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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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<資料・研究ノート>東南アジアの気候の特性について(2)
: ラオス・タイ・マレーシア・シンガポールの大雨
中島, 暢太郎
東南アジア研究 (1975), 13(2): 308-336
1975-09
http://hdl.handle.net/2433/55814
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
東 南 ア ジア研 究
1
3巻 2号 1
975年 9月
東南 アジアの気候 の特性 について (2)
ラオ ス ・タ イ ・マ レー シ ア ・シ ンガ ポ ー ル の 大 雨
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月か ら翌年 1月 までの東南 ア ジア各 国の旅行 において著者 が集 めた資料 の解析結果
は フ ィ リピンの大雨 につ いて は既 に発 表 した 1)が,今 回は ラオス, タイ, マ レー シア, シンガ
ポール の資 料 につ いて解 析 した結果 を報告す る。
この地方 は,南北両半球 の貿易風 とその間 の収束帯 (
I
TCZ)および赤道偏西 風 の相互 関係 と
モ ンスー ン,熱帯低気 圧 および複雑 な地 形 が, 空間的に も時間的に も変化 の激 しい天気状況 を
もた らす ことで特色づ け られて い る。
*京都大学防災研究所
308
中島 :東南 ア ジアの気候 の特性につい て (2)
この地方の気候特性 については地理学 者や気候学者 によ って早 くか ら記述 されて いたが, 冒
)が は じめ
本で総合的にかつ気象力学 的見方を強めて論 じたのは 小笠原和夫 の 「南方気候論 」2
てで あろ う
。
ビャ- クネス らによ って開かれた近代気象学 の方法論 を吸収 した フィ リピンのデ
ッパ ーマ ンに師事 した著者 が詳 しく論 じてお り,また豊富な図表が示 されて い る。資料 の少 ない
この時代 によ くま とめた ものだ と感心 させ られ る
。
ただ, その中で気 にかか るのは熱帯低気圧
が イ ン ドシナ半島を横切 って西進す ることはほ とん ど不可能 と して い る ことで ある。最近 の資
料で は秋か ら初冬 にか けて のか な りの熱帯低気圧が南 シナ海か らこの半島を横切 ってベ ンガ ル
湾 に抜 けてお り, またその雨 が タイや ラオスに とって貴 重な水資源 とな って いる。 もう一つ は
モ ンスー ンによ る雨が広域持椀的で台風 による雨 だ けが集 中的で あるとい うよ うな印象 を受 け
ることで ある。 日本で も近年集 中豪 雨の メカニズムがは っき りして きたが, この地 方で もモ ン
スー ン中にメソ気象現 象に よる集 中豪雨 が頻発 して い る。
比較的最近で は畠山久 尚監修 の 「アジアの気候 」が あ り,外 国で もラメ- ジなどのモ ンスー
ンに関す る成書 が刊行 されてい る。 イ ン ドごはモ ンスー ンといえば夏 のモ ンスー ンの ことで あ
り, タイで も夏 のモ ンス- ンが主体で あ るが, マ レー半島に くると特 にその東岸では冬 のモ ン
スー ンが主役 とな ってい る。 マ レー半 島付近 は赤道 に近 いため地球回転 に よるコ リオ リカが小
さ くな り,等 圧線 によ って風を知 ることがで きず, また運動を支配す る力が高緯度 と異 な るた
め気 象力学 の適用がむつか しく,現在で も雷雨予報 や大雨 予報 にかな り苦労 してい る。 しか し
気象衛星等裏が得 られ るよ うにな って天気解析がか な り楽にな って きたo近 くこの付近 に静止
衛星が打 ち上 げ られ ると, この付近 の著 しい天気 の 日変化の様 子が さ らに詳 しくわか るよ うに
な るで あろ う。 この地 方は農業や林業 の 占 める割合 が多 く,気 象学 的研究 も水資源 や水収支 の
問題 と組 み合 わせて考 え ることが早 くか らなされて いた。東 南 アジア研究 セ ンターで も1
9
6
6
年
にモ ンスー ンアジアの水資源 に関す るシンポジウム3)が開かれ,土 木,農業 など多方面か ら集
中的に論 じられた。 また久馬は降水 と蒸発 の相対関係 を水収支 の立場か ら数値的に表現す る方
法 を開発 して新 しい 気候区分につ いて論 じた 。4) さ らに関 【
二15) は植物 に 対す る水収支 の影響 を
論ず るためには降水 や未発 だ けで はな く, 日射 や気温が植物 の水分消費に及 ぼす影響 を無視す
るわ けに行かない ことを指摘 し,降水 が多 く, 日射が大で あれば植物 は生 育す るとは簡 単にい
えない ことを量的に示 した。
近年,地球 の寒冷化,異常気象 の増 加な どが強調 され, それに呼応 して世界 の水資源 ・食料
の不足や人 口問題が クロー ズア ップされて きた。 このよ うな見地 か らのモ ンスー ンアジアの気
候 の総合 的な研究 の一つ と して吉野 6) らの研究 グループの成果 が ある。
臓亨
で これ らの降雨特性 の生ず るメカ
この報告では次の第 I
l節 で降雨特性 を明 らか に し,第 Ⅰ
ニズムにつ いての今 までの研究成果 を総合的批 判的に論 じ,第 Ⅳ節では この報告 の主 目的で あ
る, この地方 の降雨 の変動 についての解析結果 を述べ る。
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東 南 ア ジア研究
