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定常化研究に挑むJT-60の新展開
原子力学会2004年秋の大会 京都大学:9月15日 核融合工学部会総合講演 定常化研究に挑むJT-60の新展開 日本原子力研究所那珂研究所 鎌田 裕、JT-60チーム 何を目指して どうプラズマを制御 しようとしているのか。 炉心プラズマ研究:高総合性能の定常維持 目標=コンパクトで経済的な定常核融合炉 必要な要素性能を高い次元で統合=システムとしての最適化 (1つの要素性能を最大化すると他が犠牲になる場合がある) n 高い出力密度= 高圧力= 高ベータ値 十分な燃焼効率 先進トカマク 開発 高いエネルギー閉じ込め改善度 D T α α粒子加熱 高い燃料純度 高い密度 プラズマ電流 完全 非誘導 ・外部駆動 NB & RF ・高い自発電流割合 大きな放射パワー ダイバータ熱負荷低減 先進トカマク研究 「高自発電流高閉じ込め」:JT60で開拓 =>定常トカマク炉概念 高βpモードと負磁気シアモード Hモードに 対する閉じ 込め改善度 規格化 ベータ値 自発電流割合>80%、内部輸送障壁発見 概念実証:完全非誘導高閉じ込め高自発電流 臨界プラズマ条件、イオン温度5億度 etc. グリンワル ド密度指数 1.5 0.8 ITER 定常運転例 2.7 自発電 流割合 これまで: 要素性能 の向上とそれらの同 時達成の研究開発 0.8 全放射パワー 全加熱パワー 0.5 0.8 燃料純度 1.0 非誘導電流駆動割合 ○定常に持続できるのか ○ 「粒子」関連性能の向上 ○より高圧力化できないか 「分布」が大切 6 プラズマ諸量は分布を持つ。 相転移的な構造形成を伴うものもある。 分布が変わると、閉じ込め性能や安定性 も大きく変わる。(性能差>1桁) イオン温度(億度) 5 4 3 2 1 JT60U 高βpHモード 0 規格化小半径 1021 内部輸送障壁 プ ラ ズ マ 圧 力 周辺輸送障壁 (Hモード) ︵ 秒 ・ 個 / SSTR 1020 JT-60 JT-60 m3 ︶ 周辺障壁による底上 臨界プラ ズマ条件 ITER 1019 分 布 制 御 1億 10億 イオン温度(度) 自律系における制御の考え方 プ ラ ズ マ 電 流 プ ラ ズ マ 圧 力 凹状分布 (負磁気シア) 平坦分布 (弱磁気シア) 電流駆動 加熱 外部駆動 外部加熱 自発電流 燃料補給 不純物導入 排気 自己加熱 凸状分布 (通常シア) 電流分布 内部輸送障壁 圧力勾配 圧力分布 スクレイプオフ /ダイバータ 中性粒子圧力 不純物分布 回転分布 主プラズマ 自発電流 外部駆動電流 回転 制御? 各分布は、セットとして最適化 高ベータ程、自律性が高い アクチュエータの選択と効率の向上 ロジックの確立と制御裕度 システムの挙動を決定する時定数 (JT60) ○エネルギー閉じ込め時間(圧力分布)~1s ~10s 新たな ●電流拡散時間(電流分布) 研究領域 ●第一壁での粒子飽和時間(粒子分布)~10 - 100s 長パルス領域への挑戦 発電実証プラント JT-60を長パルス化 経済性の改善 環境適合性の改善 H15秋∼ 燃焼制御の実証 システム統合 βN 燃焼へ JT-60 総合性能最適化 制御基盤 実験炉 (ITER) トカマク国内重点 化装置の目標領域 電流拡散時間(τR) トカマク 国内重点化装置 高ベータ 定常 高ベータ長時間化 高密度高閉じ込め 熱・粒子制御 5 4 3 2 1 0 発電実証 プラント ●:JT-60U △:ASDEX-U ◇:DIII-D □:JET ITER (定常運転) Q=5 0 世界の到達領域 2003-04の JT-60目標領域 10 30 20 ITER (誘導運転) Q>10 40 time (sec) ベータ値=プラズマ圧力/磁場の圧力 核融合出力密度はベータ値の2乗に比例 安定性限界の指標でもある。 