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Page 1 (19)日本国特許庁(JP) (12)特 許 公 報(B2) (11)特許番号 特許
JP 5026635 B2 2012.9.12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速放出医薬組成物の製造方法であって、工程:
(i)ロルノキシカムまたは薬理学的に許容しうるその塩を(a)アルカリ物質、(b)
充填剤、および任意に(c)他の薬理学的に許容しうる賦形剤と混合して粉末混合物を得
、
(ii)かくして得られた粉末混合物を水性媒体と接触させて湿潤粉末を得、
(iii)かくして得られた湿潤粉末を該粉末中の水分含量が最大5%w/wとなるまで室
温を超える温度で乾燥させて第一の粒状組成物を得、
(iv)かくして得られた第一の粒状組成物をふるいにかけ、
10
(v)任意に、さらに薬理学的に許容しうる賦形剤を加えて第二の粒状組成物を得、
(vi)かくして得られた第二の粒状組成物を圧縮して錠剤とし、ついで
(vii)任意に、かくして得られた錠剤をコーティングする、
を含み、
該迅速放出医薬組成物は、工程(i)∼(iv)によって得られた粒状組成物に基づいてお
り、該粒状組成物は、工程(i)で得られた粉末混合物の平均粒度に比べて最大100%
大きく、ふるい分析に供したときに少なくとも90%w/wの粒子が180μmのふるい
を通過するような粒度を有しており、
ロルノキシカムとアルカリ物質とが1:5の比であり、
該迅速放出医薬組成物は、0.07N塩酸を溶解媒体として用いた溶解法Iに従って試験
20
(2)
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したときに少なくとも90%w/wのロルノキシカムを該試験の最初の20分以内に放出
し、その際、該溶解法Iは、下記条件:
装置:固形剤型のためのPh.Eur.溶解試験およびUSP XXIII<711>装置2;
溶解媒体:900.0ml溶解媒体;
回転数:100rpm;
スターラー:パドル;
溶解媒体の温度:37℃±0.5℃;
溶解媒体:50.0gの塩化ナトリウムおよび141.6mlの濃塩酸を蒸留水に溶解し、
蒸留水で25Lまで希釈する
のもとにパドル法により行う
10
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
工程(ii)を、湿潤練合と湿潤休止との間隔をあけて行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(i)に使用するアルカリ物質が、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、水酸
化マグネシウム、アルミン酸メタ珪酸マグネシウムおよびそれらの混合物から選ばれる、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
充填剤が、乳糖、糖誘導体、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシ
ウムおよびそれらの混合物よりなる群から選ばれる、請求項1ないし3のいずれかに記載
20
の方法。
【請求項5】
工程(ii)に使用する水性媒体が水および有機溶媒を含む溶媒である、請求項1ないし
4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
有機溶媒が、エタノール、メタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブ
タノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2
−ペンタノール、3−ペンタノール、イソ−ペンタノール、tert−ペンタノールおよびそ
れらの混合物から選ばれる水と相溶性の溶媒である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
30
水性媒体中の該有機溶媒の濃度が、0%v/v∼95%v/vである、請求項6に記載
の方法。
【請求項8】
工程(ii)を、通常の高剪断ミキサーで行う、請求項1ないし7のいずれかに記載の方
法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法によって製造した組成物の、哺乳動物におけ
る急性の痛みを速やかに軽減するための医薬の製造のための使用。
【発明の詳細な説明】
【0001】
40
(技術分野)
本発明は、治療効果および/または予防効果の相対的に速いまたは迅速な開始を得るため
の、治療上および/または予防上有効な量の活性物質(または医薬物質)の投与用の経口
改変放出医薬組成物に関する。本発明による改変放出医薬組成物中に含まれる医薬物質は
、酸性条件下、すなわち胃内に存在するのと同様の条件下で非常に低い溶解度を有する医
薬物質および/または約5.5未満、たとえば約4∼約5の範囲のpKa値を有する医薬
物質が適している。本発明の医薬組成物は、2つの重要な要件が得られるような仕方でデ
ザインされている、すなわち、(i)本発明の医薬組成物が酸性条件下で医薬物質を非常
に速く放出し、それによって該医薬物質が溶解するようになり、従って胃への入り口に殆
どさしかかるや直ちに吸収のために利用されること、および(ii)本発明による医薬組成
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(3)
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物の機械的強度が充分に高くて医薬組成物の通常の取り扱いに耐えることができ、当業者
によりよく知られた伝統的なコーティング装置を用いて該組成物をコーティングすること
ができること。本発明による組成物は、たとえば、急性の痛みまたは穏やかなものから中
くらいのものまでの痛みに関連して、治療効果および/または予防効果の速い開始が望ま
れる場合に使用するのに適している。従って、適当な治療上および/または予防上の活性
物質は、とりわけ非ステロイド系抗炎症医薬物質(以下のように略される:NSAID物
質またはNSAID)として示される医薬物質のクラスに認められる。
【0002】
(発明の開示)
(発明が解決しようとする技術的課題)
10
医薬物質を即時放出(immediate release)すべくデザインした医薬組成物は当該技術分
野で知られている。
しかしながら、一般に、医薬物質の即時放出を可能にすべく記載されている類の組成物の
背後にある理論的根拠は、伝統的な調剤法(たとえば、(i)水中での崩壊時間が最大で
約30分である平板錠剤(plain tablets)、(ii)伝統的に調剤した顆粒剤(granulate
)または(iii)医薬物質自体の緩い(loose)粉末)を用いることである。そのようにす
ることにより、組成物の即時放出部分は平板錠剤調合物などに対応する仕方で医薬物質を
放出することを意図しており、そのような意味合いにおける「即時」なる語は医薬物質の
放出が徐放組成物からの放出よりも速いことを示すことを意図している。いわゆるSplash
DoseR、FlashDoseRおよびFlashtabsRの開発は、非常に速い崩壊時間を得ることに着目し
20
た医薬組成物の例である。そのような調合物は胃腸管で容易に可溶な医薬物質に使用する
には適しているが、溶解度の低い医薬物質に関連する問題は基本的に解決されない。
【0003】
とりわけ医薬物質が約1∼約3のpH、すなわち胃内のpHに対応するpHを有する酸性
媒体中で低い溶解度を有する場合には、伝統的な調合法では適当な速い崩壊時間を有する
が酸性条件下では該医薬物質の適当な速い溶解速度を必ずしも有しない医薬組成物へと導
くであろう、すなわち、平板錠剤は顆粒に速やかに崩壊するであろうが酸性条件下での該
組成物および/または崩壊した該組成物からの該医薬物質の溶解は該医薬物質自体の溶解
特性のために不適当に低いであろう。吸収に関して医薬物質の有効性(availability)、
すなわち循環系への移行は、溶解した形態で医薬物質が存在することに依存している。な
30
ぜなら、溶解した物質のみが胃腸管中の粘膜を通過できると一般に受け入れられているか
らである。それゆえ、速い初期の吸収を可能にして真に速いまたは即時の治療応答が得ら
れるように酸性の条件下でも医薬物質の溶解が適切に速いことが重要である。
【0004】
弱い酸である医薬物質については、真に速い治療効果を達成するために既に酸性条件下に
ある医薬物質の適切なバイオアベイラビリティーを確保することが非常に重要である。し
かしながら、速い効果の組合せの達成に関連して開示されている種々のアプローチは上記
要因をすべて考慮に入れているわけではないので、治療効果の真に速やかな開始を可能に
する組成物を開発する必要性が存在する。この目的のため、本発明者らはとりわけ通常N
SAIDと称される医薬物質のクラスに属する医薬物質を含む組成物に焦点を当てたが、
40
酸性媒体中で低い溶解度および/または約5.5未満のpKaを有する他の医薬物質も同
様に本発明による組成物に使用するのに適している。
【0005】
さらに、急性の痛み、穏やかなものから中くらいのものまでの痛みおよび/または炎症状
態および/または関連状態を患う患者は、NSAID物質の治療効果の速やかな開始を可
能とする投与量および調合物を非常にしばしば必要とする。投与剤型からの放出は、安全
で予測可能で信頼のおけるものでなければならない。さらに、技術的な観点から、組成物
からの活性医薬物質の放出速度および放出パターンは該組成物の貯蔵寿命を通じて有意に
変化してはならない。放出速度および/または放出パターンの変化は組成物のインビボで
の性能に有意の影響を及ぼす。
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【0006】
活性医薬物質の迅速な放出を意図した従来の組成物(たとえば、日本特許第33491/
90を参照)を試験したとき、本発明者らは得られる放出速度および錠剤の堅固さ(robu
stness)に関して問題を明らかにした。それゆえ、活性物質の迅速な放出に適した医薬組
成物の開発は、驚くべきことに一方で通常の取扱いに耐えられる充分な堅固さを有し(す
なわち、充分な機械的強度を有し)、他方で酸性の水性媒体中での活性医薬物質の速い放
出と溶解を可能とする組成物のバランスであると思われる。
【0007】
(その解決方法)
それゆえ、本発明の目的は、投与したときに活性医薬物質を循環系に速やかに送達するの
10
に有用な経口で使用するための医薬組成物を提供することである。
一つの側面において、本発明は、0.1N塩酸中、室温で最大約0.1%w/vの溶解度を
有する治療上および/または予防上活性な物質を含む、経口投与用の迅速放出医薬組成物
であって、
該組成物は、治療上および/または予防上活性な物質を含み、ふるい分析に供したときに
少なくとも約90%w/w、たとえば少なくとも約92%w/w、少なくとも約94%w
/w、少なくとも約95%w/w、少なくとも約96%w/w、少なくとも約97%w/
w、少なくとも約98%w/wまたは少なくとも約99%w/wの粒子が180μmのふ
るいを通過するような粒度を有する粉末に基づいており、該粉末は水性媒体と接触して粒
状(particulate)組成物を生成し、該粒状組成物は、ふるい分析に供したときに少なく
20
とも約50%w/w、たとえば少なくとも約55%w/w、少なくとも約60%w/w、
少なくとも約65%w/w、少なくとも約70%w/w、少なくとも約75%w/w、少
なくとも約80%w/w、少なくとも約85%w/w、少なくとも約90%w/wまたは
少なくとも約95%w/wの粒子が180μmのふるいを通過するような粒度を有してお
り、
該組成物は、0.07N塩酸を溶解媒体として用いた本明細書に規定する溶解法Iに従っ
て試験したときに少なくとも約50%w/wの活性物質を該試験の最初の20分以内に放
出するものである
ことを特徴とする組成物に関する。
【0008】
30
他の側面において、本発明は、0.1N塩酸中、室温で最大0.1%w/vの溶解度を有す
る治療上および/または予防上活性な物質を含む、経口投与用の迅速放出医薬組成物であ
って、
該組成物は、治療上および/または予防上活性な物質を含む粉末を、粒状組成物の粒子の
平均粒度が該水性媒体に接触する前の粉末の平均粒度に比べて最大約100%大きいよう
な仕方で水性媒体と接触させることによって得られる粒状組成物の形態であるかまたは該
粒状組成物に基づいており、
該組成物は、0.07N塩酸を溶解媒体として用いた本明細書に規定する溶解法Iに従っ
て試験したときに少なくとも約50%w/wの活性物質を該試験の最初の20分以内に放
出するものである
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ことを特徴とする組成物に関する。
【0009】
好ましい態様において、本発明の組成物は、上記試験の最初の20分以内に該組成物中に
存在する全活性医薬物質の少なくとも約55%w/w、たとえば少なくとも約60%w/
w、少なくとも約65%w/w、少なくとも約70%w/w、少なくとも約75%w/w
、少なくとも約80%w/w、少なくとも約85%w/w、少なくとも約90%w/w、
少なくとも約95%w/w、少なくとも約96%w/w、少なくとも約97%w/w、少
なくとも約98%w/wまたは少なくとも約99%w/wを放出する。
【0010】
他の側面において、本発明は本発明による組成物の調製方法に関し、該方法は、工程:
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(5)
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(i)治療上および/または予防上活性な物質を(a)アルカリ物質、(b)結合特性を
有する充填剤、および任意に(c)他の薬理学的に許容しうる賦形剤と混合して粉末混合
物を得、
(ii)かくして得られた粉末混合物を水性媒体と接触させて湿潤粉末を得、
(iii)かくして得られた湿潤粉末を本明細書において規定されるように該粉末中の水分
含量が最大約5%w/wとなるまで室温を超える温度で乾燥させて第一の粒状混合物を得
、
(iv)かくして得られた第一の粒状混合物をふるいにかけ、
(v)任意に、さらに薬理学的に許容しうる賦形剤を加えて第二の粒状混合物を得、
(vi)任意に、かくして得られた第二の粒状混合物を圧縮して錠剤とし、ついで
10
(vii)任意に、かくして得られた錠剤をコーティングする
を含む。