1
3巻 2 号
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東南 ア ジア研 究
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1
3巻 2号
状
況
タイのマ レー半島部 を除 く大部分 は西 ,北,東 の三方 を山にか こまれて いて,南 方 だ けが シ
ャム湾 に向 けて開 いて い る
。
したが って南か ら暖湿気流 の入 りやす い夏季 が 雨 季 と な って お
り,表 1に示 され るよ うに大部分 の ところでは 9月 に最多雨月 とな って い る
しか し図 1によ
。
angRaiで
るとタイの最北部 の山岳地域 の Chi
は 8月 が最 多雨月 とな って い る
。
図 2の ラオ ス
の月降水量 の年変化 を示す図で も,山岳 部近 く
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な りの降水 があ るのは熱帯低気圧 が南 シナ海か
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化 に富んだ降雨状況 を示 して い るO 表 1にみ ら
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t以上)
。図中番号は表 1の地
名の番号
00線上
う面 白い降雨状況 を示 して い る。 北緯 1
1
7
) は 8月 の月 降水 量
の西岸 にあ る Ranong (
が 800mm, 年 降水 量 4500mm 以 上 とい う多
雨地 点で あ る。 その南 わずか 150km ぐらいの
島にあ る Phuke
t(
1
8
)では年降水 量 が Ranong
の約半分 で最 多雨月 も 9月 にお くれて い る
。
そ
れ とほ とん ど同 じ緯度 の東岸 に あ る NakhonSi
Thammar
at(
1
9
)で は両者 の距離 も 100km あ
31
2
図 2 ラオス各地の月降水量の年変化
中島 :東南 アジアの気候の特性について (2)
ま りで, 間には標高 600m ぐらいの孤 立峯が あるだけで 降雨状況 はす っか り異 な って い る。
すなわ ち,最多雨月 は北東 モ ンスー ンの 1
1月で あ り, 最少雨月 の 2月 も 75mm もの降雨が あ
る。 ここの年 降水量は 2500mn を こえてい るが, そのわずか 1
00km ほ ど南の同 じ東岸 にあ
a(
20
)では年 降水 猛が約 2000mm で, 年変化 の傾 向はだいたいおな じで あ るが,
る Songkhl
各月 ともす こ しずつ少 雨 とな ってい る
。
しか し,マ レー シアに入 って北東岸 の Kot
aBhar
u にな ると年 降水量 は再 び増 えて 2800mm
に近 くな る。年変化 の様子 は上 の 2カ所 とだいたい同 じで あ るが,各月 とも多雨で特 に1
1月は
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%確率雨 量分布 図 (
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3
1
3巻 2号
東南 ア ジア研究
650mm を こえ, タイ西岸 の Ra
nongの 8月 の 800mm に近づいてい る。 Si
ngapor
eでは 年
降水量は 2
400mm 近 くまで減少 し,最多雨月 は 1カ月お くれの1
2月 (
280mm)とな り 1月か
ら 8月 まで は Ko
t
aBhar
uよ り多雨である
.
月です っか り様子が異 な ってい る
。
月降水量の年変化が きわ めて少 な く最少雨月 も 7
マ レー シア南 西部の首都 Kua
l
aLumpurは 二 山型の年変
299・
4mm)と1
1月 (
277・
6mm)にあ り,最少雨月は 7月 (
1
30.
4
化 を してお り,最多雨月 は 4月 (
mm)と 2月 (
1
69・
7mm)にある。Si
ngapor
eに も多少 は二 山型の 傾 向が あ るが 北東 モ ンスー
ンの影響が強 く出てい る.Kua
l
aLumpurは赤道地方特有 の二 山型 がよ りは っき り出ていると
い って よか ろ う
。
表 1か らもわか るよ うに, この地方で は 降水量の年 による 変動が激 しいた
め,乎年降水量を計算 す る際に算術平均をす ると, とび抜 けて多雨 の年 の影響が大 き く出る
。
したが って表 1に示 した平年降水 量 よ り多雨の年のほ うが少雨の年 よ りも少 な くな る。 このた
め この付近 の降水量の 目安を得 るためには確率雨量を用 い るほ うが便利 だ と考 え られ るよ うに
な りい ろいろの計算 が なされて い る。
アメ リカの NOAA7
)では この種 の統計 を広域 にわた って行 な って い るが 図 3にはその報告
書か ら 7月 と1
2月の80%確率 の月降水量分布図を示 した。これは,1
0
0年 の うち8
0年 は この図に
示 されて い る降水量 よ り多 く降 らない とい う値 である。 この統計 では長 さの単位 と して 1i
nc
h
-25・
4mm が用い られてい るので原図のままの 酬 立を用 いてある 夏 のモ ンスー ン期 にあた る
。
7月の分布図を見 ると, シャム湾北東部の タイ とカ ンボジア国境付近が 1
7i
nc
h(
4
32mm)と
多 く, タイ とビル マの国境 や ラオス北 部付近 もやや多い値 が示 されて い る
。
には 4i
nc
h(
1
02mm)ぐらいの極大値 がみ られ る
。
マ レー シア北西部