長パルス化と65秒放電/30秒加熱の達成 長パルス化:制御システムの改造 放電時間 : 磁場: NB入射: LH入射: EC入射: 従来 以降 15秒 65秒 4T 2.7 T (60秒) 3.3 T (30秒) 30 MW (10秒) 14 MW(30秒) 4 MW (10秒) 1.7 MW(60秒) 3 MW(10秒) 0.3 MW(60秒) 拡張領域 入射時間(秒) 65秒放電/30秒加熱(Hモード)の達成 Ip flat-top ~ Divertor config. ~ 60 s E043173, Bt = 2 T Ip (MA) 0.5 0 50 IF (kA) 0 -50 1.5 ne 1 19 -3 (10 m ) 0.5 0 負イオン源 NB入射パワー 設計領域 15 s discharge P-NB N-NB 10 5 PNB 0 (MW) PEC (a.u.) 1 0 10 20 30 40 time (s) 50 60 0.5 0 70 Vl (V) JT-60の65秒放電(主加熱30秒間:Hモード) 規格化ベータ値=2.1を20秒間維持 1MA/1.7T, q95=3.3, δ=0.33 E043157 Dα ne [arb.] [10 19m-3 ] βN 2 PNB [MW] ・ITER標準運転に相当する、 N = 2.1を20秒維持:電流分布は定常 =>ITERにおける誘導運転に確かな見通しを与える成果。 これまでの世界のトカマクの到達領域を大きく超えて、 新たな運転領域を開拓 ・高加熱入力(<10秒)が可能な領域では 自由境界限界近傍の N ~3を8秒維持 *電流&圧力分布の最適化で不安定性の発生を回避 20 PNB 0 4 NNB ASDEX-U 0 自由境界限界 2 0 5 j(ρ,t) 0.2MA/m2 0.4 0.6 0.8 ρ 0 1 JT-60(2004) 0 0 10 time [s] 20 30 ITER誘導運転 JT-60 (2003迄) DIII-D 10 JET 20 維持時間(秒) 30 安定化手法の研究開発 1)電流&圧力分布 危険な場所(安全係数=整数、 半整数)での圧力勾配低減 0 3 2 2 1 1 0 0 規格化半径 1 磁場揺動 43 0 規格化半径 1 0 EC(~3MW) ミラー角度 E41666 44 7 0.8 飽和期入射 早期EC入射で安定化 に必要なパワーが減少 4 安全係数 2)磁気島への局所EC電流駆動 磁気島位置検出+ EC可動ミラー実時間制御 世界初の帰還制御技術 安定(t=9.8s) 1 不安定(t=4.9s) 4 プラズマ圧力 3 0.4 早期入射 ECパワー(MW) 9 10 (秒) 75%自発電流割合をほぼ定常に維持 発電実証プラントで想定される自発電流割合(~75%)を ほぼ定常(∼電流拡散時間)維持。 N~1.7, ne/nGW~0.55, HHy2~1.7, fCD~95% (fBS~75%, fbeam~20%) *接線NBによる回転分布制御で不安定性を抑制 内部輸送障壁 E43046 プラズマ電流 0.5 電子密度 B T =3.4T 自発電流∼全電流の75% βp 80 イオン温度 電子温度 (keV) t=8.2s 10 規格化ベータ:β N 10 時間(秒) 1999 10 中性粒子ビームパワー 10 12 今回の成果 100 (1019/m3) t=8.2s 7.4 sec JT-60のこれま での達成ライン 6.8s 安全係数 8.2s 10.8s 12.4s 0.2 0.4 0.6 0.8 規格化半径 JT-60 2004 60 40 20 JET DIII-D 1998 ASDEX-U 維持時間(秒) 2002 粒子制御:長パルスHモード E042725 「壁」と「性能」 壁飽和時は、Hモード閉じ込め を支える周辺圧力限界が低下。 中性粒子の効果が新たな課題。 Pellet injection 1.4 1.2 e 4 3 2 1 0 14 12 10 8 6 4 2 0 14 12 10 8 6 4 2 0 2.5 2 1.5 1 0.5 0 T (keV) (1019 m-3) 3 (Pam /s) 2 ph/m srs) I Dα (10 20 GAS P NBI (MW) neU2 ・壁飽和領域までの長いタイムスケールの実験が可能になった。 密度一定制御のため、時間とともにガスパフ量が減少。 