【0011】
さらに他の側面において、本発明は、本発明による迅速放出組成物の形態中の治療上およ
び/または予防上活性な医薬物質の有効量を患者に投与することを含む、急性の痛みおよ
び/または穏やかなまたは中くらいの痛みの治療および/または予防方法に関する。
【0012】
上記のように、0.1N塩酸中、室温での治療上および/または予防上活性な物質の溶解
度は、最大約0.1%w/vの溶解度、たとえば最大約0.05%w/v、最大約0.01
%w/v、最大約0.009%w/v、最大約0.008%w/v、最大約0.007%w
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/v、最大約0.006%w/v、最大約0.005%w/v、最大約0.004%w/v
、最大約0.003%w/v、最大約0.002%w/vまたは最大約0.001%w/v
である。
【0013】
治療上および/または予防上活性な物質、たとえばロルノキシカム(lornoxicam)の溶解
度は0.1N HCl(0.1N塩酸の水溶液)中で<1mg/100mlであるので、本
発明者らはたとえばNSAID物質を遊離の形態または伝統的な調剤の形態で配合しても
酸性条件下で所望の迅速な放出をもたらしてインビボでの治療効果の速い開始を可能とす
ることはないことを見出した。
【0014】
30
さらに酸性条件下での溶解度とは無関係に、0.1Nまたは0.07N HCl中で非常に
低い溶解速度を有する活性医薬物質を含む組成物もまた、活性医薬物質の迅速な放出およ
び溶解を得ることに関して問題となる。従って、本発明による組成物は、本明細書に記載
する溶解試験Iにより試験したときに最大50%w/wの量の活性物質が試験の最初の2
0分以内に溶解することを可能にする溶解速度を有する治療上および/または予防上活性
な物質を含んでいるのが好ましい。
【0015】
しかしながら、活性医薬物質(たとえばNSAID物質など)の迅速な溶解は、放出が伝
統的な組成物に比べて遥かに速くなるように放出速度を操作すべく特別の手段が施されて
いる調合物中に医薬物質が配合されていることを条件として、酸性条件下で起こるであろ
40
う。それゆえ、本発明者らは、活性医薬物質が(i)0.1N塩酸中で非常に低い溶解度を
有するか、(ii)非常に低い溶液かい速度を有するか、または(iii)約5.5未満、たと
えば最大約5.3、最大約5.2、最大約5.0で、たとえば約3.4∼約5.0の範囲、約
4.0∼約5.0の範囲のpKaを有する場合には、伝統的な組成物からの放出速度を調節
する必要があることを見出した。それゆえ、速い放出の組成物は適当な速い放出速度を達
成するためには放出に関して手を加える必要がある。
【0016】
本発明者らは驚くべきことに上記に記載したような活性医薬物質を含む迅速放出組成物を
得るために活性医薬物質をある条件下でアルカリ物質と接触させる必要があることを見出
した。さらに、製造の成功、すなわち錠剤の一般的要件を満たした錠剤は、たとえば炭酸
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水素ナトリウムの単なる添加(日本特許第33491/90(大正)に記載されているよ
うに)のみならず以下のパラメーターにも依存する:
1.活性医薬物質とアルカリ物質との接触条件(接触時間、エネルギーの投入量および接
触媒体)
2.「結合特性を有する充填剤」と称する物質の配合
3.結合特性を有する充填剤の平均粒度
4.活性医薬物質とアルカリ物質とを水性媒体に接触させた後、組成物をたとえば錠剤に
製造する前に得られる粒状材料の平均粒度または粒度(ふるい分析から得られる)
5.活性医薬物質とアルカリ物質とを水性媒体に接触させた後、組成物をたとえば錠剤に
製造する前に得られる粒子の多孔性。本発明者らは粒度が特許請求されているほど小さく
10
なくとも適当な放出特性を得ることが可能であることをある場合に見出した。しかしなが
ら、そのような場合では粒子の多孔性が迅速な放出を可能とするほど充分に高いか、ある
いは粒子の堅固さが低い。
【0017】
本明細書の実験セクションで種々のプロセスパラメーターが結果として得られる組成物の
特性に及ぼす影響を示してある。これら実験からの包括的な結論は、迅速放出組成物を得
るためには活性医薬物質とアルカリ物質との接触条件を制御することが最大に重要である
ということである。さらに、良好な貯蔵寿命を有する組成物を得るためにはこの接触を組
成物の製造の間に行う必要があることも示されている(実施例12を参照。実施例12に
は、活性医薬物質とアルカリ物質との接触を製造前に行った場合には貯蔵寿命が短縮され
20
ることが示されている)。さらなる研究は、適当な放出が活性医薬物質とアルカリ物質と
の接触後に得られる粒状材料の粒度を制御した場合にのみ得られることを示している(し
かしながら、上記で説明したように、粒状材料の多孔性を増大させるかまたは粒子の堅固
さが低減されるならば粒度の要件はそれほど厳格なものではない)。言い換えるならば、
活性医薬物質とアルカリ物質とのその場での接触が制御された条件下で起こることを保証
することが活性物質の放出に関して最大に重要である。この接触は、活性医薬物質および
アルカリ物質、および任意に結合特性を有する充填剤および他の薬理学的に許容しうる賦
形剤を含む粉末混合物に水性媒体を加えることにより行う。そのような媒体の添加は、粉
末混合物が湿式造粒法に供する場合と同様の手順により行う。しかしながら、本発明者ら
は、水性媒体の適用およびそれに関与するプロセスが、その結果得られる粒状混合物が伝
30
統的な顆粒、すなわち使用した物質の粒子から構築される塊状物ではないような仕方で制
御されなければならないことを見出した。通常、造粒プロセスの間に粒度は少なくとも1
.5の係数で増大し、200∼500%の増大が観察される。しかしながら、塊状物が大
部分で生じるようであれば、粒状混合物の平均粒度は放出速度に負の影響を及ぼすほど大
きくなるであろう。
さらに、水性媒体の組成は重要で決定的なファクターである(下記参照)。
【0018】
上記調合要件の結果として、本発明者らは本発明による組成物の製造が、たとえ湿式工程
が含まれるとしても乾燥造粒および/または乾燥圧縮に適したプロセスとみなされるべき
であることを見出した。迅速な放出および適切な実質的に堅固な組成物の両者を得ること
40
に関して適当な結果を得るためには、賦形剤の性質と活性物質およびアルカリ物質の水性
処理とのバランスが非常に重要であることが考えられる。たとえば活性物質および炭酸水
素ナトリウムを含有する単なる気泡性(effervescent)錠剤は制御された迅速放出をもた
らさないであろうと思われる。なぜならそのような錠剤を1杯のグラスに溶解したときに
生じる二酸化炭素は速やかな崩壊はもたらすであろうが速やかな溶解はもたらさないだろ
うからである。もっともありそうなのは、崩壊はあまりにも速やかであるため個々の成分
(たとえば、活性物質およびアルカリ物質)が互いに実質的な影響を及ぼすことはない。
活性物質およびアルカリ物質を制御された水性処理に供することにより、この処理の間の
二酸化炭素の生成はある程度起こるが気体生成がなくなることはないと思われる。それゆ
え、錠剤が胃内で崩壊したときに残留二酸化炭素が生成され、この二酸化炭素が錠剤の一
50
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層理想的な崩壊を可能とし、その結果、活性物質の迅速な溶解にとって好ましい胃内での
局所的な条件が生じる。それゆえ、粒子の微細環境でのpH値の局所的な増大が考えられ
る。
【0019】
本発明による組成物は、粒状組成物の形態またはたとえば錠剤、カプセル剤、サシェ剤な
どの単位投与剤型組成物の形態などの固形組成物の形態であってよい。
上記のように本発明による組成物の調製に関するプロセスは制御する必要がある。それゆ
え、活性医薬物質をアルカリ物質に接触させることが重要である。アルカリ物質は、たと
えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マ
グネシウムまたはアルミン酸メタ珪酸マグネシウム(magnesium metasilicate aluminate
10
)またはそれらの混合物などの制酸剤または制酸剤様物質であってよい。反応媒体は典型
的に水および有機溶媒を含む溶媒である。有機溶媒は、水と相溶性の溶媒、たとえばエタ
ノール、メタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタ
ノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、
イソ−ペンタノールおよびtert−ペンタノールのような分枝鎖または非分枝鎖の低級(C
1∼C5)脂肪族アルコールおよびそれらの混合物である。
【0020】
使用した溶媒中の有機溶媒の濃度は、通常、約0%v/v∼約95%v/v、たとえば約
10%v/v∼約90%v/v、約10%v/v∼約80%v/v、約15%v/v∼約
70%v/v、約15%v/v∼約60%v/v、約20%v/v∼約50%v/v、約
20
20%v/v∼約40%v/v、約25%v/v∼約30%v/v、たとえば約25%v
/vである。
【0021】
特に適した有機溶媒は約0%v/v∼約95%v/vの濃度のエタノールである。本発明
者らは、水とエタノールとを約1:50∼約1:1の容量比で含む接触媒体、すなわち水
性媒体が適しており、この比は約1:10∼約1:1、たとえば1:2または1:3であ
るのが好ましいことを見出した。そのような水性媒体は水とエタノールのみを含んでいて
もよいしまたは他の溶媒をも含んでいてよい。
【0022】
接触は一般に外部から加熱することなく行うが、もちろんプロセスをスピードアップする
30
ために加熱してもよい。接触を行った結果、コンジュゲート、付加物または塩または部分
塩が生成されるが、この特別の問題を明らかにするために研究を続行中である。いかなる
意味においても限定されるものではないが、現在のところ、生成されたコンジュゲートま
たは付加物は上記工程(i)に使用した治療上および/または予防上活性な物質とアルカ
リ物質との反応により生成した塩または複合体の形態であると考えられる。
【0023】
活性医薬物質とアルカリ物質とがこれら2つの成分の間で水性接触が生じない条件下(す
なわち非水性の条件下)で処理された場合には、本発明者らはその結果得られる組成物が
該組成物からの活性医薬物質の放出に関して本明細書に記載した要件を満たさないことを
見出した。
40
【0024】
本発明による組成物に使用する制酸剤様物質の平均粒度は、(原料材料として)通常、最
大約250μm、たとえば最大約225μm、最大約200μm、最大約175μm、最
大約150μm、最大約145μm、最大約140μm、最大約135μm、最大約13
0μm、たとえば約20μm∼約250μmの範囲、約40μm∼約200μmの範囲、
約60μm∼約175μmの範囲、約80μm∼約150μmの範囲または約100μm
∼約120μmの範囲である。
【0025】
活性医薬物質との適当な接触を可能にするためのアルカリ物質の使用に加えて、本発明に
よる組成物における他の重要な成分は、通常の取扱いおよび任意に組成物の通常のコーテ
50
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ィングを可能にすべく組成物に必要な機械的強度を付与する成分である。本明細書ではそ
のような成分は「結合特性を有する充填剤」と称する。本明細書の実施例に示すように、
そのような成分を含まない組成物またはそのような成分を含むが適当でない粒度のものを
含む組成物は、軟らかすぎる、すなわち機械的強度(破砕および粉砕強度)が不充分なた
め患者が使用するに際して通常持ちこたえなければならない錠剤の取扱いに耐えられない
であろう。
【0026】
本発明による組成物に使用する結合特性を有する適当な充填剤の例は、たとえば、乳糖(
たとえば、TabletoseR、PharmatoseRなど)、糖誘導体(たとえば、マンニトール、ソル
ビトールなど)、炭酸カルシウム(CaCO3)、リン酸三カルシウム(Ca5(PO4)
10
R
3OH)、リン酸水素カルシウム(CaHPO4)(たとえば、Di-Cafos
R
R
、Di-TabR、Em
compress 、Pharmacompress など)などおよび/またはそれらの混合物である。
【0027】
本明細書の実験セクションでは結合特性を有する充填剤としてリン酸水素カルシウムを用
い、得られた結果は調製した錠剤の機械的強度が使用したリン酸水素カルシウムの粒度に
依存することを示している。粒度が小さすぎたりまたは大きすぎたりすると軟らかすぎて
患者による通常の取扱いに耐えられない錠剤が得られるであろう。
【0028】
それゆえ、原料材料としての結合特性を有する充填剤は、通常、最大約140μm、たと
えば最大約130μm、最大約120μm、最大約110μm、最大約100μm、最大
20
約90μm、最大約80μm、最大約70μm、最大約60μm、最大約50μm、最大
約40μm、最大約35μm、最大約30μmまたは最大約25μm、たとえば約10μ
m∼約80μmの範囲、または約10∼約65μmの範囲、たとえば15∼55μmの平
均粒度を有する。
【0029】
粒度に関する上記議論に従えば、本発明による組成物の調製のためのプロセス中の上記工
程(ii)は、工程(i)に使用した治療上および/または予防上活性な物質とアルカリ物
質との接触を可能するには充分だが同時に混合の間の大量の塊状物の生成を回避すべく充
分に低いエネルギー投入量を用いた通常の高剪断ミキサーで行う。
【0030】
30
それゆえ、本発明による組成物において活性医薬物質とアルカリ物質(たとえば結合特性
を有する充填剤などの他の配合成分を含む)との接触後に得られる粒状混合物の粒子の平
均粒度は、水性媒体中での反応前の粉末混合物の平均粒度よりも最大約100%大きい。
さらに詳細には、粒状組成物の粒子の平均粒度は水性媒体中での反応前の粉末混合物の平
均粒度よりも最大約90%、たとえば最大約80%、最大約75%、最大約70%、最大
約65%、最大約60%、最大約55%または最大約50%大きい。
【0031】
粒状混合物の粒度はまた、ふるい分析で得られた結果によって表され、すなわち粒子の少
なくとも約50%w/w、たとえば少なくとも約55%w/w、少なくとも約60%w/
w、少なくとも約65%w/w、少なくとも約70%w/w、少なくとも約75%w/w
40
、少なくとも約80%w/w、少なくとも約85%w/w、少なくとも約90%w/wま
たは少なくとも約95%w/wが180μmのふるいを通過する。水性媒体と接触する前