この図 の計算 の基 にな った地点数が少 ない
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l
境付近 の細かい状況はあま り表現 されていない。一万 ,1
2月の分
ため,上述 の タイ, マ レ可 1
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図 4 マレー半島の 7月と1
2月の50
%確率雨量分布図 (
S.Ni
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t原 図)
31
4
中島 :東南 ア ジアの気候 の特性について (2)
布図では,マ レー シアの北東部に 1
2i
nc
h(
305mm)ぐらいの極大値が現 わ されてい るが, こ
の場合 もマ レー半島各地 の分布 の細か い点 はよ く表現 されてはいない(
,しか しマ レー半島につ
いて は, さ らに多 く4
1
地点 の資料を用 いて計算 された確率雨量布図8
)がマ レー気象台 とシンガ
ポール大学 の共同で計算 されてい る
。
ここにはその中か ら1
2月 と 7月の5
0
% 確率 の図だ けを図
4に転載す る0月降水 量が この値 よ り多い年 と少 ない年が同数 になる値 の分布図で ある。表 1
の Kot
aBha
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u,Si
nga
por
e,Kua
l
aLumpurの月降水量の値 と比較す るとそれほど大 きな差 は
しか し表 1で標準偏差 が 1
00mm を こえてい るよ うな地点 と月で は 算
ない よ うに思われ る
。
術平 均のほ うが この分布図 よ り低 く出て くる。
以 上で年 降水 量や月降水量について概観 したので,次に 日降水量の様 子について述べ る。 ま
ず,図 5は1
9
71年の 1年間の 目降水量の変化 を ラオスの Vi
e
nt
i
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neとマ レー シアの Kot
aBha
r
u
と Kua
l
aLumpurおよび Si
ngapor
eについてグ ラフに した もので ある
。
表 1を用 いて説 明 し
た平年の年変化 の状況 と大差 はないが,かな らず Lも平年の年変化 と一致 していない。 各地点
について共通 にいえ ることは, 雨季 にはほ とん ど連 日降雨が あ ることであ る。 しか しこの雨 は
,
日本 の梅雨 のよ うな雨 ではな く 「夕立 三 日」 とい う感 じの雨で あ って 降雨 目数 が多いのに 日
射量 も大で ある。
マ レー半島について は多 くの地点 について,1
5
,3
0,45分間, 1
,2
,3,4,
5
,6
,1
2時間および
1
,2,3,4日間の降水量の過去3
0年間の極値が 発表 されてい る。9)表 2には この 資 料 を mm 単
位 に直 して一部 を転載 した。原文にはその出現年月 日も記入 されているが ここでは月 のみに と
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図 5 ビエンチャン (ラオス)
, コタバル, クアラルンプール (
マレー
シア),シンガポ-ルの1971
年の日降水量変化
31
5
東南 ア ジア研究
1
3巻 2号
蓑2 マ レ ー 半 島 各 地 1
5分∼96時 間 降 雨
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中島 :東南 ア ジアの気候の特性について (
2)
強 度 極 値 お よ び そ の 出 現 月 (
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7
1
3巻 2号
東 南 ア ジア研究
どめた。図 6はマ レー半 島の地形 図で あ り表 2
の各地 点 の番号 がだ いたい 西 岸 を 北 か ら南
申
-,つ いで東岸 を北か ら南 -つ けて あ る。
8
表 2で15分 間降水量 の 極 値 を み る と, 50.
mm とか な り大 きい値 で あ るが, これは雷雨性
の強 い 雨によ る もので あ る。 この値が 45mm
以 上の地点 の 冒降水量 の極値 をみ ると必ず しも
多 い とは限 らない。 日降水 量の極値 が 出現す る
月 は最 多両月 とだいたい一致す るが,1
5分 間降
水量 の極値 が 出現す る月 は地 点 に よ って 異 な
り,ほ とん ど一年 [
恒こば らつ いて い る0時間降水
図 6 マレー半島の地図,図中番号は表 2
中の各地点の番号
量の極値 は Si
ngapor
e 付近 の 126・
5mm で あ
00mm
り, 日本 の記録 と大差 ない。 この値が 1
を こえて い る地 点 を しらべてみ る と,ほぼ15分
間降水 量 の極値 の発現地 と一致 して い るが, 目降水 量の大 きい と ころ との一致 の度合 はそれほ
ど大 き くない。 3時間降水量 の極値 は 1
95.
1mm で あ るが,その極値 の比較的高 い ところをみ
てみ るとまだ必ず しも日降水 量 の極値 との相関 は大 き くな く, その発 現月 も最多雨月 とは限 ら
ない。
6時間降水量 の極値 の最大 は 293.
7mm で, 5- 6時間 降水量 にな るとは じめて極値 の出現
季節 が冬季 に限 られて くる
。
最 多雨月 が春 にあ るマ レー半 島南西部 で も, 6時間降水量の極値
3mm, 3日 降 水 量 の そ れは
が冬 季に現 われ るのは興味深 いo E
]降水 量の 極値 の最大 は 481・
934.
