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2011 年合格 憲法(全8回)
< 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > 2011 年合格 Never Surrender!! 憲法(全8回)重要点整理レジュメ 担当 南 第②回 【日本テレビビデオテープ差押事件】 【TBSビデオテープ差押事件】テキスト P74 【博多駅取材フィルム提出命令事件】テキスト P74 警察(捜査機関) 表現の自由(21 条) AA テキスト P71~P95.ダーウィン P45,P53~P76. 第 21 条 第1項 第2項 Q.適正迅速な捜査のために捜査機関は報道機関の取材テープを差押え押収することが〔×(常 に)でき ○できる場合があり 〕、そのため取材の自由が制約を受けてもやむをえない。 Q.公正な裁判のために、裁判所は報道機関に対し取材フィルムの提出を命令することが〔×(常 に)でき ○できる場合があり〕、そのために取材の自由が制約を受けてもやむをえない。 Q.裁判所の取材フィルム提出命令に対して報道機関は、〔×常に応じなければならない ○常に応じなければならないわけではなく、提出命令を拒める場合がある〕。 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 裁 判 所 「適正迅速な捜査」のため取 材テープを差し押さえ押収 「公正な裁判」の実現のため 取材フィルム提出するよう命令 将来の「取材の自由」を侵害 する違法な捜査だと主張 将来の「取材の自由」 が侵害されるとして拒否 テレビ局 テレビ局 * 表現の自由は、情報を得た人が人間的に成長するという「自己実現の価値」と主権者国民が政治の情報 を得ることによって民主主義が発展するという「自己統治の価値」がある、特に重要な人権である。 1.報道の自由・知る権利・取材の自由(テ P71(1)表現活動のすべてが保障されるのか) ①表現過程のすべてが保障されるのか? *情報収集活動(取材の自由) ⇒ 情報伝達活動(報道の自由) ⇒ 情報受領活動(知る権利) ・情報伝達活動(報道機関の「報道の自由」 )は、 「表現の自由」に含まれる(21 条で保障される) 。 )も、 「表現の自由」に含まれる(21 条で保障される) 。 ・情報受領活動(国民の「知る権利」 )について判例は、21 条で保障されるとは言わずに、 「21 条の精神に ・情報収集活動( 「取材の自由」 照らし十分尊重に値する」とする。 (以上、 【博多駅事件】P74) 。 Q.情報伝達活動( 「報道の自由」 )は、憲法上、 〔○保障される ×保障されない〕 。 Q.情報受領活動(国民の「知る権利」 )は、憲法上、 〔○保障される ×保障されない〕 。 Q.情報収集活動( 「取材の自由」 )は、憲法上、 〔×保障される ○十分尊重に値する〕 。 *情報を伝達すること(報道)は、問題なく「表現」という文言にマッチする。 *情報受領活動(国民の知る権利)は、国語的には「表現」という文言にはマッチしない。しかし、情報受 領活動(国民の知る権利)が公権力から妨害を受けてはいけないので、 「表現」の中に含まれると解する。 ③記者が裁判の証人として出廷し、取材源(情報提供者)を明らかにするよう証言を求められた場合、 証言を拒絶できるか?(公正な裁判 VS (将来の)取材の自由) 最高裁は、「公正な裁判」も「取材の自由」も重要なので、「記者だというだけでは証言拒絶権は認めら れない」(記者だというだけでなく、他にも理由があれば、取材源を秘匿できる)とした。(場合分け) Q.新聞記者であるというだけで、証言拒絶権が〔×認められる ○ 認められるわけではない〕。 【石井記者事件】テキスト P76 裁 判 所 「公正な裁判」の実現のために、取材源(情報提供者)を言いなさい! 将来の「取材の自由」が侵害される!証言を拒絶する! 記 者 *取材の自由は、判例によれば、 「表現の自由」に含まれないが(つまり、21 条で保障されないが) 、21 条の 表現の自由にかなり関連する活動なので、公権力は十分尊重しなければならないという。 ←判例の発想:取材した事の全部が報道されるわけではない(ボツになる記事も多い)。その点を考慮 すると取材の自由は報道の自由とは少し遠いので表現の自由の中に入らない。しかし、取材が公権 力によって妨害されるのもよくない(その後報道できなくなり国民が知ることもできなくなる)。 そ こで、取材の自由は人権ではないが、人権に準じて、公権力は安易に妨害してはいけないと考える。 *取材の自由が、具体的場面でどの程度認められるのかが多々判例で問題となった。以下説明する。 ②捜査機関(警察や検察)が捜査のために報道機関がもっている取材テープ(取材フィルム)を押収し たり、裁判所が裁判の証拠のために報道機関がもっている取材テープ(取材フィルム)を提出するよ う命令できるか?(適正迅速な捜査・公正な裁判 VS (将来の)取材の自由) 最高裁は、「適正迅速な捜査」「公正な裁判」「取材の自由」はどれも重要なので、「捜査機関は取材テー プを差し押さえ押収することができる場合がある」「テレビ局は、裁判所の取材フィルム提出命令に 常に応じなければならないわけではなく、提出命令を拒める場合がある」(最終的には諸事情を比較 衡量して決まる)としている。(場合分け) - 13 - ④法廷の中でどのような取材行為が認められるか? *法廷内では裁判所の許可を得ずに取材してはならない、と法律(刑事訴訟規則)で定められている。 最高裁は、「写真撮影」は、許可するか否かは裁判所が自由に決めていい(許可しなくても構わない) が、「メモ行為」(メモを採る)は、許可するか否かは各裁判所が自由に決めていいわけではなく、「故 なく妨げてはならない」(なるべく許可しなければならない)とした。(場合分け) Q.公判廷での写真撮影は裁判所の許可を要するとする法律は、〔○違憲 ×合憲〕である〕。 Q.法廷内でのメモ行為は、〔×権利として保障されるものではなく、裁判所はその自由な裁量で メモを禁止できる ○権利として保障されるものではないが 21 条 1 項の精神に照らし尊重 すべきであり、傍聴人がメモを採る目的が裁判を認識・記憶することにあり公正円滑な訴訟運 営を妨げないのであれば、故なく妨げてはならない〕。 - 14 - < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > 【北海タイムス事件】【レペタ事件】テキスト P75 裁 判 所 「公正な裁判」の実現のために法廷は静粛に! どんな取材方法でも「取材の自由」だ!許可しろ! 取材記者 Q.文書がもつ芸術性・思想性が、文書の内容である性的描写による性的刺激を減少・緩和させ て、刑法が処罰の対象とする程度以下にわいせつ性を解消させることは〔×ない ○ある〕。 Q.文書がもつ芸術性・思想性がわいせつ性を解消させることは〔○ない ×ある〕。 Q.芸術面において優れた作品について、わいせつ性をもっていると評価することは、〔×不可 能である ○不可能ではない〕。 Q.わいせつかどうかは、〔○個々の単語のみで判断するのではなく、文書全体から判断すべきで ある ×個々の単語のみで判断すべきであって、文書全体から判断すべきではない〕。 Q.わいせつかどうかは、その時代の社会通念に従って判断すべき〔○である ×ではない〕 。 *比較衡量=「わいせつ性の程度と芸術性の程度を比較して、わいせつ性の方が高ければ処罰されるが、芸 術性の方が高ければわいせつ性は解消され(ゼロになり)処罰されない」という考え。 別次元=「わいせつ性の問題と、芸術性の問題は、別々の問題(別次元の問題)だ。わいせつ性が高 ければ、芸術性が高いかどうかに関係なく、処罰される。芸術性がいくら高くても、わいせ ⑤取材の自由を理由にすれば何でもできて犯罪にもならないというわけではない。最高裁は、記者の 、犯罪が成立す 取材行為が社会通念上相当なものといえない場合には(社会常識を超えた場合には) る場合があるとしている(【外務省秘密漏洩事件(西山記者事件)】テ P75) 。 (場合分け) つ性を完全に解消させる(ゼロにする)ことはないのだ」という考え。 *「刑法が処罰の対象とする程度以下にわいせつ性を解消させることはある」=「完全にわいせつ性を解 消させる(ゼロにする)ことはないが、処罰するほどのものではないというレベルまで下げることはあ る」という意味。 Q.国家機密に対する取材行為には、〔×(常に)秘密漏示そそのかし罪が成立する ×(常に)秘 密漏示そそのかし罪は成立しない ○真に報道の目的から出たものであり、取材の方法・手 段が社会通念上相当なものであれば、正当な業務行為であって、秘密漏示そそのかし罪は成 立しない〕。 ●【チャタレー事件】 【悪徳の栄え事件】 【四畳半襖の下張事件】のまとめ 別次元(チャタレー判決) *この事件では国家公務員法の「秘密漏示そそのかし罪」という犯罪が某記者に成立するかが問題となっ 文書全体から判断 たので、その犯罪名が問題文に出ることがあるが、受験上はあまり犯罪名を気にしなくとも良い。 (悪徳の栄え判決) 社会通念に照らし 2.わいせつ表現(性的表現)(テ P76.