にも、粉末の粒度はまたふるい分析で得られた結果によって表され、すなわち粒子の少な
くとも約90%w/w、たとえば少なくとも約92%w/w、少なくとも約94%w/w
、少なくとも約95%w/w、少なくとも約96%w/w、少なくとも約97%w/w、
少なくとも約98%w/wまたは少なくとも約99%w/wが180μmのふるいを通過
する。
【0032】
活性医薬物質とアルカリ物質(たとえば結合特性を有する充填剤などの他の配合成分を含
む)との接触後に得られる粒状組成物の粒子の平均粒度に関しては、それは水性媒体での
50
(9)
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反応後に(適切な場合はいつでも)最大約250μm、たとえば最大約240μm、最大
約230μm、最大約220μm、最大約210μm、最大約200μm、最大約190
μm、最大約180μm、最大約175μm、最大約150μm、最大約125μm、最
大約100μm、最大約90μm、最大約80μmまたは最大約75μmである。
【0033】
上記のように、本発明による組成物は充分な機械的強度を有するため、破壊または他の仕
方で破砕されることなく通常の取扱いおよび通常のコーティング装置でのコーティングに
供することができる。それゆえ、9.5mmの直径を有する錠剤の形態の本発明による組
成物は、Ph. Eur.に従って粉砕強度試験に供したときに少なくとも約50N、たとえば少
なくとも約60N、少なくとも約70N、少なくとも約80N、たとえば約60∼約14
10
0Nの範囲、約70∼約120Nの範囲または約75∼約110Nの範囲、たとえば約8
0∼約100Nの粉砕強度を有する。9.5mm以外の直径を有する錠剤に関しては、当
業者はいかなる粉砕強度値が適切かわかるであろう。
【0034】
本発明による組成物に所望の機械的強度を付与することに関して重要な成分は(もしも組
成物が錠剤の形態にあるならば)、上記のように結合特性を有する充填剤である。それゆ
え、本発明による組成物は、Ph. Eur.に従って粉砕強度装置で結合特性を有する充填剤を
含まない組成物として試験した場合には、約45N未満、たとえば約30N未満、約25
N未満、約20N未満、約15N未満または約10N未満の粉砕強度を有すると思われる
。
20
【0035】
(i)本発明による組成物に使用した活性医薬物質の実質的な崩壊を回避するため、およ
び(ii)本発明による組成物の耐用寿命を通じて該組成物からの活性医薬物質の実質的に
一定の放出速度を可能とするために、組成物中の水分含量はLOD(乾燥減量)法(IR
乾燥器、70℃で30分間)による決定で最大約5%w/w、たとえば最大約4%w/w
、最大約3%w/w、最大約2%w/w、最大約1.5%w/w、最大約1.3%w/w、
最大約1.1%w/w、最大約1.0%w/wまたは最大約0.9%w/wである。
【0036】
本明細書に用いた術語のうちの選択した術語の定義
本明細書において使用する「改変放出組成物」なる語は、薬剤の放出が従来のものとは異
30
なる組成物として定義される。放出速度は、言い換えれば制御されるのであり、たとえば
調合パラメーターを変えることにより放出速度を操作することができる。「改変(modifi
ed)」なる語はしばしば持続したとの意味で用いられるが、この語は長期のまたは持続し
た効果に限られるものではない。「改変」なる語はまた、通常予測されるよりも速やかな
放出が得られるような仕方で放出速度が操作される状況をも包含する。それゆえ、本明細
書において「速やかな(quick)」、「速い(fast)」および「促進された(enhanced)
」放出並びに「制御された(controlled)」、「遅延した(delayed)」、「持続性の(s
ustained)」、「持続した(prolonged)」、「長期の(extended)」および当業者によ
く知られた他の同義語は「改変」なる語により包含されるが、本発明に関しては「改変放
出」なる語は「速やかな放出」、「速い放出」または「促進された放出」として理解され
40
る。
【0037】
本明細書において改変放出なる語は、活性成分の放出速度または放出場所を改変すべく(
Ph. Eur. 97)別個にまたは一緒にデザインされた薬理学的に許容しうる賦形剤および/
または特定の手順を用いて調製した、コーティングしてもコーティングしなくともよい組
成物をいう。
本明細書において「速やかな放出」、「速い放出」または「促進された放出」なる語は、
活性成分の放出および活性成分のその後の吸収が速い改変放出組成物をいう。さらに詳細
には、「速やかな放出」、「速い放出」または「促進された放出」なる語は、組成物を本
明細書に記載する溶解試験Iに供したときに活性物質の少なくとも約50%w/wが試験
50
(10)
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の最初の20分以内に溶解することをいう。
【0038】
本明細書において「投与単位」なる語は、単回投与単位、たとえばカプセル剤、錠剤、サ
シェ剤または当該技術分野で知られた他の適切な剤型をいう。投与単位は複数の単位また
は個々の単位を表し、技術の一般水準に従ってカプセル剤、錠剤、サシェ剤などであって
よい。
「バイオアベイラビリティー」なる語は、改変放出組成物から吸収される薬剤の速度およ
び程度を示す。
「NSAID」または「NSAID物質」なる語は、本明細書において非ステロイド系抗
炎症医薬物質および薬理学的に許容しうるその塩、プロドラッグおよび/または複合体並
10
びにそれらの混合物に属する一群の薬剤を示すのに用いる。
本明細書において言及する治療クラスは、ATC(Anatomical Therapeutic Chemical)
分類系による。
【0039】
活性医薬物質
以下に本発明による組成物に配合することのできる活性医薬物質の例を記載する。言及す
る活性医薬物質の大部分は弱酸、すなわち約5.5未満、たとえば約3.0∼約5.5の範
囲または約4.0∼約5.0の範囲のpKa値を有する物質である。このことと関連して、
ロルノキシカムのpKaは約4.7であり、ナプロキセンは約4.2であり、インドメタシ
ンは約4.5であり、アセチルサリチル酸は約3.5である。さらに、上記のような活性医
20
薬物質(すなわち、最大約5.5または約5.0のpKa値を有する弱酸)は、一般にその
pKa値未満のpHを有する媒体中では低い溶解度を有する。例としてロルノキシカムの
溶解度は0.1N HClに対応するpHで室温で約1mg/100ml未満であり、アセ
チルサリチル酸、インドメタシンおよびナプロキセンなどの活性医薬物質は水および0.
1N HCl中、室温では実際上不溶性の物質とみなされている。循環系にアクセスする
ための活性医薬物質の溶解度および利用性に関連した議論からは、組成物からの活性医薬
物質の放出(溶解)は、たとえ該活性医薬物質が該媒体中で非常に低い溶解度を有する場
合であっても酸性条件下、たとえば0.1N HCl中で速やかでなければならない。
【0040】
本発明による組成物に使用するのに適した活性医薬物質の適切な例は、一般に弱酸性物質
30
、たとえばパラセタモールおよび/またはNSAID物質、具体的には、
− アミノアリールカルボン酸誘導体、たとえば、エンフェナム酸、フルフェナム酸、イ
ソニキシン、メルコフェナム酸、メフェナム酸、モルニフルメート、ニフルム酸、および
トルフェナム酸、
− アリール酢酸誘導体、たとえば、アセクロフェナク、アセメタシン、アムフェナク、
ブロムフェナク、シンメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、フェンチアザク、グルカ
メタシン、インドメタシン、ロナゾラク、メチアビン酸、オキサメタシン、ピラゾラク、
プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、およびゾメピラク、
− アリールカルボン酸、たとえばケトロラクおよびチノリジン、
− アリールプロピオン酸誘導体、たとえば、アルミノプロフェン、ベルモプロフェン、
40
カルプロフェン、デキシブプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルノキサ
プロフェン、フルロビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、ケトプロフェン、
ロクソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプロフェン、プロチジン酸、
およびチアプロフェン酸、
− ピラゾール類、たとえばエピリゾール、
− ピラゾロン類、たとえばベンズピペリロン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン
、フェニルブタゾン、およびラミフェナゾン、
− サリチル酸誘導体、たとえばアセトアミノサロール、アセチルサリチル酸、ベノリレ
ート、エステリサレート、フェンドサール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル
酸リシン、サリチル酸モルホリン、パラサルミド、サラミド酢酸およびサラサレート、
50
(11)
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− チアジンカルボキサミド類、たとえばアムピロキシカム、ドロキシカム、ロルノキシ
カム、メロキシカム、ピロキシカム、およびテノキシカム、
− 他のもの、たとえばブシラミン、ブコローム、ブマジゾン、ジフェレンピラミド、ジ
タゾール、エモルファゾン、ナブメトン、ニメスリド、プロクアゾンおよびピロキシカム
(たとえば、ベータシクロデキストリン複合体の形態にて)
である。
【0041】
市場の観点からは、とりわけ以下のNSAIDが興味深い:ロルノキシカム、ジクロフェ
ナク、ニメスリド、イブプロフェン、ピロキシカム、ピロキシカム(ベータシクロデキス
トリン)、ナプロキセン、ケトプロフェン、テノキシカム、アセクロフェナク、インドメ
10
タシン、ナブメトン、アセメタシン、モルニフルメート、メロキシカム、フルロビプロフ
ェン、チアプロフェン酸、プログルメタシン、メフェナム酸、フェンブフェン、エトドラ
ク、トルフェナム酸、スリンダク、フェニルブタゾン、フェノプロフェン、トルメチン、
アセチルサリチル酸、デキシブプロフェンおよび薬理学的に許容しうるその塩、複合体お
よび/またはプロドラッグおよびそれらの混合物。
他の適切な活性医薬物質は、COX−2(COXはシクロオキシゲナーゼの略語である)
阻害剤、たとえばセレコシブおよびフロスリドである。
【0042】
現在のところ、最も好ましい医薬物質はロルノキシカムおよび薬理学的に許容しうるその
塩、複合体およびプロドラッグである。ロルノキシカムは本発明による組成物中に単独の
20
医薬物質としてまたは他の医薬物質とともに配合できる。
本発明の迅速放出組成物がNSAID物質を治療上活性な成分として含む場合には、該活
性医薬物質の量は重量で1∼約1600mgに対応するものである。あるいは、剤型は薬
理学的に許容しうるその塩をモル等価量で含んでいてよい。剤型は、実質的に等価な治療
効果を奏する適当な量を含んでいる。
【0043】
上記活性物質は本発明による組成物中に(i)唯一の医薬物質として、または(ii)少な
くとも一つの他の活性医薬物質、たとえばNSAID物質とともに配合することができる
。
これに関連して適切な物質は、たとえば抗鬱剤、オピオイド、プロスタグランジンアナロ
30
グ(たとえば、ミソプロストール)、グルココルチコステロイド、細胞増殖抑制剤(たと
えば、メトトレキセート)、H2受容体アンタゴニスト(たとえば、シメチジン、ラニチ
ジン)、プロトンポンプ阻害剤(たとえば、パントプラゾール、オメプラゾール、ランソ
プラゾール)、制酸剤、フロセミド、アセトアミノフェン(パラセタモール)、ペニシラ
ミン、スルファサラジンおよび/またはオーラノフィン、および適切な場合はいつでも、
薬理学的に許容しうるその塩、複合体および/またはプロドラッグおよびそれらの混合物
である。
【0044】
本明細書において「抗鬱剤」なる語は、三環系抗鬱剤並びに他の抗鬱剤およびそれらの混
合物を含む。抗鬱剤の薬理学的に許容しうるその塩および/または複合体もまた抗鬱剤の
40
定義に含まれる。それゆえ、本明細書において「抗鬱剤」なる語は、種々の程度に抗鬱特
性および/または神経性の痛みおよび/または幻痛の改善または治療に関連して適当な特
性を有する一群の薬剤を指すのに用いる。本明細書において「抗鬱剤」なる語は主として
クラスNo6からまたは以下の薬剤分類からの物質を包含する:抗肥満薬を除く精神興奮
薬;内因性および外因性の抑鬱の治療に使用する物質を含む抗鬱/胸腺興奮薬(thymoana
leptics)、たとえばイミプラミン、ノルトリプチリン、アミトリプチリン、オキシプラ
モールおよびMAO−阻害物質;リチウム;精神安定薬との薬剤の併用;精神および身体
活動を増大させ、疲労抑圧刺激作用を有する薬剤を含む精神興奮薬(psychostimutants)
、たとえばフェンチリン、フェンカムファミン、メチルフェニデート、アンフェタミン;
精神抑制薬−精神興奮薬の併用;精神向性薬(nootropics)(中枢神経系の統合機能に対
50
(12)
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して選択的な作用を有するといわれている精神活性薬のクラスに属する)。
【0045】
それらの作用は、とりわけ知的機能、学習および記憶と関係するといわれている。ヌート
ロピックスは、ピラセタム、ピリチノール、マレイン酸ピリスクシデアノール、メクロフ
ェノキセート、シプロデネートおよびそれらと他の物質(血管拡張作用を有する製品(治
療クラスC04Aを参照)は除く)との組合せを含有する製剤を含む。強心配糖体との組
合せは治療クラスC01Aに分類され、神経緊張薬(neurotonics)、および上記に分類
されない製品、たとえば、ブシイブチアミン、デアノールおよび誘導体、GABA、GA
BOB、N−アセチルアスパラギン酸グルタミン酸およびその塩、カバイン、リン脂質、
スクシノジナイトレートを含む単一または組合せ製品を含むその他の製品。
10
【0046】
現在のところ最も興味深い医薬物質は三環系抗鬱剤に属する。抗鬱剤の適切な例は:三環
系抗鬱剤、たとえばジベンズアゼピン誘導体、たとえばカルピプラミン、クロミプラミン
、デシプラミン、イミプラミン、イミプラミンオキシド、イミプラミンパモエート、ロフ
ェプラミン、メタプラミン、オピプラモール、キノプラミン、トリミプラミン;ジベンゾ