7mm で あ るo こ こで注意す べ きは,Si
ngapor
e付近 では数時間か らE
]降水 量 まで の 極値
はなか り高 いのに, 3- 4日の降水量 とな る と下付 に落 ちて しま うことで あ る
。
て定着す る ことが少 ないためで あ ろ う。
以 上 は降雨 の集 中性 につ いて 統 計 的 に 論 じた
EE5。 00 知 。
よ うな南 の ほ うまで北東 モ ンスー ンの軸 が南下 し
.」
山
丑
が,次 に具体例 を示 そ う 図 7は G.T.Li
angl`))
こ
山
2 r
これは, この
こ
J1
I
2
1
3
r
。
。
両者 の南北 の距 離
は約 250km で ある。 降水 [
吊まだい たい対応 して
い るが,両者 の 日降水 量 の相 関は きわ めて低 い。
5日頃に Kot
aBhar
u で 150mm
例 えば, 11月 2
31
8
N
A
T
N
A
U
ド
目降水 量の変化 グ ラフで あ る
幻0
aBhar
u と Kuant
an の
のマ レー半 島 東岸 の Kot
mm 知 ∞
の解析 に よ る1
955年 11月 か ら12月 にか けての毎 日
J
爪ル叫」し 丑心」
l
NOV
H
21
1
日
2J
31
DE
C I
955
図 7 マレー半島東岸のKot
aBhar
uとKuant
an との1
9
5
5
年1
1
月から1
2
月へかけて
G.
T.Ⅰ
.
i
ang原闘)
の口降水量の変化 (
中島 :東南 アジアの気候 の特性について (2)
図8 1
9
5
5
年1
2
月1
2日マレ-半島日降水量分布図 (
G・
T.I
・
i
a
ng原図)
nt
a
n では 1
0mm に もみたな い。 逆 に, 1
2
月 の1
2日頃には
程度 の 日降水量が あ ったが, Kua
Kua
nt
a
n で 15
0mm 程度 の 日降水量 が 3日間つづいたが, その 日の Kot
aBhar
uの 日降水
量はその1
0
%程 度であ る
。
図 8は この後 者の1
2月1
2日の 目降水 量分布 図を この論文か ら転載 し
た もので降水量は 1
/
1
00i
nc
hの単位で記入 されて いる。
この図 を見 ると, 1
2日の 大雨 の中心
nt
an よ りさ らに 5
0km ほど南 にあ り, 最大 目降水量 は 321mm (
1
2.
6
3i
nc
h)に達 し,
は Kua
Kua
nt
anの値 の約 2倍で あ るO この図で, 日降水 最 1
00mm 以上の 範 囲は 1
00kmx50km
ぐらい ときわ めてせ まい ことがわか る。
aBhar
uで
次 に,北東モ ンスー ンに よる大雨 が長時間集中 した例 を示す。既 に表 2で, Kot
T
T
l
l
T
1
50
40
30
20
I
O
0
41
2 J
8 5
0
6 1
2 I
8 6
0
6 I
2 J
87
0 6
図9 1
9
6
7
年 1月 4- 7日の Ko
t
aBha
r
uの毎時降水鼠の変化
31
9
東南 ア ジア研究
1
3
巻 2号
は 3- 4日の総 降水量 もきわ めて大で あ る ことを述べ たが,表 2の統 計期間 よ り後 の 1
967年 1
月 4日午 後 か ら 7日の朝 にか けて の 3日間の総 降水 量 は 1083mm とい う驚 くべ き値 とな った。
3.
0mm で あ った ことを考 え る と い か に 大 き い 値 で あ るか が わ か る。 あ るいは
表 2で は 65
世界 的 な異 常気象 の一 つ のあ らわれか もしれな い。 6日 7時か ら 7日 7時 ま で の 日 降 水 量 も
553mm に達 し,表 2の 358.
4mm をは るか に抜 いて い る
。
図 9は 4日か ら 7日にか けての毎
時 降水 量 をグ ラフに した もので あ る。 この図か ら時 間降水 量 の最大値 は約 5
0mm で, 表 2中
9.
6mm の約 半分 で あ ることがわか る。 したが って この大雨 は時間的の 集 中性
の過去 の極値 9
よ りもその持続性 に特色 が あ る といえ る
。
Ⅲ 大 雨 の メ カ ニ ズ ム
大雨 のメカニズ ムを考 え る前 にまず地理 的 な条件 を考 えな け れ ば な らな い
。
タイの北部 は
20 o
N 付近 にあ り, イ ン ドシナ半 島の南 部 とマ レー半 島の もっとも くびれた ところがだいたい
1
0o
N ぐらいに相 当 し,マ レー半 島 の最南端 は赤道 に近 い。 南北 1
00
以 内の赤道地方 で は地 球回
転 の影響 がす くな く渦度が発達 しないので降雨 は,主 と して気 流の収 束,対流不 安定,弛 形 の
影響 によ る。 しか し 1
0o
N よ り北 の タイでは これ らのほか に低気 圧 の発達 によ る大雨 が問題 と
なる
。
また, この付近 の複 雑 な海岸線 の形状 も降雨分布 に大 きな影響 を与 えて い る
。
スマ トラ島 と
イ ン ドシナ半 島の存在 は夏冬両方 のモ ンスー ンに とって遮 断効果 が著 しい。 タイ南 部か らマ レ
ー半 島にか けての降水 量の年変 化 にその影響 が大 き く出て い る ことは前節 で既 に述 べた通 りで