②わいせつ表現)*この項目はCランク。 て判断(四畳半襖の 下張判決) ⑥わいせつ表現(性的表現)も憲法 21 条1項の「表現の自由」に含まれる。 しかし、社会の性的秩序を守るために「公共の福祉」(12 条・13 条)の制約を受ける(判例・通説) 。 Q.性的な表現は、21 条 1 項の表現の自由に〔○含まれる わ い せ つ 性 影響あり (悪徳の栄え判決) 芸 術 性 ・ 思 想 性 ×含まれない〕。 *こんな表現が「表現の自由」に入るのか?という疑問もあるが、やはり基本的人権尊重主義だから、含 まれると解したうえで、不都合があれば「公共の福祉」(12 条・13 条)の制約を受けると考える。 *刑法(法律)には、わいせつ罪が定められている。判例上、芸術的に優れている小説であっても、わい せつ罪にあたり処罰されるのかがよく争われる。 芸術性・思想性 芸術性・思想性が「刑法が が「わいせつ性 処罰の対象とする程度以 を解消させる」こ とはない(チャタレ 下にわいせつ性を解消させ 処罰に値する程度 る」場合はある(悪徳の栄 ー判決) ⑦芸術性・思想性とわいせつ性とは別次元の問題であり、文書の芸術性・思想性とわいせつ性との比 較衡量で決まるのではない(【チャタレー事件】テ P77)。文書がもつ芸術性・思想性が、文書の内 容である性的描写による性的刺激を減少・緩和させて、「刑法が処罰の対象とする程度以下にわい せつ性を解消させること」はあるが(【悪徳の栄え事件】テ P77)、わいせつ性を「解消させること」 はない(【チャタレー事件】テ P77)。 わいせつかどうかは、個々の単語のみで判断するのではなく、文書全体から判断すべきである(【悪 徳の栄え事件】テ P77)。 わいせつかどうかは、その時代の社会通念に従って判断すべきである(【四畳半襖の下張事件】P78)。 え判決) わいせつ性ゼロ 3.名誉毀損的表現・プライバシー侵害的表現(テ P79.3.名誉毀損的表現・プライバシー侵害的表現) *表現の自由といえども個人の名誉を毀損したりプライバシーを侵害することは許されないので、刑法 230 条で名誉毀損罪を定めている。 しかし、ときには主権者国民に報道しなければならない事実もあるので、刑法 230 条の 2 で名誉毀損罪が 免除される場合が定められている。 Q.芸術性・思想性とわいせつ性との関係は、〔○芸術性・思想性とわいせつ性とは別次元の問 題であり、わいせつかどうかは文書の芸術性・思想性とわいせつ性との比較衡量で決まるの ではない ×芸術性・思想性とわいせつ性とは別次元の問題ではなく、わいせつかどうか は文書の芸術性・思想性とわいせつ性との比較衡量で決まる〕。 刑法 230 条の 2 には、次の3つの要件が備わっていれば、名誉毀損罪が免除されると規定されている。 (ⅰ)「公共の利害に関する事実であること」=国民に報道する必要がある事実であること。 (ⅱ)「公益を図る目的だったこと」・・憲法の受験対策としては不要。 (ⅲ)「公表した事実が真実であると(裁判で)証明できたこと」=被告人側(記者側、出版社側)で証 拠をあげて、公表した事実が真実であると証明しなければならない。 - 15 - - 16 - < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > ⑧私人の私生活上の行状(行動)が刑法 230 条の 2 の「公共の利害に関する事実」にあたるか?(上記 (ⅰ)参照) 最高裁は、あたる場合があるとした(【月刊ペン事件】テ P80)。(場合分け) 生活の平穏を害する戸別訪問 Q.私人の私生活上の行状が刑法 230 条の 2 の「公共の利害に関する事実」にあたる場合 〔×はない ○がある〕。 (夜間・住宅地・多人数での訪問)や すべての戸別訪問 買収などの不正行為のおそれのある 戸別訪問 *私人=権力者ではない一般国民のこと ⑨無罪となるためには、必ず裁判で真実であることを証明できなければならないのか?(上記(ⅲ)参照) 丁寧な取材をした上で真実だと誤信して報道した場合であっても、その後裁判で真実だと証明でき なければ、必ず処罰されるのか? 最高裁は、行為者(記者など)がその事実を真実であると誤信し誤信したことについて確実な資料・ 根拠に照らして相当の理由があるときであれば、名誉毀損罪は成立しないとした(【夕刊和歌山時 事事件】テ P80)。(場合分け) Q.名誉毀損罪の成否が裁判で問題となり、事実が真実であることの証明がない場合、行為者がそ の事実を真実であると誤信し誤信したことについて確実な資料・根拠に照らして相当の理由 があるとき〔×であっても名誉毀損罪は成立する ○であれば名誉毀損罪は成立しない〕。 * 確実な資料・根拠に照らして相当の理由があるとき=丁寧に取材をしていた場合のこと。 6.街頭演説・ビラ貼り・立て看板(テ P83.②街頭演説・ビラ貼り・立て看板)*この項目はCランク。 ⑫街頭演説を行うには警察所長の許可を要すると法律で定めることは、合憲(【最大判昭 35.3.3】テ P83)。 都市の美観風致の維持という理由で、屋外広告物を設置する行為(電柱や街路樹にビラ・ポスター を貼る行為)に法令で規制することは、合憲である。また、そのような法令は、営利広告ビラだけ でなく、政治的ビラにも適用される(【大阪市屋外公告物条例事件】【大分県屋外公告物条例事件】テ P84)。 Q.街頭演説の際には警察所長の許可を要すると法令で定めることは〔×違憲 ○合憲〕である。 Q.都市の美観風致を維持するために、屋外広告物を設置する行為に規制を加える法令を制定す ることは、〔×違憲 ○合憲〕である。 Q.都市の美観風致を維持するために屋外広告物を設置する行為に規制を加える条例は、〔×営利 広告物を取り締まるために適用されるべきであり、政治的表現物に適用すべきではない ○営利広告物だけでなく、政治的表現物にも適用される〕 。 4.営利的言論(営利広告) (テ P81.④営利的言論(営利広告)の自由)*この項目はBランク。 ⑩営利広告も「表現の自由」に含まれる。しかし、政治的言論ほどの価値はないし、不当な広告は、 国民の生命・健康・財産を害することがある。そこで医薬品や化粧品のように虚偽広告により実質 的害悪の生ずるおそれの高い物だけでなく、商品一般(商品すべて)について法律で不当な表示を 禁止することが許される(判例)。 Q.営利的言論のような非政治的表現は、表現の自由に〔×含まれない ○含まれる〕。 Q.営利的言論のような非政治的表現は、〔×政治的言論と同等に厚く保障されるべきである ○政治的言論よりも制約の必要性が高く保障の程度は低い〕。 Q.医薬品や化粧品のように虚偽広告により実質的害悪の生ずるおそれの高い物だけでなく、商 品一般について法律で不当な表示を禁止することは〔×許されない ○許される〕。 すべてのビラ 商業宣伝ビラ 7.【サンケイ新聞反論権事件(最判昭 62.4.24)】テキスト P93 *この項目はB~Cランク。 ⑬最高裁は、反論権(反論文掲載請求権)を否定している。 Q.反論権は憲法上、〔×認められる ○認められない〕。 Q.政党Aが、ある新聞紙上に他の政党Bを批判する意見広告を掲載した場合、B党は、その新 聞社に対して、反論文を無料で掲載するように請求することが〔×できる ○できない〕。 *「反論権(反論文掲載請求権)」とは、批判された者(ここでは共産党)は、批判に使われたメディア (ここでは産経新聞)に対して、自己の言いたい反論を無料で掲載せよと請求できる権利である。諸国 5.選挙運動(選挙活動) (テ P81.①選挙運動の自由) の法制度の中には、このような権利を認めている国家もある。 ⑪選挙の公正を守るために、公職選挙法によって、①文書・図画の制限(枚数、貼る場所、新聞発行 の規制など)、②選挙運動ができる期間の制限(事前運動の禁止)、③戸別訪問の一律全面禁止(時 間・場所・方法を問わず一律禁止)、が定められている。 最高裁は、①②③すべてに合憲判決を下している。 Q.選挙期間中の文書図画等に制限を加え、新聞発行を規制することは、〔×違憲 Q.事前運動を禁止し、選挙運動ができる期間を制限することは、〔×違憲 Q.時間・場所・方法を問わず、一律に戸別訪問を禁止することは、〔×違憲 ○合憲 〕。 ○合憲 〕。 ○合憲 〕。 *③の戸別訪問の禁止について、学説の中には「一律全面禁止は広すぎる、生活の平穏を害するおそれの ある戸別訪問(夜間・住宅地・多人数での訪問)や、買収などの不正行為のおそれのある戸別訪問だけ を規制すべきであって、それ以外の問題がない戸別訪問まで禁止すべきではない」という説もある。し 裁 判 所 <最高裁の見解> 反論権(反論文掲載請 命令判決? 求権)が認められると、一 私人であるサンケイ新聞 社の表現の自由を公権力 である裁判所が侵してしま うことになってしまう。 だから、反論権という権利 は認められない。 自 民 党 共産党を 批判する 意見広告 訴え 共 産 経 新 認められるか? 反論権(反論文掲載請求権) 産 聞 社 私人 かし、最高裁は、一律全面禁止を合憲としている。 - 17 - 公権力 反論文掲載 - 18 - 党 私人 < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > 9.