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広葉樹スキー
トピックス 【人工林の世代交代と 森林資源の循環利用促進】 当管理区では、高齢化した人工林の世代交代と森林資源の循環利用を推進するため、11の 小流域について約2万haを木材等生産林(水源涵養林との重複)に設定しました。木材等 生産林に指定したゾーンの 半分が人工林です。これら の人工林においては、周辺 林分の状況を考慮しながら、 主伐時に一伐採面の上限を 5haとする単層林施業も 導入し、高齢級に偏重した 齢級構成の解消と人工林 資源の有効利用を適確に 進めていきます。 ○ 士別小流域(士別市) 天塩川左岸に位置する小流域で、小流域の東には天塩川が迫り、北部は「朱鞠内道立自然公園」 に接します。下流には大小複数の農業用貯水池があります。小流域は比較的なだらかな丘陵地帯で、 古くから人工造林が行われ小流域の約6割が人工林となっています。小流域内には「ミズナラ保護 林」や、区域の天然林の「目標林」(広葉樹林分)、開拓の頃から地域の山で働く人たちに「山の 守り神」として崇められてきた「祖神の松」があります。 「ポンの沢貯水池」 ○ 「ミズナラ保護林」 「祖神の松」 風連小流域・名寄小流域(ともに名寄市) 天塩川左岸側に位置し、幌加内町に接する地域以外はなだらかな丘陵地です。山裾には畑や牧草 地が広がり、地区の営農用水をまかなう「西風連ダム」(風連小流域直下)や取水施設(名寄小流域 内)があるなど水資源保全への配慮が特に重要です。風連小流域は、民有林林道「四季の丘線」が 横断し、山菜シーズンには入林者が多い小流域です。また、名寄小流域の「弥生のミズナラ」や 希少な「エゾマツ高齢級人工林」、「名寄峠」からの眺望は一見の価値があります。 民有林林道「四季の丘線」 「弥生のミズナラ」 - 13 - 「名寄峠」からの眺望 ○ ピヤシリ小流域(名寄市) 天塩川右岸の小流域で、冬季に観測される「サンピラー現象」で有名な名寄市北部の「ピヤシリ山」 西側に位置します。小流域の一部は天塩川及びJR宗谷本線に隣接します。文化財記念物(名勝) に指定された「九度山」山頂付近の岩崖(ピヤシリ小流域内)は、直下に「名寄ピヤシリスキー場」の ゲレンデが広がります。小流域を流れる吉野川(天塩川支流)の中流域には「比翼の滝」や「晨光 の滝」などの景勝地があるほか、山菜採りや渓流釣り目的の入林者も多い地区です。 「九度山の岩崖」と名寄ピヤシリスキー場 ピヤシリ小流域の遠望 「比翼の滝」 ○ 仁宇布川左岸小流域・仁宇布川右岸小流域(ともに美深町) 両小流域は、天塩川の支流仁宇布川を囲むように位置します。地区内には、平成の名水百選の ひとつ「仁宇布の冷水と十六滝」や「松山湿原」などの名勝・観光資源があり、例年多くの人々が 訪れます。小流域の森林に抱かれる美深町仁宇布地区は、牧草地や白樺林からなる牧歌的な風景や 旧美幸線跡地を活用したトロッコなどの観光資源を持ち、道有林と一体となって地区の特色を 形作っています。また、一部の林班は生活用水の水源地となっています。 当小流域の森林は、かつてエゾマツやミズナラなどの優良天然木を多く産出し、面積では現在も 天然林が大部分を占めます。100年前の森林の姿を今に伝える「仁宇布原生保存林」や「仁宇布針葉樹 保護林」では、貴重な老齢林が保全されるとともに天然林の林相遷移を伺い知ることができます。 また、区域の天然林の「目標林」(針葉樹林分・針広混交林分)が設定されています。 人工林が集約的に立地する一部の林班は木材等生産林ゾーンなっており、観光資源でもある景観 等に配慮しながら人工林資源の持続的・循環的な利用を進めます。 「仁宇布の冷水」 ○ 「松山湿原」 「仁宇布原生保存林」 吉野小流域・パンケ小流域(ともに美深町) 天塩川右岸に位置する小流域です。吉野小流域を流れる十号の沢(仁宇布川支流)には美深町上 水道の取水施設があるため、水資源保全への配慮が特に重要です。パンケ小流域は、ヤマベの資源 保護水面であるパンケ川(天塩川支流)が流れ、枝幸町へ抜けるスーパー林道が縦断します。町界 の「加須美峠」付近は初夏のシーズンに山菜採りのための入林者が多い地区です。 パンケ川上流部 標高500m地点の天然林 - 14 - ○ 望の森小流域・川西小流域(ともに美深町) 天塩川左岸に位置する小流域で、山裾には畑や牧草地が広がります。川西小流域の一部は天塩川 に隣接しています。望の森小流域は、美深町中心部の西側に位置し、「桜まつり」や小中学生の 森林学習などに通年で利用されるほか、町民憩いの場として日常的に親しまれています。