ある
。
また既述 の よ うに タイ北 部 では山岳性 降雨が見 られ るが,低緯 度で は山 よ り海岸線 の存
在 が なか り大 きな役割 を果 た して い る
。
う
。
す なわ ち潜在不安 定 の解消 に役立 って い る と い え よ
また,周 囲が海洋 に恵 まれて い る ことか ら,海洋 上で の気 団変質 が今後研 究 され るべ き重
要 な課題 で あ る。
上 に も述 べた よ うに,低緯 度で は気 流の収束 と不安定 お よび地 形効果 が大 雨 の 主 原 因 で あ
る
。
気 流 の収束 は-種類 の気 流 中で も起 こ り得 るが, 異な った気 流系 の境界 に生 ず る ことが 多
い。低緯度 で考 え られ る主要 な気 流 と して,北 半球 か らの北東貿易風 と南半球か らの南東 貿易
TCZ と
風が あ り, これ らは多少 その方 向 を曲げ ることはあるが, 両者 の 合流 す ると ころが I
いわれて い る。 これは夏 は北半球側 に冬 は南 半球側 に移 動 し, したが って これに伴 う降雨帯 も
南北 に移動す る。 さ らに この間に赤道偏西 風帯 が 割 りこんで きて, これ と貿 易風 との間 に収束
帯 が生ず る場合 が あ る
。
いま問題 に して い る地 域 で は,冬 は この北東貿 易風 と北東 モ ンスー ン
が, また夏 は赤道偏西 風 と南西 モ ンスー ンが合流す る。
955年 12
月1
2日の Kuant
an付近 の大 雨の例 を示 したが, ここに同 じ著者 の解析 によ
前節 で 1
3
2
0
中島 :東南 ア ジアの気候 の特性 につい て (2)
る1
2日12時の 7000f
tの流線図 を図 10に示す。 Si
ngapor
e付近 を東西 に走 る破線 を界 に して,
北側 の偏東風 と南側 の偏西風 とがわかたれてい る。 彼 は1953-1958の年 の 6年間にマ レー半島
東岸 のいずれかの地点で 冒降水量が 150mm 以 上にな った 日の流線解析を行 な った 結 果 , こ
の よ うな大雨 の起 こる条件 と して次の 2条件 をあげてい る。
(a) 北東貿易風が グアム島か らセ イロ ン島まで帯状 に延びていて, その幅 はだいたい1 ,最
0 0
s以上。
大 風速 は 15kt
(b) 赤道偏 西風が南側 には っき り現 われて,前者 との境界線が大 雨地域 の上か少 し南に存在
する
。
図1
01
9
5
5
年1
2月1
2日の 7
0
0
0f
e
e
t流線図 (
G.
T.Li
a
ng原図)
この ように北東 モ ンスー ンの発達 と北東貿易風の発達 とは相 ま って 起 こ る もの で, マ レー
半島東岸の大 雨時 は雲 の帯 がは るか太平洋 のグアム島付近 まで延びてい る こ とが 知 られ た。
De
ppe
r
ma
n(
1936)
l
l
)は北東気流の大雨に関連 した急激な発達 を シベ リア大陸での高気 圧の発
達 と結 びつ けて "Sur
geoft
het
r
ade
s
" と呼んだ。 Sur
geとい うことばは夏 の モ ンスー ンの場
合 に も用 い られて い る。
)G・
T・Li
ang は このよ うな大雨の予報別 と して HongKongの地上気
圧が 1020mb以 上でかつ過去24時間の気圧上昇 がみ られ ることを提唱 し, また 北東気流 自身
gon の 7000f
tの気流が よい目安 とな るとい ってい る。 また, 南 シナ海 の 90
N- 25o
N
は Sai
と 105o
E∼ 120o
E の問 に熱帯低気圧が ある時 は この北東気流が妨 げ られて大雨 と は な らな い
とい う予報別 も示 して い る。
N 付近 では1
0月頃で あるがマ レ-半島南 端では12
マ レー半島東岸の雨 が最大 にな る月 は 10o
月 と次第 に南-遅 れてい くことは既 に述べた。 陳 12) は Si
ngapor
eが大雨にな る時 は 北東気流
軸が南下す るだ けでな く北北東 に転ず る場合で あ る ことを統計 的に示 した。
1969年の12月 9-10日にか けて シンガポール島の 北部を中心 と して 48時 間 降 水 量 が 約 500
mm とい う,表 2に示 された極値 をは るかに上 まわ る大雨が あ り,特に 9日15時か ら10日 3時
3
21
東南 ア ジア研 究
80E
90
1
00
1
1
0
1
2
0
1
3
0
1
3巻 2 号
1
4
0
E
図1
1 1
9
6
9
年1
2
月 9日0
0
0
1GMT
の地 表 流 線 図 (
T.Suanr
oon 原図)
2 図1
1と同 じ Flの気 象 衛 二
星
図1
ESSAの APT 受 画写真の
モ ザ イ ク (同 じ著者による)
3
2
2
中島 :東南ア ジアの気候の特性について (2)
D
E
C-FED
頃までの夕方か ら夜に降 雨が集 中 し, 日降水量
は Gumbe
l確率で 3
000年 に一度 とい う記 録 的
な 大 雨 と な っ たo シンガ ポール気 象 台 の T・
sua
nFo
o
n13)は この時 の状態 を解析 して上層 に
