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高知医療生協の「経営再建」をやりとげよう!

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高知医療生協の「経営再建」をやりとげよう!
第4号議案
中長期経営再建計画について
高知医療生協の「経営再建」をやりとげよう!
∼中長期経営再建計画・2013∼
はじめに
高知医療生協は、2016 年 8 月 15 日で創立 50 周年を迎えます。
旭診療所からスタートした長い歴史の中で、病院建設や診療所・介護事業を展開し、地
域の人々との協同の中で、県下 5 万人を超える組合員組織へと発展してきました。
社会の状況は大きく変化・発展する中で、「貧困」と「格差」は広がりを続けています。
戦争の反省から国民主権・基本的人権・平和主義を柱とする「日本国憲法」ができて 60
年以上が経過しています。国は「社会保障」のあり方を大きく見直し、2025 年超高齢社会
に向け、医療・介護分野を含めた社会保障費の大幅削減と消費税増税が必要不可欠と宣伝
し続けながら、憲法改正の動きなど、国の責任を放棄する方向を一層すすめています。
このままでは大変な社会になることは間違いありません。そのような中で「医療福祉生
協の理念づくり」が医療福祉生協連から提案され、全国討議が始まりました。私達は、何
をめざすどのような組織であるのか?改めてその存在意義を組合員と職員が自らに問い直
し、現状認識を共有し、困難な課題に挑戦していくことが求められています。
一.私たち(医療生協)の役割を確認し、経営再建の中で新たな前進を!
∼私達は、「健康をつくる。平和をつくる。いのち輝く社会をつくる。」という
医療生協の理念を掲げ、無差別・平等の医療と福祉の実現をめざします。∼
1.1954 年 9 月台風による水害にあった須崎市への救援に全日本民医連から医療班が派
遣されました。それを機に「高知にも民主診療所が欲しい!」の要求が高まり、1966 年 8
月 15 日に旭診療所が開設され、組合員 491 名・出資金 36 万円、医師 1 名・看護師 3 名・
他 5 名の職員 9 名の体制でスタートしました。その後も地域の組合員要求が広がる中で
1975 年城北診療所、1983 年高知生協病院(2004 年リニューアル)、1989 年潮江診療所、1997
年四万十診療所、2003 年すさき診療所、2000 年以降 11 の介護事業も開設し現在に至って
います。高知医療生協は、
「地域まるごと健康づくり」をめざして「班を基礎に、支部を単
位に」地域に医療生協の組織をつくり、組合員 5 万 4 千名・職員 300 名を超える医療生協
となりました。
2.1965 年 11 月旭診療所設立趣意書には、
「……わたしたちの周りには病気などのため色々
と苦労されている方が非常に増えてきています。……今わたしたちの中には働くひとびと
の医療機関として病気の治療、健康管理、経済生活などを真剣に取り上げ、どんな相談も
でき、そして安心して治療をうけられる所はないものかと考えている人が沢山います。わ
たしたちはこれらの多くの人々の健康と生活を守るための民主的な医療機関をわたしたち
の手によって設立することを決意いたしました。……」と書かれています。
その後の実践では、無医地区への出張診療・健診、振動病・塵肺など労災職業病、高知
パルプの地下水汚染や蛇紋岩ダンプ公害などの公害医療、ビキニ問題への取り組み、組合
員や専門家と協同での「過労死 110」・「アスベスト 110」、「国保相談会」・「くらしと命な
んでも相談会」、組合員による「ふれあい訪問行動」、「地域見守り」の活動(高知県・高知
県民生委員児童委員協議会連合会との 3 者で 2010 年 11 月 25 日に地域見守り協定を締結)
などにも取り組んできました。相次ぐ台風災害時の医療救援活動以外では、阪神淡路大震
災、高知豪雨災害、西南豪雨災害、東日本大震災の支援活動にも職員や組合員が参加して
きました。
今、
「貧困」と「格差」は拡大しつづけ、保険があっても医療機関にかかれない人が増え
続けています。貧困から命を救うために、無料低額診療事業に 2009 年 10 月から潮江診療
所、2012 年 12 月から高知生協病院が取り組んでいます。潮江診療所の 3 年間のまとめで
は、生活困窮状態にある人が増え、受診当初は無保険という方が 65%で、225 名が自己負
担の全額・半額免除で治療を受けることができました。年収 200 万円以下が国民の 2 割と
言われていますが、次世代への「貧困の連鎖」を食い止めないと社会全体の活力が失われ
ていくことになります。
3.日本国憲法は、国民主権・基本的人権・平和的生存権を永久に侵すことのできない普
遍的権利と定めています。私達はこの 47 年間、憲法 13 条(幸福追求権)や 9 条(平和主義)、
25 条(生存権)が活きる社会の実現をめざし、憲法の理念を高く掲げ、さらに発展させ、す
べての人が等しく尊重される社会をめざすことを大きな目標として頑張ってきました。
私達は、医療福祉生協連や全日本民医連の理念・方針に結集し、
「いのちの章典」や「い
のちは平等」を理念にかかげ、命が大切にされ守られる社会、健康で明るいまちづくりを
めざしています。
