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「産業構造審議会情報経済部会第1次提言(案)に対する意見」2000年9

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「産業構造審議会情報経済部会第1次提言(案)に対する意見」2000年9
産業構造審議会情報経済部会第1次提言(案)に対する意見
2000年9月18日
通商産業省
機械情報産業局電子政策課情報経済室
御中
氏名
所属
林 紘一郎
慶応義塾大学
メディア・コミュニケーション研究所
連絡先住所
東京都港区六本木6−15−21
国際大学グローバル・コミュニケーション・
センター気付
電話
5411−6750
e-mail [email protected]
標記について、主として第1部を中心に、以下のコメントを提出します。
(1)ITやインターネットを、単なる技術革新にとどまるものではなく、一種の「社会革命」
と見て、「新しい経済・社会制度を設計するという問題意識」で取り組まれていることに、
賛意と敬意を表します。
(2)私はメディア融合時代の法体系は、メッセージ(Content)、メディア(Conduit)、通行
権(Right of Way)の3分法により構成すべきと考え、「包括メディア産業法」というア
イディアを提案しています。提言(案)は、この3分法に合うもので、基本的には賛成
です。
(3)またメッセージ(コンテンツ)に関する部分をさし向き検討の対象外とすることは、漸
進的アプローチとして理解します。しかし、次項以下の問題を孕んでいることにも、留
意してください。
(4)提言(案)にいう「ネットワーク・サービス」は、私流にはメディア(Conduit) に当
たるものと理解しますが、なお概念が不明確です。何らかの規制を想定するのであれば、
その対象は設備かサービスか、あるいはその両方か、などが懸念の中心です。
(5)なお、この過程で、メディア(ネットワーク・サービス)とメッセージ(コンテンツ)
の関係について、新たな線引き問題が出てきます。提言(案)では、それを第2部のC
DA法やデジタルミレニアム著作権法に関する説明(42ページ)でカバーしたつもり
でしょうが、第1部との相互関係が希薄です。
(6)より問題なのは提言(案)において、通行権(Right of Way)の概念が曖昧なことです。
つまり提言(案)においては、技術変化の影響を殆ど受けない、管路や周波数など狭義
の通行権と、市内ループなど既に投下された技術に依存する、広義の通行権が混同され
ているようです。
(7)この弊害は、二つの点で顕著です。一つは周波数の割り当てについて。ネットワーク・
サービス用の周波数はオークションにかけるが、放送用のものは除外するかのように読
めますが(23ページと24ページ)、果たしてそれで良いのでしょうか?サービスとし
ての通信と放送が融合するのだとすれば、両者を区別するのは有害・無益ではないかと
思われます。
(8)他の弊害(こちらの方がより重要)は、エッセンシャル・ファシリティという未確立の
概念(アメリカでも、これを肯定した最高裁の判決は無いと思います)で、市内ループ
(あるいは交換機)の独占状態を容認してしまったかの感があることです。現在この分
野で競争が乏しいのは、交換機や伝送路が高価で参入障壁になっているのではなく、通
行権(この場合は道路占用許可)がネックとなっているからと推定されます。この部分
に切り込まずして市内競争の促進は有り得ないし、安易にエッセンシャル・ファシリテ
ィ性を認めてしまうと、設備を伴う競争の芽を摘んでしまう惧れがあることに留意して
ください。
(9)相対的な問題かも知れませんが、第1部と第2部がうまくつながらなかったり、重複し
ている部分があるので、整理していただけたらと思います。
(以 上)
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