表現の自由を規制する立法の違憲審査基準=厳格な審査基準(テ P84.「4.」) 8.集会・結社の自由(テ P93)*この項目はCランク(集団行進の自由(デモ行進の自由)のみBランク)。 ⑭憲法 21 条1項で「結社の自由」が保障されているが、法律で、一定の職業の者に対して結社を強 制したり加入を強制することが許されると考えられている。 *違憲審査基準の必要性(テ P84. (1) ) 「違憲審査基準」というのは、 “違憲か合憲かを判断する基準(判断基準) ”のことである。 “表現の自由は 人権の中でも重要だ。だから、法律や条例など(あわせて立法と言う)で表現の自由を規制できる場合で あっても、限度を超えた規制は憲法違反になるのだ”と言うだけでは、裁判官によって違憲合憲の判断が Q.法律で、一定の職業の者に対して結社を強制したり加入を強制することは、〔○許される × 許されない〕。 *憲法 21 条1項で「結社の自由」が保障されているので、団体を結成する自由も結成しない自由も 保障される。しかし、実際の必要性から、一定の職業に就く者には法律で団体の結成が強制され、 入会が義務付けられていることがある(医師会、弁護士会、税理士会など)。 曖昧になってしまう。そこで、表現の自由を規制する立法が違憲か合憲かをどのような審査基準で判断す るのが妥当かが問題になっているのだ。 ⑯表現の自由を規制する立法の違憲審査基準については「厳格な審査基準(厳格な基準) 」が妥当で (テ P85. (2) ) 。 あると考えられている(判例・通説) *「厳格な審査基準」というのは、いわば“厳しくチェックする”という基準である。 表現の自由は重要な人権なので、表現の自由を規制する立法を制定した立法府(国会や地方議会)の主張に ⑮集団行進(デモ行進)の自由も、重要な表現方法であり、21 条1項の「表現の自由」に含まれる。 しかし、通常の言論や出版による表現とは違い、危険性をはらんでいるので、規制の必要もある。 では、どのような規制が許されるか。 ≪テキスト 94 頁の3つの判例のまとめ≫ ①事前規制も許される(事後に規制するだけでは取り返しのつかない混乱が生じるおそれがあるから) ②どの様な事前規制が許されるか? ・届出制:警察に届けさえすれば、原則としてデモ行進できる.例外的に交通規制上不都合 な場合だけ警察は禁止することができる ⇒許される (警察の裁量の余地がなく、デモ行進の自由が不当に侵害される危険なし) ・許可制:例外的に警察が許可した場合だけデモができる(許可がなければできない) ・一般的許可制(純許可制ともいう.許可するかどうかはまったく警察の自由な裁量 に任される)⇒ 許されない。(デモ行進の自由が不当に侵害される危険あり) ・一般的許可制ではなく警察が許可しなければならない場合が法定されている場合 ⇒許される (警察の裁量の余地がなく、実質的に届出制と異ならないから)。 は耳を貸さず、裁判所は厳しくチェックすべきだという判断基準である。 裁 国 判 「厳格な審査基準」で 法 所 違憲か合憲かを判断 律 地 会 条 方 例 議 会 規制 表現の自由 「厳格な審査基準」という一つの審査基準があるのではなく、その中にはいろいろな審査基準がある。 〔事前規制〕←危険性大 発表時 ①検閲禁止(テ P85) 〔事後規制〕 ③明確性の原則(テ P90) ②事前抑制禁止の原則(テ P87) (漠然性ゆえ無効の原則・過度に広汎ゆえ無効の原則) ④明白かつ現在の危険の基準(P91) Q.集団行進(デモ行進)の自由は、憲法上、〔○保障される ×保障されない〕。 Q.集団行進(デモ行進)に対する事前規制は、 〔○許される ×許されない 〕 。 Q.集団行進(デモ行進)に対する規制は、 〔×届出制も許可制も許されない ×届出制は許 されるし、どのような許可制でも(一般的許可制でも)許される ○届出制は許される。許 可制であっても一般的許可制(純許可制)でなければ許される〕 。 Q.集団行進(デモ行進)に対する規制は、一般的許可制ではなく、警察が許可しなければなら ない場合が法定されている場合〔○であれば許される ×であっても許されない〕 。 ⑤より制限的でない他の選びうる手段(LRA)の基準(P91) 10.検閲の禁止(テ P85.①検閲の禁止) ⑰21 条2項前段に「検閲は、これをしてはならない」と定められている。 だから、表現の自由を「検閲」という形で公権力が規制した場合、直ちに違憲となる。 では、「検閲」とは何か? 