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デンマークの研究開発が軌道に乗る(デンマーク)【PDF:69KB】
NO.957, 2005. 6. 15 NEDO海外レポート < 新刊目次のメール配信をご希望の方は、http://www.infoc.nedo.go.jp/nedomail/ > 海外レポート957号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/957/ 【新エネルギー】 デンマークの研究開発が軌道に乗る デンマークの西ユトランド地方では、欧州で初となる水素電車の実用化を目指して いる。この計画を始め、国内及び欧州全土で実施している意欲的なプロジェクトから、 研究開発に対するデンマークの前向きな姿勢がうかがえる。ここでは、デンマークの 研究活動の展望を手短に解説する。 水素エネルギーで稼働する電車は、西ユトランド地方に新設された「水素技術革新・ 研究センター(Hydrogen Innovation and Research Centre:HIRC)」の特徴的なプ ロジェクトとなるだろう。HIRC は発展途上の水素技術応用分野において、デンマー クが第一線に躍り出るために設置された機関である。 HIRC の代表、Jens-Christian Moller 氏は「水素電車商用化を欧州で最初に実現す ることが私たちの目標です」と述べる。今日、乗用車やバスに水素エネルギーを利用 する国際プロジェクトは数多く存在しているが、水素電車はほとんど例が無く、進行 中のプロジェクトは主に米国と日本で実施されている、と Moller 氏は補足する。「だ から、ここ西ユトランド地方の国際的な価値を高めるチャンスがある訳です。」 西ユトランド地方の自治体 Vemb、Lemvig、Thyboron は、この 3 地域を結ぶ全長 59km の路線を運行する水素電車への出資を確約している。デンマーク研究・技術革 新情報サービス(Danish Research and Innovation Information Service:DRIIS) の報告では、欧州連合(EU)並びに自治体として Ringkobing も出資に興味を示して いるとのことである。 目下のところ HIRC は、このプロジェクトが鉄道車両製造企業の興味を引き、参画 を促すことを期待している。Moller 氏によれば、HIRC は本プロジェクト及びその他 の技術移転活動を実施し、長期間のエネルギー供給確保とクリーンな環境の構築を支 援して行く。 水素動力は燃料電池技術の発展に伴い普及したが、1960 年代以降その用途はバスや 乗用車等に限られてきた。そして今、電車に適用されようとしている。水素は無色・ 無臭の気体である。1 つの水素原子が持つ原子核には 1 つの陽子があり、その陽子の 周りを 1 つの電子が周回している。 27 NEDO海外レポート NO.957, 2005. 6. 15 活用可能な成果 DRIIS が運用するデータベース「活用可能な成果」は、EU 研究開発フレームワー ク計画の下で実施されたプロジェクトの中で展開可能なもの、あるいは今後の開発促 進によって欧州に利益をもたらす新技術・製品・サービスとして展開が可能なものを 網羅している。データベースの集約時点では合計 138 の成果が報告された。 成果リストのトップには「欧州テレワーク・オンライン(ETO)」が掲載されてい る。これは 20 ヶ国のウェブサイトから成るネットワークで、在宅・リモートオフィ ス勤務並びに電子商取引分野に関する資源と情報の入手先を提供している。ETO では、 現在寄せられている個別のカスタマイズへの要求を削減するため、システムの試験運 用を行うユーザーを募っている。 EU の BIOMED2 研究プログラムにより助成を受けた複数のプロジェクトは、情報 交換、研修、研究開発インプットに関するパートナーを探している。その一例が、脳 疾患研究に際し、種々の磁気共鳴(MR)技術を活用する共同プロジェクトである。 これまでにデンマークが参画した EU 研究開発フレームワーク計画のプロジェクト は「生活の質並びに生活資源の管理(LIFE)」、「情報社会技術(IST)」、「競争力のあ る持続可能な成長(GROWTH)」等、様々な分野で顕著な成果を上げてきた。例えば、 第 5 次研究開発フレームワーク計画(FP5)では、デンマークのパートナーが少なく とも 1 者参画したプロジェクトは合計で 1,570 件あり、そのうち実に 422 件はデンマ ークに拠点を置く組織が主導したものである。最新の FP6 についても、この国は積極 的な取組方針を継続する模様である。 以上 翻訳:千葉 朗子 (出典:http://europa.eu.int/comm/research/headlines/news/article_05_04_26_en.html) 28