「地域まるごと健康づくり」をすすめ、地域住民と医療や福祉の専門家が
協同し、多くの人びとの参加で地域に協同の“わ”をひろげていきます。
医療・介護・福祉事業の実践では、いのちの平等を掲げ、地域住民の要求に応えながら、
生活と労働の場からその疾病をとらえ、いのちや健康にかかわるその時代の社会問題に取
り組んでいきます。そして、組合員と職員の協同の取り組みで社会保障の拡充、及び平和
と民主主義の実現に向けた様々な運動に取り組んでいきます。
二.経営再建計画の討議と実践をすすめ、高知医療生協の明日を創造しよう
1.全国統計からも国の社会保障抑制政策の中で、医療や介護にかかる費用負担が増え、
受診抑制や介護保険の利用を控える状況が広がっています。また診療報酬・介護報酬が引
き下げられていく中で、特に 200 床未満の中小病院や無床診療所(在宅医療なしの場合)
の多くが単独では収益確保ができず経営が悪化する状況が広がっています。
高知医療生協も 114 床の病院と 4 診療所と 11 介護事業所を持ち事業活動を展開してい
ますが、法人全体で 7 億円を超える累積欠損となり、2011 年度は資金繰りが大きく悪化し
ました。その中で全日本民医連の指導も受けながら、職員と組合員の奮闘の結果として
2012 年度の経営活動では黒字決算を出し、大きく前進させることができました。
高知医療生協は、通常の病院・診療所・介護事業所のサービスを提供している団体では
ありません。医療生協の社会的意義や存在価値は何か?、なぜその経営を守るのかが問わ
れています。今、憲法改正の論議の中で「自己責任論」は私達の身近な人の生活にまで苦
しみを拡大しています。お金のあるなしで医療が受けられないという政策の中では、
「人」
は生きていくことができません。私達には地域の人々と協同し、「権利としての社会保障」
を守る取り組みが求められています。
2.私たち高知医療生協の存在価値・社会的役割を次のとおりと考えています。
(1)
「差額ベッド代をとらない入院医療」を守り、
「無料低額診療事業」の取り組みなど、
今後も「無差別平等の医療」をする医療機関としての存在と役割。
(2)高齢者医療・介護の取り組みに対する医療生協の役割。
(3)高知県内の相当数の特定健診や大腸がん検診などを実施し、癌の早期発見や医療生
協としての健康診断を地域全体に広げる役割。
(4)組合員と共に取り組む地域の健康づくり、一人ぼっちをなくす見守り活動、自治体
との懇談・協力・交渉の要求運動など、徹底した民主的な医療機関の活動と社会保障
や健康づくりを充実させる取り組みで高知県内における運動推進の大きな役割。
しかし、現状の累積欠損が 7 億円を超える経営状況では、将来的に地域の要求に応え、
医療生協としての役割を果たすことはできません。だからこそ事業継続が可能な中長期的
な経営再建への見通しが必要なのです。国が示す 2025 年超高齢社会に向けた諸課題に医
療生協として立ち向かうための、経営の「診断」、「改善」、「体力づくり」が求められてい
ます。そのために今後 10 年程の利益目標と資金計画を基本にしながら、「経営再建への展
望」を見通すことが必要であり、中長期経営再建計画として職場や支部で討議・計画・実
践をすすめていきます。
1.中長期的な視点で高知医療生協の経営活動を展望し、経営再建への対策を検討します
(1)経営再建計画の基本設定期間と利益目標は以下とします。
*高知医療生協経営対策委員会が検討し、経営再建に向けた最低限の数値目標
①計画期間:2013∼2024 年度(12 年間)
②資金確保:月商倍率 1.0 倍以上を毎年確保し、資金破綻を回避する計画とします。
③必要利益:毎年の経常利益 5,000 万円以上・利益率 2.1%以上とします。
④資金計画:中長期の資金計画表を作成します。(当面は法人分を試算)
(2)高知医療生協全体の医療福祉事業計画の作成と経営計画の検討をします。
①各事業所で中長期医療・介護構想と投資計画の検討をします。
②各事業所で損益計算書予算を作成し、法人全体分として合算します。
③法人の損益計算書予算、貸借対照表予算、キャッシュフロー予算を作成します。
(3)累積欠損解消の見通しなど、2024 年までの到達目標・解消目標を展望します。
①毎年 5,000 万円以上の経常利益を 12 年間続けます。(経常利益 6 億円以上の積上げ)
②毎年法人税等の支払い後、当期剰余を一定確保しながら、累積欠損解消をすすめます。
③2024 年度末で累積欠損 3 億円以上の解消を目指します。
(4)中長期的な経営課題として職員の雇用と生活を守る諸課題に取り組みます。
当面は退職金制度改定・賃金規定改定等を実施する中で、経営再建に全力で取り組み、
職員の労働条件の改善等をすすめます。
(5)計画の実践と成果を判断しつつ、将来的には経営再建後の計画の検討に着手します。
2.地域の要求に応えた医療・介護・福祉事業展開の政策をつくります
(1)高知生協病院の病床転換を含む医療経営構造の検討をすすめます。
当面、2014 年度下半期からの回復期リハ病床への転換と予算の具体化を検討します。
(2)大規模投資(1 億円以上)は、2019 年度以降の施設計画として検討します。
2013~2017 年度は、長期借入金返済が年間 9,000 万円となり、資金繰り上困難です。
(3)組合員の要望を含め、医療活動や介護事業の展開・目標を検討します。