は発 散が,地表付近にはせ まいが強い収束のあ
った ことを示 した。 ここには彼 の解析 した図の
U
2月 9日 0001GMTの 地 表 流 線 図 と気
うち 1
APT 写真 のモザ イクだ け を
象 衛 星 ESSA 9
図11と図1
2に示す。 図1
1の上部には中国大陸の
午
高気圧 の周辺が 1
020mb の等 圧線 で示 さ れ て
鬼
ノヽ
0日にか け
い るが,彼 の解 析によれば 9日か ら1
て この高気圧 は もっとも南-張 り出 し, またベ
ンガル湾南部に ある低気圧 の南側 の西風が赤道
偏西 風の強化に役立 ち, したが ってマ レー半島
部 の収束に も役立 ってい る と述べてい る。気象
「\
衛星写真 は南 シナ海 の帯状 の雲 がはるか北東海
\
上か ら延びて い ることを示 してい る。
ズ 〟 覧
SEP OCT NOV
一
へU _
一
タイや ラオスでは熱帯低気圧 も降雨 に密接 な
●
関係 を持 ってい ることは先 に も述べた通 りで あ
る
。
図1
3は1
947年か ら1
9年間の熱帯低気圧の経
路を 3カ月 ごとにま とめて示 した もので ある
。
12月か ら 2月 までは数 は少 ないが,乾季にあた
って い る地方で は貴 重な雨 とな る一方 , タイ南
▲
■
■
■
ヽ
図1
3 東南アジアを西進する熱帯低気圧の進路
図(
上から1
2
- 2月,3- 5月,6- 8月,
9- 11
月,黒丸は発生地点)1947年から
19年間の資料による
部 では被害 が発生す る こと もあ る。 3月か ら 5月にか けて も発生数 は きわ めて少 ない0 日本付
近では台風発生 数は 8月が もっとも多いが, このよ うにイ ン ドシナ半島付近 を西進す る熱帯低
気 圧の最盛期は さ らに遅 れて 9月以 降 とな る
。
タイの大部分で月降水量の最大 とな るのが 9月
で あることは既 に述べたが, これにはモ ンスー ン以外 に熱帯低気圧 も関係 して い ることがわか
る
。
しか し低気 圧の中心が大雨 とい うよ りはむ しろ低気圧の存在がモ ンスー ンの風向を変 えた
り,強 めた りす る効果 が大 きい ことに注意 しな ければな らない。また西進す る熱帯低気 圧 は日
本-来 るもの と異 な って主 として南 シナ海で発生す ることが注 目され るo
3
2
3
東 南 ア ジア研究
Ⅲ 降
雨
の
1
3
巻 2号
変
動
4に示す 。図 は1
9
1
0
年
この地 域 は年 か ら年 - の降雨 量 の変動 が大 変大 きいが, まず一 例 を 図1
か ら1
9
7
0
年 まで の 8月 と1
2月 の月 降水 量 を示 して い るが, 雨季 に あた る 8月 の変 動 は驚 くべ き
ものが あ る。 8月 の平 均値 は 8
1
2mm で あ るが最 多年 と最少 年 との差 は 1
5
0
0mm に も達 し,
標 準偏差 に して も 3
00mm を こえて い る。 特 に 1
9
3
0
年か ら1
0
年 ほ どの間 の変動 は著 しい。 で
は この よ うな変動 は この地域 で互 いに相 関を持 って起 こって い るのか とい うと決 して そ うで は
ない
。
図1
5は Ko
t
aBha
r
u と Si
nga
po
r
eの約 2
0年間 の1
2
月 の月 降水 量 をグ ラフに した もので
あ るが, だ いた いに お いてそ の変 化 は逆 相 関を持 って い る。 これ は,北東 モ ンスー ンに よ る雨
が北 にか た よれば南 は降 らず,南 にか た よれ ば北 は降 らな い とい うことで説 明で きる。
この よ うに東 南 ア ジアで は降水 量 の年 か ら年 - の変動 が激 しいので米 作 その他 の産業 に とっ
H
"
て重大 な関係 を生 ず る。 そ こで その変動
∞
∞ 00 00 0 0 0 0 0 0 0 0o o
o
o
o o
。 00
7 6 5 4 3 2 - 0 9 8 7 6
5 4 3 2
RANONO
の度合 を示す方 法 が い ろい ろ考 え られ,
1-AUG
_一
一一・一・・・・・.・.・.一・
DEC
・・
・・・・・・
最大 と最小 の差 を と った り比 を とった り,
標準偏 差 を とった りして 多 くの研 究者 が
か なかむ つか しい。 その原 因 の一 つ は年
々の降水 量 の分 布 が正規 分布 を して いな
い ことで あ る。特 に乾燥地 方 で は下 限 は
\、
l
ヽ
l
Omm で お さえ られて い るので その付近
;
I
‥
.
;
;
I
.
;
I
・
I
‖
・
・
・
.
.
に資 料 が密集 し, 大 きい値 の ほ うはか な
.
-
--_
---I- --I・'---,-JITI
0 0 0 0 0 0
表現 に努 力 して い る。 しか し実 際 にはな
I
りの値が時 々発 生 す るか ら困 る。 そのた
めに降水 量 の三 乗根 を とった り して その
年量
935馴
19551960I9飴197
5r9
8月
)と12月(
g
OJ9
481950
01975
0E92
3OI
5192
10197
19
)
(
図14
点線
実線
の
の
R
non
a
00,O .