長時間化に対する課題抽出を進め、ダイバータ排気向上による壁飽 和状態での密度制御性の実証、高閉じ込め状態の長時間維持を目指す t<25 s t>25 s nT=const 1 0.8 0.6 r/a=0.85 0 5 10 15 20 25 TIME (s) 30 35 40 0.4 1.4 1.6 1.8 2 2.2 19 -3 n (10 m ) e 2.4 2.6 0.2 P rad (MW) 0.3 0.1 ne Total 5 Main Div. I (D ) α Outer Strike Point 500 Inner Strike Point 0 2 C II div. 20 ( x10 ) 1 Dα div.( x1021 ) 0 0.10 ΓC / ΓD ダイバータ板の温度上昇(200oC から ~1000oC)とともにリサイク リング、炭素放出、放射損失が 徐々に増加するが、同時にダイ バータ密度も上昇し不純物遮蔽 効果によりZeffが減少。 Inner div. 0.08 Outer div. 0.06 3.0 Zeff 0 100 200 300 400 Heating energy input (MJ) ,I (C II) 0 20 15 10 5 0 PNB 0 1000 Twall (oC) ICVI (a.u.) 0.4 4 3 2 1 0 PNB (MW) NB入射による総入力エネルギーがダイ バータプラズマで世界最大の358 MJ n e ( x1019 m-3 ) 長パルス運転における炭素不純物挙動 2.5 2.0 0 5 10 15 Time (s) 20 非一様な第一壁表面 炭素/水素の共体積層領域、水素の入射領域、損耗領域が、ダイバータ 構造、表面温度、熱流分布等に応 じて分布。 石本:M15 粒子吸蔵/放出、熱伝導等、長パ ルス運転でのプラズマ性能の境界 条件を与える。 物性/原子分子過程/プラズマ過 程を包含する研究の進展が重要。 JT-60によるトカマク炉心プラズマ研究協力 国際 国内 米、欧、露、中、韓 の17研究機関と協力 国際トカマク物理活動 (7専門グループ) の国際装置間比較実験 JT60を含むもの27件 施設利用型公募研究26件(163名) を中心に、 24研究機関と協力: 大学等との共同企画/研究 JT60の13研究Grの内、5Grの リーダーは大学等研究者 JT60 日本のITER実験での国際主導力: 国内基盤の確立、人材育成 JT60 まとめ l今後の炉心プラズマ研究は、「自律系」をなす炉心プラズマシステムの 「総合性能」を「定常状態」で最適化することが最大の課題。 「分布制御」のためのアクチェータ選択、ロジックの開発、制御裕度の定量化 特に、高ベータ化と粒子制御が焦点。 lJT-60では放電時間及び加熱時間の伸長により、従来では解決できなかった 長時間維持の課題に取り組み、分布制御を組み合わせつつ新たな領域を開拓。 NB: 加熱分布、大域的電流分布、回転分布 EC:局所電流分布、LH:大域的電流分布、粒子供給&排気 lITERの誘導運転に向けて、Hモードの30秒維持、 βN=1.9の24秒維持などを実証。 lITER並びに発電実証プラントの定常運転に向けて、βN=3の6.2秒維持、 75%自発電流割合の7.4秒維持などを達成。 l第一壁表面状態の非一様性の観測。「高総合性能」の観点から、 長パルス時の熱/粒子制御と材料との関連を研究する必要がある。 lJT-60に引き続きトカマク国内重点化装置において定常高ベータ化研究を推進し、 ITERへ貢献するとともに発電実証プラントへの道筋を確立する。 LHの長パルス化と実時間電流分布制御 耐熱性向上のため、既存LHランチャーの前面に CFC/Graphiteを装着 分割型多分岐アンテナ 電流分布測定(MSE) 分割型多分岐ベース ステンレス製 約 銅製 約 実時間q分布 実時間q分布 <比較> <比較> 参照q分布 参照q分布 LH入力 制御 高周波接触子 ステンレス製 厚 厚 E043167 モジュール 4 3.5 3 溶接 ネジ止め 2.5 分割型多分岐先端部 2 炭素繊維材 グラファイト製 約 厚 t=3 s CD LH q 1.5 1 t=15 s r/a 0.5 実時間q分布測定例 電流分布計測(MSE)と組み合わせ、実 電流分布計測(MSE)と組み合わせ、実 時間電流分布帰還制御の実証を目指す 時間電流分布帰還制御の実証を目指す ダイバータ温度分布 1000 600 o Ttc ( C) 800 400 200 0 12 14 4 5 7 8 9 10 15 17 19 20 21 22 number of TC