①病院リニューアル(緩和ケア病床等、病院中規模リニューアル)の検討。
②地域包括ケア対応や医療・介護連携の強化に対応した介護施設等の事業検討。
③電子カルテなど大型設備投資の導入時期の検討。
(4)
「差額ベッド代をとらない入院医療」の継続、
「無料低額診療事業」を発展させます。
3.医療・介護・組織・教育など総合的な活動の前進をはかります
(1)自発的に参画し実践する経営活動で、経営基盤の強化と経営再建を実現します。
(2)地域連携でいのちと健康を支えるセンター病院としての事業活動を強化します。
(3)地域医療と健康づくりを支える診療所としての事業活動を強化します。
(4)医療と介護の連携を強め、医療生協らしい介護事業を展開します。
(5)事業活動と医療生協・民医連運動を支える人材確保と育成をすすめます。
(6)まちづくりと健康づくりの拠点となる支部づくりをすすめます。
三.経営再建計画の諸課題
1.自発的に参画し実践する経営活動で、経営基盤の強化と経営再建を実現します
(1)正確な経営情報(経営報告・ニュース)発信で、全職員参加の経営活動をすすめます。
(2)安定的な資金確保・計画の策定で、展望ある経営計画づくりをします。
(3)中長期の投資計画を想定・見通し、資金計画に反映させます。
①電子カルテ導入(オーダーリング)、病院・診療所リニューアル(介護事業計画含む)
などの大規模な投資を伴う設備投資計画(予定案)の策定をします。
②これを実現可能とするための資金調達計画を策定します。
(4)事業所独立会計、部門別損益管理を確立します。
①管理会計の実践(統一会計基準、事業所独立会計、部門別損益管理など)
経理実務の整備と点検・検討の集団的力量のアップを図ります
事業所独立会計制度への理解促進と実務的整備を推進します。
②全事業所(介護部門も含め)で予算管理(利益目標の設定根拠、予算差異の分析と対
策)の精度を上げます。特に「費用」管理での改善をすすめます。
(5)中長期人事配置構想の検討・具体化、事務集団の力量アップ・後継者育成をします。
(6)民主的医療機関として民医連綱領に団結し実践する組織づくりをすすめます。高知
医療生協・高知民医連の歴史と「無差別・平等の医療と福祉の実現をめざす」全日本
民医連の方針を学び実践します。
2.地域連携でいのちと健康を支えるセンター病院としての事業活動を強化します
(1)地域包括ケア構想の中でイニシアチブを発揮するようにします。
①高齢者の急性期に対応する病院にします。
②在宅を支える病院にします。
質の高い地域連携=超急性期・在宅(施設)からの入院受入や在宅(施設)復帰。
濃密なリハビリの提供で在宅(施設)復帰を支援します。
病棟編成の見直し…2014 年度下期で回復期リハ病棟の取得を目指します。(一般病棟
&回復期リハ病棟)
(2)地域の救急医療に対応する病院として、24 時間 365 日の救急医療を提供します。
(3)緩和ケア病棟取得の可能性を検討します。
(4)慢性疾患医療に強い病院(消化器・循環器・呼吸器・糖尿病など)にします。
(5)消化器外科・整形外科手術に対応できる病院にします。
(6)労災に強い(認定産業医を有する)病院(中小零細企業の労働環境を専門的に行える
病院)にします。
(7)地域医療連携と中小病院の特質を活かした初期研修で医師を育てる病院、日本プラ
イマリケア連合学会家庭医療専門医の取得をめざした後期研修ができる病院にします。
(8)認知症に対応可能な病棟運営の研究と認知症を専門の医師・看護師育成をします。
(9)保健・医療を総合的に行える病院にします。
健診センターの存在…事業所健診での役割=認定産業医の存在、特定健診・がん検診
に強い生協病院健診センターを目指します
3.地域医療と健康づくりを支える診療所としての事業活動を強化します
(1)地域分析と地域包括ケアに向けた中長期の事業計画づくりをすすめます。
①2025 年グランドデザイン、地域包括ケア、第 5 次介護保険事業への対応等に向け、医
療生協らしい「地域包括ケア構想」づくりをめざし、中長期事業計画づくりをします。
②中長期経営計画の中で、中長期的な設備投資計画を策定します。
(2)介護事業との連携をすすめ、在宅介護・医療サービス提供に強い診療所にします。
在宅センター構想と「じきいくネット」など強化型在宅支援診療所・高知生協病院の
連携強化をさらにすすめます。
(3)在宅医療・外来医療の拡大に向け、パート医師を含む既卒医師確保をすすめます。
(4)すさき診療所・四万十診療所の経営改善に向けた事業活動を総合的に検討します。
(5)特定健診・がん検診推進、予防と高齢者医療・慢性疾患医療に強い診療所にします。
(6)地域住民の健康権を守る(HPH活動) 診療所…「認知症予防」
「健康体操」
「体力づ
くり」等に取り組み、地域住民の健康づくりを支援します。
4.医療と介護の連携を強め、医療生協らしい介護事業を展開します
(1)
「最後まで、安心して」を実現できる地域包括ケア体制に基づく介護事業を行います。
①医療と介護の連携を強め、地域包括ケア体制に対応できる高知医療生協の在宅介護の
ブロック化とネットワークを確立します。
②365 日安心して、利用できる訪問介護・訪問看護事業への転換をすすめます。
③地域の組合員や住民の要求と経営計画にもとづく介護事業の展開をすすめます。
(2)高知医療生協らしい介護事業をめざします。