\
r
分布 の正規化 を まず は か る こ と な ど も
変化
水
の経
月降
考 え られて い る。三 重大学 の水越 は吉野
編集 の本 6)の中で 「モ ンスー ンアジアに
お け る降水量 の変動 率 」 とい う報告 を書
いて い る
。
そ こで は1
9
3
1
′
-1
9
6
0
年 の3
0
年
間 の資料 を用 いて東南 ア ジアか ら南 ア ジ
,4,7
,1
0月 の月 降水 量 と
アにか けて の 1
1
950
55
60
65
70
図1
5 1
9
4
8
-7
0
年の Ko
t
aBha
′
r
u (
実線) と S
i
n一
点線)の1
2
月の月降水量の経年変化
即pO
r
e(
324
年 降水 量 の標準偏差 を計算 し, それを平
年 降水 量で割 って% で あ らわ し, これを
中島 :束南 ア ジアの気候 の特 性につい て (2)
CHI
ANGRAl
1
9
0
0
I
O
2
0
3
0
4
0
5
0
6
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1
0
図1
6
1
-1
0 各地年降水量の経年変化 (5年移動平均,地点の位置は図 1,表 1参照)
325
東南 ア ジア研 究
1
3
巻 2号
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5
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6
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91
0P
92OI
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940950860r
970
1
8
図1
6
l
l
-1
8 各地年降水量の経年変化 (5年移動平均,地点の位置は図 1,表 1参照)
3
2
6
中島 :東 南 ア ジアの気候 の特 性 につ い て (2)
降水 量の変動率 と名付 けて その分布図を画 いて い る。標準偏差 その もので あれば多雨地帯で大
きな値 とな り, また平均降水 量で割 るとこん どは乾燥地帯で値が大 き くな りす ぎるよ うな欠点
はあ るが,比較の意味 もあ り, この報告 で も, よ り多 くの年数 と地点につ いておな じ計算 を行
。
な った結果を表 1に示 した(
6には各地 の年降水量 の 5年移動平均値をグ ラフで比較 して示 した
図1
O
マ レー半島だ けでな
1
9001
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6 各地月降水量の経年変化
(5年移動平均)
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東 南 ア ジア研 究
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く, タイの北部で も 1
00km も離 るとす っか り異 な った変動 を示す場合が多い ことがみ られ る。
既 に述べ たよ うに, この地方では夏 に雨の多 い ところと冬 に雨の多い ところとがあるので,
図1
7には月 ごとの値 につ いてやは り 5年移 動平 均値 の変化 の推移 をグ ラフに した。以 上の表や
図か ら見 られ る二,三 の特色につ いて北 のほ うか ら順 に簡単 な コメ ン トを述べて みる。
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i タイの最北部 に近 い観測点で, 年 降水量は平野部 よ りやや多 く, 最多雨月
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328
中島 :東南ア ジアの気候の特性について (2)
の 8月 の変動率 は3
5
% で最少雨月の 2月の変動率 は 1
5
2
%である。 年降水 量は変動 しなが ら
0年間増加の傾向にある。
も全体 として最近7
3
. Chi
a
ngMa
i きわめて前者の近 くにあるのに年 降水量はかな り少 ない。最多雨月の変動率
は4
6
%,最少雨月のそれは2
2
1
% といずれ も前者 よ り大である。年較差 は前者 よ り小で ある。
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t 年降水量は前二者の中間で,変動の様 子や, 一般的な雨最の増加傾向がない こ
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iとよ く似ているO
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東南 アジア研究
1
3
巻 2号
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ni 年 降水量は前二者 とだいたいおな じで あ るが 最多雨月 の変動率 が 4
5
%,最
少雨月が3
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% と著 しく大で ある。1
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年 頃-の雨量増加 は前二者 と似 ている。
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か ら現在 まで雨量減少 に向か ってい るのが今 まで述べた地点 と著 しく異 な るところである。
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n 欠測年が多 いが, きわ めて近 くにあ る前者 と降雨の変動 の相 関が きわめ
て憩 いのが 目立つ。
9
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n ここは年降水量が 比較的少 ないのに 標準偏差値 が大 きいのが 目立つ。 全般
的に短周期 の変動が 目立つが長周期の変動の傾 向はは っき りしない。
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ni ラオスに近 く山脈 に近 いためか夏の雨量が多 く, したが って年 降水
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中島 '
.東南 アジアの気候の特性について (2)
量 も大で ある。年降水量 は短周期の変動が 目立つが全体 と しては Chi
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iなどとおな じ
0年間に降水量はゆ っくり増大 してい る
よ うに この5
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ma 中央部にあ り,年降水量は少 な く長期的な変動傾向はみ られない。
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t 束 によ ってお り, かつ シャム湾 に近 くな って きて, 年降水量 は大であ
る。Chi
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年頃の ピー クが 目立つ。
1
4. Cha
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i 前者 の特長が さ らには っきりして きて,年 降水量は飛躍的に多 くな り, 9
月のほかに 6月に も二次的な多雨月がある 前者 と同 じように1
9
20年頃か ら1
95
0年頃への雨
。
量増大傾向がは っき りしている
。
1
5. Ba
ngkok 前者 とおな じくシャム湾 の 海岸にあるが, 南西気流の正面 にな らないため も
あ って年降水量は約半分で ある。 ここも雨量は全体 としてゆ るやかな増大傾向が見 られる。
5月の変動が著 しいのが 目立つ。
1
6. Pr
