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Maharaコミュニティにおける i18n
第5回Maharaオープンフォーラム(MOF2014)@広島修道大学 2014年9月28日(日) Maharaとルーブリックによる eポートフォリオの効果的な活用を考える 畿央大学 教育学習基盤センター 特任助教 法政大学 情報メディア教育研究センター 客員研究員 宮崎 誠 [email protected] アウトライン • ルーブリックプラグイン開発の経緯 • ルーブリックプラグインの開発 • 学生の学習到達度評価に基づいた授業改善 サイクル実現のためのシステム開発 • おわりに ルーブリックプラグイン開発の経緯 OSP と Mahara Balancing the Two Faces of EPortfolios ワークスペースとショーケース eポートフォリオの二面性 利用する目的 ワークスペース 学習成果物を蓄積し,そ れを活用した学びの振り 返りを行う.インストラ クターや他の学生からの フィードバックによる 学習の深化等に 利用 ショーケース 学生が学習の成果を 自己アピールするため の作品として、誰かに 見せること(公開する こと)を前提に作成 する eポートフォリオ開発プロセスの3段階 Level 3 •公開することを前提に掲載 するデータの選択を行い, Level 2 •ブログなどを活用し,デー タと一緒に省察やフィード Level 1 •学習の成果物としてデジタ ルデータをシステム上に集 バックのコメントなどを記 テーマ性のある作品として eポートフォリオを作成す る. 録する. めて,保存する. ワークスペース ショーケース Barrett, H. C. (2009), Balancing the Two Faces of ePortfolios (参考)eポートフォリオによる 学習活動とツールおよび機能の比較 活動 Lv.3 Lv.2 ツール/機能 学生 教員/学生 Sakai OSP 提示 評価 (学習の総合評価) ポートフォリオ, Mahara ポートフォリオテンプレート 目標 (ゴール) フォーム,マトリックス, 選択/省察 (回顧的) フォーム,マトリックス, 省察 (即時的) 収集 ウィザード ウィザード フィードバック (学習のための 形成的評価) フォーム,マトリックス, ウィザード リソース,フォーム ページ レジュメ,プラン ページ, テキストボックス 日誌,ページ ファイル,外部フィード, 外部ビデオ, Google Apps Lv.1 収集 リソース,フォーム eポートフォリオシステム評価 外部ビデオ, Google Apps http://repo.lib.hosei.ac.jp/handle/10114/6867 (参考)ポートフォリオ 作成過程における活動の評価のまとめ • Sakai OSP, Maharaともにすべての活動を実現できる • Sakai OSPは,Level 1からLevel 3の活動をフォームと マトリックス(ウィザード)だけで実装できる • 教育工学の知見により設計されている • そのためマトリックスを使った学習活動そのものが eポートフォリオ作成の過程に合致している • Maharaは,eポートフォリオとして扱えるコンテンツ の種類が豊富である • 日常的に活動を記録し,共有する際には,Maharaの日 誌(ブログ)が便利である eポートフォリオシステム評価 http://repo.lib.hosei.ac.jp/handle/10114/6867 (参考)まとめ • Maharaは,収集したコンテンツを公開するショーケース 機能が有用である • 学生は,集めたコンテンツの中から選択して自由に, そして比較的容易にページを作成することができる • 作成したページは,グループで共有する,外部に公開 するといった活動が比較的に容易にできる • ユーザフレンドリーな操作性や,システム管理者負担の少 なさにより,システムを導入する敷居は低い eポートフォリオシステム評価 http://repo.lib.hosei.ac.jp/handle/10114/6867 Rubric for measuring e-Portfolio literacy 出典: Jill D. Jenson & Paul Treuer, 2014, "Defining the E-Portfolio: What It Is and Why It Matters", Change: The Magazine of Higher Learning 省察(リフレクション) 省察を山登りに例えると,自分の現在地と山頂までの経路を 確認しつつ,登ってきた経路を振り返ること. 山頂(目標)までの道のりがわからず,登ってきた経路(学習履歴) もわからなければ,自分の現在地(学習到達度)が把握できずに 遭難してしまいます(上手く振り返ることができない). ルーブリック ルーブリックは,山頂までの経路を指し示す立て看板あるいは 地図のようなもの. MAP 学習目標としてスキルやコンピテンシー等(山頂)を定義し,学習の学 習到達度をいくつかの段階(山頂までの道のり)で表す.