「高知医療生協の介護の理念」づくりと、理念にもとづく誰もがその人らしい生き方
が尊重される介護活動を展開します。
(3)介護職員養成と質の向上をすすめます。
高知医療生協で誇りをもって働き、
「介護の力」の向上をめざして、高知医療生協介護
研修計画にもとづき、キャリアアップを進めていきます。また、喀痰吸引などの研修
にも取り組みます。
(4)安定した経営で剰余のでる介護事業をつくります。
①事業所の特色を打ち出し安定した利用者確保をすすめます。
②法人内外の地域での連携と事業所宣伝を強化します。
5.事業活動と医療生協・民医連運動を支える人材確保と育成をすすめます
(1)医療生協運動と民医連運動を担うことのできる職員を育成します。
①計画的な幹部養成に向け、管理職養成の研修や職場実践の人事計画を作成します。ま
た、若手職員の計画的で積極的な育成研修に取り組みます。
(全日本民医連や医療福祉生協連の幹部養成学校へ積極的に参加します。)
②職員教育要綱を見直し、いきいきと働ける職場づくりと医療生協・民医連の人づくり
をすすめます。
③事務幹部職員を養成する積極的な対策を検討します。
④民医連の統一会計基準推進士の養成と事務職員の簿記 3 級の取得を援助します。
⑤全職員が医療福祉生協の理念、いのちの章典、ビジョンを学び実践します。
⑥全職員が医療生協の班会参加、社保活動、その他の活動に積極的に参加できるよう手
立てをします。
(2)医学生対策の強化と医師養成をすすめます。
①医学生担当者の複数配置を行い、奨学生が増えている全国の経験から学び、全学年に
奨学生を確保します。
②医学生委員会の体制強化、
「医師確保 3 か年計画」を策定します。
③民医連、高知医療生協の魅力を明確にし、医学生に強力にアピールします。
④マッチングで毎年複数の臨床研修医を受け入れ、医師を養成します。
(当面 2014 年度の臨床研修医受け入れを目指し「卒年対策プロジェクト」を設置する)
⑤既卒医師対策を強め医師を確保します。
⑥「奨学生ゼロからの脱出を目指す大運動」を組合員に提起し、医学生、医師紹介運動
を推進します。
(3)人権を尊重し、患者を生活と労働の場から捉えた質の高い看護を行います。
①看護師確保と看護師の定着化をすすめます。
ア)奨学生確保と主体的な集団づくりへの援助を行います。
イ)働きやすい職場づくりを追求します。
ウ)活用できるクリニカルラダー(看護師としての専門知識や技術を段階的に身につけ
られるよう計画された、開発プランのこと)の作成と、研修の充実をすすめます。
一 地域の救急医療に対応できる、○
二 高齢者の急性期に対応できる、○
三 癌・
②看護師育成(○
四 在宅を支える質の高い連携がとれる)をすすめます。
手術・慢性疾患に対応できる、○
ア)内外の各種研修への積極的な参加を行います。
イ)認定看護師、その他の資格取得(内視鏡技師、呼吸療法士、糖尿病指導士、リスク
マネージャー)をすすめます。
ウ)入院時から在宅を見据えた看護を提供します。入院前の ADL(日常生活動作)を維持
するための援助、他職種間連携、他職種含めた各種カンファレンスの充実をすすめます。
6.まちづくりと健康づくりの拠点となる支部づくりをすすめます
(1)質量ともに力強い組織を建設し、創立 50 周年(2016 年 8 月)を迎えよう。そのため
に 3 年間で 4,500 名の組合員をふやします。
(2)毎年出資金純増 2,000 万円をめざし、出資金銀行自動引き落としの導入をはじめ様々
な検討をすすめます。
(※組織課題としては純増 2,000 万円、当面は資金計画上純増 500
万円を絶対確保とします)
(3)地域に健康づくりの輪を広げ、医療生協の魅力を自信をもって語れる元気な支部づ
くりをめざします。
(4)地域活動の拠点としての「たまり場」づくり等を行い、
「地域包括ケア構想」に対応
する支部づくりをすすめます。また地域や組合員に活動が見えるように支部の再編成を
すすめます。(支部単位は 1,000 人を目安に期間を決め支部の分割を大胆にすすめます。)
(5)全県の健康づくりや組織づくりをリード・支援する組織担当部署の力量アップと体
制整備をはかります。
(6)支部活動の確立と前進をめざす方針づくりをすすめます。
(7)地域の健康づくりを推進するインストラクターの計画的養成と健康づくりの組織化
をすすめます。
(8)それを支える専門家集団として事業部体制を構築(健康運動士の活用も課題)します。
(9)行政や地域コミュニティー組織と連携し、地域見守り活動などで協同をすすめます。
四.経営再建に向けた経過と当面の課題
1.経営調査で「重度」の経営困難性の指摘
累積7億円を超える欠損を抱える中で、2011 年 11 月に全日本民医連に経営調査等の
支援を要請しました。事業活動で利益を出せていない中、年間1億円を超す退職金支払
いで現預金が流出し、
「資金ショート寸前の状態」
、困難性の程度は「重度」と判定され、
「全日本民医連経営困難組織規定」の経営再建支援をおこなう法人に該当することが明
らかになりました。そして、2012 年 5 月の全日本民医連理事会で高知医療生協経営対策
委員会の設置(全日本民医連・高知医療生協合同)が決まりました。
*全日本民医連に支援要請をした「経過」についての詳細は、別掲をご参照ください。
2.経営困難に陥った最大の原因
