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グローバルレポート 2015

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グローバルレポート 2015
郷土出身のグローバルな先輩
日本学術振興会海外特別研究員
森廣邦彦(出高 55 期)
出雲高校の皆さんこんにちは。私はおよそ 12 年前に理数科を卒業した後、1 年間の浪人生活を経
て大阪大学薬学部に入学しました。大学で学位(博士号)取得後は独立行政法人医薬基盤研究所に
研究員として 2 年間勤務し、今年の 4 月からは日本学術振興会海外特別研
究員として米国ピッツバーグ大学で研究活動に励んでいます。私の研究分
野は「核酸化学」と呼ばれ、DNA や RNA、さらにはそれらに化学修飾を加
えた核酸類縁体を医薬品などの素材として応用することを目標としてい
ます。核酸からなる医薬品は既存の薬とは作用機序が異なるため、これま
で治療の難しかった病気の特効薬になることが期待されています。
ピッツバーグ大学のシンボル「学びの聖堂」
私はもともと日本大好き人間ですので、どうしても海外で働きたい!という
強い気持ちを持っていた訳ではありませんでした。しかし、研究活動に従事し
ていくうちに、世界の研究を肌で直接感じてみたい、自分の力を試してみたい
という気持ちが強くなり、研究留学を決意しました。実際にアメリカで暮らし
てみると、自分が今までどれだけ小さい世界に住んでいたのかを痛感させられ
ました。知り合いのいない土地で生活をセットアップし、言葉や文化の異なる
環境で暮らす経験は何事にも代え難い財産になると思います。将来海外で活躍
研究室の仲間たちと(筆者は右端)
する機会が巡ってきたら是非チャレンジしてみてください。そのために
も英語の勉強は忘れずに・・・
SGH仲間!
福井県立高志高校 SGH 海外交流アドバイザー 小木みゆき
出雲高校のみなさん、こんにちは。福井県立高志(こし)高校の SGH の取り組みを紹介します。
本校の SGH テーマは「ふくい発・東アジアの発展と希望に貢献するグローバル・リーダーの育成」
です。
この夏、3 日間にわたって「グローバル・リーダーズ・キャンプ(GLC)
」
が行われました。徳島県名西郡神山町 NPO 法人グリーンバレーの大
南信也さんによる基調講演「日本の田舎をステキに変える!」で幕を
開けた GLC では、米国ハーバード大学の学生らによるワークショップ
が行われました。また、グループに分かれ「福井の課題と解決策」に
ついて話し合いました。積極的に多角的な意見を述べるハーバード生
らに見習おうと、本校生も持てる力を精一杯出してディスカッション
大南信也さんからクリエイティブな生
やプレゼンテーションに挑みました。地方創生に挑む日本のリーダー
き方を学ぶ
の考え方や生き方、世界トップレベルの大学生の思考法や表現様
式に触れ、
「人生のターニングポイントと言えるぐらいの大きな刺
激を受けた」と、3 日間を終えた生徒たちの表情は誇らしげに輝
いていました。
来年の GLC は、福井県外の SGH 校からの参加も募ります。出
雲高校のみなさんも是非、刺激いっぱいの GLC に参加してくださ
ハーバード大の学生から多角的な分
析力と表現力を学ぶ
い。お待ちしています。
郷土出身のグローバルな先輩
特別編
国際機関勤務
三井 暢子(在フランス)
米国大学に留学をした時に、世界の大きさを知り、異文化の違いに衝撃を受け、更に多くの知識を得て世界を知りたい、
と思うようになりました。その後、通訳、プライベート銀行、公務員などの職を経た後、フランスで仕事をする機会があ
りました。
私が住んでいる場所は、国連欧州本部のあるスイス・ジュネーブ近郊のフランス領です。ジュネーブには国際労働機関(ILO)
の本部があります。ILO には三者構成として、政府、使用者、労働者の代表の枠組みがあります。その枠組みの中で、世
界の労働者の権利を守るために政策とプログラムを決定します。私は労働者側の諮問委員会でもある国際的な団体の組織
で働いています。世界の誰もが公平、自由、保障があり、安心して人間らしい生活が営めるよう、ディーセントな労働の
機会を得るために、国連組織などと提携して様々な活動をしています。ジュネーブ近郊に本部を構え、世界中に地域、小
地域事務所があります。仕事上の言語は英語とフランス語ですが、国際会議では公用語である 7 か国語の同時通訳によっ
て会議を行います。世界各国の人々と異なった言語、文化、習慣、考え方の中で仕事をすることは想像以上に大変なこと
も多くあります。たとえ言語が堪能な人であっても、相手の国の歴史、文化背景、社会情勢を知ら
なければ、相手が何を伝えようとしているのか理解し難いこともあります。一つの単語でも、相手
の国や文化によっては、いくつか異なる意味を持つ場合があります。また、一つの言葉で人の心を
動かし、人の生き方を変えることもできます。そして、世界を変えることにも繋がるのかもしれま
せん。お互いの文化や人種の違いを認め受け入れていくこと、相手に対して「思いやり」の心と「尊
重」する姿勢があれば、相手との距離を縮め、より良いコミュニケーションを築いていけるのでは
ないでしょうか。
国際会議という場では、世界中で起きている様々な課題について、世界の参加者と共に討議し改
善策を見出していきます。近年では環境、気候変動、紛争、疫病の蔓延、経済不況、雇用、自然
ILO は第一次世界大戦後、労働問題
を解決することが世界の平和に繋
がる、ということで 1919 年に設立
されました。
災害、移住など多くの問題が山積しています。例えば、自然災害により、救急活動に携わったファーストレスポンダー、
救急隊員、関係者の多くが犠牲になっています。また、エボラ出血熱患者を看護した結果、感染して亡くなってしまった
医療関係者も多くいます。そして、亡くなった保健労働者には社会保障が適用されず、その家族も貧窮に陥っているとい
う状況です。特に最近では紛争により住む家を失い、保護を求める難民や移民が増え続けてい
ます。そのためにも、世界各国が責任をもって難民を保護し、受け入れる体制を作っていくこ
とが大きな課題となっています。世界の人々が安心して生活できるために、人権を擁護し、働
く場所を提供し、雇用条件や労働環境を整え改善していくことは重要なことです。
「世界を見る、知る」ということは、
「日本を知る」ことにも繋がります。グローバルな視点か
ら物事を見ていくと、日本の良き点、改善すべき点なども気づいていくことができます。世界
に一歩を踏み出し、他国の良い点を学び、吸収し、そして、その経験はいつか日本の平和、そ
国連欧州本部
して世界の平和に繋げていけるのではないでしょうか。出雲高校の皆さん、思い切って一歩を
踏み出して世界を見てみませんか?たとえ小さな一歩でもい
いのです。貴方しか持っていない、貴方らしい良き個性を大事
にし、そして、世界の何処かで生かされる機会を作ってみてく
ださい。
国連欧州本部前に設置された「壊れた椅子」
地雷に抗議するためのオブジェです。現在、
問題視されている EU 諸国による難民危機
への対応に深く失望する人たちの抗議活動
です。
「壊れた椅子」の下で雨宿りをしなが
ら抗議活動を続けている人々の様子です。
モンブランの山々
自宅から撮影したシャモニー、モンブランの山々
です。車で 1 時間程度の場所に位置しています。
世界中から多くのスキー客も訪れる人気の観光
スポットです。
ジュネーブの大噴水(ジェドー)140 メートルの高さのあ
る大噴水でジュネーブのシンボルとなっています。
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