シクロヘプテン誘導体、たとえばアミトリプチリン、アミトリプチリンとクロルジアゼポ
キシド、アミトリプチリンとメダゼプラム、アミトリプチリンとプリジノール、アミトリ
プチリンとペルフェナジン、アミトリプチリンオキシド、ブトリプチリン、シクロベンザ
プリン、デメキシプチリン、ノルトリプチリン、ノルトリプチリンとジアゼパム、ノルト
リプチリンとペルフェナジン、ノルトリプチリンとフルフェナジン、ノルトリプチリンと
20
フルペンチキソール、ノキシプチリン、プロトリプチリン;ジベンゾキセピン誘導体、た
とえばドキセピン;および他の三環系抗鬱剤、たとえばアジナゾラム、アモキサピン、ジ
ベンゼピン、ジメタクリン、ドスレピン、ドスレピンとジアゼパム、ドチエピン、フルア
シジン(フルオラシジン、トラシジン)、イプリンドール、マプロチリン、メリトラセン
、メリトラセンとフルペンチキソール、ピゾチリン、プロピゼピン、およびチアネプチン
;他の抗鬱剤、たとえば5−ヒドロキシトリプトファン、アデメチオニン、アムフェブタ
モン、塩酸アムフェブタモン、アミネプチン、塩酸アミネプチン、アミスルプリド、塩酸
フルオキセチン、フルオキセチン、ヒペリシン、炭酸リチウム、塩酸セルトラリン、セル
トラリン、セントジョーンズ麦汁乾燥エキス、マレイン酸トリミプラミン、臭化水素酸シ
タロプラム、クロミプラミンクロライド、塩酸クロミプラミン、d−フェニルアラニン、
30
デメキシプチリン、塩酸デミキシプチリン、酒石酸ジメタクリン、ドチエピン、塩酸ドチ
エピン、ドキセピン、塩酸フルフェナジン、フルボキサミン、マレイン酸水素フルボキサ
ミン、マレイン酸フルボキサミン、イチョウフタバ(ginkgo biloba)、インダルピン、
イソカルボキサジド、ヨハニスクラウトロッケネストラクト(johanniskrauttrockenestr
akt)、1−トリプトファン、クエン酸リチウム、硫酸リチウム、ロフェプラミン、マプ
ロチリン、塩酸マプロチリン、マプロチリンメシレート、メジフォキサミン、フマール酸
メタプリン、ミアンセリン、モンクロベミド、塩酸ニトロキシアゼピン、ノミフェンシン
、マレイン酸ノミフェンシン、マレイン酸水素ノメフェンシン、オキシトリプタン、パロ
キセチン、塩酸パロキセチン、フェネルジン、硫酸フェネルジン、ピラセタム、ピルリン
ドール、ピバガビン、塩酸プロリンタン、塩酸プロピゼピン、塩酸プロトリプチリン、キ
40
ヌプラミン、塩酸レモキシプリド、塩化ルビジウム、マレイン酸セチプチリン、チアネプ
チンナトリウム、塩酸トラゾドン、塩酸ベンラファキシン、マプロチリン、トロキサトン
、トラニルシプロミン、トラゾドン、塩酸トラゾドン、ビロキサジン、塩酸ビロキサジン
、ジメリジン、二塩酸ジメリジンである。
【0047】
現在のところ、本発明による組成物に使用するのに最も興味深い抗鬱剤は、アミトリプチ
リンおよび/またはイミプラミンおよび薬理学的に許容しうるその塩、複合体およびプロ
ドラッグである。アミトリプチリンおよびイミプラミンは本発明による組成物中に単独の
医薬物質としてかまたは他の医薬物質と併用して配合してよい。アミトリプチリンは、神
経性の痛みおよび幻痛を予防および/または治療するうえで非常に興味深い医薬候補であ
50
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る。
【0048】
本明細書において「オピオイド」なる語は、その特性が種々の程度でアヘン様またはモル
ヒネ様である一群の薬剤をいう。この語は、天然および合成のオピオイド並びに活性代謝
産物、たとえばモルヒネ−6−グルクロニドおよびモルヒネ−3−グルクロニド、および
オピオイドの混合物を包含する。オピオイドの薬理学的に許容しうる塩および/または複
合体もまたオピオイドの定義に含まれる。
【0049】
本発明による組成物に使用するためのオピオイドのさらに適切な例としては、アルフェン
タニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベンジ
10
トラミド、ブプレノルフィンブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン
、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジヒドロコデイン
、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、
酪酸ジオキサフェニル、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチア
ンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼンフェンタニル、ヘロイン、ヒドロコンドン、ヒ
ドロモルヒネ、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、デキストロプロポキシフェン、ケト
ベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタ
ニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロ
フィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコルモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサ
ドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモル
20
ヒネ、パパベレツム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン
、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロ
ペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、
その塩、上記のいずれかの混合物、混合μ−アゴニスト/アンタゴニスト、μ−および/
またはκ−アゴニスト、上記の組合せなどが挙げられる。
【0050】
もちろん、1を超える活性医薬物質を組み合わせて、たとえば1を超えるNSAID物質
および/または同じかまたは異なる治療クラスの医薬物質を配合することは本発明の範囲
に包含される。特に適切な治療クラスは、M01A(NSAID)、R05D、N02(
鎮痛薬)、N2A(オピオイド)およびN2B(非催眠鎮痛薬)である。
30
【0051】
投与量
一般に、本発明による組成物中に配合する活性医薬物質の投与量は、とりわけ特定の医薬
物質、患者の年齢および状態および処置すべき疾患に依存する。
一般に、本発明による組成物は充分な治療上および/または予防上の応答を可能にする量
の活性医薬物質を含むであろう。
【0052】
広範囲にわたる適当な投与量を説明するために、選択したNSAIDについて推奨される
1日当たりの投与量を以下にまとめて示す:
アセクロフェナク:200mg
40
ジクロフェナク:100mg
エトドラク:400mg
フェンブフェン:900mg
フェノプロフェン:1.5g
フルロビプロフェン:200mg
イブプロフェン:1.6g
インドメタシン:100mg
ケトプロフェン:200mg
メロキシカム:15mg
ナブメトン:1g
50
(14)
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ナプロキセン:750mg
ピロキシカム:20mg
スリンダク:300mg
テノキシカム:20mg
チアプロフェン酸:600mg
トルフェナム酸:400mg
トルメチン:800mg
【0053】
本発明による迅速放出組成物中のたとえばNSAID物質の量は、約1mg、2mg、3
mg、4mg、5mg、8mg、10mg、12mg、16mg、20mg、24mg、
10
25mg、30mg、32mg、50mg、60mg、100mg、200mg、300
mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1
g、1.1g、1.2g、1.3gまたは1.6gのNSAIDに対応するように選ばれる(
当該技術分野で一般に知られている投与量である)。
【0054】
本発明による組成物は、たとえば4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32
mg等の異なる一連の剤型で製造し、各一連の剤型が組成物の改変放出のデザインの結果
として得られる個々の特性を有するようにしてよい。ついで、いかなる所望の全投与量も
各一連の剤型内の適切な剤型から選択することができる。
本発明による好ましい剤型は、カプセル剤、錠剤、サシェ剤などの形態である。剤型のサ
20
イズは、組成物に含まれる活性医薬物質の量に適合させる。
上記で示唆した投与量は本発明の範囲を限定するものと解してはならない。なぜならいか
なる所望の量の活性医薬物質も適用することができ、組成物のサイズおよび活性医薬物質
の種類によってのみ限定されることは当業者には明らかだからである。
【0055】
薬理学的に許容しうる賦形剤
組成物中の活性医薬物質とは別に、本発明による医薬組成物はさらに薬理学的に許容しう
る賦形剤を含んでいてよい。
本明細書において「薬理学的に許容しうる賦形剤」なる語は、それ自体実質的に治療上お
よび/または予防上の活性を有しないという意味で不活性なあらゆる物質を指称すること
30
を意図する。薬理学的に許容しうる賦形剤は、許容しうる技術的特性を有する医薬組成物
を得ることを可能にする目的で活性医薬物質に加える。薬理学的に許容しうる賦形剤は活
性医薬物質の放出に対して若干の影響を及ぼしうるが、改変放出を得るのに有用な材料は
この定義に含まれない。
【0056】
充填剤/希釈剤/結合剤、たとえば、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ラクトース
(たとえば、スプレー乾燥ラクトース、α−ラクトース、β−ラクトース、TabletoseR、
種々のグレードのPharmatoseR、MicrotoseまたはFast-FlocR)、微結晶セルロース(たと
えば、種々のグレードのAvicelR、たとえばAvicelR PH102またはAvicelR PH105、ElcemaR
P100、EmcocelR、VivacelR、Ming TaiRおよびSolka-FlocR)、ヒドロキシプロピルセル
40
ロース、L−ヒドロキシプロピルセルロース(低置換)(たとえば、L−HPC−CH3
1,L−HPC−LH11、LH22,LH21、LH20、LH32、LH31、LH
30)、デキストリン、マルトデキストリン(たとえば、LodexR 5およびLodexR 10)、
デンプンおよび改変デンプン(ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンおよびコメデ
ンプンを含む)、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム(たとえば、塩
基性のリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム)、硫酸カルシウム、炭酸カルシウムを
配合することができる。本発明による医薬組成物において、とりわけ微結晶セルロース、
L−ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、マルトデキストリン、デンプンおよ
び改変デンプンが適していることがわかった。
【0057】
50
(15)
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崩壊剤として、微結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(たとえば、L
H22、LH21、LH20、LH32、LH31、LH30)を含むセルロース誘導体
;ジャガイモデンプンを含むデンプン;クロスカーメロース(croscarmellose)ナトリウ
ム(すなわち、架橋したカルボキシメチルセルロースナトリウム塩;たとえばAc-Di-SolR
);アルギン酸またはアルギン酸塩;不溶性ポリビニルピロリドン(たとえば、Polyvido
nR CL、PolyvidonR CL-M、KollidonR CL、PolyplasdoneR XL、PolyplasdoneR XL-10);
カルボキシメチルデンプンナトリウム(たとえば、PrimogelRおよびExplotabR)を用いる
ことができる。
【0058】
滑沢剤、たとえばステアリン酸、ステアリン酸金属塩、タルク、高い溶融温度を有する蜜
10
蝋およびグリセリド、コロイド状シリカ、フマール酸ステアリルナトリウム、ポリエチレ
ングリコールおよび硫酸アルカリを配合することができる。
非イオン性(たとえば、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40
、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80
、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ポリソルベート120、モノイソステアリ
ン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステア
リン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレ
イン酸ソルビタン、モノオレイン酸グリセリルおよびポリビニルアルコール)、アニオン
性(たとえば、ドクセートナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウム)およびカチオン性
(たとえば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびセトリミド)またはそれ
20
らの混合物などの界面活性剤を用いることができる。
【0059】
他の適当な薬理学的に許容しうる賦形剤としては、着色剤、芳香剤および緩衝剤が挙げら
れる。
コーティングもまた、組成物からの活性医薬物質の放出を実質的に遅延させないことを条
件に本発明による組成物に適用することができる。典型的にフィルムコーティングを用い
ることができる。
【0060】
製造プロセス
上記のように、本発明はまた本発明による組成物の製造方法にも関する。本発明の方法は
30
、工程:
(i)治療上および/または予防上活性な物質を(a)アルカリ物質、(b)結合特性を
有する充填剤、および任意に(c)他の薬理学的に許容しうる賦形剤と混合して粉末混合
