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数学の基礎訓練II
数学の基礎訓練 II ∼微積分の基本∼ 平成 28 年 3 月 29 日版 1 2 微分 1.1 極限 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.2 導関数の定義と基本 . . . . . . . . . . . 1.2.1 導関数の定義 . . . . . . . . . . . 1.2.2 導関数の幾何学的意味 . . . . . . 1.2.3 微分の基本公式 . . . . . . . . . . 1.3 複雑な関数の導関数 . . . . . . . . . . . 1.3.1 Chain Rule . . . . . . . . . . . . 1.3.2 逆関数・指数関数の微分 . . . . . 1.4 微分と定性的表現 . . . . . . . . . . . . . 1.5 微分と接線 . . . . . . . . . . . . . . . . 1.6 高次導関数 . . . . . . . . . . . . . . . . 1.7 マクローリン展開とテイラー展開 . . . . 1.7.1 マクローリン展開 . . . . . . . . . 1.7.2 テイラー展開 * . . . . . . . . . . 1.8 オイラーの公式 . . . . . . . . . . . . . . 1.8.1 オイラーの公式の導出 . . . . . . 1.8.2 オイラーの公式と三角関数の公式 1.8.3 オイラーの公式と複素数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 積分 2.1 不定積分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.1.1 不定積分の定義 . . . . . . . . . . . 2.1.2 不定積分の公式 . . . . . . . . . . . 2.1.3 不定積分の幾何学的意味 . . . . . . 2.2 定積分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.2.1 定積分の定義 . . . . . . . . . . . . 2.2.2 定積分と偶関数・奇関数 . . . . . . 2.3 積分の計算方法 . . . . . . . . . . . . . . . 2.3.1 微分を探す . . . . . . . . . . . . . 2.3.2 部分分数分解 . . . . . . . . . . . . 2.3.3 部分積分 . . . . . . . . . . . . . . . 2.3.4 積分の Chain Rule: 変数変換 . . . 2.3.5 三角関数の積分 . . . . . . . . . . . 2.4 面積・体積・曲線の長さ . . . . . . . . . . 2.4.1 面積 . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.4.2 体積 . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.4.3 曲線の長さ . . . . . . . . . . . . . 2.5 広義積分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.6 力学と微積分 . . . . . . . . . . . . . . . . 2.6.1 距離・速度・加速度 . . . . . . . . 2.6.2 運動量・力積・運動エネルギー・仕事 2.7 積分と定性的表現 . . . . . . . . . . . . . . 1 1 2 2 2 2 3 3 3 3 4 5 5 5 6 6 6 6 7 8 8 8 8 8 8 8 9 10 10 10 11 12 12 13 13 14 15 16 16 16 16 17 3 微分方程式 3.1 微分方程式の解の挙動 . . . . 3.2 微積分と定性的表現 . . . . . 3.3 簡単な微分方程式の解法 . . . 3.3.1 変数分離型微分方程式 3.3.2 斉次線形微分方程式 . . . . . . . . . . . . . . . . 西井 淳 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17 17 17 18 18 18 A 微分・積分ドリル 19 B このドキュメントの著作権について 20 1 1 微分 0 x x (2) lim x→0 0 (1) lim x→0 1.1 極限 問 1 以下の極限を求めなさい。必ずグラフを描いて 考えること (答 1 。 (3) lim x→−∞ ex 1 x→+0 x (4) lim 1 x (5) lim ex − e−x x→∞ ex + e−x (1) lim (2) lim x→−0 1 x x→∞ 1 + e− T 1 x→0 x (6) 1 x→∞ x (7) lim (3) lim (4) lim lim x→−∞ (7) (8) 1 x→2+0 x − 2 1 1 x e +1 1 x→+0 lim |x| x→+0 x 1 x e +1 1 x→−0 1 x e +1 √ x+1−1 (11) lim x→0 x √ x2 + 1 − 1 (12) lim x→∞ x |x| x→−0 x (9) lim (10) lim ex x→∞ x−1 (13) lim √ x→1 x−1 lim ex x→−∞ (12) lim e−x sin x (14) lim √ x→+0 x x→∞ (13) e +1 x→−∞ (10) lim (T > 0) 1 x lim (9) lim (8) lim (11) 1 x 1 + e− T lim 1 x→2−0 x − 2 (T > 0) 1 x→∞ 1 (5) lim x→−∞ x (6) 1 +1 lim e−x sin 2h h→0 h x→−∞ (15) lim 問 2 以下の極限値を求めなさい (答 2 (ロピタルの定 理は禁止)。ただし、必要であれば以下の 2 式を用 いても良い。 ( ) sin x 1 x ( 注1 lim =1 , lim 1+ =e x→±∞ x→0 x x tan t t→0 t (16) lim 1 (17) lim (1 + x) x x→0 ( a )t (18) lim 1 + t→∞ t (答 1 (1) ∞ (2) −∞ (3) 極限値無し (4) 0 (5) 0 (6) ∞ (7) −∞ (8) 1 (9) −1 (10) ∞ (11) 0 (12) 0 (13) ∞ (答 2 (1) 0 (2) 値無し (3) 1 (4) 1 (5) 1 (6) 0 (7) 12 (8) 1 (9) 0 (10) 1 (11) 1/2 (12) 1 (13) 2 (14) 0 (15) 2 (16) 2 1 (17) e (18) ea (19) 1 (注 1 数学の基礎訓練 I の三角関数のセクションで述べたように x ≪ 1 に対して sin x ≃ x となる。 (19) lim x→0 (a > 0) log(1 + x) x 問 3 以下の極限値を求めなさい (答 3 (答 3 1 (1) cos x (2) − sin x (3) 1/x 微分 導関数の定義と基本 1.2 1 (2) y = f ′ (x) のグラフ頂点のおおよその値にも気 をつけましょう。 sin(x + h) − sin x h→0 h (1) lim (2) lim h→0 微分 cos(x + h) − cos x h y 3 log(x + h) − log x h→0 h 2 (3) lim 1 x -4 -3 -2 -1 導関数の定義と基本 1.2 1.2.1 0 1 2 3 4 -1 導関数の定義 -2 -3 関数 f (x) の導関数 (derivative) は次式で定義され、 df d f ′ (x), , f などで表す。 dx dx 1.2.3 f (x + h) − f (x) f ′ (x) = lim h→0 h 微分の基本公式 問 4 導関数の定義式に基づいて次式を証明せよ。 また、導関数を求めることを「微分する」と言い、し ばしば導関数自体を微分 (differentiation) と呼ぶ。 物理や工学の分野では、時間 t の関数 f (t) の導関 数を f˙(t) (「エフドット」と読む) と表し、他の変数 による微分と区別する。 (1) (f (x) ± g(x))′ = f ′ ± g ′ (2) (kf (x))′ = kf ′ (k:定数) (3) (f (x)g(x))′ = f ′ g + f g ′ ( ) f (x) ′ f ′ g − f g ′ (4) = g(x) g2 問 1 導関数の値を調べると何がわかるか,その意味 を 2 通り以上の表現で説明せよ。 問 5 以下を導関数の定義に従って証明せよ。 解説 関数は入力値に出力値に対応づける規則であ る。一方,微分という操作は入力関数に対応した関 数 (導関数) を出力する点で関数とは異なる。 (1) (2)′ = 0 (2) (x3 )′ = 3x2 1.2.2 (3) (x−2 )′ = −2x−3 導関数の幾何学的意味 (4) (xn )′ = nxn−1 (n:正の整数) 問 2 以下の式の幾何学的意味を説明しなさい。 (1) d C=0 dx (5) (xn )′ = nxn−1 (n:負の整数) (C は定数) d (2) (ax + b) = a dx (6) (sin x)′ = cos x (a, b は定数) (7) (cos x)′ = − sin x 問 3 以下の図に示すなめらかな関数 y = f (x) の導 d 関数 f (x) のグラフを描きなさい. dx 注) (8) (ln x)′ = 問 6 以下の導関数を求めよ。ここまでに証明した公 式は用いてよい (答 4 。 (1) “滑らかな関数” とは一般に無限回微分可能 (C ∞ 級 (注 2 ) な関数を指すので、その導関数のグラ フも滑らかになります。 (1) y = tan x 10 (a) y ′ = cos12 x (b) y ′ = sin x + x cos x (c) y ′ = (x−5) 2… 分子が x を含まない形にまず変形してから微分すると楽 (d) 1 y ′ = − x12 + (x+1) 2 …部分分数分解してから微分するとよい (答 4 (注 2 1 x n 回微分可能の関数を C n 級の関数とよぶ 2 1.3 複雑な関数の導関数 1 微分 逆関数・指数関数の微分 (2) y = loga x 1.3.2 (3) y = x sin x 逆関数や指数関数の導関数を求めるには,式を微 分しやすい形に変形した後,両辺を x で微分する。 (4) y = 1.3 1.3.1 1 x(x + 1) 問 1 以下の各関数の導関数を求めよ (答 6 。ただし,こ こまでの問題で証明していない公式を使わないこと。 どうしても使いたいときには必ず証明をすること。 複雑な関数の導関数 Chain Rule 複雑な関数の導関数を求めるときには chain rule を用いるとよい。例えば,y = (1 + sin 2x)3 の導関 数は以下のように求める。 (1) y = sin−1 x, (−π/2 ≤ y ≤ π/2) (2) y = cos−1 x, (0 ≤ y ≤ π) (3) y = tan−1 x, (−π/2 < y < π/2) y = z3 (4) y = ex z =1+w (5) y = ax (a > 0) w = sin u (6) y = xx (x > 0) u = 2x とおくと, 微分と定性的表現 1.4 dy dy dz dw du = · · · dx dz dw du dx =3z 2 · 1 · cos u · 2 問 1 以下の定性的表現を数式で表しなさい。ただし, ある量の変化とは, =6(1 + sin 2x)2 · cos 2x 変化=「後の量」ー「始めの量」 練習問題 Chain rule を用いて以下の導関数を求めよ (答 5 。これ以上変数を分解できないところまで分解 すること。 で与えられることに注意しなさい (答 7 。 (1) y = x1.2 (x > 0) (1) 時刻 t1 から時刻 t2 までの間の位置 x(t) の変化 を変位 ∆x とよぶ。 (2) y = xa (x > 0, a: 実数) (3) y = (3x2 −x− (2) 時刻 t1 から時刻 t2 までの間の位置 x の平均変 ∆x で表す。 化率をここでは ∆t 1)4 …展開して計算しないこと (4) y = tan(x2 + 2) (5) y = log cos2 x (答 6 ′ (7) y = log log x 1 (8) y = √ x2 + 1 (9) y = sin10 x2 ′ (y = xz, z = tan u, · · · とおく) (1) y = 1.2x (2) y ′ = axa−1 (3) y ′ = 4(6x−1)(3x2 − 3 ′ 2x x − 1) (4) y = cos2 (x (5) y ′ = −2 tan x (6) y ′ = x1 2 +2) ′ ′ 1 (7) y = x log x (8) y = − 2 x√ 2 (9) y ′ = 20x cos x2 · (答 5 0.2 sin9 x2 (10) y ′ = tan x2 + (x +1) 2x2 cos2 x2 x 1 , (2) y ′ = − √ 1−x2 ′ x ′ 1 1−x2 x , (3) y ′ = 1 , 1+x2 (4) y = e , (5) y = a log a, (6) y = x (log x + 1)。 x(t2 ) − x(t1 ) ∆x (答 7 = (1) ∆x = x(t2 ) − x(t1 ) (2) ∆t t2 − t1 (3) ある年 (第 t 年) のうさぎの個体数を nt とおく。nt = nt−1 (4) nt = 1.1nt (nt は問 (3) と同様) (5) 以下ではうさぎの個体数を nr (t) とおく。ṅr = C (C は定 数) (6) ṅ = kn (k は定数) (7) 以下の問では狼の個体数を nw (t), うさぎと狼の遭遇確率を P とおく。P = knr nw (k は定数) (8) ṅr = anr − bP = anr − bknr nw (a, b, k は定数) (9) 物体の体積を V とする。V̇ < 0 (10) ẋ(0) = 0 (x は物体の位置) (11) Ṫ = 0 (T は物体の温度) (12) Ṫ (t0 ) = 0 (T は物体の温度) (13) Ṫ = k(T0 − T ) (k は正の定数) (6) y = log |x|, (x < 0) (10) y = x tan x2 (1) y ′ = √ x +1 3 1.5 微分と接線 1 (3) ある島に住むうさぎのある年の個体数と前年の 個体数は常に同じである。 1.5 微分 微分と接線 問 1 以下の問に答えなさい。 (4) ある島に住むうさぎのある年の個体数は前年の 個体数より常に 1 割多い。 (1) y = 2x2 の x = 1 における接線 (tangent line) の方程式は? (答 10 (5) ある島に住むうさぎの増加率は一定である。(以 下ではうさぎの個体数を実数として扱う) (2) 原点を中心とする半径 1 の円のうち y > 0 の部 分の、x = 12 における接線は? (答 11 (6) ある島に住むうさぎの増加率は個体数に比例す る。 (3) xy 平面における以下の曲線の t = 1 における接 線は? (答 12 x = t − 1 (t は実数) y = t2 (7) ある島にはうさぎと狼が住んでいる。うさぎと 狼の遭遇確率は,うさぎと狼の個体数の積に比 例する。 (8) ある島のうさぎの増加率は個体数に比例する増 加率と, うさぎと狼の遭遇確率に比例する減少 率の和によって表される。 (4) xy 平面における以下の曲線の t = 1 における接 線は? (答 13 x = t2 (t は正の実数) y = t − 1 (9) ある物体の体積が時間とともに減少している。 (10) ある物体が時刻 t = 0 において静止している。 (11) ある物体の温度は時間によらず一定である。 問 2 以下の問に答えなさい。 (12) ある物体の温度が時刻 t0 に極小値もしくは極大 値になる。 (1) 2 曲線 y = f (x) と y = g(x) が点 (x0 , y0 ) で接 する条件を述べなさい (答 14 。 (13) ある物体が一定の温度 T0 の恒温槽にあるとす る。このとき物体の温度 T は T0 に近づいてい くが、その変化の割合は温度差に比例する。 (2) f (x) と g(x) を x の多項式であるとして,以下 の問に答えなさい。 (a) 方程式 f (x) = g(x) が重根をもつならば, 2 曲線 y = f (x) と y = g(x) は接点をもつ ことを示しなさい (答 15 。 問 2 水槽の底にある管からポンプで水を入れたとこ ろ、単位時間あたりに水槽に入る水の量は水槽内の 水の量に反比例していた。また, この水槽の底には 小さな穴があいており、単位時間あたり一定の量の 水が漏れていた。 (b) 前問の逆も成り立つことを証明しなさい。 すなわち 2 曲線 y = f (x) と y = g(x) が接 (1) 必要な変数を定義し、水槽の中の水の量の時間 変化率を表す方程式を書きなさい (答 8 。 (答 10 y − 2√= 4(x − 1) y − 23 = − √13 (x − 21 ) (ヒント: x2 + y 2 = 1 の両辺を x で微分すれば y ′ を簡単に計算できる) dy dy dt (答 12 y − 1 = 2x (ヒント: = を使うと便利) dx dt dx (答 13 1 y = 2 (x − 1) (答 14 y0 = f (x0 ) = g(x0 ), f ′ (x0 ) = g ′ (x0 ) (答 15 方程式 f (x) = g(x) が重根をもつならば次式を満たす x0 および多項式 h(x) が存在する。 (答 11 (2) しばらく水を入れ続けているとやがて水槽の水 の量が変化しなくなった。