernet over SONET[EOS] 、Resilient Packet Ring[RPR] 、Metro Ethernet Forum [MEF]、その他多数)に焦点を当ててはいるので すが、プラットフォームそのものを開発する上で の課題が生じています。精力的な複数のビジネス モデルは、メガビット バンド幅あたり最小コスト の1つの連続したモデルを求めて突き進んでい ます。 33 B A C K P L A N E S 「データに好都合な」レイヤ2技術は、 表1 PICMG2とPICMG3の特長の比較 既存のいくつかのインフラで、データ転送 コストを削減するために長い努力をしてき 属 性 PICMG2 CPCI PICMG3 ATCA ました。しかし、それらの節約を超えて、 ボード サイズ 57" sqr. + 2 Mez 140" sqr. + 4 Mez 更なるコスト削減を遂げようとする動きは、 ボード消費電力 35∼50W 150∼200W バックプレーン バンド幅 ∼ アクティブ ボード数 21 16 電源システム セントラル コンバータ 5、12 3.3V バックプレーン 分散コンバータ デュアル48Vバックプレーン 採用するということです。この傾向は、最 管理 OK 先進的 近の経済不況により悪い影響を受けていま I/O 制限有 広範囲 クロック、アップデート、テスト バス No Yes ルの機器プロバイダは企業規模を縮小し、 準拠規格 ベンダ固有 標準規格 外部からの技術を使おうとしているので マルチ ベンダのサポート 広範囲 現在制限有 す。さらに、販売収益の減少、増化する技 シェルフの基本コスト 低い 中程度 ファンクショナル シェルフ密度 低い 高い ファンクションあたりのライフサイクル コスト 高い 低い 機器プロバイダをして基本的プラットフォー ム アーキテクチャを再考させることにな りました。 この業界での明瞭な傾向は、可能な分野 であればカスタム技術に替えて標準技術を す。それは、テレコム市場だけでなくほと んどすべてのインフラ市場で、トップレベ 術コスト、ハードウェアの急速な陳腐化、 および高い競争力獲得への意思が、標準 ベースのモデルに更なる重点を置くように 4 Gbps ∼ 2.4 Tbps なってきているのです。 次世代プラットフォーム製品の開発は、I/O信号性能の領域、 ATCAプラットフォームは、多くのベンダが競争力のあるソリュー もっと特定するとバックプレーン内といった大半のトラフィックが ションを市場に導入できるように、次の条件の下に設計されました。 集中している場所に限定されてきました。システム バンド幅の絶 即ち、2.5 Tbpsまでスケーラブルである、最大レートが40 え間ないスケーリングは、従来のバックプレーン信号技術とアーキ Gbpsのマルチプロトコル インターフェイスのサポートを提供す テクチャを超えています。加えて、現在の電源技術と冷却システム る、およびハイレベルのモジュラリティ(モジュール化が可能であ にも課題が残されています。 ること)とコンフィギャビリティ(コンフィギュレーションが可能 これらの技術的な要因と経済的な要因により、次世代インフラ アプリケーションのニーズに最適に対応するボードとシェルフのた めの1つの業界標準の定義に対する動きを引き起こしました。 であること)を提供することの3条件です。 ATCAアーキテクチャは、メディア ゲートウェイへの接続性要 求に対して最適化されており、同時に高性能コンピューティング エレメントに対応するスケーラビリティを提供しなければなりませ ATCA ん。ATCAは、主にシリアル信号技術、堅牢なシステム管理、およ 2001年に、600を超える企業と会社専門家たちが、将来のア び高性能電力供給と冷却のサポートなどの主要条件に基づいて、標 プリケーションの課題に対応できる標準化プラットフォームの定義 準および企業独自のファブリック インターフェイスの広い範囲に を共同で取り組みました。これが、PCI Industrial Computer 対応するスケーラブルなバックプレーン環境をサポートするように Manufacturers Group(PICMGTM)というコンソーシアムの創 立につながりました。以前、このコンソーシアムは、PICMG 2 (CompactPCI標準としても知られています)の定義に責任を負っ ていました。 定義されました。表1は、CPCI(PICMG 2)標準とATCA (PICMG 3)標準の重要な特長を比較したものです。 このコンソーシアムは、ATCA仕様を定義するのに階層的アプ ローチを採用しました。それは、新しいファブリック技術が進展し PICMG 3仕様からATCATM(Advanced Telecom Compute たときに、これをサポートできるようにするためです。これらのレ Architecture)と名づけられた次世代プラットフォームがつくら イヤ(層)は、PICMGのガイドラインに明記されており、それら れて、CompactPCI(CPCI)や企業独自のソリューションでは の幾つかは今日まですでに定義済みです。それには次のようなもの サービスできなかったアプリケーションの要求に対応することにな があります。 りました。 2003年1月に最終決定したATCA標準は、PICMGの歴史で最 も迅速に採用されたオープン仕様の1つになりました。ATCAの主 要な目的は、次世代システムの重要な課題に対応できる標準化作業 とそしてスケーラブルなプラットフォームのメリットを提供するこ とです。加えて、製品の差別化に悪い影響を与えるような制約を科 ●PICMG ● PICMG ●PICMG 性を持っていなければなりません。1つの重要な目的は、米国の ●PICMG European Telecommunications Standards Institute 機能をサポートし、キャリア グレードのテレコム アプリケー ションに採用されるプラットフォームにすることでした。 