物を得、
(ii)かくして得られた粉末混合物を水性媒体と接触させて湿潤粉末を得、
(iii)かくして得られた湿潤粉末を本明細書において規定されるように該粉末中の水分
含量が最大約5%w/wとなるまで室温を超える温度で乾燥させて第一の粒状混合物を得
、
(iv)かくして得られた粒状混合物をふるいにかけ、
(v)任意に、さらに薬理学的に許容しうる賦形剤を加えて第二の粒状混合物を得、
40
(vi)任意に、かくして得られた第二の粒状混合物を圧縮して錠剤とし、ついで
(vii)任意に、かくして得られた錠剤をコーティングする
を含む。
【0061】
上記方法の各工程は、特定の種類のプロセス工程に適した装置で行う。もちろん、1を超
える工程を同じ装置で行うことが有利であるが、ただし、重大な条件を所望の仕方で制御
できなければならない。
工程(i)に関しては、最も重要なパラメーターは出発材料の粒度、すなわち上記のよう
にとりわけ結合特性を有する充填剤の粒度である。
【0062】
50
(16)
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工程(ii)は非常に重要な工程であり、この工程を行う条件は非常に重大である。最も重
要なことは、この工程では粉末を造粒プロセスに供するのではなく湿潤プロセスに供し、
その結果、粒状の材料が得られることであり、該粒状の材料では粉末混合物の個々の粒子
は工程(ii)の間に与えられるエネルギー投与量により確立される結合力により接触およ
び結合される。本発明者らが研究を行ったところ、(A)もしも通常の造粒プロセス、す
なわち塊状物の生成という結果となるプロセスを用いれば、または(B)もしも直接圧縮
(実施例20bを参照)法、すなわち粉末混合物の湿潤が起こらないので工程(ii)が見
当外れであるようなプロセスを用いれば、最終的に得られる組成物は迅速な放出に関する
要件を満たさないことが示された。しかしながら、本明細書の実験セクションに記載する
ように、正しい条件を用いれば、下記に記載する溶解法Iを用いた試験の最初の10分以
10
内にインビトロで活性物質の殆ど100%w/w(少なくとも90∼95%w/w)が放
出される組成物が得られる。
【0063】
工程(ii)に起こると思われるメカニズムは、活性物質とアルカリ物質とを密接に接触さ
せ、同時に、最適の崩壊特性および溶解特性を有する組成物の構築に関して好ましい条件
を利用することである。この目的のため、水(あるいは7未満のpHを有する水性媒体)
との接触により気体の二酸化炭素を生成しうるアルカリ物質を使用することが良好である
と思われる。なぜなら、湿潤手順の間の気体の所定の産生が最終組成物の必要な制御放出
を容易にする、すなわち最終組成物が崩壊するときの過剰量の気体産生による速過ぎる崩
壊を回避できるからである。この目的のため、本発明者らは実験を行い、活性物質とアル
20
カリ物質とを水性媒体での処理に供し、しかる後に乾燥させ、ついでかくして得られた粒
状材料を上記方法の工程(i)に用いた。しかしながら、この手順は満足のいく結果とは
ならず、得られた組成物は許容できない貯蔵寿命を有する、すなわちアルカリ物質を用い
た活性物質の水性の前処理は活性物質自体の化学的安定性に対してマイナスの影響を及ぼ
すと思われる。
【0064】
工程(ii)での重大なパラメーターは、接触媒体、接触時間およびエネルギー投入量(す
なわち、粒状材料を構築するために粉末混合物に加えるエネルギー)である。その結果得
られる粒状材料の粒度は非常に重要なパラメーターであるが(上記の議論を参照)、上記
のように粒子が軟らかであるかまたは増大した多孔性を有していれば粒状材料の粒度が主
30
張しているサイズよりも大きくても適当な組成物を首尾よく得ることが可能である。
【0065】
接触媒体は造粒媒体として用いるのではない、たとえば水溶性の結合剤は該媒体には含ま
れない。典型的に該媒体は、上記に記載した組成を有する水性媒体である。好ましい媒体
は、エタノールと水を含み、溶媒中のエタノールの濃度が約0%v/v∼約95%v/v
、たとえば約10%v/v∼約90%v/v、約10%v/v∼約80%v/v、約15
%v/v∼約70%v/v、約15%v/v∼約60%v/v、約20%v/v∼約50
%v/v、約20%v/v∼約40%v/v、約25%v/v∼約35%v/v、たとえ
ば約33.3%v/vである媒体である。特に適した水性媒体は、エタノールと水とを約
1:10∼約1:1、たとえば約1:3∼約1:1.5、たとえば1:2の容量比で含む
40
媒体である。
【0066】
工程(ii)の間のエネルギー供給に関し、本発明者らは高速インペラー(impeller)タイ
プのミキサーが適していることを見出した。
工程(ii)の間に供されるエネルギーは、非連続的に加える、すなわち湿潤練合(wet-ma
ssing)の期間と湿潤休止(wet-resting)の期間(すなわち、実施例16に例示するよう
に、混合の間に水性媒体を粉末に加える期間および水性媒体の添加も混合も行わない期間
)を設けるのが有利である。
バッチサイズを変えるかまたは装置を変えるときに必要なエネルギー供給を決定する出発
時点として、スイープ容量(swept volume)がガイダンスとなる。
50
(17)
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【0067】
スイープ容量はエネルギー投入量と関係し、以下の仕方で定められる。
各回転ごとの1つのインペラー刃(impeller blade)により掃き出される垂直容量は、刃
の面積を垂直切片に分割することにより計算される。この容量とインペラーのスピードに
基づき、1秒当たりに刃により掃き出される容量は生成物の容量またはボウル(bowl)の
容量と関連付けて決定される。
【0068】
さらに、(a)実質的に最終組成物の安定性を損うことなく粒子を水性媒体と接触させる
のに充分であり、および/または(b)最終組成物からの活性物質の放出速度に悪影響を
及ぼすことなく治療上および/または予防上活性な物質およびアルカリ物質を水性媒体と
10
接触させるのに充分なエネルギー投入量を可能とする適当な装置で工程(ii)を行うこと
が重要である。
【0069】
上記のように、工程(ii)は、典型的に通常の高剪断ミキサー中、工程(i)に使用した
治療上および/または予防上活性な物質とアルカリ物質との間の接触を可能とするに充分
だが、同時に混合の間に大量の塊状物の生成を回避するに充分低いエネルギー投入量を用
いて行う。
【0070】
第一の粒状混合物の粒子の平均粒度は、粉末混合物を工程(ii)で使用する水性媒体での
反応に供する前の工程(i)からの粉末混合物の平均粒度よりも最大約100%大きい。
20
さらに詳細には、第一の粒状混合物の粒子の平均粒度は、粉末混合物を工程(ii)で使用
する水性媒体での反応に供する前の工程(i)からの粉末混合物の平均粒度よりも最大約
90%、たとえば約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%または
約50%大きい。
【0071】
粒度はまた、ふるい分析の結果によっても表され、以下のサイズが適切である。
工程(i)で得られる粉末は、該粉末をふるい分析に供したときに粒子の少なくとも約9
0%w/w、たとえば少なくとも約92%w/w、少なくとも約94%w/w、少なくと
も約95%w/w、少なくとも約96%w/w、少なくとも約97%w/w、少なくとも
約98%w/wまたは少なくとも約99%w/wが180μmのふるいを通過するような
30
粒度を有し、工程(iii)で得られる第一の粒状混合物は、該粒状組成物をふるい分析に
供したときに粒子の少なくとも約50%w/w、たとえば少なくとも約55%w/w、少
なくとも約60%w/w、少なくとも約65%w/w、少なくとも約70%w/w、少な
くとも約75%w/w、少なくとも約80%w/w、少なくとも約85%w/wまたは少
なくとも約90%w/wまたは少なくとも約95%w/wが180μmのふるいを通過す
るような粒度を有する。
【0072】
典型的に、第一の粒状混合物の粒子の平均粒度は、最大約250μm、たとえば最大約2
40μm、最大約230μm、最大約220μm、最大約210μm、最大約200μm
、最大約190μm、最大約180μm、最大約175μm、たとえば最大約150μm
40
、最大約125μm、最大約100μm、最大約90μm、最大約80μmまたは最大約
75μmである。
【0073】
湿潤粒状材料を乾燥させる工程(iii)もまた、もちろん生成物の適切な貯蔵寿命を得る
ために重要である。残りの工程は製剤の技術分野でよく知られた工程であり、当業者であ
ればその詳細が記載されたハンドブックを知っているであろう。
【0074】
以下の実施例で本発明をさらに詳細に開示する。
材料および方法
本発明の開発の過程で調べた組成物に使用する材料は以下に記載するものであた。薬局方
50
(18)
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を参照している場合には、言及した薬局方の最新版を参照している。
以下の略語を用いた:
Ph.Eur.:ヨーロッパ薬局方
USP/NF:米国薬局方国定処方集(United States Pharmacopoeia National Formula
ry)
DLS:デンマーク薬局方(Dansk Laegemiddelstandard)
【0075】
10
20
30
【0076】
溶解法I
0.07N HCl(ロルノキシカム)
40
ロルノキシカムは0.1または0.07N HCl中などの酸性条件下では非常に低い溶解
度を有する。とりわけ比較的速い放出画分が実際にロルノキシカムを酸性pH(胃内のp
H状態を模擬したもの)で放出することを示すために溶解法Iを用いる。
【0077】
試験方法
装置:固形剤型のためのPh.Eur.溶解試験およびUSP XXIII<711>装置2、Sotax AT7お
よびPerkin Elmer UV/VIS分光計ラムダ2を装備。ラムダ系列UV/VIS分光計バージョン3.0
/JAN94のためのPerkin-Elmer溶解ソフトウエアを用いて連続的に行った。
ガラス繊維フィルター:Whatman GF/F
溶解媒体:900.0ml溶解媒体(下記参照)
50
(19)
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回転数:100rpm
スターラー:Paddle
溶解媒体の温度:37℃±0.5℃
測定時間:試験開始の各5分および20分後(詳細は下記実施例に記載)
【0078】
分析方法
検出波長:λ=378nm
測定装置:UV/VIS−分光光度計、1cmキュベット
試薬の調製
溶解媒体:50.0gの塩化ナトリウムを計量し、141.6mlの濃塩酸を測量する。こ
10
れら薬剤を蒸留水に溶解し、蒸留水で25Lまで希釈する。
標準
ストック溶液:200μg/mlの濃度のロルノキシカムを含む2つのストック溶液(S
1およびS2)を調製した。ロルノキシカムは標準の溶媒(下記参照)中に溶解する。
標準:20.00mlの各ストック溶液を参照容器(下記参照)に加える。
標準のための溶媒:1.5%w/w酢酸ナトリウム水溶液:メタノール(1:1)
【0079】
試験手順
900mlの溶解媒体を各容器(典型的に生成物については3つまたは6つの容器および
参照溶液については1つの容器)に充填する。この媒体を37℃±0.5℃に加熱する。
20
試験すべき生成物(たとえば、治療上および/または予防上活性な物質、粒状組成物、粒
状物(granulate)、顆粒、または錠剤、カプセル剤もしくはサシェ剤の形態の組成物)
を容器に入れる。最後の容器に20.0mlの各ストック溶液を加える。軸の回転(spind
le)を開始し、試料および標準の吸光度を378nmで測定し、ゼロを溶解媒体に設定し
た。
溶解したパーセントを適当な時間間隔で測定する。
【0080】
溶解法の計算
溶解したパーセントは、参照容器中の外部標準を参照して計算した。
参照容器中の標準の濃度は下記式により計算した。
30
【数1】
上記式中:
q1 =S1について計量した標準の量(mg)
q2 =S2について計量した標準の量(mg)
20 =参照容器に加えたS1およびS2の容量(ml)
V =標準の希釈容量(ml)
40
940 =標準(S1およびS2)を参照容器に加えた後の容器中の容量(ml)
1000=1000mlへの変換係数
【0081】
溶解したパーセントとしてのロルノキシカムの含量は下記式により計算した。
【数2】
50
(20)
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上記式中:
abs試料 =試料を入れた各容器で測定した吸光度
StA =標準を入れた容器中の1000ml当たりのロルノキシカム(mg)
900 =媒体の容量(ml)
100 =パーセントに変換するための係数
abs標準 =標準を入れた容器で測定した吸光度
1000 =標準の濃度をmg/mlに変換するための係数
8 =錠剤中の主張した含量(mg)
n =標準の有効性(%)
100 =パーセントに変換するための係数
10
【0082】
溶解速度の決定−溶解度法I
活性物質の溶解速度は、上記「溶解法I」の表題のもとに記載したのと同じ手順を用い、
記載した計算法に適切な変更を加えて行う。
錠剤の粉砕に対する耐性試験
この試験は、Ph.Eur.1997,pp135-136に記載されたガイドラインに従って行う。
【0083】
下記の実施例は本発明の特定の態様を説明することを意図したものであって、いかなる意
味においても本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
20
最終組成物の溶解速度に及ぼす種々のプロセスパラメーターの影響の探索
本発明者らによる最初の探索は、治療上および/または予防上活性な物質の溶解速度が使
用した製造プロセスに依存するように思われることを示した。とりわけ、たとえば、(i
)反応媒体を添加する間の噴霧圧、(ii)反応時間、(iii)添加した反応媒体の量、お
よび(iv)混合強度(すなわち、チョッパー(chopper)の±使用)などの重大なパラメ
ーターを制御する必要があると判断された。従って、中心点の反復(replication)を用
いた24階乗デザイン(factorial design)に基づく実験室テストを行った。
【0084】
これらテストの目的は、組成物からの治療上および/または予防上活性な物質の溶解に及
ぼす所定のプロセスパラメーターの影響を探索することであった。本明細書に記載した溶
30
解法Iを用いて溶解試験を0.07N塩酸中で行い、溶解試験の20分後に放出され溶解
