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屈折と屈折率測定法

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屈折と屈折率測定法
!YAK Sample 教材!
1 問題 1
THE GOAL OF THE DAY
★ 屈折について説明できる。
★ 屈折率測定法の概要ついて説明できる
★ 全反射について説明できる。
屈折と屈折率測定法
【屈折率測定法】
1
光の進行速度は媒質の屈折率によらず一定である。
2
0℃において、平衡にある氷と水の屈折率は等しい。
3
質量百分率が同じであれば、NaCl 水溶液の屈折率とブドウ糖水溶液の屈折率は等しい。
4
媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nはn=sinr/siniで表される。
5
媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nは入射角によらず一定である。
6
媒質Bの媒質Aに対する屈折率(相対屈折率)nは入射光の波長によらず一定である。
7
屈折率は一定温度、一定圧力、一定波長の下では物質に固有の値である。
8
屈折率測定法では、通例、ナトリウムスペクトルのD線を光源として用いる。
9
日本薬局方一般試験法の屈折率測定法においては、通常、温度は20℃で、光線はナトリウムスペクトルのD線を用いる。日本薬
局方一般試験法の屈折率測定法では、通例、温度20℃で、光源としてキセノンランプを用いるよう規定されている。
10
試料の絶対屈折率は、その試料の空気に対する屈折率と空気の真空に対する屈折率の和である。
11
光が屈折率の大きい媒質から小さい媒質に入るとき、入射角が臨界角より小さいとき界面で全反射を受ける。
12
等方性物質の第1の媒質から第2の媒質に光が入るとき、入射角 i の正弦と屈折角 r の正弦との比 n は屈折率とよばれ、その値が
1より大きい場合は、入射角度によっては全反射が起こりうる。
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1 解説 2
屈折率測定法
1.屈折
一般に、光は1つの媒質(媒質1)から他の媒質(媒質2)に進むとき、その境界面で光の速度(光速)が変化することにより進行方
向を変えます。この現象を屈折といいます(図1)
。このとき、媒質には等方性な(濃度に偏りのない均一な)ものを用います。
光の速度(光速)は、その光がどんな空間(媒質)の
光
中を進んでいるかによって違ってきます。
媒質1
媒質2
空間ごとに光速に違いがでることによって、光は2つ
境界面
の空間の境界面(媒質1と媒質2の境目)で曲ります。
屈折
この光が曲がることが屈折ですが、進行方向に対し、ど
ちら側に曲がるのかは、次の【考え方】のように見れば
簡単ですよ。
図1
【考え方】
① 光を「まっすぐ走っている車だ」
② 同じ空間内を進む場合は、車は
と思ってください
光
まっすぐと進みます
媒質1:
光が速く進む空間
(速)
車
③ 境界面で二つの前輪はそれぞれ、
速さの異なる空間にまたがります
光
光
(速)
(速)
(遅)
(遅)
媒質2:
光が遅く進む空間
(遅)
光
光
光
速い回転
(速)
(速)
(遅)
(遅)
(速)
(遅)
遅い回転
⑥ 媒質2へ入れば、あとはまっすぐ
進みます
⑤ これにより、曲がって媒質2へ
入っていきます
④ 二つの前輪の回転に差が生じ、
速く進む方が前に出ます
光
(遅)
当然、
媒質1と媒質2の速度の関係が反対に
(速)
なれば、光が曲がる方向も反対になります。
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1 解説 3
2.
(相対)屈折率 n
光が媒質1から媒質2へ進むとき、境界面に対して示された垂線からみて、進入した角度を入射角( i )
、屈折後の角度を屈折
角( r )といいます。
入射角
入射光
反射(光は一部反射する)
i
媒質1(v1、N1)
媒質2(v2、N2)
境界面
r
屈折角
境界面に対して示された垂線
屈折率( n )は光が屈折する割合を表すものです。
屈折は、媒質1と媒質2における光の速度(光速)の変化により生じる現象なので、屈折率は、媒質1中での光速(v1)と媒質2中で
の光速(v2)の比で表すことができます。
また、屈折率は入射角( i )の正弦( sin i )と屈折角( r )の正弦( sin r )の比とも一致することがわかっています。
したがって、媒質2の媒質1に対する(相対)屈折率 n12(光が媒質1から媒質2へ進むときの屈折率)は次の式で表されます。
媒質1中での光速(v1)
sin i
屈折率 n12 =
=
媒質2中での光速(v2)
sin r
(スネルの法則)
このとき、式の分子と分母を入れ違えないように注意!
n12 の「12」は、光が媒質1から
媒質2へ進む場合の屈折率であるこ
とを表しています。
なので、n21 となれば、光が媒質2
から媒質1へ進む場合の屈折率であ
ることを表します。
分子には媒質1での内容(v1、sin i)が示されており、
分母には媒質2での内容(v1、sin i)が示されておりマス!
i
媒質1
媒質2
境界面
屈折率 n12 =
媒質1中での光速(v1)
sin i
=
媒質2中での光速(v2)
sin r
r
↑
屈折率のこの図と屈折率の式を連動して覚えておくと忘れにくいですよ!