このような事態に陥った原因は、高知医療生協という法人経営を担う知識や技量(集
団的チェック機能の不全、統一会計基準の理解不足…等含む)を常務理事会と常勤の経
営幹部が持ちえなかったことが最大の原因です。経営課題でもある管理運営・人事・教
育等も整備されているとは言いがたい状況があり、その点でも組織として未熟であった
と言わざるを得ません。医療制度改悪が始まる 20 数年前までは、それなりの経営でも良
かったのかもしれません。しかし、医療情勢が厳しくなる中で、特にこの 10 年間は精度
の高い経営が必要とされてきました。にもかかわらず常務理事会は情勢に合わせた厳し
い検討や施策の実施を行うことができないという、旧態依然の経営体質を転換できない
ままでした。結果として経営管理の諸課題に対処することが出来ず経営困難に陥ること
となりました。
3.経営困難に至った「原因」と「反省」について
経営困難に至った原因と反省については、(一) 経営構造の転換が行えなかったこと、
(二) 多額の資金流出を止められなかったこと、(三) 判断を誤らせた会計処理について、
(四) 資金計画の不在、 (五) 我流から脱却できなかった…ことなどがあります。
*詳しくは、別掲をご参照ください。
4.経営再建に向け、資金破綻を回避するための利益目標と当面の課題
(1)2012 年 9 月 28 日の第 2 回経営対策委員会は、2012 年度末の決算予測と診療報酬
の検討作業から、2013 年度に見込める収益規模と今後の生協病院の病床転換など、いく
つかの分析作業をし、翌日 9 月 29 日の理事会で到達状況と経営計画の条件について報
告しました。資金計画は、退職金支払いのピークとなる 2020 年を含めた 2024 年までの
計画としますが、現行の高水準の退職金制度を維持したまま経営破綻を回避するには、
経常利益 7,500 万円(利益率 3%)を毎年失敗なく出し続けることが必要となり、現実的に
は困難と判断しなければなりませんでした。
(左図の解説)
経営対策委員会設置
時点での資金予測は、
2011 年度までの経営
状況がこのまま連続
し、現行規模の退職金
支出が続いた場合は、
2015 年に資金が底を
つく状況を月商倍率
で予測した表です。)
(2)資金破綻という最悪の事態を避けることを前提に経営対策委員会で検討した結果、
事業活動による利益目標を経常利益 5,000 万円(利益率 2.1%)としても、現行退職金の 3
割以上削減を実施しなければ資金計画そのものが破綻するという結論に至りました。
各事業所での損益改善の見通しを検討した結果は、相当な奮闘を前提としても一定の
リスクを見込んで、現状の事業活動から生み出せる経常利益は 3,000 万円程度が最大の
利益と予測され、残る約 2,000 万円については相当な費用の圧縮が必要となります。
(3)経営対策委員会・協働調査から指摘されている人件費の適正な改善、特に資金繰り
に直接影響する退職金制度は、全国の多くの法人が改定した経過から 10 年以上遅れてい
ます。将来にわたり高知医療生協が存続し、その役割を発揮していくためには、資金繰
りを圧迫している原因(資産 24 億で退職給付引当金 13 億円)の具体的な克服は避ける
ことができません。また人件費総枠の見直しと併せて賞与月数改善の方向も検討が必要
となっています。
(左図の解説)
上記(2)(3)の検討
から、毎年 5,000 万
円の経常利益を確保
し、現行の退職金制
度を見直す中での資
金予測をしたもので
す。尚、現在の長期
借入金は新たな借入
をしなければ 2022 年
で返済が終了しま
す。)
(4)経常利益目標 5,000 万円は、年間収益が約 24 億円なので経常利益率 2.1%です。全
日本民医連加盟法人の全国平均が経常利益率 2.1%です。したがって全国平均並みの剰余
確保が当面の目標となっています。この計画骨子でも経営再建するための数値目標とし
ては最低条件となります。
一 累積欠損を早期に
当然、事業による利益が予算を大きく上回り増収増益になれば、○
二 病院や診療所のリニューアル、新しい事業活動への設備投
解消することができます。○
三 賞与月数の拡大含め、職員の労働条件の
資も積極的にできるようになります。また、○
改善も可能となってきます。
おわりに
全国の民医連の平均剰余率は 2.1%です。5%以上の法人も多くあります。結果を出し、
みんなが喜びあえる「元気な職場・経営」を実現したいと思います。全国の仲間がそれ
を実現しています。法人や病床規模など条件は違いますが、「全国の教訓に学びながら、
自らを検証し、変革すること」で実現は可能となります。
まず過去から現在をふりかえり、その反省の上に立って、現状認識を共有することが
必要です。現在の経営困難の要因を打開するための条件を分析し、打つべき対策(課題)
を明確にし、協同の力を発揮しこれを実現することが必要です。そして正しい情報を共
有し、全国の経験と教訓に学び、目標にこだわった職員と組合員の奮闘があれば、歴史
に裏打ちされた強固な経営を築くことができます。
高知医療生協の主人公は誰か、それは一人ひとりの職員や組合員です。
勇気がいることですが、「これは良い。」「これは面白い。」「これはいけそう。」と思っ
たことは、自らが責任を持って積極的に取り組み、経営に「参画」することが、組織を