した活性物質の量を決定した。
【0085】
探索した因子およびレベルは下記に掲げたとおりである。
因子 低レベル 高レベル
噴霧圧a 0.5バール 2.0バール
反応時間b 2分 9分
媒体の量 1440g 1640g
混合強度 − +c
(チョッパーの±使用)
40
a
:噴霧圧は空気をノズルに導入する直前に測定した。
b
:水の分散時間を除く
c
:チョッパーのスピードは1であった。
【0086】
このデザインには20のテストが含まれ、中心点(チョッパーを使用(+)またはチョッ
パーなし(−))は1度だけ反復した。各テストに使用した組成物をテスト1(バッチN
o.30069733)に使用した製造プロセスとともに下記に記載してある。他のテス
トの製造プロセスは、上記プロセスパラメーターを試験するために必要な変更以外はテス
ト1に従った(下記表1参照)。
【0087】
50
(21)
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I ロルノキシカム 80.0g
II 炭酸水素ナトリウム 400.0g
III Avicel PH101 960.0g
IV 無水リン酸水素カルシウム 1104.0g
V L−HPC 480.0g
VI ヒドロキシプロピルセルロース 160.0g
VII 精製水 1230.0g
VIII エタノール99.9% 410.0g
IX ステアリン酸カルシウム 5.0g*
*I∼VIの全体で1kgに対して調節した量
10
【0088】
II∼VIをフィールダーインテンシブミキサー中、インペラースピード1を用い、チョッパ
ーを用いることなく6分間混合した。ついで、1kgのアリコートをIとともにプラネタ
リー(planetary)ミキサー中で10分間混合した。この混合物を0.5mmのふるいにか
け、ついで残りのII∼VI混合物とフィールダー中で混合した。
VII+VIIIを混合し、2成分ノズルにより混合物(I∼VI)に0.5バールの噴霧圧、約2
分の噴霧時間にて適用した。インペラーのスピードは1であり、チョッパーのスピードは
1であった。噴霧が完了したとき、インペラーのスピード1およびチョッパーのスピード
1にて混合を9分間続けた。
【0089】
20
上記湿潤混合物の乾燥を、Aeromatic流動床中、入口の空気温度65℃にて行った。乾燥
を45分間続けた。その後、混合物を1.0mmのふるいにかけ、乾燥プロセスを入口の
空気温度80℃にて続けた。出口の温度が50℃に達したとき、約20分後に乾燥を停止
した。
かくして得られた粒状混合物1200gを0.7mmのふるいにかけた。IXを0.3mmの
ふるいにかけ、上記ふるいにかけた粒状混合物1000gとプラネタリーミキサー中で1
0分間混合した。
かくして得られた粒状混合物をKorsch回転打錠器で圧縮した。パンチ:9.5mm。調剤
カップ(compound cup)を用いた。錠剤の重量:320mg。
使用したプロセスパラメーターおよびテスト1∼20に対応する組成物から得られた溶解
速度を下記表1に示す。
【0090】
表1
【表1】
30
(22)
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10
20
30
【0091】
一般に、錠剤の下記技術特性が得られた(非コーティングコア):
水分含量(LOD − 70℃で30分間):1.4∼2.2%
崩壊時間(平均):3∼6分
錠剤の硬さ(粉砕強度)(平均):80∼100N
塊の均一性(Srel):1∼2%
【0092】
40
結論
上記表1に示すように、試験した種々の組成物からのロルノキシカムの溶解は79%w/
w∼約94%w/wと様々であった(溶解した量は、本明細書に記載した溶解法Iを用い
た溶解試験の20分後に決定した)。
統計的分析は、溶解速度に及ぼす影響に関して下記プロセスパラメーターが5%レベルで
有意であるかまたはほとんど有意であった。
噴霧圧(P=0.03)
媒体の量(P=0.06)
噴霧圧と媒体の量との間の相互作用(P=0.02)
噴霧圧とチョッパーとの間の相互作用(P=0.03)
50
(23)
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媒体の量と反応時間との間の相互作用(P=0.02)
噴霧圧、反応時間および媒体の量の間の相互作用(P=0.04)
【0093】
実施例2
0.07N塩酸中でのロルノキシカムの迅速放出を有するロルノキシカム組成物のデザイ
ン
実施例1に記載した因子デザインで得られた結果に基づき、および20分後でのほとんど
100%w/wの放出に近似または達成することを目指し、プロセスパラメーターの値の
3つの理想的な推定値を計算した。これらプロセスパラメーターの値を下記表2に記載し
てある。組成および製造プロセスは実施例1に記載したテスト1と同じであった。
10
【0094】
表2
【表2】
20
*水の分散時間を除く。
【0095】
テスト1∼3はセルロース(Ming Taiから供給された微結晶セルロース)を用いて製造し
30
た。(i)組成物の技術特性に関して得られた結果、および(ii)組成物からのロルノキ
シカムの放出に関して得られた結果が微結晶セルロースの特定の品質の使用により影響さ
れるか否かを調べるため、他の供給者(FMC)からの他の品質をテスト4(バッチNo
.26089732)に含めた。テスト4は表2のテスト1と同じであった。
テスト1∼4から得られた錠剤の技術特性は実施例1で得られた結果と同じであった。
【0096】
結論
表2に示すように、98%w/wの放出が20分後に達成された、すなわち実施例1で得
られた溶解速度に比べて溶解速度が有意に改善された。それゆえ、放出されたパーセント
は100%に近づいた。
40
表2に示したテスト4(26089732 FMC)からの結果をテスト1(15089
734 Ming Tai)からの結果と比較すると、放出または組成物の技術特性に有意の差異
は観察されなかった。
【0097】
実施例3
使用した炭酸水素ナトリウムの品質の影響の探索
以下に記載する実験室テストは、異なる供給者から得た炭酸水素ナトリウムの使用に基づ
くものであった。
Kirschから供給された炭酸水素ナトリウム(平均粒度∼120μm)を試験するため、2
つの同一の組成物(バッチNo.23079733および23079735に対応するテ
50
(24)
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スト)を製造した。以前に、Toshoから供給された炭酸水素ナトリウム(平均粒度∼10
5μm)を使用した。
製造プロセスパラメーターは実施例の表1に記載したテスト5と同じであった。
【0098】
コアの溶解特性
両テストについて約94%w/w(本明細書に記載した溶解法Iを用いて20分後に溶解
したパーセント)
技術特性は実施例1に記載したものと同じであった。
【0099】
結論
10
行った2つのテストの放出結果に有意の差異は認められない、すなわち使用した炭酸水素
ナトリウムの品質はロルノキシカム含有組成物の溶解挙動に対して試験した変動内で有意
の影響を及ぼさないと思われる。さらに、平均粒度に関する小さな変動は本発明による組
成物の溶解挙動に対して重要な影響を及ぼすものとは思われない。
【0100】
実施例4
溶解挙動に及ぼすプロセスパラメーター(反応媒体の適用)の影響の探索
以下に記載する実験室テストは1−成分ノズルの使用に基づいていた。
このテスト(バッチNo.27089732)では反応媒体を適用するために1−成分ノ
ズルを用いた。組成および製造プロセスは以下のパラメーター以外は実施例1のテスト1
20
と同じである。
噴霧圧:3.5バール
反応時間:16分
反応媒体の量:1440g
チョッパーの使用なし。
【0101】
コアの溶解特性
20分後の放出は98.3%であった。
錠剤の技術特性は実施例1に示したものと同じであった。
結論
30
実施例2のテスト4と比較したときに放出挙動に有意の差異は認められない。従って、製
造スケールに1−成分ノズルを使用することは可能であるに違いない。
【0102】
実施例5
製造スケールレベルへのスケールアップ
製造スケールテスト:
1つのテスト(コアのバッチNo.962620)を製造スケールまでスケールアップし
た。250,000個の錠剤のバッチサイズの組成および製造プロセスは下記のとおりで
ある:
(Kg/250,000錠剤)
40
I ロルノキシカム 2.0kg
II 炭酸水素ナトリウム 10.0kg
III 微結晶セルロースPH101 24.0kg
IV 無水リン酸水素カルシウム 27.6kg
V L−HPC 12.0kg
VI ヒドロキシプロピルセルロース 4.0kg
VII ステアリン酸カルシウム 0.4kg
VIII 精製水 27.0kg
IX エタノール 9.0kg
X Filmcoat K01187 30.3kg
50
(25)
JP 5026635 B2 2012.9.12
【0103】
II∼VIをディオスナインテンシブミキサー中、インペラースピード1およびチョッパース
ピード1を用いて1分間混合した。ついで、ミキサーから10kgのアリコートを取り出
した。この試料5kgを手動でIと混合した。残りのII∼VI混合物の小部分をQuadro Comi
l U20中、062Rふるいでふるいにかけた。ついで、I∼VI混合物をふるいにかけ、II∼
VI混合物の残りの部分に加え、ディオスナインテンシブミキサー中で残りのII∼VI混合物
と混合した。1分間、インペラースピードは1であり、チョッパーは1であった。
【0104】
VIIIとIXを混合し、1成分ノズル(Delevan 1/4BNM22X)により上記混合物に6.2バール
の噴霧圧、約3分の噴霧時間にて適用した。インペラーのスピードは1であり、チョッパ
10
ーのスピードは1であった。噴霧が完了したとき、インペラーのスピード1にて反応を1
3分間続け、チョッパーは使用しなかった。
【0105】
乾燥をAeromatic流動床中、入口の空気温度約65℃にて行い、45分間続けた。ついで
乾燥プロセスを入口の空気温度約80℃にて続けた。出口の温度が約42℃でRH%(混
合物全体について)が約17%のとき、乾燥を停止した。かくして得られた粒状混合物の
LODは1.0%と決定された。
得られた粒状混合物をFrewitt中、0.71mmのふるいにかけた。VIIをQuadro Comil U2
0中、062Rふるいでふるいにかけ、ふるいにかけた粒状混合物とディオスナインテン
シブミキサー中で25秒間混合した。インペラーのスピードは1であった。
20
かくして得られた粒状混合物をManestyより供給されたBeta圧縮回転打錠器を使用して打
錠した。パンチ:9.5mm。調剤カップを用いた。
【0106】
非コーティング錠剤の技術特性
湿度(LOD):1.2∼1.4%
崩壊時間:1分45秒∼2分
錠剤の硬さ:80∼100N
コアの溶解特性
20分後に99.25%w/wが放出された(本明細書に記載した溶解法I)。
【0107】
30
上記コアを3つのノズルを有するAccela Cota 150中、白色HPMCコート(Filmcoat K0
1187)でコーティングした(コーティングした錠剤のバッチNo.:962640)。噴
霧圧はコントロールパネルで測定した6バールであり、流速はプロセスの開始時で約17
5g/分、プロセスの終了時で約130g/分であった。コーティングの組成は以下のと
おりである:
I メチルヒドロキシプロピルセルロース 1.43kg
II プロピレングリコール 0.28kg
III 二酸化チタン 0.90kg
IV タルク 0.90kg
V 精製水 26.70kg
40
【0108】
コーティング錠剤の溶解特性
20分後に98.62%w/wが放出された(本明細書に記載した溶解法I)。
湿度(LOD):2.4∼2.6%
結論
得られた結果は、製造スケールであってもロルノキシカム錠剤からのロルノキシカムの殆
ど100%の放出および溶解が得られることを示している。
【0109】
実施例6
溶解挙動に及ぼす粒状組成物の粒度の影響の探索
50
(26)
JP 5026635 B2 2012.9.12
錠剤の実験室テスト(錠剤を調製するのに使用した粒状組成物の粒度:212ミクロン以
上または以下)
1つの粒状組成物のバッチ(バッチNo.08079731)を2つのフラクション、す
なわち細かい(平均粒度(PS)<212ミクロン)材料および粗い(平均粒度>212
ミクロン)材料に分けた。これら2つのフラクション(バッチNo.07109731A
=<212μmおよびバッチNo.07109731B=>212μm)に基づいて錠剤
を製造した。
【0110】
溶解挙動
PS<212μmの粒状組成物に基づく錠剤の20分溶解:93.1%
10
PS>212μmの粒状組成物に基づく錠剤の20分溶解:85.4%
結論
錠剤製造プロセスに使用した粒状組成物の粒度は、放出速度に有意に影響を及ぼすと思わ
れる。さらに、小さな平均粒度は大きな平均粒度に比べて速い溶解に関して一層良好な挙
動を有すると思われる。
【0111】
実施例7
製造スケールへのスケールアップ
このテストでは、(i)反応媒体の噴霧化のためのノズルのタイプ、(ii)反応媒体の量
および(iii)反応時間以外は実施例5に記載した方法と同じ方法に従って5つのバッチ
20
を調製した。実施例7では媒体の分散のためにシャワータイプを用いたが、これは本当の
噴霧を与えるものではない。これらテストのプロセスパラメーターを表3に示す。
【0112】
表3
【表3】
30
*:水の分散時間;約2分を含む
技術特性は実施例5で得られたものと同じであった。
これらコアを実施例5の記載と同様にしてコーティングした。
40
【0113】
コーティング錠剤の20分溶解
テスト1(972560(コアのバッチNo.:972510))のコーティング錠剤:
100.4%
テスト2(972570(コアのバッチNo.:972520))のコーティング錠剤:
100.4%
テスト3(972580(コアのバッチNo.:972530))のコーティング錠剤:
99.0%
テスト4(972600(コアのバッチNo.:972540))のコーティング錠剤:
96.1%
50
(27)
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テスト1(972590(コアのバッチNo.:972550))のコーティング錠剤:
94.1%
【0114】
上記結果は、コーティング溶液の量および反応時間が重大であることを示している(実施
例1に記載した実験室テストからの結果を支持)。しかしながら、反応媒体を粉末に分布
させる方法は製造スケールにとって重大であるとは思われない。
結論