「境界面」と「分数の線」を境に上側に媒質1に関する内容、下側に媒質2に関する内容が示されています。
入射角( i )が変化するとそれにともなって屈折角( r )も変化する。しかし、媒質1中での光速も、媒質2中での光速も入射角に
よって変化する訳ではありません。したがって、屈折率は入射角によらず一定である。
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1 解説 4
3.日本薬局方 屈折率測定法
これは原理や理屈ではありません!
日本薬局方の中での決めごとなので、しっかり覚えておきましょう!
ほかの測定法の内容と間違えないようにしてください。
日本薬局方における屈折率 n とは、試料の空気に対する屈折率を測定したものである。
すなわち、媒質1を空気とし、媒質2を試料として測定した屈折率で、次式のように表されます。
光
媒質1=空気
媒質2=試料
屈折率 n =
境界面
空気中での光速
試料中での光速
また、屈折率は温度、圧力、測定波長(測定波長が短いほど屈折率は大きくなる)
、媒質(試料)の密度により変化する
が、これらが一定であれば、物質に固有の値となる。
【測定条件】
通例、温度は 20℃、光源はナトリウムスペクトルの D 線(589.3 nm:可視光線の一種)を用い、n 20Dで表す。
屈折率の測定には、通例、アッベ屈折計を用い、医薬品各条に規定する温度の±0.2℃の範囲ないで行う。
4.絶対屈折率
試料の真空に対する屈折率を特に絶対屈折率( N )という。
すなわち、媒質1を真空とし、媒質2を試料として測定した屈折率で、次式のように表されます。
光
媒質1=真空
媒質2=試料
絶対屈折率 N =
境界面
真空中での光速
試料中での光速
この絶対屈折率は、
「空気中での光速」を用いることによって、次のように変換することができます。
絶対屈折率 N =
空気中での光速
媒質(試料)中での光速
×
真空中での光速
空気中での光速
これは、小学校で習う算数で
3
5
=
7
5
×
3
7
と同じ理屈です。
上の式より、
「試料の絶対屈折率は、その試料の空気に対する屈折率と空気の真空に対する屈折率の積である。
」と示すこと
がでます。
これにより、日本薬局方で測定した屈折率(試料の空気に対する屈折率)から、すでに解っている値である真空中での光速と空気中で
の光速を用いることで、実際に測定しなくとも絶対屈折率を求めることができます。
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1 解説 5
5.全反射
光が媒質1から媒質2へ進行する際に、屈折光を生じず、すべて反射光となる現象を全反射といいます。
光が媒質1から媒質2へ進行し、媒質1の屈折率(N1)が媒質2の屈折率(N2)より大きい場合(媒質1での光速よりも媒質2での光
速の方が速い場合)
、入射角が臨界角(θ)より大きいと媒質1と媒質2の境界面で全反射をうけます。
しかし、媒質1の屈折率(N1)が媒質2の屈折率(N2)より大きい場合(媒質1での光速よりも媒質2の光速の方が遅い場合)
、全反
射は起こりえません。
全反射
① 全反射が起こりうる場合(N1>N2、
(v1<v2)
)
:これは言い換えると n<1であり、i<r である。
θ
i =θ
i
i
(遅)
i の値を
i の値を
(速)
大きくする
大きくする
r
r = 90°
屈折角が 90°となる入射角を臨界角
入射角が臨界角(θ)よりも大きい
(θ)といい、光が媒質1から媒質
と、光は媒質2へ進入できず、すべ
2へ進めるギリギリのラインです。
て媒質1へ跳ね返っていきます。
② 全反射が起こりえない場合(N1<N2(v1>v2)
)
:これは言い換えると n>1であり、i>r である。
i
i
(速)
i の値を
(遅)
大きくする
r
r
※ この全反射の原理を応用した医療機器がファイアースコープです。
低屈折率ガラスで被覆してある高屈折ガラスの繊維であるグラスファイバーを用い、光が内面全反射を繰り返しながら体腔内を照
射し、拡大して観察します。
【解答】
1
× 光の速度は媒質の屈折率により変化する。
(この問題における屈折率とは絶対屈折率のことである)
2
× 水と氷では密度が異なるため、水の中での光速と氷の中での光速は異なります。したがって、水と氷の屈折率は異なる。
3
× 同一媒質でないため、屈折率は異なる。
4
× n=sin i/sin r
5
○
6
× 波長により異なる。
7
○
8
○
9
× 光源としてナトリウムスペクトルの D 線を用いる。
10
× 和→積
11
○ 入射角が臨界角よりも大きいとき全反射を受ける。
12
× 屈折率が1より小さい場合は、入射角度によっては全反射が起こりうる。
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