川西 小流域には「広葉樹二次林保護林」が設定されています。 「森の演奏会」 ○ 「カミネッコン」による植樹 遠望…山裾の農地と天塩川 ラフマニウシエナイ小流域・玉川-報徳小流域・オグルマナイ川小流域(ともに美深町) 天塩川左岸に位置する小流域で、山裾には畑や牧草地が広がります。ラフマニウシエナイ小流域 とオグルマナイ川小流域の一部は天塩川に隣接し、両小流域の東側を南北に走る国道40号線沿線 には、「道の駅」や「美深温泉」、「森林公園」などが整備されています。玉川-報徳小流域は、下流 に地区の生活用水をまかなう取水施設やヤマベの養殖場があり、水資源の保全への配慮が特に必要 な小流域です。また、区域の天然林の「目標林」(広葉樹林分)が設定されています。玉川-報徳 小流域の一部とラフマニウシエナイ小流域は、「モンポナイ森林技術研修の森」に設定され、各種 研修会等での活用のほか、低コスト施業を目指した「コンテナ苗」の植栽や、天然更新木を活かした 人工林施業などの実証的な取組が行われています。 249林班「目標林-広葉樹林分」 コンテナ苗の植え付け 「カラマツとウダイカンバの混交林(人工林)」 トピックス 【森林施業の低コスト化の推進(コンテナ苗の植栽試験)】 当管理区では、平成24年10月に道内の民有林では 初めてとなるコンテナ苗の植栽試験に取り組んでいます。 伐採作業の機械化が進み森林施業の低コスト化が着実 に進められているなか、人力作業が中心の植え付け作業 は、森林施業の中で最も費用が掛かり作業コストの縮減 が課題とされています。 森林資源の循環を適確に進めていくため、(地独)林業 試験場、北海道山林種苗協議会と連携しながら、植栽作 業コストの低減効果を実証していきます。 コンテナ苗(グイマツ) - 15 - ○ ペペケナイの沢小流域(美深町)・咲来小流域(音威子府村) 天塩川右岸の小流域で、道有林上川北部管理区の最高峰「函岳」の西側に位置します。函岳を頂 とする両小流域の境界は美深町と音威子府村の町村界でもあり、下流域には畑や牧草地が広がり ます。ペペケナイの沢小流域を源流とするペペケナイ川は地区の上水道・農業用水として利用されて います。函岳山頂付近は鳥獣特別保護地区に指定されており、両小流域が複数の支流河川の源流域 でもあることから、生物多様性及び水資源の保全への配慮が特に必要な小流域です。 下流域に広がる畑や牧草地 ○ 地区の最高峰「函岳」(標高1,129m) パンケサックル川小流域(音威子府村) 天塩川右岸の小流域で、音威子府村市街地を取り囲む位置にあり、国道40号線やJR宗谷本線 などと隣接しています。道有林内には村営の「音威富士スキー場」や「全日本公認クロスカントリー スキーコース」が整備されており、スキー場周辺は音威子府村の健康ゾーンに位置付けられて います。また、音威子府村の水道取水施設があるなど、地域住民の生活と密接に関わっており、 水資源保全や景観への配慮が特に必要な小流域です。 音威富士スキー場から音威子府市街地を望む ○ 「パンケサックル川小流域」遠望 温泉の沢小流域(音威子府村) 天塩川左岸に位置し、道有林内の湧出水を泉源とする「天塩川温泉」の後背部に広がる小流域 です。小流域の一部は天塩川に隣接しています。多目的保安林として整備された「天塩川温泉 防災の森」からは、地域の最高峰「函岳」が遠望できます。また、小流域内には地域の「守り神・ シンボル」として住民に崇められてきた「天仰の松」があります。 「温泉の沢小流域」遠望 「天塩川温泉」裏の森林と天塩川 - 16 - 天仰の松 ○ モノマナイ小流域(音威子府村) モノマナイ小流域の北部は、音威子府村市街地から西へ大きく方向を変える天塩川に隣接し、 山裾の直下には国道40号線が通っています。小流域の中央をモノマナイ川(天塩川支流)が流れ、 蛇紋岩地帯の峰沿いは一部が天然アカエゾマツ純林となっています。小流域内には「物満内アカ エゾマツ保護林」と「物満内 広葉樹保護林」が設定されています。天塩川及び国道に隣接すること や特殊な地質・地形条件から、種々の配慮の必要性が特に高い小流域です。 「物満内アカエゾマツ保護林」 ○ 「初冬のアカエゾマツ保護林」 神路小流域(中川町) 神路小流域の北部は、西へ山間を蛇行する天塩川に隣接し、山裾の直下には国道40号線が通って います。天塩川の支流「オカボナイノ沢」左岸に位置し、小流域内には「カツラの群生地」が確認 されています。全域が特別鳥獣保護地区及び鳥獣保護区に指定されており、生物多様性保全の 必要性が特に高い小流域です。 流域にはカツラの大木が保全されている 幹周り3mのカツラ - 17 -