約8分に対応する水の分散時間を含む反応時間が、少なくとも約1440gの反応媒体/
10,000錠剤には必要であると思われる。約6分またはそれ以下に対応する水の分散
時間を含む反応時間では、20分後に100%近い放出を有するバッチを得ることは難し
10
いであろう。
【0115】
実施例8
最終組成物に及ぼす炭酸水素ナトリウムおよびリン酸水素カルシウムの影響の探索
重要な賦形剤の粒度が溶解特性および/または技術特性に及ぼす影響を調べる実験室テス
トは、中心点の2反復を用いた24階乗デザインに基づいていた。
これらテストの目的は、以下に掲げた因子およびレベルが技術特性に及ぼす影響を見出す
ことであった。
【0116】
19のテストを行った。製造プロセスは実施例1のテスト1と同じであったが、噴霧圧は
20
2.2バールに設定し、反応時間(水の分散時間を除く)は16分でチョッパーは用いな
かった。
*:この成分のバッチNo.は実施例1に使用したバッチNo.と同じである。
20分溶解(満足のいくまたは殆ど満足のいく脆さ(friability)を有するバッチについ
て)、CaHPO4およびNaHCO3の粒度および技術特性を表4に示す。
【0117】
表4
【表4】
30
(28)
JP 5026635 B2 2012.9.12
10
20
30
*:この成分のバッチNo.は実施例1に使用したバッチNo.と同じである。
【0118】
粉砕強度および崩壊に関するAnova分散(variance)分析を以下に示す:
分散の分析−粉砕強度−タイプIII平方の合計(Sums of Squares)
【表5】
40
(29)
JP 5026635 B2 2012.9.12
10
F比はすべて説明がつかない(residual)平均平方誤差に基づく。
【0119】
上記で得られた結果は図1および図2に示してあり、使用したリン酸水素カルシウムの粒
度が錠剤の粉砕強度に対して有意の影響を及ぼすことを示している。使用した炭酸水素ナ
トリウムの粒度は、錠剤の粉砕強度に対して殆どまたは全く影響を及ぼさないと思われる
。
【0120】
分散の分析−崩壊−タイプIII平方の合計
【表6】
20
30
F比はすべて説明がつかない平均平方誤差に基づく。
【0121】
上記で得られた結果は図3に示してあり、使用したリン酸水素カルシウムの粒度が錠剤の
崩壊時間に有意の影響を及ぼすのに対して、使用した炭酸水素ナトリウムの粒度が錠剤の
崩壊時間に及ぼす影響ははるかに小さいと思われることを示している。
結論
CaHPO4の粒度は技術特性(脆さおよび崩壊時間)に対して有意の影響を及ぼす。約
11μm、60μmおよび128μmの平均粒度を有するCaHPO4は硬い錠剤を与え
ず、その大部分の脆さ%が100に近い錠剤を与える。しかしながら、NaHCO3の粒
度は技術特性に有意の影響を及ぼさないと思われる。
【0122】
実施例9
水ベースの反応
水のみからなる反応媒体を用いた3つのテストを行った。組成および製造プロセスは、実
施例8による粒度に関するテストと同じであった。これらテストの結果を表5に示す。
【0123】
表5
【表7】
40
(30)
JP 5026635 B2 2012.9.12
10
【0124】
結論
1440g/10,000錠剤の媒体量を用いたテスト1および3は、約91∼95%w
/wの放出を与えた(本明細書に記載する溶解法I)。より多量の媒体(テスト2)は、
65.8%w/wの低い放出および一層長い崩壊時間を与えた。テスト2の粒状組成物の
平均粒度はテスト1および3のものより大きい。
【0125】
実施例10
製造スケールへのスケールアップ
20
2つのテスト(コアのバッチNo.:020590および020600)を製造スケール
で調製した。コアの組成および製造プロセスは、表3中のテスト2(実施例7)(スケー
ルアップ2)と同じであった。
この一連のバッチの目的は、コーティング後の錠剤中の水分含量を最小にするために(高
すぎる水分含量はロルノキシカムの崩壊を導く)コーティングプロセスを改善することで
あった。
コーティングプロセスの変更は、コーティングの間の製品の温度を約10℃上昇させるこ
とによって、液体の流速を約80g/分に下げることによって、およびコーティングを適
用した後に1時間の乾燥を導入することによって行った。
【0126】
30
【0127】
コアの20分溶解
020590:97.3%
020600:97.9%
コーティング錠剤の20分溶解
40
021170(コアのバッチNo.:020590):97.6%
020640(コアのバッチNo.:020600):96.8%
湿度(LOD):1.3∼1.5%
【0128】
結論
錠剤の水分含量は約2.0またはそれ以上から1.5%以下の値に低減した。
崩壊時間のわずかな増大は、約2.0Nの錠剤の硬さの増大によるものであった。
【0129】
実施例11
水ベースの反応を用いた製造スケールのテスト
50
(31)
JP 5026635 B2 2012.9.12
水のみからなる反応媒体に基づく1つのバッチ(No.020560)を製造スケールで
調製した。コアの組成および製造プロセスは、反応媒体(本実施例では精製水である)以
外は実施例10のテストと同じであった。反応時間(水の分散時間、約2分を含む)は1
6分であった。
錠剤を実施例10の記載と同様にして圧縮した。
【0130】
コアの技術特性
湿度(LOD):1.4%
崩壊時間(分):1分30秒
錠剤の硬さ:50∼70N
10
コアの20分溶解
実施例10の記載と同じプロセスパラメーターを用いてコーティングプロセスを行った。
【0131】
コーティング錠剤の20分溶解
020610(コアのバッチNo.:020560):91%w/w
湿度(LOD):1.3%
結論
製造スケールでの水ベースの反応(この場合、水以外の他の溶媒を使用しない)は低い錠
剤の硬さを与えた。この錠剤の硬さは、コーティングプロセスの間に若干の問題を提起し
た。20分後の放出は実施例10で得られた結果に比べて低いように思われる。
20
【0132】
実施例12
ロルノキシカムの化学的分解に対して結合反応条件が及ぼす影響の探索
本実施例の目的は、ロルノキシカムの化学的分解に関して望ましい安定性特性に影響を及
ぼすことなく、活性医薬物質(ロルノキシカム)とアルカリ物質(炭酸水素ナトリウム)
との間の反応を他の成分および薬理学的に許容しうる賦形剤を添加する前に適切に行うこ
とができるか否かを調べることであった。
【0133】
実施例1に掲げた組成を有する錠剤の1つのバッチを、実施例1の記載に従い、1.3バ
ールの噴霧圧、9分の反応時間、インペラースピードおよびチョッパースピード1、およ
30
び1440gの反応媒体量を用いて製造した。以下に記載するフィルムを用いてコアをフ
ィルムコーティングした:
Pharmacoat 603(HPMC) 108g
Macrogol 6000 9g
二酸化チタン 41g
タルク 8g
精製水 374g
エタノール 655g
【0134】
かくして得られたコーティング錠剤を二重アルミニウムブリスターパッケージにパッケー
40
ジングした。
下記組成を有する錠剤の第二のバッチ(b)を以下のようにして製造した:
8gの炭酸水素ナトリウムを120gの水に溶解し、600gのエタノール中の32gの
ロルノキシカムの懸濁液と混合した。気体の二酸化炭素が生成する間にロルノキシカムは
溶解した。100gのPharmacoat 606Wを加え、溶解した。212gの炭酸水素ナトリウ
ムを混合し、溶解した。得られた溶液を実験室サイズのミキサー中でAvicelと混合した。
この湿潤混合物を乾燥させ、ついでステアリン酸マグネシウムおよびポリプラスドンXL
と上記実験室スケールのミキサー中で混合した。
【0135】
ロルノキシカム 32g
50
(32)
JP 5026635 B2 2012.9.12
炭酸水素ナトリウム 220g
Avicel PH101 998g
Pharmacoat 606W 100g
Aerosil200 12g
ステアリン酸マグネシウム 4g
ポリプラスドンXL 34g
錠剤を上記表に示したフィルムコーティングでコーティングした。適用する乾燥物質の量
は、調製する錠剤の数に合わせて調節した。
コーティングした錠剤を密封ガラス容器に充填した。
【0136】
10
2つのバッチ(aおよびb;ともに耐水性パッケージに充填)を6ヶ月間室温に暴露し、
その間、3ヶ月後に中間の測定を行った。下記にその結果を示す(崩壊生成物HN331
44はロルノキシカムの崩壊生成物である):
結論
他の錠剤化賦形剤と混合する前にコンジュゲート(たとえば、ロルノキシカムのナトリウ
20
ム塩)を生成することは、ロルノキシカムの化学的安定性に関して低い安定性を有する生
成物を導くと思われる。
【0137】
実施例13
錠剤の硬さに対してリン酸水素カルシウムの粒度が及ぼす影響の製造スケールでの探索
実施例8での知見に基づき、製造スケールでのテストを行った。これら実験は治療上活性
な物質を加えることなく行った。
4つのテストを行い、これらテストに用いたバッチは、リン酸水素カルシウムを下記に記
載する平均粒度を有する品質で用いたことと、治療上活性な物質であるロルノキシカムを
組成から外したことの唯一の変更以外は実施例10の記載と同様にして製造した(バッチ
30
サイズ:80kg)。
【0138】
使用したリン酸水素カルシウムの種々の品質の平均粒度は以下のとおりであり、粒度はレ
ーザー光散乱により決定した:
表6
【表8】
40
【0139】
50
(33)
JP 5026635 B2 2012.9.12
結論
テスト1(バッチNo.10023460)およびテスト2(バッチNo.100234
63)から得られた錠剤の硬さは、実施例8の知見、すなわち平均粒度の増大は錠剤の硬
さの低減した錠剤を導くという知見と一致するものである。
表6から、平均粒度が17μmと低くとも許容しうる錠剤の硬さを得ることが可能である
こともわかる(テスト3)。さらに、異なる平均粒度を有する異なる品質のリン酸水素カ
ルシウムの混合物を使用したとしても、得られる平均粒度が適当なサイズである限り(小
さすぎることも大きすぎることもない)許容しうる錠剤の硬さを得ることができる(テス
ト4を参照)。後者は粒度分布を変えても得ることができる。
【0140】
10
実施例14
組成物中へのロルノキシカムの配合を含む実施例13の製造スケールでの継続
実施例13の結果は、約30μmのCaHPO4の品質および得られる平均粒度が約30
μmの異なるCaHPO4の品質の混合物の両者が、許容しうる硬さを有する錠剤へと導
くであろうことを示した。しかしながら、実施例13で調製した錠剤は治療上活性な物質
を含んでいなかった。それゆえ、たとえばロルノキシカムなどの治療上活性な物質を含有
する錠剤についても同じ結論が有効であるか否かを試験した。
【0141】
以下のバッチを実施例10の記載と同様にして調製した:
1.実施例13のバッチNo.10023460と同じタイプのCaHPO4を含むバッ
20
チNo.10025279
2.実施例13のバッチNo.10023460と同じタイプのCaHPO4を含むバッ
チNo.10025280
3.実施例13のバッチNo.10023462と同じタイプのCaHPO4を含むバッ
チNo.10025281
4.実施例13のバッチNo.10023462と同じタイプのCaHPO4を含むバッ
チNo.10025282
【0142】
以下の結果を得た:
表7
30
【表9】
40
s=標準偏差
n=試験数
【0143】
結論
50
(34)
JP 5026635 B2 2012.9.12
上記に掲げたバッチから得られた錠剤の硬さは、すべてのバッチについて満足のいくもの
である。このことは、平均粒度が許容しうるレベルの約30μmに近い限り、異なる粒度
のCaHPO4バッチを混合することが可能であることを意味する。さらに、ロルノキシ
カムを組成物中に配合しても錠剤の硬さに対して実際上の影響を及ぼさないように思われ
る。
【0144】
実施例15
実験室スケールのテスト − 水性媒体で処理した後に粉末混合物の粒度を低減すること
の効果
実験室スケールで、バッチサイズを4.48kgとした以外は実施例8の記載と同様にし
10
て(実施例8ではバッチサイズは3.2kgであった)錠剤コアを製造した。個々の錠剤
の組成は実施例1に示した組成と同じであった。下記成分および量を用いてバッチを調製
した:
【0145】
I ロルノキシカム 112.0g
II 重炭酸ナトリウム 560.0g
III Avicel PH101 1344.0g
IV 無水リン酸水素カルシウム 1546.0g
V L−HPC 672.0g
VI ヒドロキシプロピルセルロース 224.0g
20
VII 精製水 1512.0g
VIII エタノール99.9% 504.0g
IX ステアリン酸カルシウム 5.0g*
*I∼VIの全体で1kgに対して調節した量、すなわちステアリン酸カルシウムの含量は5
.0g/kgである。
【0146】
以下の結果を得た:
表8
【表10】
30
40
#:粒状材料の造粒または乾燥の間または後に適用した粒度(PS)低減法(乾燥ふるい
(dry sieving)は低減法を湿潤粒状材料の乾燥後に適用することを意味する;湿潤ふる
い(wet sieving)は低減法を粒状材料が湿潤している間、乾燥前に適用することを意味
50
(35)
JP 5026635 B2 2012.9.12
する;半湿潤乾燥は低減法を適用する前に粒状材料が殆ど乾燥していることを意味する)
*:ふるい180μmを通った%
【0147】
結論
すべての粒子低減法が適しているように思われる。しかしながら、コーンミル法が最も有
効であると思われるが、最も時間がかかるものでもある。
実施例1に従い、チョッパーを積極的に活用することによって塊状物の生成を回避しよう
とするテストNo.6(バッチNo.28059931)での試みはプロセスを穏やかに
改善したのみであった。というのは、塊状物は依然として存在し、溶解も依然としてかな
り低いからである。
10
【0148】
実施例16
実験室スケールのテスト − 非連続的な湿潤練合を導入することの効果
実験室スケールで、湿潤練合相を変化させた以外は実施例15の記載と同様にして錠剤コ
アを製造した。
【0149】
表9
【表11】
20
30
40
50
(36)
JP 5026635 B2 2012.9.12
10
【0150】
結論
上記に掲げたデータから明らかなように、湿潤練合相の間に攪拌しない期間を導入するこ
とは、実施例15に記載したように乾燥粒状物を製粉することによって達成されるものよ
りも明らかに向上した溶解データを与える。
20
しかしながら、攪拌しない期間の使用は、攪拌(すなわち、エネルギー投入量)の過剰ま
たは過小のいずれともならないように調節しなければならない。例として、テストNo.