「変革」し、新しい高知医療生協を「創造」していくことになります。
経営再建は、決して簡単な道のりではありませんが、
「事業」と「運動」は車の両輪で
す。もたれ合いでなく、互いが計画を実行し、結果を出していくことしかありません。
職員の皆さん!2012 年度の医療・介護事業全体の取り組みでは、経常剰余目標を超え
る結果となりました。職員の素晴らしい奮闘の結果です。これを土台に 2013 年度でステ
ップし、経営再建へのスタートダッシュをきりましょう!この 1 年間各分野での検討と
実践をお願いします。
組合員の皆さん!経営改善は職員だけが取り組むものではありません。組合員と職員
の「協同の力」が必要です。地域全体に医療生協の魅力を語り、健康づくりをひろげ、
参加する仲間をふやして下さい。一人でも多くの方に「健康診断」をすすめて下さい。
早期発見で事業所の利用にもつなげ、積立出資のおすすめもお願いします。
そして、地域で困っている方がいないか、ふれあい訪問にも取り組んで下さい。何か
あれば、事業所にもご相談下さい。地域のネットワークを活かした「いのちを守る」取
り組みを組合員と職員、そして地域住民と協同で取り組んでいきましょう。
経営再建の取り組みの中で私たち高知医療生協の新たな発展を勝ち取りましょう。
以上
別掲
Ⅰ.経営改善に向け、全日本民医連などに支援要請をした「経過」について
(1)2011 年 6 月 26 日の総代会で現在の第 50 期理事会が選出されましたが、
「改革・前
進」3 カ年経営計画の最終年度である 2011 年上半期決算で 6,200 万円を超える大きな赤
字が出ることになり、次の通り判断決定しました。
「高知医療生協にとって大きく舵を切
る重要な年」であり、困難を乗り越える「決意と策」がいること、
「自分たちの力量だけ
で困難の克服が本当にできるのか」、「過去の医療生協・民医連の歴史的事実から真摯に
全国の経験に学ぶ」ことの重要性を理事会として確認し、2011 年 11 月に全日本民医連
に経営調査等の支援を要請しました。
その結果、12 月に全日本民医連経営部による現地調査、2012 年 2 月に全日本民医連
顧問公認会計士・税理士事務所「協働」による経営調査が行われました。経営実態は、
事業活動で利益を出せていない中、年間1億円を超す退職金支払いで現預金が流出し、
資金繰りの悪化から「資金ショート寸前の状態」であること、経営破綻回避の為には、
毎年 7,500 万円の利益確保が必要との厳しい指摘を受けました。
(2)さらに 2011 年度の 1 年間で医師 4 名が退職するという厳しい医師体制の事態を迎
えました。
2012 年 3 月末で城北診療所の休止という選択を理事会として決断する一方で、
2012 年度予算づくりの討議に入りました。生協病院を始め全事業所が黒字決算をめざす
ことを条件に検討を重ね、2,700 万円の利益目標の確保まで積み上がりましたが、指摘
されている経営改善に向けた利益確保とは相当な乖離があり、4 月理事会で全日本民医
連への支援要請を決定、5 月の全日本民医連理事会で高知医療生協経営対策委員会の設
置(全日本民医連・高知医療生協合同)が決定されました。
全日本民医連の調査結果と経営実態については、2012 年 4 月の全職員対象学習会(全
日本民医連の藤末衛会長が講演)や 2012 年 6 月第 51 回通常総代会でも報告しました。
2012 年 7 月 26 日第 1 回経営対策委員会が開催され、経営状況の問題点を分析、経営
計画の柱となる 2013 年∼2024 年度の利益目標設定や費用削減等について検討しました。
またその後、介護事業・看護活動の課題別検討会も開催されました。
Ⅱ.経営困難に至った「原因」と「反省」について
(一)経営構造の転換が行えなかったこと
①高知生協病院は、2002∼2011 年度の 10 年間で剰余を出した年は一度もなく 5 億 5,295
万円の欠損です。病院以外の全事業所合計は、3 億 7,534 万円の剰余ですので、病院の
赤字をその他の事業でカバーすることはできない状況が続いてきました。
②さらに、2003 年に開設した「すさき診療所」は、2009 年度以外は全て赤字、10 年間で
1 億 1,039 万円の欠損となっています。病院を支えると考えてきた病院以外の事業所で
も赤字を積み重ねる事態となっていました。
「病院は赤字、その他の事業(診療所・介護
事業)で支える」という発想はまったく通用しない状況でした。
③したがって 2000 年度以降で法人全体の累積欠損が解消された年はありません。実際に
は 1996 年度から累積欠損の状態です。
④このような状況にありながら、事態の重大性を認識しつつも、経営構造の転換を図るこ
とが出来ませんでした。
◆資料A 2002∼2011 年度の事業所別経常剰余の合計と 2012 年度の結果(抜粋)
年度
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
合計
2012
高知生 病院以
旭
城北
潮江 四万十
すさき
介護事
協病院 外合計 診療所 診療所 診療所 診療所 診療所 業合計 (万円)
▲ 4,565
4,677 1,862
2,384
616 ▲ 830 2003開設
645
▲ 3,113
3,108 1,036
1,459
249