このときの水の量を 求めなさい (答 9 。 (答 8 水槽中の水の量を V , 単位時間あたりに水槽から漏れる水 の量を a とおく。題意より次式が成り立つ。 V̇ = k −a V f (x) − g(x) = (x − x0 )2 h(x) ここで、k は正の定数である。 k (答 9 V = a このとき,x = x0 で前問で述べた条件 (f (x0 ) = g(x0 ), f ′ (x0 ) = g ′ (x0 )) が成り立つことを示せば良い。 4 1.6 高次導関数 1 点をもつならば,方程式 f (x) = g(x) が重 根をもつことを示しなさい (答 16 。 問 3 x = A sin(ωt + ϕ) が次式を満たすような ω の 値を求めなさい。ただし, A, ϕ は定数である。 ẍ = −kx 解説 以上より,2つの多項式 f (x) と g(x) が接点を もつ条件は,f (x) = g(x) が重根をもつことである ことがわかる。 1.6 マクローリン展開とテイラー展開 1.7 1.7.1 高次導関数 問 1 以下の n 次導関数を求めよ (答 17 マクローリン展開 様々な関数の振舞を解析する際,三角関数等のよう に値を簡単に求めることができない謎の関数が含ま れていると大変困る。そこで,例えば謎の関数 f (x) の x = 0 の近傍での値や振舞いを知りたい場合には, 次式のように f (x) を x の級数で表現できれば解析 が容易になる。 。 (1) f (x) = ex (2) f (x) = sin x (3) f (x) = cos x f (x) = 問 2 以下の関数をそれぞれ 4 階微分まで求め,それ に基づいて,n 階微分 f (n) を推測せよ (答 18 。その 推測が正しいことを数学的帰納法で証明せよ。 接点の x 座標を x = x0 とすると,以下が成立する。 f (x0 ) = g(x0 ) (1) (2) f (x) = 式 (1) より,x = x0 は f (x) − g(x) = 0 の解なので,以下を満 たす多項式 k(x) が存在する。 f (x) − g(x) = (x − x0 )k(x) (3) 解説 ある関数 f (x) を上記のように級数展開すること をマクローリン展開 (Maclaurin expansion) という。 (4) 練習問題 上式が式 (2) を満たす条件は,k(x) = (x − x0 )h(x), (h(x) は 多項式) が成り立つことである。従って式 (2) は以下のように 書き直せる。 f (x) − g(x) = (x − x0 )2 h(x) ∞ ∑ 1 (n) f (0)xn n! n=0 上式を微分すると f ′ (x) − g ′ (x) = k(x) + (x − x0 )k′ (x) an x n 問 an を求める方法を考えてみよう。よい近似式を 得るには x = 0 における両者の n 次微分係数 (n = 0, ..., ∞) が全て等しくなるように係数 an を決める 必要がある。 関数 y = f (x) が x = 0 を含むある区間で C ∞ 級 (注 3 の場合について係数 a を決定し,f (x) を無限 n 級数で表すと以下のようになることを証明しなさい。 (2) f (x) = log(1 + x) f ′ (x0 ) = g ′ (x0 ) ∞ ∑ n=0 (1) f (x) = xk (k: 正の整数) (答 16 微分 (答 19 (1) (1 + x)n をマクローリン展開せよ。その結果よ り,x ≪ 1 のとき次式が成り立つことを示せ。 (5) (1 + x)n ≃ 1 + nx すなわち,方程式 f (x) − g(x) = 0 は重根をもつことがわかる。 x (1) f (n) (x) {=e m (−) cos x (n = 2m + 1) (2) f (n) (x) = (m = 0, 1, 2, . . . .) (−)m sin x (n = 2m) { (−)m+1 sin x (n = 2m + 1) (3) f (n) (x) = (−)m cos x (n = 2m) (m = 0, 1, 2, . . . .) k! xk−n (n ≤ k) (答 18 (1) f (n) (x) = (k − n)! 0 (n > k) log(1 + x) (n = 0) (2) f (n) (x) = n−1 (n − 1)! (−) (n > 0) (1 + x)n (答 17 実際に 1.12 , 1.13 ... 等でこの近似がどの程度正 しいか確認せよ。 (注 3 関数 f (x) が区間 I で n 回微分可能であり,f (n) (x) が区間 I で連続なとき,関数 f (x) は区間 I で C n 級であるという。 n ∞ ∑ ∑ n! xn (答 19 (1) (1 + x)n = xm (2) ex = (3) m!(n − m)! n! m=0 n=0 ∞ ∞ ∑ ∑ (−)m 2m (−)m x2m+1 (4) cos x = x sin x = (2m + 1)! (2m)! m=0 m=0 5 1.8 オイラーの公式 1 (2) ex をマクローリン展開せよ。 1.8 (3) sin x をマクローリン展開せよ。また,x ≪ 1 の とき次式が成り立つことを示せ。 1.8.1 微分 オイラーの公式 オイラーの公式の導出 (1) マクローリン展開を用いてオイラー (注 5 の公 式と呼ばれる次式を証明しなさい。 sin x ≃ x eix = cos x + i sin x (4) cos x をマクローリン展開せよ。また,x ≪ 1 の とき次式が成り立つことを示せ。 (2) 「オイラーの宝石」と呼ばれる次式を証明しな さい。 1 cos x ≃ 1 − x2 2 eiπ = −1 (5) sin 1.8◦ , cos 1.8◦ をそれぞれ手計算で見積もり, 正確な値 (sin 1.8◦ = 0.031411 · · · , cos 1.8◦ = 0.999507 · · · ) との差がどの程度かを確認せよ。 (3) ii が実数であることを示しなさい。 (4) 「ド・モアブルの公式」と呼ばれる次式を証明 しなさい。 sin x = 1 をマクローリン展開を用いて証 x→0 x 明せよ。 (6) lim (cos θ + i sin θ)n = cos nθ + i sin nθ (7) e の値を求める多項式をつくりなさい。 1.7.2 1.8.2 (1) オイラーの公式を用いて以下を証明しなさい。 テイラー展開 * (a) sin(x ± y) = sin x cos y ± sin y cos x マクローリン展開は,関数 f (x) を x = 0 のまわ りで級数展開するものであった。同様にして,関数 f (x) を x = a のまわりで無限級数に展開する方法を テイラー展開 (注 4 (Taylor expansion) とよぶ。展開 式は次式の通り。 fˆ(x) = ∞ ∑ f n (a) n=0 オイラーの公式と三角関数の公式 n! (x − a)n (b) cos(x ± y) = cos x cos y ∓ sin y sin x (c) sin 2x = 2 sin x cos x (d) cos 2x = cos2 x − sin2 x (2) 前問の結果をもとに以下を導きなさい。 x−y x+y ) cos( ) 2 2 x+y x−y (b) cos x + cos y = 2 cos( ) cos( ) 2 2 (6) (a) sin x + sin y = 2 sin( 関数 f (x) の x = 0 におけるテイラー展開がマクロー リン展開に一致する。 (3) 以下の式で a, b が与えられたとき,どのように r, ϕ を決めたら等式が成り立つか? 問 テイラー展開を与える式 (6) を導きなさい。 練習問題 以下の関数をテイラー展開しなさい。 (1) f (x) = sin x (x = π のまわりで) (2) f (x) = log x (x = 1 のまわりで) a sin x + b cos x = r sin(x + ϕ) ヒント) 左辺を r(cos ϕ sin x+sin ϕ cos x) の形に 変形する。 (4) 以下を r sin(x + ϕ) の形に変形せよ (答 20 。 √ (a) 3 sin x + cos x √ (b) sin x − 3 cos x (注 5 レオンハルト・オイラー(Leonhard Euler, 1707 年 4 月 15 日 - 1783 年 9 月 18 日)はスイス生まれの数学者,物理学者で あり、天文学者。 (答 20 (4a) 2 sin(x + π6 ) (4b) 2 sin(x − π3 ) (注 4 イギリスの数学者ブルック・テイラー (Brook Taylor, 16851731) による 6 1.8 オイラーの公式 1.8.3 1 オイラーの公式と複素数 (1) z = 1 + i, w = 2 + i の場合について,幾何学的 に考えることで,点 wz を表す複素数を答えな さい。 複素数 z = a + bi は偏角 θ = arg z を用いて次の ように書くことができる。 (2) 座標軸を平行移動して z が原点になるように取 り直す。