4(バッチNo.23039935)では全体として湿潤練合が短すぎるのが明らかであ
り(溶解の結果はかなり低い)、一方、テストNo.7(バッチNo.26039931
)では余りにも多くの攪拌を用いていると思われる。それゆえ、テストNo.4および7
の溶解データはテストNo.1(バッチNo.12039933)から得られる溶解デー
タほど高くはない。
【0151】
実施例17
実施例16と同様の構成だが一層小さなバッチサイズを用いた構成を試験するための実験
30
室スケールのテスト
バッチサイズの影響を試験するためにバッチサイズを3.2kgに低減した以外は実施例
16と同様にして実験室スケールのバッチを製造した。この3.2kgというバッチサイ
ズは、実施例8と全く同じ組成物を与える。実際、バッチNo.18039832、24
039832、31039833および14049832は実施例8からのものであり、
データの比較を容易にするためにここでも再び引用した。
【0152】
以下の結果が得られた:
表10
【表12】
40
(37)
JP 5026635 B2 2012.9.12
10
20
*
:「湿潤練合時間(wet massing time)」および「湿潤練合の中断(wet massing inte
rruption)」は以下のように理解すべきである。湿潤練合時間:1+1+1+1および湿
潤練合の中断3+3+3+3は、以下の方法によって粒状物を調製することを意味する:
1分間の湿潤練合、ついで3分間の中断、ついで1分間の湿潤練合、ついで3分間の中断
、等々。
#:1を超える平均値が示されている場合は、同じテストNo.からの錠剤で分析を繰り
返した。
【0153】
結論
30
実施例17ではバッチサイズが小さかったが、実施例16での結論は実施例17のテスト
にも有効である。上記湿潤練合の間隔をあける構成を使用することには、得られる溶解結
果に関して顕著な利点が存在する。さらに、湿潤練合相の中断が異なる実施例16および
17の全てのバッチのうち、いずれのバッチも非常に細かな粒度を有するものでないこと
に着目することは興味深い。このことは、粒状材料の粒度が溶解速度に影響を及ぼす唯一
のパラメーターではないことを示している。
【0154】
実施例18
治療上活性な物質としてイブプロフェンを用いた実験室スケールのテスト
実験室スケールで、3つのタイプの錠剤コアを製造した。第一のタイプ(バッチNo.1
40
0059932)は、ロルノキシカムの代わりにイブプロフェンを用いた以外は実施例8
の記載と同様にして製造した。それゆえ、その組成は以下のとおりである:
I イブプロフェン 80.0g
II 重炭酸ナトリウム 400.0g
III Avicel PH101 960.0g
IV 無水リン酸水素カルシウム 1104.0g
V L−HPC 480.0g
VI ヒドロキシプロピルセルロース 160.0g
VII 精製水 1080.0g
VIII エタノール99.9% 360.0g
50
(38)
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IX ステアリン酸カルシウム 5.0g/kg*
*I∼VIの全体で1kgに対して調節した量
【0155】
錠剤コアの第二のタイプ(バッチNo.07069934)には、湿潤練合相を除いた以
外は同じ製造法、すなわち直接圧縮による錠剤の製造法を用いた。
錠剤の第三のタイプ(バッチNo.07069933)は、炭酸水素ナトリウムを除いた
以外は第二のタイプと同じ方法、すなわち直接圧縮により製造した。
以下の結果は、120mgの所定量のイブプロフェンを含有する15の錠剤についての測
定に基づく各溶解試験についてのものであった。使用した溶解法は以下のとおりである:
【0156】
10
試験方法
装置:固形剤型のためのPh.Eur.溶解試験およびUSP XXIII<711>装置2、Sotax AT7を
装備。測定はPerkin Elmer分光計ラムダ15を用いて行った。
ガラス繊維フィルター:Whatman GF/F
溶解媒体:900.0ml溶解媒体(下記参照)
回転数:50rpm
溶解媒体の温度:37℃±0.5℃
測定時間:10分、20分、30分および60分(および120分)
【0157】
検出UV:221nm
20
試薬の調製:
溶解媒体:50.0gの塩化ナトリウムを計量し、141.6mlの濃塩酸を測量する。こ
れら薬剤を蒸留水に溶解し、蒸留水で25Lまで希釈する。
標準:
ストック溶液:1000μg/mlの濃度のイブプロフェンを含む2つのストック溶液(
S1およびS2)を調製した。イブプロフェンは溶解媒体に溶解した。
標準:各ストック溶液を溶解媒体で2つの標準に希釈した:たとえば、溶解媒体で2.0
0mlを50.00mlに希釈し3.00mlを50.00mlに希釈するか、または2.0
0mlを50.00mlに希釈し4.00mlを50.00mlに希釈した。
【0158】
30
試験手順
900mlの溶解媒体を各容器(典型的に生成物について3つまたは6つの容器)に充填
する。この媒体を37℃±0.5℃に加熱する。試験すべき生成物(たとえば、治療上お
よび/または予防上活性な物質、粒状組成物、粒状物、顆粒、または錠剤、カプセル剤も
しくはサシェ剤の形態の組成物)を容器に入れる。
たとえば10mlの試料容量を抽出し、所定の時間に濾過する。
測定前に試料および標準をエタノールで適当な濃度(たとえば、25倍希釈)に希釈した
。
【0159】
溶解法のための計算
40
溶解したパーセントは、イブプロフェンの標準を参照して計算した。
溶解したイブプロフェンの量(y10、y20、y30およびy60)を、各錠剤中の言
及された含量のパーセントとして下記式を用いて計算する。
10分
【数3】
20分
50
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【数4】
30分
【0160】
10
【数5】
20
60分
【数6】
30
上記式中:
stA =標準の濃度(mg/ml)
abs試料 =試料の吸光度
abs標準 =標準の吸光度
n =標準の有効性(%)
v =試料の量(ml)
x =言及した含量
【0161】
得られた結果は以下のとおりである:
【表13】
40
(40)
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10
【0162】
結論
上記に示したデータから、第一の調合タイプ、すなわち実施例1のアプローチによるもの
は、NaHCO3が存在するか否かに拘らず直接圧縮に比べて溶解速度が顕著に改善され
ていることが明らかである。しかしながら、直接圧縮でのNaHCO3の添加は溶解速度
に若干の効果をもたらしている。
【0163】
20
実施例19
治療上活性な物質としてフロセミドを用いた実験室スケールのテスト
実験室スケールで、3つのタイプの錠剤コアを製造した。第一のタイプ(バッチNo.0
6059932)は、ロルノキシカムの代わりにフロセミドを用いた以外は実施例8の記
載と同様にして製造した。それゆえ、その組成は以下のとおりである:
I フロセミド 80.0g
II 重炭酸ナトリウム 400.0g
III Avicel PH101 960.0g
IV 無水リン酸水素カルシウム 1104.0g
V L−HPC 480.0g
30
VI ヒドロキシプロピルセルロース 160.0g
VII 精製水 1080.0g
VIII エタノール99.9% 360.0g
IX ステアリン酸カルシウム 5.0g/kg*
*I∼VIの全体で1kgに対して調節した量
【0164】
錠剤コアの第二のタイプ(バッチNo.04069934)には、湿潤練合相を除いた以
外は同じ製造法、すなわち直接圧縮による錠剤の製造法を用いた。
錠剤の第三のタイプ(バッチNo.04069932)は、炭酸水素ナトリウムを除いた
以外は第二のタイプと同じ方法、すなわち直接圧縮により製造した。
以下の結果は、8mgの所定量のイブプロフェンを含有する1つの錠剤についての測定に
基づいて行った各溶解試験についてのものである。使用した溶解法は、パドルの回転を5
0rpmに変え、使用した波長が274nmである以外は溶解法Iと同じである。標準に
使用した物質はフロセミドであり、その濃度はロルノキシカムと同じである。
【0165】
以下の結果が得られた:
【表14】
40
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10
【0166】
これらデータを100分後の最終放出が100%と等しくなるように調節すると下記デー
タが得られる:
【表15】
20
30
Org:最初のデータ
Adj:調節したデータ
【0167】
結論
上記に示したデータから、10分および20分後の初期の放出が調合の種類により著しい
影響を受けることがわかる。これは、NaHCO3の添加が顕著に速い溶解速度を与える
40
ことを意味している。タイプ1の調合は最も有効であり、湿潤練合工程が有利であること
を示している。
【0168】
実施例20
実験室スケールのテスト − ロルノキシカム含有組成物にラウリル硫酸ナトリウムを添
加することによる溶解速度に及ぼす影響の探索
実験室スケールで、ラウリル硫酸ナトリウムの効果を、
(a)NaHCO3をラウリル硫酸ナトリウムに代えた調合物で造粒するか、または
(b)ラウリル硫酸ナトリウムを添加した実施例8の調合物を直接圧縮する
ことにより調べた。
50
(42)
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【0169】
テスト(a)および(b)の実際の調合物は以下に示すとおりである:
10
*1kgの粒状材料に対して調節した量
【0170】
テストaの組成物は実施例8の記載と同様にして製造し、テストbの組成物は直接圧縮(
すなわち、湿潤練合相を省く)により製造した。
【0171】
20
得られた結果は以下のとおりであった:
【表16】
30
【0172】
結論
上記に示す結果から、ラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤の添加はロルノキシカ
ムの速い放出に導かないことがわかる。同じ結果は、ラウリル硫酸ナトリウムとともに炭
酸水素ナトリウムが組成物中に存在する場合にも認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 粉砕強度に関するAnova分散分析の結果を示すグラフであり、使用したリン酸
水素カルシウムの粒度が錠剤の粉砕強度に対して有意の影響を及ぼすことを示す。
【図2】 粉砕強度に関するAnova分散分析の結果を示すグラフであり、使用したリン酸
水素カルシウムの粒度が錠剤の粉砕強度に対して有意の影響を及ぼすことを示す。
【図3】 崩壊に関するAnova分散分析の結果を示すグラフであり、使用したリン酸水素
カルシウムの粒度が錠剤の崩壊時間に有意の影響を及ぼすのに対して、使用した炭酸水素
ナトリウムの粒度が錠剤の崩壊時間に及ぼす影響ははるかに小さいと思われることを示す
。
40
(43)
【図1】
【図3】
【図2】
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(44)
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
A61K 47/26
(2006.01)
A61K 47/26
A61P 29/00
(2006.01)
A61P 29/00
A61P 43/00
(2006.01)
A61P 43/00
112 (72)発明者 ポウル・ベルテルセン
デンマーク、デーコー−2720ヴァンレーセ、グレンダルス・パルクヴァイ54番
(72)発明者 ニルス・グイェルロヴ・ハンセン
10
デンマーク、デーコー−2000フレデリクスベアウ、コーエア・サルトマンズ・プラス76番、
1
(72)発明者 ヘルマン・ルッケノルファー
オーストリア、ア−4193ライヒェンタル、ライヒェンタル170番
(72)発明者 板井 茂
埼玉県上尾市壱丁目403−21
審査官 遠藤 広介
(56)参考文献 特開平05−112445(JP,A)
20
特開平03−240729(JP,A)
特開平05−271054(JP,A)
特開平02−180814(JP,A)
特表平10−508835(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
A61K
9/20
A61K
9/28
A61K 31/542
A61K 47/02
A61K 47/04
A61K 47/26
30
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