2,081
▲ 2,691
974
▲ 5,686
5,397 1,152
1,840 1,156
3,361
▲ 3,269
1,157
▲ 6,100
5,626
673
2,743
922
2,464
▲ 2,229
1,053
▲ 16,524
2,373
131
2,058 1,052
836
▲ 1,682
▲ 22
▲ 884
4,920 1,204
2,254
950
577
▲ 1,058
993
▲ 2,373
5,087 1,085
2,170
584
988
▲ 78
338
▲ 2,942
4,730
973
1,726
205
906
246
674
▲ 9,683
1,613
363
99
469 ▲ 341
▲ 56
1,079
▲ 3,425
3
727
▲ 89
923
74
▲ 222 ▲ 1,410
▲ 55,295 37,534 9,206 16,644 7,126 10,116 ▲ 11,039 5,481
2,234
1,893 1,946
485 ▲ 156
▲ 118 ▲ 264
◆資料B
2000∼2012 年度の高知医療生協の経営資料(抜粋)
年度 経常剰余 当期剰余 累積欠損
2000
1,757
1,609 ▲ 3,549
2001 ▲ 5,922 ▲ 6,137 ▲ 9,687
2002 ▲ 5,100 ▲ 5,306 ▲ 14,993
2003 ▲ 2,525 ▲ 2,998 ▲ 17,991
2004
2,520
1,637 ▲ 12,728
2005
▲ 205 ▲ 1,924 ▲ 14,472
2006 ▲ 13,835 ▲ 14,344 ▲ 28,816
2007
4,016
3,752 ▲ 21,464
2008
2,821
▲ 261 ▲ 20,225
2009
777 ▲ 28,317 ▲ 48,542
2010 ▲ 9,441 ▲ 41,600 ▲ 71,407
2011 ▲ 3,814 ▲ 4,022 ▲ 75,430
2012
3,933
3,806 ▲ 71,624
長期借入 出資金
退職金
(万円)
金残高 純増額
支給額
▲ 2,533
18,200 2,055
▲ 7,371
22,501 1,595
▲ 6,915
30,735 8,695
▲ 10,385
69,931 5,666
▲ 3,501
102,992 7,174
▲ 6,642
92,413 3,358
▲ 11,903
87,998 2,350
▲ 5,656
81,850 1,331
▲ 10,818
70,040 1,786
▲ 5,579
60,561
420
▲ 2,462
51,083
360
▲ 13,335
54,660
235
▲ 16,078
60,694
456
合計 ▲ 103,178
(二)多額の資金流出を止められなかったこと
①2009 年 5 月 31 日の総代会で、事業と運動の改革で確実な前進をめざすために「改革・
前進」3 ヶ年経営計画(2009∼2011 年度)が決定されました。しかし、3 ヶ年計画の結
果は、実質の連続赤字決算となり累積欠損を増やし、現預金を減らす結果となりました。
②現金流出に歯止めをかけるために退職金規定の改定を過去にも提案しましたが、実施す
ることができませんでした。2000~2012 年度の退職金支払額は総額 10 億円を超え、年
平均 8,000 万円の退職金支払いが必要となり、資金繰り悪化の要因となっています。
③「改革・前進」3 ヶ年経営計画を達成させるための管理運営の未熟さが表れる結果とな
りました。
◆資料C 2009 年 5 月 31 日総代会「3 カ年経営計画(2009∼2011 年度)」
(1)事業と運動の改革で確実な前進をめざすための 5 つの柱
①医療生協として期待に応える保健・医療・介護活動の積極的な展開
②地域の思いを協同の力でかたちに変える力強い組織づくりと基盤強化のための増資運動
③毎年剰余を積み重ねて、着実に累積欠損を解消していける経営体質づくり
④キャッシュフローの改善で期末の現預金残高を月次収益 1.0 倍以上確保し安定した経営
⑤改正生協法による退職給付会計への移行と退職給付債務を 3 年以内で 100%計上
(2)経営悪化の主な要因について
①事業実施と運動:すさき診療所の開設・生協病院増改築という 9 億円の大事業を連続的
に実施するにあたって、資金ショートの不安のある中、資金繰り等の十分な経営見通し
を持って、事業規模、建設時期等入念で総合的な検討を行えずに決断したという誤りは
重大であったこと。さらに、すさき診療所開設・生協病院増改築後の事業計画の遂行に
あたってもその運動や計画の点検、総括、計画修正等やりきる姿勢の弱さを反省する必
要があったこと。今後の施設整備事業にあたり厳しい教訓とする旨が確認されました。
②経営管理:年間剰余目標を中心にした 12 ヶ月予算の事業所ごとの追及と資金確保の取り
組みの遅れなど、経営の管理と実務の両面で厳しい反省が求められました。経営方針や
事業計画・予算、管理運営などについて、常勤役員会の判断や改革への対応の緩慢さな
どを厳しく総括し、全国の優れた経験や方針に学び、経営再生に責任を持つ経営管理体
制を確立することが求められました。
(三)判断を誤らせた会計処理について
①企業会計は、将来発生する費用または損失が特定され、その発生原因が当期以前の事象