34 3.2−InfiniBandTMファブリック インターコネクトに対 する仕様 ●PICMG (ETSI・欧州電気通信標準協会) 、および99.999%利用性などの 3.1−EthernetとFibre Channelファブリック イン ターコネクトに対する仕様 すことなく、広い範囲のアプリケーションで使用できる十分な柔軟 Network Equipment Building Specification(NEBS)、 3.0−中核となる仕様で、アーキテクチャ、機械構造、 電源システム管理、ファブリック コネクタを定義 3.3−StarFabricTMインターコネクトに対する仕様 3.4−PCI ExpressTMファブリック インターコネクト に対する仕様 B A C K P L A N E S Crystal Cube Consulting 社の報告書は、 2007年までにATCA機器市場は 2,500億ドルを超えると示唆しています 現在、多くの新しいレイヤが提案されており、あるいは批准の過 程にあります。 いくつかのファブリック技術をサポートしているのに加え、その バックプレーンは、システムのボード間でのスター型接続とフル メッシュ接続の両方をサポートしています。システム管理は、 Intelligent Platform Management Interface(IPMI)1.5仕様 に基づいて作られています。各ATCAボードは単一のスロットで、 最大200Wまでをサポートしており、その電力はリダンダント 48V DC電源から供給されています。この結果できた新しい標準 を利用すれば、ソリューション プロバイダは、カスタム開発や企 業独自ソリューションよりもかなり低いコストで、高い利用性と高 性能をサポートしている製品を迅速に市場に提供することができ ます。 ATCA標準が最初に策定された2003年1月の実質出荷量0を ベースにこの成長を考えると、ATCAが現象的な量の注目と論評を 受けたのは驚くことではありません。 業界アナリストは、この標準の採用が異なる割合で種々のネット ワーク セグメントで起こるだろうと考えています。ネットワーク 内の採用される場所により享受するメリットが異なることを考える と、これはうなずけるものです。表2は、2007年までに各種市場 でATCAが採用される期待値を表したものです。 結 論 新しいビジネスと技術規範が、既存のビジネスと製品開発モデル に挑戦し続けています。ごく最近のインフラ市場の不況と多くの欠 陥ビジネス モデルの導入は、機器サプライヤが製品開発へのアプ ローチを再考させる原因となりました。 複数市場の特別なニーズの要求を包含する業界標準に基づき新し く外部導入されたモデルは、次の主要な規範への移行と考えられま す。機器サプライヤこの移行を抱きしめて、次世代プラットフォー ム ソリューションでの競争力を保たなければなりません。 多くの業界の専門家たちによって開発、定義、指示されてきた ATCA市場 インフラ市場のかなりの経済不況、競争原理市場のプレッシャ、 および次世代機器プラットフォーム開発に関連した複雑でコスト高 になる課題に対応する必要性が、 (テレコム企業を含む)多くの企 業に従来のビジネス・モデルを考え直させる原因となりました。か くて、業界アナリストは、ATCA標準が以前に導入されたPICMG 2などの標準よりもはるかに広く受け入れられると期待していま す。Crystal Cube Consulting Inc.の報告書は、2007年までに ATCA機器市場は2,500億ドルを超えると示唆しています。 ATCAプラットフォームの重要なメリットには、低い材料コスト、 速いtime-to-market、低い開発コストなどがあります。定義上、 この仕様はモジュール化されていますので、シリコン ソリュー ション、ボード、シャーシ、ミドルウェア、オペレーティング シ ステム、およびアプリケーションにまたがるビルディング ブロッ クのエコシステムを生み出すことが期待されています(すでに導入 ATCAは、広範な市場とアプリケーションでその性能と機能を増し ながら、コストを低下させ続ける新しい破壊的な技術としての役割 を果たす上ですばらしい将来性を持っています。 このプラットフォームに内在するスケーラビリティおよび広範な アプリケーションへの可能性と独自プラットフォームを開発するの に要する膨大な投資コストとの比較が(次世代バックプレーンをサ ポートするのに技術的に困難なシリアル信号技術を採用する必要性 により、事態はさらに悪化しており) 、機器サプライヤにこの新し いプラットフォームをまじめに考えさせる原因となっているの です。 これらのサプライヤがATCA標準に基づいて製品を作る意思表明 を開始すれば、モジュール コンポーネント サプライヤの全体のエ コシステムには、この新しく外部から導入されたモデルの成長にさ らに拍車を掛けてくるものと期待されています。 された製品にすでに見られます) 。 機器メーカのメリットはたくさん 表2 2007年に出荷されるATCAシステム ユニット数の予測値(機種別) (出典:RHK) 。 ありますが、それは、この標準ベー スのエコシステムにより、マーケッ トの参入/投資コストをより低くし、 在庫管理の効率をより高め、より高 い付加価値の差別化サービスに集中 し、かつコスト競争力のある製品を 提供することが出来るからです。 業界アナリストRHKは、2007 年までにATCA標準に基づいた 600,000以上のシェルフを出荷で きると期待しています。1台のシェ セグメント 機器の種類 ATCA システム数 2007 ワイヤレス アクセス BTS/Node B、BSC/RND、 トランスコーダ 38% ワイヤレス エッジ MSC、HLR、GGSN、SGSN/PDSN、 Billingサーバ、マルチメディア サーバ 50% ワイヤライン アクセス DSLAM、CMTS、MxU 1% エッジ エッジ ルータ、マルチサービス スイッチ、 光学エッジ デバイス 3% 新しいアクセス エッジ メディア ゲートウェイ、ソフトスイッチ、メディア サーバ 21% コアトランスポート コア ルータ、SONET/SDH、ADM、WDM <1% 信号方式 信号方式サーバ、STP、SCP ルフに16枚のカードが必要である と仮定すると、この出荷は960万 枚以上のATCAベースのライン カードに相当します。 5% 35