到達度の判断 基準は,それぞれの段階の詳細な記述語により判断できるようにする. eポートフォリオの6つの分類 • アセスメント・ポートフォリオ(assessment portfolio) • スタンダードや期待,成果,目的との関係により,その達成具合 を評価するためのeポートフォリオ • プレゼンテーション・ポートフォリオ(presentation portfolio) • 専門性の育成や個人的な学習成果や達成について表明するための eポートフォリオ • 学習ポートフォリオ(learning portfolio) • 学習プロセスにおいて,学習者が文書化したり,学習を振り返っ たり,学習を誘導するためのポートフォリオ • PDP(personal development portfolio) • 専門性の育成や自己成長,就職活動に関連するeポートフォリオ • 共有ポートフォリオ(multiple owner portfolio) • 複数の所有者によって共有されるeポートフォリオ • ワーキング・ポートフォリオ(working portfolio) • 個人による学習と成長に関する複数のタイプのeポートフォリオ を組み合わせたもの Stefani, Mason, and Pegler (2007) ポートフォリオと5W1H 学習ポートフォリオ • やりっ放しにしないで,学習を省察(リフレクショ ン)して深く学ぶため いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、 なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How) • 形成的に(継続的・定期的)に,(大学等で),学 生が,学習を,深く学ぶために,学習を省察する ポートフォリオと5W1H ショーケース(プレゼンテーション)ポート フォリオ エビデンスを示して学びの成果の自己アピールに利 用するため いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、 なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How) • 総括的に,(大学等で),学生が,自分の能力を, 選考や応募の自己アピールために,エビデンスを示 す ポートフォリオと5W1H アセスメントポートフォリオ 形成的/総括的に,(大学等で),学生/大学等が, 学生の学びの到達度を,確認するため,ルーブリッ ク等を使って評価する いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、 なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How) • 形成的に(継続的・定期的)に,(大学等で),学 生が,学習を,深く学ぶために,学習を省察する ※学生がアセスメントポートフォリオで学びの到達度を確認して,省察すること を「学習のための評価(Assessment for Learning)」,大学が学生の学びの到 達度を確認することを「学習の評価(Assessment of Learning)」と区別される. 学習コミュニティとしての eポートフォリオ 学習コミュニティとは,同じ学習目標を共有する 実践共同体のことであり,その活動のためのシス テムとしてeポートフォリオの一面がある. 学習に関する知識交流や協調学習などを通じて, 知識を共有する.知識レベルの違う学習者が共通 の目標に向かって学習しているため,学習者同士 の学び合い(ピアラーニング)が期待できる. ただし,教員やTA等,コミュニティの中でのファ シリテーターとしての役割も重要. ルーブリックプラグインの開発 本研究は文部科学省「平成24年度グローバル人材育成推進事業 (タイプB:特色型)」の助成を受けたものです。 文部科学省「平成24年度 グローバル 人材育成推進事業」 目的 グローバル人材育成推進事業は,若い世代の「内向き志 向」を克服し,国際的な産業競争力の向上や国と国の絆 の強化の基盤として、グローバルな舞台に積極的に挑戦 し活躍できる「人財」の育成を図るため,大学教育のグ ローバル化を推進する取組を行う事業に対して,重点的 に財政支援すること 審査項目 グローバル人材像および卒業・修了時に学生が 修得すべき具体的能力について明確に設定すること 法政大学 グローバル人材像:グローバルリーダー グローバル人材育成推進事業の達成度を 評価するために 目標(goal) スタンダード(standard) 期待されるもの(expectation) コンピテンシー(competency) 目的(objective)など これらの基準が達成されているかどうか エビデンスを示すことで能力獲得の評価が可能 →人材育成・教育の質を保証 Maharaにルーブリック機能を開発 主な開発スケジュール 1月 1-10 プロジェクト キックオフ 11-20 2月 21-31 1-10 11-20 3月 21-28 1-10 4月 11-20 21-31 1-10 ★ システム設計 ・要求仕様確認 (基本設計) システム開発(Ajile) ・サーバ構築 ・Maharaカスタマイズ,プ ラグイン開発(プロトタイプ) QA ・プロトタイプレビュー ・結合テスト,負荷テスト ★ ★ ドキュメント ・ドキュメント作成 検収 サービスイン ★ ★ システム構成 学外レンタルサーバ メインサーバ,バックアップ・検証サーバの2台にCitrix Xen Server にてVMを構成 メインサーバ Fujitsu RX200 S7 CPU: Xeon 8Core 2.60GHz x 1 MEM: 32GB HDD: 600GB SAS x 8 (RAID 1+ 0) 実効 2.4TB 回線: 30MB占有 その他: 冗長電源 AP, DB ファイル バックアップ・検証サーバ Fujitsu RX200 S7 CPU: Xeon 8Core 2.60GHz x 1 検証系 AP, DB ファイル MEM: 32GB HDD: 600GB SAS x 2 (RAID 1) + SATA 1TB x 4 (RAID 1 + 0) 回線: 10MB占有 その他: 冗長電源 開発の方針 シンプルなUI(言語ファイルの修正含む)および 機能に制限 モバイル表示への対応 ページのテンプレート機能とコピー機能 ルーブリック機能 学内の2つのMaharaを統合し,移行 ルーブリックアーティファクト (ユースケース) Mahara 教員 ルーブリックを 登録する ルーブリックを 作成する 学生 自己評価 する サポート スタッフ ルーブリックプラグインの開発 目的 学生の自己評価および相互評価 語学試験の到達度管理 特徴 同一ルーブリックの時系列による管理が可能 CSVファイルによりルーブリックのテンプレートを登録 する(IMS Rubric Specificationがあるが取り扱いにく い→CSVファイルだとExcelにフォーマットにフォー マットを用意することも可能) ルーブリック(時系列なし) レベル スキル ルーブリック画像: http://www.rche-kanazawa-u.jp/news/2012/201207_411.html ルーブリック(時系列あり) 時系列 レベル スキル ルーブリック画像: http://www.rche-kanazawa-u.jp/news/2012/201207_411.html 学生の学習到達度評価に基づい た授業改善サイクル実現のため のシステム開発 本研究はJSPS科研費 26730177の助成を受けたものです。 学習成果に基づく教育課程の体系化 授業改善サイクルフレームワーク 学習のための評価の学習の評価 ポートフォリオを活用して,誰が(Who),何を(What),なぜ(Why) 何のために評価するのか明確にしておく必要がある. Assessment for learning 学習のための評価 Assessment of learning 学習の評価 学習者と合意された目的 規定された目的 学習者によって選ばれた、フィー ド バックのあるアーティファクト 外部で利用するために管理され、 点数付けされたアーティファクト 学習者によって整理される 教師によって整理される 形成的(現在から未来) 総括的(過去から現在) 学生中心 組織中心 内発的動機づけ 外発的動機づけが要求される 構成主義 実証主義 出典: Barrett, H. 2004. “Electronic Portfolios as Digital Stories of Deep Learning” 自己評価と授業評価 Assessment for Learning Assessment of Learning 開発予備実験 目的 授業改善サイクルの実証実験 対象科目 ゼミ科目の1年生から4年生の計11名 方法 1. 対象授業のルーブリックを作成する 2. Maharaのルーブリックにて学生が自己評価する 3. データベースからルーブリックでの自己評価の 得点をエクスポートする 4. Excelで学習目標とする得点と学生の自己評価の 得点を分析する 5. 改善点について検証する メディアと異文化対話ルーブリック 自己評価結果(概要) 自己評価得点内訳 自己評価結果(個人別) n=11 開発予備実験まとめ ルーブリックを作成し,自己評価に活用す ることで教員および学生自身が個別の学習 達成度を把握できる 自己評価の低い項目を分析することで,授 業改善に役立てられる可能性を確認するこ とができた 今回は授業改善サイクルを1回まわしたとこ ろであるが,今後,2回,3回とまわすこと でより学生が学習目標へ到達できる授業に 改善していけることが期待できる まとめ 教育課程の体系化を行い,ルーブリックによるア セスメント・ポートフォリオによる教育の質保証 が可能 学習目標を基準としたルーブリックにエビデンス として整理できるフレームワークが確立できる Mahara でルーブリックによる評価活動や振り返 りを可能にする独自プラグインを開発 蓄積された学習成果物を使った新しい学習活動(省 察や自己評価,相互評価,他者評価,ショーケース ポートフォリオの作成)にも展開可能 ルーブリックプラグインの機能 アーティファクトプラグイン コンテンツメニューにルーブリックが追加される ルーブリックテンプレートの登録は管理者のみ 複数枚のルーブリックを重ねて登録可能 時系列 基礎科目と演習科目 自己評価に振り返りとエビデンスを紐づけて登録可能 ブロックプラグイン ページの編集画面にルーブリックによる自己評価を追加 表示形式を選択可能 テーブル形式,レーダーチャート,折れ線グラフ ルーブリックプラグインの制限 自己評価の得点のエクスポート機能 学生の自己評価結果の表示機能 ルーブリックによる相互評価やフィー ドバックには未対応 今後の開発にて実装をすすめる予定 オープンソースにするのでどなたか開発 してくださーい ePでルーブリックの利点 自己評価の得点を大人数であっても集計して分析できる 振り返りとエビデンスをルーブリックの自己評価項目と紐 付けて登録できる エビデンスはファイルに蓄積したものから選択可能 エビデンスにはさまざまなメディア形式が利用可能 ただただ蓄積していくだけのアーティファクトをルーブ リックによって整理 アウトカムに紐づけて科目横断的にアーティファクトを整 理することでKnowledge Integration(知識統合)の促進 が期待できる おわりに 教育システム導入チャート 教育効果 高 低 ★ ★ 運用 ★ ★★ 展開 試行 ★ 少 多 ユーザ数 eポートフォリオで効果的な授業を実践 するには (当然のことながら)システムを導入しただけで学生が勝手に 使ってくれるというものではない! 授業 設計 この両輪がしっかり 噛み合うことが大事! eポート フォリオ 学生の学び を促進, 教育効果の eポートフォリオ×授業設計 =学生の学びを促進、教育効果の向上 向上 プラグインは10月1日公開 法政大学情報メディア教育研究センター ホームページに 掲載予定 http://www.media.hosei.ac.jp/ ver.0.8betaとして公開 今後,教員による学生の自己評価結果の表 示と自己評価の得点のエクスポートを実装 してver.1.0にしたい 相互評価とフィードバック機能はver.1.0よ り後の開発