にあり、かつ、その費用の額を合理的に見積もることができる場合には、その費用の額
を引当金として計上することとされています。企業が持続発展するために必要な費用は
引き当てることが重要です。
②実際の退職金支払額は年々増加し、過去 1 億円を超える年度も 5 回あります。資料B
しかし高知医療生協は、企業会計でなく 1998 年度(平成 10 年度)税制改正に合わせ、安
易に退職給付引当率を 40%から 23%まで下げていく会計処理を選択しました。資料E
③下記の経営調査報告書に指摘されるように、理事及び職員、組合員が正確に経営実態を
把握するための正確な情報共有がされず、経営判断を遅らせたことを反省します。
◆資料D 経営調査報告書(2012年3月協働公認会計士共同事務所作成)∼抜粋
「2007年度の4,016万円の黒字→△1,800万円(2008年度2,821万円→541万円)の評価
は、適切な推移分析や他法人比較は困難だったと推察され、特に2007年度の乖離は、
役職員・組合員の経営状況の理解に不十分さをもたらし、その後の経営改善の足取り
を重くしたものと推察される。2007年度は、2006年度の深刻な赤字決算を受けて、経
営困難の認識のもとに全事業所黒字を合い言葉に奮闘され、事業収益を1億3,400万円
(+6.5%)改善している。公表決算書の経常剰余は4,000万円の黒字になっているが、
退職引当繰入は前年比△3,000万円減少させており、民医連統一会計基準によれば
△1,800万円の赤字である。」……と指摘されています。
◆資料E【退職給付引当金の要支給額引当率について】
年度
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
高知医療生協 40%
40%
37% 33% 30% 27%
23%
23%
98税制改正
40%
40%
37% 33% 30% 27%
23%
20%
統一会計基準
40%以上
42% 44%
46%
48%
民医連は98年税制改正後も毎年積上を方針化 ←----2%ずつ増加----→
年度
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
高知医療生協 25%
30%
31% 31% 33% 55% 100% 100%
統一会計基準 50%
53%
56% 59% 62% 65%
68%
71%
←--------------- 3%ずつ増加 ------------------→
(左図の解説)
生協法改正に伴う退
職給付会計への移行
で2009∼2010年度に
不足分7億9千万円を
計上し、現在は年度
末要支給額100%を毎
年計上しています。
(四)資金計画の不在
①すさき診療所建設・病院リニューアルという 2 つの大規模投資(合計 9 億円)が連続し
ました。しかし、4 年間(2002~2005 年度)で 6 億円(投資規模 9 億円の 3 分の 1=純増 3
億円)の増資運動は目標を達成させることが出来ず、一定の資金を銀行から借入して運転
資金や設備投資がまかなわれました。
②不十分な検討による判断が、借入金の増加につながり資金繰りを悪化させ、経営体力を
低下させることになりました。
③当初からの事業計画・資金の見通しが甘く、また組合員運動が事業計画に見合うもので
はなかったと言わざるを得ません。
④増資目標を達成させるための運営管理の未熟さに加え、事業計画策定にあたって 10 年後
を見据えた資金計画の不在は経営困難に陥った大きな原因です。
(五)我流から脱却できなかった
①病院はリニューアル後も赤字が連続しており、経営構造の転換、診療報酬への対応(2002
∼2006 年度は入院収益が 10 億円を下回る)、人員配置の見直しなど、現在全日本民医連
の経営対策委員会で指摘されている事項がなぜあの時点でできなかったのか。全国方針
や経験に学び、医療生協・民医連の全国組織の利点を活かし、知恵や力を借りながら、
様々な困難に早期に対応し、手立てを打つことがなぜできなかったかと反省させられま
す。正確とは言い難い我流に固執し、民医連・医療生協から提起される方針に真摯に向
き合わなかった結果、事態を悪化させてしまいました。
②課題達成に向けては、個人の責任と集団の持つ厳しさが必要であり、目標に対する責任
の明確化と追求の手立て、結果や原因の総括とスピードのある対応が必要でした。また、
人材育成の面では、職員育成の手立てと管理者のリーダーシップなど、職員のモチベー
ションをどう上げるか、患者に喜んでもらえる事業所づくりをどうすすめるのか厳しさ
が求められています。組織運営でのマアマア主義・慣れ合い主義が我流を生んでいたと
思います。
③我流からの脱却には、常に経営を見ている常勤役員の経営判断の責任は大きく、常務理
事会での率直な相互批判と「集団の質」が問われます。常務理事会は、経営再建に向け
過去の過ちを二度と繰り返さないことを決意し、困難な課題を後回しにせず、経営の正
確な情報を公開共有し、再建に向けた具体的な対策を提案していきます。長年にわたる
組織体質を一挙に改善させることは難しいですが、一つひとつの課題に真摯にそして大
胆に向き合うことで、我流や経験主義を克服していきます。
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