もとの座標系を L1 , 新しい座標系を L2 とする。 z = |z|(cos θ + i sin θ) = |z|eiθ (1) |z|, cos θ,sin θ を a, b で表しなさい。 (a) L1 座標系における点 w = 2+i は,L2 座標 系ではどのような複素数 w′ で表されるか。 (2) 複素数 z1 , z2 の大きさおよび偏角と,以下の各 値の大きさおよび偏角はどのような関係にある か。オイラーの公式を利用して答えなさい。 (b) w′ を L2 座標系の原点周りで π2 回転した 点を表す複素数 w′′ を L2 座標系で答えな さい。 (a) 複素数 z1 と z2 の積 z1 z2 (c) w′′ を L1 座標系での複素数で表すと (1) の 結果と同じになることを確認しなさい。 (b) 複素数 z1 と z2 の商 z1 /z2 (d) 任意の点 w を題意の写像により wz に写す 場合について考える。wz を表す L2 上の複 素数 w′ を w, z を用いて答えなさい。 (3) 以下の各複素数の大きさと偏角を求めなさい。 また,各値を複素平面上に図示しなさい。ここ で,偏角は (−π, π] の範囲で答えること。必要 な演算には,前問の結果に基づいて幾何学的に 解を考える方法と,オイラーの公式を利用して 計算する方法の 2 通りで行い、両者で結果が等 しくなることを確認しなさい (答 21 。 (e) L1 座標系における点 wz を表す複素数を w, z を用いて答えなさい。 (a) z1 = −i (b) z2 = (1 + i) 1 (c) z1 1 (d) z2 (e) z14 (f) z24 (g) z2 z̄2 (4) 次式が 1 の n 乗根であることを示しなさい。 z = cos 微分 2π 2π + i sin n n 問 1 複素空間上の点 w を z の周りに反時計回りに π2 回転した時,どのような点 wz に写像されるかを考 えたい。以下の問に答えなさい (答 22 。 (答 21 以下は各値 z に対する (|z|, arg z) を表す。 √ π π π (3a) (1, − ) (3b) ( 2, ) (3c) (1, ) 2 4 2 1 π (3d) ( √ , − ) (3e) (1, 0) (3f) (4, π) (3g) (2, 0) 4 2 (答 22 (1) wz = 1 + 2i (2)(a) w′ = 1 (b) w′′ = i (d) w′ = w − z (e) wz = (w − z)i + z 7 2 2 積分 2.1 2.1.1 積分 すなわち,次のような積分公式を得ることができる。 ∫ cos xdx = sin x + C 不定積分 不定積分の定義 上の微分公式から積分公式をそれぞれ導きなさい。 練習問題 以下の不定積分を求めなさい (答 23 。また, 答えを微分することによって検算せよ。 ∫ √ (1) xdx 微分の逆演算を不定積分 (indefinite integral) とよ ぶ。すなわち,ある関数 f (x) に対して、導関数が f (x) となる関数の集合を求める演算が不定積分で ある。 F ′ (x) = f (x) のとき, ∫ f (x)dx = F (x) + C ∫ (2) ∫ (3) と書いて左辺を関数 f (x) の不定積分,f (x) を被積分 関数,定数 C を積分定数 (constant of integration), F (x) を f (x) の原始関数 (antiderivative) とよぶ。上 式の左辺は次のように書くこともある。 ∫ dxf (x) ∫ (4) ∫ (5) ∫ 1 √ dx x 1 dx x 1 dx 1−x 1 √ dx x x (6) 1 dx x2 導関数は定義式にしたがって計算すれば、原理的 には求めることが出来る。しかし、不定積分は「微 ∫ 分すれば の中身(被積分関数)になるものはなに か」と問うクイズのようなものであり,残念ながら 微分のように決まった解き方は無い。変数置換,部 分分数分解,部分積分などにより,少しでも積分し やすそうな形に変形を試みながら,被積分関数が何 かの微分になってないかを考えることが解法である。 このため,少なくとも以下の微分公式程度は覚えて おく必要がある。 2.1.3 不定積分の幾何学的意味 (1) (xa )′ = axa−1 ある関数 y = f (x) と x = a, x = b,そして x 軸 で囲まれた面積 S を求める方法を考えてみよう。例 えば,この区間を n 個の区間に分割し、それぞれを 長方形とみなして計算した面積の和 Sn で近似的に 計算することができる (図 1)。すなわち, 2.1.2 不定積分の公式 以下の数式の幾何学的意味を説明しなさい。 ∫ (1) 0dt = C (a は定数,C は積分定数) ∫ (2) 2.2 (3) (cos x)′ = − sin x 1 x (x ̸= 0) (a は定数,C は積分定数) 定積分 定積分の定義 2.2.1 (2) (sin x)′ = cos x (4) (log |x|)′ = adt = at + C Sn = f (x0 )∆x + f (x1 )∆x + · · · + f (xn−1 )∆x (5) (ex )′ = ex = 問 1 例えば,上記 (2) 式の両辺を積分すると ∫ ∫ ′ (sin x) dx = cos xdx ∫ sin x + C = cos xdx n−1 ∑ f (xi )∆x (7) i=0 2 以下で (他の問の答においても)C は積分定数。(1) x3/2 +C 3 √ 2 (2)2 x + C (3) log |x| + C (4) − log |x − 1| + C (5)− √ + C x 1 (6) − + C x (答 23 8 定積分 2.2 2 y 積分 を F (x) とおくと次式が成立する。 ∫ b f (x) = F (b) − F (a) dx f(x) a f(xi) 0 xi a=x0 このことを証明しなさい。 S 練習問題 1 上記の「定積分の定義」に従って,以下を 求めなさい(すなわち,幾何学的に面積を求める)。 また,その結果が積分計算による解と一致すること を確認しなさい (答 24 。 ∫ 1 (1) xdx xi+1=xi+dx b=xn x dx 図1 面積と区分法 y ∫ dx f(x) 0 1 (2) xdx ∫ f(x) 0 x x+dx b dx x ∫ ここで, lim n→∞ n ∑ i=0 ∫ 0 1 −1 |x|dx 練習問題 2 以下はどのような図形の面積を表すかを グラフを書いて説明しなさい。また、その面積を定 積分計算により求めなさい (答 25 。 ∫ 4 (1) (x − 2)(x − 3)dx (8) i=0 2 ∫ b を 2π (6) ただし,a = x0 , b = xn であり,∆x は分割した 1 区 間の幅 (∆x = xi+1 − xi ) である。この分割数を無限 個にした極限では Sn は真の面積 S に近付くと考え られる。すなわち, f (xi )∆x (1 − x)dx 0 sin xdx ∫ n→∞ 1 (5) 図 2 定積分と面積 S = lim 1 (4) dx n ∑ 3 (3) S ∫ a −1 , 微小幅である ∆x を dx と簡 π/2 (2) a cos xdx ∫ 単化のためおき直すと,面積は次式のように書ける。 ∫ b S= f (x)dx (9) −π/2 a√ (3) a2 − x2 dx 0 a 2.2.2 以上をまとめると,上式は底辺のある位置 x での微 小長さ dx およびその点での高さ f (x) の積である微 小面積 dx · f (x) を,区間 x ∈ [a, b] で足しあわせ ることを意味している (図 2) (注 6 。そして,これを 関数 f (x) の定積分 (definite integral) とよぶ。ただ し,f (x) < 0 となる領域の面積は負の値で示す。 問 以下の問に答えなさい。 (1) 関数 f (x) が偶関数のとき次式が成立すること を証明しなさい。また,式の意味を幾何学的に も説明しなさい。 ∫ a ∫ a f (x)dx = 2 f (x)dx (a > 0) 問 定積分の計算は不定積分の計算を用いて行うこと ができる。すなわちある関数 f (x) の原始関数の 1 つ (注 6 定積分と偶関数・奇関数 −a ∫ (答 24 はラテン語で和を表す summa (英語の summation) の S を変形した,ライプニッツによる記号である。 (答 25 9 (1) (1) 1 2 2 3 (2) 0 (3) 2 (4) (2) 2 (3) 14 πa2 0 1 2 (5) 0 (6) 1 2.3 積分の計算方法 2 (2) 関数 f (x) が奇関数のとき次式が成立すること を証明しなさい。 ∫ a f (x)dx = 0 (a > 0) 2.3.2 部分分数分解 有理関数 (注 7 の積分をするとき、分子の次数が分 母の次数より低ければ部分分数分解をして積分しや すい形にする。例えば以下の積分をしてみよう。 ∫ ∫ 1 1 dx = dx (10) 2 x − 4x + 3 (x − 1)(x − 3) −a 練習問題 3 次式を計算しなさい (答 26 。 ∫ π/2 sin xdx (1) 被積分関数は以下のように部分分数分解をする。 −π/2 ∫ π/2 (2) e x2 1 a b = + (x − 1)(x − 3) x−1 x−3 sin xdx −π/2 ∫ 10 −10 ∫ − dx ex + e−x Heaviside の方法を用いると,定数 a,b は以下の ように簡単に求めることができる。 1 の係数である a を求める。 (i) まず, x−1 (x3 + cos x)dx (1) 式 (10) の両辺に (x − 1) をかける。 ex (3) e−x π/2 (4) −π/2 (x − 1) 積分の計算方法 2.3 複雑な関数を積分するときには、その関数が 2.1.2 節で紹介したような積分公式に当てはまる形になる ように,試行錯誤的に変形してみる必要がある。以 下ではその式変形の方法をいくつか紹介する。 2.3.1 1 b(1 − 1) =a+ 1−3 1−3 1 a=− 2 微分を探す (ii) 次に d {f (x)}n = nf ′ (x){f (x)}n−1 dx d f ′ (x) log |f (x)| = dx f (x) (x − 3) 1 a b = (x − 3){ + } (x − 1)(x − 3) x−1 x−3 1 a(x − 3) = +b x−1 x−1 1 a(3 − 3) = +b 3−1 3−1 1 b= 2 ∫ tan xdx ∫ (答 27 の係数である b を求める。 (2) 両辺に x − 3 = 0 の解 (x = 3) を代入する。 練習問題 以下の不定積分を求めよ。また,答を微分 することにより検算せよ (答 27 。 ∫ (1) sin2 x cos xdx (答 26 1 x−3 (1) 式 (10) の両辺に (x − 3) をかける。 このような構造を被積分関数のなかに見つけたらた だちに積分を実行できる。 (3) 1 a b = (x − 1){ + } (x − 1)(x − 3) x−1 x−3 1 b(x − 1) =a+ x−3 x−3 (2) 両辺に x − 1 = 0 の解 (x = 1) を代入する。 以下のような微分の関係式を思いだそう。 (2) 積分 x dx 1 + x2 (1) 0 (2) 0 (3) 0 (4) 2 (1) 13 sin3 x+C (2) − log | cos x|+C (3) 1 2 (注 7 log(1+x2 )+C 10 分子および分母がそれぞれ多項式である関数 2.3 積分の計算方法 2 ∫ 以上で求めた a, b の値を用いて式 (10) を変形すると ∫ ∫ 1 1 dx = dx x2 − 4x + 3 (x − 1)(x − 3) ∫ 1 1 1 1 = {− + }dx 2x−1 2x−3 ∫ 1 1 1 = {− + }dx 2 x−1 x−3 1 = {− log |x − 1| + log |x − 3|} + C 2 x − 3 1 +C = log 2 x − 1 (3) n ∏ i=1 1 a b c = + + 2 (x − 2)(x − 1) x − 2 x − 1 (x − 1)2 (13) a はこれまでと同様に x − 2 をかけて x = 2 を代入 すれば a = 1 を得ることができる。b, c は次のよう に求める。まず (x − 1)2 を両辺にかける。 (x − 1)2 a(x − 1)2 b(x − 1)2 c(x − 1)2 = + + (x − 1)2 (x − 2) x−2 x−1 (x − 1)2 1 a(x − 1)2 = + b(x − 1) + c x−2 x−2 1 1 = x − ai (x − a1 )(x − a2 ) · · · (x − an ) ai , (i = 1, 2, . . . , n) が互いに異なる場合,上式は以 下のように部分分数分解をすることができる。 f (x) = n ∑ i=1 = ci x − ai 上式に x = 1 を代入すれば c = −1 を得る。また,上 式を x で微分してから x = 1 を代入すれば b = −1 を得る。 以上で求めた a, b の値を用いると,式 (13) の不定 積分は次のように求まる。 ∫ 1 dx (x − 2)(x − 1)2 } ∫ { 1 1 1 − − dx = x − 2 x − 1 (x − 1)2 1 = log |x − 2| − log |x − 1| + +C x−1 x − 2 + 1 +C = log x − 1 x − 1 (11) c1 c2 cn + + ··· + x − a1 x − a2 x − an (1) 式 (11) において ai ̸= aj (i ̸= j) のとき,次式 が成立することを証明しなさい。 ci = lim (x − ai )f (x) x→ai (12) (2) 被積分関数 f (x) が f (x) = b1 x + b2 (x − a1 )(x − a2 ) 練習問題 以下の不定積分を求めなさい (答 28 。 ∫ x (1) dx 2 x + 2x + 1 ∫ 1 (2) dx 3 2 x − 8x + 20x − 16 という形の時にも同様に式 (12) を用いて次式の 形に部分分数分解できることを証明しなさい。 f (x) = c1 c2 + x − a1 x − a2 練習問題 以下の不定積分を求めなさい。また,答を 微分することにより検算しなさい (注 8 。 ∫ 7x − 1 (1) dx 2 x −x−6 ∫ 1 (2) dx 1 − x2 (注 8 2 7 (1) log{(x − 3)4 |x + 2|3 } + C (2) log | 2x−1 |+C x+3 1 2 2 dx + 5x − 3 解説 被積分関数の分母多項式が (x − a)2 といった羃 乗項を含む場合には次のように部分分数分解する。 問 以下のような関数 f (x) がある。 f (x) = 2x2 積分 2.3.3 部分積分 問 次式を証明しなさい。 ∫ ∫ f ′ (x)g(x)dx = f (x)g(x) − f (x)g ′ (x)dx 練習問題 以下の不定積分を求めなさい。答は微分に x+1 log | x−1 | + C (3) (答 28 11 (1) 1 x+1 + log |x + 1| + C (2) 1 { 2 4 x−2 +C + log x−4 x−2 } 2.3 積分の計算方法 2 三角関数を利用した変数変換 以下のような場合には三角関数を利用した変数変 換を試す。 より検算しなさい (答 29 。 ∫ ∫ (1) log xdx (与式 = (x)′ log xdx) ∫ (1) 被積分関数が a2 − x2 を含む場合。 x = a sin∫θ もしくは x = a cos θ とおいてみる。 1 ただし、 dx のように部分分数分解を 1 − x2 できる時には、まず部分分数分解を試すほうが 良い。 (log x)2 dx (2) ∫ (3) ∫ (4) log x dx x ∫ (与式 = (log x)′ log xdx) xe−x dx (2) 被積分関数が a2 +x2 を含む時には、x = a tan θ とおいてみる。 ∫ ex sin xdx (5) 練習問題 以下の不定積分を求めよ。また,答を微分 することにより検算せよ (答 31 。 ∫ √ (1) 1 − x2 dx 積分の Chain Rule: 変数変換 2.3.4 複雑な関数を積分したい時には、試行錯誤的に変 数変換をしてみる。変数変換は以下のように行う。 ∫ ∫ dx f (x)dx = f (x(t)) dt dt 以下の積分計算をしなさい。(答 30 練習問題 ∫ (1) (ax − b)10 dx, (a ̸= 0) ∫ (2) ∫ 。 ∫ (2) ∫ (3) ∫ (4) ∫ (5) ∫ (6) ∫ (7) ∫ (3) 1 dx (x = tan θ とおく) 1 + x2 2.3.5 三角関数の積分 三角関数の積があれば和に変換する等、積分しや すい形に変形する。 1 √ dx 1−x 練習問題 以下の不定積分を求めよ。また,答を微分 することにより検算せよ (答 32 。 ∫ (1) sin(3x) sin xdx 1 dx (1 − x)2 ∫ sin2 x cos xdx (2) x dx 1 + x2 (3) sin2 xdx ∫ log x dx x cos2 2xdx (t = 2x と置く) 三角関数を多項式に置き換える変数変換 t = tan x2 とおくと三角関数で構成される関数を t の 多項式に変形できる。 1√ 練習問題 以下の問に答えなさい。 0 (答 29 1 √ dx 1 − x2 cos(ax + b)dx 1 − xdx (8) 積分 (1) x log x − x + C (2) x(log x) − 2x log x + 2x + C x (3) 12 (log x)2 +C (4) −(1+x)e−x +C (5) e2 (sin x−cos x)+C 2 (1) 準備: t = tan x2 とおく。 √ √ (1) 21 (x 1 − x2 +sin−1 x)+C or 21 (x 1 − x2 −cos−1 x)+ C (2) sin−1 x + C or − cos−1 x + C (3) tan−1 x + C (答 32 (1) 18 (2 sin 2x − sin 4x) + C (2) 12 x − 41 sin 2x + C (3) 1 1 x + sin 4x + C 2 8 (答 30 11 1 以下で C は積分定数である。 √ (1) 11a (ax − b) 1 + C 1 (2) a sin(ax + b) + C (3) −2 1 − x + C (4) − x−1 + C (5) 13 sin3 x + C (6) 12 log(1 + x2 ) + C (7) 12 (log x)2 + C (8) 23 (答 31 12 2.4 面積・体積・曲線の長さ 2 積分 (a) sin x, cos x, tan x をそれぞれ t の多項式で 表しなさい (答 33 。 (b) dt dx を t の多項式で表しなさい (答 34 。 y 1 (2) 以下の不定積分を求めよ。また,答を微分する ことにより検算せよ (答 35 。 ∫ 1 dx sin x 1−x 面積・体積・曲線の長さ 2.4 dS = dx · (1 − x) y x O x + dx x 1 dx 閉曲線に囲まれた面積は,以下の手順で求めるこ とができる。 (a) y 1 (1) ある図形を微小断片に分割する。ただし,微小 断片が長方形や三角形等に近似的にみなせるよ うな分割をする。 dS = dy · (1 − y) y + dy y 1−y (2) 微小断片の面積を求める (3) それを足しあわせる O 同様にして体積や線分の長さを求めることができる。 y 1 1 x x (b) dS = √ 2x · dx √ 2 面積 x O dx (c) (14) ≤ −x + 1 y 1 x 1 x dS = ds · 2s O ds t 2s s s+ ds √1 2 求める面積は,図 3(a) で示すように底辺のある位 置 x での微小長さ dx およびその点での高さ f (x) = −x + 1 の積である微小面積 dS = dx · f (x) を 0 ≤ x ≤ 1 の範囲で足し合わせ,すなわち次式で与えら 1 s ≥0 y y √ 2x もう一度面積と定積分の関係を復習するために, 次式で表される三角形の面積を求めてみよう。 x ≥ 0 √dx 2 2.4.1 dy (d) (答 33 sin x = cos x = (答 34 dt dx (答 35 2 sin x cos x 2 2 cos2 x +sin2 x 2 2 cos2 x −sin2 2 cos2 x +sin2 2 x 2 x 2 = = 2 図 3 三角形の面積を求める。(a) x 軸に沿って分割。(b) y 軸に沿って分割。(c) x 軸方向に分割して,斜辺と平行 な長方形に注目。(d) 斜辺と垂直な軸に沿って分割して, 斜辺と平行な長方形に注目。 2t , 1+t2 1−t , 1+t2 tan x = 2t , 1−t2 = (1 + t2 )/2, log | tan x2 | + C 13 2.4 面積・体積・曲線の長さ 2 y a れる。 ∫ ∫ 1 dS = 三角形内 積分 √ dS = 2 a2 − x2 · dx dx · f (x) 0 ∫ 1 −a (1 − x)dx 0 ∫ 1 =− (x − 1)dx = 0 x x + dx a x O −a 1 (x − 1)2 =− 2 0 1 = 2 (a) y a dS = 12 a · adθ 問 式 (14) の面積を以下の方法で求めなさい (答 36 。 −a (1) y 軸方向に微小領域を分割して積分計算をする (図 3(b))。 O θ θ + dθ a x −a (2) x 軸方向に微小領域を分割するが,斜辺と平行 な長方形に着目して積分計算をする (図 3(c))。 (b) y dS = 2πr · dr a (3) 斜辺と直交する方向に微小領域を分割して積分 計算をする (図 3(d))。 r r 練習問題 以下の各面積を積分計算を用いて求めなさ い。どのように考えて計算式を導いたかは図示して 説明すること。可能なものは幾何学的方法でも面積 を求めなさい (答 37 。 −a O r + dr a x −a (1) 直線 y = x, x = 1, x = 2, x 軸で囲まれた領域 (c) (2) 曲線 y = x2 + 1, x = 2, x = 3, x 軸で囲まれた 領域 図 4 円の面積を求める。(a) 直交座標で。(b) 極座標で。 (c) 極座標で (その2)。 (3) 曲線 y = x2 + 1, y = 2, y = 3 で囲まれた領域 解説 この問により,円の面積 πr2 の微分が円 周 2πr を与える理由がわかる。正方形等も,中 心から各辺までの距離 s を用いて面積を表せば, その微分は周の長さになる。 (4) 半径 a の円の面積 (a) 直交座標による積分で (図 4(a)) (b) 極座標の偏角方向の積分で (図 4(b)) (5) 半径 r の球の表面積 (図 5) (c) 極座標の動径方向の積分で (図 4(c)) ∫ (答 36 ∫ ∫ 1 0 1 √ 2 1 (1 − y)dy (2) S = (1) S = 0 √ dx 2x · √ (3) S = 2 2.4.2 体積 (Volume) の計算も面積の場合と同様に,ま ず微小な体積を dx を用いて表して,それを積分す ることによって求めることができる。 例えば,底面が半径 r の円であり高さが h の円錐 の体積を求めてみよう。計算を簡単にするためこの 2sds ∫ 2 ∫ 3 ∫ 3√ (答 37 (1) xdx (2) (x2 + 1)dx (3) 2 y − 1dy 2 2 ∫1 a √ ∫ 2π ∫ a 1 a2 − x2 dx (b) a · adθ (c) 2πrdr (4) (a) 2 2 0 ∫ h −a ∫ 2π ∫0 π (??) 2πrdh or hrdθ (5) 2πr sin θ · rdθ 0 0 0 体積 0 14 2.4 面積・体積・曲線の長さ 2 積分 z z z+dz z a θ o dθ r a r dz y o y x x 図 7 球の体積を求める方法例 図 5 球の表面積を求める方法例 (1) 半径 r の球 z h (a) 半径 a の球の表面積を S(a) とおいて求め る。 r z+dz z (b) 上記以外の方法で求める (例えば,図 7 参 照)。 r’ dz (2) 底面が一辺の長さ r の正方形であり高さが h の 四角錐 O y 解説 上問の (1) の (a) により,球の体積 34 πr3 の微 分が球の表面積 4πr2 を与える理由がわかる。立方体 等も,中心から各辺までの距離 s を用いて体積を表 せば,その微分は表面積になる。 x 図 6 円錐の体積 円錐を逆さにし,その頂点を原点に,z 軸が円錐の 中心軸と一致するようにとる (図 6)。 この円錐の微小高さ z ∼ z + dz における微小部分 z の体積を半径 r′ = r, 高さ dz の微小円柱と同じと h みなすと、その体積 dV は次式で与えられる。 ( z )2 dV = dz · πr′2 = dz · π r h 2.4.3 曲線の長さ y f(x+dx) f(x) よって体積 V は次式で与えられる。 ∫ V = dV 0 円錐全体 ∫ h 0 ∫ = 0 h x+dx x dx dz · πr′2 = x 図 8 線分の長さを求める ( z )2 dz · π r h 2次元空間内の曲線 y = f (x), x ∈ [a, b] の長さを 知りたいとき,どのように計算すればよいか考えて みよう。関数 y = f (x) は区間 x ∈ [a, b] で微分可能 であるとする。 1 = πr2 h 3 問 以下の立体の体積を求めなさい。どのように計算 式を導いたかを図を描いて説明すること。 15 広義積分 2.5 2 微小区間 [x, x + dx] における曲線の長さ dl は次式 で与えられる (図 8 参照)。 √ dl = (dx)2 + (f (x + dx) − f (x))2 √ ( ) f (x + dx) − f (x) 2 = dx 1 + dx 2.6 2.6.1 力学と微積分 距離・速度・加速度 問 ある物体が直線上を運動している。この物体は時 刻 = 0 [s] には原点にあったが,0 ≤ t ≤ 3 [s] の間 a = 2 [m/s2 ] の等加速度運動を行った後,a = −1 [m/s2 ] の等加速度運動に移行し、時刻 tf に原点に 戻ってきた (答 40 。 よって,dx が十分小さいとき √ dl ≃ dx 1 + (f ′ (x))2 (1) t = 3 [s] における物体の速度と位置を求めな さい。 となる。求める曲線の長さ l は dl を区間 [a, b] で全 て足しあわせたものなので,次式で与えられる。 ∫ ∫ b √ l= dl = dx 1 + (f ′ (x))2 曲線上 積分 (2) 物体が原点に戻ってきた時刻 tf を求めなさい。 (3) t = 0 から tf までの物体の速度変化のグラフを 書き,tf とはどのような時刻かについて幾何学 的に説明しなさい。 a 練習問題 以下の長さを積分計算により求めなさい 。 (答 38 2.6.2 (1) y = x の区間 x ∈ [0, 1] における長さ 質量 m の物体の位置を x 座標を用いて表す。物体 に一定の力 F が x 座標の正の方向に働くときの運動 方程式は次式で与えられる。 (2) 円周の長さ (3) y = 運動量・力積・運動エネルギー・仕事 ex + e−x の区間 x ∈ [−1, 1] における長さ 2 mẍ = F 広義積分 2.5 v = ẋ とおくと次式をえる。 積分区間の一端 (もしくは両端) で被積分関数が発 散する場合や, 積分区間の一端 (もしくは両端) が正 もしくは負の無限大となる定積分を広義積分と呼ぶ。 例えば, 以下の定積分を考えよう。 ∫ ∞ e−x dx mv̇ = F (1) F が常に 0 の場合,v は時間とともにどのよう に変わるか。v の微分は v の時間変化率を表す 事に注意して v の時間変化のグラフを書いて説 明しなさい。 0 (2) F が一定値の場合,その符号に応じて v は時間 とともにどのように変わるか。グラフを書いて 説明しなさい。 この積分値は次のように定義される。 ∫ a lim e−x dx a→∞ 0 (3) 物体が力 F (t) をうけながら時刻 t から t + ∆t までの間に x から x + ∆x まで移動した。この とき以下の式が成立することを証明しなさい。 問 以下の計算をし,出来るだけ簡単な形で答えなさ い (答 39 。 ∫ ∞ (1) e−x dx (a) 運動量と力積の関係式 ∫ 0 ∫ mv(t + ∆t) − mv(t) = e (log x)2 dx (2) F dt t 0 x =F ∆t x (3) e − e−1 , (注) y = a2 (e a + e− a ) は糸の両端を持って 垂らしたときにできる曲線 (懸垂線) を表す。 (答 39 (1) 1 (2) e (答 38 t+∆t (答 40 (F : 一定のとき) 物体の位置を x 座標で表すと √ (1) ẋ(3[s]) = 6 m/s , x(3[s]) = 9 [m] (2) tf = 9 + 3 6 [s] 16 2.7 積分と定性的表現 3 (b) 運動エネルギーと仕事の関係式 1 1 mv 2 (t + ∆t) − mv 2 (t) = 2 2 ∫ 問 2 以下の各微分方程式の解の挙動をグラフに表し なさい。 x+∆x F dx (1) ẋ = x x =F ∆x (F : 一定のとき) 2.7 微分方程式 (2) ẋ = 1 − x (3) ẋ = (1 − x)x 積分と定性的表現 問 1 長さ l, 質量 m の棒がある。この棒に沿って x 軸 を取り, その原点は棒の一端にとる。この棒は位置 によって線密度 (単位長さあたりの質量) が異なる。 そこで位置 x における線密度を ρ(x) とおく。この棒 について以下の問に答えなさい (答 41 。 3.2 (1) ρ(x) と m の関係式を表しなさい。 (1) ある放射性物質の時刻 t における量を n(t) とす る。n(t) が満たすべき微分方程式を書きなさい。 問 1 放射性物質の量は時間とともに減少し,その時 間減少率は常にその時の物質量に比例する。このと き,下記の問いに答えなさい (答 42 。 (2) この棒の重心位置 X を表す式を書きなさい (注 9 。 (2) 前問の微分方程式を解き,n(t) を時間の関数と して表しなさい。 (3) 線密度 ρ が実は位置によらない定数であった場 合について重心位置を求めなさい。ただし, ρ を 使わずに答えること。 (3) この物質の半減期を τ とおく。前問で求めた n(t) を τ を用いた出来るだけ簡単な表現に書き直し なさい。 (4) 線密度が ρ(x) が原点からの距離に比例する場合 について重心位置を求めなさい。ただし, ρ を使 わずに答えること。 3 3.1 (4) 放射性同位体であるセシウム 137 の半減期は 30.2 年である。セシウム 137 の量が元の 1/100 になるまで何年かかるかを求めなさい。必要な ら log2 5 = 2.322 を使い,有効数字 3 桁で答え なさい。 微分方程式 微分方程式の解の挙動 問 2 以下の問に答えなさい (答 43 。 問 1 ẋ > 0 の場合,x は時間とともに増えるだろう か,それとも減るだろうか。|ẋ| の大きさにより,x の時間変化の割合はどのように変わるだろうか。理 由とともに述べなさい。 ∫ (答 41 微積分と定性的表現 (1) 空のバケツに毎秒 a リットルの水を入れる。入 れ始めてから t 秒後の水の量を V (t) を定積分を 使って表しなさい。また,V が満たすべき微分 方程式を書きなさい。 (1) ṅ = −an, a は正の定数。 (2) n = Ce−at (3) n = (1) t n0 2 τ , n0 は t = 0 における放射性物質の量。(4) 2.01 × 102 年 ∫ t (答 43 (1) V = adt 微分方程式は V̇ = x。ただし V (0) = 0。 0 ∫ t kV dt (k は正の定数)。微分方 (2) 積分方程式は V = b − (答 42 l (1) m = ρ(x)dx ∫ l 0 ∫ l xρ(x)dx 1 (2) X = ∫0 l = xρ(x)dx m 0 ρ(x)dx 0 0 l , (線密度は (1) の関係式を用いると ρ = m/l) 2 2 2m (4) X = l, (線密度は ρ = 2 x) 3 l (注 9 質量 m1 , m2 , · · · , mn の物体がそれぞれ位置 x1 , x2 , · · · , xn n ∑ mi x i 程式は V̇ = −kV (k は正の定数)。ただし,V (0) = b. (3) 積 ∫ t 分方程式は V = (a − kV )dt (k は正の定数) 微分方程式は (3) X = にあるとき, その重心位置 X は X = i=1 n ∑ 0 V̇ = a − kV (k は正の定数)。ただし,V (0) = 0. (4) 前問の 微分方程式において V̇ = 0 となる時の V が求める値。すなわ ち,V = a/k 。微分方程式の解を求めて limt→∞ V (t) を求めて も良い。 で与えられる。 mi i=1 17 3.3 簡単な微分方程式の解法 3 (2) バケツにはじめ b リットルの水が入れたが, 底に 小さな穴があいていて水が少しずつ漏っていた。 単位時間あたりに水の漏る量はバケツに残って いる水の量 V に比例することがわかった。バケ ツに水を入れてから t 秒後の水の量 V とする。 上記の文章を定式化することにより,V が満た すべき積分方程式と微分方程式をそれぞれ書き なさい。 3.3.2 微分方程式 斉次線形微分方程式 未知関数とその導関数 (高階導関数を含む) の線形 和のみを含む微分方程式を,斉次線形微分方程式と よぶ。 以下の二階斉次線形微分方程式の解を求めよう。 ẍ + aẋ + bx = 0 (15) (1) 微分方程式の解を x = Ceλt と仮定し,実際に これが式 (15) の解となるには λ がどのような条 件を満たせばよいかを議論しなさい。 (3) 空のバケツに毎秒 a リットルの水を入れる。し かし, このバケツには小さな穴が空いていて水 が漏る。単位時間あたりに水の漏る量はバケツ に残っている水の量 V に比例する。バケツに水 を入れ初めてから t 秒後の水の量を V とすると き,V が満たすべき積分方程式と微分方程式を それぞれ書きなさい。 解説 x = Ceλt が式 (15) の解となるために λ が 満たすべき方程式を特性方程式という。 (2) 特性方程式の解を λ1 , λ2 とすると,微分方程式 の解は次のようになることを示しなさい。 (4) 前問のバケツにしばらく水を入れ続けていると やがてバケツの水の量が変化しなくなった。a は定数であったとして, このときの水の量 V を 求めなさい。 (a) λ1 ̸= λ2 の時 x = C1 eλ1 t + C2 eλ2 t ただし,λ = α ± iω, (ω ̸= 0) の場合には 以下のように書けることを示しなさい。 簡単な微分方程式の解法 3.3 x = eαt (C1 cos ωt + C2 sin ωt) 変数分離型微分方程式 3.3.1 (b) λ1 = λ2 の時 以下の微分方程式の解を求めよ。また,求めた解 を微分方程式に代入することにより検算せよ (答 44 。 x = (C1 + C2 t)eλ1 t (1) ẋ = x (3) 解の振舞を a, b の値によって分類し,図示して 説明しなさい。 (2) ẋ = 1 − x (3) ẋ = x(1 − x) 練習問題 以下の微分方程式の解をそれぞれ求め,解 軌道を図示しなさい。また,求めた解を微分方程式 に代入することにより検算をしなさい (答 45 。 (4) y ′ = −ay, (a : 定数) (5) y ′ = xy (1) y ′′ + 6y ′ + 5y = 0 (6) v̇ = −av + b, (a, b : 定数) (2) y ′′ − 4y = 0 (7) y ′ = x(1 − y) (8) y′ − 4x3 y (3) y ′′ + 4y = 0 =0 (4) ẍ + 4ẋ + 5x = 0 (9) y ′ + y tan x = 0 (答 44 (5) ẍ + 2ẋ + x = 0 (1) x = Cet (2) x = Ce−t + 1 (3) x = y = Ce −ax 1 2 (5) y = Ce 4 2 1x 2 (6) v = b a + Ce 1 1−Ce−t −at (4) (1) y = C1 e−x + C2 e−5x (2) y = C1 e−2x + C2 e2x (3) y = C1 sin 2x+C2 cos 2x (4) x = e−2t( C1 sin t +C2 cos t) (5) x = (C1 + C2 t)e−t (答 45 (7) y = 1 + Ce− 2 x (8) y = Cex (9) y = C cos x 18 3.3 簡単な微分方程式の解法 A 微分・積分ドリル 3 微分方程式 以下の式の微分および積分を求めなさい。特に微分か積分の指示があるものはそれに従いなさい。 (1) (3x − 1)10 (2) ex cos x 1 (30) √ 1 − x2 1 (3) 2 x − 4x + 3 (32) cos−1 x, −1 (4) tan (31) xe−x (−π/2 < y < π/2) (微分) x, (0 < y < π) (微分) 2 (33) sin x cos x 2 (5) (log x) (34) ax (a > 0) (微分) (6) e2x (35) y x (x は定数,y が変数) (7) sin2 x (36) sin ax sin x 1 (8) √ 1−x √ (9) 1 − x (37) cos2 x (38) r exp r2 (r が変数) (39) (3x2 − x − 1)4 (微分) a (10) t (a は定数,t が変数) (40) 7x − 1 (11) 2 x −x−6 (41) 3log9 x (12) tan x (42) cos2 2x sin x (13) (積分) cos x + 7 x2 + x + 1 x2 − 1 1 (44) 2 (a は定数,t が変数) a − t2 1 (45) sin x (46) ex sin x (43) (x + 1)2 x √ (15) 4 − x2 (14) (16) cos 2x sin 3x (17) sin 2x cos2 x (18) 2 2x2 + 5x − 3 (47) log(1 + x3 ) (微分) 1 (1 − x)2 log√2 x (48) 2x 1 + x2 (49) x4 + x3 + 2x2 + x + 1 1 + x2 (19) 2 (20) cos(4x + 3) (21) log(log x) (微分) (23) r2 (r は定数。θ で微積分) (50) sin10 2x2 (微分) x (51) (x + 1)2 (24) xe−x (52) (22) log x 2 (25) ln(x + √ x2 + 1) (53) x3 e−x sin2 2x (微分) 2 x+2 (26) 2 x −1 1 (27) 1 + x2 (28) sin−1 x, (29) x3 + 2x2 + x + 1 (x + 1)2 (54) ex − e−x ex + e−x (55) xx (微分) (−π/2 < y < π/2) (微分) 2 2x + 5 19 B B このドキュメントの著作権について (1) 本 稿 の 著 作 権 は 西 井 淳 nishii@sci. yamaguchi-u.ac.jp が有します。 (2) 非商用目的での複製は許可しますが,修正を加 えた場合は必ず修正点および加筆者の氏名・連 絡先,修正した日付を明記してください。また 本著作権表示の削除は行ってはいけません。 (3) 本稿は間違いがないように注意をして執筆して いますが、もしも間違い等によりなんらかの被害 を被ったとしても著者は一切責任を負いません。 間違い等の連絡や加筆修正要望等の連絡は大歓迎で す。 20 このドキュメントの著作権について 索引 A た antiderivative . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8 体積 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14 定積分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9 テイラー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .6 テイラー展開 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 ド・モアブルの公式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 導関数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 特性方程式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18 C chain rule . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 constant of integration . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8 D definite integral . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9 derivative . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 differentiation . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 は Heaviside の方法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10 微分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 複素数 —の大きさ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7 —の偏角 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7 不定積分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .8 偏角 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7 I ま indefinite integral . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8 マクローリン展開 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 E Euler, Leonhard . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 H M Maclaurin expansion . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 T tangent line . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 Taylor expansion . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 Taylor, Brook . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 V Volume . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14 あ オイラー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .6 オイラーの公式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 オイラーの宝石 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 か 原始関数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .8 広義積分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16 さ 斉次線形微分方程式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18 積分定数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .8 接線 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 21