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2015年7月号(PDF/240KB) - 机・加藤 社会保険労務士法人 | 渋谷区
Tsukue・Kato Office NEWS 2015.7 NEW TOPICS ◆打切補償で『労災受給者も解雇可能』 と最高裁が初めて判断しました◆ 労災認定を受けて休職・療養中に解雇されたのは不当だとして、専修大学の元 職員の男性が解雇無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は 6 月 8 日、「国 から労災保険の支給を受けている場合でも、(使用者が)打切り補償を支払えば 解雇できる」とする初判断を示し、解雇を無効とした二審・東京高裁判決を破棄し、 解雇権の濫用に当たるかどうかをさらに審理する必要があるとして審理を同高裁 に差し戻しました。 労働基準法は、業務上の傷病で療養中の解雇を原則禁止としていますが、 使用者が療養費を負担して療養開始から 3 年が過ぎても治らない場合は、平均 賃金 1200 日分の打切補償を支払って例外的に解雇できると規定しています。 今回の訴訟では、使用者が療養費を負担せずに、国が労災保険を支給して いる場合でも打切補償の規定を適用できるかどうかが争点となっていました。 男性は 2002 年頃から、腕から全身に痛みが生じる脛肩腕(けいけんわん)症 候群と診断され、2007 年に労災認定を受け休職していましたが、大学側は 2011 年に約 1630 万円の打切補償を支払って解雇しました。 一審・二審ともに、「打切補償の適用は、使用者が療養費を負担している場 合に限られるとして、本件解雇は無効である」と判断しました。二審において、 大学側は「労災保険制度は使用者の災害補償責任を肩代わりしており、打切 補償を支払った解雇も可能」と主張したのに対し、男性側は「労災給付では使 用者の補償責任は果たされておらず、解雇を認めれば新たな大量解雇の道が 開かれる」と反論していました。 最高裁は、打切補償の目的を「使用者の負担を軽減するもの」としたうえで、 「労災保険が給付されている場合、労働基準法が使用者の義務とする災害補 償は、国による肩代わりという形で実質的に行われていると言え、使用者が療 養費を負担するケースと扱いを異にするべきではない」と指摘し、「療養開始後 3 年が過ぎても治らない場合、打切補償の支払いで解雇できる」と判断した。 男性の弁護団によると、業務上の傷病の療養費は多くの場合、使用者の負 担でなく、男性と同様に労災保険でまかなわれているとのことで、今回の最高裁 の判断は、どんな使用者も療養中の労働者に対して一定の額のお金を支払い さえすれば解雇できるということになりかねないと批判しています。 現実的には、長期療養者の中には、働きながら療養を続けたたり、自発的に 退職したりする例も多いことから、今回の判決を受けて直ちに解雇が続発する 可能性は低いとの見方もありますが、今後の動向に注目していきましょう。 ◆『改正労働者派遣法案』が 9 月 1 日に施行見込みです◆ 特定労働者派遣制度や専門 26 業務の撤廃を盛り込んだ改正労働者派遣法 案が、6 月 19 日に衆議院で可決されました。今後、参議院を通過して法案が成 立する見込みです。施行日は 9 月 1 日で残り 3 ヶ月を切っていますので、派遣 先、派遣元企業は確認を急ぐ必要があります。主な改正点は以下の通りです。 ■特定労働者派遣事業(届出制)と一般派遣労働者事業(許可制)の区別を廃 止し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。 ■専門業務の「26 業務」には期間制限がかからず、その他の業務には最長 3 年の期間制限がかかっていたが、これを廃止し新たに以下の制度を設ける。 〔事業所単位〕 ・派遣先の同一事業所における派遣労働者の受け入れは 3 年 を上限。それを超えての受け入れには労働者代表等の意見聴取が必要。 〔個人単位〕 ・派遣先の同一組織単位(課)における同一派遣労働者の受 け入れは 3 年を上限。 (※人が変われば長期間にわたって派遣ができるようになります) ◆日本年金機構の 個人情報流出について◆ 日本年金機構に対する外部からの不正アクセスに より、国民の個人情報が外部に流出した件について、 6 月 1 日に日本年金機構から公表と謝罪がありました。 現時点で流出しているのは約 125 万件とされており、 該当者には日本年金機構より個別に郵送にて案内 が届き、新しい年金番号に変更になるとのことです。 直接の電話やメールはこないのでご注意ください。 社内に該当者がいらっしゃいましたら弊社までご連 絡下さい。 7 月の社会保険と労務 ◇社会保険報酬月額算定基礎届の手続きが発生し ます。これは、社員の方々が実際に受ける賃金と、 既に決定されている標準報酬月額が乖離しないよ うに、毎年 1 回、4・5・6 月の賃金の平均額を算出し、 その年の 9 月以降の標準報酬月額を決定するもの です。提出期間は 7 月 1 日から 10 日(若干前後あ り)ですので、管轄の年金事務所(健康保険組合) に忘れずに手続きして下さい。 ◇4・5・6 月に昇給(降給)し、賃金が大幅に変動され た社員の方は、前述の社会保険報酬月額算定基 礎届ではなく、7 月の社会保険報酬月額変更届の 手続きに該当する場合がありますのでご注意下さ い。 ◇夏季賞与を支給される会社は、賞与支払届を管轄 の年金事務所(健康保険組合)に提出して下さい。 賞与に対する厚生年金保険料は、将来の年金額 に反映されますので、忘れずにお願い致します。 ◇源泉所得税の納期特例適用事業所については、 1~6 月までの合計税額の納付期限が 7 月 10 日 (金)ですので忘れずに税務署に納付して下さい。 ◇住民税特別徴収の会社は、7 月にも住民税が変更 になるケースがほとんどですので、該当者の 7 月支 給給与の住民税控除額を変更して下さい。 〔お断り〕 この欄は、相談顧問契約のお客様を対象としています。 労働・社会保険諸手続き、給与計算業務をご契約頂いているお客 様につきましては、大部分が弊社で行わせて頂く業務になります。 編集後記 6 月より弊社会議室にてお客様向けの勉強会をス タートさせ、今後定期的に開催していきます。 夏頃に「マイナンバー制度対応勉強会」を予定して おりますので、案内が出来次第ごお知らせ致します。 勉強会は無料ですのでご都合がよろしければぜひ お越し下さい!ご参加お待ちしております。 (田中) Tsukue・Kato Certified Social Insurance & Labor Consultant Office 机・加藤 社会保険労務⼠法⼈ 〒150-0043 東京都渋⾕区道⽞坂 1-9-4 ODAビル 7 階 TEL 03-3463-6671(代) FAX 03-3463-6672 E-mail: [email protected] http://www.tsukue-partners.com /