最高裁は、 「検閲」とは、 「行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は 一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその 「検閲が許される場合な 内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること」をいい、 どない、絶対的に禁止される」という。 Q.憲法 21 条 2 項で禁止されている「検閲」とは、判例によれば、 ×公権力が、表現内容等の表現物を、発表前又は受領前(発表後)に審査し、不適当と認め るものの発表又は受領を禁止すること ×行政権が、表現内容等の表現物を、発表前に審査し、不適当と認めるものの発表を禁止 すること ○行政権が、思想内容等の表現物を、発表前に、網羅的一般的に審査し、不適当と認める ものの発表を禁止すること - 19 - - 20 - < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > Q. 「検閲」と「事前抑制」とは、 〔×同じものである ○別のものである〕 。 Q.検閲は、例外的に許される場合〔×がある ○はない(絶対的に禁止される) 〕 。 * 明治憲法下で、とくに戦時下に「特高警察」という思想言論弾圧の専門警察が「検閲」といって、表 ※検閲禁止と事前抑制禁止原則との関係 P88 ●C説(最狭義説 判例) 公権力が 現前に表現内容をチェックすることを絶えず全国的にやっていたので、21 条2項の「検閲」も戦時下行 われていた検閲を指していると最高裁は考えているのである。 *「網羅的」 :いわば“全国を対象にする”という意味 「一般的」 :いわば“全国民を対象にする”という意味 * テキスト P86~87 には、公権力が行ったことが「検閲にあたるか否か」が問題となった判例が書かれ 行政権が 思想内容等の表現物を 検 発表前に審査し 閲 発表を禁止すること 一つもないし、また、なぜ最高裁が検閲ではないと判断した理由も問われないからである。 (絶対に禁止) *映倫=映画業界の自主規制組織(民間組織であり行政機関ではない) 。 11.事前抑制禁止の原則(テ P87.②事前抑制禁止の原則) ⑱検閲に該当しなくとも、公権力が発表前に表現行為を抑制することは原則として許されない。これ (憲法上明文はないが認められている) を「事前抑制禁止の原則」という。 もっとも、例外的に、プライバシー保護のために裁判所が出版物の差止命令を出すことは許される 場合があると解されている。最高裁は、 「当該出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価・ 批判等に関するものである場合には、事前差止めは原則として許されない。しかし、その表現内容 が真実でなく、又はもっぱら公益を図る目的でないことが明白であって、かつ、被害者が重大にし て著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは、事前差止めは許される」としている(【北方 ジャーナル事件】テキストP88)。 一般私人の名誉・プライバシーの場合 …事前差止めが可能(出版させないことができる) 記事内容が 公務員または公職選挙の候補者の名誉・プライバシーの場合 原則:事前差止めは許されない(出版させなければいけない) (原則として許されないが 例外的に許される場合がある EX.裁判所の事前差止命令) Q.判例によれば、憲法 21 条2項で禁止される「検閲」とは、 〔×行政権が、表現内容等の表 現物を、発表前に審査し、不適当と認めるものの発表を禁止すること ○行政権が、思 想内容等の表現物を、発表前に、網羅的一般的に審査し、不適当と認めるものの発表を禁 止すること〕である。 ●B説(狭義説)通説 P89 公権力が 行政権が 事前抑制 表現内容を 発表前に審査して 発表を禁止すること 網羅的一般的に 検 発表前に審査し 閲 (原則として許されないが 発表を禁止すること 例外的に許される場合がある (絶対に禁止) EX.裁判所の事前差止命令) *通説の発想=網羅的(全国的)に行わず一部の地域だけ(例えば東京地域だけ)行なうのも「検閲」にあたり絶対に 禁止すべきだ。また、一般的(全国民の対象)にするのでなく一部の国民だけ(例えば政治評論家の A の原稿だけ発 売前にチェックする)を対象にするのも「検閲」にあたり絶対に禁止すべきだ。 ●A説(広義説)少数有力説 P88~89 公権力が 「事前抑制禁止の原則」というもの と「検閲禁止」というものは同じもの ●【北方ジャーナル事件】の論理 発表前に審査して 発表を禁止すること 網羅的一般的に ているが、択一対策としては、丁寧に知っておく必要はあまりない。