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iKhan ここは欠測年が多いが, シャム湾 の北西岸にあた り, Ba
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とは距離が近 いが降雨変化の様相 はす っか り異 な り,最 多雨月は1
0月,最少雨月は 6月であ
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東南 アジア研究
1
3巻 2号
るが年変化 の振幅 も年降水量 も小 さい。1
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月 と1
1月だけ しか多雨がない。経 年変化 の様子 も
異 な って いる。冬 のモ ンスー ンと熱帯低気圧 の影響が大 きいのではなか ろ うか。
1
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nong マ レー半島の くびれた部分 の西岸 にあ り,年 降水量は きわめて多 く, 5月か ら
1
0
月 まで月降水量が 40
0mm を こえ, しか もその経年変化 の傾向が各月 とも非常 にそろ っ
て いる。 す なわ ち,1
93
0年か ら40年 にか けての多雨が非常 に 目立 って い る。
1
8. Phuke
t 前者 とおな じ西岸 にあ り, 距離 もわずかだが,島にあるためだ けで はす まされ
ないほど両者 の差 は大 きい。年降水量は前者 の約 半分 で年変化 は小 さい。 しか しもっとも特
徴 的なのは経年変化 の様相が ま った く異 な って いる ことで ある。
1
9. NakhonSiTha
mmar
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t 前者 とほ とん どおな じ緯度 の東岸 にあ り,最多雨月 は前者 が 9
月 に対 し1
1月で ある。北 にある Pr
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n と似 た ところ もあるが, 最 多雨月が
お くれている。 ここでは 5- 6月 頃に弱い第二の ピー クがみ られ る。
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0. Songkhl
a 前者 とおな じ東海岸でわずか南で あるが, なぜか年 降水量 も少 な く, 経年変
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中島 :東南 アジアの気候の特性について (2)
化は細かい振動がはげ しいが大 きな変化 は前者 よ り小である。
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u 統計年数が他 に くらべて短 いが, おな じ東岸で も前者 よ り1
1月の 降水量がはる
,モ ンスー ンの相対関係の影響 があると思われる。
かに多い。 シン ドシナ半島 と NF
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年 もの統計資料が ととの っている 最多雨月 は1
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は 7月であ り,他 の地点で最少雨月 (
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東南 アジア研 究
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中島 :東南アジアの気候の特性について (2)
るの も興味深 い。 ここで は他 にみ られたよ うな1
920年頃か ら1
960年頃-か けての増加傾 向 と
はむ しろ反対 に近 い傾向が見 られ る。
Kua
l
aLumpur 最 多雨月 が 4月, 最少雨月が 7月 と, マ ラッカ海峡 に面 した ここでは東岸 と
は全 く異 な った様相 を示 して いる。統計資料の年数 が短 いが,経年変化 も目立たない。
以 上各地 の月降水量や年 降水量の傾 向を概観 して きたが,経年変化 の様相 はおな じ気候区 の
中
で もか な り変化が大 きい。 しか しま った くでた らめで はな くて,複雑 な地形 と変化 しやす い
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気 流系が互 いに干渉 しあ って この
よ うな結果 にな ると考 え るほ うが
正 しい。 したが って気候変動 を考
え る場合, この地方では数値 その
ものよ り,気流系の変動 をパ ター
ンと して示 したほ うが よいのでは
ないか と思われ,今後 この よ うな
方針で研究 を進 めたい。
あ
と
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この報告 は限 られた国 々を旅行
して集 めた資料 を解析 した もので
あ り,東南 アジアの一部 を南北 に
細長 くとりあげた ことで ま とま り
が悪 い面 もある一方,南北 の比較
が は っき りした面 もあ った。現在
イ ン ドやネパ ール な どの資料 も収
集 中で あるので,大気大循環 とい
う立場か らの総合的な解析 は次 の
機会 にゆず りたい。
この報 告を終 わ るにあた り, こ
の 資 料 収 集 を 可能 に していただ
いた東南 アジア研究セ ンターの諸
氏, ラオス, タイ, マ レー シア,
シンガポール の気象台の職員,南
335
東南 アジア研究
1
3
巻 2号
洋 大 学 の陳 国彦 博 士 に 感 謝 の 意 を 表 した い。 ま た過 去 数 年 間 に わ た って これ らの 国 々か ら京 都
大 学 へ 洪 水 予 報 の研 修 に来 た方 々か ら も多 くの 知 識 を得 た 。 彼 らが 自 国 の洪 水 予報 に つ い て記
した報 告 書 は建 設 省 や 国立 防災 セ ンタ ー な どか ら印刷 され て い る. な お, この研 究 の一 部 に は
文 部 省 科 学 研 究 費 の助 成 金 を 活 用 した。 最 後 に この資 料 の 整 理 を手 伝 って い た だ い た 多 河 英 雄 ,
二 宮 す が 子 , 中野 八 江 の 諸 氏 に感 謝 します 。
参
考
文
献
」
1) 中島暢太郎 19
73.「
東南 アジアの気候の特性 について (
1)
- フィ リピンの大雨 『
東南 アジア研究』
11
巻 1号 ,pp.1
30
-147.
941
.『南方気候論』三省堂,396p.
2) 小笠原和夫 1
3) 京都大学東南 アジア研究セ ンター 1
966. 『
東南 アジア研究』 3巻 4号 (
水資源利用 に関す るシンポジ
ウム特集号),220p.
"『
東南 アジ
4) Kyuma,K.1
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ア研究』 9巻 2号 ,pp.50
2
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21・
5) 関口 武 n.
d.『
東南 アジアの気候環境』科学技術庁資料 ,50p.
73. 『モ ンスーンアジアの水資源』古今書院,259p.
6) 吉野正敏編 19
7) Augus
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971.「
新加波的降水変 化 『
南洋大学学報』第 5期 ,pp.101
-111.
12) 陳園彦 1
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3) TanSuanFoon1
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7) シンガポール気象台定期刊行物
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