検閲にあたり違憲とされた事件は Q.税関検査(の輸入禁止処分)は、「検閲」に〔×あたる(該当する) ○あたらない(該当しない)〕。 Q.条例で、青少年の健全な育成を阻害するおそれがある図書等を知事が「有害図書」として指 定すれば、その図書を青少年へ販売すること及び自動販売機へ収納することが禁止されると 定めることは、「検閲」に〔×あたる(該当する) ○あたらない(該当しない)〕。 Q.NHK(日本放送協会)が録音・録画した立候補者の政見放送の中の差別用語の発言の音声 を削除することは、「検閲」に〔×あたる(該当する) ○あたらない(該当しない)〕。 Q.教科書検定制度は、「検閲」に〔×あたる(該当する) ○あたらない(該当しない)〕。 Q.「映倫」が映画の封切前に内容を審査し、審査の結果に基づいて映画会社に対し削除を求める ことは、憲法の禁止する「検閲」に〔×あたる(該当する) ○あたらない(該当しない)〕。 事前抑制 である。(万国共通の名称として 「事前抑制禁止の原則」と呼び、こ 発表前に審査して 事前抑制 ∥ 「検閲」 れを日本国憲法の文言では「検閲 発表を禁止すること (原則として許されないが 例外的に許される場合がある 禁止」と書かれてあるのだ。) EX.裁判所の事前差止命令) 例外:よほどヒドイ場合(表現内容が真実でなく、又はもっぱら公益を図る目 的でないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困 難な損害を被るおそれがあるとき)は事前差止め可能(出版させないこ とができる) Q.憲法 21 条2項で禁止されている「検閲」とは公権力が行なうものすべてを指すという説 によれば、検閲は〔×例外的に許される場合があることになる ○例外として許される 場合はなく、絶対に禁止されることになる〕 。 Q.事前抑制は、例外的に許される場合〔○がある ×(絶対的に禁止される)〕。 Q.裁判所による事前差止めは、「検閲」に〔×あたる(該当する) ○あたらない(該当しない)〕。 Q.当該出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価・批判等に関するものである場合、 事前差止めは〔×(常に)許されない ×(常に)許される ○原則として許されない〕。 その表現内容が真実でなく、又はもっぱら公益を図る目的でないことが明白であって、かつ、 被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるとき、事前差止めは〔×許さ れない ○許される 〕。 - 21 - - 22 - < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > < 2011 年合格・憲法レジュメ② 担当 南 > 12.明確性の原則(テ P90.③明確性の原則) ●「より制限的でない他の選びうる手段の基準(LRAの基準)」 ⑲表現の自由を規制する立法の文言が漠然不明確だと、その立法は違憲となる(漠然性ゆえに無効の 原則) 。また、文言が明確であっても規制範囲があまりに広汎だと、違憲となる(過度に広汎ゆえ に無効の原則) 。これら両者をあわせて明確性の原則という。 「通常の判断能力を なお、文言が明確か不明確かの判断は、当該行為者を基準とするのではなく、 有する一般人の理解を基準に」判断すべきである(判例・通説)。 Q.表現の自由を制約する立法の文言が漠然不明確な場合、直ちに(それだけで)その立法は違 憲と〔○なる ×ならない 〕 。これを漠然性ゆえに無効の原則という。 Q.立法の文言が明確であるが規制範囲があまりに広汎な場合、その立法は違憲と〔○なる ×ならない〕 。これを過度に広汎ゆえに無効の原則という。漠然性ゆえに無効の原則と過度 に広汎ゆえに無効の原則をあわせて、明確性の原則という。 Q.立法の文言が明確といえるか否かは、 〔×当該行為者 ○一般人 〕を基準に判断する。 Q.ある刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法に違反すると認めるべきかどうかは、〔×当該 行為者 ○通常の判断能力を有する一般人 〕の理解において、具体的場合に当該行為がそ の適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読み取れるかどうかに よってこれを決定すべきである。 ●規制立法の文言が明確だと・・ ●「漠然性故に無効の原則」の図 立法目的 手 段 D 手 段 C 手 段 B 手 段 A EX.罰金 有期懲役 無期懲役 死刑 国会や地方議会は、何か目的があって立法を制定 するが(EX.名誉毀損行為をなくすために名誉毀 損罪を制定する)、考えられる規制手段のうち、最 も厳しくない規制手段を選んで制定すべきである。 もし、手段AやBにしなくとも手段Cで立法目的を 達成できるのなら、手段Cにすべきであって、手段A やBにしていると、その立法は違憲となる。 14.通信の秘密(テキスト P P95)*この項目はCランク。 (21)「通信の秘密」が憲法 21 条2項後段で保障されている。 したがって、公権力は私人間の電話を盗聴してはならないし、私人間の郵便物を開封してはならない。 もっとも、通信の秘密も「公共の福祉」により制約され、犯罪捜査のために盗聴(傍聴)できる場合 や郵便物を開封できる場合がある。 ●「過度に広汎ゆえに無効の原則」の 図 【表現の自由の判例知識のポイント】 表現の自由に関して最高裁の違憲判決はない(例えば、 「検閲」にあたり違憲であるとされた事 件は一つもないし、 「明確性の原則」に反するとされた事件も一つもない) 。 ただ、いろいろ「場合分け」の判例が多い。 文言が明確だと 処罰される範囲(内側の円)なのか、それとも 処罰されない範囲(外側の円)なのかが 明確となる。 そこで、国民としては、内側の円にギリギリ近 い表現まで安心して行うことができる。 文言が不明確だと、 処罰される表現(内側の円)なのか、それとも 処罰されない表現(外側の円)なのかが 不明な部分(グレーゾーン)が生まれる。 これでは国民は萎縮してしまい、グレーゾー ンに近い表現は怖くてできなくなってしまう。 文言が明確であっても、立法者が処罰 したいと意図している範囲(点線の円) を超えた広い文言(内側の実線の円) が法律に使用されてしまうと、 この場合も国民は萎縮して、文言(内 側の実線の円)の外側の表現しか行わ なくなる。 13.その他の基準(テ P91.④明白かつ現在の危険の基準⑤より制限的でない他の選びうる手段(LRA)の基準)*B~Cランク ⑳その他、 「明白かつ現在の危険の基準」や、 「より制限的でない他の選びうる手段の基準(LRAの 基準)」なども、憲法学者は提唱している。しかし、最高裁はこれらの基準はまだ採用していない。 ●「明白かつ現在の危険の基準」 国民の表現行為を極力公権力は規制すべきではない。 公権力が国民の表現行為を規制できるのは、 その表現行為が非常に危険な場合だけである。 つまり、「重大な害悪発生が切迫している場合」だけ 公権力は国民の表現行為を規制することができる。 もし、「重大な害悪発生が切迫している場合」でもないのに 国民の表現行為を規制する立法を制定すれば、その立法は その立法は違憲となる。 - 23 - ●表現の自由のダーウィン(P45 と、P53~P77)の解き方解説 ・2-3-9(P53):肢2と肢4で「およそ」という言葉が使われていますが、 「およそ」とは、 「およそ ~ない」と否定の言葉で終わっていたら“~はまったく(絶対に)ない”という意味であり、 「お よそ~である」と肯定の言葉で終わっていたら“だいたい~である”という意味です。 また、肢5は、言い切っているから×だと判断してください(解説は適切とはいい難い) 。 ・2-3-10(P55):肢1と肢2はまだ説明していない事です。置いておいてください。 ・2-3-12(P59):最高裁が「検閲にあたる」とした事件など一つもないことを思い出してください。 (2-3-14(P63))も同じです。 ・2-3-15(P65):肢1の問題文は「前科というプライバシーを侵害されても、絶対に損害賠償請求 できないと判例は言ってますよね」という意味の文章です。肢5は非常に細かく無視しておいて構 いません(繰り返して出題されるとは考えられません) 。 ・2-3-16(P67):肢2はまだ説明していない事です。まだ置いておいてください。 ・2-3-18(P71):オは細かい知識です(繰り返して出題されるとは考えられません) 。 ・2-3-19(P73): (この問題は次のページにもわたって印刷されています。 )アはテキストにも載っ ていない最近の判例からの出題です。が、問題文に「表現の自由・・の制約が合理的でやむを得な い限度を超えたとしても、憲法上許される」と書かれていること自体で「変だ」と分かってくださ い。人権に対する不合理な制約や、やむを得ない限度を超えた制約など基本的人権尊重主義の日本 国憲法の下で許されるはずがありません。 ・2-3-20(P77): (本試験では本問のように、いくつかの人権を横断的に問う問題も出題されます。 ) 肢2はまだ説明していない事です。置いておいてください。 - 24 -